キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

海賊戦隊ゴーカイジャー: 20話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■解説係誕生

鎧を迎えてから初めてのレジェンド回。

これまで海賊たちにはちんぷんかんぷんだったナビィの占いも今回は鎧が、「閉ざされた森の戦士」というキーワードをもとにあっさりギンガマンだと特定してしまう。ついでにギンガの森とかその戦隊の世界観もざっくりすらすら説明。34戦隊全部そんな風に暗記していているんだろな。さすが戦隊オタク。

つまり鎧の登場で、海賊達に解説する形で未視聴の視聴者にもその戦隊の最低限の説明が出来るというメリットが生まれたわけで、各方面に便利なキャラだな。でもやっぱり居場所は知らない。

鎧はギンガマン本編の登場人物が作者の絵本まで持ってたけど、あの世界の学校だと割とマジにスーパー戦隊が歴史教科書に載っていて、こういうものが副教材になっていてもおかしくなさそうな気もする。

 

■利害の一致

鎧は宇宙最大のお宝という海賊たちの目的を知らずに加入した。鎧の目的である地球を守ることとは(現時点では)関係ない要素。

だけど、それに必要な大いなる力を集めることは、鎧にとっては憧れのレジェンドたち本人に会える大チャンス、と両者の利害が一致。鎧がこちらにもノリノリで積極的に関わる理由をすかさず示してるのが相変わらず手堅いよ。

 

■緩急

ギンガマンは「宇宙海賊」と戦っていた。同じ宇宙海賊だからといきなり敵視されないよう、ハカセが手土産に持参したドーナツに手を出して逃げたマベと追いかけるハカセ

進行方向に真っ直ぐ走って行った筈なのになぜか元の地点に戻ってきてしまうという形でギンガの森の結界が暗示され、それまでのピクニック気分が一気に警戒モードに切り替わる緩急の付け方がさすがだな。

すると突然、空間(結界)が破られて中から黒騎士ヒュウガが転がり出ると、続いてバスコとサリーも大いなる力を狙って追ってきた。

バスコを知らないこともあり、レジェンドとの遭遇に大興奮の鎧はこの状況でヒュウガにサインをねだる(笑)。

 

■番外戦士

マベがバスコとサリーを担当、青黄緑桃が挑んだのはバスコがレンジャーキーから実体化したデカマスターウルザードファイヤーマジマザー

もう笑っちゃうしかない強力メンバー。特にデカマスターウルザードは以前戦った追加戦士たちより格上感満載。もう初対戦で勝てる相手じゃないって説得力に溢れてて、まとめて川にたたき込まれるのも納得しかない(汗)。

 

■ファンだから迷う

負傷したヒュウガを連れて逃げた鎧。憧れのレジェンドを前にして舞い上がり、自分がずっとスーパー戦隊に憧れてきたこと、今は装備を得てゴーカイシルバーやってることを熱っぽくまくしたて、でも、過去に地球を守りきった大先輩、ヒュウガに比べればまだまだだと謙遜し、もっとレジェンドたちの活躍を見たかったと言う。

するとヒュウガが真顔になって、なら自分がゴーカイシルバーになるから装備をよこせ、と迫る。「俺は黒騎士でありたいわけじゃない。この星を護りたいんだ」と。

それは、今は戦う力を失ったけど心は折れていないヒーローとして物凄く真っ当な姿勢。

マベたちなら「ふざけんな」で終わるけど、スーパー戦隊の熱烈なファンである鎧にとっては、憧れの大先輩からそんな「ヒーローとして正しい要求」をされて思いがけず痛いところを突かれた形。

 

そう来たか~!と思った。これ、私が鎧の立場でも迷うよ。

装備を渡してしまえば、スーパー戦隊の戦士になるというせっかく掴んだ夢を手放すことになっちゃう。

でも、鎧はある意味たまたま戦う力を託されたけど、実績はまだまだひよっこ。「地球を守るためには」と地球ファーストで考えれば、実績があるけど今は変身出来ない大先輩に装備を譲る方が確実で賢明な判断かもしれない、って考えちゃうの凄く共感出来る。

