ルパパト30話感想: 杞憂、それから魁利のことなどなど
予告でルパンカイザーがトリガーマシンのスプラッシュを使っているのを見た時に、ついにテコ入れがと胸が潰れる思いで、でも東映公式は「必見です」と胸を張るし、彼らの思いと底力を推し量ることもできず、どこまで信じていいのかもわからずただ祈ってた。
でも。
今回の圭一郎が市民優先でルパンレッドにビークルを託す激アツ展開は、販促テコ入れでルパン側に玩具を集中させるというこの路線変更がなければ生まれなかったよね。
逆境を逆手にとり、こちらの心配を「だから必見だと言ったろがあっ!」と蹴り飛ばすようなお話に仕上げて見せたスタッフさん達にしばらく震えが止まらなかった。
快盗にトリガーマシンを使わせる
警察の株は高め維持
このパズルを解くのに選ばれたピースが
遠距離と両陣営のビークル特性
圭一郎と魁利の性格と関係性
それらをはめ込んで完成したのが、ルパパト民の期待限界値をぶち抜く、温泉地で二人旅するWレッドの図からの特濃葛藤劇だとか、もうなんなのこのスタッフさんたち。脱帽。
今回の魁利。
「君は付き合わなくていい」と突き放された直後に兄貴と迷子の女の子のカットが入ったせいで、魁利がさっさと髪飾り買ったのはてっきり、早く解決してもっと圭ちゃんといろんなとこ回ったり遊んだりしたかったってのもあるんじゃないの?と思ってしまった(汗)。
だってそれまで楽しそうだったし、普通あんなにすぐ見つかるとは思わないし見つからなくても不思議じゃないけど圭一郎は見つかるまで延々捜してそうだと思うのも辛いし。
魁利は既にゴールの見えない捜し物を1年半も続けてるから、たとえ子供の髪飾りだろうとそういうのをもう一つ抱え込むのも親しい人が抱え込むのを見るのもきついんじゃないかなと。
まして自分の方は胡散臭いルパン家当主の非現実的な力が頼みなんだから、他に簡単に解決できる方法があるなら頼りたくなるかもなあ。
自分にはそういう選択肢ないんだから。
あとそういうのに付き合わされて中々見つからないと焦燥感や絶望が自分の捜し物にも波及して来そうなの私なら嫌。香村さんはジュウオウジャーでもスイッチ捜しの話でそういうのやってたの思い出した。
ちび魁利があの年で「女の子助けてあげようと言えなかった俺」をかっこ悪いと恥じていたのにびっくり。
「そんな高尚な自己嫌悪なんか10年早いわ年相応に自分の寂しさしか見えないガキんちょやってろ」
と言いたくなったけど親を早くに亡くし兄貴と二人だけでわがままになりきれない環境もあるのかな。
魁利は今でも未成年なのに頭が切れて周りがよく見えてて序盤で驚いたけど、小さな頃からそうだったんだね。
でも足腰弱い幼いうちから自分や周りが見えすぎて美意識高くて、そういう子の周りにハードル高い兄貴しかお手本いなかったってきついな。早熟だけど未熟な自分が分不相応な理想に無理して近づこうとして耐えられず押し潰されるコースを辿ってしまった感があって痛々しい。
結果兄貴みたいになれない自分を全否定して、その反発の最中に兄貴を目の前で失って今に至るのかなと。
魁利はどこかで「自分なんて」って思ってるから簡単に自分を投げ出せるし唯一の価値基準の兄貴を取り戻すためなら他に大事なものはいらないからあの空っぽな部屋にいるってことなのかな。
たとえ取り戻せたとしてもどこかの段階で兄貴から卒業しないと前に進めなそうだから、そのきっかけになるのが圭ちゃんかなと思ったら似てやがるとかどうすんのかなこれって感じ。一筋縄ではいかないなあ。
5、6話では「あの熱血おまわり」として躊躇なく撃てた相手が、人間的には大好きでさっきまでじゃれていた「圭ちゃん」になってしまったことで撃てなくなってしまったという変化が今回。それがコンプレックスぐっさり突かれて「似てんじゃねえよめんどくせえ」で陰を帯びて不穏な感じもしてきたけどどっちの方向に向かうんだろう。
今週のノエルさん。
コレクションが猛烈な悪臭を消していたと知って
つかさ「快盗!そ、それを金庫に戻せ!」
透真「戻すかあっ!」
生命と存在意義をかけた極限状態での魂からの叫びをぶつけ合う二人の間で
ノエル「ちょちょちょ、待ってぇ(汗)」
普段は余裕綽々で両陣営を振り回したり仕切ったりして、自分が疑われても責められても飄々と受け流すくせに、両陣営がもめ出すと途端に間に挟まってオロオロしだすノエルさんがかわいい。
隠し事をされた時の反応や表情も良かった。
自分が魁利に圭一郎を探らせたことで起きた変化をどう受け止めるのか受け止めないのか。快盗の中でも空っぽの部屋を見てしまった魁利のことは特に気にかけてるんじゃないかなって願望込みで見えるから気になる。
パトレン達にとってのコレクション、VSビークルについての認識は、他の方とのやりとりのおかげで今回自分なりに整理できたかな。
今回回収しようとしたスプラッシュとこれまで気に留めてなかったように見える他のコレクションとの違いは、第一に怪人の金庫の中にあるか否か、次に乗り物の形をしているか、なのかなと。
クレーンの時の経験から、乗り物の形をしていれば既に改良済みでたとえ出所がギャングラーでも使えると思い込んでいそうだけど、それがもし怪人の金庫に入っていたら市民の安全第一で金庫ごと撃破優先なんじゃないかなと。ビークル奪還のために怪人との戦いを引き伸ばそうとしたらビンタだったし。
今回は相手が人間ならVSビークルを回収して戦力強化を図れる貴重な機会だった。現時点で快盗にしか新ビークルを渡さないノエルは信用できないってのが冒頭の下手すぎる隠し事にも繋がっていそうだし。
でももし相手が実はギャングラーで目の前で金庫にしまったら、圭一郎は即座にスプラッシュを諦めて倒そうとしたのかもと思ったりする。仮に金庫を開ける手段があったとしても、それで怪人を取り逃がして市民の被害を拡大させるよりは撃破優先なのかなって。