キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ゼンカイジャー15話感想: カラフルは新しい世界への第一歩

カラフルを外から覗いていた男の子は最近引っ越してきたばかり。新顔の子供ちゃんに早速食いつくガオーンやヤツデさんたちの歓迎ムードにも尻込みして帰ってしまう。「昔の自分見てるみたいで、辛っ・・・」と言うマジーヌの言葉を聞くヤツデさんの、何か思い当たったような表情が印象的。

追いかけようと外に出た介人たちの前でまたしても世界に異変が起こる。

 

今回の怪人はレトロワルド。その力で、スマホが昔懐かしい黒電話になったり車がオート三輪になったり。算盤とかもうすっかり見かけなくなったな、と遠い昔になった子供時代を思い出した。

町並みもレトロに変わって、なんか「三丁目の夕日」の趣き。

そこへ例によって上空からゾックスがヨホホイと来襲。いきなりダイブじゃなくてワイヤーでゆっくりとなのは、カタツムリワルドの時の苦い経験から、世界丸ごと影響を及ぼすタイプの敵には用心するようになったのかな?

すぐにゼンカイジャーたちも参戦。「また手柄取られねえうちに」とジュランが言ってるのは、一緒に祝勝会をやってもなし崩し的に完全な仲間になったわけではないと改めて線引きしてるみたいで、こういう台詞の使い方が香村さんは相変わらず上手い。

 

一気に多勢に無勢となりボコられて戦況不利とみたレトロワルドはレトロ電波発射。

介人たちは装備がレトロ化して変身解除、しかも外見もレトロ化して、介人はまるで70年代のアイドル歌手とかみたいな髪型と服装に。ごめん、正直いつもの普通な良い子っぽい髪型より格好良く見えるかも(笑)。

ジュランはストーンウォッシュのデニムの上下(袖なし)、ガオーンはヒッピー、マジーヌは70年代の幼女、ブルーンは鳥撃ち帽にインバネスコートで探偵みたいな姿に。眼鏡も黒縁丸眼鏡に変わってるのが細かい。

そんでゾックスもなんだか昔のステージ衣装っぽい白のフリンジスーツ姿(笑)。色素薄いから余計に白っぽく感じて、予告で見た時は最初誰かわからなかった(汗)。再度変身しようとするも、ギアダリンガーも木製にレトロ化して音楽も鳴らず、無音のまま律儀に踊ってるのが凄くシュール(笑)。

ボソボソと「教えてやれよ」と呟くジュラン、やっと変身出来ないことに築き驚くゾックスに、「気付きましたあー?」って棒読み敬語でおっ被せるな(笑)。

レトロの影響力は上空の海賊船も木製の帆船に変えてしまう。墜落していく船を追いかけ妹弟たちの名前を叫びながら血相変えて猛ダッシュのゾックスに、やっぱりこの人の普段の余裕な態度は妹たちを安心させる鎧なんだなと改めて。

8話ラストに登場して以来、ここまでの全話数の半数近く続いたツーカイザー販促期間もひと段落して、いったんゾックスからスポットを外すとともにキャラをもう一段崩してきた感じ。

 

トジデントでは相変わらずボッコウスの振り下ろす鉄拳で幹部2人が跳ねまくっていて、高くゆったり弧を描いた宙返りも好きだけど、数で推してく中澤監督スタイルも好き(笑)。

今回の作戦はバラシタラでもイジルデでもなくゲゲの独断だった。相変わらずボスの寵愛を一手に受けてるけど、何となくポジション的に香村戦隊だとナリアやゴーシュを思い出して、こいつも最後は無残に切り捨てられるんだろうか?とついつい思ってしまう。

 

この世界の人々は突然世界が一変しても相変わらず「あっちゅう間に馴染んじゃって」、むしろ目をキラキラさせて「レトロ可愛い~」と楽しんでいる。さすが突然大量発生したキカイノイドたちともたった数ヶ月で平和的な共存関係を築き、「(頭に)キノコ生えるくらい良くない?」と言い放てる適応力と大らかさを兼ね備えてるだけあるわ。

なお道行く人々のファッション見ると、一口にレトロと言っても時代は一定じゃなく、いろいろ混じってるみたい。

 

でも、冒頭でカラフルを覗いてた子、諒くんにとっては見知らぬ世界のダブルパンチ。すっかり途方に暮れ、道端で体育座りしてしまう。慣れるのに時間のかかるタイプの子には、こんなの一気に来られるとキャパオーバーになるよなあ。

それをヤツデさんが見つけ、逃げたレトロワルドを捜していた介人たちも合流。皆が単にレトロ化された世界で帰り道が分からなくなった心細さだと思って励ますのを、マジーヌだけは「じゃなくて!その子、引っ越して来たくなかったんだと思う」と過去の自分と重ねて正しく理解し、寄り添う。

でも自分も内気なマジーヌは、分かるからこそちょっと離れた場所からそれ以上踏み込めなくて、そのバトンを受け継いだのが、冒頭でマジーヌの「昔の自分~」を聞いていたヤツデさん。

そう言えばマジーヌが初めてカラフルに来た時も、彼女の心細さが分かるや否や速攻で同居しようと助け船を出してたっけ。

あくまで明るく元気に自分を「ヤッちゃん」と名乗り、一緒にこの世界を探検しに行こうと提案。

「こんな時に?」なガオーンに

「どんな時もだよ!今とこれからを、笑って過ごせる方がいいだろ?」と笑顔で言い放つと、諒くんの手を引いて元気にしゅっぱーつ。

介人はその姿に、両親がいなくなった後、自分を育ててくれたのがヤッちゃんだからと語る。五色田夫妻=両親が消えた直後、寂しさと不安で落ち込んでいた介人を、ヤツデさんは目一杯元気な顔と声で励ましてくれた。

私はむしろ母親としてのヤツデさんに感情移入してしまうので、我が子が行方不明になるなんて彼女にとってもダメージは大きいはずなのに、孫のために頑張って元気を振り絞ってるんだなと切なかったな。

 

ヤツデさんは諒くんにいろんな物を見せて体験させて楽しませ、そうか今の子は、つまみでチャンネルを変えるテレビなんて知らないんだな、と今回は懐かしさと同時に自分の体験してきた物や時代がもはや「レトロ」のフォルダに仕分けされているのをしみじみ実感して複雑な心境(笑)。

 

そんな街中を独り鬱屈して歩いているのは、前回ゼンカイジャーと界賊のタッグに手痛い敗北の洗礼を受けたステイシー。イジルデとも手を切って次に打つ手を考えるべきかと考えつつ、踊る竹の子族の異様な光景に足を止めたところで、ヤツデさんとの出会いはスローモーション。

私、ヤツデさんを一番必要としてるのはステイシーだろうからカラフルに来てほだされる展開を望んではいたけど、まさかステイシーが一目で自分の母親と重ねて来るとは思わなかったよ(汗)。

榊原郁恵さん、介人のような大きな孫がいる祖母としては若過ぎるくらいのキャスティングだなと思ってたけど、若い俳優さんが演じる少年?の母親と重ねる狙いがあったってことなのかな?今は40代50代の女優さんて皆若くて綺麗だから、ステイシーが慕ったら生々しく見えちゃうかもしれないけど、郁恵さんはそれを防ぎつつ母親と重ねられる若さもあるっていう難しいラインを狙ったのかもしれない。

回想では母親の顔は映されなかったけど、衣装の感じからしてまた別の世界の人間、そんで身分が高そう。トジデントに征服された異世界の王族とかの血筋だろうか?トジデントでは臣下のバラシタラの息子なのにサブタイトルで「王子」って言われててちょっと違和感あったけど、母親が別の世界の王族で、そちらにとっての「王子」?

 

ステイシーは後ろ髪を引かれながらその場を離れ、入れ替わるように介人たちが現れて、竹の子族と一緒に踊っているヤツデさんと笑顔の諒くんを見つけると、ガオーン始め皆で喜んでいて、こいつら基本的に良い奴らなんだよなと、ほっこりする。

 

でも、一見、人々が早々に適応出来そうな世界こそが曲者なのがゼンカイジャー。「生えるくらい良くない?」だったはずのキノコたちが毒胞子を放出したように、レトロワルドがレトロパワーをアップさせると、人々は良かった過去の思い出に浸ってへたり込んでしまう。あれほどポジティブ全開だった介人もヤツデさんも、両親であり息子夫婦がいた頃の思い出にどっぷり。

突然画面がセピア色かつ左右両端が黒いブラウン管サイズ(笑)になり、中澤監督は何が起こったかを画面で分かりやすく見せるアイディアの引き出しが本当に豊富。

浜辺では界賊一家も弟たちが人間の姿だった頃に浸って無力化。プリントは昔懐かしい肩パットの目立つボディコン姿(笑)。

「昔の良かった思い出に浸り続ける事で、人々の思考は停滞し、彼らの世界は死んでゆく」

のがこの作戦の本当の狙いだった。

でもそれを打ち破ったのが、一緒にへたり込んでいたキカイノイドたち。

彼らの思い浮かべた「あの頃」が、

ガオーン→自分と同じキカイノイドたちの姿に、(他の世界の生物を知らないから比較対象がなく)なんかよく分からないけどコレジャナイとモヤモヤ。

ジーヌ→近所の子たちの輪に入れず遠くから見ていた引っ込み思案な少女

ブルーン→掃除係として名前も覚えて貰えず軽んじられ虫ケラ扱い

ジュラン→トジデント兵に路地裏で理不尽に叩きのめされるままの無力なおっちゃん

で、「あの頃・・・どの頃?」「無い!」と気付くと立ち上がり、乱暴に画面の黒端部分を物理的にはね除けると、画面のサイズと色が雑に元に戻った(笑)。

「ちげぇわちげぇわ、良かったあの頃なんて無かったわ俺たち!」

良い思い出がなかったことをテコに過去より今、未来が良いと敵の作戦を打ち破る。

ガオーンは自分の性癖、マジーヌは自分の性格に起因するんだけど、ブルーンとジュランはキカイトピアがトジデントに支配され庶民が虐げられていたのが原因。そりゃあポッと出現しちゃった自分たちを速攻で受け入れ普通に一緒に暮らして貰えているこの優しい世界の方がずっと良いよな。

ジュランたちの他にも立ち上がれたキカイノイドたちがいて、こちらの世界でいつめ仲良く共存している人間たちがへたり込んだままなのを心配している姿が、それを裏打ちしている。

あと、普段からポジティブな介人や「今とこれからを笑って過ごせる」ために努力してきたはずのヤツデさんが打ち破れなかったのは、単に今より昔が良かったっていうより不自然な形で失った大事な人たちを取り戻したい気持ちが強く、「別に取り戻さなくていい、今の方が大事」とは思えないからなのかもしれない。

そういう点ではジュランも家族を失ってるんだけど、キカイトピアではよくある事すぎて「そういう物」と消化されちゃって、かつ普段の圧制の酷さに紛れて「今の方が良い」と思わずにいられないのかもと思うと、不穏。

 

・過去にロクな思い出がないために過去に浸る精神攻撃を振り切りピンチを打開したキカイノイドたち

・片付けられない故にゴミ世界に耐性がありダメージを受けなかったマジー

・帰る場所がないために強制帰宅ビームが効かなかったルパパトの魁利

・サボり気味で肩の力が抜けてたためにスイッチ探しの苛立ちからの仲間割れを救ったジュウオウジャーのアム

 

香村さんが時々描く、マイナス面も時にはプラスに変わる局面もあるんだよって視点、結構好きだな。

 

それを待っていたかのように近くのピンク電話が鳴る。ブルーンが出ると、レトロ化で無線が使えなくなったセッちゃんが黒電話でレトロワルドの位置を特定&指示を出して、今回は絵面がホント楽しい。

 

介人は相変わらず浸りきりなので、ジュランがギアを1枚だけ拝借して、今回の等身大戦は人間抜き。

「皆が皆、昔が幸せだったと思うなよ!」というガオーンの台詞の力強さに泣く(涙)。

自力でレトロをはね除けたことでギアトリンガーも使えるようになったのか(服装はレトロのままだけど)、変身してキカイノイドだけの4人名乗り。

「介人とヤツデのいいとこ曇らせやがって」と怒り心頭のジュランたちは、ゾックス登場以降扱いが若干割を食ってた分を取り返すかのように大暴れ、。

フルボッコにされたレトロワルドが時を巻き戻して受けたダメージを初期化すると、タイムレンジャーのギアで対抗し時とダメージを元通りに。今回ジュランはこのために敢えてこのギアを選んで借りたのか。

「俺らは<今を生きる未来人>なんでよろしこ」とタイムレンジャーOPの印象的なフレーズも拝借するジュラン。

東映公式によると脚本では「俺たちは未来へ進むんでよろしく」だった台詞を浅沼さんがまたしてもアレンジしたとのことで、浅沼さんのアドリブはどれだけこの作品の面白さを底上げしてるんだろう?ホント凄い。

 

レトロワルドは撃破され、人々は元に戻る。諒くんも「僕もう元気だよヤッちゃん」と笑顔を取り戻し、頭を撫でるヤツデさんが本当に嬉しそうで、なんだか本当に八手観音様みたいだ。

