キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

仮面ライダーゼロワン41話感想: 父親として我が子のために夢を持つ

正直、或人のギャグはあんまり好きじゃないんだけど、冒頭で久々に見る或人の寒いギャグの後の間に季節外れの木枯らしの音が響き、笑いを堪えきれない不破さんに爆発を被せるのは、いかにも中澤監督らしくて好きだな(笑)。

 

ゼアを乗っ取ったアークが自分たちに連絡もないまま人間社会のインフラを破壊し爆破活動を開始したことに、「もはや用済みのスクラップなのか」と焦り苛立つ雷。

「私たちは何のために存在するのか」と揺れる亡。

シンギュラリティデータを抜かれ、アークの意思のままに動くよう初期化されても、不安や不信は感じるのか、それとも一度達すると初期化されても再びシンギュラリティに達するスピードが早くなるのか?

まあこの辺りはイズも含めてヒューマギア全般、どの状態がシンギュラリティに達しているのかわかりにくいってのもあるけど。

 

なおもアークを信じようとする滅に、信じちゃ駄目だという迅は、唯一の希望として飛電或人を持ち出す。

「彼の影響を受けたヒューマギアはアークにハッキングされない心を持ってる」

デルモの回で或人が「夢を持ったヒューマギアはハッキングされない」と宣言してから、なんかそういうことになってるらしいけど、或人と接したヒューマギアが何人も暴走した場面を見過ぎたせいで、全然そんな風に思えないのが辛い。

「(ヒューマギアが)夢を持ち、自分の意思で生きる」

そんな迅の言葉は、主人公の或人の思想にも共鳴するんだけど、あの世界で現実になりそうにも思えなくて、相変わらず根拠のない甘い理想を唱えているだけに見えてしまって危うく辛いな。

 

アークに逆らうことは許さない滅は変身し、応戦した新型の迅に勝つ。旧型だけどラーニングだけでここまで強いんだ。迅はサウザーと互角で、そのサウザーに滅は勝ってるからパワーバランス的には正しいのかもだけど、心なしかその時より更に進化して強くなってるかもしれない。普通に格好いい。

でも「僕を滅ぼすのはアークの意思か滅自身の意思か」と問われるとトドメをさせずに去る。

今回の迅はひたすら、滅に本来プログラミングされていた父性を揺り起こすための存在。なんだかアークが蘇ってからずっと、囚われて乗っ取られて助け出されてと、ヒロインぽい役回り。スーツもボロボロで泣きそうな顔ばかりだけど、またぼちぼち汚れていない明るい顔とスカッとした活躍も見たいな。立ち位置的にはこの終盤では難しいだろうか?

 

ゼアの破壊活動で街は至るところ瓦礫の山。いち企業が打ち上げた衛星ゼアは、ヒューマギア以外の人間社会のインフラにもここまで影響力を発揮出来たのか(汗)。

破壊され大混乱の街を走り回って人命救助しまくる或人たち。心なしか或人と唯阿さんのそういう場面が多く感じるのは、ここんとこアーク復活に一役買ったりして好感度的にちょっと・・・、となったりしてた部分のフォローの意味合いもあるのかなと思ってしまった。

 

災害対策や人命救助の人材確保のため、或人の意を受けたイズからヒューマギア再稼働を提案された天津は、それを断る代わりに緊急取締役会を召集し、飛電インテリジェンス社長辞任と、後任として或人の指名を表明。

或人は再び飛電インテリジェンス社長に返り咲いた。

う~ん、つい数話前に「小さくても自分が一から立ち上げた会社があるからインテリジェンスには戻らない」と言っていたよね?それを飛電製作所は破壊されたしこの非常事態を治めるのが最優先だからと、すんなり復帰ってのが、流れは真っ当なんだろうけど、なんかモヤモヤする。

思えば或人って基本的に周囲のお膳立てに乗っかって物事が進むから、あまり葛藤をしていた記憶がないな。葛藤しないですむように物語が進むし、もうちょっと葛藤して欲しいかなと思う部分もスルーされてる感じ。

例えば、どんなにヒューマギアが暴走しても、ついには自分の意思で暴走したチェケラを見ても「チェケラは悪くない」と、あくまで外にある物が悪の根源だと主張していて揺るがないところとか。

あとは、或人がインテリジェンスの方で副社長や専務以外の人間の社員との交流が一切なく、途中から「社員」に「ヒューマギア」とルビをふるようにさえなり、去る時も人間の社員の心配を一切していなくて、人間の会社の社長としては描かれていなかったから、てっきりそういう要素を廃しても社長として成り立つ飛電製作所に舞台を移したのかと思い込んでいたってのもあるかもな。

 

社長に復帰した或人はまず「今までのヒューマギアの暴走は全てアークのせい」とここでも全ての悪の責任をアークに置き、もう一度人間とヒューマギアが協力しあってこの難局を乗り切れば両者が笑い合える未来が来る、と再び持論を展開。

再稼働したヒューマギアたちは街で大活躍。

破壊された街の復興に親方ズが意気揚々と繰り出し、ドクターオミゴトや看護ヒューマギアが怪我人たちを救い、119之助が使命感とリーダー感を増して鎮火をに向かう姿は、これぞヒューマギアの存在意義って感じで、やっぱり良いもんだな。

現実の世界でも今のコロナ禍にあっては、医療ヒューマギアとか真面目に欲しくて羨ましいくらいだし。

だけど一方で、「いやヒューマギアこそが、今やゼアを乗っ取ったアークの恰好の標的になっちゃうんじゃないの?」ともヒヤヒヤした。

「夢を持ったヒューマギアは暴走しない」というけれど、そもそも初期の滅亡迅雷はそういう自我を持ったヒューマギアをこそハッキングの対象に選んでいたんだしなあ。

 

