タイムレンジャー49話感想: 優しすぎるお兄ちゃんだから
白い服の4人が目覚めるとそこは31世紀。リュウヤ隊長に歴史が修正されたことを伝えられる。
ユウリの家族は暗殺が未遂に終わって生きている。
オシリス症候群は治療方法が発見された。
ドモンは処分が永久追放から1年間の出場停止に軽減されいつでも復帰出来る。
ハバード星人のシオンだけは地球の歴史に干渉されないけど、まるで1年間頑張ってきたご褒美みたいな好転っぷり。特にユウリとアヤセは家族や自分の生き死にに関わる修正だから、たぶん1年前なら狂喜しててもおかしくない。
でも、竜也が自分達を思って強引に送り出してくれた後、一人で大消滅に立ち向かおうとしていると思うと喜べない。
タックは電池?バッテリー?を抜かれたか何かしてしてゴミ捨て場?に投げ込まれた。優秀で勇敢なサポートロボで、5人とも心を通わせてたのに、断腸の思いで4人を未来に連れ帰ったら、まるで鉄屑みたいに。どんな酷い扱いを受けたかと想像するとゾッとする。
投げ捨てた職員?は、ナビゲーターロボの処分に帰還した隊員の面会謝絶という処遇を不可解と思うけど、それだけ。歴史が変わったかもという噂があると笑ってる。その程度の認識。
でもタックはかろうじて意識はあった。
逃げ惑う竜也と重傷の直人。
俺に構わず仲間の元へ帰れ→未来へ帰った。
シティガーディアンズの本部に行こう→俺は外された。今戻ったらVコマンダーを奪われるだけだ。
二人ともこんな最悪の状況で帰る場所、拠り所をなくしたことを相手に見せざるを得ないのが悲痛。今はふたりぼっち。
シティガーディアンズを取り戻したばかりの浅見会長の元に被害状況とともに、直人がVコマンダーを持ったまま逃亡したと報告が入る。引き続き捜索すると言われて「そんな事に割く人員はない」と一喝したけど、その判断もう遅いと思うの。
浅見会長は最悪のタイミングでクーデターを起こしたよ。
ネオクライシスはかなりの強敵で、かつビルが時空に吸い込まれてしまうような異常事態に、いきなり使った事もないVコマンダー渡されても、百戦錬磨の直人以上にタイムファイヤーとして戦える隊員なんて誰がいる?
あの場面はむしろ直人を全面バックアップすべきで、目の前の修羅場より組織の権力闘争を優先して全権&装備剥奪なんてやってる場合じゃなかったのに、結果的に主戦場の味方の戦力を大幅ダウンさせちゃったんだよな。
「滝沢、お前は急ぎすぎた!」って言うけど、急ぎすぎたのはむしろ浅見会長の方だと思うよ。
やっと避難所に辿り着き、治療を受け、ニチアサ巻で横たわる直人に、
「お前は終わりが見えてないんじゃないかってユウリが言ってた。力を手に入れた先に何があるのか」
と聞く竜也。それを認めつつも
「俺が力を追っているならお前は浅見という力から逃げているだけだ。逃げて逃げて、その先に何がある?」
と返す直人。正反対のようでいて、実は同じ物に拘っていたダブルレッドという対比。
こんな形でしか穏やかに語り合えなかったのがな。もっと歩み寄り方があったかもなのに。
今更生き方は変えられない、後悔もしていないという直人に、俺、変えるよ、生き残ればね、と言ってゼニットが暴れている先に向かう竜也。
見送る直人、吐血。やっぱり内臓やられてたんじゃん(泣)。
「ああ、お前はきっと生き残ってそうするんだろうな」
が、自分には生き残ることが叶わないと悟っているようで悲しい。
1000年後の未来ではリュウヤ隊長が今回の歴史データを音声入力。
2001年2月3日、ユウリ達が3001年に帰還したこと。
そして同日、ブイレックスのパイロット、滝沢直人死亡。
パイロット名が基本データと違う?警告に「基本データが間違ってる」と押し切り滝沢直人の名を繰り返すリュウヤ隊長。
基本データって何の?こうやって歴史をねじ曲げることが出来ちゃうってこと?リュウヤ隊長が告げれば過去の歴史がその通りに変わるの?
