キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ゼンカイジャー43話感想: 後ろ向きのヒーロー

いきなり戦闘中。ムカイカゼワルドが今回の敵だけど、それって「向かい風トピア」という並行世界があるってことで、なんだか世界の住民全員がハードモードのタフな人生送っていそう(汗)。バカンスワルドのゆったりのんびりな住人とは気質とか全然違いそうで、互いが互いを知る機会があったら相手をどう思うんだろうな、とちょっと興味深い。

ムカイカゼワルドの攻撃を喰らうと、体が前を向いた方角から激しい向かい風が延々と吹き続けてやまず、前に進むのも大変な状態。

 

苦戦中のゼンカイジャーを救ったのは、前回ゲゲに乗っ取られたステイシー。これまでの、独りでシリアス背負ったピリピリした表情とはガラリと変わった小悪魔的な微笑を浮かべ、キョウリュウレッドカーニバルを召喚する。

「小悪魔的な」って性別男性に使うのはどうかと思うけど、そもそも東映公式自体が「傾国ノ美女」なんて表現をしてるので許してほしい(笑)。劇中でも「なんか今日可愛い」と言われていて、もともと中性的なルックスだけど役者さんは介人やゾックスの人より年上の25歳と知った時には衝撃だった(汗)。

 

カーニバルに苦戦したムカイカゼワルドはステイシーの反逆を上に報告すべく撤退。

介人が功奪還を手伝ってくれた礼を言うと、ゲゲイシー(ネットで見かけたこの表現が秀逸だったので拝借します)はステイシーの脳内の記憶をサーチして事態を正確に把握し、にんまり。

「君たちに手を貸したことがボッコワウスにバレて、トジテンドでの出世が望めなくなったんだ。だったらもう、バラシタラの居るトジテンドごと倒しちゃおうかなーって。だからさ、介人、僕を君たちの仲間に入れて欲しいんだあ」

手を貸したことがばれてトジテンドでの立場が悪くなったという事実を織り交ぜるのは上手いけど、口調がまんまボッコワウスに甘える時のゲゲ過ぎて違和感バリバリ(笑)。

そこでガオーンやマジーヌからヤツデさんの名前を聞いてまた脳内サーチしたゲゲイシーは、さっそくカラフルに向かう。

自分の体を乗っ取った相手に過去の記憶も全部筒抜けって、嫌だなこの能力。時々ゼンカイジャーに協力していたのがバレたのも、カラフルの場所やヤツデさんという弱点がバレたのもまずい。

でもステイシーの性格的には、イジルデの研究室での「全力全開!ちょわー!!」を他人に知られるのも死に勝る屈辱な気がして、そこは覗かないでやってよと思う(笑)。介人やヤツデさんにはいつかちゃんと知ってほしい気もするけどね。

介人は向かい風で動けず追いかけられないながら、すぐさまセッちゃんに電話。その声に、ステイシーの改心を単純に信じて喜んでいるわけじゃなさそうな切迫感があって好き。

 

トジテンドではステイシーが脱獄し公然と反逆したと知ったボッコワウスのドスン祭。ゲゲが甘えのない低い声で、脱獄を手引きした者の存在を示唆してるけど、いや手引きしたのお前なんだが。

ゲイシーが介人たちの世界にいるのとたぶん同時刻に、ボッコワウスの傍らでもゲゲが話しているってことは、ゲゲの体を謎の別人格が時々乗っ取っているってこと?

でもゲゲ本人の意識には自分が時々乗っ取られているという自覚があるようには見えない。

それとも、自覚はあるけどそれを受け入れて平然と秘密にしているってこと?

ステイシーが乗っ取られた瞬間から脱獄するまで、ゲゲ本人の意識はどうしていたんだろう。気絶?脱獄を協力?それともなんで自分がここにいるのか分からずに立ち去った?なんだかややこしくなってきた(汗)。

 

ステイシーを信じるガオーンとマジーヌ、怪しんでいるジュランとブルーン。介人はというと、仲間になりたいというのが本心なら嬉しいけど、なんか違うと怪しんでいる。

なんせ介人自身がステイシーと入れ替わった経験持ち。また別の誰かが成りすましているのでは?と疑ったりしても無理はないか。

「あいつはもっとこう、なんか・・・そう、この向かい風みたいな感じだった!」

いきなり文学的な表現が来ておおっと思った。香村さん、こういう台詞書くのも好きそうだけど、ゼンカイジャーが一瞬、格調高い芸術作品になったような錯覚を覚える(笑)。

 

