キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

仮面ライダーゼロワン43話感想: アークの力を受け取るということ

前回私は「或人はアークに取り込まれ操られているのでは?」と疑問を呈したけれど、今回そこは或人とアズとのやりとりや天津の分析で念入りに否定された。

アークへの変身能力は受け取ったけれど、或人はあくまで正気。イズとアズの区別もついている。

ただし、ならなんでアークの力を受け取ったのか?って疑問はあるけどね。

ゼロツーのまま滅を倒そうとしちゃいかんの?

もちろん、よりによって或人がアークワンに! っていう展開は後述するように納得感もあるし、何よりドラマチックで衝撃的、インパクトは絶大でそこが一番大事なんじゃん細けえこと言うな、ていうのもあるのかもだけど、よくよく考えてみるとね。

メタ的にはゼロツーはあくまで正しい力で、憎しみに駆られて力を振るう汚れ仕事はアークワンにさせる。そんな都合も感じてしまう。

もし或人がキャラクターとしてそういう使い分けを望んだのなら、自分のしていることが「悪意」で正しくないとわかっていることになるけれど。

 

なぜ滅が人間を滅ぼそうとしたかと言えば、「人間の悪意が再びアークを生むことを恐れたから」で、その滅に大事なイズを破壊されたからと言って、ゼロツーではなくわざわざアークを「正気のまま」受け取って使ったのなら、それは

「じゃあお前が恐れた通り俺がアークになってお前を滅ぼしてやるよ!」

っていう意趣返しにしか受け取れないんだけど。

百歩譲って、それだけイズの喪失が大きく、滅に対してはそういう気持ちになったのはやむを得なかったんだとしても、「人間の悪意が再びアークを生む」という滅の主張をわざわざ或人が証明してしまうのは、これまで彼を信じてきたヒューマギアたちに対して無責任で、彼らが可哀想過ぎる。

或人のアーク化がヒューマギアに与えた影響は、亡の「やはり滅が正しいと同調するヒューマギアが増えた」という言葉でしか語られていないけれど、彼らに与えた衝撃や不安、絶望は、どれほど大きかったか。

或人は自分たちの創造主にあたる絶対的なポジションで、ずっと「何があっても自分たちを守るためにアークや滅亡迅雷と戦ってくれた」と信じられる存在。彼のためならと力を結集してソードも生まれた。

でもよりによってその或人が、大事な存在を破壊されたからと言って悪意剥き出しでアーク化したら何を信じていいかわからなくなるよ。シンギュラリティを起こして夢を持ったとしても、その夢を実現する足元の世界が崩れてしまうかもしれない。

彼らが滅の方が正しいと判断したなら、自分の意思で、もしかしたら芽生えていた自分の夢を守るためにも或人にNOを突き付けたってことになる。

同調しなかったヒューマギアもたくさんいるんだから、それは同調した奴が悪いってことなのかもだけど、精神的に追いこまれてマギア化して破壊されても、復元もして貰えない。

或人は正気だったとしても怒りと憎しみで、滅やそんなヒューマギアたちの意思や夢に向き合える状態ではなかったろうし、今回破壊したのは滅の攻撃の巻き添えで直接的には或人による破壊ではなかったけれど、或人がどこまでも自分の意思でアークの力を受け取ったんだとしたら、彼らに対する責任は凄く大きいと思う。取り返しがつかないかもしれない。

まあ当初から或人の、直接自分が親交したヒューマギアとそうでない個体に対してかける情の差は、相手がマギア化した時に残酷なくらい露骨に現れてはいたから、或人ならありうるのかな?って思えてしまうような、悪い意味の積み重ねは感じてしまうんだけど。

 

人間の悪意というものは誰にもありうるもの。滅亡迅雷にゼツメライザーで強制的にマギア化されていた頃ならともかく、人間の悪意に触れたらマギア化されてしまうとわかった頃、つまりお仕事5番勝負の頃に、或人はもう少し人間の悪意と向き合っておいた方が良かったのでは?と思うし、それならあの1クールにももっと意味があったと思わないでもないけど、それも今更。

ヒューマギアが暴走するのは滅亡迅雷が悪い、(自分以外の)人間の悪意が悪い、天津が悪い、アークが悪い。そうやって常に具体的な何かのせいにしてきた末に、今は「或人のせい」と言われても否定しきれない状況になってしまったのが皮肉だし、ある意味因果応報。

脚本の高橋さんは、どこまで或人を正しいと思いながら1年間書いて来たんだろう?と今更ちょっと思ったくらい、或人の行き着く先としては説得力があって、でもそんなのを仮面ライダーの主人公として見たいかってのはまた別だったり。

 

ただそれとは別に、このヒューマギアの自発的?な反乱を、製造会社としてどう責任取るの?って話もある。いくら同調してないヒューマギアもいると言っても、彼らに対する人間からの信頼にもトドメ刺しちゃってない?

