キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ルパパト: ダブルレッドの足の下 ~ノエルが人間ではないことの意味~(長文)

最初の兆候は、テレビマガジンのムック「VSコレクション」を見ている時だった。各話解説のページを読み進めていたら終盤に行くにつれ

 

ノエルが~優先しすぎたせいか

ノエルが焦ったせいで

ノエルは逃亡してしまう

ノエルが連れ去られ

ノエルを刻むと脅され

 

という記載の連続に、ムック本でもこんなに連発されるほど一人でピンチ&トラブルメイクさせられてたのか・・・と改めて突き付けられた気がして、頭がか~っとなった。

  もともと終盤

「あれ?なんかここんとこノエルさん謝ってばっか?お礼言ってばっか?なんでそんなにノエルさんばかりが悪いことになってるんだっけ?何かしてもらってるばかりって事になってるんだっけ?」

って戸惑い、その事にだんだん疲れながら見てはいたけど、それでも出来るだけ良いように受け取ろうとしていた。いくらなんでも最終回までには、これまで彼が信じて突き進んで来た事が報われるだろうと思っていたから。

そしたらまさかのあのノエルの願いぶん投げっぷり。

唖然としたけど、その時になまじ気持ちを抑えようとしてたもんでその分、時間が経って今頃ダメダメになってる感じ。

まるで花粉症みたい。最終回直後はまだ大丈夫だったものが、その後に見聞きし考えた 「ノエルのせい」の体内蓄積量が限界値を突破しアレルギーを発症した、的な(笑)。

なんか四六時中、その事が頭を離れなくなってネガティブな感情がちょくちょく襲ってきて頭がかっかしたり気持ちが不安定になったり(汗)。いや参った。

 

■「ノエルのせい」の構成要素

こうなると我ながらどうしようもないので、どうせならがっつり向き合いアレルギーを構成する成分分析をする事にした。いい年して何やってんだ私(汗)。

ノエルのせい、ノエルが悪いとされる、または見られやすい形になっているのはざっくりこんな感じだろうか。

 

ビークル不平等はノエルの快盗贔屓のせい

②デストラにビークルを奪われたのはノエルが焦ったせい

③人間じゃないのを黙ってたのはノエルが悪い

④快盗の正体がバレたのはノエルを盾にされたせい

⑤快盗の正体を知らないまま警察と仲良くさせて傷付けたのはノエルが悪い

⑥Gロッソ5弾:敵に操られて両戦隊を攻撃、真っ先に凍らされた

 

挙げてみると改めて多いなと思う。私はそこそこ戦隊を見てるけど、テコ入れというイレギュラーな事態による①やGロッソの⑥を除いても、こんなに一人だけにしかも終盤でピンチ&トラブルメーカーの損な役割が集中した戦士ってあまり記憶にない。これじゃ「ノエルやらかしまくり」と言われてしまうのも無理はないのかなと思ってしまった。

 

①と⑤については

 

ルパパト: ノエルは警察のために何をしたのか

 https://kiuix.hatenablog.com/entry/2019/04/06/162842

 

でも書いた。

 ①はテコ入れによって、ノエルはエンジニアとしてビークルを警察に渡せなくなっただけでなく、警察がビークルを入手するのを2度も邪魔しようとする役回りを演じ、「快盗の利益を優先しすぎたんじゃないのか?」「コレクションを集めるのは絶対だからね」と台詞で快盗贔屓を補強され、共闘を望むのにそれとのジレンマや苦悩を一切口にする事を許されなかった結果、人によっては「装備の不平等はノエルの快盗贔屓のせい」等と見られ激しい批判を浴びた事。

 

⑤は仲良くさせる事で警察は快盗からしばしばピンチを助けられ、正体が分かった直後は辛くともその後の相互理解と協力がスムーズだったのに、そのあたりのノエルに対する好意的なフォローを敢えて抑えている節があり、こちらも浅はかだと激しい批判が少なからず見られた事。

 

■人外設定がピンチ&トラブルを呼びまくる

それ以外の②③④⑥については共通点がある。いずれもノエルが人間ではない事が大きく関わっている事なんだ。

 

