キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ゼンカイジャー15話感想: カラフルは新しい世界への第一歩

カラフルを外から覗いていた男の子は最近引っ越してきたばかり。新顔の子供ちゃんに早速食いつくガオーンやヤツデさんたちの歓迎ムードにも尻込みして帰ってしまう。「昔の自分見てるみたいで、辛っ・・・」と言うマジーヌの言葉を聞くヤツデさんの、何か思い当たったような表情が印象的。

追いかけようと外に出た介人たちの前でまたしても世界に異変が起こる。

 

今回の怪人はレトロワルド。その力で、スマホが昔懐かしい黒電話になったり車がオート三輪になったり。算盤とかもうすっかり見かけなくなったな、と遠い昔になった子供時代を思い出した。

町並みもレトロに変わって、なんか「三丁目の夕日」の趣き。

そこへ例によって上空からゾックスがヨホホイと来襲。いきなりダイブじゃなくてワイヤーでゆっくりとなのは、カタツムリワルドの時の苦い経験から、世界丸ごと影響を及ぼすタイプの敵には用心するようになったのかな?

すぐにゼンカイジャーたちも参戦。「また手柄取られねえうちに」とジュランが言ってるのは、一緒に祝勝会をやってもなし崩し的に完全な仲間になったわけではないと改めて線引きしてるみたいで、こういう台詞の使い方が香村さんは相変わらず上手い。

 

一気に多勢に無勢となりボコられて戦況不利とみたレトロワルドはレトロ電波発射。

介人たちは装備がレトロ化して変身解除、しかも外見もレトロ化して、介人はまるで70年代のアイドル歌手とかみたいな髪型と服装に。ごめん、正直いつもの普通な良い子っぽい髪型より格好良く見えるかも(笑)。

ジュランはストーンウォッシュのデニムの上下(袖なし)、ガオーンはヒッピー、マジーヌは70年代の幼女、ブルーンは鳥撃ち帽にインバネスコートで探偵みたいな姿に。眼鏡も黒縁丸眼鏡に変わってるのが細かい。

そんでゾックスもなんだか昔のステージ衣装っぽい白のフリンジスーツ姿(笑)。色素薄いから余計に白っぽく感じて、予告で見た時は最初誰かわからなかった(汗)。再度変身しようとするも、ギアダリンガーも木製にレトロ化して音楽も鳴らず、無音のまま律儀に踊ってるのが凄くシュール(笑)。

ボソボソと「教えてやれよ」と呟くジュラン、やっと変身出来ないことに築き驚くゾックスに、「気付きましたあー?」って棒読み敬語でおっ被せるな(笑)。

レトロの影響力は上空の海賊船も木製の帆船に変えてしまう。墜落していく船を追いかけ妹弟たちの名前を叫びながら血相変えて猛ダッシュのゾックスに、やっぱりこの人の普段の余裕な態度は妹たちを安心させる鎧なんだなと改めて。

8話ラストに登場して以来、ここまでの全話数の半数近く続いたツーカイザー販促期間もひと段落して、いったんゾックスからスポットを外すとともにキャラをもう一段崩してきた感じ。

 

トジデントでは相変わらずボッコウスの振り下ろす鉄拳で幹部2人が跳ねまくっていて、高くゆったり弧を描いた宙返りも好きだけど、数で推してく中澤監督スタイルも好き(笑)。

今回の作戦はバラシタラでもイジルデでもなくゲゲの独断だった。相変わらずボスの寵愛を一手に受けてるけど、何となくポジション的に香村戦隊だとナリアやゴーシュを思い出して、こいつも最後は無残に切り捨てられるんだろうか?とついつい思ってしまう。

 

この世界の人々は突然世界が一変しても相変わらず「あっちゅう間に馴染んじゃって」、むしろ目をキラキラさせて「レトロ可愛い~」と楽しんでいる。さすが突然大量発生したキカイノイドたちともたった数ヶ月で平和的な共存関係を築き、「(頭に)キノコ生えるくらい良くない?」と言い放てる適応力と大らかさを兼ね備えてるだけあるわ。

なお道行く人々のファッション見ると、一口にレトロと言っても時代は一定じゃなく、いろいろ混じってるみたい。

 