 

等身大戦に加われなかった介人とゾックスも元に戻り、ダイレトロワルドにはジュラガオーンとツーカイオーで立ち向かう。

ダイレトロワルドの懐かシールド攻撃でレトロな単語しか喋れず意思の疎通が出来なくなり思い切りスペシウム光線食らってシェーとか言ってたけど、セッちゃんが攻撃は普通に効くと諭すと、私にはだいたい意味のわかってちょっと複雑な気持ちにもなるフレーズを連発しながら普通に撃破(笑)。

 

後日、介人ジュランガオーンは街角で友達に混じって笑っている諒くんを見つける。だから最近カラフルに来なくなったのかと寂しがるガオーンに、カラフルしか行く場所がないよりずっと良いと介人。

その後で諒くんは友達を連れてカラフルにやって来て、マジーヌとハイタッチ。

諒くんは、自分の気持ちを正しく分かってくれたマジーヌと一緒に未知の世界を探検してくれたヤツデさん、心から歓迎してくれるガオーンたちのいるカラフルを足がかりにして、外の世界に踏み出せたんだな。

カラフルは今はもう諒くんにとって唯一行ける場所ではなくて、行かなくても大丈夫だけど何かあったらいつでも帰ってこられる心の拠り所になったのかも。

 

そんで予告を見たら、ここまで一人だけシリアスを貫きゼンカイジャーのトンチキ世界に馴染めないでいたステイシーが、カラフルでサンデー食べてて自分から「サトシです!」って言ってるから、私は吹き出した。

諒くんがヤツデさんとカラフルを足がかりに新しい世界に踏み出せたように、ステイシーもヤツデさんとカラフルを足がかりに立派なゼンカイ世界の住人としての第一歩を踏み出せる予感に胸熱だよ。

ステイシーは、生まれた時からはみ出し者でトジデントに大事な存在はおらず、父親への対抗心から今所属している世界の悪しき価値観に添ってるだけ。

侵略対象の世界でもお金払って穏便にたこ焼き食べてたんだから根は温厚で育ちも良さそう。

初陣はつい最近で前科もなさそうだし、他所の世界に大事な存在が出来れば余裕で改心組になれそう・・・って所に母の面影を宿したヤツデさんと出会うとか、もう期待しかない。

ヤツデさんが想像以上にヒロインだったな。

 

今回、改めてカラフルの設定はいいなとつくづく思う。

・駄菓子屋カフェだから人間もキカイノイドも気軽に入れる。

・ジュラン達も店の手伝いをすることで居候にはならず、客特に人間と自然に交流する場面が作れる。

・間取りが広いからいっぱい人が入れて作戦会議もアクション交えたドラマも可能。

・もんじゃ焼の鉄板卓を囲んで大勢で一緒にわいわいご飯。

ゼンカイジャーの優しい世界観を底上げしてくれてる。てか近所に欲しい(真顔)。

今回のエピソードで改めて、ヤツデさんのいるカラフルは誰かと誰かを繋げたり誰かの世界を広げてくれたり出来る、ゼンカイジャーのテーマを象徴する場所なのかもと思った。

介人とジュランたちを繋げ、キカイノイドと人間を繋げ、ゼンカイジャーと界賊を繋げ、諒くんを新しい世界に踏み出させ、もしかしたらステイシーをゼンカイジャーとも繋げてくれそうなポテンシャルもあるんだな。

 

ゼンカイジャー14話感想: 変わっていくための洗礼

前回リサイクル戦隊ダイワルジャーに敗れて吹っ飛ばされたゼンカイジャー。意識を取り戻して立ち上がると、世界が元に戻って行く所。

きっとツーカイオーが倒してくれたんだと確信してゾックスの元へ駆けつけ、介人とガオーンは思い切り感謝を表し、マジーヌも賞賛、ジュランも態度を軟化させて、たぶんカラフルから持ち出した小さな買い物籠に山盛りのトジルギアを渡す。

「SDトジルギア、あるといいな」と介人。「こんだけあんだ、あんじゃね?」とジュラン。

でもゾックスは厳しい顔でそれを受け取り「ああ、そしたら話は簡単だ」と素っ気なく去る。

 

その理由。

味方のはずのリサイクルワルドを倒したステイシーは、ゾックスに対し、探しているギアを渡すからゼンカイザーを倒してくれと取引を持ちかけた。そんなことを言われても信用出来ないゾックスは、それでも「欲しいものは自分の手で奪いとる」と本家宇宙海賊みたいなことを言って、ギアを貰うのではなく自分をトジデントに連れていくよう条件を変更して、一応交渉成立。

「そしたら話は簡単だ」ってのは、SDトジルギアが見つかれば、介人を倒す必要がなくなるからか。本音は介人と戦いたくはないってことで、だから籠一杯のトジルギア=介人たちの自分たちへの思いやりを受け取る時に浮かない顔してたのか。。

それでも「ゼンカイザーを倒した後、もしトジデントに乗り込めなくても、俺たちに損はない」と、あくまで弟たちのためにそういう気持ちを押し殺してるっぽい兄貴を見据えて、フリントが「うん、騙されて、ムカつくだけ」と言い放つのが印象的。ゾックスも思わず妹の方を振り返る。

なんだか、損が無ければ騙されてムカつくことも甘んじて受け入れようとする兄の姿に苛立って、これでいいの?と問いかけてるようにも見える。介人達のサンバに大笑いしてたゾックスを見て戸惑ってたのと結びつけると、余計にそう思えるのかな?

「本当は介人の事、気に入ってるんじゃないの?なのに信用出来ない奴らの話に乗って殺すの?

そりゃ弟達を元に戻したいけどその為に兄貴が騙されて殺したくない奴殺して、ムカつくかもしれない道を敢えて選ぶの嫌だな・・・!」みたいな。

おまけに介人たちが集めてくれたギアは結局、全部偽物だった。それがテーブルに散らばる様は、「騙されて、ムカつくだけ」を、これから起こるかもしれない事から既に現在進行形で起きてしまっている事として突き付けているみたい。私が彼らなら、たぶん惨めだと思う。

それを受け止めたゾックスは暫く考えて「よし!」と心を決める。

 

カラフルを訪れ、介人に決闘を申し込み、ステイシーとの取引を打ち明けるゾックス。

皆が抗議の声を上げて詰め寄る中、介人だけは正直に打ち明けてくれたことを喜び、承諾する。

「不意討ちとかじゃなくて、こうやって本当のこと話してくれて、勝負だって言ってくれたんだよ?嬉しくない?」

いや嬉しくない(汗)。そこまで相手の立場に立ちすぎる君の基準で自信満々に同意を求められても困る(笑)。そんな介人を驚いた目で見つめるゾックスの真剣な表情が好き。

そのあとに「俺が勝っちゃうかもしんないけど」と笑うのは、ゾックスの心を軽くしていて、粋。スマートだな。

もともと香村さんはヒーローのスマートな会話を描ける人だけど、介人は最初にぶっ飛んだトンデモお馬鹿なところを描いてから徐々に盛り込んで来るから、ギャップで余計に効く。そのギャップもキャラブレじゃなくて、ちゃんと介人の一面なのが凄い。

 

トジデントでは、イジルデがリサイクルワルドをステイシーに倒させたことを、バラシタラが激怒して詰め寄る。イジルデがとぼけると「貴様は技術だけ提供していればいいのでアル!余計なことはするな!」。

うん、理由は後で書くけど、バラシタラがこう言いたくなる気持ちはわかる気がする。

 

介人とゾックスは、両応援団の声援の中、再び決闘。シンケンフォーム→じゃあライブマンの剣で対抗→ではオーレンフォーム→だったらバトルフィーバーの力、で体が勝手に踊り出す介人(笑)。それを見てゾックスも「ダンスで俺に勝てると思っているのか!」とダンスで張り合い、緊張感ゼロ(笑)。

これが命を賭けた決闘の一場面として組み込まれても「ゼンカイジャーだから」と許される世界観がすっかり確立してる。なんせ私も含め視聴者は、空から降ってきた途端ヨホホイ歌って踊り出す追加戦士の初登場に脳がパニック起こした経験とかでかなり鍛えられてるからな(汗)。

ゾックスが次に使ったのはキュウレンジャーのギア。介人が使った時は怒濤のラッキーパワーだったけど、今回は追加戦士、それもホウオウソルジャーじゃなくてコグマスカイブルーという変化球。その力で巨大化して介人を踏み潰しにかかる。

介人はマスクマンの力を使うも何も発動せず、ゾックスの一撃に大爆発。跡形もなく消し飛んだかのようで、ゾックスの勝利宣言=介人の死にジュランたちは嘆き悲しむ。

 

そこにステイシーが現れると、約束通りトジデントに連れて行けと迫る界賊一家に「いいとも。ただし首だけね」と早々に騙したことを明かして、クダックに取り囲ませる。

いや待て。凄くしてやったり顔なんだけど、ゾックスの戦力考えるとクダックもそんなに数多くないし、すぐ近くにジュランたちもいるし、ツメが甘いにも程があるんでは?と思ってたら、空からクダックが銃撃される。

やっぱり介人は生きていた。マスクマンのオーラパワーで宙に浮いている。最初から介人側とゾックス側が示し合わせた芝居だった。

ジュランたちが全力全開でおいおい嘆き悲しんでたのも全部、劇団ゼンカイジャーの素顔のまんま公演で、台詞とかポーズとか、お前ら練習したろ!

 

「どうして・・・疑わしくても僕の申し出に賭ける方が、目的を果たせる確率は高かった筈だ」と狼狽えるゾックスに

「だっておまえより、介人の方が面白いんだよ!」

「あたし達、ゴールドツイカー一家のモットーは」「面白そうな事にはー」「頭から突っ込めー!」

 

罠と分かってもギアを回収しようとするのを見た時は、ゾックスって一見脳天気に歌って踊ってるように見えて、本質は凄く悲観的で慎重な人なのかとびっくりした。

でも、そもそも戦う為に変身するだけなら、その前にあんな全力ダンスを組み込む必要なんかないわけで。

本質はどっちか選ぶなら面白い方がいいじゃんな人が、弟たちの呪いを解く使命感にがんじがらめになって目的の為には石橋を叩き壊してでも可能性を網羅する慎重さ冷徹さを見せてたのかな。

それが介人の面白作戦とかその根底にある優しさに触れて、変化するというより本来の姿を取り戻したみたいな?

 

罠だとわかっても可能性を捨てられずに、元人間傷付けてもギア回収するってのは、結局トジデントの策にまんまとハマめられてるってこと。

それを介人達は、人々を傷付けず、ゾックス達の目的も果たせてしかも面白い、根底にいろんな優しさと配慮の詰まった作戦を繰り出して罠に勝った。

でもそうまでして集めて貰ったギアは結局全部偽物だったことで、これ以上トジデントの思惑に乗っかる事への嫌悪感と虚しさを煽り、介人たちの方に気持ちが傾くのを加速させた面もあるのかな。

 

2話に渡ってゼンカイジャーと界賊を戦わせようとしたトジデントの作戦は、怪しいさ信用出来なさ満載であっさり寝返られる今回のイジルデ&ステイシーの作戦より、罠だと分かっていても思惑に乗せてしまうバラシタラの作戦の方が人の心理を嫌らしく突いていて優秀だと思う。

無生物の機械が専門でマッドサイエンティストな気もあるイジルデに対し、バラシタラの方は生きて意思のある敵を相手にした駆け引きや攻防の場数が違うって感じがする。

一方で、バラシタラの作戦が嫌らしい分だけゾックスたちの怒りや嫌悪感を余計に煽り、イジルデ&ステイシーの作戦の成功率を下げたかもな、とも。もし今回の作戦がバラシタラの作戦の前だったら?と思うと、ステイシーは結局父親に足を引っ張られた面もあるかも。 

 

ただしステイシーも策士を気取りながら、自分が騙しているように相手も騙し返してくる頭と可能性があるとは微塵も考えなかったんだよな。

それに対し、正面から勝負を挑んでくれたと喜んだ介人は、一見底抜けのお人好しのようでいて、不意打ちという手段を考えうる頭と立場がゾックスにあることを踏まえていた。

ぱっと見や言動から一見頭が良さそうに見えるのは介人よりステイシーだけど、相手の立場に立ち尊重して推し量る姿勢の有無が、対人関係で介人の方をずっと賢くしてるように見えた。

なんかステイシーって、境遇が理由で心を閉ざし自分の世界の中だけで完結して生きてきた人って感じがする。今回は界賊を舐めすぎっていうより、そんな人が経験不足のまま、他人の思惑がビシバシぶつかり合う現場に飛び込んで、上手くやってみせるつもりが現実はいろいろ行き届かず全敗、みたいな若干身に覚えのあるいたたまれなさを感じて冷や汗が(笑)。

「一億年早かったな」にぐうの音も出ない。

だからと言ってあんな非道なトジデントで心を開いて上手くやっていけたとしても、それはそれでどうなの(汗)?ってのもある。ただ、その外見からトジデントの中では生まれついてのはみ出し者だったろうし、誰かを面白いと思ったことなんてきっと一度もなければ、面白いことに価値を感じたこともなさそうなのが不憫ではあるかな。