②は、ゴーシュに双眼鏡のコレクションで体を見られた=人間ではないと知られた事で狼狽え、攻撃を焦ってサイレンストライカーを奪われ、それに動揺した魁利もビクトリーストライカーを奪われて、この二つを入手したデストラに大苦戦する事になるという展開。

 

③ではノエルが人間ではない事をゴーシュから告げられて、快盗達が疑心暗鬼になりノエルに銃口を向け、ノエルが正体を明かし謝るがその時は受け入れられず居たたまれなくなって去る(後にコグレのフォローで和解)という展開。

 

④はゴーシュに完敗し、パトレン3人と街を守るため、自分が人間ではない希少種であることをアピールして自分を差しだしたところ公開処刑となり、助けに駆け付けた魁利達がノエルを盾にされて正体を全世界に晒してしまうという展開。

 

⑥は敵に捕らえれコレクションの力で、「人間が憎い。幼い自分に手を差しのべてくれる人間はいなかった」と人間に対して持っていた小さな憎しみを増幅され操られて仲間である両戦隊を攻撃するという展開だった。

 

■一番大事な時には参加できない

あとノエルの人外設定にはもう一つ使われ方があるように見える。

それは普段は対立する両戦隊が苦闘し力を合わせて局面を打開するクライマックスには、参加しないでギリギリまで見ているだけにとどめる理由づけ。

 

②はノエルが焦ったせいでコレクションを奪われ大ピンチになった。ヒーロー番組の常道ならその後に人一倍あがいて挽回して見せるところだと思う。

ところがコグレの叱責を受けて「無用の混乱を避けるため」前線に出るのを禁じられてしまう。

苦闘する両戦隊の絶体絶命の局面を打開するのはダブルレッド、ノエルはそのピークが終わった瞬間どさくさの火事場泥棒的に飛び込んでビークルを奪取し、遅れた事を詫びた。

25話のライモン戦と似ているけど違う。ライモン戦ではその前に体を張って金庫の暗証番号を読み取り、攻略につなげての負傷離脱だから面目は保っていた。

 

④では磔状態で、自分を助けるために苦闘する警察や全世界に正体をさらす怪盗を見ているしかなかったけど、その理由づけとして、人間ではないノエルを切り刻みたいというゴーシュの執着が使われた。

救出され開放された後も横ならびで必殺技を出し巨大戦ノルマをこなしていただけだ。マイナス面を払拭できるような活躍にはほど遠い。

 

⑥も操られたノエルを元に戻すため、またしてもダブルレッドが以心伝心で協力し局面を打開する。しかもノエルが操られてしまったコレクションの力に圭一郎は打ち勝つというかませ役扱いで、やはりそれを挽回するような活躍はさせて貰えていない。

 

 ■説得力や掘り下げ、フォローの不足

②から③の流れで、「ノエルが人間でないってどういうこと?」とワクワクしたけれど、蓋を開けてみれば、千年も前に異世界から逃げてきて今はもう外見的には人間と見分けが付かない種族、というだけ。人間とは別の姿を持っている訳でも何かハンディやリスクがある訳でもなく、差別迫害された過去があるかどうかもわからず、正直肩透かしだった。

直後に確かに人間離れした凄まじいパルクールが披露されて見応えはあったけれど、ノエルは開始当初からアクロバットを何度も見せているので、特に隠していた能力というわけでもない。

外見が人間と変わらなくても例えば魔法使いのように、改造前のコレクションを使ってしまいそれを見て快盗が警戒するとか、そういう場面もあった方が物語としてはまだ説得力があったのではと思うし、むしろコレクションを生み出し使っていた種族の末裔なのだからそういう描写が事前に必要だったのではと思うけど、最後までなかった。

 

快盗達はノエルに警戒と怒りを向けたけど、それは人間ではない事に怒ったのか、それとも隠していたことに怒ったのかその両方なのか中途半端だったと思う。そもそも不思議な力を持つコレクションを所蔵しているルパン家の者を普通の人間だと思ったのか?とかイマイチピンと来なかった。早めに打ち明けられていればすんなり受け入れてたのでは?とも思わせる余地もあったし。

