キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

タイムレンジャー50話(本編最終回)感想: 自分の明日を変えるために

脱走したユウリ達は追われる身になり、リュウヤ隊長は抵抗するなら射殺しても良いと言う。21世紀に行く前より良い人生になったのになぜだと苛立ってる。

まあ、理解出来ないのは仕方ない。でも射殺は酷いだろ。過去を変えようとする事は、本来そこまで重罪なのか。でも自分だって歴史に介入してたよね?

追い詰められた4人をゴミ捨て場に匿ったのが周りからエネルギーをかき集めて動けるようになったタック。この場所に捨てられていたのがこんな形で活きるとは!

タックが示した脱出方法はタイムジェットを奪還して過去に跳ぶこと。作戦がかなりハードで、下手すると死人が出そうなレベルでビビった。ガンガン銃撃戦とかやってて、まるでスターウォーズみたい。

コントロール室で操作していたアヤセとタックがリュウヤ隊長に見つかり

「生きていたいんだろう?」

って留まるよう説得するリュウヤ隊長に暫く逡巡するも

「ああ、ただし自分が選んだ道でな」

と返すアヤセが格好いい。

もみ合いになり、駆け付けたユウリ達の前で銃が暴発して血を吐き倒れるリュウヤ隊長。

本当のタイムファイヤーはリュウヤ隊長だったんですねと指摘するタック。

どの時点で知ったんだろう?直人に告げた時にはもう?それともこの部屋で基本データに接続したから?

 

リュウヤ隊長は6年前、Gゾードの実験失敗の時、時空に飲み込まれ、自分がタイムファイヤーとして20世紀に派遣され、そこで殉職する未来を見てしまった。

ブイレックスは本来は実験失敗で行方不明になったんじゃなく、タイムファイヤーの正式な装着者リュウヤ隊長のメカとして共に派遣されることになっていたのか。

ブイレックスが実験失敗で行方不明になったとされているのが2994年ならGゾードと同じ6年前。つまりブイレックスが行方不明だったという歴史は、リュウヤ隊長生き残り作戦の一環として最初に仕組まれねじ曲げられた可能性が高いと。

直人がブイレックスやVコマンダーを手に入れた時、取り返そうともせずに静かに「動き出した・・・」って言うだけだったのは、下準備に6年かけた生き残り作戦の一番肝心なところ、20世紀に放り投げたVコマンダーとブイレックスを誰かが入手しパイロットになってくれるのを祈るように見守っていたからってこと?

 

直人が彼なりに必死に頑張っていたのは力を手に入れて自分の明日を変えるためだったはずなのに、実はたぐり寄せていたのは自分の死だったって事になっちゃうの?奪われたVレックスを奪還するためにあんなに力の限り走って叫んでたことも。

 

でも直人が力への欲のために仕組まれた死の罠にまんまと落ちたとも思いたくない。

2回目の戦闘で早くも隊長が負傷離脱するようなあんな危険な職場、Vコマンダーとブイレックスを手に入れてなければシティガーディアンズはずっと戦力不足のままで、直人はもっと早く殉職してる可能性も決して低くはなかったとついつい思いたくなるし、直人がタイムファイヤーになって戦ってくれたから助かった命もたくさんあると思ってる。

でもふっと思う。もし直人がVコマンダーを素直に渡していたら、それを与えられた誰か別の隊員がVレックスのパイロットとして死んで、直人は助かっていたんだろうか?浅見会長は実は直人の延命のチャンスを与えていたことになるんだろうか?

でもリュウヤ隊長は死亡者として滝沢直人の名を連呼していたんだけど。

 

他人を身代わりに死なせるとか、ヒーロー側の上司の所業としてはショッキングだよな。仲間割れで敵と対峙中の味方の装備を剥奪といい、本来敵組織のやりそうなことを正義側上層部がガンガンやってるのがタイムレンジャーという戦隊の恐ろしさだよ(汗)。

 

ただなあ、直人となんだかんだ交流してたシオン達やずっと見てきて感情移入してた私達から見れば、身代わりにしたのは確かに酷い。でもリュウヤ隊長にしてみれば1000年前の会ったことも話したこともない、しかも何もしなくても大消滅に巻き込まれて死んだかもしれない人間を一人身代わりにしても罪悪感は薄かったかも。