ステイシーは満面の笑顔でカラフルの暖簾をくぐり、ヤツデさんに歓迎される。ステイシーが断腸の思いで断ち切った場所にぬけぬけと現れ、ステイシーが欲しくてでも諦めた笑顔と温もりを言わば横取り。誰かを乗っ取るってことは、その人本人だけでなく、持っていたものも、欲しかったものも奪うんだな、と今更思ってイラッとした。

介人から連絡を受けたセッちゃんは界賊一家に連絡していたようで、険しい顔のゾックスとフリントが続けて入って来る。

カラフルから連れ出そうとするゾックスを「おやつ食べてから」と笑顔であしらうゲゲイシーが余裕綽々で、もうこの時点でいつものステイシーじゃないって界賊側にもバレバレだよな。

なおステイシーの服装が元に戻っていて、メタ的には夏仕様のままだと寒いかららしいけど、物語的には、

強化→新調→、裏切りがばれ拘束→元の服に格下げ

  って感じかな。実は私はこっちの方が好きで、見ていて落ち着くな。この人は濃い色や重め厚めの素材の方が似合う気がして。

 

ゾックスたちはステイシーを薄気味悪いと怪しみながら、信じて欲しければトジテンドパレスに連れて行け、と持ちかける。

そこへムカイカゼワルドがステイシーを捕らえようとクダックを引き連れて登場。ゾックスとステイシーは成り行きで共闘する形になり、こんな形でなければ尊いダブル変身だったのになあ、と複雑な気持ち。

 

  一方、向かい風に抗いながらやっとの思いでカラフルに辿り着いた介人たち。 店内はヤツデさんのいる無風の奥側、介人たちに強風が叩きつける入口側に分かれて、あ、こうなってるんだというのが視覚的にわかって面白かった。

「あんたたち、今度は何が起こってんだい?」もはやちょっとやそっとのことでは驚かないヤツデさん(笑)。考えてみればこの店も突然大量のゴミがなだれ込んで来たり、皆が磁石になっていろんな物がくっついたりと、いろいろ異常現象を目の当たりにしてきたもんなあ。

せっかく苦労して帰ってきたのにまたムカイカゼワルドが現れたと聞いて、がっくり来たマジーヌが凄い勢いで後ろに転がり、それを見た介人がまた何か閃く。もうこのあたりの介人の柔軟な問題解決能力が頼もしくて仕方ない。

   

ステイシーとゾックスの前にはバラシタラまで現れる。

「まずは褒めてやるのでアル。お前にこんな度胸があったとはな!」

えええ?またしても息子本人だと思ってる?ボッコワウスの懐で喋っているゲゲを意味ありげに見上げていた時には、「やっぱり怪しんでいるな。察しの良い奴だ」とちょっと株が上がったのに、相変わらず息子の事になるとポンコツなままで、偽物の所業を息子本人のだと思って(もしかしたら初めて)褒めてるのかと思うと情けない(涙)。介人もゾックス一家もすぐにいつものステイシーじゃないと察知したから余計に。

なんでこう、「介人の仲間になろうとするステイシー」とか「カラフルでヤツデさんと再会するステイシー」とか「ゾックスとのダブル変身」とか「バラシタラに褒められるステイシー」とか、ちゃんとステイシー本人で見たい場面を尽くゲゲイシーで達成していくのか(涙)。スタッフさん鬼畜だ。

まあそれでも、いつもの息子じゃないと把握した上で敢えて褒めてるのかもって可能性はちょびっと残しておくけどね。

 

ゲイシーはスーパーシンケンレッドを召喚。同じ場所でツーカイザーがシンケンフォームで戦っているから元祖と海賊版の揃い踏みにテンション上がった。でもどうせならそこで同じ画面に収めて並べようよ。見たかったのに叶わず残念。

ゲイシーは人間の体で戦うのも武器を扱うのも余裕で、下手するとステイシー本人より場数を踏んだ手練れ感がある。いろんな体を渡り歩いてきたのなら、人間に近い生物の体で生きていた時代もあるんだろうか。

 