なお劇中ではそんな快盗達の態度が正しいという扱いなんだろうな。謝るのはノエルだけ。快盗達のノエルへの態度が悪かったとしても、ピンチに格好良く助けに入り、ラストで誓いの仲間に加える事でチャラだし。初美花が謝ったけどそれは「全部聞いちゃった」からで、そんな事で謝れるなんて良い子だよねって見せ方。

 

人外設定はつかさの「なぜノエルは自分でビークルを使わないのか」という答えになったけれどそれは物語上何の意味もなかった。

「自分が使えなくなっても人間のために大事なコレクションを改造し提供した」とか、つかさが「言葉で」皆にアピールするような好意的なフォローもない。というか国際警察に人外と知られても物語としての影響は何一つなかった。

そう、国際警察の皆はそんな事で差別はしない。結局隠してたノエルが馬鹿みたい。

けど、そのせいでデストラ戦であれだけの大ピンチを招いたのかってなると、馬鹿みたいでは済まされないのかも。

 

これ、穿った見方バリバリで言わせて貰えれば、ノエルの人外設定は、たぶんあくまでVSという主題を凌駕するような共感や同情を生まない程度のものでなければダメ。

「これじゃノエルが隠すのも仕方ないよね」

と思うようなリアクションを初期メンバーにさせるのも好感度を考えればNG。

その結果「この程度なら別に気にしなくても隠さなくても良かったのに、変に気にし過ぎて隠す事で事態を悪化させただけ」っていう見え方になっちゃったのかもしれないなと思う。

 

ノエル役の俳優さんはキャラクターブックによれば38話時点で人外設定を伝えられてない。

シンケンジャーは44話で真の当主が登場するけど殿の役者さんは38話で影武者設定を伝えられていた。それを思うと、ノエルの人外設定はかなりの後付けではと思う。事前の伏線めいた掘り下げも描写の積み重ねも一切ないしね。

これらをまとめると、結局人外設定って、他のメンバーに極力落ち度のない形で都合良くピンチやトラブルを造り出し、必要に応じてノエルを戦線から離脱させるため「だけ」に急遽付加されたのではと思えてしまう。

 

 人間でないことに悩む追加戦士というと、私はボウケンシルバー高丘映士を思い出す。人間ではない事の弊害や葛藤、苦悩に丸々2話使った。

そこまでいかなくても、こんなにもピンチ&トラブルメイクに使いまわし、失態を挽回するための戦闘参加すら自粛させるほどの要因にするなら、もっと説得力あるようきちんと描いてほしかった。

主題はVSであり主人公はダブルレッドであり、その優先順位からはずれた者の掘り下げに割く尺はないというなら、そもそも人外設定にしない作劇でピンチやトラブルを作り出し、ノエル1人に集約した損な役回りも他メンバーにも割り振ってほしかったとさえ思ってしまう。

難しい事だろうし、どちらにも属して1人で両戦隊を巻きこめる立ち位置だから使いやすいんだろうなとは思うけど。

 

■ダブルレッドの足の下 

「ダブルレッドが出来るまで」という早くも重版になった書籍、評判も凄く良いし興味もあるけど私はまだ買う勇気がない。 

ダブルレッドの感動的な展開を思い起こすと、

 

・30話スプラッシュはノエルの快盗贔屓による情報漏洩が発端

・42話デストラ決戦はノエルの失態と戦闘不参加がベース

・49話はノエルを救うために正体を明かしたことで指名手配されての切ないやりとり

・Gロッソもノエルを救う為に以心伝心プレーでピンチを打開した

 

と、何だかどれもノエルのマイナスポイントをもとにお膳立てされているみたいで、二人の足の下にノエルがいるように思えてしまい、辛くならずに読める自信がないんだよね。

 

キャラクターブックのスタッフさんインタビューで、「ノエルは想定以上のキーパーソンになりました」と格好良く言われても実際はこんな使われ方だと思うと悲しい。

「他の6人にはない複雑な魅力」と言われ「深みのあるキャラクター」と言われても、他の6人だってみんな複雑で深みがあったと思う。なんでノエルだけインタビューでわざわざそんな言い方するの?