親会社ザイアの社長までが「人類とヒューマギアとの全面戦争」を口にする時点で、もう<商品>ではあり得ないんだよな。

現実世界なら、再び全ヒューマギアを稼働停止もやむなしの事態だと思う。と言ってもゼアもイズも破壊された状態で、どうやってそれが出来るのかは分からないけど。

どうもこの<ヒューマギアは一企業の商品で或人はその製造責任者>っていう位置付けの受け取り方に、製作側と私とか視聴側にギャップがあって、それが最後まで響いている気がする。

 

そんな非常事態に社長の或人は会見なんか開ける状況でもなければ、対策を誰かに指示したり協議したり出来る状況でもない。

考えてみたら、これだけヒューマギアが問題起こしても、或人は一度も人間の社員と協議してこなかった。それも異常。

まあその代わりに社長自ら反乱の親玉を憎しみに任せて破壊しに行ってるからOK、ってことかもだけど、彼がヒューマギアたちに与えた影響を考えれば、今回の件はもう社長としては致命傷に思えてしまう。顧客である人間に対しても、<ヒューマギア>とルビをふる社員に対しても。

与多垣も親会社の社長としては、それは「全力で潰せ」ってなるよ。アークは一度は人間を滅ぼそうとしていたんだから、或人が滅を倒しただけで止まる保障なんかないんだし。

 

迅を復活させていたのは、やっぱり与多垣だった。ザイアには、飛電インテリジェンスよりも小さなモジュールでヒューマギアを稼働させる、つまり飛電インテリジェンスを上回る技術力があるってこと?

「何のためにお前を復元したと思ってる?」というのは、今は「滅を倒すため」ってことになるけど、これまでの言動をまとめると、

・ザイア本社は、アークを破壊すべきというスタンスだった

・でも水中に沈んだアークを直接破壊する方法がない

・ではアークをヒューマギアに乗り移らせて実体化し、器ごと破壊しよう

・アークの実体化には一旦、滅亡迅雷を全員復活させる必要がある

・そのために迅を復元し、滅の解放と亡雷の復活をさせる

・器となりうるのは滅亡迅雷の滅

・アーク化の危険があるから滅はどちらにしても破壊する

 

ここまでが、与多垣=ザイア本社の幹部の目論見だとすると、天津の意向には反していたものも多いんだよな。

というか日本支社社長は本社の意向を何も知らされていなかったことになる(笑)。天津は何度も滅亡迅雷を殲滅しようとしていたんだから。

要するに、本社が日本支社社長の壮大なやらかしの尻ぬぐいに早くから暗躍してたってことだね。それはサウザー課の課長降格くらいで済んで良かったねと思う。

まあ本社のやり方も大概だとは思うけど。ザイアほとの技術力があるなら水中のアークを探し出して破壊するか、天津に飛電インテリジェンスを買収させてヒューマギアを停止させアークの悪意の行き先を封じたままにしておけば迅を復活させる必要はなかったんじゃないかな?みたいなことは思ってしまう。

 

迅は滅の手の震えを見て、滅にも心が芽生えたこと、彼がそれを恐れていることを感じた。

個人的にはその心というのは、迅を息子として思い、その未来を守ってやりたい気持ちだったのでは?と思う。

迅は、たぶんそれが父親として自分のために向けられた気持ちだとは知らなかったとしても、そんな滅の心を失いたくなかった。「たった一人のお父さんだから」=息子として。

だから迅は、一度はアークの器にして犠牲になって貰う=アーク諸共破壊するつもりだった滅を、悪意の連鎖によってアーク化することから防ごうと駆けつけ、或人の攻撃から庇って自分が破壊された。

迅が滅を思っての行動が、恐れていた滅のアーク化に繋がってしまうのなら、皮肉で悲しい連鎖。イズの或人を思っての行動が或人のアーク化に繋がってしまったのと同じ構図なのは切ない。

 

ただ、迅は破壊されたけど、そもそも迅は一度破壊されて復元されているからバックアップは与多垣の元にあって、与多垣の意向次第では、また復元可能なはず。

これまでさんざんヒューマギアの破壊と復元を見てきたから余計に、ゼロワン計画の守秘のためにバックアップのないイズはともかく、迅まで喪失のままなの?って疑問はある。

 

「人類の悪意を滅ぼすまで俺は戦う。それが仮面ライダー滅だ」

と、遂に滅も仮面ライダー宣言。だけどたぶんその原動力だった迅を破壊されて陥った悲しみと絶望に、アズがつけ込む。

滅にアズが例のデータを起動?させると、滅の目が赤くなって、ハッキングにも見える描写。

「その鍵を握るのはあなたよ」

と或人にしたのと同じように手首をくねらせるのを見ると、アズは或人にも同じことをしたのでは?という気もして、やっぱりどこまでが或人の意思なんだろう?という疑問が復活。

頭に埋められたチップで操られた不破さんや唯阿さんと違って、何も埋まっていない人間がそもそもアークと接続出来るのか?って話はあるけど。

 

ただ、私はもしかしたら或人は、両親を事故で亡くした時に重傷を負い、是之助が遺された孫の生命維持のために体内に何か埋め込んで、それがゼロワン変身を可能にしていたのでは?と考察してみた時期もあったりなんかして、それがアークの悪意との接続に影響した可能性は?なんて頭をよぎったりもした。

もうこの残り話数でそんな展開もないだろうけど。

 

或人以外の人間側ライダーは、

サウザードライバーは破壊され、バルカンとバルキリーには頭脳チップに干渉してデータを消し、変身出来ないようにする。アークワンには、ゼロにはなかったそんな力まであるの?というのは置いておいて、3人はこれで変身不能

でも予告では不破さんの新フォームがいて、たぶん或人を止めるために立ち上がるんだろう。

副社長達は今回は蚊帳の外で頼りないかったけど、こちらも予告では頑張っているっぽい。

それは楽しみ。