キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

タイムレンジャー39話40話感想: 死の恐怖に晒された時に

■39話

シオンが1週間眠ってたら、てっきり大人組が数日間絶食でその辺りにバタバタ倒れてる地獄絵図が繰り広げられているんじゃないかと思ってたんで、おかずが超慎ましいだけで三食きちんと食べてる感じにちょっと拍子抜けした(笑)。

 

ドルネロさん知恵と情が錯綜してる。ギエンの暴走を憂い、自分のビジネスに支障が出てくる前にパンデミックを防ごうと知恵を出し敵であるタイムレンジャーにも働きかけ、でもそれをしっかりビジネスチャンスに繋げて、油断なく敵の出方も読みつつ打てる手は打ってまんまと5億稼ぐ。

目的が人間の悲鳴とか命でなく金だとこうして順調に敵サイドの有能さが実を結ぶのをしっかり描けるんだと改めて。

でもドルネロさんがこの世界で成功するほどギエンとの距離を作り、ストレスで追い込んでとうとう壊してしまったのかと思うと皮肉。

 

未来で殺人ウイルスがばらまかれたのが2961年てのが細かい。

その20年ぐらい後に生まれた若いユウリ達4人はワクチン接種をしておらず、それなりに長く生きてきたドルネロだけが、恐らくそのパンデミックに遭遇してワクチンを接種しており、この21世紀で唯一、ワクチン原料の持ち主であり希望になるんだから。

 

本部長になった滝沢は帽子が紺のキャップから赤のベレー帽に。

でも個人的には滝沢直人は赤のベレー帽より紺のキャップの方が良いな。赤だとなんかコスプレ感があって、見ていて落ちつかない。

 

殺人ウイルスによるパンデミックを防ぐ必要があったとはいえ、ポンと5億とワクチン製造施設を用意出来るシティガーディアンズ、いや浅見財閥凄い。

これで見事に事態を治めれば政界にだって今以上に恩を売って影響力を及ぼせるけどどこまで突き進んで行くんだろ。

滝沢が「<力は必要だろ?>って」とアヤセ経由で竜也を煽りたくなるのもわかる。

だけど竜也が真に受けて

「その通りだ。俺が間違っていた。やっぱり浅見の家に戻るよ」

と言ったらそれはそれで「言うんじゃなかった(泣)」ってなっちゃうんじゃないかと思うけど(笑)。

 

「力は必要」を受け入れつつ

「でもそれだけじゃ生きられない」

というアヤセ。

今回ドルネロの取引提案に真っ先に乗ったのは「1%でも可能性があるならそれに賭けたいはず」な感染者達の気持ちが誰よりもよくわかるから。

 

殺人ウイルスに感染して死の恐怖に晒されてるエンボスは自分だけ死ぬのが嫌で一人でも多く道連れにしてやると無差別にウイルスをばらまく。

不治の病で死の恐怖に晒されてるアヤセは感染者の気持ちがわかるから見ていられず助けたくて必死でワクチン原料を守って逃げる。

凄い対比。

 

原料を守り通した結果無事にワクチンが行き渡ったとしても、それはアヤセの延命にはこれっぽっちも役に立たないんだよ。死ぬ運命は変わらない。

それらを全部受け入れた上で、自分には逃れられない死から他人を助けるために率先してドルネロの提案に乗り、滝沢に頭を下げ、取引をぶち壊しかけた滝沢を殴り、体を張って全力でワクチン原料を守ろうとする。

そもそも、発作を恐れ免許証をなくしたふりして、本来何より得意で好きだったはずの運転を控えるのは、人知れず発作を繰り返して自分に死が近い事を自分の為じゃなく他人の為に受け入れたから。

そんな気高い思いを、自分だけ死ぬのが嫌で殺人ウイルスばらまくような奴に

「そんなに自分だけ生きたいのかっ!」

と罵らせるのがエグい。

アヤセが落とした免許証を拾って全てを悟った竜也が、エンボスに怒りをぶつけるのがめっちゃ燃える。

 

なくしたはずの運転免許証1枚で

アヤセの病状の進行と、それを認める辛さと恐怖と覚悟と仲間を騙す後ろめたさ全部表現出来るんだもんなあ。

それを感じとったからこその竜也の怒り。

その後も、危険だからとやめたはずの運転でワクチン原料を研究所に届けようとするアヤセが心配でたまらず、タックに半泣きでフォローを頼む必死さがぐっとくる。

 

