キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ゼンカイジャー1話感想: 敵は種族ではなく階級格差?

ジュウオウジャーの内容に触れています。

 

35作記念のゴーカイジャーは34戦隊と地続きの世界観だったけど、45作記念の今作はたくさんの並行世界があって、その中に44戦隊の世界もそれぞれ存在しているという設定。そんで突然それらの世界が次々とトジルギアという小さな歯車の中に封印された。

最後に残った世界がこの物語の舞台。ある日他の世界と同様に閉じ込められようとした時、突然キカイノイドたちが出現して、それが原因なのかはわからないけど封印は不発に終わる。

それから1ヶ月後、キカイノイドたちはすっかり人間世界に解け込んでわりと仲良くやっていた。

と、わりとさらっと、物凄く大胆な異種族間交流が超短期間で行われているぶっとんだ世界観(笑)。

どうしてもジュウオウジャーの最終回を思い出す。あのラストのその後の世界はこんな感じなのかも。

 

世界を閉じ込めてきたのはキカイトピア王朝トジデント。

ボスはボッコワウス。中田譲治さんが声を担当している。戦隊では香村さんの好きなライブマン以来の敵ボスかな。ゴーカイジャーライブマン回のザイエン→ジュウオウジャーのアザルド→今作と、香村脚本と縁が強いようで嬉しい。

大きくて怖いボスなんだろうけど、床にドスンと一撃食らわすとその衝撃で幹部2人がピョコンとしたり、喋るトリ型ロボットのゲゲにだけメロメロな口調になる。今回はボスからしてこういう緩くてコミカルな敵で行きますよってわかりやすく見せてくれてる感じ。香村戦隊だとジニス様やドグラニオ様の大物感は、うん、ないな。あの2人は基本的に鷹揚に構えていて滅多なことでは声を荒げなかったし。

 

1ヶ月前に封印が失敗したのは、キカイトピアの一部となぜか融合してしまったかららしい。けど、原因は不明。

その話に食いついた青い掃除担当ロボはOPにいたブルーン。彼は他4人と違って人間界に飛ばされたわけじゃなく、こんなにも敵ボスの近くで働いているのか、とちょっと驚いた。

中澤監督のせいか眼鏡ブルーのせいか、OPでコケてる姿にトッキュウジャーのトカッチの匂いを感じてワクワクする。ここからどうやって仲間になるのか、かなり楽しみ。早くこっちの世界においで。

 

封印失敗から1ヶ月も何やってたんだよと苛立つボスにゲゲが、だったらこの世界だけは封印ではなく普通に武力で侵略しちゃえよと提案。ねっとりした喋り方が曲者っぽくていい感じ。

そんで、44戦隊の世界が封印されたのに新戦隊の世界だけがそれを免れて、これからも免れ続けるであろう理由が

・イレギュラー要素により他の戦隊が為す術なかった封印が使えないから

・先輩戦隊も退けてきた通常の侵略に切り替えたから

なんだと早々にここで示すことで、先輩戦隊の格を落とさないよう慎重に配慮してるのかな、と思った。

 

主人公は五色田介人という若者。祖母と2人で妙に間口の広いメルヘンチックな駄菓子屋をやってる。でも見た感じお店の経営に興味はなく任せきりで、給料だけ貰ってそうな感じかな。

スカイツリーでのバンジージャンプは普通禁止だろうとは思い至らない。これまで比較的知能指数が高く空気も読めて察しの良いタイプが続いた香村戦隊の主人公としては、かなり別種で危険な匂いがする(笑)。

世界初とか誰もやった事がないという言葉の前には一般常識とか軽く吹っ飛びそうな、というか下手するとそもそも備わってもいないかもしれない(汗)。たぶんやらない理由を探さない人。

一方でキカイノイドを初めて見た時、両親が発見した並行世界の人たちかと喜んで警戒感ゼロで仲良くしようとしてたのを見ると、既成の考え方に囚われない分だけ差別の心もなさそう。

店から持ち出した綿菓子とキカイノイドが作ったキカイタコ焼きを交換し異文化交流に勤しむ彼は、この1ヶ月ずっとこんな感じでキカイノイドを見れば積極的に交流しようとしてきたのかな?と思う。反面、人間の深く付き合う友達がいるのかは若干気になる。

 

キカイタコ焼きがあまり人間のタコ焼きと変わらないように見える。その気ならいくらでも、それこそ食べ物に見えない形にも見せられたと思うけど、敢えて「キカイノイドは姿はあんなだけど食べる物は人間とあまり変わらない」って見せ方だろうか?