でも、冒頭でカラフルを覗いてた子、諒くんにとっては見知らぬ世界のダブルパンチ。すっかり途方に暮れ、道端で体育座りしてしまう。慣れるのに時間のかかるタイプの子には、こんなの一気に来られるとキャパオーバーになるよなあ。

それをヤツデさんが見つけ、逃げたレトロワルドを捜していた介人たちも合流。皆が単にレトロ化された世界で帰り道が分からなくなった心細さだと思って励ますのを、マジーヌだけは「じゃなくて!その子、引っ越して来たくなかったんだと思う」と過去の自分と重ねて正しく理解し、寄り添う。

でも自分も内気なマジーヌは、分かるからこそちょっと離れた場所からそれ以上踏み込めなくて、そのバトンを受け継いだのが、冒頭でマジーヌの「昔の自分~」を聞いていたヤツデさん。

そう言えばマジーヌが初めてカラフルに来た時も、彼女の心細さが分かるや否や速攻で同居しようと助け船を出してたっけ。

あくまで明るく元気に自分を「ヤッちゃん」と名乗り、一緒にこの世界を探検しに行こうと提案。

「こんな時に?」なガオーンに

「どんな時もだよ!今とこれからを、笑って過ごせる方がいいだろ?」と笑顔で言い放つと、諒くんの手を引いて元気にしゅっぱーつ。

介人はその姿に、両親がいなくなった後、自分を育ててくれたのがヤッちゃんだからと語る。五色田夫妻=両親が消えた直後、寂しさと不安で落ち込んでいた介人を、ヤツデさんは目一杯元気な顔と声で励ましてくれた。

私はむしろ母親としてのヤツデさんに感情移入してしまうので、我が子が行方不明になるなんて彼女にとってもダメージは大きいはずなのに、孫のために頑張って元気を振り絞ってるんだなと切なかったな。

 

ヤツデさんは諒くんにいろんな物を見せて体験させて楽しませ、そうか今の子は、つまみでチャンネルを変えるテレビなんて知らないんだな、と今回は懐かしさと同時に自分の体験してきた物や時代がもはや「レトロ」のフォルダに仕分けされているのをしみじみ実感して複雑な心境(笑)。

 

そんな街中を独り鬱屈して歩いているのは、前回ゼンカイジャーと界賊のタッグに手痛い敗北の洗礼を受けたステイシー。イジルデとも手を切って次に打つ手を考えるべきかと考えつつ、踊る竹の子族の異様な光景に足を止めたところで、ヤツデさんとの出会いはスローモーション。

私、ヤツデさんを一番必要としてるのはステイシーだろうからカラフルに来てほだされる展開を望んではいたけど、まさかステイシーが一目で自分の母親と重ねて来るとは思わなかったよ(汗)。

榊原郁恵さん、介人のような大きな孫がいる祖母としては若過ぎるくらいのキャスティングだなと思ってたけど、若い俳優さんが演じる少年?の母親と重ねる狙いがあったってことなのかな?今は40代50代の女優さんて皆若くて綺麗だから、ステイシーが慕ったら生々しく見えちゃうかもしれないけど、郁恵さんはそれを防ぎつつ母親と重ねられる若さもあるっていう難しいラインを狙ったのかもしれない。

回想では母親の顔は映されなかったけど、衣装の感じからしてまた別の世界の人間、そんで身分が高そう。トジデントに征服された異世界の王族とかの血筋だろうか?トジデントでは臣下のバラシタラの息子なのにサブタイトルで「王子」って言われててちょっと違和感あったけど、母親が別の世界の王族で、そちらにとっての「王子」?