 

で、たぶんバラシタラはそんな息子の未熟さを十二分に理解してたんだろうなと今は思う。正直、ステイシーがいかに反発して張り合おうとも、きっと現時点ではバラシタラには到底及ばない。

騙し返されたと知ったステイシーが敵の前で素直に可愛く(笑)涙目になってるのを見ると、バラシタラはそんな息子の初陣に本心では心配でじっとしていられず出張って、銃のエネルギー切れで袋叩きにされそうなピンチを救いドアワルドをお守りに付けてエネルギー復活の時間を稼がせたのでは?と、やっぱり思いたくなるな。

 

手を組んだゼンカイジャーとゾックスは一列に横並びで同時変身。画面の右端でずっと踊ってるゾックスが面白くてどうしてもそっちに目が行くけど、ゼンカイジャーの一斉変身って、ジュラガオーン→ブルマジーン→介人の順にくるっと回ってたんだなと今更。まともな一斉変身見るのいつ以来か(笑)。そんで初めての6人名乗り。

 

介人とゾックスの2人がかりで挑まれたステイシーは、ジャッカー電撃隊4人を召喚して対抗。スクラム組んだ必殺技?でまんまと介人をうっちゃる。

1人残されたゾックスに、セッちゃんがブルーン経由でジャッカー電撃隊のギアを使えと指示する。従うと、ビッグワンが出て来て悠々とゾックスに同化し、その指令でジャッカーたちは逆にステイシーを攻撃(笑)。

「今のはビッグワンの技、というか、権力チュン。ビッグワンはジャッカー電撃隊の行動隊長チュン」

・・・敵に操られて正義側を攻撃させられていた戦士が、逆に操ってた側を攻撃するバグを起こす要因ってのはこれまでもいろいろあった。

 

・ヒーロー側の熱い正義の心

・仲間を思う強い友情や絆

・子供達の純粋な心

・家族の愛

・ヒロインが流す涙

・一般市民一人一人の思い

・技術力の勝利

・奇跡

・・・そして今回、

・権力←new!

 

斬新だな(汗)。

ゴーカイジャーでは主に人数の都合で初期戦士枠だったビッグワンだけど、今回は追加戦士でとしてゾックスが使える力となり、見事に逆転、というか自分の出した戦士に<権力>によって逆に襲われるなんてゼンカイジャーらしいギャグなんだけど、あくまで真面目に狼狽えてるステイシーが不憫(笑)。

ジャッカー電撃隊の暗黒ギアにビッグワンがいなかったのは、もし初期戦士しか実体化する機能を付けていなかったのならイジルデの落ち度だからステイシーは怒っていいと思う(笑)。

やむなくステイシーがジャッカーたちをデリートしたところに介人が戦線復帰して、戦闘員たちもジュランたちに倒されて、いよいよステイシー1人に。

介人の「ステイシー、これで終わりだ」は、本気で倒そう(殺そう)としてると見ていいのかな?以前は戦うのを躊躇っていたけど、今回ゾックスに仕掛けた罠の卑劣さは許せないようだし。

 

そこにバトルシーザーロボが飛んできて、ステイシーはその操縦席に逃げ込み、ここから先は俺たちにと、ツーカイオーが一体で立ち向かう。やっと玩具が発売されたばかりだもんね。販促は大事。

まずツーカイオーリッキーでバトルシーザーロボの腕から放たれたミサイルをワニの口がぱくり。

だったらとバトルシーザーロボが剣を取り出すと、ツーカイオーカッタナーにチェンジして、いつの間にか陽の傾いた荒野で剣豪対決の趣き。雨中対決の時もそうだったけど、凝った舞台装置での睨み合いからのロボ同士の殺陣が迫力あって格好いい。火花散る斬り合いからバトルシーザーロボの刀が飛んで、最後は烈火大斬で勝負あり。

夕日をバックにススキと共に佇む侍ロボの姿は、なるほどOPで何話も前から使いたくなるビジュアルの良さ。

派手に爆散したロボから投げ出されたステイシーは「覚えていろ、ゼンカイジャー、ツーカイザー」とススだらけの顔で、いかにもな捨て台詞を吐いて撤収。

 

その夜カラフルでは界賊一家を招いて祝勝会。ヤツデさんが「孫を助けてくれたお礼だ」と、ピザすき焼きとかご馳走の大盤振る舞い。界賊たちは着実にヤツデさんに胃袋を掴まれていると思う。

「皆で力を合わせて、トジデントの企みを破ったお祝い」だと「本日の主役」と書かれたタスキをかけられて、ゾックスは「なーんか、ちょーっと違うけど、ま、いっか。腹減ったし」と、まんざらでもない。

家族で撮った写真を見ながら「なーんか、どんどん世界広まってる気がするな」と呟く介人に、「お前も他の世界行ったことないだろ」とゾックス。

「でも、皆が来てくれて、仲良くなれたし」

「今回はたまたまだ」

「またまたあ、俺のこと、面白いって思ったくせに」

「まあ、そこはな」

まだ心を1つにする仲間じゃないし、目的の違いからそうなる日が来るのかわからない。この先もなかなか飛び越えられない溝が露わになるかもしれない。

けど、距離は確実に縮まってる。

 

介人は両親と祖母の愛を信じて伸び伸び育ち、ゾックスも両親は知らんけど兄弟仲良くわいわい。育った環境は違っても、信じて拠り所に出来る愛に支えられた者同士がちゃんとコミュニケーション取れて仲良くなる一方で、そういう存在のいないステイシーは今の所誰ともちゃんと向き合えずにいる。敵だからって以上に、育ってきた環境が明暗分けてる感じで残酷だなと思った。

先に転校してきたのに、育った境遇からクラスメイトのファンキーなノリについて行けず浮き始めた所に、後から転校して来た陽気なヨホホイの方が乱暴で自分勝手でもクラスメイトとガンガンぶつかっては距離を縮め早々に馴染んじゃったから、余計に取り残されてる、みたいな辛さも感じる。

でも香村さんのことだから、きっとステイシーも、どっちのベクトルかはわからないけど変わって行くんだろうな。今回はそのための手痛い洗礼みたいな感じで。

だから次回、ヤツデさんと出会うらしい予告を見て、ヤツデさんの差し伸べる手がステイシーにも向かないかと凄く期待してしまう。個人的には「ステイシーちゃん」と呼ばれて欲しい(笑)。

 

ゼンカイジャー13話感想: 加藤監督参戦 サンバで楽しく再生怪人回

介人と買い物に出た道すがら、話しかけた子供ちゃんたちに猫じゃらしでくすぐられて土手を転がり落ちるガオーン。自分がゼンカイジャーになったことで人間ちゃんの方からじゃれてきてくれるのが嬉しくてたまらず介人に礼を言う。なんだろう、ガオーンが人間ちゅわんたちに触れ合えて喜んでるのを見ると、こちらも嬉しくなってきて、ほっこり。

そこにリサイクルワルド登場。ゴミワルドそっくりの姿にリサイクルマークのシール貼っただけの、潔いくらい再生怪人(笑)。人間たちを次々に頭部のバケツに吸い込んではクダックに作り替えて、それをリサイクルと称している。

モチーフと能力の結びつけがいささか強引だけど、香村さんはここんところ必殺奥義「強引でも何でも因果関係があると説明出来れば良い」を獲得してそれを駆使している感じに迷いがないというか、したたかな肝の座りを感じる(笑)。

クダックにされた人たちの中には、さっき自分とじゃれ合った子供たちがいると気付いたガオーンは愕然。彼らが襲ってくるからとりあえず2人とも変身したけど、傷付けるわけにいかず対処に困っているところにヨホホイ参上。こちらはクダックが元人間だと知っても当然お構いなし。

しかもバラシタラが元人間クダックたちにトジルギア?を配布していたことを知り、ゾックスはますます積極的に倒してギアを回収しようとする。

セッちゃんの指示で介人がデカレンジャーのギアを使った所にジュランたちが到着して力を付与。その力とは、ただの手錠っていいのかそれで(笑)。

でもそれでゾックスを拘束出来た。連行するジュランが「暴れんな!神妙にお縄を頂戴しろ!」と意気揚々と楽しそうで、お前絶対前回の鬱憤を晴らしてるだろ(笑)。

そんなスムーズな形で、前回のフリントたちに続いて今回はゾックスがカラフルの対策会議に参加。お店が順調に両陣営の溜まり場と化してきている。

回収したトジルギアを調べると、偽物だった。

ゼンカイジャーが守りたい人間たちをクダックに変え、ゾックスの狙うトジルギアのダミーを渡して、利害のぶつかる両陣営を戦わせるというバラシタラの作戦。

ゲゲが「イジルデが生かし切れていない情報を、バラシタラが利用したというわけか」と幹部2人のライバル心を煽りつつ、状況を整理して私たちに伝える役割も果たしているのが、上手い。

それに乗っかる形でバトルシーザーロボのデビュー戦の微妙さを皮肉るバラシタラに、ステイシーが突っかかろうとしたところをイジルデが止めて、勝手にダミーを使ったことを問いただす。

でもバラシタラは「それもリサイクルでアル」と涼しい顔。バラシタラは脳筋の武闘派かと思えば、どうしてどうして、現場で収集した情報からの状況判断やそれを踏まえた作戦の立て方を見ても中々頭が切れてしっかりした、一筋縄では行かない優秀な軍人では?

 

そんなバラシタラの狙いにいち早く気付いたのはゾックス。こういうところで頭が回るのは今回も界賊一家の方なんだね。

でも、当たりが混じってる可能性はゼロじゃないからギアの回収はこれからも続けると言って立ち去る。

うわあ。やっぱりこの人根っこはかなり悲観的で慎重派、石橋を叩いて渡るタイプかも。

ガオーンが慌てて追いかけて、介人もそれに続こうとするのをジュランが引き止める。ゾックスの意志は説得しても変わらないから、こっちはこっちで何か対策を考えようと。具体的なアイディアは出せなくても、まずそういうベクトルを示してリード出来るのがジュランの頼もしいところだな。

「皆助けられて、皆傷付けずにギアを回収できたら最高なんだけど」と、介人が今回のミッションに必要な条件を整理。

ジュランとマジーヌが、ゾックスの言葉に気色ばむたびに持っていた掃除用具をブルーンの肩関節の隙間?にぶっさしていたのが(笑)、ブルーンが動くたびに視界に入ってシリアスな場面の空気を微妙に緩和してる。

それを見て何かを思い付く介人。

 

一方、ゾックスを止めようと食い下がるガオーン。

「なんでそんな拘んの?お前キカイノイドだろ」と振り払うゾックスへの

「関係ない!僕が皆を好きなんだ!」というガオーンの叫びが好きだ。

兄貴の邪魔するなとフリントたちがガオーンを押さえつけた所に、元人間クダックたちが襲って来る。「来た来た」と獲物を狙う目で銃を向けるゾックスの表情が、悪役の顔っぽくてバスコみたいだな、とちょっと思った時、フリントたちを振り払って盾になり、その弾を受けるガオーン。

人間の「姿」を愛するために人間と仲良くなりたいという一貫した姿勢が対人間への博愛主義者的な立ち位置となり、ステイシー登場の時はそれが裏目にも出たけど、ここでは身を挺して他種族を守る姿が、自分の家族以外どうでも良いゾックスとの強烈な対比になってる。

それがたとえペットへの愛に近いものだとしても、そのために体を張れるなら、もう充分尊いよ。ガオーンもこの作品のテーマ「異種族交流」のど真ん中に位置するキャラなんだよだな、と改めて。

 

でもそんなガオーンの気持ちは今の元人間たちには届かない。庇った相手に囲まれてボコボコにされる痛ましさに、ゾックスもさすがに「やめとけって」と気遣う。「お前がどんなに好きでな、今のそいつらには関係ねえんだよ」。

でもそこに「そんなことない!」と介人たちが駆け付ける。

「だって、戻った時、絶対悲しい」

介人は時々、相手の気持ちお構いなしにぐいぐい押してきて、タコ焼き食べてる時に知らない男から至近距離で大声で唾飛ばしながら話しかけられる側の困惑は推し量れないこともあるけど、こういう本当に傷付くかもしれない大事な場面では、いつも相手の立場に立てるんだよな。

一度は自分に海賊行為を働いたゾックスみたいな相手にすらそれをしてしまうから、時々危うく思えてしまうけど、つくづく異種族交流がテーマのこの作品の主人公に相応しいキャラだよ。

 

その介人は大きめのボストンバッグ?を両手にぶら下げていて、何かと思ったら中から取り出したのは羽根がいっぱいついたサンバの衣装。

それを身につけた4人がサンバを踊り出した時は、予告で見た時と同様、何事かと呆気にとられたけど、次の瞬間、彼らは元人間たちに突進して掃除道具やらハケやらでくすぐりまくる。

キカイノイドもくすぐりには弱いという冒頭のガオーンのエピソードが伏線だったわけだけど、それをこうもエンタメな形で回収してくるかと驚いた。

でもこれ見かけだけでなく、衣装の羽根がくすぐったくて元人間クダックが背後から攻撃出来なくなる鎧の役割も果たしているんだな。一石二鳥のアイディア。

こうやって介人たちは次々に相手を傷付けることなくギアを回収していく。

 

東映公式によると、元の脚本にはサンバの「サ」の字もなく、あるのは「猫じゃらしや羽箒などを取り出し、一斉にクダックをくすぐりに行く」という一文のみだったそうで、それを加藤監督がサンバに発展させたとのこと。

さすが加藤監督!ジュウオウジャーやルパパトでは重要回で良い仕事していて個人的に中澤監督の次に香村さんとのコンビ回を見たかったから、お待ちしてました!って感じ。

 

介人のサンバ作戦見て思わず笑い出すゾックス。「なんだよあれ?くっだらねえ・・・」と言いつつ、子供みたいに無防備で他愛なくて楽しそうな笑顔。

フリントがそれを見て戸惑う。もしかして兄貴のあんな笑い方を見る事って久しく無かったのかな?