現代の自分に置き換えると、例えば病で余命数年を宣告された時に、

「疫病や飢饉で人が簡単に死ぬ平安時代の誰か一人に身代わりになって死んで貰う方法がある。お前はそいつの顔を一度も見ることなく1000年後のこの時代で祈っていさえすれば助かる」

って示されたとしたら、

「1000年前の人間だってその人の人生をちゃんと生きているんだから身代わりなんて酷い事はできない」

と突っぱねられるか。私は自信ない。

 

ただ、「自分の死を知ったら、それを変える方法があったら、誰だってそうする」と口から血を流しながら言ったリュウヤ隊長を抱き抱えていたのは、同じく死の恐怖をずっと抱えながら、生きたいけど手段は選びたい、他人を犠牲にするどころか人一倍他人を助けたいと思うアヤセだったんだよな。死の恐怖に晒されてるために、他人の恐怖がわかるからと。アヤセには他人を身代わりに出来るかもという選択肢は与えられなかったけど、与えられても選ばなかったろうなとは思う。

 

同じく死の恐怖に晒された時に、無差別に他人を道連れにしようとしたエンボスとの対比が凄かったけど、他人を身代わりにして逃れようとするリュウヤ隊長との対比もエグい。

 

一方でリュウヤという名前は、主人公の名前「竜也」のもう1つの読み方でもある。そんな名前の、主人公と同じ顔を持つ男が、「自分の明日を変える」という同じ言葉を原動力に、自分のため他人を犠牲にするという主人公とは正反対の行動をとっていた、という対比も合わせ鏡のようで恐ろしい。

 

竜也と直人

竜也とリュウヤ隊長

リュウヤ隊長とアヤセ

 

タイムレンジャーは合わせ鏡たちの物語でもあったんだろうか。

 

時間保護局の追っ手を蹴散らし銃撃して、禁止を破って勝手に歴史を変えるため過去に飛び、後にはリュウヤ隊長の死体という状況。

戻って来た時にユウリ達がどんな罪に問われるかと思うと結構気が気じゃないんだけど、1度は処分されたはずのタックがリュウヤ隊長の企みを全て報告することでフォロー出来るんだろうか?どんな極悪人も死刑はないから最悪でも圧縮冷凍なんだけど。

それとも彼らが大消滅を止めることでまた歴史が変わって、そのあたり何とかなってたりするのかな?ゴーカイジャー40話はそういう意味でも救い。

 

ホナミちゃんは赤ちゃんを見るなり駆け寄ったり、女の子を見て微笑み

「私なら大丈夫だから30世紀を守らないと」

と言った時にはもう自分の身に起きた事を知っていて、それを不安や苦難よりも喜びや支えとして受け止め、全部一人で引き受ける覚悟をしたんだと思う。

そういう目で見ると瓦礫の中を逃げてる恐怖と不安の極限状態で再会した時にさえ、その事を打ち明けて引き留めたりせずに別れを受け入れた健気さに泣けてくる。

ドモンを遠くに見つけた時の瞳は薄汚れた顔の中でキラキラしていて、今までで一番綺麗だと思った。

 

ホナミちゃんにとって「未来」という言葉は、愛する人がいる絶対に届かないけど繫がっている世界であると同時に、自分と付き合い始めたドモンが次第に軸足を自分のいる21世紀に移すほど大事に思ってくれた証なのかもな。

それを踏まえてまたゴーカイジャー40話を見てみようかな。

 

ギエンはすっかりおかしくなって、タイムレンジャーのことも、自分がドルネロを殺したこともわからなくなってしまった。

頭の中に残っているのは、何もかも破壊したいという気持ちと、それをドルネロに見て貰い喜んで欲しいって気持ちだけ。

「ドルネロ、どこにいるの?」って幼い口調が物凄く、誰も側にいてくれない独りぼっちな感じがして哀れ過ぎる。倒されて瓦礫の中に放り出され

「ドルネロ、僕お金を数えられるようになったよ、1、2・・・」

その次に来る数字をちゃんと覚えていたのかどうかわからないまま崩れて、爆発じゃなくキラキラ消えたのがもの悲しい。ドルネロも言ってたけど、どうしてこうなっちゃったんだろう。

