海賊戦隊ゴーカイジャー: 19話感想というか覚え書き
■宝箱から転送
冒頭、ナビィが宝箱から光る糸を引き出してゴーカイシルバーのバックルに接続。これで鎧も出したいレンジャーキーを思い浮かべれば宝箱からバックルに転送出来るようになった。
それまで海賊たちが次々にレンジャーキーを取り出す仕組みはあまり気にしていなかったってのもあるけど、てっきりレンジャーキーを雑多に詰め込んでいるだけだと思っていた宝箱にそんな役割があったとは意外で、細かい部分だけど設定しっかり考えてるなと感心した記憶。
ハカセだけは、なぜアカレッドがくれた自分たちのシステムと同じなのか気にしていたけど、他は同じスーパー戦隊だからと納得したり気にしなかったり。結局このあたりは最後まで判明することはなかったけど、私も18話で書いたようにアカレッドと殉職追加戦士の霊魂が連携していたんだろなと思ってる。
■「普通」とは?(2回目)
料理やらせれば、たった30分で手際よくメインのオムライスを含め6人分×何品も作り、しかも美味しいとか(汗)。無理。私絶対無理(涙)。
武術も中々の腕前でジョーに気に入られる。そもそも前回見せた身体能力からして只者じゃない。
私の頭の中でまた「ごくごく普通」の定義とは?と疑問符が踊る。
声と顔がやかましくて戦隊愛が暑苦し過ぎるけど、実はかなりハイスペック男子だったのか鎧。
最初見た時には各方面スキル高すぎて違和感あったくらいなんだけど全部見終わると、スーパー戦隊にただ憧れすぎるくらい憧れていただけじゃなくて、それに出来るだけ近づこうと、「諦めなければ必ず何かに繫がるはず」と日々精進を積み重ねてきたとんでもなく努力家だったんだなと思う。
■ハカセの劣等感
料理はハカセが他の海賊たちより得意と自負してたはずの領域。でもルカの「ハカセのよりパンチがあって美味しい!」から始まって、仲間たちの鎧への賞賛にいちいちパンチを食らったようなダメージを喰らうハカセ。
ジョーとの立ち会う鎧が剣を落とすと秘かにガッツポーズとかセコいぞ(笑)。
コミカルなんだけど、かなり思い切ってコンプレックスを強調してきたなと思った。もともと海賊らしくないハカセを、「格好いい」から遠く突き放してとことん等身大で人間臭く描いてる。それがだんだん息苦しいくらいリアルに思えてきて、こっちの方がよほど「ごくごく普通の人間」じゃないかなと。
だけど鎧の活躍に焦ってゴーミン相手にも追い詰められての、ビルの屋上やベランダの手すりを使ったあたふたアクションは人間離れした物凄い動きで、さすが竹内さん。
■ゴーオンウイングス
ゴーオンジャーは大人になって初めて最初から見た戦隊で、追加戦士の登場なるものも初めて経験したからウイングスは特に懐かしい。追加戦士が兄妹という男女ペア、特に女子の追加戦士はかなり特殊なんだってのは後で知った。
その特殊さが鎧を迷わせたあげくにあんな半分こ怪人状態に(笑)。でもデザインはスッキリしていてあまり違和感がなくてむしろ優秀な部類かも。
そんでアイムの「パチパチ」の絶妙な間の取り方が、なんとも中澤監督だな。
2人で1人だからタガーを2本持てて飛び回ってはゴーミンを倒し大活躍なのは素直に凄いと思った。17話から発揮されてる妄想力の強さもここまで来ると立派な武器だよ。実際この後とんでもないことを成し遂げるけど。
■ふにゃーっ
鎧の活躍とそれをチヤホヤする仲間たちにまた気持ちが乱れてウオーリアンの攻撃を避け損なったハカセ。彼を庇ってアイムが攻撃を受け、それに同様したマベジョールカも次々に、骨を抜かれて戦闘不能に。
いつもは強面のマベやジョーが「ふにゃーっ」と文字通り骨抜きになってゴロゴロ。鎧の爽やか妄想に続いて普段とのギャップの破壊力が凄かった(笑)。可愛い。
戦えるのがギクシャクしてる(のはハカセだけだけど)ヘタレ緑と新入り銀コンビだけって、下手するとバスコにマベ以外さらわれた時に匹敵しそうな大ピンチなんだけど、ごめん、正直楽しいくてずっと見ていられる(笑)。また女子特にルカの「ふにゃ~しよ?」が可愛すぎ。
宇都宮戦隊だと後にトッキュウジャーのハンコシャドーも似たような攻撃だった。普段とのギャップが楽しくピンチ演出もしやすい、使いやすい作戦なんだろうな。個人的にはルパパトでも見たかった気もする(特に圭一郎、つかさ、透真あたり)。