介人が食べようとした瞬間に爆発で吹っ飛ぶのはゴーカイジャー1話のカレー屋のシーンを思い出した。和やかな日常が一変する中澤監督のこういう緩急、大好き。

 

爆発は、トジデントがこの世界を侵略するために送り込んだキカイノイドの軍隊の仕業。人間も、それから人間と馴染んでる同種族のキカイノイドも攻撃し始めた。

河原で人間のバーベキューにノリノリで加わっていた庶民キカイノイドのジュランの所にも、兵隊たちはやって来て無差別攻撃を始める。戸惑いと怒りで混乱し反撃しようとするジュランは、さっきまで仲良くしていた人間たちから一転、恐怖の目を向けられて大ショック。

先に来て現地人と仲良くしてたら、後から来た自分と同種族の奴等が侵略始めるって、現地人から「騙しやがって」って思われてもおかしくないから、これは辛いよなあ。

ただし同じキカイノイドでも、侵略してきたのは所謂「お偉いさん」な支配階級で、ジュランのような庶民キカイノイドは人間と一緒にスクラップにしても良いと言う。ブルーンも幹部から虫けら扱いされていたし、この作品はキカイノイドの階級間格差をかなり強調してるな。

これまでの戦隊は異種族が侵略してくる形が多かったけど、ゼンカイジャーは異種族間の敵対ではなく、キカイノイドの階級間にある隔たりが敵味方を分けてる。

上流階級は今の所はっきりとした悪で敵

庶民は人間と仲良くしたい善で味方

この作品での戦いはキカイノイドの階級間格差をぶっ壊す革命的な面もあるのかな。

 

ジュランがゴミ捨て場に吹っ飛ばされた頃、介人も軍隊を率いてきた幹部の1人バラシタラに軽く吹っ飛ばされてゴミ捨て場に、と軽くシンクロしてみせる2人。

その後一旦店に戻った介人は祖母と共に入り口にバリケードを作って立てこもりながら、子供の頃に鳥型人工ペット?のセッちゃんを作ってくれた時の両親の言葉を思い出す。

両親は並行世界を研究してた有名な科学者で、現在は所在不明ってことかな。

「爆発」を繰り返しながらもセッちゃんを完成させたこの夫妻のモットーが、「本気でやりたい事はな、結果を出すまで全力全開!」「失敗も挽回、何回もトライ!」

えーと・・・何度危険な失敗を繰り返しても形になるまで全力で突っ走るべし。安全面を考慮し諦めなくていい。介人はそういう価値観の家庭環境で天真爛漫に育っちゃったわけね(汗)。危険何それおいしいの?ってタイプかも。

介人は自分が世界を守ると決意し、方法はわかんないものの「結果出すまで全力全開だ!」と叫ぶ。と、いきなりセッちゃんが意思を持って騒々しく喋り出した。自分の息子が将来、本気で何かをやり遂げようとした時に、というか、後々の展開を見ると侵略されてそれと戦おうと決意した時にそれに反応して起動する仕掛けだったのかな?

 

セッちゃんが介人と祖母を物凄く雑に地下に頭から落下させる(汗)と、そこは両親がいつの間にか作っていた秘密アジト。

ああ、「爆発」って、単なる人工ペットを作るためじゃなく、こんな大掛かりなものを作る過程で起きたのかもな。それってもしかしたら、「失敗」はカモフラージュで本当は手っ取り早く地下にこの「空間」を作るためだったんじゃないか?なんてむくむく湧き上がる疑惑(汗)。

息子(娘?)夫婦がいつの間にこんなものを?と驚く祖母と介人に、セッちゃんは並行世界とスーパー戦隊のことをさらっと説明し、彼等の装備を参考に開発されたというずらりと並んだ銃を見せる(汗)。

たぶんこれ、ルパパトの世界なら普通に逮捕案件だよな。普通に人も殺せるだろうし、なぜに両親は実際に侵略者が来るずっと前にこれを用意していたのか(汗)。・・・うん、きっと侵略者に襲われた世界が44もあったので次は自分たちの世界なのかもと想定して準備していたんだよね?まさか、ただ「格好いいねこれ!」と思って真似して作ったんじゃないよね?

小心者の私の中で、五色田夫妻のヤバい人度がじわじわと積み重なっていくんだけど(笑)。

でも今の介人にとってはまさに渡りに船。即座にこれを使って戦うことを決意し、祖母も平気で引きずり込もうとする。危険何それおいしいの?は自分の祖母にも適用されるのか(怖)。炎をバックに2人が銃を構える「イメージです」は中澤監督らしいお茶目さで笑ったけど。

 

介人は早速街へ出て、ジュランが身を挺して人間の男の子を庇う場面に遭遇し、早速実力を行使して助ける。

それまでさんざん人間たちから怖がられて傷付いても、その人間の子供のピンチは見過ごせない。でも庇った後で怖がられた記憶が蘇り、謝って離れようとするのを介人が屈託なく「ありがとう」と声をかける。それを見て、自分を襲った相手と同種族だけど庇ってくれたこの赤いキカイノイドにどう反応していいのか迷っていたっぽい男の子も安心して「ありがとう」と言う。

ジュウオウジャー6話でラリーさんが助けた女の子からお礼言われるシーンを思い出して泣けた。あれも香村さん+中澤監督。

 

