キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

海賊戦隊ゴーカイジャー: 34話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■個人的にイマイチ

この回を好きな人には申し訳ないけど、最初に言っちゃうと個人的には珍しくイマイチの回。

具体的にどこが、っていうのは後述するけど、せっかく私のお気に入りのルカメイン、しかも大事な過去回なのにな、と、残念というか勿体ない気持ちがある。

ただ、逆に言うと30話過ぎてこのレベルが残念な回、と思ってしまうことが異常かもで、それだけゴーカイジャーの各回の満足度が高すぎるってことなのかなとも思う。

 

■ルカの夢

ザンギャックに親を奪われた子供たちが幸せに暮らせる世界を作る。そのために星を丸ごと買い取り、そこを笑顔で一杯にする。

それが当初のルカの夢で、叶えるためにザンギャック相手に盗賊行為を繰り返し、お金を貯めていた。その最中にマベとジョーと鉢合わせてスカウトされたのが加入の経緯。

マベから宇宙最大の宝の話を聞いて実在すると信じた時に、ルカの夢は、宇宙ごと買い取ってやるという途方もなく大きなものになった。

 

ルカの過去は6話時点でチラ見せされてる。ザンギャックの襲撃による瓦礫の中で、ボロボロの格好で親のない小さな子供たちの面倒を見ていた。

皆に充分食べさせてあげられない自分の無力さを涙を浮かべて詫びていたルカの夢はきっと、そんな子供たちの現状を変えて幸せな居場所を作りたい、みたいな感じなんだろうなというのはあの時点でも感じられたので、まあ想定内かなって感じ。

守銭奴だけど、それは不幸な子供たちを守り幸せにしたいっていう広い母性愛から来ていて、お金はそれを叶えるための物凄く大事なツール。

そんな価値観について、スーパー戦隊を見渡して一番近いなと思ったのはタイムレンジャーの敵ボスのドルネロさんだった(笑)。そのことに思い当たってからは、ドルネロさんの人間体を思い浮かべる時に、うっかり1/2くらいの確率でルカの顔が浮かぶくらいには私の中でシンクロしてしまっている(汗)。

 

ルカが宇宙最大の宝の存在をマベの言葉だけでわりとあっさり信じてしまったのはちょっと物足りなかった。

でも、星を買い取ったところでファミーユ星みたいに星ごと滅ぼせるザンギャックがいる限り、安心安全は保証されない。

だからもし本気でその夢をしっかり叶えようと思えば、ザンギャックに対抗出来るくらいスケールの大きな何かが必要だという考えが彼女の中に薄々あったとすれば、「宇宙最大の宝」が足りなかったピースとして心にヒットしたとしてもおかしくはないかな、とは思う。

というか、「実在してほしい」という切実さはもしかしたら海賊たちの中でもルカが一番強いかもしれない。

 

■霧彦さんもといカイン

ルカと一緒に瓦礫の中で子供たちの面倒を見ていた幼なじみの青年。

ルカの夢の手助けをするため頑張って何でもやり、今や資産8000億ザキンの宇宙実業家に成り上がった。

1ザキン=360円ってはるか昔のドル円みたいだけど、つまり日本円で288兆円(汗)。2020年度の日本の国家予算が約100兆円だから、それの3倍弱という、まさに宇宙スケールの途方もない大富豪。

おまけに甘いマスクに柔らかな声とスマートな話し方で、ルカに「迎えに来たよ」。

後述するけど、ルカに気があるハカセが内心穏やかでなくなるのも無理はないか。

「何でも」って強調したのを見ると、殺人もやってそうだなあと思わせるのが、その部分の掘り下げは無かったけど若干不穏。あの世界の宇宙基準だと、宇宙警察の影響力も限定的で、命の価値がゴミ屑みたいな地域もあちこちにあったりしそうだしなあ。

演じる君沢ユウキさんは、ゴーカイジャーの2年前に仮面ライダーWで霧彦さんを好演していて、ニチアサ民にはお馴染みだった。私も予告で見た時にテンション上がって、余計にこの回に期待し過ぎた部分もあったかな、とは思う。

 

■海賊をターゲットに

カインがルカと接触したのはザンギャック、それも殿下が積極的に絡んだ罠だということが早々に明かされる。

海賊に地球侵略作戦を尽く邪魔され、前回はそのストレスで食欲すら無くした殿下がいよいよ、たぶん初めて自ら地球侵略ではなく最初から海賊をターゲットにした作戦を打ち出してきた。

札束を手にとって僅か1枚抜き取られたことを厚みの違いで察知するセコさは、金に糸目を付ける機会などない箱入り息子だと思っていたからむしろ意外(笑)。

でもやっぱり最後は失敗に終わり、インサーンの「いつもの参ります」はもはや、行動隊長が敗れての巨大化がルーティン化していることへの開き直りが感じられて、こちらは相変わらずコミカルで楽しい。

 

ハカセのヤキモチ

ガレオンに1人で帰ってきてからのハカセが、明らかにイライラしていて心配そう。仲間たちのルカとカインの関係を詮索したり玉の輿の可能性を示唆したりする台詞に、いちいち動揺したり慌てて否定したりしている。

そういう目で見返すと、以前からちょこちょこそれを匂わす場面はあって、特に19話では鎧をチヤホヤする仲間たちの中でも特にルカの言葉がトリガーになってショックを受けているように受け取れなくもなかった。