ゾックスは基本的に笑顔で陽気に振る舞ってるけど、いつもの笑顔はあくまで兄貴として妹や弟たちを安心させ支えるための鎧みたいなところがあったのが、今回はそういう気持ちから一瞬解き放たれて心から大笑いしたというか。

この人、能天気に歌って踊ってやりたい放題に見えて、実は一家の長として弟達の呪いを解かねばって使命感にがんじがらめなのがこれまでの様子に伺えるんだよね。だからギアが偽物だとわかっても万一の可能性を考えると回収をやめられない。

でも、ガオーンの体を張った「好きだから守りたい」や、介人の本人達は大真面目なんだけどやってることは結果的にトンチキで遊び心たっぷりな作戦と、その根底にある他者を守りたいという優しさに心が揺れて惹かれ始めてる感じがわくわくする。

そんで兄貴が自分たちのために一生懸命なことをきっと知っていて、自分もそんな兄貴を助けたいと思っているフリントが、兄貴の変化のチラ見せに何を思うのかも楽しみ。

 

ゾックスが元凶のリサイクルワルドを倒そうと矛先を向けた時、それ以上に怒りを滾らせたガオーンが先に変身して突っ込んでいく。圧倒されてるゾックス(笑)。

介人たちも変身して続き、その勢いのまま全力疾走しながら次々名乗る。ジュランがしんどいのは年だから(笑)?5人揃って最後はリサイクルワルドに飛びかかり、一斉攻撃と共に「機界戦隊ゼンカイジャー!」。格好いい。今回も変則名乗りだけど、これまでで一番格好いいと思った。それを見て笑顔になるゾックスが、やっぱりこれまでとは何か心境の変化があることを暗示してるんだろな。フリントたちも「怒りが、凄い・・・」と圧倒されてる。

 

変身した時に衣装とかを吹っ飛ばしてたから、その後に襲ってきた元人間にはどうするのかと思ったら、マジーヌが魔法で巨大な羽根ブラシ?を出してくすぐり、戦闘不能になったところを抑え込む。

だったら最初からサンバ衣装じゃなくてこっちで良かったんじゃね?とかふっとよぎったけど、いやいや私は他人様にそんな指摘が出来るほど思考回路ちゃんとしてないから。仕事の時に、後になってから自分に出来る最適解を思い付いて後悔するなんてこと、しょっちゅうある(笑)。マジーヌは戦闘中に間に合うだけまだ偉い。それにサンバ作戦があった方が、絶対楽しいよ。

 

リサイクルワルドには、今回のメイン、ガオーンがゾックスと組んで戦う形になる。そこにセッちゃんが、ゾックスにゴーオンジャーのギアを使って貰うよう指示。ガオーンが勝手にゾックスのギアを取り出して渡し、シンケンフォームのゾックスが「よくわからんが心得た」とわりと素直な侍口調でセットすると、ゴーオンウイングスの力がこの2人に宿り、フルパワージェットタガーで華麗な空中でのコンビ攻撃。

なるほど。コンビ技を使える追加戦士は限られるけど、ゴーオンウイングスなら打ってつけ。ゴーカイジャー41話でも、アイムが追加戦士の鎧とのコンビでゴーオンウイングスにチェンジしたのを思い出した。

リサイクルワルドはツーカイザーの烈火大斬刀で倒されて、クダックにされた人たちも元に戻る。介人は「こういうの持ってたら、回収しま~す」とごくごく和やかに声をかけてギアを集めてミッションは無事に完了。

なお、リサイクルギアは拾い上げた介人の手から弾けて飛び出し、クダイテストが踏みつけてダイリサイクルワルドになると、リサイクルパワーが満ち満ちたと、もう4体クダイテストを発生させ、それらが過去に倒したはずのダイワルドたちに変貌する。キノコ、氷、ボクシング、寿司。しかも次々名乗り、「リサイクル戦隊ダイワルジャー」と、過去の戦隊世界にも時々現れた悪者戦隊まで結成しやがった(笑)。

「お前ら練習したろ!」とジュランのツッコミは毎回いいとこ突いていてホント笑っちゃうんだけど、今回のは11話で「5人揃って!」「並んで並んで!」「いつもの立ち位置!」とか実は呼吸を合わせるのに苦労しているのを垣間見せた後なもんで、ポッと出のはずのダイワルジャーがぶっつけ本番であんな息ピッタリな一糸乱れぬ名乗りを決められるはずない!出来てたまるか!という悔しさが滲む(笑)。

また今回は疾走名乗り中にでジュランが息上がって「しんどい」と辛そうだったから余計に

「正規の俺らは毎回握られたままだったりゴミ袋被ったりサイズ合わなかったり流れ弾浴びまくったり鬼ごっこでドタバタだったりなのに、悪のお前らの方が綺麗な王道名乗りをやらせて貰いやがって狡いぞ!」という嫉妬もありそうで好き(笑)。

 

私は以前に、

「ギアがこんなにあるんだから一度に何体もワルドを出せば一気に侵略が成功するのでは?というヒーロー物あるある問題について、ゼンカイジャーの場合は世界同士で潰し合ってどちらかの力が無効化するから意味ないって答が出来るかもな、と思った。」

と書いたことがあるけど、ごめん、間違ってた(汗)!堂々といろんな世界が入れ替わり立ち替わり現れてるよこれ。

そんな状態の中で、ジュラガオーンとブルマジーンは一度に5体相手に大苦戦。しまいには、以前ジュランたちが披露した巨大バズーカ技までパクられもといリサイクルされて、とうとう遙か彼方に吹っ飛ばされてしまい、敗北。

ところがそこに、今回はリッキーの力を使ったツーカイオーリッキーが上空から参戦。

ジュラガオーンとブルマジーンが2体がかりで勝てなかったダイワルジャーを、ツーカイオーが無双して次々に仕留めていく。

メタ的には思い切り新ロボの販促補正なんだけど、あまりに差がありすぎるんで、そこは「お前らの弱点、上から観察させて貰ったんでね」と理由付けがされてホッとした。

具体的にそれぞれどんな弱点があってどんな対策をしたのかの説明まで一切なし。だけどそこまで詳細はなくても、こういう理由があるだけで納得度が違うし、実は用意周到なゾックスのキャラにも合っていて、良かった。

 

残りがダイリサイクルワルド1体になったところに、ステイシーがバトルシーザーロボで登場。

助けに来てくれたのかと喜ぶダイリサイクルワルドを、ステイシーは「お前に恨みはないが、倒しに来た」と言いながら必殺技の一撃で破壊。前回は登場したものの目立った活躍もなく終わったけれど、今回はキッチリ撃破して強さを見せる。ただし敵ではなく味方に対して(笑)。

確か以前ドアワルドもサクッと倒したっけなあと、なんとなく前作のガルザさんの面影が頭をよぎったところに、ゾックスと何か目論見があるらしいステイシーが向かい合って、続く。

 

今回もいろいろ楽しかった!

再生怪人回と言えば予算節約回なのにらしからぬ豪華なロボ戦で一度に5体使いきってしまったな。でもこのスタッフさんたちならどうせまた、コピーワルドとか3Gプリンターワルドとか、「お前そんなトピアあるわけないだろ」って心の中でツッコミたくなるトピアの力使って今回みたいにしれっと再生怪人繰り出すつもりだと思う、絶対。

ゼンカイジャー12話感想: ツーカイオー&バトルシーザーロボ登場、観音様と近所のおっちゃんのいる戦隊

連れ立って買い物中のジュランとマジーヌ。川沿いの道の桜が綺麗で「桜は優勝」「じゃあ梅が準優勝」なんて言ってる。今年は桜が早かったから、関東で撮影したなら3月下旬くらいなのかな?2ヶ月も前に撮影してるのか。そう言えば去年は3月末あたりで撮影が中止になったっけ。コロナでいつ何が起こるかわからないから、撮れるものは撮れるうちに、みたいな感じだったのかも?

通りがかった子供たちにゼンカイジャーと認知されるも、彼らの人気は専らツーカイザーに集中してるのを突きつけられて、面白くない。まあ子供人気はそんな感じだろうけど、2人は界賊たちのやることがいろいろ気に入らず、なのに他のメンバーが界賊たちに好意的なスタンスなのにもモヤモヤしてるから、一気に愚痴モードに。

でも、そうやって愚痴を言い合える仲間がいてまだ良かったと思うよ?銀色の新入りを皆がチヤホヤするんでたった1人でストレス溜めてた緑の宇宙海賊とか思い出すと。

こんな時にはダンスだと踊り出したジュランの不満の根源が「ダンスも、ぶっちゃけ、俺の方がイケてるっつうのによぉ」なの(笑)をマジーヌが自分の胸に納めて転がったジャガイモを拾っているところに、カタツムリワルドが出現。その力が発動したエリア内にあるもの全て、動きが超スローモーションになってしまう。

ゼンカイジャーがスローエリアに引っかかったと気いたカタツムリワルドに2人がボコられているところに、空からゾックスが乱入。だけど正に飛んで火に入る夏の虫で、やっぱり動きがスローになったところを攻撃されて変身解除して痛めつけられてしまう。ゾックスは初めてのピンチらしいピンチだな。

タツムリワルドがご機嫌で去った後、駆けつけた介人たちも知らずにスローエリアに踏み込もうとするのを、上空の界賊船から一部始終を見ていたフリントが間一髪で制止する。

SDトピアでは弟達を止められずに呪いであんな姿にされ、前回もオニゴッコワルドに突撃する2人をむざむざ見送って鬼にさせてしまい自分を責めていたフリントが、今度は敵の能力の詳細は不明でも咄嗟にストップをかけられ、全滅を防いだ。

彼女なりに失敗を克服して成長した証なのかもと思うと、ちょっと感慨深い。

 

今回は兄を助けるためにフリントと弟たちもカラフルに集合して、介人たちと一緒に対策会議。

テーブル代わりの鉄板でヤツデさんがパンケーキを焼き、その上にフリントがチョコソースで状況整理と敵の能力解説っていう分かりやすく美味しそうな演出が素敵だ。駄菓子屋にもんじゃ焼きの鉄板があるのが懐かしさを呼び覚ますセットなんだけど、上手く活かしているな。

ヤツデさんは双子たちの境遇にも同情を示しながら全員にパンケーキを振る舞い、不在のジュランマジーヌに加えてゾックスの分も用意する。

ヤツデって植物は女性の名前に使うには花も地味だし微妙かなと思ってたけど、八本の手という意味に、出来るだけ皆に手を差し延べてその手を掴んであげたい温かい人っていうスタッフさんの思いが籠もってるのかな。孫の介人にもキカイノイドたちにも、一度はこの店の商品根こそぎ強奪して、代金として紙屑通貨を押し付けた界賊一家にも。

だとすると千手観音みたいだと思って調べたら、そのものずばりな「八手観音」も各地にあるんだと知った。名前にわりとストレートな意味が込められてることの多いゼンカイジャー の物語において、ヤツデさんは観音様ってことなのかもしれない。

 

スローエリアでは、動きが遅すぎて脱出も出来ないとジュランマジーヌが嘆く傍で、ゾックスが歌いながらスローなまま踊っている。スローな口の動きと通常速度の台詞が全然合っていなくてシュール(笑)。

こんな時に余裕で踊っていられるのは、フリントたちの助けを待つってことかと聞かれて

「別に。あいつらの助けがなきゃ生き残れないようじゃ、ゴールドツイカー一家を率いる長として、失格でしょ!」と力強く否定するゾックス。

「妹たちはそういうの、寂しいんじゃねえか?」と、ジュランが初めて一家の内面にしんみりと踏み込んで来て、なんだかこの2人の関係が面白くなってきたぞ。

 

一方、カタツムリワルドが場所を変えて次々スローエリアを増やしている所に、バラシタラが様子を見に来る。近づけないので遠くからスピーカーで呼びかける間抜けな絵面がこの組織にはよく似合う(笑)。

別の場所でツーカイザーとゼンカイ赤桃も引っかかっていることを知ったバラシタラは「そこはのんびりせんでいいのであーる!」と今のうちに片付けるよう叱責。台詞がスピーカーからテロップになって飛び出し物理的に攻撃してる(笑)。でも言ってることは全くそのとおり。

