ルパパト: 宵町透真について~閉じた世界の保護者~(長文2)
ルパパト:宵町透真について~閉じた世界の保護者~(長文1)
https://kiuix.hatenablog.com/entry/2019/09/08/075815
の続き。
■警察との距離感
魁利が圭一郎と和解したこと、それから初美花が咲也を信頼し頼もしく思うようになってきた事は、透真に別の心配の種を植え付けた。
3人だけの閉じた世界の壁を崩して外から入りこんできたのがよりによって対立している国際警察。
彼等がいつの間にかまた魁利や初美花の大事な人になってしまったら、失っても正体がバレても、もう一度傷ついてしまう。それはもう見たくない。
だから透真は「自戒」し、つかさにも近づくなと言った。
でももう手遅れなのも分かってる。だから異世界ではつかさを見捨てられず、自分の正体がバレる危険を犯してまで助けた。
なお、公式読本によると41話は
「やっておかないと、終盤で回想シーンをやるときに警察から見た透真の思い出がレオタードのみになってしまうので、早急に絡めて下さい」
とオーダーがあったらしい。うん・・・それは大事だ(笑)。
「特に透真は、もともとあまり警察と接近させないようにしようとは思っていたんですけど、もうちょっと何かあっても良かったかなって。たぶん、濱(正悟)くんもそう思ってるんじゃないでしょうか」
と香村さんが振り返るほどだけど、ジュレでも未成年組が警察とも交流し始めても、カウンターの中から中々出て来ない事もあって距離感は縮まらなかったもんな。
■サブライター頑張る
透真と警察の距離の詰め方ではサブライターさんもいろんなチャレンジを見せる。
16話は荒川さんが透真と怪人の入れ替わり回を担当。
警察は入れ替わって透真の姿になった怪人が女の子たちと遊び回る姿を目にし、ジュレで元に戻った透真に3人がかりで説教をするという、透真にとっては散々な展開。
両者の距離を縮めるオーダーがあったのかなと思いながら
「だからって一気に3人まとめて、しかも誤解を前提に説教かよ(汗)」
と、その荒技にびびった。
大和屋さんはルパパトのギャグ回の代名詞的存在にもなった27話のレオタード回で咲也とコンビを組ませる。
この時点では透真としては不本意だった咲也との先輩後輩関係は、45話のクリスマス回では自分から積極的に使うという関係性の進展も見せた。
透真はこの27話で完全にいじり方のツボが確立したというか、扱い方のターニングポイントになったんじゃないかな。本人はひたすら真面目なままシュールな状況に放り込まれる的な。
これまで頑なにキャラを崩さずに来たのもそこに本人の美意識=格好つけ志向が強固にあったためだったってことで、そこを突けばぐんと崩しやすく笑いをとりやすくなった感じ。
■いわれのない悪評まみれ
ちなみに透真って、戦隊シリーズの中でもかなり濡れ衣というか、いわれのない悪評につきまとわれた人になってしまった感じはする。
元の職場の人→婚約者に逃げられてその噂に耐えかねて辞めた奴
婚約者の父親→娘が失踪したのはお前のせいだ
パトレン→仮病を使って店をサボり、健気な未成年2人を騙して働かせあんなに大量のゴミを集めさせておいて自分は複数の女の子たちと豪遊する不届き者
彩を取り戻す以外のことはどうでも良く、自分が大事に思う相手以外にはどう思われてもって覚悟はしてるだろうけど、
「俺のことはなんて聞いたんです?」
にはちょっと傷付いてる響きもあった。受難の人だなと思う。
受難と言えばレオタードもキツツキもたいがいだけど(笑)。
■ノエルが来て少し気は楽に?
和菓子を差し入れてくれる上司やサポートロボもいる国際警察と違い、コグレには一線引かれて他に支えてくれる人もなく、不安も焦りも3人の閉じた世界の中で共有するしかなくて、透真はその中で最年長の保護者的立場として独りでずっと鎧を纏っていた。
それがノエルの登場でちょっと変わったんだよね。
23話でノエルが透真を潜入捜査にスカウトし
「もちろん1人じゃ行かせない。僕も助手として~」
って言った時に透真が見せた戸惑ったようなちょっと気弱な表情が印象的だった。
ずっと纏っていた鎧が、初めて2歳年上のノエルから気遣われて一瞬だけはずれたようにも見えて。
一緒に潜入して、同じプロフェッショナルとしての挟持に共鳴した。25話では暗号解析してるノエルの意図を誰より早く察して手だけで魁利を制した。
ノエルにはかなり心を許したかに見えたけど、それでもまだルパン家の人間だからと、ザミーコの事を一度は隠した時は、まだ壁があったのか、とちょっとびっくりした。
けど、隠したことに理解を示し、自分の望みは遠のくかもしれないのにコグレにも黙って協力するノエルに「良いのか?」と聞き、「言ったろう?僕は君たちの味方だ」と言われた時にはまた、信頼を一歩進めたと思う。
たぶん、快盗になって初めての、信じて頼っても良いちょっと年上の仲間を得た気持ちになったかもしれない。
その後、人間じゃない事が分かった時は不信を丸出しにして、正直ここは脚本の都合を感じてしまうからあんまり真剣に考えたくないけど、どっちかというと人外であることより、それを隠していた事を怒っていたのかなという気もする。
そこを乗り越えて4人の願いは一つだと誓い合った後はもう完全に受け入れたし、48話で救出されたノエルに透真がかけた「大丈夫かっ!」も一番必死さが滲んでいた。
透真が未成年二人に保護者目線を向けているように、ノエルは透真も含めた3人に保護者目線を向けている。
たぶん透真はそれを一番敏感に感じ取り、その分だけノエルは快盗への肩入れが過ぎて警察とはもう一つ良い関係を築けていないのを案じていたかも。
■スピンオフに望むこと
私は終盤当時、警察側ではノエルがビークルを使わない理由に思いあたったつかさ、快盗側ではノエルが自身の願いより快盗の願いを優先してくれたことに一番敏感に見える透真が、もう少し絡んでドラマを作ってくれないかなと思っていた。
それは叶わず終わってしまったけれど、スピンオフで実現してもらえないかと諦めきれずにいる。
私はこれまで何度もいろんな理由でルパパトの、特にノエルのスピンオフを希望してきた。
見たいものについては以前
ルパパト: スピンオフで見たいもの、作って欲しい理由おさらい
https://kiuix.hatenablog.com/entry/2019/07/15/222620
ルパパト: 快盗達の罪と情状酌量と社会復帰とか
https://kiuix.hatenablog.com/entry/2019/06/30/000456
でも書いたけれど、透真については出来れば快盗デビュー戦あたりの回想、それからもっと切実な気持ちで彩との結婚をお願いしたいと思う。
透真が彩と結婚出来る未来ではノエルの願いに決着もついているはずだし、本質的には料理人の透真がまた堂々と料理人として働いている未来でもあるだろうから。
たとえ全世界に顔が晒されていようと指名手配されていようと、それが未来永劫叶わなくなるような罪は本来何も犯していないし。