キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊 199ヒーロー大決戦: 感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

ゴーカイジャー本編は完走したけど199ヒーローも本編にがっつり絡んでいるから押さえなきゃ、と思いながら、1時間21分という戦隊映画単独としては異例の長尺に二の足を踏んでいた。連休になってやっと時間がとれたので、ゴーカイジャー中心の目線で語りたいポイントごとにとりとめなく。

 

■時系列と公開時期

ゴセイナイトのレンジャーキーを持っているのにその認識がなく使ったこともなかった。

→16話でバスコから大量に追加戦士のキーを奪った直後。

17話の冒頭でゴセイジャーの大いなる力を使っている。

→17話より前。

つまり16話と17話の間。ラストにガレオンを見上げるゴーカイシルバーのカットが入るけど、まさに鎧の合流直前のお話。

 

当初、劇場公開予定が5月21日、本編14話の放送直前だった。震災の影響で3週間延期になったために公開日が17話直前と、時系列どんぴしゃになったというのが、ピンチをプラスに反転したゴーカイジャーあるあるその1。

もし当初のスケジュールで公開していた場合、ゴセイナイトのキーが加わっていることが本編より前に判明していたことになる。だけど、「新たに加わった中の1つか」とジョーが言うだけで詳細は語られず、まあそれくらいなら仕方ないかなと。

それに誰もが公開直後に見に行ける訳ではないので、17話の前に多くの人に見終わって貰うことを優先した当初の公開日も正しいんだよな。

 

■ゴーミンも強い

冒頭、ゴセイジャーがザンギャックの攻勢に追い詰められる場面から始まる。行動隊長の姿は見えずゴーミンやスゴーミンしかいないのに「強すぎる。恐らく最強の最強の敵だ」と苦戦しまくっている(ゴセイナイトまで!)のを見ると、「え?雑魚敵の強さ盛りすぎじゃね?」と思いたくなる。けれど、傍らにゴセイグレートの残骸が無残に転がっていて、最終回まで見終わった後だとザンギャックお得意の物量戦込みの強さにロボともども消耗させられたのかなとも思う。

 

■番外戦士たちの消息

そこにスーパー戦隊第1作目のゴレンジャーと2作目のジャッカー電撃隊を代表してアカレンジャーとビッグワン、まさにスーパー戦隊の歴史を代表するツートップが助太刀に入る。

更にデカマスターを始めとする番外戦士たちも駆けつけ、ここは自分たちに任せて他のレジェンド戦士たちと合流するよう促す。

デカマスター=ボスと言えども大先輩には敬語なんだというのがちょっと新鮮だった(笑)。

本編のデカレンジャー回やシンケンジャー回では、ボスや薫姫の変身能力がどうなったのか、はっきり描かれてはいなくて気にする人も少なくなく、当時の掲示板でも議論されていた記憶がある。それら番外戦士と言われる正規メンバーから外れたイレギュラー的な戦士たちの消息がはっきり描かれたのがこの199ヒーロー。

彼らは別働隊として本隊とは離れた場所で戦っていて、だけどザンギャックの大艦隊を駆逐する時は本隊と心と力を1つに合わせていた。そんで変身能力はやっぱりレンジャーキーになって宇宙に散らばっていたんだな。

彼らのキーが実はバスコの元にあるというのも本編16話ラストで示されていて、当時はかなり衝撃的だった。

あとゲキレンジャーのリオメレは、戦隊の戦士として位置付けるか否かについてネット上意見が分かれていたけど、晴れて公式から番外戦士として認められたんだな(涙)、という感慨もあったと思う。

 

ゴセイジャーOP

本編1話冒頭と同様に、34戦隊の戦士たちが大集合した場面。竹本監督によれば本編パイロットの中澤監督に映画用にある程度撮って貰い、他にも本編で使われなかったカットや追加撮影分でもう1つのレジェンド大戦を構成したとのこと。気が遠くなるような大変なパズル。

ゴーカイジャー本編とは違い、この199ヒーローでは戦士たちがザンギャックの大軍に向かって一斉駆け出すのと同時に、ゴセイジャーのOPが流れる。

 

愛する星を守る為生まれたさだめさ

夢見る事を誰も邪魔できない いつでも

羽ばたけ覚悟は出来てる

一つになるのさ 地球の平和を目指して

 

本放送時には正直なところ、歌詞にゴセイ独自の個性がイマイチ感じられないのがちょっと不満だった。

でも、反面それは全戦隊の最大公約数的な意思をストレートに網羅しているということでもある。それでいてこの実質VS映画の先輩側戦隊かつレジェンド大戦の主人公としてしっかりと34戦隊を代表する形にもなっているんだよね。

それがこの場面の挿入歌として奇跡のようなハマり方をしているように思えて、当時鳥肌立った。竹本監督のここぞという場面での挿入歌の使い方は神懸かってるなと思うことが多い。

 

アカレッド

レンジャーキーとして宇宙全体に散らばった戦士たちの力の行方を、アカレッドが独り宇宙で見守っている。キー1つ1つの行き先をある程度この時点で把握し、ガレオンなど装備を整えてから星から星へと渡り歩いて回収していったのかもしれない。

逆に言うとアカレッド自身がキーに辿り着くナビかセンサーになっていて、彼以外が見つけ出すことは不可能だったってことなのかもな。

 

■レンジャーキー争奪戦

時は流れて、それらの力を受け継いで地球に来たゴーカイジャーたちがレンジャーキーを使いまくって戦っている場面。ザンギャックとしての劇場版向けの行動隊長はいない代わりに、バリゾーグとインサーン両名が戦闘員たちを率いてこの時期としては特別感を演出してる。

マベの掛け声が所々まだ高くて今聞くと本当にマベの声なのか戸惑うのも、撮影時期が早かったんだろうな、とほっこりする。

 

海賊たちが敵を前にゴセイジャーにチェンジしようとキーを取り出した瞬間を狙って強奪。

私はゴーカイ贔屓ってこともあるけど、このタイミングはちょっとないわ・・・と思った。

元々私の感覚は本編27話の鎧の主張に近くて、元は自分たちの力だったとしても、宇宙に飛び散って取り戻せなかったものをマベたちが命がけで集めたのであって、ちょうどそれらを持って地球に来たからと言って、力尽くで奪おうとするのはどうなの?というもやもやは、レンジャーキーを廻って対立するたびにあったんだよな。それで「正義は勝つ!」とか言われてもな、と。

その後もアラタがガレオンから宝箱ごと持ち出してマベとの奪い合いになったところを黒十字王に狙われ、宝箱ごとレンジャーキーをた奪われる原因になったりして、「地球を守るためにはお宝探ししか頭にないだろう海賊からキーを奪うのもやむなし」という気持ちは薫姫と同じで、それが大義名分だというのも分かるんだけど、キーを廻る対立を描くためにゴセイ側が若干割を食った印象。

ロボ戦ではシーイックゴセイグレートとゴーカイオーの海賊モチーフ対決に、海賊たちからのブーイング込みで笑ったけど。

 

もっとも、ゼンカイジャーでゾックスたちの海賊行為を見た後だと、海賊とはああいう奴らという見方が一般的で実力行使しかないと考えても仕方ないのかなって気持ちも以前よりは強くなったかも。

 

■殿下とダマラス

今回のメイン敵は黒十字王で、

ザンギャックは彼と手を結ぶものの以後は前面に出て来ない。

でもギガントホースに黒十字王が乗り込んで来た時、怯みかけた殿下にすかさず「ここは次期皇帝に相応しき威厳をお見せ下さい」と冷静にハッパをかけるダマラスの頼もしさと、それに応えていつものコミカルさを控えつつ毅然と渡り合う殿下の凛々しさが好き。

 

■レジェンドたち

レジェンドゲストは破格の大盤振る舞い。

レジェンド大戦直後は、変身が解けたアラタたちの元に、ゴーオンイエロー楼山早輝、ボウケンレッド明石暁、シンケングリーン谷千明、シンケンゴールド梅盛源太が集まって、レジェンド大戦の顛末と自分たちの変身能力が失われたことを説明した。

現代では、デンジブルー青梅大五郎、リュウレンジャー天火星・亮、デカピンクのウメコの、それぞれ出張あんパン屋、中華料理屋、宇宙警察官という現在の姿が描かれ、リストラされて人生に絶望した元サラリーマンを共に励ます場面が描かれる。

3人が偶然鉢合わせして、1人を口々に熱く励ますのは若干唐突感もないわけではない。けれど現職警察官でもあるウメコの、倒しても次々脅威が襲ってくる現実を認めつつも「今よりほんの少しでいい、未来を美しく幸せな世界にしたい」という慎ましやかで等身大感もあるヒーローらしい願いが、大震災3ヶ月後に見た当時は、凄く沁みた。

 

199ヒーローの企画は、途中からゴセイジャーが前面に出てきた印象がある。そんでこの3人は他のレジェンドより出番が多めで、かつ演じる役者さんが全員アクションがかなり得意な方たち。

だから、当初は彼らにもっと大暴れして貰い変身出来なくなったヒーローたちのあり方を見せる予定でオファーしたけれど、途中でVSゴセイの形に方向転換したため、せめてもの活躍確保の意味もあってこういう形にしたのでは?という説もあって、個人的には説得力を感じた。なお3人のうちレジェンド回が済んでいるウメコ以外の2人は、その後本編と劇場版でたっぷりアクションを披露している。

 

■温厚派と武闘派

黒十字王によってゴーカイ&ゴセイ両チームはバラバラな場所に飛ばされる。組み分けは

 

マベとアラタ→時の止まったオフィスでブラジラと対決

ハカセ&アイムとハイド&エリ→断崖の吊り橋でタゴンと対決

ジョー&ルカとアグリ&モネ→東映太秦撮影所でヨゴシマクリタインと対決

 