だけど・・・ラストで土砂降りの雨に打たれて意識なく倒れているアヤセを見た時、アキバレンジャーを先に見ていたことをこんなに後悔するとは思わなかった(汗)。

「信夫が突然ペットボトルの水を頭から被って再現しようとしてたのはこれかあ!」

って、頭の中にそのシーンが同時に浮かんでしまって・・・。

余計な知識が何もなかったらどんなにかショッキングで、どっぷりドラマに入り込めただろうにぐあああ(泣)。

 

 

■40話

ドルネロさんは本当に転んでもタダでは起きないな。

ギエンが以前と変わってしまい、もう荒療治して閉じ込めておくしかないことを心でしっかり悲しみながら、ギエンがそうなってしまったために起こったことを徹底的に金儲けに利用しようとする。

ワクチン原料になる自分の血を5億円で売っただけに飽き足らず、敵にワクチンを作らせそれを横取りしまたしても高く買わせようという目論見。

ワクチン原料に5億円出すなら出来上がったワクチンにはそれ以上出してもおかしくないしね。

逆に言うとギエンに対する悲しみを金儲けに変える事に慰めを見出しているような気がしないでもない。そうだとするときっととてつもない大金でなくてはならないだろうな。

 

とうとうアヤセの病気が他のメンバーと、それから直人にも知られた。竜也ひとりがいろいろ辛かったから、どちらかというとこれで皆の問題になってホッとしたりして。

見応えありすぎでなんか逆にあんまり書く事がなくて困る。

あんなに対立していたドモンがあんなに必死にアヤセの体調気遣って顔ぐちゃぐちゃにして泣いたこと。

30世紀では独りぼっちだったシオンが仲間を得てはしゃぐのなんて無理もないことなのに、それを恥じずにいられなくなってしまうこと。

何が正しいかわからなくてもアヤセの意思を尊重した竜也の気持ちに、一番早く近づいたように見えるのがユウリだったこと。

 

アヤセが1%の可能性に賭けているとすれば、それは30世紀のわかりきった検査や治る望みのない治療ではなくて、21世紀でタイムレンジャーとして先の見えない戦いを続けることで、自分の明日を変えること。

それが何にどう繋がるかなんて今はわからないし、繫がる保障なんて何もないし、むしろ激しい戦闘があったりして危険でもある。

それでも明日が見えない分だけ、まだ希望が持てるのかもしれないのか。

その気持ち、わかるようなわからないような。

30世紀からイレギュラーにやってきた怪人によって危険にさらされ続けてる竜也含む20世紀の人々を置いて自分だけ帰れないってのもあるのかもしれないけど。

 

病気のことを知った時、竜也は何が正しいのかわからず、アヤセの病気をユウリ達に黙ったまま現状維持することを選ぶしかなかったけど、今度は他の3人も同様に背負う。

「これからもアヤセに助けて貰う」って竜也の言葉がなんか良いな。病気のことがあっても、これからも一方的に気遣いフォローするだけの関係にはならないし、しない。それがアヤセの望んだことだし、それ以前に相変わらずタイムレンジャーにアヤセは必要なんだと。

 

前回、取引の際ドルネロを逮捕しようとしてアヤセに殴られた滝沢。

アヤセの病気のことも知り、今回は心情の説明をする台詞は物足りないくらい一切なかったけれど、できたワクチンを必ず必要な場所に届けるという気構えだけがいつにも増して伝わってきた。

怪人を倒しての帰途、歩きながらじゃれあう5人を黙って見送る滝沢の脳裏に

「(力も必要)でもそれだけじゃ生きられない」

というアヤセの言葉が響く。

前話でそう言ったアヤセを見下ろしていた時に浮かべていた薄笑いはもうない。

以前浅見パパのスカウトを断った4人のことを「おめでたい」と評したけれど、とんでもなく重たいものを抱えて活動していたことを知って、見方が変わりつつあるんだな。

 

一方ギエンはなんか変なおしゃぶり改めバルブみたいなのを差し込まれて苦しんだ後に幼児化。シャボン玉吹いて「綺麗だなあ、綺麗だなあ」って、不気味で怖いし悲しい。同じ人なんだろうけど声まで変わって声優さん凄い。

 

あとアヤセに1つ聞いてみたいんだけど、

「お前そういうの好きだよな」

とか言いながらシオンと一緒に「必殺仕事人」見て三味線屋勇次のアクションを、

「かっけーな、いつかやってみるか」

とかこっそり思ってたりしませんでしたか(笑)?