キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

海賊戦隊ゴーカイジャー: 47話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■デートの誘いかよ

いよいよバスコと雌雄を決する時が来た。レーダーに映らないフリージョーカーに乗った相手をどう捜すか。

電話しては?というアイムの提案が、あまりに緊張感のないお手軽感で吹いた(笑)。バスコも赤き海賊団の一員だったから、モバイレーツは持っているんだよね。試しにかけてみたら本当に出た。いや今までもバスコからはかかってきたことはあるけど、あれだけ敵対してきた相手がホットラインで繋がってるってのも不思議な距離感(笑)。

バスコはふざけた調子で「いつにする?」とか友達が待ち合わせの日時決めてるみたい。

一方マベは、らしくなくたじろいで「明日にするか・・・?」と弱気モード。いざとなると心の準備が出来てなかった感じ。

 

■ロボ戦では勝負にならない

もっともバスコは先んじてガレオンを見つけていて「今から行くよ」と先制攻撃。

更にサリーのお腹からロイド2体を出して挑むも、カンゼンゴーカイオーに敗れてしまう。

大いなる力を気前良く渡しすぎたかと若干後悔してるようだけど、16話時点でも、ロイドを1体ずつ出してる限りはバスコ側に勝ち目はなかった。今は2体がかりでも勝てない。しかもロイドはもう残ってないから、ロボ戦ではバスコに分が悪すぎる。

ではどうするか、と、バスコがサリーに意味深な目を向ける。バスコの酷薄な性格を考えればサリーに対してロクなことを考えていなさそうなのが不穏すぎる。

 

■サリーへの温度差

ロイドを倒した海賊たちは、サリーに向けて銃を連射するバスコを目撃し驚いて、バスコが立ち去り倒れているサリーの元へと向かう。

躊躇なく駆け寄るハカセ・アイム・鎧。警戒心混じりにちょっと遅れるマベ・ジョー・ルカ。

まあマベはここでバスコから裏切られた自分をサリーと重ねて「ガレオンに連れてって、手当てしてやれ」と言うんだけど、せれに対して思わず顔が綻ぶ前者、血相変えるジョールカ、と、やっぱり反応がハッキリ分かれた。

前回も書いたけど、海賊らしい古参組と海賊らしくない新参組がバランスよく半々に分かれて、ハードなアウトロー的格好良さとソフトな正当派ヒーロー的親近感や良識を両立させて、魅力を多重構造にし、補い合ってるのが好き。

そんで今回は更にアウトロー組筆頭のマベが趣旨替えしてみせることで、残されたジョールカの波紋がよりドラマチックに次の場面に続いてる。

 

■マベの傷

展望台でどういうつもりか問いただすジョーにマベは「わっかんね・・・」と自分の気持ちを上手く言語化出来ない。

でも、たとえ今回は罠でありサリーの芝居だとしても、いずれサリーはバスコに裏切られると思うと、昔受けた傷がどうしようもなく疼くんだろう。

この時マベが思い出していたのは、戦いの後で甲斐甲斐しくマベの傷の手当てをしてくれたバスコ。陽気で茶目っ気があり、兄というよりむしろ姉が可愛い弟をからかい半分に構ってるみたいなイチャイチャぶり(男同士にこの言葉使うのあまり好きじゃないんだけど、あまりにもこの表現がぴったりだと思った・汗)。

「自分だって大して強くないくせに」と言われても「まあね」とさらっと流して、実はあんな強さと凶悪な本性を隠しているなんて想像も出来ない。

バスコのそんな姿やしてくれたことは想像以上にマベの心に食い込んでいるんだな、とちょっと驚いた。

しかも「せっかく仲間なんだからさ、自分の出来る事をやればいいじゃないの」って、43話で印象的だったゴーカイジャーのスタンスのルーツが、実はバスコだったなんて(汗)。

マベはいつも船長としての鎧を纏っているけど、レジェンドたちとのやりとり見た感じ、一皮向けば兄貴的な存在に弱い弟気質なんだよな。バスコに「マベちゃん」と可愛がって貰い、凄く慕っていて、だからその分裏切られた傷も相当に深いんだな、と改めて。

サリーを「別に仲間に入れようってわけじゃない」と言いつつも、思いっきり自分と重ねているのを見てとった上で、

「本当か?うちの信じられないお人好しだからな」と言うジョーが良い。そんな手酷い裏切られ方をした男が、(また裏切られるかもしれないのにそれを怖がらず)よくこれだけ仲間を集めたものだと。