と、ダブルレッド、温厚派、武闘派に綺麗に分かれた。

ゴーカイ本編の7、9、10話がハカセとアイム、ジョーとルカのコンビ回が続いたのは、時期的に劇場版撮影と被ったとの事情もありそう。

温厚チームは爆撃で橋から落下したハカセをハイドが助け、エリをアイムが助けたことから、互いに相手への悪印象を改めて、ごくごく穏やかに紳士的に協力体制に移行し、ハカセのアイディアで天装術のカモミラージュを使い戦闘員たちを自分たちに錯覚させタゴンを撹乱し、撃破する。

武闘派チームは、特にルカとモネがシンクロしまくるが故に衝突するも、やがて逆にその以心伝心ぶりを活かして共闘する方向にシフトする。黒十字王の僕として蘇ったヨゴシマクリタインに町娘に扮してサインをねだり、油断して武器を手放したところを連携攻撃。本編では冷酷なラスボスだったヨゴシマクリタインもここではガイアークらしい緩さがコミカルで、クスッとする。

各キャラの個性でチーム分けしたことによって、それぞれの歩み寄り方とピンチの打開方法の色分けがより鮮明で補色みたいに互いに引き立て合い、見ていて楽しかった。

 

■ダブルレッド

マベとアラタは何度目かのブラジラの、相手の位置はわからないのにこちらの位置は的確に狙われる攻撃に苦戦。

マベはダメージを食らったアラタに「寝てろ!」と言って1人で攻撃を引き受け、エレベーターの中の親子を庇って敢えてダメージを食らう。

それを見たアラタは、自分たちと同じく人々を守りたい気持ちがあるのだと海賊への見方を改めてそのピンチを救い、ビービーを使って自分たちの位置を把握していた敵のカラクリを見破り、マベに一目置かせる。

誤解していたと詫びるアラタの鼻を、マベが照れ臭さのあまり皆まで言うなと言わんばかりにピシッとやるのがマジで痛そう(笑)。

そんで反撃に転じ、力を合わせてブラジラを撃破。

ベタだけど、直前までロボ戦と等身大戦ともどもガッツリ敵対していた2戦隊が、黒十字王が与えたピンチによって心を1つにして戻って来たの、いかにもVSのフォーマットど真ん中って感じで好き。

 

■VS33戦隊

黒十字王は奪ったレンジャーキーを実体化させて2戦隊にぶつける。レジェンド大戦の布陣からゴセイジャーを抜いただけの33戦隊に立ち塞がれて「なんか私たち悪者みたいじゃん」とぼやくモネ。確かにレジェンド大戦ではそこ、構図的にザンギャックがいた位置だよなと(笑)。

 

先輩たちから一斉に必殺バズーカを浴びせられながらも、その爆炎から飛び出して必殺技を浴びせると、やはりレンジャーキーに戻ると確認した海賊と天使たちはここからたっぷりその反撃を見せていく。

1人VS1戦隊×10=100人倒す→ゴセイナイトVS追加戦士チーム→アイム&エリVSピンク&ホワイトチーム→ルカ&モネVSイエローチーム→ハカセ&アグリVSグリーン&ブラックチーム→ジョー&ハイドVSブルーチーム→マベ&アラタVSレッドチーム

 

と、カラー対決が正直ちょっと長い?と思わなくもないけど、そう思ってしまうのが申し訳なくなるくらい贅沢で見ていて楽しい。今やってるゼンカイジャーでも物量的にここまでやれるだろうかと思うと、それだけでも凄く貴重な映像だなと。

 

■11戦隊からget

倒された実体化戦士たちはレンジャーキーとして宝箱に戻ったけれど、黒十字王は巨大化し、その爆撃の破壊力に変身解除させられてしまう海賊と天使。

その時、宝箱の蓋があいてレンジャーキーから発せられた光が辺りを包み、マベたちは、無数のレンジャーキーが浮かぶ例の真っ白な空間の中へ。

そこに次々と浮かび上がり、励ましを送るのが、アカレンジャー海城剛、ビッグワン番場壮吉、ゴーグルブラック黒田官平、ダイナピンク立花レイ、レッドワン郷史朗、レッドターボ炎力。

なんか誠さん宮内さん春田さんという初期スーパー戦隊の礎を築いた功労者方々のリレーを見ただけでもう感無量(涙)。

マベが「俺たち海賊を仲間に入れてくれるってのか?」とマベが問うと、大五郎、亮、コウメも、更にチーフや早輝や千明に源太も頷く。

これを以て、これらレジェンドたちの所属する11戦隊の大いなる力が大いなる力がゴーカイジャーたちに託されたことになる。ラストのロボ戦でゴレンジャーの大いなる力を使いゴレンゴーカイオーになったのがその証、ということなのかな。劇場版だけだと若干わかりにくいかもだけど、本編17話冒頭で、改めて明言された。

 

■全戦士@雛壇

背後の崖に雛壇状態に並んだ先輩戦士たちの前で2戦隊も変身し、番外戦士を除く180人近い全戦士が1カットに収まった場面は壮観。その力が結集したスーパー戦隊バズーカで巨大化黒十字王を撃破。

でもその力が消えて元の宝箱の中に戻った時、更に巨大化した

黒十字王の真の姿、黒十字城が出現し、街を破壊し始める。

2戦隊のロボが応戦するも相手が大き過ぎて歯が立たない。・・・レジェンドの皆さん、ちょっと宝箱に戻るの早まったんじゃ?とちょっと思った(笑)。

なお、竹本監督はこの大集合で満足せず、EDラストでは番外戦士も含めた全戦士を改めて並べた雛壇カットを使っていて、もうホント恐れ入りました。

 

■奇跡

トンネルに避難して戦況を見守っていた人々から絶望する声が上がると、中学生になった望が、1年間その戦いを見守ってきたアラタたちへの信頼から諦めるなと励まし、先ほどレジェンドたちに励まされた元サラリーマンがそれに続く。そんで大五郎にあんパンを貰っていた幼稚園児たちの声援に、大人たちも負けじと声を張り上げると、ゴーカイオーとゴセイグレートのエネルギーが跳ね上がる。

最終話まで見た後だと、これもそれぞれレジェンドたちに勇気を貰った一般人たちの諦めない気持ちの籠もった応援が、戦士たちを支える力として届き、奇跡を産む構図なんだなと思う。

そんで園児の1人が持っていた「お父さんが子供の頃に遊んだ戦隊ロボの玩具」と、元サラリーマンの持っていたバリブルーンの玩具が光を放ち、空へ飛び立つ。街のあちこちからもたぶん同じように大事にされていたロボの玩具が次々に光を放ちながら集まって、全戦隊の巨大ロボとして実体化する。

本編では意外なほど奇跡というものには頼らなかったけど、ここでは奇跡が最大限に効力を発揮するのも、劇場版ならではの特別仕様って感じがするし、ここまで規格外だともう圧倒されて、ただただ有難いとしか言えない。

 

空前絶後のロボ戦

黒十字側も巨大化した過去幹部を10体以上出してもう何がなんだかの凄い状態。えーとなんかブラジラさんとかブレドランさんとか複数いらっしゃるような気がするんだけど人数合わせ?(笑)

戦隊ロボは、古くて新撮が出来ないものは過去映像とか駆使して意地でも全部動かしてる。

最初に特攻を跳ね返されてダメージ食らって離脱したゴセイナイトが若干割を食った感あるけど、ここは全部1号ロボで統一したかったんだろうな。

この空前絶後のロボ戦を成立させた竹本監督、ホント凄い。

宇都宮Pはこの映画を作るに当たって、全戦士を出すだけでなく全ロボを出したかったとのことで、それを「竹本にしか出来ない」と任せた。それに見事に応えた竹本監督について「<199>については竹本さんの映画です(きっぱり)」と断言している宇都宮Pが格好いい。

 

■マベ、デレる

黒十字城にゴレンゴーカイオーでトドメを刺し、勝利した2戦隊に人々が口々にありがとうと手を振る。

先輩戦隊らしくごく自然に嬉しそうにそれを受け止めている天使たちと、なんだか居心地悪いんだけどだんだん悪い気しなくなってきた感じの海賊たち、特にマベの対照的な姿が微笑ましい。

 

ラストは天使が海賊に自分たちのキーを託し、すっかり打ち解けて、信頼しきってる。第一印象が悪くツンデレなメンバーも多いけど、懐に入ると気さくで気の良い奴らだというのは、もうすっかりお見通しな感じが微笑ましい。

マベはアラタを船首で風に当たらせていて、「いつでも来ていいんだぜ」と史上最大級のデレを見せている。実は寂しがりの懐きたがりなんだよな、と思うと可愛い。

 

■メッセージ性の強さ

諦めない。辛くても希望を捨てない。ヒーロー番組で追い込まれた時の普遍的なメッセージではあるけれど、199ヒーローは特に、その表現がダイレクトで強いな、と感じる。

311の大震災が起こったのはこの映画の撮影半ばで、宇都宮Pは「この映画を撮ってる場合じゃないんじゃないか、世の中にはもっと大事な事があるんじゃないか」と迷われ、それを竹本監督らスタッフ、キャストから「そんなことないです」「大事なことです」「今だからこそやるべきです」と励まされたとのこと。そういう現場の思いが作り上げた映画だと。

だから、脚本自体は震災前に書かれたはずだけれど、「この映画が、より<今やるべきこと>であるためには」という意識が現場でより強く反映された結果かもしれないと思う。

 

