キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ルパパト: ノエルは警察のために何をしたのか

 ノエルさんは香村さんの描いたキャラクターの中でもっとも賛否両論の激しいキャラクターかもしれない。

香村さんと言えば前作ジュウオウジャーの追加戦士のみっちゃんもコミュニケーションに問題があり賛否の分かれるキャラクターだったし、アムも腹黒でちゃっかりしている所が好き嫌い分かれる傾向はあったと思う。

でも、この2人はキャラの解釈はそんなにブレがなく、好きか嫌いかという好みの問題だったという印象だけど、ノエルの場合は解釈自体が人によって凄く分かれていた。

特にそれはノエルがパトレンにした事や、警察や平和に対する思いに対する見方が分かれた事が大きいと思う。以前も書いたけど警察としてのノエルは描写をかなり抑えて描かれたために行間が広く、そこをどう埋めるかでめちゃくちゃ解釈の分かれるキャラだった。

私はかなり好意的に解釈する方だったので、ノエルが特に警察の為に何をしたのか、改めて物語の所々から拾って補完したい。

といっても、

「ルパパト: 構造や売上が ノエルと警察、それから結末に与えた影響について(長文1)」

https://kiuix.hatenablog.com/entry/2019/02/23/170014 

「ルパパト: 構造や売上が ノエルと警察、それから結末に与えた影響について(長文2)」

https://kiuix.hatenablog.com/entry/2019/02/23/170024

でも書いたことと重なる部分もあるから、今回は来日前のビークル提供と、来日後の快盗と警察を仲良くさせようとした事に的を絞ってみたい。

 

■来日前のビークル提供への思いは?

「国際警察にコレクションがあると知って潜り込んだのさ」

「(戦力部隊に装備がわたったのは)痛恨のミステイクだ」

 

どっちもコグレと快盗の前でのノエルの言葉。

でも、Gロッソ第5弾のパンフレットのノエルの紹介ページの解説では、前者は

 

「国際警察が、ルパンコレクションをもっていると知ってもぐりこみ、警察官に!」

 

と、事実として断定してるのに対し、後者の方は

 

「パトレンジャーのVSチェンジャーは、ノエルが改造してつくったものであった。それが国際警察日本支部に送られたのは失敗したと、ノエルは言う・・・。」

 

とあくまでノエルが言ってるという見せ方を崩さない。

事実なら前者のように断定すれば良いだけ。そうではないのは本当は違うからでは?と私は思っている。

 

・ノエル以外にあのグッティを拘束梱包出来る者が国際警察の中にいるか

・ノエルが日本支部以外にグッティを梱包送付(それが誤って日本支部に送付)する必要のある宛先はあるか

・一度誤送付?された後もヒルトップにヘリとバイクが、「直に」手渡されている

・ノエルは29話32話時点で平和も共闘も望み、それは来日当初からの思いに見える

・平和を守る権限と義務があるのは国際警察でルパン家にはない

・あの時点で仮に「ミステイクじゃなく本心」とか説明してたら激昂した透真にやすりで磨かれ叩き出されていても不思議じゃないから嘘をつく必要性は滅茶苦茶高かった

 

これらを踏まえると装備を送ったのはミステイクじゃなくノエルの本心の可能性が限りなく高く思える。というか私はそう信じている。

でも以前、あるツイートがミステイクを「事実」と捉え、それに三桁の「いいね」やリツイートがあるのを見て、そう思っていない人も一杯いるんだと改めて知って結構落ち込んだ。

「痛恨のミステイク」が本当なんだとしたら、ノエルさんはいったい誰に使わせるためにパトレンの装備を開発したんだろう?

平和を望み共闘を望むのに警察がちゃんと変身して戦えるようになるのは望まないお馬鹿さんだったんだろうか?

私はいくらなんでもそれはないと思っているし、万が一、今後そう描写されたら絶望的な改悪になってしまったと受け取るだろうけど。

 

 フランス本部時代のノエルさんは、時系列で見ると

 

1話→パトレンの初期装備

4話以前→クレーン&ドリル(それが内通者によりアルパカ兄弟へ)

5話→バイク、ヘリ

 

とまあ当然だけど初期装備を除いてもトリガーマシンの開発が多い。

開発は警察のためだとすると、来日までは専ら警察を強化したかった事になるね。

ヘリが快盗に来たのはもしかしたらグッティに、両戦隊のバランスを見て必要なら快盗に渡るように頼んだかもだけど、シザーがなかったらパトレンの方が装備が充実していた可能性がある。

これ、実は、来日後はコグレや快盗との信頼関係のために大っぴらに警察を強化出来なくなるから、目の届かない今のうちに警察のために出来る限りの事をしてしまおう、というスタンスだったと解釈する事も可能だったと思う。