 

ステイシーは後ろ髪を引かれながらその場を離れ、入れ替わるように介人たちが現れて、竹の子族と一緒に踊っているヤツデさんと笑顔の諒くんを見つけると、ガオーン始め皆で喜んでいて、こいつら基本的に良い奴らなんだよなと、ほっこりする。

 

でも、一見、人々が早々に適応出来そうな世界こそが曲者なのがゼンカイジャー。「生えるくらい良くない?」だったはずのキノコたちが毒胞子を放出したように、レトロワルドがレトロパワーをアップさせると、人々は良かった過去の思い出に浸ってへたり込んでしまう。あれほどポジティブ全開だった介人もヤツデさんも、両親であり息子夫婦がいた頃の思い出にどっぷり。

突然画面がセピア色かつ左右両端が黒いブラウン管サイズ(笑)になり、中澤監督は何が起こったかを画面で分かりやすく見せるアイディアの引き出しが本当に豊富。

浜辺では界賊一家も弟たちが人間の姿だった頃に浸って無力化。プリントは昔懐かしい肩パットの目立つボディコン姿(笑)。

「昔の良かった思い出に浸り続ける事で、人々の思考は停滞し、彼らの世界は死んでゆく」

のがこの作戦の本当の狙いだった。

でもそれを打ち破ったのが、一緒にへたり込んでいたキカイノイドたち。

彼らの思い浮かべた「あの頃」が、

ガオーン→自分と同じキカイノイドたちの姿に、(他の世界の生物を知らないから比較対象がなく)なんかよく分からないけどコレジャナイとモヤモヤ。

ジーヌ→近所の子たちの輪に入れず遠くから見ていた引っ込み思案な少女

ブルーン→掃除係として名前も覚えて貰えず軽んじられ虫ケラ扱い

ジュラン→トジデント兵に路地裏で理不尽に叩きのめされるままの無力なおっちゃん

で、「あの頃・・・どの頃?」「無い!」と気付くと立ち上がり、乱暴に画面の黒端部分を物理的にはね除けると、画面のサイズと色が雑に元に戻った(笑)。

「ちげぇわちげぇわ、良かったあの頃なんて無かったわ俺たち!」

良い思い出がなかったことをテコに過去より今、未来が良いと敵の作戦を打ち破る。

ガオーンは自分の性癖、マジーヌは自分の性格に起因するんだけど、ブルーンとジュランはキカイトピアがトジデントに支配され庶民が虐げられていたのが原因。そりゃあポッと出現しちゃった自分たちを速攻で受け入れ普通に一緒に暮らして貰えているこの優しい世界の方がずっと良いよな。

ジュランたちの他にも立ち上がれたキカイノイドたちがいて、こちらの世界でいつめ仲良く共存している人間たちがへたり込んだままなのを心配している姿が、それを裏打ちしている。

あと、普段からポジティブな介人や「今とこれからを笑って過ごせる」ために努力してきたはずのヤツデさんが打ち破れなかったのは、単に今より昔が良かったっていうより不自然な形で失った大事な人たちを取り戻したい気持ちが強く、「別に取り戻さなくていい、今の方が大事」とは思えないからなのかもしれない。

そういう点ではジュランも家族を失ってるんだけど、キカイトピアではよくある事すぎて「そういう物」と消化されちゃって、かつ普段の圧制の酷さに紛れて「今の方が良い」と思わずにいられないのかもと思うと、不穏。

 

・過去にロクな思い出がないために過去に浸る精神攻撃を振り切りピンチを打開したキカイノイドたち

・片付けられない故にゴミ世界に耐性がありダメージを受けなかったマジー

・帰る場所がないために強制帰宅ビームが効かなかったルパパトの魁利

・サボり気味で肩の力が抜けてたためにスイッチ探しの苛立ちからの仲間割れを救ったジュウオウジャーのアム

 

香村さんが時々描く、マイナス面も時にはプラスに変わる局面もあるんだよって視点、結構好きだな。

 

それを待っていたかのように近くのピンク電話が鳴る。ブルーンが出ると、レトロ化で無線が使えなくなったセッちゃんが黒電話でレトロワルドの位置を特定&指示を出して、今回は絵面がホント楽しい。

 

介人は相変わらず浸りきりなので、ジュランがギアを1枚だけ拝借して、今回の等身大戦は人間抜き。

「皆が皆、昔が幸せだったと思うなよ!」というガオーンの台詞の力強さに泣く(涙)。

自力でレトロをはね除けたことでギアトリンガーも使えるようになったのか(服装はレトロのままだけど)、変身してキカイノイドだけの4人名乗り。

「介人とヤツデのいいとこ曇らせやがって」と怒り心頭のジュランたちは、ゾックス登場以降扱いが若干割を食ってた分を取り返すかのように大暴れ、。

フルボッコにされたレトロワルドが時を巻き戻して受けたダメージを初期化すると、タイムレンジャーのギアで対抗し時とダメージを元通りに。今回ジュランはこのために敢えてこのギアを選んで借りたのか。