前回は介人たちがぬけぬけとカラフルに戻っていて鬼のブルーンを絶望させてたけど、今回はトジデント側が敵を抹殺出来るチャンスにのんびり構えている。

シリアスで有能設定の組織なら「脚本の都合で無能に」と言われかねない緩さも、やっぱり「こいつらなら仕方ない」と納得出来るし、今回もそこにちゃんとツッコミを入れるのが、見せ方として狡いよ香村さん(笑)。

 

戻ってきたカタツムリワルドはまずゾックスを片付けようとするが、放ったミサイルはなぜか届かず途中で爆発。ならばと直接襲いかかっても謎の攻撃を食らって近づけない。

ただのダンスだと思っていたのは実は以前も見せたマーキングで、自分の周囲の空中に盾を作っていたってことか。そんでカタツムリワルドが戻ってきた場面をよく見ると、ゾックスの手元の銃から赤い線が発射されている。カタツムリワルドが近づいたタイミングで予め放った弾がマーキングに到達しダメージを与えるという防御策だったみたい。やや強引だけど、敵の緩さがくれた時間にちゃんと頭脳的な打開策を仕込んで、緩いだけじゃないところをちゃんと見せてくるのは好き。

ゾックスはあの初登場の歌と踊りのせいでだいぶ能天気なヨホホイ野郎の印象があったけど、一見チャラい余裕な態度は妹弟達への責任感からの鎧で、本当は出来るだけ事前に最悪の事態を想定して準備しておきたい用意周到で悲観的な奴なのかもな。

考えなしに突っ走って呪われた幼い弟達と、それを自分のせいだと悔やむ妹の事があるから余計に。

 

界賊に手出し出来ないなら先にこちらをとカタツムリワルドが矛先をジュランマジーヌに向けた時、ゼンカイチームが駆けつけて、介人がターボレンジャーのギアの力を3人に付与。するとエリアの中でも元通りのスピードで動けて、カタツムリワルドに対抗出来るようになった。

いつもは「こんな時はこの戦隊の力を使え」って言ってたセッちゃんが「そんな技あったっけチュウ?」と不思議がってたってことは、後から来て「ターボかけてやった」と解説したフリントが開発した力ってことみたい。

他の一般人やキカイノイドたちも力を付与されて動けるようになり、さっきはジュランのサイン圧を全力で拒否していた子供たちが笑顔でお礼を言うのが気持ち良い。

そんで皆、一斉に変身してゾックスを先頭に次々名乗り一列に並ぶと

介人「5人揃って・・・え?あれ?あ、6人、6人揃ってー」

ゾックス「俺をカウントすんな」

ジュラン「じゃあ並ぶんじゃねえよ!」

とまた普通の5人名乗りにならず(笑)。うん、これは確かに介人の隣=中央に堂々と並んだゾックスが悪いよ。

 

タツムリワルドの能力はスローエリアを作るのに全振りしているらしく、ゼンカイ&界賊がターボブーストで対抗すると、もはや通用しなくなった。むしろクダックだけの動きが遅くなって逆効果。

ゾックスがターボギアを使った時にブルーが1人だけ現れたのが意味不明だったけど、ネット情報によると本編に「もう一人のブルー」的なエピソードがあったのを6人目として拾ったみたい。マニアックだ。

タツムリワルドはゼンカイジャーのトドメで撃破され、続いてダイカタツムリワルドが登場。カタツムリワルドとは特性が変わって、硬い殻にジュラガオーンの攻撃が通用しない。ジュランの尻尾ソードが破壊。続けて硬い殻爆弾を次々投げつけられて打ち返しているうちにガオーンの爪も破壊されて大ピンチ。

そこへ、イジルデが開発していたバトルシーザーロボが、ステイシーの操縦で初見参。

苦戦中に新たな敵が参戦し2対1という大ピンチなのに、ブルマジーンがこれと言った理由もなく参戦しないのはさすがに苦しいな。その理由が、今回初登場の界賊たちの新ロボという販促事情なのは、痛いくらいわかるんだけど。。

 

リッキーとカッタナーは自分たちももっと兄貴と一緒に暴れたいと、フリントに頼んで改造して貰い、界賊船と一体化することでロボ変形が可能になった・・・えーと、改造したのは体?それとも自分たちのギア?

体を改造だと、今後もし呪いが解けても元通りの体には戻れないんじゃないかと、ちょっと心配になる。

今回はカッタナーの力を使ってツーカイオーカッタナー完成。確かにシンケン味のある侍ロボだ。

参戦するとダイワルドが標的をこちらに変え、さっきジュラガオーンを苦しめた殻攻撃。でもツーカイオーの刀はそれらを全て難なく切り捨てて、さすがシンケンジャーモチーフロボの刀の切れ味は違う。

 

ステイシーは、これで介人との戦いに専念出来るとむしろ歓迎。ツーカイザーが初登場した時に敗れて暗黒ギアを破壊された因縁があるから、リベンジに燃えるかと思ったらそっちはスルーして、あくまで介人との勝負に拘るのはちょっと意外だった。

ツーカイザーへの苦手意識もあるかもだけどそれ以上に、親に対する受け止め方が自分と真逆で光属性全開の介人を全否定したい気持ちが強すぎるのかもな。

 

タツムリワルドは降水確率100%ミサイル(なんつうネーミング・笑)で雨を降らしパワーアップ。過去にあまり記憶がない雨の中のロボ戦が新鮮だな。間合いをしっかり撮った睨み合いからのツーカイオーの殺陣がどっしりしていて格好いい。トドメは、シンケンジャーならやっぱりこれでしよと烈火大斬刀で撃破。

 

残るステイシーは「邪魔が入るか。今日はこれくらいにしといてやる。また会おう」と余裕ぶった捨て台詞と共に撤収。彼の行動原理が

・父バラシタラを超える手柄を立てたい(父の手柄を邪魔したい)

・自分の与えられなかった親からの愛をたっぷり与えられて自分とは正反対な親への信頼に満ちた介人を叩きのめしたい

で、トジデントへの忠誠心もたぶん皆無だから、介人に余計な加勢がついて形勢不利になった状況でこれ以上真面目に戦いを続ける発想そのものがないって感じかな。

それにしても登場早々に本来の追加戦士ゾックスの踏み台にされ、せっかくのバトルシーザーロボもデザインは普通に格好いいのに、正規に玩具が販売されるツーカイオーのお披露目と被ってほぼ活躍できずなのは、当初は予定になかったキャラをとことん不憫枠で使ってる感じ。

一周回って、却って同情集めて美味しくなりそう(笑)。

 

戦いが終わり、皆で協力して勝てたことを喜びお礼を言う介人に、「別に。兄貴のこと助けたかっただけだし」とフリント。

ジュランは「おい、あーんちゃん、聞いたろ?妹たちの気持ち。だからお前ももうちょっと・・・」となんか急に訳知りなおっちゃん的な説教モードに入るも、ゾックスは「一緒には戦ってんだろ。ただ、最後にケツ持つのは俺しかいない。そういうこと」と遮り、妹弟を率いて「さらばーい」。

話はまだ途中なのにとモヤモヤが増すジュラン。

「1人だけ頑固っていうか、頑固って言うか、頑固って言うかーっ!」と同じ言葉を繰り返しながらだんだん腹立たしさが増していくマジーヌが可愛くて、続く。

 

私が香村さん好きな理由の1つはキャラの等身大感で、ジュウオウジャーの時は最初からそれを全面に出してたから早々にハマったけど、ゼンカイジャーでは介人にしてもゾックスやフリントにしても、まずインパクト重視のトンデモキャラとして出してから、徐々に内面の等身大的な要素を付け加えていく、っていうキャラの組み立て方をしてる感じがする。そんで徐々にハマって、ああやっぱり香村さんだってなる感じも気持ち良いな。

 

ジュランは一昔前とか近所にいた、ちゃんと働いてるかは謎だけど気さくで子供達の精神的避難所的なおっちゃんて感じ。人の心情面の一般常識というか機微がどっしり根付いてるのが、この色々極端に振り切った物語の中で頼もしい。

一緒に握られた時に介人の心を救ったように、後々ゾックスの心も救いそうな安心感がある。

そんでゼンカイ側にはもう一人、ヤツデさんもいる。この抱擁力と温かみで人の心をほぐせる2トップによって、メンバーの精神的なケアは盤石っぽいんだけど、この2人を一番必要としているキャラは誰かと思うと、ステイシーがうっかりかしらばっくれてかカラフルにやって来て、ヤツデさんに孫みたいな扱いされて戸惑いながらほだされたり、ジュランに説教されて反発しながら揺れる回か見たいと思った。特にヤツデさんから「はいこれステイシーちゃんの分」とちゃん付けでパンケーキ出されて欲しい。

ゼンカイジャー11話感想: 天才エンジニアだって失敗も繰り返す

ブルーンと介人は食料買い出しに行った商店街で、フリントと双子の弟に遭遇。双子はあんパンとクリームパンのどちらが美味いかで喧嘩し、フリントはいつものことと放置して豪快に50個まとめ買い。どんだけ食うんだ。そしてこれまでよっぽどいろんな世界を荒らしてガッポリ貯め込んでいるんだな。

そこに出現したのがオニゴッコワルド。並行世界モチーフがどんどん何でもありになってきてる(笑)。

双子たちは先に倒した方が勝ちだと競い合って突っ込んで行くと、待ち構えていたオニゴッコワルドがタッチ。すると双子の額に青鬼のお面が出現して、体が勝手に動き商店街の人にタッチ。その人の額にも鬼面が発生してまた他の人を襲い、と商店街はたちまちパニックに陥る。

 

タッチされると強制的に鬼にされて他の人を追いかけ、そんな鬼がどんどん増えてしまう今回の作戦。あくまで正気は保ってるのに体が勝手に動いて被害者を増やしてるのが、絵面や台詞はコミカルなんだけど自分に降りかかったらと思うとかなりキツい作戦だ(汗)。

ごっこトピアも柏餅トピアも本来こんなデスゲームを繰り広げてる世界じゃなくて、トジルギアから能力を抽出してああいう形に悪用してるだけなんだと思いたいんだけど、序盤にキノコとか氷とかゴミとかわりと説得力ある世界観を繰り出されたせいで、ひょっとして解放しない方が良くね?とついつい思いたくなっちゃう風評被害が凄い(汗)。

 

介人ブルーンは襲ってくる鬼たちを必死にかわしながら、ならばオニゴッコワルドを倒せばいいと攻めに転じるも、タッチされたら鬼になってしまうと慌てて遠距離攻撃に切り替え。いつもながら、ふざけているようで厄介な敵だ。

その背後からいつの間にか双子が迫っていて、ブルーンにタッチし鬼にしてしまう。

フリントは弟に追い詰められたところをゾックスに救出され、孤立無縁になった介人の元にジュランたちが駆けつける。

ブルーンに「キカイノイドだし」と容赦なく発砲するガオーン(笑)。

双子はマジーヌが魔法パチンコで追っ払い、倒れて動けないブルーンを残してひとまず4人は退散。キカイノイドだって変身前は撃たれればそれなりにダメージはあるもんな。だってその銃、クダックなら普通に倒せるだけの威力あるしと思うと、やっぱりガオーン酷い(笑)。

 

界賊船では落ち込むフリントに、ゾックスがかき氷かと見紛うような凄いビジュアルの豪快な「界賊丼」を出して励ます。いつもこんなの食べてるの(汗)?それともいつもは、こないだ野菜が尽きそうと言ってた双子がきちんと料理していて、ゾックスはそっち方面はからっきし?