もっと言うと或人の言う「夢を持ったヒューマギア」というのは

「自分の作られた目的の範囲内でやりがいと喜びを感じ自発的に目標を設定するヒューマギア」

という、あくまでもどこまでも人間にとって都合の良い存在。人間相手にこれを望めば、今や「やりがいの搾取」と言われてしまうものが、ヒューマギアに対しては理想の姿という認識なのにモヤモヤする。

もっとも今回ラストでは滅がそこに否を突きつけたんだけど。

 

アークへの不信が芽生え迅の言葉に揺れる雷は昴と再会。

亡も不破さんと再会。自分の存在意義に迷う亡に、不破さんは「もうわかっているはず」と言う。

雷はこの後活躍するけど、亡のこの場面も後に何かに繫がるんだろうか?

 

滅は保育士ヒューマギアを遠くから見つめながら「迅の父親でありたい」という自分の意思に戸惑い、迅にも指摘されるけど、そこにアークから新たな指令。

「もうヒューマギアは必要ない。全て滅ぼす」

アークは再び滅を乗っ取り、迅を破壊しようとするけど、今度は滅自身の意思が抗い、拒否。

追い出されたアークは今度は迅を乗っ取り、「最初に滅を滅ぼすと」宣言し、アークオールゼロに変身。

 

滅は「ヒューマギアこそこの星の主。滅ぶのはお前だ」とアークを敵認定。

ヒューマギアも滅ぶべきと言っちゃったアークにはもはや従う理由はないもんな。馬鹿正直に「ヒューマギアを滅ぼす」と言ってしまったアークは、甘く見過ぎたということか。

或人が駆け付け、その言葉を聞いてふっと笑うけど、「ヒューマギアこそこの星の主」って言葉を思いっきり聞き流してる(汗)。

今この瞬間は敵の敵は味方ということだし、滅が初めてアークに逆らっただけで嬉しかったのかな。きっとあまり深く考えていないよね。

荘厳なBGMと共に或人と初めてのダブル変身。共闘し、アークオールゼロを撃破し、迅を解放する。

 

敗れたアークは

「まだだ。全てのヒューマギアを初期化して・・・」

と次の手としてゼアと接続する全ヒューマギアのハッキングを考える。「或人に影響されたヒューマギアは暴走しない」というのが本当だとしても、そんな個体ばかりではないから、今実行されたらかなりヤバかったわけだ。でも人手は圧倒的に足りないし、リスク承知で早期の被害拡大防止のための究極の選択だったってことか。。

だけどそこへ昴が衛星をバックで支えている?シャトル?(仕組みがよくわからない・・・)を切り離し、それがロボ型に変形して、操縦する雷いや宇宙飛行士に戻った雷電が「あばよ、アーク」と撃破。

アニキめっちゃ格好いい。これまで何度も本人の意識外で操られていたことを思うと、滅亡迅雷として蘇った雷を雷電に戻ったと信じて大役を任せるのだって物凄く危険なことだと思うけど、この場合はそれは「細けえこと」でいいんだろう。

ところで雷電が破壊したのは衛星ゼアでもあるとすると、ヒューマギアの制御とかはこれからどうするんだろう?今や一心同体のイズがゼアとして全ヒューマギアの面倒も見てるのかな?

あと、水中に沈んだアーク本体は無傷のままだけど、そこにはもうアークの意思は残ってないの?というのは気になる。

 

雷電のゼア爆破を地上から見守って「終わったな」と呟く或人。

「お前のおかげで俺にも夢が出来た」という滅に「うちの会社に来るか?」と勧誘。いやいやいやいや(唖然)。本当に或人はどこまでも 「ヒューマギアは悪くない」なんだな(汗)。

でも滅の夢は案の定、人類滅亡だった(笑)。

「人間に悪意がある限りいつかまたアークが生まれるかもしれない。人類が存在する限り、我らヒューマギアに安息はない」

或人が初めて認識する、そのヒューマギアが作られた本来の目的から外れた、これこそ自由な自我から生まれた夢。

(本当は「夢」という言葉こそ使っていないけどチェケラの時に見ていたのかもだけど)

いや、おそらく迅の未来を思ってのことだとすれば、それすら「父親」という本来の目的の範囲内ですらあるかもしれないと思う。

迅がいくら「ヒューマギアが夢を持って自分の意思で生きる世界」を望んでも、それが叶うか否かは人間しだい。或人以外の人間が飛電インテリジェンスの社長の座に座り、再びヒューマギアの稼働を止めればあっという間にそんな希望はなくなる。

そもそも今の飛電インテリジェンスはザイアの子会社に過ぎないし、ザイアだって日本支社に過ぎず本社は別にあるんだから、完全に独立した意思決定には限界がある。

生殺与奪権を人間に握られている限り、「我が子」に安息はないと「父親」が考えても無理はないんだよな。そして人間を排除することが世の中や我が子の未来をより良くすることに繫がるんだと考えるのも。

 

或人はヒューマギアの立場からすればある意味真っ当なその夢をどうすんの?

「ヒューマギアが自分の意思で人間への悪意を持ったら?」

という、チェケラの時にスルーした問題に、改めて向き合うのが終盤のテーマだったりするのかな?

 

ところでアイちゃんどこ行った?

あれだけ不破さん唯阿さん天津の心を救うのに大活躍した貢献者で、或人が是之助を超えるための第一歩で、何より「トモダチ」なんだから、破壊された飛電製作所の瓦礫の中から、ヒューマギアのデータだけでなく、ちゃんとアイちゃんも回収していた、と描写して欲しかった気持ちはある。