てか、私なら下手するともうこの時点で物わかり良いふりしてとっとと渡してるかも(汗)。

「ファンとしてずっと活躍を見ていたい」って気持ちもよくわかるしね。鎧はヒュウガのゴーカイシルバー変身シーンまで妄想しちゃったけど乙です(笑)。

鎧も迷った末に、渡そうと進み出かける。

 

■大いなる力強奪

そこに乱入してきたバスコ。ある意味鎧にとってナイスタイミングだったかな。

自分たちが認めた相手にしか大いなる力は渡さないと拒むヒュウガにバスコは「認めるとか認めないとか関係ないんだよね~。無理やり奪っちゃうから」とラッパを吹く。

レンジャーキーを実体化する時とは違う不協和音ぽい音色と共に、ヒュウガの体から引き剥がされる大いなる力。

これまで大いなる力は海賊たちがレジェンドに認められて平和的に渡されてきたから、いくらバスコが襲って追い詰めてもレジェンドが渡す訳ないじゃん!と思ってたから、「そんな手が!」と当時はマジでびっくりしてた。

 

このラッパの能力、アカレッドが用意したとしか思えない。だとすると彼はもし大いなる力を渡すのを拒む戦隊がいたら、キーから実体化させた戦士に襲わせつつ弱ったところを強引に吸い取ろうと考えていたことになるんだよな(汗)。

まあ、バスコに渡るのが想定外だったかはわからないけど。

あと、バスコはダマラスからスーパー戦隊や大いなる力のことを聞いた時に「知らなかった」ではなく「やっと繋がったよ」って言った。それってあの時点で断片的に、大いなる力というものがあって、それをこのラッパで吸い出せることが分かっていたんだなと思う。アカレッドからバスコに説明があったとも考えにくいから、ラッパに取り扱い説明書でも添えて一緒にしまっていたんだろうかアカレッド・・・(汗)。

 

■賢いとか賢くないとか

あわやってところに、サリーをノールック射撃で振り切ったマベが乱入して妨害、大いなる力はヒュウガの体に戻る。

バスコがヒュウガ本人の目の前で黒騎士のキーを実体化してマベにぶつけるのがエグいよなあ。

デカマスターたちも参戦して劣勢のマベは変身解除。

鎧も加勢しようと、さっきバスコに跳ね飛ばされたセルラーに駆け寄ろうとするけど、ヒュウガに譲るべきか葛藤して立ち止まってしまい、それを見たヒュウガが自分で取りに行こうとする。

 

でもそこで、バスコの「ここらで諦めた方が、賢いと思うけど?」へのマベの返しがもう・・・ね。

「どうしたら賢いなんて考えてたら海賊なんかにならねぇよ。宇宙最大のお宝は俺の夢だ。夢を掴む事を誰が諦めるか!」

惚れ惚れ。香村さんは、こういう時のこういう行動原理を絡めた啖呵が、本当に上手いよ。

そんでその言葉と諦めないマベの姿は鎧に突き刺さる。

(俺の……夢は……俺が掴みたい、夢は……!)

鎧は、セルラーに手を伸ばしかけた<憧れの大先輩>ヒュウガを押し退けて、セルラーを掴み取る。

鎧の中で、はっきりと

 

自分がヒーローをやること>>>ヒーローのファンでいること

 

になった瞬間だった。

ヒュウガに無礼を謝りながらも、地球を守るためならヒュウガの方がいいのかもと認めながらも、ゴーカイシルバーは自分の夢だから相手がヒュウガでも譲れない、ヒュウガの分まで自分が地球を守る、と必死に訴える鎧には、何度見ても涙が出る。