■容赦なくネガティブ
この状況を諦めずに打開しようとする鎧。変身出来なくても工事現場の人を助けようと1人で突っ込んで行った奴がここで挫けるわけもない。
でもそんな奴の隣にいると自分がますます惨めになっちゃうのがハカセ。自分がこの状況の元凶なことにも苛まれて、鎧に「お前といると自分が情けなくなるんだよ!」とまで言って突き放しちゃうのが見てて辛いな。
いくら海賊らしくないと言っても、アウトローで破天荒な格好いい海賊戦隊のメンバーを、そこまで容赦なくネガティブ描写するか、って驚いた。
で、多分、海賊たちを35番目のスーパー戦隊、ヒーローだと思って憧れて加入した鎧にも、その一員が自分に対してそんな劣等感を突きつけ自暴自棄な姿を見せるなんてショックだったよな。「俺、悲しいです・・・」という台詞にその気持ちがこもってる。
■互いの凄さ
鎧が出ていって初めて、ハカセは素直に鎧の凄さを認めて口に出す。
でもナビィから「鎧と同じこと言ってる」と言われてびっくり。
鎧はハカセのレシピノートを見つけて、そこからハカセが栄養バランスや皆の体調まで考慮してメニューを考えていたことを読み取り、素直に感動していた。
これまでずっとそんな配慮を毎日当然のようにしていたから自分では特別凄いこととも思わなかったし、仲間たちも気付かなかった。そこへ新たに加入した鎧は今までなかった視点で、誰も、ハカセ自身すら気付いていなかった価値に光を当てたんだね。
2人とも実は互いを凄いと認めてた。
■挽回
それまでハカセはたぶんガッツポーズした時もそうだったように、鎧に脅威を感じて否定出来る部分を一生懸命捜していたと思う。
でもその鎧に凄いと認められていたことを知って劣等感と一緒にそんな見方から解き放たれ、鎧の長所や可能性に目を向けられるようになった。そうなると今度はそれを生かせないかって考え始めたんだろね。
そんで彼の技術者としての視点は、キーを合体させた鎧の妄想力に更なる可能性を感じて、あるアイディアを閃かせる。
2つのキーを合体させることが出来るなら、1度に全部の追加戦士キーを合体させることも出来るのでは?と。それが出来れば、戦えるのが2人しかいなくても戦力を底上げ出来る。
今まで避けていた鎧が苦戦中のところに、ハカセは今度は自分から駆け寄り、走る姿がゴーカイチェンジで少しずつゴーカイグリーンに変わって行く演出がハカセの復活と成長を暗示。
自分のアイディアを告げて時間稼ぎを買って出、たった1人で次々にゴーカイチェンジを繰り返し粘り続けるハカセの頑張りは、前半が情けなかった分をしっかり挽回して余りあるよ。
こういう埋め合わせ、ヒーロー番組でヒーローを描く上では本当に大事なんだよな、と改めて身に染みて思う。
そんでゴーカイチェンジは「諦めずに次々繰り出す手数」として効果的だなと改めて。
■イカリ
鎧が15の追加戦士キーを手に妄想し、真っ白な謎空間に入るとそこに15人の追加戦士たち。
鎧が呼びかけ頭を下げ続けると、出来上がったのは金色の錨の形の鍵、ゴールドアンカーキー。15追加戦士のちっちゃなマスクがぎっちり並んでいる。
鎧の苗字も「伊狩(イカリ)」。
OPの2番の歌詞が
「進め!イカリを上げたなら 自由の拳突き上げろ」
だから、ここは確信犯的に重ねているのかな。
水面下(地球人たち)の中に埋没していたイカリ(伊狩)が、船に引き上げられる→海賊の仲間入りすることで
自由の拳を突き上げろ→海賊たちがそれまで前提にしていたザンギャックの支配を打ち破るという意識転換に進み始める
ってのを暗示しているようで好き。
■ゴーカイシルバーゴールドモード
「金が銀かどっちだ」ごもっとも(笑)。
なんかずらっと埋め込まれた追加戦士のお面が物凄いインパクトで気味悪いくらい。屋台のお面屋さんかよ?みたいな(汗)。
でも動くと意外と格好いい。
もちろんスーアクさんの動きあってこそだけど、厚みのある足に沿ったビラビラ?が、ああ見えて実は宇都宮Pが愛してやまない「ヒラリズム」をぎりぎり継承しているのもあるかもしれないなと思う。
見事ウオーリアンを倒し、骨が戻ったマベたちも怒りも露わに駆け付けて豪獣神とゴーカイオー揃い踏みで巨大戦も制し一件落着。
ハカセと鎧はすっかり打ち解けて、終わって見れば海賊戦隊の料理番体制が盤石になって個人的に羨ましい(切実)。