リュウヤ隊長が執拗に死亡と記載を命じた直人のもとに、助けた女の子がやって来た時のBGMが不穏過ぎる。疫病神か死神かって(汗)。
ありがとうって言ってる顔がちっともありがとうって感じじゃなくて、鳥が逃げちゃったから悲しいのとお兄ちゃんが心配なんだろうけど、ちょっとイラッとしちゃった。だからってどんな顔見せればそう思わないのかわからない。たぶん八つ当たり。
このお兄ちゃんは君を守るために命落としかけてるのに、まるで直人がしくじったみたいにそんな悲しそうに空っぽの鳥籠提げてくるなよって。
そこに逃げた鳥が窓辺にちょっと止まって飛び去って、即座に鳥籠を「貸して」と捕まえる約束をする直人。
力を求めてきた直人がここで生き方を変えようと女の子のために無償の行為をしようとした、って見ることも出来るしそういう見せ方なのかもだけど、私にはむしろ、この人またこれだよって感じだった。
普段あんなギラギラしてるくせに小鳥好きな子供相手だとどうも優しすぎるお兄ちゃんになって、大事に飼ってた小鳥も自分には残り少ないと知った時間もあっさりあげちゃうのがアヤセよりも儚く感じてしまう。
優しいといっても口調は特に作ったりしないでただ圧が抜けだけだから余計に。
むしろ永くない命だからせめて女の子のために小鳥を捕まえることに使おうと思ったのかな?
直人が小鳥を捕まえようと、傷付いた体をおして階段を上るころ、1000年後ではデータの書き換えが完了。
まるでそれを見越したかのように1体だけはぐれたゼニットの銃が直人を撃つ。
遅れて駆け付けた竜也に抱き抱えられた直人は、鳥籠に小鳥が収まっているのを確認して、「浅見、お前は変えてみせろ」と言って息絶える。
直人が死んだのは力を求めて急ぎすぎたから?
そういう見せ方なのかもだけど、そうは思いたくない。
確かにいろんな因果応報はタイミング的に重なったように見えるかもだけど、結局彼が命を落としたのは、自分が切羽詰まった状態でも子供の危機を見過ごせないヒーローで、小鳥が好き、小鳥を好きな子供が好きな優し過ぎるお兄ちゃんだったからじゃないの?って。
なんというか、直人のこれまでの生き方を否定したくないんだろな。
誰もいないトゥモローリサーチにロボターの「みんな帰って来ないタイム」の声だけが響く。直人すらいなくなって独りぼっちの竜也。キツい。ここでついこないだクリスマスパーティーやったし、大晦日には直人まで来てVレックスの大掃除頼んで、楽しくて賑やかだったのに。
翌日、歴史では大消滅が起こったとされる日、たった独りでも最後まで戦い抜くとゼニットの大群の前に立ちはだかる竜也。
その1000年後、記憶を書き換えるためにシオンを連れ出そうとするロボットにまずアヤセが飛びかかる。どんなにいい時代でもこのまま受け入れられない。たとえ死の恐怖から解放されるんだとしても。アヤセらしい。
ドモンも続く。君はそりゃそうだよね。
ユウリも。「竜也や、竜也の時代を犠牲になんて・・・違う。本当は理由なんてない。ただ、行かなきゃいられないの」
今回、好きな台詞が多すぎて困る。
ユウリの場合、家族の命の事があるから頭で考えたらぐっちゃぐちゃになって下手すると身動き出来なくなりそうだけど、そういうのを全部吹っ飛ばしてシンプルに「行かなきゃいられない」ってのが凄く良い。
独りで戦う竜也と、竜也の元に戻るために走り出すユウリ達、で続く。
長くなったので最終回は次の記事で。