ゾックスが隙を突かれて向かい風攻撃を受けてしまいピンチ、という場面で介人たちが到着。ただし、想像はついたけど、やっぱり後ろ向きで駆け込んできた(笑)。

前に進めなければ後ろに進めばいい。単純な発想の転換で、わかってしまえば他愛ない解決方法かも。

でもゼンガイジャーは以前も、ギアトリンガーの蓋がしまらず変身できないなら隣にいる仲間に押さえてもらえばいい、という凄く単純だけど素敵な解決策を見せてくれた。

押してもダメなら引いてみな。独りでできないなら抱え込まず仲間に助けてもらおう。上手く行かない時には1つのやり方に拘りすぎない、頑張りすぎない柔軟な視点も大事。そんな香村さんから子供たちへのメッセージも感じて好きだな。

ゼンカイジャーは基本的に何事も全力全開!失敗も挽回!何回でもトライ。前向き過ぎるくらい前向きなイメージなんだけど、だからこそそんなヒーローが「時には後ろ向きでも良いんだよ」と見せてくれると、そんなにエネルギーのない私は正直ホッとする(笑)。

 

変身も後ろ向き全開、戦闘も後ろ向きのバックアタック。それを見たゾックスも要領を得て続き、たちまち形勢逆転。

バラシタラはそんな敵の対策ぶりを面白がっていて、ゲゲイシーも「やっぱりこっちの方が面白そうだね」と、楽しそう。トジテンドを見限るのだけは少なくとも本気みたい。

介人はレッドレーサーとゴーオンレッドを召喚したけど、後ろ姿の見分けがつかず間違えたセッちゃん不覚(笑)。いや戦隊って後ろ姿にそんなに個性ないから難しいよね。

最後は全力全開キャノンも後ろ向きからの振り返りで、発射されるマスクも後頭部(笑)とふざけた絵面で撃破。もう40話超えたのに毎回毎回、よくこんなゼンカイ脳なアイディアが尽きないなあと感心する。

 

向かい風も消失して自由に動けるようになったゼンカイチームはバラシタラに挑むも、両肩のキャノンは飾りじゃなくて圧倒的な重火力でまとめて変身解除。いざとなればやっぱり幹部。強いわ。スピードで勝っても耐久力はイマイチ?なスーパーツーカイザーが圧されたのも、これを見ると無理ないかと納得。

それを見たゲゲイシーの「さすがは軍隊長だねえ」という、いつものステイシーなら絶対に見せない反応を、倒れながらも見逃さない介人は。細かいけど後に繋がる布石な場面。

バラシタラは「ボッコワウス様には悪いが、俺様としては楽しみが増えたのデアル」と満足気に撤退。息子が大人しく牢屋で朽ち果てるより、ボスに反旗を翻してくれた方が嬉しいって、これも一種の親心だろうか。

続いて登場したダイムカイカゼワルドは風向きを自由自在に操り、地上では強風にゼンカイオー合体にも失敗するわ近づくことすら出来ないわで苦戦・・・と思ったら、ツーカイオーが遙か無風の宇宙まで飛び上がり、一気に撃破。ツーカイオー単体での勝利は凄く久しぶりで新鮮。ツーカイオー好きだから嬉しいけど、そうか、もう次回が・・・・だもんなあ。

 

戦い終わって、ゲゲイシーは再び介人たちに仲間アピール。けど、介人は

「ステイシーならバラシタラと戦う時、あんな感じじゃないと思う。もっとピリピリして、譲れなくて、これは僕の戦いだ、とか言うはずだもん。ステイシーのバラシタラへの思いは、あんなものじゃない」

と看破。介人はいつもその人をできる限り理解しようと相手の反応をよく見ながら接しているから、本当にステイシーが言いそうな台詞を選んでくる。ゲゲイシーは、一見お馬鹿でお人好しそうだからって、介人を舐めちゃいかんと思うよ。

「僕が何者だろうと、トジテンドを消そうと思っていることは本当さ。つまり僕は、君たちの味方だよ」とステイシーは、どこまで本気かわからない言葉を残して月まで跳んでいった(笑)。

向かい風みたいに取っつき悪いけど根は優しく真面目で不器用なステイシー。

そよ風みたいに柔らかく猫撫で声だけど強かで邪悪さが滲むゲゲイシー

対照的な2人。そろそろ本当のステイシーの意識がどうなっているのか早く知りたいんだけど、一方で、ゲゲイシーもこれはこれで良い表情してて魅力的で、もっと見ていたい気もするから困る(汗)。