これ、荒川さん的には確信犯で、こういうのを少しずつまぶしていけば後戻り出来なくなって既成事実化するかも、という狙いがあったとのことで、さすが誕生日がホワイトデーの荒川さん(笑)。

で、以心伝心な妹弟子の香村さんがそんな兄弟子の思惑を受け止めて書いたのが、ルカがハカセの格好いい所を認める27話だったんでは?なんて邪推してみたり。

 

■ルカ贔屓の不満

冒頭でルカと接触したカインは偽物だった。

今回の敵、ヴァンナインは頭と頭を接触させると、その相手とそっくりに擬態出来る。

この能力を使って、最初はカインに化けてルカを誘き出し捕らえ、次にルカに化けてガレオンに潜り込み爆弾を仕掛けて船ごと海賊どもを吹っ飛ばす、という作戦。

でも、ルカ贔屓の私の目から見ると、いくら幼なじみの姿に騙されたからと言って、あまりにも簡単に罠にかかりすぎだろ?と思ってしまって。

いつもは抜け目がなく強かで機転の利くキャラなだけに、特にヴァンナインが、意識を失っている本物のカインを見せて正体をバラした後に、逃げたり戦闘体制に入る間もなくあんなにあっさり当て身を食らったりするかな?と違和感、というか、ちょっとがっかり。

また偽物ルカの方も、あんなにすんなりガレオンの場所を突き止めてあっさり潜り込めるの?とか、ブロッコリーの好き嫌いでソッコー怪しまれてしまうのも、なんだか他愛なく脇が甘い感じで、こんな奴に簡単に捕まるほどルカってチョロかったっけ?とか思ってしまって、正直なところ、微妙。

夢に関するドラマも個人的にあまり目新しさは感じなかったし、捕らえられた分の挽回や活躍も個人的に物足りなくて、戦隊シリーズ横並びで見れば贅沢な不満かもしれないけど、この後に来る分も含めた他の海賊メンバーの過去回が充実しているので、若干割食ってるなと思ってしまう(汗)。

 

■偽物回要素は後付け?

今回は荒川さんの中では当初、「どこまで昔のルカを悲惨に出来るか」がテーマだったとのこと。

またカインについても最初はもっとシビアな設定で、「ザンギャックに与するものとしてルカの前に現れて、最終的には死んでしまうはずだった」みたい。

「お金に目が眩んだカインと目が眩んでないルカの対比で描きたかった」けれど、「そっちに深みを持たせてどうすんだ?」と却下になったと。

ここは宇都宮Pのバランス感覚とのすり合わせでマイルドになったのかな。

 

ただ、もし当初のストーリーのままだったら、カイン自身が悪事を働く展開になって偽物を出す必要は無かったのでは?とも思う。

もしかしたらカインというキャラクターをどう扱うかの変遷の中で、シビア要素を緩和し悪人にするのはやめ、カイン本人ではなく彼の姿をした偽物が悪事を働く形になったのかな?

でもその結果、戦隊恒例でもある偽物回の要素が大きく追加されることになり、擬態能力を活かす分だけルカの過去回要素が薄まり、だけど偽物回としても個人的にはイマイチ練り込みが足りない感じになっちゃったったんじゃないかな?なんて思ったりしてしまう(汗)。

 

戦闘面では、2人のシルバーを多段変身で本物特定とか、ロボ戦でビルに擬態した敵を熱サーチで見破るとかは面白かったんで、この回でイマイチと感じてしまうのは、他の回のハイレベルに慣れ過ぎてるのかもだけど。

 

■黒荒川さん不発?

結局カインは、「いい仲間との出会いが今の君の笑顔を生んだんだなって。悔しいけど今の笑顔は買えないね、どれだけお金があっても」と身を引いて地球を去って行く。

当初死ぬ予定だったことを思うと、ずいぶんマイルドで無難な着地。

せっかくの霧彦さんが、ちょっと偽物がお金を見せびらかしただけで本物はずっと捕まってただけってのもなんか勿体ないかなとは正直思う。最後の宇宙船以外にも大富豪要素をもっと見たかった気持ちもあるし。

また、もし偽物要素がなく、当初の予定どおりカイン本人がザンギャックに与した展開だったら、もっとルカ本人のドラマががっつり見られたんだろうか?なんて考えたりもする。

まあでもだからといって、そっちの方が見たかったか、というとそれも微妙だから難しいな。

荒川さんの「どこまで悲惨に出来るか」っていう言葉でジュウオウジャー14話を思い出したんだけど、荒川さんはたまにヒロインアイドル化方面の暴走とは別に、ああいうシリアスで救いのない方向を突き詰めたくなる時があるのでは?という印象があって。

個人的に黒荒川さんと呼んでいる(ごめんなさい)んだけど、個人的にそういう回はあまり好みではなかったし、ジュウオウジャーの時みたいにルカ以上にゲストのカインのドラマに引っ張られそうな気もしてしまうから。

 

ルカは、メイン回ではないときにはちょっとした場面や台詞で良いアクセントを効かせられて、十二分に個性と魅力を発揮出来るんだけど、メイン回だと意外と扱いが難しいキャラなのかな、と思ったりした。トータルで見ると不遇感はないからいいんだけど。

あと、戦闘時に流れた「パイレーツ・ガールズ」はゴーカイジャーの挿入歌で一番好き。