■物量にも励まされた

ストーリーも良かったけど、200人近い戦士と全戦隊のロボが動くところを見せて貰えた、それだけでも大きな価値があったと個人的には思う。

ザンギャックの最大の強さはその物量だったけれど、この映画に関しても、目の前で次々繰り出される圧倒的な物量に圧倒され感動して励まされた部分は間違いなくあった。こんなに大変な中、これほどの物を頑張って作り上げてくれたのかと。

その物量は今見ると、そこまで特別なことという受け止め方にはらならないのかもしれない。

でもパイロットの中澤監督の「<全部のヒーローを出すよ>と言われたときは狂気の沙汰かよと」という感覚が、恐らくゴーカイジャー前の一般的な感覚だったと思う。

そんな大変な思いをしながら作られた本作が、私たちの感覚を「そんなに特別なことでもない」に変えてしまったんだとしたら、本当にお疲れ様でしたありがとうございますと思わずにいられない。

ゴーカイジャーはいろんな無茶を突破した作品だったけど、間違いなくこの映画もその筆頭だったと思う。

 

ゼンカイジャー8話感想: 終了3分前に空からヨホホイ!ツーカイザー登場

前話ラストで大量の戦隊ロボに立ち塞がれ、大ピンチのまま「続く」だったゼンカイジャー。

ステイシーはまだまだと引き続きロボを出し続ける。

やるしかないとかかっていく勢い重視のジュランガオーン組と、不安と慎重さから「ちょっと待って」なマジーヌブルーン組で反応が分かれるのが、細かいけど納得。勢い重視組が跳ね返されて、そのままトドメか?ってピンチに、突然そのロボたちが次々に消滅した。

ギアトジンガーは一度に使い過ぎるとエネルギー切れを起こすらしい。

戦隊やロボを出せなければたちまち独りぼっちとなり苛立つステイシーと、逆にジュランたちが等身大で合流し逆転モードなゼンカイチームの前に、バラシタラが息子の初陣祝いだと、ドアワルドを連れて登場。

親子のギスギスした会話から、ステイシーの母親は人間だと判明。まあその・・・子供出来るんだってのが驚き。まあ体は叩けばカンカン音がする金属だけど、人間と同じもの食べて排泄もするから生き物ではあるんだけど(汗)。

そして母親が893(やくざ)番目の妻だったことに、マジーヌならずともドン引き(大汗)。これ、子供向けだから「妻」って表現してるけど、侵略した世界から略奪か差し出させた戦利品扱いって可能性も暗示してない?ルパパトで魁利たちの前にメルグ・アリータに食べられた人たちの姿が胃の中に無かった意味を、大人だけは察してエグい・・・ってなるやつみたいな。

 

バラシタラの指示でドアワルドはドアを5つ出現させると介人たちをその中に吸い込ませ、「余計なことを」と怒って立ち去るステイシーに付いていく。

介人たちが飛ばされたドアの向こう側は、どこかの一般家庭だったり会社のオフィスだったりと、行き先不明のどこでもドア仕様。戻ろうとしてもまた別の場所に飛ばされる。

ガオーンが飛ばされたカフェで、人間の男を取り合う女2人(人間とキカイノイド)の姿を見ると、この種族間の分け隔ての壁が緩い世界では、人間とキカイノイドの恋愛は普通にありなんだなとも思うけど、でもバラシタラとステイシー母のはたぶん違うよな(汗)。

取り調べ室でブルーンが同じ東映作品の「相棒」をパロったり、マジーヌが男湯や結婚式場であたふたしたりと混乱がコミカルに描かれ、更にはドアワルドの被害が街の人々にも及んで行きたい場所に行けなくなった、とセッちゃんから知らされる。

なおカラフルから東映の映画館(映写室?)に飛ばされて、神様の思し召しだと嬉々として映画鑑賞に頭を切り替えるヤツデさんの柔軟性と肝の座り方が相変わらずお見事(笑)。

ドアの先の世界が、最初はミスマッチさが居たたまれない身近な場所だったのが、だんだん国内の有名観光地→全世界の観光地とスケールアップしてくの見てると、こちとら現実世界がGWなのにどこにも行けないこんなご時世なのに、あっちはいろいろ満喫してるなって羨ましくなってくるな(涙)。

 

やっと日本のどこかの山中?に戻ってきた介人は、さんざん捜し回ったというステイシーと再会。

介人の全身が全世界のお土産まみれになっていて、短い時間で色んな地域や国の人たちといっぱい交流したんだろなと思うと、介人らしくてほっこりする。一方でステイシーはそんな介人を追いかけて、そういう場所とかも真面目な顔で必死に捜し回ってたのかと思うと、不憫だけどじわじわくる(笑)。

ステイシーにとってはドアワルドの加勢は文字通り「余計なこと」でしかなかったんだな、としみじみ。だけど・・・。

 

介人はドアワルドを介入させるなんてバラシタラにも子供を思う親らしい気持ちがあるんだな、とホッとして笑う。

ここは、私もちょっと気になる。ステイシーから見れば余計なことでしかなかったバラシタラとドアワルドの介入は、ステイシーに捜し回る手間をかけさせた反面、エネルギー切れで使い物にならなくなった銃でゼンカイジャー5人を相手にしなければならないピンチを救った面もあるんだよね。そして後の展開を見れば、捜し回った時間は銃のエネルギーを回復させる時間にもなったわけで。

介人は逆転のチャンスを潰された側だから余計に、バラシタラが親心でステイシーを助けたと感じたのかも。そして敵に対してでもそう感じられたことにホッと出来る介人の枠のなさは、やっぱり相当なものだなと改めて。

 

ただし、バラシタラの口調や様子からは、そんな親心らしいものは今の所は感じられず、当然ステイシーにも伝わっていない。

むしろ介人の言葉は「母親は棄てられて野垂れ死んだ」と思っているステイシーの神経を逆撫でして、お前の両親も同様の運命を辿ったか、逆にお前を棄てたのかもな、と介人を揺さぶりにかかる。

でも介人は全力全開で両親を信じているから揺るがない。行方不明になる前の五色田夫妻は確かに、ちょこちょこ垣間見える情報の断片だけでも子供を棄てるなんてことはしそうになくて、その愛情に包まれて育ったからこその絶対の信頼。

ステイシーにはそんな介人が、自分がどう足掻いても持てないと思っているものをあたり前のように与えられて、それを土台に「お前の両親もそうだろ」とばかりにあっけらかんと押し付けてくるようにしか見えない。

だから「君たちに恨みはないと言ったが、少し変わった」「僕はお前が嫌いだ」と敵認定。ちょっとその気持ちはわかって、ステイシーに同情したくなる見せ方ではあるかな。

 

ステイシーはドアワルドの加勢を拒否してマスクマンとファイブマンの2戦隊を出し、介人を襲わせる。10対1と明らかな劣勢にも諦めずに頑張るも追い詰められた介人の元に、巨大化したジュランたちが合流して2戦隊を蹴散らした(笑)。

ドアを通るから変な場所に飛ばされるんで、ドアを通らずに巨大化すれば体の大きさの分早くたどり着ける。金属の体でもある程度の浮力があるから海も渡れる、と凄く納得な解決方法。

これ、飛ばされた先が一般家庭や結婚式場などの屋内から徐々に屋外にシフトしていったのも、地味に計算されてるよな。

5人はわざわざ吊り橋?に移動して等身大の介人+巨大化4人という絵面でまたも変則名乗り。ゼンカイジャーにはこのまま変則名乗りの可能性を追求して欲しくなって来たかも。

ステイシーは巨大化4人にぶつけるために一旦ドアワルドを破壊(!)し、暴走したトジルギアを回収すると、クダイテストを召喚し大ドアワルドに仕立て上げる。

・・・たぶん余計なことをしてあちこち捜し回らされたことをかなり恨んでいたんだろうな(汗)。まあ、根本的にトジデントに対して良い感情は持ってないから、同族殺しにも躊躇いはなさそう。あと、一撃でドアワルドを倒せるギアトジンガーの威力は、単独のギアトリンガーより上な感じ?

ドアワルドは大量の巨大ドアから巨大クダックたちを出してゼンカイオー2体を翻弄するも、ブルマジーンが空から元凶のドアを一掃。等身大戦も巨大戦も、ドアを使った作戦はその影響力から外れた所で対処されちゃうと無力という弱点を露呈し、このあたりはキカイノイドたちが知能戦で勝ってる感じがして好き。

再び1人にされた介人は今度はフラッシュマンをぶつけられるも、煌めきには煌めきをとキラメイジャーの魔進たちの力で1対5を制する。

ドアワルドもダブル必殺技で撃破され、ならばとステイシーはゲキトージャとゴセイグレートという横手戦隊コンビロボを出すも、突然の黒雲と共に謎のビームに瞬殺される。

この時、録画時間表示0:24:00。

雷鳴と共に雲の中から巨大な宇宙船が姿を見せ、そこから1人の金髪男が降り立つ。その第一声は・・・「ヨホホイヨホホイヨホホイホイ・・・」(汗)

やけにミュージカルチックに歌い出したその男は歌い踊りながら世界から世界へと渡り歩いてお宝を探す海賊だと自己紹介(大汗)。

宇宙戦を見上げて「何だあれ?」という声は仲良くシンクロしたものの、釣られて一緒に踊り出す介人とあくまで真剣にひたすら戸惑うステイシーの反応の温度差がじわじわ来る(笑)。

 

海賊は「ゾックス・ゴールドツイカー」と名乗り、

「ギア、たくさん持ってるみたいね~。とりあえず、頂いちゃおう」

と、どちらかというとゴーカイジャーのバスコみたいなノリでステイシーを標的に定め、タンバリン銃のハンドルをグルグル回してまた踊り出し、変身。

俳優さんはダンス&ボーカルグループ所属とのことで、ダンスそのものはキレキレ。だけど振りはなんだか小さな子が思いつくままに体を楽しく動かしてるっぽくも見える。これ今からもう、楽しそうに真似してはちゃめちゃ踊るちびっ子たちが目に浮かぶようで、ほっこりしてきた。

変身後のツーカイザーは金色で、マスクの人相の悪さはまんま私の一番好きなデザイン、ゴーカイレッド。胸の海賊マークも同じだし、頭に35って付いてるし、なんなら水夫モチーフのゴーカイシルバーよりわかりやすくゴーカイジャーの追加戦士っぽい。ネットにゴーカイゴールドってワードが溢れてたのも納得(笑)。

 

ツーカイザーはステイシーザーをガンガン攻めたてる。ステイシーザーは初陣かつ正統派、ツーカイザーは戦い慣れた喧嘩殺法って感じで、見るからにツーカイザーの方が一枚上。自在でアクロバティックな動き(スーアクが伊藤茂樹さん!)でステイシーザーを翻弄し、ダウンをとる。初登場から2話目でもう土つけられたステイシーさん・・・(涙)。

でも、ゾックスはこぼれ落ちた暗黒ギアを拾い上げて「あれ?なんだこれ?トジルギアじゃないじゃん。せっかく張り切ったのに」と撃ち抜いてしまう。トジルギアに閉じ込められた中に、解放したい世界があったりするのかな?