 

■両戦隊のバランスが崩れたのはノエルのせい、という見え方

だからここでまた38話の愚痴になるけれど、テコ入れの為に警察を強化出来なくなったからと言って、そこを気にしすぎて「コレクション集めは絶対だから」と言って、警察を足止めに行く(しかもその警察に助けられる)ようなキャラに改悪する必要はなかったのでは?と私は思っている。

また、警察を強化したいのにできないジレンマや苦悩を口にしても良かったのに、そんなことは一切許されなかった。

テコ入れという大人の事情が原因なだけに、言葉にすることで視聴者の意識をそこに向けさせたくなく、またVS維持のためや他キャラとのバランスのためにノエルにそこまでスポットが当たらないよう、言葉にする事を避けたんだろうか。Gロッソでは「どちからなんて選べない」と言った途端に主人公になってしまったし。

それともスポンサーにこれ以上批判の矛先が行かないようにとの配慮だろうか。

 

でもルパンだけが次々強化される異常さいびつさは、別にノエルが口にしなくても多くの人が気付き、モヤモヤした思いやもっとハッキリしたストレスを抱えさせるのに十分なものだったと思う。

そんな中で、エンジニアとして両戦隊にビークルを与える役目を封じられただけでなく、パトレンがビークルを得ようとするのを結果的に2度も邪魔することになり、それに対するジレンマや苦悩を一切語らないノエルの姿は、見る人によっては

「共闘を望むと言いながら警察の強化の必要性に思い至らず、やってる事は快盗贔屓」

と受け取ってしまったとしても無理はないんだろう。

その結果、パトレンを強化出来ず活躍が制限された不満の矛先が、よりノエルに集約されてしまったように見える。実際この頃、激しい批判や憎しみにびっくりして悲しくなる事が多かった。またご丁寧に香村さんが38話で「快盗の利益を優先し過ぎたんじゃないのか?」と透真に言わせる事でその見方を補強してしまっているのも悲しい。

 

例えば、ノエルはパトレンも強化しようとしたが、それに気付いた快盗が邪魔をし奪取、という見せ方なら、ノエルのスーパー化への展開に一捻り必要ではあるけど、誰のキャラもブレず、ノエルの平和への思いも快盗とも時には対立することも描け、快盗贔屓に見られる事もなかったろう。

でも快盗を悪者には出来なかったということなんだろうか?

 

そもそも、6月下旬くらいにはネットでテコ入れが噂になり始めていた販売不振に関して、タイミング的にはその頃に登場したノエルというキャラには一切責任はないはず。

なのに物語的には、パトレンが活躍を制限されたのはひとえにノエルの愚かな快盗贔屓のせい、という見方をされやすい状況が作られてしまったのではという気持ちが否めない。

 

警察にビークルが送られた事情、ノエルの「ミステイク」が真実か偽りかは、最終回後も明かされていない。

そこまで隠し通す意味がどこにあるんだろう。

隠し通して誰が幸せになるんだろう?

 

■仲良くなれたら素敵

来日後のノエルは、快盗と、その正体を知らない警察の交流に尽力した。咲也の初美花への恋を応援し、自分の歓迎会と称して両陣営の親睦を図り、何かと理由を付けてはジュレに圭一郎達を連れて行ったり。

それが、ノエルを助けるために快盗が正体を明かした後は一転、怒り傷ついた咲也に責められる事になった。

「面白がってたんですか?」と咲也に責められた時のノエルの答は

「本当に、仲良くなれたら素敵だと思ったんだ」。

ネットでは、「どちらの気持ちもわかる」「ノエルの答が凄く良い」という意見もあったけど、反面、ノエルへの激しい批判も見られた。

咲也はもっと怒って良い、ぶん殴ってもいい、こうやって相手が傷つく事に思い至らないノエルは浅はかだ、「仲良くなれたら素敵」なんて頭の中がお花畑(笑)等々。

 

私はそれを見ながら悲しかった。

そして、もっと怒っていいって意見もわかるんだけど、咲也には思い出して欲しかった。

27話レオタード回で、透真が邪魔しなければ、お萩爆弾を国際警察に持ち込んで自分ごと吹っ飛ばしてたかもしれないってことを。

あの時ノエルは自分で助ける事も出来たけど、「咲也くんをあのままにしていて良いのかい?」って透真が自発的に助けるよう意識を向けさせた。

それがノエルの言う「仲良くなれたら素敵」の形だったんだと思う。

 

