ルパパト: 快盗達の罪状と情状酌量と社会復帰とか
CDドラマは正体がバレる前の話だけど、あれを聴いたら、正体がバレてからの両戦隊の交流も視たいと改めて思う。
快盗と警察としてバチバチぶつかるのもだけど、それだけではなく、以前ジュレの店員と客としてあったような和やかな形でも。
でもそれには幾つかハードルがある。そのうち、ノエルの願いが枷になり、今のVS続行の舞台装置になっていることについては過去の記事で触れた。
今回はもう一つ、全世界に素顔を晒してしまった快盗達が一般人として社会復帰する事は可能か?難易度はどの程度のものか?という事について。
本放送中からネットでそれに関する見方は散見してたけど、自分でもちょこっと考えてみた。
快盗達は全世界中継される中で仮面を取り正体を明かした。
透真と、20歳を迎えていた魁利は指名手配もされた。
「正体が晒されたら取り返しがつかない」とノエルは言った。もうまともな生活には二度と戻れないみたいな悲壮感で。
一方で、快盗達がドグラニオの金庫から救出されたと知った時の圭一郎達の喜び方と見る目は、犯罪者に対するものからはほど遠い。
彼等の情状と1年間の積み重ねを思えばまあ当然だけど、すぐにでも普通の生活に戻って良さそうな感じにも思える。
実際のところどうなのかな?
■快盗達の罪状
・銃刀法違反
・不法侵入
・器物破損
・窃盗
・強盗(主に警察の装備)
劇中を見た感じこんなところかな。
銃刀法違反は他の戦隊なら黙認されるけど、他に実力を行使する権限を持った戦隊がいるこの作品の世界観なら適用ありかなと思った。
公務執行妨害は初期特に2話冒頭とか警察官への容赦ない攻撃は、殺人未遂と受け取られてもおかしくないかも(苦笑)
■快盗達の功績
・人命救助(7話で数名、50話で大量)
・警察への協力(25話、30話、32話、37話、42話を始め多数)
そもそもロボを活躍させる販促上の必要があるから、コレクションを回収した後も、何らかの事情でロボで出動出来ない警察の代わりに倒してやることもしばしばで、なんなら指名手配される直前すらそうだった。
■情状
・大量失踪事件の被害者の近親者で取り戻したい一心
・活動開始当時、警察は全く頼れない状態
・雇い主のルパン家(コグレ)は警察に事情を話したり自首したりといった事は不許可
・失踪した人達を救出した代償として1年間怪人の金庫に拘束され、制裁は受けたと見る事も可能
ただし、最終回時点で国際警察がきちんと上記のような真相を世間に公表しているかは分からない。圭一郎達はともかく上層部はどうもメンツに拘っているように思えるから。
「快盗達は警察がずっと放置していた失踪事件の被害者の近親者で、被害者達を取り戻すために活動していた。もし救出されなかったら被害者達はいずれ化けの皮にされていた」
と正直に公表するのは都合が悪い可能性もある。警察は放置していたばかりか知らずにその妨害をしていたことにもなるわけだし。
最終回、1年後の世の中は国際警察の活躍にすっかり塗り替えられて「快盗なんてオワコン」という空気が描かれていた。それがシビアでリアルって意見もあったけれど、あの時点でどれだけ快盗についての情報公開がされていたかはわからない。
だけど、少なくとも琥珀ケ丘女子高の保護者達には、そのネットワークを通じて真相が伝わっていると思う。
■助けられた人達の家族: 琥珀ケ丘女子高校の生徒保護者達
初美花と詩穂は琥珀ケ丘女子高校に通っていた。
ザミーゴに襲われた時、初美花と詩穂の周囲にも何人か同じ制服の女子高生がいて、初美花以外はみんな氷漬けにされて消えた。その数は8話で初美花の出身高として名前が挙がった時、すぐに失踪事件が連想されたほど多い。
可愛い制服が人気だというこの女子高は私立の可能性が高く、それなりに裕福な家の娘も多いだろうな。
初美花のパパも一人娘の初美花を溺愛している感じだった。
そんな家庭の大事な娘達が大量に失踪した。各家庭の悲しみ苦しみは想像に余りある。そしてそんな真っ暗な辛い時間が2年も続いた後に、恐らくその多くが無事に戻ってきた。
ギャングラーは長生きが多く、また劇中は男性比率が高かった(宇都宮戦隊の特徴)ので未成年の女の子の化けの皮需要は殆どなかったかもしれない。