そんで介人は、今回男の子を後押ししたように名前のとおりこれからも人間とキカイノイドを仲立ち「介する人」になってくのかな。そう思った矢先・・・

「ねえ、俺と一緒にトジテンドと戦ってよ」と、銃を渡して笑顔で誘ってきた(汗)。

若者と年配者を差別しない。人間とキカイノイドを差別しない。文字で書くと美徳なようで、でも、何の躊躇いもなく自分と一緒に還暦ばあちゃんを戦わせようとしたり、「あいつらとは違うじゃん」と笑顔でキカイノイドに同じキカイノイドを殺させようとするのを見ると、介人の枠や分け隔てのなさって結構アグレッシブでおっかない部分もあるのかもと思った。どこまで確信犯で書いているのか気になる。

他人の危機を見過ごせないのはちゃんとヒーローで、その一線には安心しているんだけど。

 

異種族との衝突と交流については、ジュウオウジャーのジューマンたちはなまじ人間に擬態出来てそれを前面に出す必要があったために、若干印象が弱まってみっちゃんの成長話に食われた感もあったと個人的には思うけど、今回は人間体がないことでよりストレートに踏み込めるのかもしれないな、なんてちょっと思ったりもする。

ただ、ジュウオウジャーのジューマンは侵略の意図はなかったけど、ジュランたちは常に「同種族の侵略」を突きつけられかねないのが辛い所。侵略者じゃないことの証明のためにも同族同士で戦わなければならないんだとすると、シビアな立ち位置だなと思う。だから「敵は階級格差」っていう構造になってくのかもだけど。

 

介人はジュランに銃の操作方法を教える。敵の軍隊が待ってる前であーじゃねーこーじゃねーとレクチャーしシュールな間をとったり、敵雑魚の口上を銃撃で永久中断させると同時にBGMを止めてパッと空気を変えたり、と中澤監督らしい演出が相変わらず素敵。

変身すると介人は赤ではなく白基調で5色のアクセントに仮面ライダーっぽいマスクなのが、これまでの戦隊主人公と一線を画している。

ジュランは、肩アーマーなどがかなりボリューミーで、これ動き辛くないのかな?と余計な心配をしてしまった。香村さんと中澤監督を重用した宇都宮Pがアクション映えするヒラヒラ以外はスーツに着けたがらなかったのを覚えているから、余計にそう感じるのかも。同じロボットだけど戦う力を持たない庶民キカイノイドからの変化をわかりやすく強そうに見せるためだから仕方ないんだけど。

変身した2人にセッちゃんが無線?でセンタイギアの使い方をナビゲート。介人は40番のジュウオウジャーを使ってイーグルの力で空中から、ジュランは39番のニンニンジャーを使って地上で立ち回り、雑魚戦闘員を一掃する。今回は戦隊の力をこう使いますという見せ方なんだろうけど、今のところCG主体で若干印象が薄いかも。

それよりセッちゃんのテンション高いスーパー戦隊解説を、モニターで戦闘を見守りながら「へー・・・」と口をあけて聞いてる還暦ばあちゃんの、イマイチ興味薄そうなリアクションの方がじわじわきた(笑)。まあ急に次々まくしたてられても頭に入ってこないよな。

 

バラシタラはならばと巨大ロボを召喚。それに対してセッちゃん(ついナビィと書きそうになって困る・汗)のナビゲートでジュランがギアをひっくり返すと、彼がその姿のまま巨大化。

活き活きと動いて戦う姿は中々格好良くて、恐竜の姿に変形して丸めた背中から特攻するのも面白く、これなら今回はロボ売れるかも?とメタな期待をしてしまった(汗)。

介人の方はいつの間にかバラシタラはいなくなっていて、河原でジュランをボコった中隊長ポジションみたいなキカイノイドと戦闘。今回の介人の戦闘はイマイチ印象が薄かったけど、巨大化ジュランと同時にフィニッシュ。初勝利。

すっかり意気投合した2人は駄菓子屋で還暦ばあちゃんから労われ、ばあちゃんが謎の「ヤツデスペシャル」を振る舞うために買い出しに出ようとすると、街行く人々の頭に急にキノコが生えてびっくり!で続く。

 

まだ1話だから仕方ないかもだけど、前作に比べると敵の怪人枠や巨大ロボ枠の印象が少し薄めかな?間違いなくコスト面では厳しい中で工夫をつけるのは大変だと思うけど、前作が邪面という大発明をしているし、香村さんも怪人のキャラ付けは上手な方なので、今作も頑張って欲しい。

でも、香村さん(特に序盤)×中澤監督のコンビは、やっぱり好きだなと思う。テンポと勢いが良くてキャラも掴みやすく、膨大な情報量も上手く整理されていてわかりやすかった。

主人公(とその両親)のヤバさはこの先どう転ぶのかは気になるものの笑いどころも燃えどころも満足で、個人的にはスーパー戦隊要素がなくても面白く見られたかもしれないな、と思うくらいには気に入ったかも。