裏切られることを想定して誰も信じないバスコとは、正反対だな。

サリーを見捨てられないマベを否定することは、ジョーたちを仲間にしたマベを否定するのと同じなのかもしれない。特に敵対していたサリーに一番近い立場が誰か、と考えると、元ザンギャックのジョーは「好きにしろ」と言わざるを得なかったのかもなあと思う。

 

■サリーの葛藤

ガレオンで、アウトロー組からの微妙な視線と共に良い子組から手厚い看護を受けたサリー。

夜になって目を覚ますと宝箱の元へ。やっぱりバスコの策略で、サリーはガレオンに潜り込み宝箱を持って来るよう指示されていた。

宝箱を掴もうと伸ばした手に巻かれた包帯を見てから始まる葛藤が、台詞もないのに本当に気持ちが伝わってくる。いじらしくて可哀想。スーツアクターおぐらさん、名演だな。

 

■全て計算どおり

サリーは夜中から明け方まで逡巡した挙げ句、宝箱を持ち出してバスコの近くまで戻って来た。でもバスコを目の前にして足が止まってしまう。

そんで何だかんだお見通しだった海賊たちがサリーの後を付けていた。当然宝箱は空。

サリーの傷は手当てしなければ死んでしまうほど酷いものだった。海賊たちはそれを責め、マベはサリーに歩み寄って、本当にそんなバスコの仲間で良いのか問いかける。

バスコと海賊双方からの綱引きの板挟みになって、つぶらな瞳を泳がせるサリーが本当に痛々しい。

とうとうマベを選んだサリーに、でもバスコは狼狽えるどころか高笑い。作戦を仕込む時に「御守り」だとサリーの首にかけていた爆弾のスイッチを押した。

 

罠だと見抜かれて海賊たちが追ってくるのも、サリーが自分を見限ってマベ側につくのも、全部バスコの計算のうちだった。

そもそも海賊が手当てしなければ死ぬ怪我を負わせたのも、迷うサリーに怖い顔を見せて苛立って見せたのも、海賊たちの前でサリーを自分の道具扱いして見せたのも全部わざと。

それを見て海賊たちが怒りサリーに同情して自分から引き離そうとし、最終的にサリーの気持ちを自分から海賊たちの方に移らせるための計算だったわけだ(汗)。

バスコはロボ戦に持ち込まれたら勝ち目がない代わりに等身大戦は有利。ただし宇宙最大の宝を得るために必要なガレオンや宝箱、ナビィを無傷で手に入れるために、海賊を船から誘い出したかった。そんでサリーが海賊に付いたタイミングで爆破し、敵に回すと厄介なサリーを始末し海賊の戦力もそいで勝ちを確実にする、という作戦。

結果は憎たらしいくらい上々(汗)。海賊の中で一番強いマベは、爆発に巻き込まれて倒れたまま動かず戦闘不能状態。

 

そんでサリーは・・・(泣)。直接は映さなくても「こんな・・・」と絶句するアイムの目の動きが、いかにサリーがバラバラに四散したかを物語っている。かなり残酷でショッキングで、直前までの葛藤する様を思うと哀れで仕方ない(涙)。

 

ジョーたち4人は怒りに燃えて変身し立ち向かうも、バスコに完全に叩きのめされて意識を失ってしまう。

バスコは海賊からレンジャーキーを奪い取り、そのままガレオンに乗り込んでナビィを踏みつけ制圧し、全てを手に入れて高笑い。

もうね、狡猾、冷徹、冷酷、邪悪、凶悪、どんな言葉でこの男の所業を評したらいいんだろう(汗)。

 

■細川さん受難

この回のバスコのゾッとするような悪どさは当時、大人の私が見てもかなりの衝撃だったけど、小さな子供たちには与えたショックは、演じた細川さんによるともう「トラウマもん」だったみたい。

よりによってこの回が放送された午後に実施された写真集イベントでは、子供が泣いて暴れて大変だったとか(汗)。イベントに来るくらいだからバスコも好きだったけどサリーもセットで好きだったろうに、そのサリーを爆破しちゃったもんだから完全に恐怖の目線で見ていたとのこと。

細川さんには受難でもあったけれど、それだけ恐れられ憎まれる悪役としてきっちり、演じられた故で、本当に敵としてはお見事と言うしかなく、素晴らしかった。

 

■大事だからこそ?

一方でバスコは39話ではサリーのピンチに動揺し、身を挺して庇う様子を見せていた。まだ利用価値があるから失いたくなかっただけかもしれない。

だけどこの時の記憶があるので、本当はサリーを大事に思いながらも大事だからこそ「宇宙最大の宝」の対価として捨てなければ、という呪縛に囚われていたのでは?などと想像させる余地があって、背景はわからないなりに一筋縄でいかない魅力にもなったと思う。

 

※48話の記事は来週更新予定です。