でも彼が初めて空から降ってきて歌って踊り出した時は、どんな脳天気なヨホホイ野郎だよって脳がフリーズしたけど、こういう場面を見てると、本当は何があっても妹や弟達を不安にさせないよう、どんな状況や心境でも自分は基本的に笑顔で余裕な態度を崩さないよう自分に課し続けているんだろうな、良い兄ちゃんだなって思った。

で、そんな兄の背中を見つめるフリントも、きっとそれをわかってる。

 

カラフルに戻った介人たちは対策を考え中。鬼にされた人たちは自分が魔法で引き受けると頼もしいマジーヌに皆が希望を見出した直後、彼女の背後に、「もういいかい・・・みつけましたよみなさん」とブルーンがホラータッチで登場。

「というかなんで普通にここにいるんですか!私、場所分かっちゃうに決まってるじゃないですかあっ!」というブルーンの絶望が、仰るとおりで悲痛だけど笑っちゃう。頼むからいないでくれと祈りながら来たんだろうな。

これがシリアスな作品で頭良いキャラ設定なら「脚本の都合(苦笑)」ってなりかねないところも、ゼンカイジャーの場合は「うん、こいつらこういう奴らだし」で済んでしまうのが今作の強みだ(笑)。

頼みの綱のマジーヌが鬼にされ、更にはヤツデさんも。往年のアイドル郁恵ちゃんにも自分で「鬼婆(泣)」と嘆かせる容赦ないスタイル。

 

散り散りバラバラに逃げた介人は商店街に戻ってきて、双子が鬼にされた場所に立ち尽くすフリントを見つける。

双子が突っ込んだ時に戸惑って動けないフリントの表情が何度かアップになったけど、彼女は咄嗟に弟たちを止められなかった自分を責めていた。

双子が今の姿にされたのも、SDトピアでさっきのように競い合って敵に向かって行くのを自分が止められなかったからだという。

・・・敵って言うけど、相手からしてみたら界賊たちの方が一方的に荒らしてきた悪で、正当防衛だよな、と思う。マジーヌの言うとおりどこまでも自業自得。

仮にSDトピアが解放されたとしても、界賊たちが今のスタンスのままなら相手には呪いを解く義理はないかも。

でも介人たちとの交流を通じて、SDトピアが解放された頃には彼らの考えも変わっていそうな感じもする。というか、その変化を見たいな。

 

フリントだけど、ここまでは略奪上等な海賊トピアの流儀にどっぷりで、口悪いわ凶暴だわ天才エンジニアだわで、私にとっては完全に画面の向こうの鑑賞用キャラだった。

でも、突っ走る弟達を咄嗟に止められずに見送ってしまうという失敗を繰り返して自分を責める姿に、不意打ちで親近感が爆上げ。

本当に反省してるなら同じ轍は踏まないだろって厳しい意見もあるのはわかる。けど私はこの、咄嗟には動けずって感覚も「またやっちゃった」って後悔も凄く覚えがあってわかるので、途端に他人事でなくなってしまった。また香村さんの共感度荒稼ぎの手腕にまんまと絡め取られてる(笑)。

で、前回、介人に問い詰められても中々事情を話そうとしなかったゾックスって、弟達の失敗を第三者に曝すことだけでなく、フリントの傷をあの場で改めて呼び起こしてしまうことも避けたかったのかなと思った。

そんでフリントが業を煮やして全部ぶちまけたのは、介人への腹立ちからだけでなく、兄が弟とそれから自分の事も庇って言われっ放しになってるのに我慢出来なくなったからってことなのかな。

 

介人は「失敗も挽回!何回でもトライ!」とフリントを励まし、ゼンカイジャーのシステムを開発した両親の言葉だと戦隊ギアを見せる。それを受け取ってフリントがまじまじと見つめているのが後の伏線になるとはまさか思わず(笑)。

そこにまた鬼にされた人たちが襲ってきて、逃げる2人。

フリントが律儀に貴重なギアを返すのがちょっと意外だった。この時はまだ。

 

トジデントでは、ゼンカイジャーも鬼にしたと作戦の順調さを得意気に報告するオニゴッコワルドに、ボッコウスは誉めるどころか、油売ってないで鬼を増やしてこいと一喝してまたドスン。バラシタラとオニゴッコワルドがゆったりと孤を描いて宙返りするのがホント好き(笑)。

ところで、あの場でうっかり誰かにタッチしてたらどうなっていたのかは、ちょっと気になる。特にボスはあの体で、仮に鬼にされても追いかけられるのだろうか(汗)。

 

叱られたオニゴッコワルドがやけくそで鬼を増やしまくっていると、そこに介人たちと更には鬼にされたブルーンやマジーヌまで集合。「ガオーンはいねがあ」とさっきの銃撃を恨んだブルーンがガオーンを付け狙う(笑)。

しっちゃかめっちゃかな状況の中、追いかけられる側と追いかける側が1列に走りながら変身してるのが、なんだか電車ごっこみたいで可愛い。そんで名乗ってはタッチをかいくぐり、名乗ってはタッチしようと飛びつき、と戦隊史上もっとも運動量が過剰で締まらない名乗りかも(笑)。

なんかこれ言うの何度目かだけどゼンカイジャーの名乗りは

 

1~4話: メンバー1人ずつ追加

5話: 寿司職人&握られ状態

6話: ゴミヒーロー

7話: なし

8話: 介人+巨大化4人

9話: なし

10話: 流れ弾浴びまくり

11話: 鬼ごっこ入り乱れ←new!

 

と、普通の5人名乗りは1度だけで、毎度毎度よくアイディア尽きないな、と尊敬しかない。

「みんな名乗った?」「5人揃ってえ」「1回タイム」とか、名乗りのお約束をわざと意識させるメタなバタバタ感も満載で、個人的に今回のは一番好きかも。

 

ごっこはその後も続き、遠距離射撃でオニゴッコワルドを狙うも動きまわる人たちが邪魔で撃てない。

するとセッちゃんがゴセイジャーの力を使えと指示。カラフルでヤツデさんの振り回す虫取り網から逃げながらで、あっちもこっちも大騒ぎなのが、大変そうなんだけどかなり楽しい。

天装術で鬼の人たちを吹き飛ばし、さあ反撃という時に、またも双子が背後からガオーンにタッチして鬼に。今回のピンチは、かなりこの双子によるところが大きいな。

ガオーンと双子を介人が引きつけて、ジュランが1対1でオニゴッコワルドに挑むもロケットパンチタッチで鬼にされてしまい、残るは介人だけとピンチ全開。

 

そこに上空の界賊船からゾックスが舞い降りて、ゲキレンジャーのギアを使うとゲキチョッパーの武器でオニゴッコワルドの額のスイッチをオフにする。

介人の「オニゴッコワルドを倒せば終わるゲーム」という言葉をヒントにフリントが、ゲームならスイッチをオフにすればいいと思い付いた作戦だった。

鬼にされた人たちは鬼面が消えて自由に動けるようになり、倒さなくても解決出来る珍しいパターン。

 

ゾックスが使ったゲキレンジャーのギアはフリントが介人に見せて貰ったギアを真似てゾックスも使えるよう作ったもの。

・・・ちょっと待て。持ち帰って分解したわけでもなくあんな短い時間眺めてただけで性能までぱくれるってフリント凄すぎる。トジデントから奪った設計図等の情報でゴーカイジャー等3戦隊は作れたんだから、その延長って考えればあり得なくはないかもだけど。

寿司回のキュウレンジャーのラッキーパワーもだけど、香村さんて「理由」は用意するけど、じゃあその理由が本当にそれを可能にするのかって部分はわりと強引に押し切るスタイルかもと思った(笑)。

 

ゾックスは更にハリケンジャーのギアを使い、シュリケンジャーの超忍法、秘打千本ノックでオニゴッコワルドを圧倒し、スイッチオンを阻止。

同じギアでもゾックスが使うと追加戦士の技が発動するのは、なるほどな差別化でこれからの楽しみが増した。

感心していた介人たちは、このままでは鬼ごっこしただけで終わると慌てて立ち位置を確認し(笑)、並んでゼンカイフィニッシュバスターでトドメを横取り。

 

巨大戦はクダイテスト2体で一体がダイワルド化。足元に公園の遊具が出現して2体でキャッキャと鬼ごっこしてる様はなんか可愛くて、これこのままでも平和で良くない?とうっかり思ってしまった。

巨大戦の鬼は爆弾にされて爆発する、とのローカルルールが発動して、鬼にされたジュラガオーンを救うためにブルマジーンが魔法で出した障害物にクダイテストが躓き、タッチされて爆発。残るダイワルドは、鬼ごっこはまだ続くと追いかけ、ゼンカイオー2体が戦わずにひたすら逃げる絵面が、よく考えるとシュールだ(笑)。

そこに巨大戦初参加の界賊船が左右に分裂すると飛行体とバイク体になり、リベンジに燃える双子が巨大化して操縦しダイワルドを攻撃する。

双子はタッチされて鬼=爆弾にされると、ダイワルドそっちのけでまた喧嘩を初めてあっという間に地平線の彼方へ。それを見送って嘲笑うダイワルドだったが、実は喧嘩は演技で、地球を一周してきた界賊船が背後からダイワルドにそっとタッチ(笑)。

自分の付け足したローカルルールでまんまと返り討ちに合って大爆発する緩さが、いかにもゼンカイジャーの敵だ。

双子の競い合いと失敗が繰り返し強調されていたから、私もしっかり騙された(笑)。

 

戦い終わって、今回はフリントが、ギアを作れたのとスイッチオフ作戦を思い付いたのは介人のお陰だと笑顔で礼を言い、両陣営が少し歩み寄った和やかな雰囲気。フリントは笑うと普通に可愛いから狡い(笑)。今回でかなり好感度上がった。

ゾックスたちが「さらばーい」と去った後、自分たちの技術がぱくられた事に気付き、ムカつくジュラマジーン組と感心してるブルガオーン組の2対2に分かれ、残る介人の表情は陽射しが眩しくてよくわからない。前回に続いて界賊への見方はどちらかには大きく偏らせないってことかな。

一方、トジデントではイジルデが、何やら製作中の巨大ロボを見上げてほくそ笑み、続く。

楽しかった。

 

次回も香村さん担当で、スタートから12話連続。

毎回毎回こんなトンチキな世界や作戦を次から次へと繰り出すアイディアの引き出しの多さ

44もあるレジェンド戦隊の力を把握して今回はこれだと選んで組み込む情報量と判断力

ちゃんと人間ドラマとして30分の番組に出来る構成力

なんだかんだ登場人物みんな好きになってく好感度コントロール

これをここまで続けてるの大丈夫?って、マラソンをトップスピードで走り続ける人を見る怖さを、久しぶりに感じてる。

 

ゼンカイジャー10話感想: 「公」のゼンカイジャー、「私」のツーカイザーという対比

「前回のゼンカイジャーはっ!」といういつもの冒頭お復習いコーナーを、柏餅食べてる最中に急に降られて放送事故になってるセッちゃん(笑)。猛威を振るったカシワモチの呪いはまだ爪痕を残している。

前回、わざわざ自分から負けを認めたことでこの世界では海賊行為をしないと約束したゾックス。フリントも兄に従って、タピオカの代金に宝石をじゃらっと。

もしもし?それ円に換金すれば言い値で買い叩かれてもそのタピオカ3桁は買えると思うよ?

カラフルでの商品強奪はあくどかったんだけど、いざ略奪を封印されて商取引のルールに従うとなると無防備で世間知らずすぎる物々交換に、早く誰かちゃんとこの世界の相場とか物価とか教えてまずは円を持たせてあげないと悪い奴にカモられるよと、変な心配しちゃった。

そんなゾックス一家が通りかかったとも知らずにマヒルワルドが作戦を遂行しようと現れて、早速見つかり戦闘開始。沸いてくる戦闘員を遅れてきたゼンカイチームに任せてマヒルワルドを追うゾックスと、さらにそれを追う介人ジュランでOP。

フリントのカットが変わってたり、カラフルの店内でわちゃわちゃしてたジュランたちが隠れんぼ状態になったりと、OPでこんな風に遊ぶのはパイロットの中澤監督の趣味かな。トッキュウジャーOPの時には、週替わりで誰かがコケるのがいかにも未熟未完成な幼い戦隊って感じで、好きだったなあ。

 

ベンチで自分たちの世界に浸り、足元を流れ弾が飛び交っても気付かないカップルに、ああ今日もゆるゆるゼンカイワールドだと思ったのも束の間、マヒルワルドが男の方を捕まえて人質にとると、女は男を捨てて一目散に逃げる(笑)。緩いくせにシビアな世界だ。

でもゾックスは人質なにそれ状態で戦闘続行。駆け付けた介人はメガレンジャーの力を使って男を救出すると、ゾックスの人命ガン無視っぷりに突っかかる。

それを軽くいなしてワイヤーで船に戻ろうとするゾックスの足にしがみつき、一緒に乗り込む介人。そう言えば前もスシワルドやバラシタラにしがみついてキカイトピアに乗り込もうとしてたっけ。いざとなれば問答無用でくっつき一緒に乗り込んでくスタイル。

そしてそんな介人と阿吽の呼吸でジャンプの踏み台になるジュランの以心伝心っぷりに、一緒に握られた者同士の固い絆を感じる。

 

船の中で非難混じりにこの世界に来た目的を一方的に問い詰める介人。それを見ていて業を煮やしたフリントが、双子の弟の姿を元に戻すためだと人間の姿だった頃の写真を突きつける。

トジデントからパクった技術で自分たちも並行世界ゲートを作り、あちこちの世界に行けるようになった一家は、SDトピアに乗り込んだ時に呪いで双子を今のデフォルメ姿に変えられてしまった。元の姿に戻すにはもう一度SDトピアに行って解決策を探すしかないが、今はトジルギアに封印されており、キカイトピアもセキュリティを変えたのかもう乗り込めない。だからトジデントを倒してSDトピアを解放するんだと。

故郷の海賊トピアを解放ってわけではなかったんだな。

 

ゾックス一家の見るからに人間と人外が混じった兄弟構成見て「他の世界じゃ、よくあることなのかな?って」ぐらいに思ってた介人。

直前にキカイノイドと人間のハーフで人間体のステイシーを知ったんだから無理ないよな。もしステイシーに兄弟がいてそっちが父親似だったらキカイノイドの姿だったかもしれないと思うし。元々スカイツリーバンジージャンプOKなくらい色々と考え方の枠がなくて何でもありな人だから余計にそう思っても不思議はない。

 

弟たちのためには他人のことなんか構っていられない、お前らとは違うというゾックスに、介人は自分も両親を取り戻したいんだと伝える。それを聞いてちょっと表情が変わるゾックス。目線のちょっとした動き、表情の細かい緩急が中澤演出らしくて好きだな。

 