「冷めるなあ」というゾックスにステイシーは「なんなんだ・・・冷めたのはこっちだ!ゼンカイジャー、勝負はまた今度だ」と退散。せっかく配備された暗黒ギアを初陣で破壊されて、イジルデから責められないか心配だよ。

残されたゾックスと介人たちは

「お前ら、何?」「いや、こっちの台詞!」と互いに言い合って、続く。

この時、録画時間表示0:27:12。このラスト僅か3分12秒間のヨホホイのインパクトが狂ってる(汗)。

・・・いや正直、この第一声ヨホホイな歌って踊る追加戦士を初めて見た時は、どう受け止めていいかわからなくてただテレビの前で変な汗かきながら脳がフリーズしていた(笑)。

でも、次回が中澤監督だと知って、ルパパト4話でつかさの演技演出ラインをがっちり固めてくれたのを思い出すと、きっと今回もどう受け止めれば良いかガイドラインみたいなものを示してくれるだろうみたいな安心感が凄い。安心と信頼の香村中澤コンビだ。

 

一方で、ゾックスのゴールドツイカーって姓からしてこいつが追加戦士なんだなって迷わず思える命名法則見ると、じゃあやっぱりステイシーは捨て石なんじゃん・・・ってなるのが今から不憫過ぎる。その母親の運命も、考えるほどに闇が深くてエグい。

ステイシーを見ていて、誰かを連想したくてずーっともやもやしてたけど

・中性的で妖しさのある美少年

・母親の悲惨な最期から自分の一族を憎んでいる

・同族からは捨て石扱い

・光属性への嫉妬や屈折した嫌悪

バナナフィッシュの月龍かな?あんまり戦隊の敵キャラには見かけないナイーブな感じだ。

でも敵も味方もギャグ方面に振り切ったこの狂った世界で、独り不幸な生い立ちからの影をどっぷりと背負いシリアス路線を走り始めた矢先の初変身後2話目にして、空から降ってきたヨホホイ野郎を「どうぞどうぞ」と押し付けられるのは、また別のベクトルで不憫過ぎる(笑)。早くこっちの世界に馴染んで楽になりなよとも思ってしまった。

 

香村さんは過去のメイン脚本では、ジュウオウは7話、ルパパトは8話でサブライターが入ったけど、ゼンカイジャーは少なくとも次回9話まで独りで書いている。

こんなに早くから追加戦士まで出す激動展開じゃ他の人に任せられないだろうけど、プリキュア終盤からほぼ間を置かずにこの設定とキャラ配置に関わって、毎回面白怪人アイディアを次々繰り出してちゃんとドラマにしてるのは、本当頭が下がるよ。

ゼンカイジャー7話感想: ステイシーザーにパイセンにロボ大集合とか情報量多すぎるけどガオーンメイン回

介人が機械タコ焼き屋と互いの世界の食べ物交換をしていると、前回登場した謎の青年がそこで機械タコ焼きを食べていた。介人がアイドルやバンドマンかと推察したくなる非日常的な衣装やミステリアスな雰囲気とタコ焼きの組み合わせがかなりシュール(笑)。

青年は、一方的に食い気味で話しかけてくる介人に対しては変な奴とは思ってもあからさまに邪険にする訳じゃなくて、わりと印象はソフトでスマート。

介人はアルバイターだと自己紹介。カラフル勤務だけを仕事にしてるってわけじゃなかったんだ。考えてみればヒーローやる前からどう見ても世界初探しの方が店より優先順位は高いんだから、本業を疎かにしてますってより真っ当かな。

 

カラフルではキカイノイドが嫌いなガオーンとジュランとの喧嘩が始まっていた。寿司回で「米を炊けーっ!」と率先してリーダーシップ取ってたのは、やっぱり介人のピンチを救うためと食べ物のことだったからか。スーさんが、介人もヤツデさんもいない時の名物だと楽しんでいるくらいには日常茶飯事らしい。

そこにヤツデさんが出て来て叱るとコロッと猫を被り、スーさんを負ぶって荷物も持ってあげるなど、ガオーンの人間とキカイノイドに対するあまりの態度の違いにストレスためたジュランたちが街に出て愚痴っていると、クダックたちが人間を襲っている場面に遭遇。

 

連絡を受けた介人がダッシュして先を歩いていた青年を追い抜くと、煽られた青年も釣られてダッシュ(笑)。ま、負けず嫌い?

介人との競争が意外と楽しそうだったり、到着して一瞬口元が綻んだ後に真顔で向き合ったりと、予想以上に等身大の若者感というか子供っぽさがあって可愛いな。

一足先にクダックを片付けたジュランたちとの会話から介人がゼンカイジャーだと知った青年は、ギアトリンガーと色違いのギアトジンガー(たった1文字違いでちゃんとトジデント色を出してるネーミングが素敵)に暗黒ギアをセットして発砲すると、ゴレンジャーが実体化。

私は未見だけど劇場版からの地続きとのことで、介人たちはゴレンジャーを先輩扱いし親しげに話しかける。でもそれにいきなりの攻撃で応える先輩たち。やっぱりゴーカイジャーのバスコの能力と同じく、スーパー戦隊の戦士を実体化して意のままに操れるんだ。

青年はイジルデからの依頼だと言い、トジデントの仲間かと聞かれると「仲間?やめてくれ。僕はステイシー。それ以外の何者でもない」と、自分の父親が幹部やってる組織とは距離があることを伺わせる。

というかその姿じゃとてもじゃないけどあのトジデントにまともな居場所なんかなさそう。特に同年代の友達と気の置けない付き合いなんてあったと思えないから、介人とのたったあれだけの競い合いでも楽しかったのかな?と思うと、もうこの時点で不憫になってくる。

青年は立て続けにボウケンジャーマジレンジャーも実体化して襲わせて、さすがにゼンカイジャー側が劣勢。

遅れて駆けつけたガオーンは状況に戸惑ったまま戦えず、元凶を絶とうと青年に襲いかかるジュランを咄嗟に止めて青年を庇ってしまう。多勢に無勢のところに仲間割れまで加わってゼンカイジャー崩壊の危機に、介人たちは一旦撤退。

 

カラフルではジュランがガオーンに怒りを爆発させる。

「ゴレンジャーパイセンたちとはまともに戦わねぇ!ステイシーは庇う!人間さえ守れりゃ、マジで俺たちはどうなってもいいってか?俺たちは一緒に戦う仲間だろ!」

ぐうの音もでない正論を突きつけられて「でも君達は!・・・キカイノイドだろ!」と絞り出すようにガオーンが飛び出し、介人が追いかけた後、ヤツデさんが

「ガオーンちゃんはさ、ある意味あんた達を信用してんだと思うよ。自分もおんなじキカイノイドだから!」と言いながらジュランをバシバシ叩くと、カンカンという金属音がいつにも増して印象的。

叩いても絶対にそんな音はしない軟らかい人間であり、そんで自分では戦えないヤツデさんは、だからこそいち早くガオーンの真意を汲み取っていて、それを皆にわかって欲しいと思ってるんだろうな。皆のことを見守る温かい視線に加えて今回は、何となく庇われている人間としての心苦しさも表情に感じる。

 

混乱して1人落ち込むガオーンに追いついて「俺のこと、いつも庇ってくれて、ありがとな」とまず気遣いから入る介人が素敵。ガオーンがステイシーを庇ってしまったのは、介人たち人間を無条件無差別に庇ってくれることと表裏一体。前回のヘロヘロなブルーンへの「ずっと1人で片付けててくれたから」もだけど、まず彼らがしてくれたことに対してきちんと認めてフォローする介人の好感度が上がっていく。

そんで、それに対するガオーンの答えから、キカイノイド嫌いの根底にトジテントへの嫌悪感と無抵抗な庶民への失望があって、この世界の生物への愛の根底に自分達ほど頑丈じゃない存在を守りたい気持ちがあること、ジュランたちについては一緒に人間たちを守って戦う同志だと考えていることが判明。それが人間の姿をした敵の扱いへの葛藤の中で浮き上がるのは、強きを挫き弱きを守る迷えるヒーローって感じで好きだな。

