キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

海賊戦隊ゴーカイジャー: 43話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■嘘だった

たった独りガレオンに戻って膝を抱えているハカセがキツい。

やっぱり伝説の勇者というのは嘘で、女性誌も手の込んだ捏造、星形の痣もペイントだった。

前回の冒頭で、ジョールカに愉快な戦い方だと半ば馬鹿にされ、ゴーミンにも笑われたりしてそれなりにストレスがたまっての出来心だったかもしれない。でもその結果が、大事な仲間を面白半分に騙したままの死に別れになってしまった。

私は正直なところ出来心や成り行きで嘘をついてしまって、という展開がちょっと苦手。嘘を根拠にチヤホヤされて舞い上がったり後ろめたそうにしてたりとか見ると、いたたまれなくなってくるんでこの場面は結構キツかった。

 

■出来ることをやってくれ

皇帝の意向でマベは地球で公開処刑されることになる。

それを知らされても、嘘をついた自己嫌悪もあって自分なんか何も出来ないと後ろ向きのハカセ。成長したようでもいざとなると結局これかよ、と見ている分にはうっかり思いかけちゃうけど、もし自分が同じ立場ならと思うとあまり偉そうなことは言えないな。だって相手はダマラスでこっちは独りだよ?って(汗)。

格好いいアウトローの海賊や覚悟完了したお姫様や超ポジティブ戦隊オタクに囲まれながら、時にはそういうみっともないくらいの等身大感を突きつけてくるのがハカセというキャラだな、と改めて。

ナビィが平手(羽)打ちして渇を入れ、ハカセは加入直後にマベに「出来ることだけやってくれ」と言われたこと、戦闘中にルカにも同様のことを言われ、初めて2丁拳銃でゴーミンを倒した時のことを思い出す。

ジョーがマベの剣で、ルカもハカセ加入によってその剣を借りて、とスタイルは違えど慣れた感じで2刀流をこなしていたけど、2丁拳銃ハカセが初めて。

これで海賊の武器交換により近接戦だけでなく同時に遠距離戦もより有効にこなせるようになった。マベに褒められてその成功体験の喜びがハカセを海賊として前へ踏み出させる。

自分に出来ることをやる。その正解を一足飛びに掴むのではなく弱気に足をとられながらも

「僕やるよ。みんなについちゃった嘘、真実に変えてみせる。この僕たちの旅は、絶対に終わらせない!」

と辿り着く姿に、ホント、丁寧に成長を描いて貰ってるな、となぜか羨ましくなった(汗)。

 

■ドラゴンズ愛炸裂

「出来ることだけやってくれ」「皆が自分の出来ることをやって補え合えばいい」がゴーカイジャーのスタンスにも係る今回のキーワード。

荒川さんによると中日の落合前監督就任1年目の言葉から来ているらしい(笑)。

ゴーカイジャーの記事は冒頭にも書いたように公式完全読本のネタを所々で拝借しているけど、荒川さんのインタビューのページにはあちこちでドラゴンズ成分が炸裂していて、最後の注釈欄には引用された中日関連のエピソード解説だけがずらり。初めて読んだ時は「これは<Number>の記事か?」と錯覚しそうになった。どんだけファンなんだよ、知ってたけど(笑)。

 

■正面突破

まさに処刑寸前にハカセが正面から乗り込んで来て、彼を見くびりきってたダマラスも、バスコも、ついさっき「俺の仲間にはまだ、1人凄え奴が残ってる」と言ったマベ自身もびっくり。

マベと色違いの緑の船長コートは速攻で仕立てたなんて訳はないだろうけど(笑)、この場のハカセに相応しいからOK。

「せっかく見逃してやったものを。貴様ごときに何が出来る!」と嘲るダマラスに

「出来る事が出来るんだ!」と言い返すのは、今回のキーワードを支えにハカセがネガティブのどん底から這い上がって辿り着いた精一杯の開き直りと、それでも大言壮語しきれない気弱さ慎ましさが感じられて好き。

戦闘員相手に孤軍奮闘のハカセに苛立つダマラスがマベから離れて直々に仕留めに行った隙に、ナビィがマベを磔から解放という連携プレーが成功。相変わらず要所要所で役立つナビィ、まさにゴーカイジャー7人目の戦士だ。仕事が済んだら速攻で「バイバーイ」と帰るけど(笑)。

助けられ次の一手を尋ねるマベに「ない!」と力強く言い切り「僕は出来ることをやった!次はマーベラスの番だ」と笑顔でバトンを渡すハカセと、その心意気をニヤリと受け止めるマベが小気味良い。よく考えるとこの時点ではまだ物凄く絶望的な状況なんだけど。

 

■バスコの思惑

そこにたたみかけて死んだはずのジョーたち4人が参戦し、バスコに焼き殺されたと見せかけて実はサリーが助けていたことが明かされる。

愕然とするダマラスに考える暇も与えずバスコが背後から思い切り一突き、は当時鳥肌立った。

ジョーたちが本当に死んでいるとはさすがに思えなかったし、ナビィが鎖を壊すのを見て見ぬふりしたことからも海賊を殺す気がないのはわかったけど、ダマラス相手にここまでやるのかと。こんな大っぴらにザンギャック全体を敵に回してでも、海賊たちの力が必要だったのかと。