それに対する

「その言葉が聞きたかった。自分がやるといえない奴に、この星は任せられないからな」

ってヒュウガのエールも素晴らしい。

 

■もう一人のレジェンド

川に落ちたジョーたち4人を助けたのは、ヒュウガの弟でギンガレッドのリョウマ。

海賊たちは彼が何者か知らないまま礼を言い、休む間もなくマベの元に駆け付ける。

水中で意識を失いかけながらもドーナツの箱を決して手放さなかったハカセの執念は凄いけど、そのたぶんびしょ濡れのドーナツを貰ってもリョウマも困っただろうなあとはちょっと思った(笑)。まあリョウマは未見の私が見てもかなりの好青年だとわかるから、きっと好意的に受け止めた、はず。

 

敢えて私が書かなくてもいいくらい有名なエピソードなんだけど、演じる前原さんはこの当時既に俳優を引退して東京を離れていた。でも311後に、ヒュウガ役の小川さん同様、被災した人たちを励ましたいと常々仰っていたとのこと。

そんでお仕事で東京に来る日があったので当時のスタッフやキャストが集まって食事会をしていた時に小川さんに出演依頼の電話が入り、その場で前原さんも出演したい旨伝え、兄弟での出演が実現したとか。

素敵なエピソードで、これもゴーカイジャーにまつわるひとつの奇跡だなあと思う。

 

■後味最高

マベと鎧、それにジョーたちも合流して改めてバスコに対峙。鎧以外はギンガマンにチェンジして番外戦士たちにリベンジ。鎧だけはゴーカイシルバーのまま黒騎士を撃破し、そのレンジャーキーがふわりと本来の変身者ヒュウガの手に戻った時はぐっときた。そのキーに自分の大いなる力を宿すヒュウガの姿にも、何か「荘厳」という言葉が浮かんだ記憶。

バスコはサリーのお腹からツッキーくんを出してまたも黒騎士のキーを奪われただけで手ぶらで撤収。海賊たちはツッキーくんを撃破して、一件落着。

ヒュウガは鎧にギンガマンの大いなる力と黒騎士のキーを渡し、俺の分まで地球の平和を守るんだろ?と厳かに鎧に託す。

 

この草原、やっぱり中澤監督が撮ったボウケンジャーのシルバーとアクタガミの出会った場所かな?

広々して綺麗でなんか絵本の1ページみたいな詩情もあって、レジェンドに憧れるファンでもあった自分を乗り越えレジェンドの分まで地球を守るヒーローに成長した、まだ少年に近い青年を送り出す場所として、素敵だなと思う。

出立するゴーカイガレオンをリョウマとヒュウガ2人並んで見送る場面も清々しくて綺麗で、もう後味最高。

 

ギンガマンは未見だけど、鎧とヒュウガのやりとりは本編の26話のリョウマとヒュウガのやりとりのオマージュ、ってのは放送当時から本当によく目にしていた。

だから、私がギンガマンを見ていたら、もっと違った、もっと深い感動も得られたのかな?とは考えたりする。

でもギンガマンの背景は知らなくても、鎧、ヒュウガ、マーベラス三者の思いの交差は充分見応えがあった。特に「自分より適任者がいるのに・・・」という葛藤が、登場時はトンデモだった鎧を一気に等身大で身近な存在に引き寄せてくれたのは、個人的に凄くよかったと思う。

たとえギンガマン未見でも、ここまでのレジェンド回で一番好きかもと思うくらいには良かったよ。

 

因みに東映公式によると、小川さんはカーレンジャー回のレジェンド陣内恭介として出演した岸さんに対抗心を燃やしていたそうで、スタッフさんがくれぐれもかっこいい王道ヒーローを演じていただくよう改めて確認し、小川さんが「俺には自由にやらせてくれないんですね」とすねたという攻防があったって話が好き(笑)。

カーレンジャー回の毒素はいろんな形でじわじわとにゴーカイジャーを蝕んでいるのかも(汗)。