トジデントでは、ボッコウスが未だにのさばっている界賊にイライラ。ボスの激怒という敵組織によっては怖くなる場面なのに拳を振り下ろすたびにバラシタラが跳ねまくってるせいで緊迫感ゼロ(笑)。中澤監督は跳ねる高さではなく数で勝負してくるスタイルなのかな。ホント、ジニス様やドグラニオ様とは方向性が違うけど、楽しい。

ゲゲが様子を見ようとなだめ、ゼンカイジャーと界賊が手を組むことを恐れるボスにバラシタラは、マヒルワルドへの動向を見る限りそれはないと思う自信ありげ。

バラシタラ、氷で滑ってた頃はてっきり脳筋系幹部かと思いきや、女性関係方面でえげつない掘り下げがされたのに続いて、意外と切れ者なところも見せてきて、面白くなってきた。

 

カラフルに戻った介人からゾックス一家の話を聞いた各反応は

 

ガオーン→人間ちゅわーん>>>キカイノイドだから気持ちはわかる

介人→自分も両親優先して握られたしなと同調

セッちゃん→でも介人は他人も守ろうとしてるから違う

ジーヌ→他所の世界で悪さしようとした結果だし自業自得

ジュラン→マジーヌに1票で奴らのやってることはトジデントと同じ

ブルーン→話聞いてなかった(笑)

 

って感じで、ブルーンが話聞いてなかったためにゾックス一家への意見はどちらかに大きく偏ることはなくなって、セッちゃんの「世界が広がると、いろんな人がいるってことッチュ」が、いかにも香村さんらしいテーマを背負った台詞だなと思う。でもどこかの段階で、ブルーンがどう思ってるかはちゃんと知りたい。

 

なお、マヒルワルドの作戦はじわじわ効いてきていた。その能力とは、ずーっと昼間状態にすること。太陽が沈まないだけでなく、時計も一斉に進まなくなって時間の感覚も麻痺するみたい。けど体や機械の消耗は元の時間のまま進むというややこしい仕組みらしく、正確な時間経過を把握出来ずに延々と仕事を続けて疲弊し、トラブルや事故を起こす人々が続出。

カラフルでもちゃんとしたご飯にありつけないまま皆がへたり込み、セッちゃんはいつの間にか充電切れ。白目剥いたアップの大写しがホラータッチ(笑)。

何かおかしいと感じ停電だろうかとテレビを付けると、日本も地球の裏側のブラジルも昼間だとのニュースでやっと異変に気付く。

 

界賊船ではゾックスが起きてきて、「地上(に行くの)は3日ぶりか」と言う。つまり本当はもう3日間も昼間のままだったんだよ(汗)というびっくりな時間経過の種明かし。

このあたり、実は何日も跨いでいるのに人々がなかなか異変に気付けない仕組みが、イマイチわかりにくかったかも。まあ細かいことを気にしないあの世界の人々の属性で、拍車がかかった可能性もあるのかな。

地球に停泊していないゾックスたちの視点で、地球を複数の太陽が照らしているという異変が一発でわかる見せ方が上手い。

でもちょっと待て。ゾックスさんの赤いパジャマ姿がやけに可愛い(汗)。何がそんなに可愛く見せてるの?と思ったら、ナイトキャップだ。

大ぶりの赤と白のギンガムチェックって大人男子にはハードル高めだと思うんだけど、違和感なく似合ってる(汗)。役者さんの画像見ると、個人的に明るめの髪色の方が似合って見えるし光り物にも強そうだから、パーソナルカラーが春とかそういうタイプかな?

まあそれ言ったら介人もあのカラフルなジャケットに負けてないから、たぶん介人が被っても似合いそうだけど、ゾックスの場合は外ではワニ皮付きのハードな船長コート着てるくせにっていうギャップのぶん衝撃が大きかった(笑)。

 

一方、全世界をそんな延々真っ昼間にしている大元のマヒルワルドは、追っ手の目を逃れて薄暗い地下道でひっそり体育座りという対比(笑)。ああそう言えばジュウオウジャーでみっちゃんの本性が分かった回も、中澤監督だったなと思い出した。

そこを嗅ぎつけたゾックスが逆光背負って歌いながら登場。マヒルワルドの作戦の影響を受けてないのは地球に住んでないからというしごく真っ当な理由を突きつけて変身。

地下道には薄く水が張っていて、逆光と水面や飛沫の反射という光と影の視覚効果で、ゾックスの踊るシルエットがスタイリッシュ。

(マヒルワルドが濡れないように一段高くして体育座りしてたのがじわじわ来る)

初披露の時はあまりの衝撃で思考停止した歌もダンスも、気が付けばすっかり馴染んでるもんだ。

だけど中澤監督、このスタイリッシュダンスをOPではガチャガチャと早送りでコミカルに見せたのはわざとだろ(笑)。

 

ゾックスは優勢に戦いを進め、もちろん周囲の巻き添え被害には一切配慮なし。彼の銃は標的に的を付けられる仕様でロックオン状態から、それに向けて乱射。

ヒルワルドが吹っ飛ばされてビルの壁に激突し、剥がれたコンクリートの塊が避難していた人たちの頭上に落下するのを、変身前のゼンカイジャー全員で支える。途中でマジーヌが手を放すと隣のガオーンが急に重くなって戸惑うのがこういうシチュエーションあるある(笑)。

介人と、助けられたキカイノイドが同時に「大丈夫?」と声をかけ合って笑ってしまうのが、気持ち良い。

危ないから介人だけでも変身しろよと思ったけど、咄嗟だったのとゾックスが「ばっかだなあ。これでお前が死んだら、大事な家族取り戻せなくなるのに」と呆れる説得力は変身前の方が大きいからかな。

介人は「お前がそういう奴なのは、よ~くわかった。お前は、全力全開で、トジデント倒すことだけ考えてればいい。みんなのことは、俺が、いや、俺たちが守る!お前ら界賊の分も、全力全開で守ってやる!」と啖呵。一概に相手を否定しきらないのも介人らしい。ちょっと何でもかんでも抱え込み過ぎでは?と思うけど、どこまでそれを貫けるのか、それともゾックスの考えも徐々に変わっていくのか。

お互いのスタンスがはっきり打ち出された良い場面だと思うんだけど、引いた画面の上端で壁に突き刺さったままのマヒルワルドの足がジタバタしてるのが、微妙に緊張感を削いでいてとっても中澤監督(笑)。

 

「じゃ、遠慮なく」とゾックスはマヒルワルドを撃ち落として戦闘再開。シンケンフォームに変わると、クダックたちの放った銃弾を次々はじき飛ばして、また容赦ない流れ弾の嵐。介人たちは一般人たちの盾になってそれをビシバシ受けまくりながら変身し名乗りを上げる。ゼンカイジャーの名乗りは

 

1~4話: メンバー1人ずつ追加

5話: 寿司職人&握られ状態

6話: ゴミヒーロー

7話: なし

8話: 介人+巨大化4人

9話: なし

10話: 流れ弾浴びまくり

 

と、ここまで5人揃った普通の名乗りが1度しかなくて、毎回変化を付けて来てる。こうなると、どこまで変則名乗りを続けてくれるのか楽しみになってきた。

 

介人たちは人々の避難誘導と周囲の被害抑制のためにクダックを担当し、マヒルワルドとの戦闘は最後までツーカイザーの独壇場。シンケンからオーレンフォームへのチェンジはダンスの振り付けをマヒルワルドとの戦闘に組み込んで、これなら踊っているところを襲われても大丈夫だな(笑)。必殺技は、銃をぐるぐる回すと「俺の拳で沈めてやるぜ」と巨大な拳?がワルドを叩き潰してトドメ。

倒した途端、空は本来の夜になって、たぶん3日間徹夜していたゼンカイジャーたちはへたり込む。

でもダイマヒルワルドがまた大量に太陽を出してきていつもより眩い世界にしてしまう。毎度のことながら、ようやく解放されたと思った途端にまたもとの世界に復活されるもしくはもっと酷い世界にされるの、心身にダメージあるよな、と思う。

ここで「いい加減にしろ~っ!」と、マジーヌがブチ切れ。「占いには夜の神秘が必須なんだよぉっ!」そ、そうなの?怒った時の台詞の迫力が普段との落差もあってキレキレだなと改めて。

そんで「介人!wake up!」とたたき起こし合体。

「ほんまおこ案件ですわ!」「まっ~たく同感です!」

合体バンクでの台詞が毎回面白い。「おこ案件」てオタク女子のマジーヌらしい台詞だけどアドリブなのかな?

ジーヌとブルーンは、片付けへの適性が対照的なだけで、わりと波長の合う良いコンビだなって感じ。

前回は大好きな人間ちゅわーんに危害を加えかねない状態にされたガオーンが奮起してジュラガオーン単騎のロボ戦だったから、今度はマジーヌが自分の大事な占いを脅かされた怒りからブルマジーン単騎の活躍となりジュラガオーンはお休み。追加戦士絡みの新メカが来る前に、改めて単騎ずつ活躍=しっかり販促させておくのは良いことかも。

今回ブルマジーンはマジーヌの魔法で雲を出して太陽を遮ったり、サングラスならぬ日食グラスで対策したりと敵の攻撃を無効化して、そこをブルーンのパワーで押していくスタイル。。

「介人、今だ!」→寝てた(笑)とか、相変わらず緩急の付け方が楽しい。

 

ダイワルドも倒し、今度こそちゃんとした夜が来て、ブルマジーンは巨大ロボ状態で眠りに落ちる。

路上で爆睡中のジュランとガオーンを見下ろして「な~んか目障り。今のうちに倒しちゃえば?」と寝首を搔く気満々なフリント(汗)に

「面白いからほっとこうぜ。こっちの邪魔さえしなきゃいい」と制するゾックス。

巨大戦はまだ終始見守っているだけだったけど、現時点では対抗手段はないということなのかな?OPにはそれらしい新ロボがフライングでお目見えしているけれど、パイロットの中澤監督の担当回のうちに入れてしまったということか。

 

一方、バラシタラは「やはり結束には至らぬようである。これはいずれ、奴らの命取りになるはずである」とほくそ笑む。それは逆に、いずれ共闘するフラグとしか思えない(笑)。

 

宇宙海賊と世界海賊については

 

ナビィ

「俺は電池なんか変えたことねえぞ」「なんのエネルギーの供給もなく動き続ける永久機関

セッちゃん

「俺が毎晩充電してるんだ」

 

ルカ

手持ちの宝石売って地球の通貨を調達

フリント

タピオカの料金にじゃらっと宝石

 

海賊

カレーだなんだ理由付けて人助け

界賊

人命ガン無視

 

と、今回でいろいろ差別化してきたな、と思う。そう言えば、ゴーカイジャーも中澤監督がパイロットで、「電池なんか変えたことねえぞ」も中澤監督回の台詞だった。香村さんも16本も書いてるし、デザインを「ぱくった」分だけ余計にゴーカイジャーとどう変えて見せるかは、意識している部分なのかも。

 

一方、介人たちとゾックス一家のスタンスの対比は「公」と「私」という、なんだか、ルパパトの警察と快盗のそれに似てるなと思えてきた。(介人にも私の要素はあるけどね。)

ゼンカイジャーは国際警察から私設戦隊に変わった分だけ緩くなって、快盗ならぬ界賊のあり方を、肯定もしないけど取り締まろうとはせず辛うじて許容してる感じ。

界賊は快盗よりもエゴ丸出しで人命ガン無視。あからさまに犯罪行為も見せた。

ルパパトが、先行のルパンチームの好感度に配慮して、序盤から人助けもして見せ反社会的行為は控えめだったことを思い出すと、ゼンカイジャーは先に介人たちが真っ当に正統派ヒーローやってるところに途中からゾックスが参戦したから、快盗の時より気兼ねなくアウトロー成分を打ち出しやすいのかな?って感じはする。

そんなゾックスたちが、回を重ねるうちに本家ゴーカイジャー同様、この世界を守るスーパー戦隊の一員に変わっていくのかどうかは見もの。とは言いつつ、そんなに変わらなくても個人的には楽しめそうかな。

 

ゼンカイジャー9話感想: ゾックス一家だけで情報過多なのにカシワモチ大暴走

前回ラスト3分前に空から降ってきていろいろ掻っ攫った海賊ゾックス。彼に対するリアクションというのが、

友達になりたい!好奇心がブルンブルン!人間ちゅわーん!お前ら普通もうちょい警戒しない?仲良くするのはダメって占いが。

名前を書く必要がないくらいハッキリと誰の言動かわかる各メンバーのキャラ立ちに改めて感心した(笑)。

腹が減ったというゾックスをカラフルに招くと、女の子と小さな機械生命体2体がくっついてきて、ガオーン作の食事や店の駄菓子を堪能。妹のフリントと、双子のリッキーとカッタナーで、双子がなぜその姿なのかは次回やるとして、何かとすぐ台詞を歌にするのは妹も同じ。ゴーカイジャーは歌とは無縁の奴らだったけど、本来海賊と言えば歌うのか?