39話でバスコが「余計なことしてくれちゃって」と困惑していたのは、今まで私掠船として付き合ってきたザンギャックを本格的に敵に回してでも海賊を助けなければならない事態を覚悟しなければならなかったからだったんだな。

そんで同時に、これまでさんざん海賊と大いなる力を争って戦いながらも決して本腰入れて倒そうとはしなかったという、下手をするとご都合主義に見られがちな展開の説得力も爆上げしたのが上手いよ。

 

■見つけて欲しい力

前回軽く捻られた分をやり返すバスコの食えなさ、足元をすくわれそんな深手を追わされながらもバスコを吹っ飛ばすダマラスの強さと、見応えある攻防。バスコは自分を過信して見下した相手に足元をすくわれたダマラスを嘲り、マベには見つけて欲しい大いなる力があるからと変身装備を返す。

ちなみにバスコは処刑直前のマベに、サンバルカンファイブマンの大いなる力を奪ったと見せびらかしていた。

バスコが奪った大いなる力は計5つ。海賊が貰ったのはもはや27。残りは2つで、バトルフィーバーJカクレンジャー。そのどちらかが、海賊に見つけて欲しい、逆に言うとバスコが自力では探せないと匙を投げた戦隊ってことになる。

 

■ダマラス撃破

バスコが撤収し、怒りに燃えるダマラスに対し今度は海賊たちも善戦。一方のダマラスも1度に4人吹き飛ばすなどやっぱり強敵。

バスコの一突きのダメージが、前回は完敗した相手に海賊が食い下がれている説得力になり、同時にそれでも充分に戦えていることでダマラスの強さの格を保っている。

ゴーカイガレオンバスターも1度では効かず、2度目でようやく撃破。これだけ強かったダマラスが実質2話分だけの戦闘で敗れてしまったのは残念だけど、宇宙最強の軍師という面目は保たれたと思う。

 

「ダマラス様、ご武運を」インサーンが最期の最期までダマラスを尊敬していてくれたのが嬉しい。

けど、倒されての巨大化という儀式が1年近く見てきた敵幹部に施されるのは寂しさもあるな。ゴーカイジャーの場合はダマラスが初めてだから尚更。

巨大戦ではダマラスもガトリング砲というこれまで使わなかった武器で攻める。巨大化専用なのかはわからないけど、巨大化しても等身大の時と同じ戦い方を繰り返すだけでなく、新たな武器や攻撃要素が加わるのは嬉しい。

だけど海賊たちは、

「大丈夫!宇宙で一番強くても、あいつには仲間がいない。だから僕たちが負ける筈がない!ね?」

というハカセの言葉を反撃の狼煙に、クリスマス決戦回に相応しくこれまで集めた大いなる力を全放出し、最後はやっぱりカンゼンゴーカイオーで力の差をサイズ感で否応なく突き付けて、フルバーストで撃破。

・・・あいつには仲間がいない、と言われちゃうのはちょっとハカセに文句を言いたい(笑)。

自分に出来ることをやって補い合うゴーカイジャーの仲間の絆を最強でも独りのダマラスと対比させる狙いはわかるしきっとそれは正解なんだろう。確かに殿下には嫌われ外から来た同僚からは理不尽にキツく当たられてばかりだった。

けど、インサーンは少なくとも最期まで敬愛してくれてたし、無骨で上に媚びない代わりにたぶん部下からは慕われるタイプだったと思うよ、と思ってしまう私はやっぱりダマラス贔屓(笑)。

 

■過去編のトリ

ハカセの過去は当初3話のマジレンジャー回で語られる予定が、過去エピソード無しでも狙った臆病+αイメージはもうついたので後回しになり、演じる清水さんから催促されながらもここまで引っ張る結果になったとのこと。

でもそのお陰で、クリスマス決戦という大舞台で宇宙最弱の勇者が宇宙最強の軍師の足下を救うという劇的な展開になり、美味しかったな。オールグリーン披露の大サービスも、仲間たちからハカセへのリスペクトが感じられて。

 

これでメンバーが海賊になった経緯を描く過去回はコンプリート。男子組は全員節目やターニングポイントでの前後編という豪華さで、アイムも1話だけど全メンバーとペアでのゴーカイチェンジという大サービス。

そんな中で霧彦さんというゲストを迎えたものの半ば偽物回に引っ張られた感もあるルカの過去回は若干割を食ったかなとは思う。

考えてみると、守銭奴の女盗賊という戦隊としては攻めたキャラを「本当は良い子なんだよ」と早めに見せるために、初メインの6話である程度夢の予測がつく過去をチラ見せしてしまったので、改めて過去回をがっつり作るのが難しくなった部分もあるのかなと。

でも何度も言うけど、ルカはその代わりにサブメインとか集団行動の際の言動が一際スパイスが効いていて格好いいところが気に入っているので、トータルでは結果がオールライト。

 

あと、忘れていたけど、ゴーカイジャー放送開始から10周年おめでとう!