あとガオーンはステイシーの「イジルデからの依頼」を聞いていないから、ステイシー=トジデントという実感がたぶん他のメンバーより弱い。

一方、介人も「情けなくないよ。迷うの、わかるし・・・正直俺も、ステイシーの事どうしたらいいかなって」と人間であるステイシーと戦うことを迷っていた。

「てか、ジュランたちが凄いんだよな」

 

戦隊って長いこと、侵略してくる異種族との戦いがメインで人間ならば無差別に守るのがヒーローのあり方だったけど、ゼンカイジャーは異種族間闘争じゃなくてキカイノイドには同族殺しをやらせてる。同じキカイノイドでも敵なら倒すんだから同じ人間でも敵なら倒すのが、本来は平等ってもの。

その心構えが既に出来てるのがジュランマジーヌブルーン。

人間への愛と保護欲が勝ってそこ保留なのがガオーン。

人間は同族だから、が無意識にあるかもなのが介人って感じだろうか。

でも介人はそもそも1話でジュランにナチュラルに同族殺しを要求してるんだから、いざそれを自分がやれと言われたら躊躇うのはダブルスタンダードで狡くない?って見方も出来る。そうは言っても正直な感覚ではあるかなとも思うけど。

ただ、介人のは、突き詰めるとヒーローが人間の命を選別するのか?ってややこしい問題に足突っ込みかねなくて取り扱い注意だと思う。触れない方が無難かもしれない。

でもそこから目を逸らすんじゃなくて、覚悟決めてる3人は凄いねってちゃんと誉めて、それに比べて俺たちグダグダだねって軽く駄目出しして、でもすぐに答えが出なくても仕方ないよ迷おうよって見せ方は、綱渡り的なバランス感で今のところ好きかな。

そんでこれが介人だけだと人間側のエゴが目立ちそうなところを、ガオーンも加えて緩和してる狡い見せ方(誉めてる)なのか、それとも介人はその前に穏やかに喋ったりダッシュ競争したりしてるから、迷いの要素には「そんなに悪い奴じゃなくない?」って気持ちも本当はあるけど、ここでは敢えてガオーンの気持ちに寄り添わせることを優先しているのか、あれこれ香村さんの思惑を推測してみたくなる。

 

そこにまたも、ゴレンジャーとガオレンジャーという、メタ的には介人とガオーンのモチーフ戦隊を率いたステイシーが追いつく。

介人は「父ちゃん母ちゃんがいいって思ったヒーローがトジテンドの手先になる筈が無いから、偽物だから倒していい」と、こっちは割り切る。

ステイシーに対しては態度を決めきれず、まずはは話して見るという介人に、ガオーンはその間先輩たちは自分が引き受けると戦闘開始。駆け付けたジュランたちが状況を把握出来ずに戸惑っていると、

「ぼさっとしない!こいつら倒して、介人を助けるのが今の僕らの役目だよ!」と、さっきの自分を棚に上げたともとれるガオーンの言い草(笑)。

いや、これは、ガオーンにしてみれば迷いを吹っ切れた証でもあるけれど、マジーヌやブルーンが腹立てるのも無理ない。私もこういう時は野暮でも一言謝って欲しいタイプ。

でもそれを「生意気な。<ぼくらの>ね。癪だけど、今日のところは折れてやるよ」と、ガオーンの仲間意識を汲み取って大きく受け止めてやるジュラン、凄く大人で、良い奴だ。

 

一方、「おまえ人間だろ?キカイノイド?なんでイジルデの味方すんだよ?」と問い詰める介人に

「人間かもね、半分は」とステイシー。キカイノイドと人間のハーフ?それって物理的に可能なの?と謎が深まる間もなく、暗黒チェンジで、紫のスーツの戦士ステイシーザーに変身。マスクや「邪バーン」という音声からバトルジャパンモチーフってことみたいだけど、なんだろう、戦隊の戦士というよりは、それから外れた、ちょっと昔の自分が子供の頃に見た特撮ヒーローって感じがして懐かしい。

その姿をモニターで見守るバラシタラに、なぜステイシーを選んだのか尋ねられたイジルデは「なるべくゼンカイザー、つまり、人間に近いもので試したくてねぇ」と、そこに同僚の息子を尊重する雰囲気皆無なモルモット扱い。

それを聞いて「なるほど。実験兵士か。あんな奴でも役に立つとは」と、父親バラシタラからも出来損ない扱いで、これは確かに「僕はステイシー。それ以外の何者でもない」ってアウトローな心境になるわと改めて納得。

それでもイジルデの依頼を、誰かを超えるために受け、「恨みはないが」と繰り返しつつゼンカイジャーを倒そうとする。生まれながらの異端者で自分の立ち位置に忸怩たる思いが凄くありそうで、かつ根はそんなに悪い奴ではなさそうというのは介人じゃなくても私も感じる。とっとと介人達の仲間になった方が幸せになれそうだなと、登場早々でここまで思わせる敵も珍しいかな。

ステイシーザーの放つ銃弾が頬を掠めて血が滲み、ここに来てやっと、介人はステイシーと戦う決意をする。

「わかった。おまえと戦うよ。俺、何がなんでもやられるわけにはいかないから!トジテンド倒して世界守ったり!父ちゃん母ちゃん取り戻したり!世界初ゲットしたり! やりたい事たくさんあるから!!」

いろいろ並べてはいるけれど、とりあえず今回は、ステイシーを倒すべき悪と見なすというよりは、そこ保留にして正当防衛という理由に着地したってことでいいのかな? 

個人的に取り扱い注意なテーマだと思うんで、結論を急がず慎重に向き合って欲しいな、と思う。

 

介人はガオーンにガオレンジャーのギアを渡し、それを使ったガオーンたち4人は野生大解放(嘘ガオラオ)で偽物ガオレンジャーを一掃。更にゴレンジャーの力で偽物ゴレンジャーとのゴレンジャーハリケーン対決も制する。

するとステイシー、今度はジュランたち4人のモチーフになった戦隊のロボ、大獣神・ガオキング・マジキング・ダイボウケン

をDX玩具の箱(笑)から召喚して、セッちゃんが大興奮。

ステイシーを介人に任せて、ジュランたちも巨大化&合体し立ち向かう。でも4対2で普通に苦戦し、合体解除に追い込まれる。等身大戦の姿で巨大化してるのは新鮮だな。

もう一度合体するのは戦闘中の介人の負担が大きいからと、4人は更に巨大化して踏みつぶすことを思いつき、もう一度ギアを銃にセットすると、4人ではなくギアトリンガーが巨大化し、ゼンカイガトリングバスターに。

スーパー戦隊名物・必殺バズーカっぽくなったチュン!」とセッちゃんは言うけど、通常のそれは等身大戦の必殺武器。今回はそれが巨大戦に登場したのが、戦士がそのまま巨大化するゼンカイジャーらしい新機軸な感じ。

更にメタ的なこと言うと、正確な縮尺はともかくこれ、なりきり玩具のギアトリンガーとゼンカイジャーのロボ玩具の組み合わせでそのまま再現可能ってことになるのでは?ロボとなりきりの連動をこういう形に持って来たのかって驚いた。ビークルを銃にセットするルパパトの連動方法とは逆に、なりきりをロボに寄せるパターン。

介人から受け取った10番のギアをセットし、偽物ロボたちを撃破。したのも束の間、ステイシーは更にロボを12体も出してきて、なんなのこの大ピンチ?状態で、続く。

やっと偽物を倒したと思ったらもっと多くの偽物が!ってのも、ゴーカイジャーのバスコ登場回を思わせる。

そんで予告に出てきた新キャラが、見るからにゴーカイジャーのマスクそのもの。

2話に渡って過去戦隊召喚できる美形の顔出しライバルキャラ出して、なんか実は後で追加戦士になります的なポジションなのか?と疑う間もなく、次の回で絶対こっちが追加戦士だろ感満載なキャラ出してくる所も、ゴーカイジャーのバスコ登場→鎧登場を思わせるけど、嫌いじゃない。むしろ楽しみ。

 

ちなみに、戦隊の最初の追加戦士の加入時期は、というと

・ゴーバスターズ以前

→ 17~20話前後が多い(6月夏休み商戦前)

・キョウリュウ~ルパパト

→ 非宇都宮戦隊:10話前後(GW商戦) 

→宇都宮戦隊→17~20話のまま

リュウソウ(3月開始)

→14話(6月)

・キラメイ(3月開始&5話中断)

→12話(6月)

・ゼンカイジャー

→ 8話(4月)

 

と、キョウリュウ以降最初の追加戦士投入は宇都宮戦隊以外早まる傾向だった。3月開始になって以降は話数は早いものの時期は6月に戻してたけど、ゼンカイジャーは時期も4月にしてきたから、余計に前倒し感が強いのかな。

そんでこの、過去最速かもしれない追加戦士投入の前に初期メンバー紹介を7話まででギリギリ2巡もこなしてしまう香村さんの手際の良さに感動してる。

しかも人間体の敵キャラ登場って新展開をがっつり描きつつ、そこに人間を無差別に愛しているガオーンの葛藤をぶつけてメイン回を、しかもこの怒濤の情報量の中で成立させる計算高さ(誉めてる)が好き。

 

ゼンカイジャー6話感想: 掃除大好き男のプライドと片付けられない女の逆襲

片付けられない女マジーヌとお掃除大好き大得意男ブルーンとのコンビ回。

キカイノイドの男衆は介人の部屋で雑魚寝だけど紅一点のマジーヌはヤツデさんの部屋に寝泊まりさせて貰っている。その部屋がマジーヌの散らかしですっかり汚部屋と化し、掃除が追いつかなくなったヤツデさんがブルーンに助けを求めるも、図書館に行っていて不在。

代わりに介人たちが乗り込んだ時にマジーヌは平気で本を読んでいたので、ヤツデさんは掃除が得意なブルーンが片付けてくれるならそれで丸く治まると思って、この時点ではあまりマジーヌに対して事を厳しく言おうと思わなかったってことかな?