「俺らは<今を生きる未来人>なんでよろしこ」とタイムレンジャーOPの印象的なフレーズも拝借するジュラン。

東映公式によると脚本では「俺たちは未来へ進むんでよろしく」だった台詞を浅沼さんがまたしてもアレンジしたとのことで、浅沼さんのアドリブはどれだけこの作品の面白さを底上げしてるんだろう?ホント凄い。

 

レトロワルドは撃破され、人々は元に戻る。諒くんも「僕もう元気だよヤッちゃん」と笑顔を取り戻し、頭を撫でるヤツデさんが本当に嬉しそうで、なんだか本当に八手観音様みたいだ。

 

等身大戦に加われなかった介人とゾックスも元に戻り、ダイレトロワルドにはジュラガオーンとツーカイオーで立ち向かう。

ダイレトロワルドの懐かシールド攻撃でレトロな単語しか喋れず意思の疎通が出来なくなり思い切りスペシウム光線食らってシェーとか言ってたけど、セッちゃんが攻撃は普通に効くと諭すと、私にはだいたい意味のわかってちょっと複雑な気持ちにもなるフレーズを連発しながら普通に撃破(笑)。

 

後日、介人ジュランガオーンは街角で友達に混じって笑っている諒くんを見つける。だから最近カラフルに来なくなったのかと寂しがるガオーンに、カラフルしか行く場所がないよりずっと良いと介人。

その後で諒くんは友達を連れてカラフルにやって来て、マジーヌとハイタッチ。

諒くんは、自分の気持ちを正しく分かってくれたマジーヌと一緒に未知の世界を探検してくれたヤツデさん、心から歓迎してくれるガオーンたちのいるカラフルを足がかりにして、外の世界に踏み出せたんだな。

カラフルは今はもう諒くんにとって唯一行ける場所ではなくて、行かなくても大丈夫だけど何かあったらいつでも帰ってこられる心の拠り所になったのかも。

 

そんで予告を見たら、ここまで一人だけシリアスを貫きゼンカイジャーのトンチキ世界に馴染めないでいたステイシーが、カラフルでサンデー食べてて自分から「サトシです!」って言ってるから、私は吹き出した。

諒くんがヤツデさんとカラフルを足がかりに新しい世界に踏み出せたように、ステイシーもヤツデさんとカラフルを足がかりに立派なゼンカイ世界の住人としての第一歩を踏み出せる予感に胸熱だよ。

ステイシーは、生まれた時からはみ出し者でトジデントに大事な存在はおらず、父親への対抗心から今所属している世界の悪しき価値観に添ってるだけ。

侵略対象の世界でもお金払って穏便にたこ焼き食べてたんだから根は温厚で育ちも良さそう。

初陣はつい最近で前科もなさそうだし、他所の世界に大事な存在が出来れば余裕で改心組になれそう・・・って所に母の面影を宿したヤツデさんと出会うとか、もう期待しかない。

ヤツデさんが想像以上にヒロインだったな。

 

今回、改めてカラフルの設定はいいなとつくづく思う。

・駄菓子屋カフェだから人間もキカイノイドも気軽に入れる。

・ジュラン達も店の手伝いをすることで居候にはならず、客特に人間と自然に交流する場面が作れる。

・間取りが広いからいっぱい人が入れて作戦会議もアクション交えたドラマも可能。

・もんじゃ焼の鉄板卓を囲んで大勢で一緒にわいわいご飯。

ゼンカイジャーの優しい世界観を底上げしてくれてる。てか近所に欲しい(真顔)。

今回のエピソードで改めて、ヤツデさんのいるカラフルは誰かと誰かを繋げたり誰かの世界を広げてくれたり出来る、ゼンカイジャーのテーマを象徴する場所なのかもと思った。

介人とジュランたちを繋げ、キカイノイドと人間を繋げ、ゼンカイジャーと界賊を繋げ、諒くんを新しい世界に踏み出させ、もしかしたらステイシーをゼンカイジャーとも繋げてくれそうなポテンシャルもあるんだな。