で、セッちゃんじゃないけどゴーカイジャー大好きな私はなぜそんなにそっくりなのかそれが明かされるのが楽しみで

私「マベ達に弟子入りしたの?アカレッドが夢を託したように今度はゴーカイ世界でマベがゾックスにギアと思いを託したの?アカレッドも関係してるの?(かなり食い気味)」

フリント「ああそれね、あたしがデザインパクった」

私「へ?(拍子抜け)」

フリント「なんか、かっけえなって(うっとり顔)」

私「・・・ま、まあいっか」

チョロいよ私(笑)。でもここまで堂々と似せられて、似てる理由を「パクった=似せたから」と示す笑いと説得力まみれの開き直りには、さすがこのスタッフさんたちだと感心した。

 

ゾックスたちは海賊トピア出身で、並行世界を渡り歩ける唯一の世界海賊、略して「界賊」らしい。海賊の海賊版にして、でもスケールは絶大だな。

その所業は、カラフルで思い切り飲み食いして、料金は払わずそれどころか銃を突きつけ、店の商品根こそぎ強奪。悪びれずカラッと見せてるけど、普通に強盗だよこれ(汗)。

買い物から帰ってきたヤツデさんに縄を解いて貰った介人たちは追いかけて、介人がゾックスと勝負し、勝ったら支払いとこの世界を荒らさないことを約束させる。

フリント曰く「こっちに何のメリットもない」のにゾックスが勝負を受けたのは、介人の「この世界を守る」という言葉に一瞬真剣な目になったこと、そんで自分の世界も閉じ込められている(はず)のと関係があるのかどうか。

 

一方、ゾックスに負けて暗黒ギアを壊されたステイシーは、トジデントでイジルデに責められるかと思いきや、逆に「海賊に狙われるなんて聞いてない!」と詰め寄っていた。まあナイーブなようでもこうでないとトジデントでは生きていけないよな、と納得。

界賊の存在はトジデント側も把握していて、過去にイジルデが彼らのせいで失態を演じたことが示唆される。イジルデはステイシーを連れて対策を講じるため退出して、今回ステイシーの出番はこれだけで変身も戦闘もなし。

まあ、前回の今回でこれから始まる狂騒に巻き込まれたら、彼が孤高に歩むはずのシリアス路線致命傷を負いかねないから、正解だったと思う(笑)。

OPに追加戦士としてゾックスがもしかしたら史上最速で追加され、変身しないフリントも本編より早くお披露目されたのに、ステイシーは未だ追加されていないのを見ると、オーディションで役者さんが気に入られ、彼のために作られた役だというイレギュラーさを改めて感じる。

 

介人が明らかな犯罪行為を「勝負に勝ったら」と条件付きでやめさせようとしたのは、相手がそういう世界から来たのなら、言葉だけでやめろと言っても通用しないし、結局力尽くになるとわかっていたからかな。

でもその勝負内容がジャンケン&ピコピコハンマー&ヘルメット(ゴザに座布団付き)というあまりの平和さに、ゾックスが笑い出していきなり発砲。介人がよけてなかったら普通に致命傷っぽい弾道だったような(汗)。

そこから変身しての勝負になり、戦いの中でゾックスは、トジデントが海賊トピアに攻めて来た時、逆に乗り込んで色々強奪戴したと明かす。

イジルデの失態とは恐らくこれで、彼らが今使っている装備はその時に奪った設計図やギアを元にフリントが開発したということみたい。

ゼンカイジャーの並行世界以外は全て閉じ込められているっていうのが本当なら、ゾックスのいた海賊トピアも閉じ込められているはず。ゾックス一味はトジデントに乗り込んだために、海賊トピア諸共ギアに閉じ込めらるのを、免れたってことなのか。

でももう他に世界は残っていないから介人たちの世界にいるしかないと。ゼンカイジャーによって解放された世界もあるけど、茸に氷にボクシングに寿司にゴミにドアじゃ、いたくないよなと変に納得した(笑)。

ステイシーをトジルギア持っていそうだと狙ったのは、海賊トピアを解放したかったのかな?

でも、海賊トピアが基本こんな奴らばかりだったら、その世界はまともな産業の育たない暴力と略奪の弱肉強食ヒャッハー世界としか思えなくて、これまでで一番、解放しちゃいけない世界かもと思った。本当にゾックス以外も他の世界に出張って悪さしてないのか怪しい(汗)。

 

その頃、バラシタラが進めていたカシワモチワルドによる柏餅中毒作戦が始まり、前の日に柏餅を食べたガオーンとマジーヌ、それからフリントが暴走する。

ガオーンマジーヌがカラフルに戻ると大勢の客が既に柏餅を貪っていて売り切れ。

いつも思うけど、カラフルが駄菓子カフェで店内が広く、ここで人間とキカイノイドの触れ合いも、ちょっとした小競り合いや殴り合いも海賊行為も、客をたくさん入れることも、いろいろ出来て、良いセットだなといつも思う。

柏餅を食べた人は次々食べ続けずにいられなくなり、まんま覚醒剤とか薬物中毒の禁断症状で街中の和菓子屋さんに人々が押し寄せ大パニック。マジーヌが恵んでもらったのが桜餅でガックリとなり類似の代替品ではダメなことも描かれ(笑)、騒ぎに乗じて転売屋まで発生して、この世界の人々の順応性の早さよ(笑)。

ガオーンが差し出そうとした全財産が預金通帳2500円でほっこりするのも束の間、駆け付けたジュランが「転売はダメですよ!」と撃退。

でもカシワモチワルドは「ゼンカイジャー倒したら柏餅をあげるカシワモチ」と無駄にイケボで語りかけ、人々+フリント+ガオーンマジーヌまでジュランとブルーンを追い回す。もしもし君たちもゼンカイジャーじゃなかったっけ(笑)。

 

それを見送るカシワモチワルドの耳にどこからともなく聞こえてくるヨホホイ(笑)。

「♪俺の大事な妹ハメたのどこのどいつだ♪」

メロディは同じながらやや声のトーンが沈んでいて、正直、前回のノリノリ張り切りモードより落ち着いて聞ける(笑)。そんで拳をぐっと握って静かに殺意満々。

街の柏餅中毒騒動を知って介人が勝負を中断しようとしても、じゃあ早く決着つければいいだけと構わず攻撃してたけど、妹もそれに巻き込まれたとなれば話は別。

カナロ宝路ゾックスとここ3年連続で妹持ち&妹がアキレス腱の追加戦士かな?3人が集まったら、最初は妹って可愛いよなって話で盛り上がるけど、そのうち全員自分の妹が一番可愛いって話になって誰も譲らずしまいには血の雨が降りそうな気がする(汗)。

 

ゾックスは介人に、カシワモチワルドを倒した方が勝ちだと勝負方法をスライドし、互いに足を引っ張り合いながら戦う。

ゾックスは喧嘩殺法でカシワモチワルドからダウンを取ると、弟の力を借りてフォームチェンジ。まずリッキーに声をかけギアをセットするとまた変なダンスを踊り出し、オーレンジャーのフォームに。ステップ的に古代民族の踊りっぽいかな?正直格好良くはないけど、なんかクセになる。でも「ダンス?なぜ今?」というカシワモチワルドの静かなツッコミはもっともだと思う(笑)。

額の数値が35から19に変わって、古代の壁画にありそうな装飾のフォームは正直ダサい。特に腰蓑か褌みたいなヒラヒラ。私は宇都宮Pのヒラリズムに共感するけれど、これはその範疇にはいれたくない(汗)。

超力パンチを食らったワルドの「出ちゃう・・・あんこが出ちゃう・・」とか香村さんなのか中澤監督なのか声優さんのアドリブなのか、変にエロくて笑いが止まらない。

そんで次はカッタナーの力をセットして腰を落とした和太鼓とか歌舞伎みたいな踊りからシンケンジャーのフォーム。額の数値は33に変わり、金色の羽織は赤との配色イマイチだけどハイパーモードを思わせるし殺陣も背面受けとか殿っぽくて、私はこちらの方が好みかな。

そのままゾックスが押し切るかと思ったらカシワモチワルドの真剣白羽取りからの秘技「柏手フォー」が炸裂して、ゾックスは吹っ飛び、介人は粘るも、しがみついていた頭部の柏の葉ごと吹っ飛ばされる。

カシワモチワルドはさらに追撃の柏手フォーを放つも、不発。どうやら柏の葉が取れたことで力が失われたみたい。引いた画面で柏手が虚しく響く間の取り方がこれぞ中澤監督って感じ(笑)。

隙ありとゾックスが文字の舞い散るバンクから烈火大斬刀みたいな必殺技を出してカシワモチワルドを一刀両断。

勝負には負けたと悔しがる介人にゾックスが「いや・・・」と言いかけたそのすぐ側にクダイストの巨大な足が振り下ろされてカシワモチギアを踏みつぶすのが、スリリングな見せ方。

 

カシワモチワルドが倒されたことで人々は正気に戻り、自分が危うく人間ちゅわんに危害を加えさせられていたかもしれないと知ったガオーンは、やる気満々でジュランと合体。

「おまえマジこっからすげー頑張らないと俺許さないよ?」

さっきまでガオーンに馬乗りにされて締め上げられて酷い目にあったジュランのツッコミがなんか良い味出してる(笑)。

「わかった、買ってあげる、買ってあげるから!」とかその前の「ピンポイントな理由で揉めさせやがって」とか、今日のジュランの台詞はいちいちツボ。

 

ゾックスの方はギアの暴走による大ワルド化は初体験らしく、応戦するジュラガオーンにも「あいつらあんなこと出来るのか」と感心する。OPにあれだけ堂々と新ロボ出していて、乗ってる宇宙船がもろにそれに変形しそうなんだけど、まだロボ変形出来る仕様にはなってないってことかな?

というかOP、新ロボ出すの早すぎだよ(笑)

 

イカシワモチワルドは粒あん砲でジュラガオーンの身動きを封じ、餅と柏の葉でくるむと鯉のぼりに食わせる。「さあお食べ、さあさあお食べ」というイケボも絵面も狂気を感じさせる(笑)。

餅を分離で引き裂き脱出したジュラガオーンは、自分たちも柏餅アタックで逆襲。ダイワルドをくるむとそこに鯉のぼりが群がって貪るというどこから突っ込んでいいか分からない戦いは、ジュラガオーンの必殺技でフィニッシュ。

 

戦い終わって、介人が負けたから大損確定だと失意のカラフルに、ゾックスが、勝負に勝ったのは柏の葉を剥がした介人だと代金を支払いにやって来る。

「柏餅はあの時死んだ・・・」何のてらいもなく無駄に格好いい台詞回しと表情に、こいつはこの狂った世界を余裕で生きていけるいやむしろリードしていけると確信した(笑)。

取ったもん勝ちの弱肉強食ヒャッハー世界で生きてきてその流儀にどっぷりハマってはいるけれど、その分だけ何を以て勝ちとするか、勝因はなんだったのか、という部分にはシビアに拘るってことかな。なんにしても好感度だけは手堅く上げていくのがやっぱり香村スタイル。

この世界も荒らさないと約束し、釣りは要らないとドンと渡された札束は見たこともないお金。ポンギというのはキュウレンジャー世界の通貨かな?

それまで介人の陰に隠れてたけど、使えない通貨だと知ると追いかけて「うちの店は円なんだよ!せめてドルで払いなよ!ちょっと!」と叫ぶヤツデさんがとても生活感がこもっていて好き(笑)。

 

食い逃げ&店の商品根こそぎ強奪してやっと支払った代金はこの世界で通用しない通貨、っていうゾックス一味。

地球に来て腹へったら「この星のお金がないよ」と、まず仲間の宝石売って資金調達してからカレー屋に入るマーベラス一味。

こうやって海賊トピアの流儀を見せつけられた後だと、対比が凄いというか、本家のはずのマベたちが品行方正すぎる。やっぱりゴーカイジャーってザンギャックに海賊認定されてただけなんだなと、改めて思う。

 

前回私は、空から降ってくるなり歌って踊り始めたゾックスをどう受け止めていいかわからず脳がフリーズしつつも、次は中澤監督だからきっと見やすい演技や演出のガイドラインを示してくれるはずと信頼してた。

それは期待に違わずきっちり好感度も上がったけれど、それ以上に柏餅に侵食されて脳が前回以上にバグってる(笑)。追加戦士の本格紹介回でただでさえ情報量過多なのにこんなに柏餅中毒が蔓延暴走するとか聞いてないから!

中澤監督はあのルパパトのシャケ回も担当してたこと、すっかり忘れてた(汗)。

放送後に幼児雑誌や和菓子屋さんの公式ツイッターが楽しそうにカシワモチ連呼してるのを見ると、シャケ回当時のネット界隈のわちゃわちゃ感を思い出して、またやってくれたな!と謎の感慨がある(笑)。

脚本の香村さんは前作ルパパトではかなりシリアスな本筋回担当する事が多かったけど、アキバレンジャーとかぶっ飛んだコメディも書ける方。それはまあある程度わかってはいた。

でも今回凄いのは、序盤から1度もサブライターにバトンを渡さないまま、9話目にまだこんな狂ってるのに実はいろいろ計算されたお話を繰り出してきてること。しかもヒープリ終盤からそんなに間を置かずに。次回も引き続き香村さん&中澤監督で、ゾックス一家の秘密がどう描かれるのか楽しみ。