ジーヌは介人たちが乗り込むまで片付けのことは全く頭になかったのか、やろうと思いつつ他の興味があることをついつい優先してたのか、自分のそっち方面への適性のなさにどこか諦めの境地だったのか、指摘されて慌てて形だけ片付けようとするのがリアルで、私もあそこまでではないものの片付けが苦手なので、このあたりは他人事に思えず肩身が狭い(汗)。

 

一方ブルーンは図書館帰りに街をゴミ塗れにしているゴミワルドに遭遇し、掃除好きとして許せないと戦闘開始。介人たちも合流して形勢不利になったゴミワルドは自分の作ったゴミ山の中に逃げ込み、内側からゴミを吐き出し続けて山は拡する一方。

このままじゃ地球がゴミに飲まれてしまうと、ゴミワルドにたどり着くためにゴミ山の掃除を開始した介人たち。

ブルーンは物凄いスピードと手際で見る見るうちに分別したゴミ袋を積み上げていく。だけど他メンバーはというと、介人は捨ててあった漫画をつい手にとってしまうお掃除あるあるトラップに引っかかり(笑)、ジュランはゴミ分別がダメ、ガオーンは猫がゴミに埋もれてる!と助けたらぬいぐるみだったと黄昏て、マジーヌに至っては却って余計にちらかしてしまう。

そんな彼らに駄目出ししまくり、もう自分1人でやると宣言するブルーン。どちらかというとここは、ブルーンの言うことは正論だけど、皆が皆彼のように出来るわけじゃないんだからもうちょっと言い方や態度考えた方がいいんじゃ?って見せる意図もあったのかな?

だけど、本来は彼ほどの好奇心の強さでこっちの世界のゴミの山を片付けたら介人の漫画で脱線なんてレベルじゃ済まないだろうに、掃除の時は完全にそっちのスイッチを封印して完璧に片付けを遂行してるってわけで。物凄い克己心の強さだし、掃除のプロフェッショナルとしてプライド持ってるんだなって、ここは尊敬しかない。

「死にそうな猫ちゃんはいなかった。良かったじゃないですか」って言い回しは、ブルーンにしては洒落ていて、本とかで読んでいつか使ってみたいと思っていたのかな?と思ったり(笑)。

足手纏い宣告されてカラフルでの待機を命じられたマジーヌは鉄板の陰で体育座り。それに対するヤツデさんたちのやれやれ感とセッちゃんの「自業自得」がマジーヌの日頃のやらかしっぷりを実感させて、何だかこっちまで居たたまれない(笑)。

 

そんなゴミに塗れた街を見下ろして「酷く汚い世界だな」と呟く怪しげな青年が登場。絶対に一般人じゃないよね新キャラだよねって感じの裾の長い黒い衣装を纏い、この世界を「スクラップにされたと思ってた」と言ってトジテント側に属していることを匂わしている。けど姿は人間そのものなのはイレギュラーな存在感バリバリ。

介人はそんな彼に世界は自分たちが守ると話しかけてる途中で体に何か電波?が走り「世界初のヒーローに・・・なれるかなあ・・・」と急にやる気をなくしてへたり込んでしまう。

介人の周囲にいた一般人たちもジュランたちも同様で、頼みの綱のブルーンも「なんでしょう、この暗い気持ち?最近、本で読んだ・・・望まぬゴミに囲まれた生活は、心を蝕むという現象でしょうか・・・?」と苦しそう。

「俺のゴミから出したゴミ電波で精神を蝕み、人々がゴミのようになる。これぞ、世界をゴミで包む計画の本質ゴミ!」ってゴミワルドの仕業。一瞬、謎の青年の能力かと思ったけど違った(笑)。

 

ゴミはますます世界中に溢れ出してカラフル店内にいたヤツデさんとセッちゃんもゴミの山に飲まれてしまう。

これ、東映公式によると東映撮影所内に「予算も手間もかけさせ」「各パートが丹精込めて用意した膨大な量のゴミ」だそうで、凄いな。どこから持ってきて、撮影が終わったらどこに片付けたのか、考えると気が遠くなる(汗)。そんでこういう所に予算かける心意気が凄いよ。

体の小さなセッちゃんは完全にゴミの下敷きで抜け出せなくなっている。けどヤツデさんも無気力で助けられない。

それを猛然とマジーヌが助け出す。・・・ゴミに囲まれて暮らすのに慣れてるからゴミ電波に耐性がありわりと平気ってことみたい。そして片付けは下手だけどゴミの中から必要な物を探し出すのは得意。

 

一方、ゴミワルドがここならば絶対安全と安心しきっていたゴミ山の中心部に、無気力にされたはずのブルーンがふらふら状態で辿り着いた!。

「このゴミの中どうやって?!」と驚くゴミワルドに「片付けたのです!あなたの事も、片付けます!」とあくまでプライドと根性と執念で正面突破し、ゴミ山を吹き飛ばすブルーンが格好良すぎる。

今回は、片付けられないという欠点を持つマジーヌがその欠点故にこの後状況を打開出来たって展開なんだけど、その前にきっちりとブルーンの「どんな状況だろうと掃除を遂行し抜く」強さというか凄みにきちんとスポットを充てて貰えたのは、頑張った人には報われて欲しいから嬉しい。ホント今日のブルーンは物の言い方をとやかく言うのが申し訳ないくらいご苦労様だよ。

だから、こちらも根性で合流した介人たちがちゃんと労ったり、その3人がゴミとして袋詰めされて戦闘不能になり1人で戦うも押され気味なブルーンを見て、介人が「疲れてるんだ、ずっと掃除してくれてたから」とちゃんとフォローしてくれるのは気持ち良い。介人は第1話を底に順調に好感度上がってるけど、今回のは特にポイント高いよ。

 

とうとう吹き飛ばされてゴミ山の中に突っ込んでしまったブルーンを、駆けつけたマジーヌがまたしてもあっという間に探し出す。「ゴミの山から物探すの慣れてるんで!」と片付けられないという欠点持ちだからこその強みが、こんな異常な状況下では活かされた。

香村さんはジュウオウジャーでも、一生懸命スイッチを探しても見つからない苛立ちからチームが崩壊しかけたのを、普段サボり気味な反面思い詰めすぎないアムが治めた描写をしてた。

欠点を全否定せず良い面もあると認め合うことが大事っていう描き方を意識されているようで、それがジュウオウジャーに続いて異種族交流がテーマな面もあるゼンカイジャーにも、ハマってるなと思う。

 

助けられたブルーンは、「掃除の続き、自分も手伝っても良き?」とおずおず申し出るマジーヌ(助けたからといってもあくまで下手な感じが好き)に、「済みませんでした。よろしくお願いします」と頭を下げる。「こちらこそ!」と心を1つにしていくのが見ていて凄く気持ち良い。

それを見て介人たちもやる気を取り戻す。ゴミ袋から手足だけ突き破った状態で「生ゴミパワー」「粗大ゴミパワー」「不燃ゴミパワー」、ついでにマジーヌも「片付けられないパワー」と、ブルーンの「お掃除パワー」がまともだと錯覚してしまう気の狂った名乗りにタライまで落ちてきた(笑)。

「貴様等、それで良いゴミ?」に心から共感する間もなく「世界初!ゴミのヒーローだ!」と豪語する介人に、本当に世界初なのか検索を始めるセッちゃんとか、もうツッコミが追いつかない(笑)。

ゴミ袋組も普通に戦ったら強く、ゴミ山の中に逃げたゴミワルドをマジーヌがマジックショーと称して助手のブルーンに垂れ幕を張らせ、「ワン、ツー、スリー、ハッ」でノリノリで登場させた時には、もはやツッコんだら負けのような気がしてきた(笑)。

ジーヌとブルーンのコンビはゴーバスターズをイメージしたスピードとパワーの技で圧倒し、最後は5人でトドメ。

「怪人が起こした問題は怪人を倒すとだいたい解決する」の法則で、あれだけ世界を覆っていたゴミもすっかり消滅。合成全開だったコオリワルドの時と違って今回はゴミの質感が生々しく迫力あったから、ヤツデさんの「助かった・・・」が凄く実感こもっていて、こちらもホッとした。

 

だけどバラシタラがクダイテストを出撃させダイゴミワルドになると、またまた世界はゴミだらけ。しかもゴミも巨大化してる。

ゼンカイジャーは怪人が並行世界の力を使うからか、被害のスケールが大きいことがここまで多くて、しかもワルドを倒して一度世界が元に戻り助かったと思ったら直後にもう1回その被害がスケールアップして襲ってくる。

私だったらかなり嫌だなと思うし、あの世界に住む人たちは精神的に鍛えられているんだろうなと思う。まあもともと私たちと姿形は同じでも「キノコ生えるくらい良くない?」とか言えちゃう大らかな民族性な方たちだし、5回もワルドの襲撃を経験したらそういうものと慣れたかもだけど。

 

ゼンカイジャーはジュラガオーンとマジブルーンで応戦。ポリバケツを被せて目隠し&ゴミを操って攻撃させてくるダイゴミワルドに苦戦するも、マジーヌが「まだまだ全然使えるし!」と魔法パワーを注ぐとリサイクルされてゴミでなくなり無効化(笑)。

・・・そう、捨てられない理由の大きな1つが「まだ使えるのに勿体なくて」なんだよ。結局使わなくて溜まっちゃうんだけど(汗)。今回は自分の片付けられないコンプレックスが微妙に刺激されて心穏やかに見られない(笑)。