むしろノエルは盛られ過ぎた設定に掘り下げが全然追いつかなくて、ノエルファン有志が推理・推測と脳内補完で行間を埋めていたと思う。未だ明かされていない「警察にビークルを送ったのは本当にミステイクか」なんてその筆頭。

 

■エピソードノエルのスピンオフを切望

ここまで批判ばかり書いたけれど、私はただルパパトを貶めたいわけじゃない。

終盤のピンチ&トラブルメイクの原因という損な役回りをこれほどノエル一人に集約して出来た物語が感動を与え評価され、ギャラクシー賞も受賞したというのなら、そしてVS本編にはノエルの盛り沢山な設定を十分掘り下げる尺もなくバランス的にも無理だったと言うなら、今度はスピンオフという形でノエルにも還元してほしいと思っているんだ。

 

今からでももっと多くの人にノエルはちゃんと警察官だと思って貰える描き方をしてほしい。特になんで最後まで隠したか分からない、ビークルが日本支部に送られた真実。

パトレンとの関係もきちんと描いて欲しい。咲也との最後の絡みが胸倉掴まれた場面のままなんて嫌だ。

それにノエルの願いの結末。

 私はノエルの願いが叶わないまま宙ぶらりんであり続けるのも辛いけど、快盗に救われ感謝する人やその家族の多さを思えばそんなに難しくもないだろう魁利達の社会復帰が、ノエルの願いの為に阻まれている形に見えてしまうのも辛い。このまま何年もましてや10yearsなんて考えただけでもキツい。

というか、なんかもうこれ以上何かをノエルのせいにされてると思うのが、個人的に限界なんだと思う。

 

ノエルは両戦隊の為に頑張ったんだから、それぐらいして貰っても良いんだとも思えない。そう安心して思えるほど本編ではノエルの活躍や功績にスポットが当たっていないから。以前も書いたけれど極力そこから目を逸らされるよう配慮されていて、対してマイナス面は今回書いたようにがっつりアピールされていたというのが私の見方。

見ていないFLTはともかく<本編>では、両戦隊に属し両戦隊を結びつけようと「一番茨の道を歩いていた」事を、最後まで誰からも「言葉で」正しかったと言われず認められも感謝も労いもされず、逆に最初は怪しまれ疑われ、最後は責められ胸倉を掴まれて終わっただけ。

VSを1年続行させたいスタッフにとっては、共闘を望むノエルは正しいと思われてはならない「障害」だったの?と勘繰りたくなるほどだよ。

最後に武器交換の発端を作ったのはノエルだったけど、例によって極力スポットを当てず、感動的なビークル交換の時は出て来ないよう後ろに転がったままだった。

 

それが本編でのノエルの見せ方でありVSのためバランスのためそうするしかなかったというならノエルのスピンオフで埋め合わせをして欲しいし、もうノエルの願いについては早く決着を付けて、それでもVSを続けたいなら別の「ノエルのせい」じゃない理由でお願いしたいと切に思う。

VSってここまで誰か一人にしわ寄せしないと維持続行出来ないものじゃないのでは?って思っちゃうんだよね。

 

終了後に予算とスタッフや俳優のスケジュール押さえて、媒体も決めてって大変だと思うけど、ノエルに背負わせた死者蘇生の願いよりは実現可能だと思うの(無茶ぶり)。

実際ライダーはTTFCやビデオパスでやってるんだし。

円盤の売上が2月時点で海賊の背中捕らえて後は侍のみで、FLTの動員記録も塗り替える勢いで、ギャラクシー賞月間賞を受賞したルパパトが、終了後にスピンオフ作れなかったら、今度はそれが後進の妨げになってしまうんじゃ?って 思ったりもするからスタッフさんは使命だと思って何とか作って欲しいな。

ノエルの描かれていない物語は本筋にも関わる部分も多いし俳優さんだってアクションだけでもお金取れる人だと思うし。

というか、スタッフさんはひょっとして後日スピンオフを作る事を見越して、本編はここまでノエルにこんな役回りをさせたんじゃ?と頭のどこかで思いたかったりもしてる。