 

シティガーディアンズがVコマンダーのボイスキーを解除したことは直人を窮地に追い込んだけど、それによって直人の死後、受け継いだ竜也がVレックスを操れるようになったから、大消滅を防げる道が開けた。悲しいし残酷だけど脚本上手すぎる。

 

戻った4人にはどんな世界が待っているんだろう。

タックの送り出す時の言葉

「君たちの選択は間違っているかもしれない。でも僕は信じる。君たちが自分で選んだ明日を。そこでまた会おう!」

が希望を感じさせてはくれるけど。

ただ、4人は誰も世界の2/3が消滅するなんて地球規模の大惨事の歴史を知らなかったということは、4人がもともといた世界は、21世紀の大消滅が起こらなかった世界から繋がっていたんじゃない?と思うと、そんなにかけ離れず、ただし30世紀の科学力でもうちょっと良い世界になってたりすると良いかな。

 

そう考えると「21世紀が消滅する正しい歴史」「30世紀が消滅する間違った歴史」の「正しい」「間違った」は、リュウヤ隊長が自分の生きる30世紀を守りたくてそう区分し、「正しい」歴史が選ばれるよう画策していただけで、本当は21世紀の大消滅の方が間違った歴史でそれこそ過去への深刻な干渉に該当したんじゃないのかな?

とするとリュウヤ隊長は自分の命だけでなく31世紀を守るために、自分の手を汚した孤独な闘いを人知れず6年間続けてきたある意味ダークヒーローって見方もできるの?

でもリュウヤ隊長って中途半端に歴史を守ろうとして事態をより冷酷な方向にもってったけど、必ずしも歴史通りばかりではなく、例えばもしかしたら竜也が会長代理を拒否したから浅見グループ存続のため会長は死ぬ運命を免れたのかもと思うと、リュウヤ隊長も、案外身代わりなんか考えずに、死ぬ予定だったけど生かした4人と最初から一緒に協力して一生懸命戦っていたら、助かっていた可能性もあるのかなあ?

 

白い空間の中での別れ。ユウリの「竜也が作る明日の中に生きているの」が、本当になあ。31世紀に生きてる人達には必ず21世紀に祖先がいるし、21世紀の人達のしたことが、どんなに遠くてもいつかは31世紀まで繫がっていくんだから。

 

1年後、ジョギング中の竜也は、公園にママ友達と集うホナミちゃんとドモンジュニアに声をかける。ホナミちゃんはシングルマザー道を突っ走ってる感じで、凄く明るく元気そう。

そのあと、浅見会長を乗せた車が竜也を追い越し、浅見と自分なりに向き合えそうな未来を感じさせる竜也のモノローグ。

そしてユウリ(OLか女子大生?)、アヤセ(引っ越し業者?)、ドモン(保育士)の祖先とおぼしきそっくりさんと接触。まずホナミちゃんはそこの保育園に息子を預けてみようか。シオンのそっくりさん(高校生)と直人のそっくりさん(ペットショップ店員)もいたりしで、なんとなくほわんとした気持ちになる。

竜也は二度と4人には会えないし、ホナミちゃんも二度と愛する人であり我が子の父親には会えないけど、それでも前を向けるいいラスト。てかどいつもこいつも前しか向いてない。「自分の明日を変える」がテーマみたいなものだから当たり前か。

 

凄く面白かったし、濃い半年だった。私にとっては初めてレビューを完走(1~6話はまとめだけど)した戦隊。

最初から普通に面白かったのに、尻上がりにどんどんパワーアップして息切れしなかったのが凄い。敵も味方もキャラ描写が凄くしっかりしていたし、最初から最後まで、縦軸が凄く良く考えられてたんだなって、改めて圧倒されてる。

たぶん終わってからも湧き上がってくる感想とかはあるんだろうし、それをまた記事にすることもあるかもだけど、とりあえず今は、ありがとうタイムレンジャー