ジーヌの繰り出す片付けられないパワーあるある魔法で反撃に転じたゼンカイジャーは、最後はマジブルーンの突撃ツルハシ攻撃(技名聞き取れず)でフィニッシュ。

ダイゴミワルドが倒されても微妙に残っている巨大ゴミをロボ2体が巨大箒で掃いてる絵面がシュールだ(笑)。

 

一件落着したカラフルでは、今回お手柄なマジーヌが自己肯定感に目覚めてた(笑)。

「自分くらいの方が逞しく生きれて良いって考えもあるんで」と開き直って「はい、勉強になります」と殊勝なブルーンに「分かればよろしい!」とか調子に乗るから、このあたりからヤツデさんの反応が気になってヒヤヒヤ。

案の定食べたお菓子のゴミを片付けずに部屋に戻ろうとしてヤツデさんから「だからゴミはちゃんと捨てなさぁい!」と雷が落ちた(汗)。ヤツデさんの顔がマジでイラッとしてる(大汗)。

・・・無理もないよね。親切心で自分の部屋に住まわせたら、これまでの長い人生で初めてレベルの汚部屋にされて、やらかした張本人が、のほほんと「自分くらいの方が」なんて開き直ってお茶飲んでたら、ぶん殴って追い出しても許されると思う。

いくら今回はその欠点のおかげで助かったとしても、ブルーン曰く「望まぬゴミに囲まれた生活は、心を蝕むという現象」に曝されてる状況が続くのはたまったもんじゃないからなあ。けど、叱る時は叱って後を引かずに、マジーヌが慌てて転んだ時の「そそっかしいねぇ」ってポンポンとか、ホント懐が海のように深くて広い人だと思う。

私もあそこまでじゃなくても片付けられないマジーヌが他人事でなく、欠点としつつも良い面にもスポット当てて貰えるのは、それぞれの個性を闇雲に否定しない優しい世界でゼンカイジャーらしいなと思うと同時に、なんかすみませんホントにいいんでしょうか?みたいな後ろめたい気持ちにもなって今回は複雑な心境(汗)。

 

一方、トジテントでは、バラシタラがゴミトピアの解放を確認していた。

ゴミトピアはきっとゴミの溢れた汚い世界で、ボクシングトピア以上に解放しない方が良かったんじゃ?って気もする。

けど、現実のゴミ屋敷のように周囲にはみ出して実害が及ぶんじゃなく、その並行世界の中で完結してそれなりに平和に暮らしていたのなら、無闇に否定せず尊重すべしっていうのもゼンカイジャー世界なのかもしれない。

そこにあの謎の青年が華麗に宙返りしながら舞い降りて「忘れたの?息子の顔を」と衝撃の一言で、続く。

予告ではステイシーと名乗っていたこの青年はまるっきり人間の姿。

戦隊の敵はたまに着ぐるみの中に人間体を持った同族が混じることもあるけど、ゼンカイジャーはガオーンの嗜好とかもあったりして人間とキカイノイドの姿の違いを意識的に描いているから、思いっきりゴツいキカイノイドそのもののバラシタラと親子と言うからには、それなりの事情があるんだろうな。

そんで予告ではガオーンが彼の存在に戸惑ってるっぽい。ゼンカイジャーは敵を種族で区別しない=種族や姿形で差別しない、と打ち出してる。けど、じゃあ人間は人間の姿をしているというだけで無条件で守られるべきっていうのは別の意味で差別じゃないの?

ってのを人間の姿をした敵を出すことで、しかもこの世界の生き物の姿を愛するが故に人間に対しては博愛主義者みたいになってるガオーンに突き付けるんだとしたら、シビアだなと思った。

 

ゼンカイジャー5話感想: 5話レッド回は当たりが多い?

介人の両親がトジデントの研究室にいたらしいという話を聞いて、それまでの和やかな空気が一変したカラフル。ブルーンは「聞いたような」と伝聞形で話しているにもかかわらず、ヤツデさんが慌てて夫婦の写真を見せて見覚えないか確認しようとするのが辛い。

夜、眠れない介人が起きて居間に行くとヤツデさんも同じだった。これまでの作風が明るくわちゃわちゃな分だけ余計にしんみり具合がいいメリハリ。ああやっぱりこういうところも香村脚本だな、いいなと思う。ヤツデさんも普段は明るくチャキチャキだけど、子供がいくつになったって10年間行方不明なのは心配に決まってるもんなあ。それが侵略者組織にいるかもと聞いたら、介人以上にいてもたってもいられないかもしれない。

介人が急に何かに気付いてお茶吹いて寝室に戻ったと思ったら、ブルーンを叩き起こしてどうやってこちらに来たのか問い詰める。

あ、そうか。ここで思いきりスポット当ててくれるのか。「キカイトピアからこっちの世界にどうやって移動するのか興味あったんだけど、そこは思い切りスパッと省略しやがった(笑)」とか前回言っててごめん(汗)。

居候の野郎キカイノイド3人は介人の部屋で思い切り雑魚寝。カラフルの間取りなら部屋はいっぱいありそうに思えたけど、そうでもなかったのか。あの状態でもうちに来いと言える五色田家というか介人は想像以上に大らかだった。

 

トジデントでは、閉じ込めた世界が元に戻ったとボッコウスが知って激怒。怒りの<ドスン→ぴょーん>は幹部たちのゆったりした宙返りが加わって、回を追う毎にパワーアップしてる(笑)。こうなったら最終的に4回転ムーンサルトぐらい決めて欲しい。

ゲゲがなだめてそこまで厳しい罰は下らなかったけど、イジルデさんはちゃんとお叱り覚悟で自分の作戦の不備を報告し、改善を申し出たんだな。組織の幹部としては真っ当だと思う反面、前回ブルーンを口封じしようとしたもんで、これからもボッコウスに隠したままずるずる今の作戦続けて傷口広げて隠しきれなくなり、追い詰められて暴挙に出るのを見たかった気もしてちょっと残念(笑)。

 

翌日、介人たちはブルーンがこの世界に降り立った場所にやって来る。トジテンドからは並行世界と行き来出来るゲートを通ってここに着いたと聞き、ガオーンとジュランを踏み台にして上空にあるかもしれないゲートに跳ぼうとする介人は、まんまゴーカイジャーゴーオンジャー回で次元の割れ目にトランポリンや棒高跳びで挑む走輔。脚本を担当した香村さんの中では介人の思考回路が走輔のそれと凄く近いものだという認識なのはよくわかった(笑)。

今回はバラシタラに率いられたスシワルドが、人々を公園の遊具と一緒に握ってくっつけてしまう。ガオーンたちが助けようとしても離れなくて「寿司というのはこんなに接着力が強いのですか?」とブルーンが激しく誤解しているけどいやいやいや(笑)。

というかそもそもスシトピアとはいったいどんな世界なのか(汗)。

でも両親のことが気になりすぎる介人は戦いそっちのけでスシワルドにしがみつき、トジデントまで案内させようとして振り落とされ、庇ったジュランともどもベンチと一緒に海苔で巻かれてワサビをかけられてしまう。介人の白とジュランの赤で<カラーリングがはちゃめちゃマグロ>(笑)な握りはやっぱり引き離せず、スシワルドを倒さないとどうしようもない。

何か閃いたガオーンが駆け出しマジーヌとブルーンが追いかけて行った後、介人の目に映ったのは、同じようにくっつけられて苦しんでいる人々や、その近くで心配する人々。

「やっちゃった・・・父ちゃん母ちゃんの事より、スシワルド倒してみんな助けなきゃいけなかったんだ。ああ~後悔全開・・・」

キノコの毒にやられた時もだけど、介人の失敗は失敗と認めて挽回しようとする姿勢は気持ち良い。これまでの香村レッドと違い考えるより先に突っ走るタイプで簡単に失敗するけど、すかさず反省を入れてくるのはやっぱり好感度に配慮された香村レッドだ。

そんでそれを「馬鹿野郎!」と一喝し、「父ちゃん母ちゃんよりなんて事あるか!自分のこと大事なのは、当然だろ!」と、ヒーローだって人として当然の感情や価値観は捨てなくていいと諭すジュランが素敵。

キラメイジャーも個人をヒーロー活動の犠牲にしないことを早々に打ち出したけど、ゼンカイジャーの場合は介人の環境がヒーローとして活動するようお膳立てされすぎている上に、心配されてる張本人の両親までそう望んでいるように受け取れなくもないので、ともすると介人がそっち方面に流されてもおかしくない(実際<友達>=<一緒に戦う>だったり)ところをジュランがストッパーになってる感じ。

 

一方、ガオーンは<寿司>ワルドならば本来は酢飯とネタを握りたいはずだからと、酢飯の匂いでスシワルドを誘き出す作戦を立てる。

キカイノイドは嫌いだけど愛する人間たち特に介人を救うためならば率先して他のキカイノイドたちのリーダーとなるガオーンに安心した。料理が得意=食への興味が強い設定にしたのも上手く機能してると思う。ゼンカイジャーの活動には必ず「人間を守る」が含まれるだろうから、ジュランがいない時はガオーンがリーダー格になって対人的には大人しめな青桃をひっぱる形になるのか、それともそれぞれの得意分野の時に変わりばんこにリーダーシップをとるようになるんだろうか。

でもその作戦の掛け声が「米を炊け!」「おー!」なのは狂ってるけど楽しい。

 