 私は、平和であることが当たり前な世界に暮らす人間が使う 「仲良くなれたら素敵」と、強大な力を持つ化け物達に襲撃されて大事な人を殺され、その化け物達と戦い同時に願いを叶えるためには対立する2戦隊を共闘させるしかない(でなければいずれ全滅)と考えて来日し、でも密かに人間じゃないというコンプレックスを抱えるため「仲良く」には自分を含めていない奴が使うそれとでは重みが全然違うんだと思う。

 咲也の事以外でも、ノエルは29話で快盗達に記憶喪失の圭一郎を助けるよう説得に行っている。

またそれ以降、快盗達も警察を助けようとする意識が強くなっていっている。

32話で快盗達は、圭一郎とノエルが決闘している間、実験体に一方的にボコられている咲也とつかさを「黙って見ているわけにもいかない」と、コレクションを盗れる態勢ではないのに助太刀に入っている。それがなかったらなぶり殺しだったかもしれない。

36話では孤軍奮闘のつかさを庇いトドメを刺す役を買って出て、37話はふらつく圭一郎を見ていられずにVSX、40話では魁利初美花が傷付くからと透真が異世界でつかさを助けた。

仲良くなったから、快盗は警察を助けた。そのことをつかさも身に染みていたはず。だけどあの場でそれを持ち出してフォローすることはなかった。

 

 快盗3人にとっても、警察とも仲良くなるにしてもノエルさんの存在は「ここまでならOK」のガイドラインになってたはずで、そうやって未成年2人は以前よりは安心して、それまでの閉じた世界を広げていった。

圭一郎達だって、後にその事を知れば自分達の手が届かなかった被害者達へのノエルのそういうフォローを好意的に受け止めたんじゃないだろうか。

そして仲良くなっていたからこそ、一時は辛くとも、正体が分かってからの相互理解はスムーズで、今度は警察が快盗達のために出来る限りの事をしようとしたんだと私は思う。

 

ノエルさんのやってたことは決して浅はかなものだとは思わない。

私から見ればノエルさんのやっていたことを正しいと思える根拠は、物語の所々に転がっていて、それを公式がもう少し拾っていてくれれば見え方も違っていたろうに、恐らく敢えてフォローしていなかった。

戦力的には共闘が正しいのに、1年間VSを維持し続けてく上で共闘しようと言い出さない両戦隊が間違ってると思われないように、また他のキャラとのバランスで、正しくないように見せられ過ぎていなかっただろうか?って気がしている。

香村さんはキャラクターブックのインタビューで「どうするのがふさわしいのか常に考えていた」と語っているけれど、その結果がこれらの見せ方なのかと思うと、悲しい。

たとえそれがドラマ的にはVS的には正しかったんだとしても。

香村さんはキャラのフォローが人一倍お上手な方だと思っているから余計に、そのフォローからノエルだけが突き放されてしまっていると思えてしまって。

 

 ■好きになりたかったのに

最終回が終わり、ちょこちょことネットでの本編やGロッソの感想を拾っていた時に心に引っかかったのが、「ルパパトを大好きだから全員を好きになりたい。ノエルの事も好きになりたかった」という感想だった。

上記のうち前者、警察としての覚悟の見えなさや警察に対して邪魔しようとした事等は、好きになれなくても仕方のない相応の理由だろうと思う。ビークルを日本支部に送ったのが本心か否かはハッキリ描かれてない以上、私の見方は推測でしかない。

でも好きになりたかったという方の中には、好きになりたいのに出来ない辛さを抱えてながら、ノエルを好きだという人を否定する事なく、最終回まで見終わった今なら見方も変わるかと見直して幸せも祈って下さった方もいるのだと知ることができた。

 だから私はせめて今からでも、そこを続編できちんと、例えばノエルがビークルを送ったのは本心から、平和を思う気持ちからだったんだと、きちんと描いて欲しくてたまらない。 

 

 そして出来ればそれは、ノエルがルパン家に属していると圭一郎達が知るという流れに繫がって欲しいなと思う。

ノエルさんは警察にたくさん隠し事をしてたけど、そもそもは自分がルパン家の人間だと隠して国際警察に入った事から始まっているわけで。

ルパンレンジャー始動とどっちが早いかわからないけど、その雇い主だとバレた時に国際警察に居続けられるのか気になってた。ルパン家が雇って快盗をやらせた魁利達は指名手配な訳だから。

ひょっとしてノエルさんはは警察官に相応しく正しく誠実であろうとした瞬間に、警察官でいる事、圭一郞達の仲間でいる事を許されなくなくなってしまうんではないのかなと。

だけどそれを乗り越えるにしても乗り越えられないにしてもその時に圭一郞達が何を思いどうするかを見たかったし、これからでも見せて欲しい。