未成年で指名手配から免れたとはいえ、初美花は一度は快盗として素顔を全世界に晒された。
恐らく詩穂をはじめ失踪した生徒達の保護者も目にしただろう。
それから数日後に失踪された人々が戻り、その中に初美花の親友の詩穂がいて、後に初美花の活躍を漫画に書き始めた。
もし私が詩穂の親で娘から真相を聞いたなら、もう初美花に足を向けて寝られないと思うし、同じ親として初美花の両親に申し訳ない気持ちでいっぱいになると思う。
そして自分が聞いた事を、同じ被害にあった生徒の家に出向いてでも話さずにいられないだろな。
そうなれば初美花は他の失踪していた生徒とその保護者達にとっても命の恩人だよ。
自分達の娘は助けて貰い、今は無事に手元に戻ってきたのに、助けてくれた初美花はそのために高校を中退し、ギャングラーと命がけで戦い続け、快盗=犯罪者として素顔を晒され、その後1年間怪人の金庫に閉じ込められてしまった。保護者達は恩人初美花の両親の悲しみを他人事として傍観していられるだろうか?個人的には被害生徒保護者の会が立ち上がって初美花一家を応援してもおかしくないと思う。
■助けられた人達の家族: 彩の父親
彩の父親は、彩が失踪した時に「娘がいなくなったのはお前のせいだ!」と透真を怒鳴った。
完全な八つ当たりだけど、透真はそれを甘んじて受け止めた。
そして仕事を辞め、快盗になって彩の為にギャングラーと命がけで戦い続け、無事に取り戻してくれた。
父親からしたら透真には感謝してもし足りないだろうし、こちらは八つ当たりしてしまったのにという負い目もあるはず。
まあ、娘の為とは言え婚約者が犯罪者ってのは娘の幸せを思えば複雑かもだし、透真以外の男には一生見向きもしなさそうな彩については別の心配も生まれたかもしれない。
だけど、娘と結婚させるかどうかは別にして、道を踏み外してまで娘を助けてくれた透真の今の境遇や将来に手を差し伸べずにいられるだろうか。
快盗達の正体が全世界に晒された時、私はこの人達の事を想像しないではいられなかったな。
快盗達の今までの頑張りをちゃんと知って、きちんと受け止めてあげて欲しいなって。
■社会復帰はそんなに難しくない?
もし快盗達が自首なり逮捕なりされて裁判を受けた場合、情状酌量の余地は腐るほどある。
快盗は命の恩人だと減刑嘆願書も山ほど届くはず。
恐らくマスコミにだって伝わる。詩穂の漫画も一役買うかも。
警察と協力して幾度となく怪人を倒してきた功績も加味すればそんなに罪は重くならないはず。恐らく執行猶予がつくんじゃないかな?
そして快盗の正体とバレた状態での社会復帰とは言っても、援助を申し出る人や団体だって出てきてもおかしくないよ。
快盗達はそれだけ大勢の、様々な立場の人々を助けたんだから味方になる人だってたくさんいるはず。
というか、ルパパトの世界は恩を受けた人達がちゃんとその恩人を大事に思う優しくまともな世界であって欲しいと思う。
初美花が子供の頃からの夢をもう一度歩もうと思ったら、9話に登場した世界的宝飾デザイナーがサポートを申し出る可能性もある。
透真が料理人に戻ろうと思えば、ジュレ時代の料理の評判と知名度でむしろ人気店になるかもしれない。助けられた人の中からスポンサーに名乗りを上げる人だって期待出来るんじゃないかな。父親が許せば彩と結婚して夫婦で店を経営も出来ると思う。
魁利がどんな道を選ぶかだけはわからないけど。ルパン家の元で快盗に戻る可能性もあるんだろうか?
魁利はともかく、透真と初美花が自分達が本来歩むはずだった道に戻るのはそんなに難しい事には思えない。
もし仮に、彼等が快盗という道を選んでしてきた事の報いとして、もうまともな社会復帰は許されないんだという見せ方なんだとしたら、それはちょっと罪と罰と情状酌量のバランスが悪すぎるし、そこにもこの作品がVSに拘り過ぎた為に敢えてそうしている、という不自然さを感じずにいられないと思うだろな。
だから透真と彩にはちゃんと結婚して欲しいし、初美花には再び服飾の夢に向かって欲しい。
VSが永遠に続いていつか快盗やノエルがすり減ってしまうようにしか思えない未来よりそっちを見たいし考えたいよ。
そのための条件であるノエルの願いの決着は、スピンオフで何とか描いて欲しいと何度でも願う。