夜の公園で、両親のことを隠してたわけじゃないけど「なんかあんま言葉にしたくなかったっていうか」という介人にジュランは

「わかるぜ。俺も言ってねぇもん。家族いなくなっちまったって。こっちの世界来るより全然前だ。ま、キカイトピアの庶民には珍しくねぇのよ」と自分の事情も話す。

庶民キカイノイドの失踪は日常茶飯事って、かなりヤバそうな感じ。香村さんにはルパパトの化けの皮という前科があるしな(汗)。実は失踪にトジデントが関わっていて消えた庶民たちが残酷な扱いを受け、最悪もう生きていないとかだったら、それはキカイノイド庶民が同族の王朝トジデントを倒すべき悪と見なす大義名分として完璧だなとは思うけど。

ジュランが人生のパイセンとして介人を支えるポジションなのがしっかりアピールされて、しみじみした素敵な場面。介人とジュランの年齢差あればこそで、このあたりも恐らくはいろんな事情で人間体を1人だけにせざるを得なかったのを逆手に取り、基本的には若者たちだけで構成される従来の戦隊では出来ない配置に活かしてきたな。

それだけじゃなく、昼間から苦しんでる皆に声かけて励ますのも沁みる。絵面は狂ってるけどあの態勢で一晩過ごす辛さが肌感覚で伝わって来るんだけど、香村さんの脚本には時々そういう、五感を刺激されて画面の中の物語とリアルの垣根が解けて他人事じゃなくなる感じがあって好き。

 

翌日、寿司職人の格好した黄桃青はいつもの採石場で寿司桶に酢飯を広げ、匂い拡散のために扇ぐ。相変わらずいろいろ狂っているけど、その匂いにまんまとおびき寄せられたスシワルドも紛れもなくこの狂った世界の怪人だな(笑)。

採石場で扇ぐって酢飯が砂埃塗れになりそうだけど、ガオーンは愛する人間たちがこれ以上被害を受けないよう、スシワルドを人気のない場所に引き離したかった狙いもあるのかもと思うと健気だ。

3人がかりで優勢だったのも束の間、バラシタラが参戦。「席はあいてるか?」とか、脳筋かと思えば小洒落た台詞。氷に滑ったりボスのドスンに華麗な宙返りを披露したりと、これまでコミカル面が目立ってたけど、まともに戦うとしっかり強くて、たちまち大ピンチ。セッちゃんからそれを聞いて介人はくっついた状態からチェンジ全開。

こんな状態でというジュランに介人は「全部大事で当然」というジュランの昨日の台詞を引き合いにし「握られたみんなも助ける。ガオーンたちも助ける。父ちゃん母ちゃんも探す。無茶でもなんでも、大事なこと全部、この手で握ってやる!」と寿司に引っかけて、ニチアサヒーロー名物総取り宣言をここに持ってきた。

最近まで35作品記念作ゴーカイジャーの感想書いていたので、45作品記念作ゼンカイジャーの主人公である介人の「握る」がマーベラスの「大事なものを掴む、掴み取る」というスタンスを引き継いでいるような連想もしたりして、個人的に嬉しい。

でも変身の代わりにキュウレンジャーシシレッドの姿が一瞬浮かんだと思うと、介人の口から「よっしゃラッキー」と聞き覚えのある台詞(汗)。そんで、次の瞬間、近くの消防線が壊れて高圧水流にベンチごと吹っ飛ばされる。

間違えてキュウレンジャーのギアを使ってしまったためにキュウレンジャーの力である<ラッキー>が発動したらしく、転がってトラックの荷台→カーブで転げ落ち→大量の風船が絡まって浮上→ガオーンたちの上に流されてきたところに何故か飛んできたキツツキならぬクマゲラ?が風船を割り、落下してスシワルドを押し潰して着地(笑)。チートすぎるぞキュウレンジャーの力。

・・・前から薄々思ってたけど、香村さんは「こうなった要因」は都度用意するけど、その<要因>に本当にそこまで出来る物理的な力があるかどうか(ワゴンを持ち上げられない風船に人間+キカイノイド+ベンチを持ち上げられるかとか)は、わりと強引に押し切っていいと思ってるような(笑)。そんでキュウレンジャーの力がラッキーってのも、あくまで五色田夫妻の解釈ですから!という言い訳が立つのが狡い(笑)。

 

介人とジュランはベンチに括られた状態で変身&名乗り&戦闘をこなして、バラシタラをガオーンたちが担当する間に、2人でスシワルドを撃破。

今回は戦隊名物くっつきネタだったのかと今更。追加戦士に寿司屋がいた侍戦隊の両手くっつき戦闘も凄かったけど、背中合わせ+ベンチ状態での戦闘もかなり狂気の沙汰。そして12年を経てどちらも参加してる竹内さん(ジュラン&シンケン緑)はつくづく化け物。

くっつき状態は解放されたけど、今度はダイスシワルドが回転寿司レーンを展開し、巨大化しようとしたジュランたち4体まとめて寿司に握り回転レーンに乗せてしまう。「硬くてまずそう」な酷い絵面の中で、ピンクのマジンドラゴンになんだかエビが一尾丸ごと乗ってるような豪華さを感じてしまうのは私の目がきっと良くないせい(汗)。

「その活きの良いの4つくれ」と言ったら爆弾投げつけられてリュウソウジャーのギアでリュウソウ剣を使い「こんな店は営業停止だ」と暴力には暴力で対抗しレーンに斬りかかって破壊しジュランたちを救出。

改めて合体するキカイノイドたちだけど、ブルーンが向かい合ったマジーヌに「合体は慣れましたか?」と聞き、マジーヌが「や~慣れないっすねぇ」と返すのが、片や合流したばかりの元は組織人な敬語男子、片やそれよりは古株だけど引っ込み思案気味なオタク女子、な2人が改めてコンビ組んで当たり障りなく距離を詰めようとする時の会話として解釈一致過ぎる。

香村さんはこういう年齢こういう立場こういう状況で、いかにもそのキャラが言いそうな台詞の引き出しが多いな~と改めて。

ちなみにキカイノイドの合流は、ガオーンがジュランの翌日で、マジーヌもガオーンが介人たちのために初めて朝食を振る舞った日だからそんなに離れていないはず。ブルーンだけは他3人がすっかりカラフルの常連さんと馴染んだ後でちょっと間が空いてる感じかな?

 

「大将、もう看板かい?」今回は敵も味方も台詞が寿司ネタ満載で、レーンが破壊された寿司店主への挑発も粋。寿司回だけにここまでネタも満載で、そのせいか戦闘自体はジュラガオーンとブルマジーンの2体がかりでわりとあっさり撃破。

見届けたバラシタラは「楽しかったのである」となんだかご満悦?それとも負け惜しみ?戻ろうとする背中にまたも介人が抱きついてむりやりトジデントに同行しようとするけれど、何らかの理由で1人だけ弾かれてしまう。機械の体でないとダメなのか、それとも他の要因でジュランたちもダメなのか。

夜はガオーンが改めて寿司職人として手巻き寿司を振る舞い、えーとこれ、あの採石場に持ってった砂まみれの奴じゃないよな?とはちょっと気になったけど、皆で美味しく頂きながら、介人とヤツデさんは諦めずに方法を探すと気持ちを新たに。

ガオーンはせっかくの手料理の反応が薄いと遠慮なく催促するのが可愛い。

一方、ギアを改良している?イジルデは何か試してみたいことがあるらしく不気味に笑う。「誰で試そうか」の「誰」がどのグループに属しているのか、トジデントの身内か、ゼンカイジャーの誰かか、それとも閉じ込めた戦隊たちの誰かか、なのか、思わせぶりなのが不穏。

 

主人公×レッドのダブルメイン回として良かった。香村戦隊の5話レッド回は、ジュウオウジャー(ジュウオウゴリラ回)、ルパパト(ダブルレッド対決)、そんでゼンカイジャー が今回と、外れ無しで好き。というか4話→5話の流れ自体も好きで、いつもここで決定的にハマってるな。

元々は宇都宮戦隊が一部例外はあれど4話までに一通りキャラ紹介済ませて5話でがっつりレッド回っていうフォーマットだった。シンケンジャーの兜折神回やゴーカイジャーデカレンジャー回とかも好き。その宇都宮Pに重用された香村さんがメインのゼンカイジャーも、メンバーが4話までに1人ずつ加入して完成する展開もあってそれにぴったり沿っているようにも見える。

予告の謎の青年が追加戦士じゃなくザミーゴやバスコみたいな顔出し敵幹部または第三勢力なら余計にそう感じるだろうけど、こちらはどうなるか楽しみ。

 

海賊戦隊ゴーカイジャー: 51話(最終回)感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■まさにジョーカー

ゴーカイジャーは地上戦ではダイランドーに「何なのこの強さ?」と言わせるほど兵士たちを圧倒出来たけど、空からの大艦隊の爆撃に対しては、ゴーカイオーも豪獣神も破壊された今は為す術がない。

今の自分たちには戦える船がないことは50話で言及されている。その上でお宝を使わず自力でザンギャックを倒すと選択したことに私もあんなに感動したくせに、いざそれを突きつけられると「こんな無策のままじゃ海賊も地球人も全滅だから、やっぱりお宝を保険にとっとくべきだったんじゃ?」と頭をよぎってしまった(汗)。

でもあわやというピンチに、ナビィがなんとバスコの船!を操縦して駆け付け皆の盾になる。

考えてみればバスコは船でやって来たんだから当然地球のどこかに停泊されているはず。前話でもう戦える船がないと海賊が嘆いた時にナビィが「船ぇ?」と首を傾げたのは伏線で、バスコが船を隠しそうな所へ探しに行った、というのは理に適ってるわけだ。

でも当時は完全ノーマークで、「その手があったか!」とホントびっくりした。

海賊たちも全くの想定外。彼らが事前にそれを思い付いてナビィに捜させていた方が、地球人たちの命もかかっているだけに海賊たちの株は上がったろう。でも、この驚きと7番目の海賊ナビィ最大の見せ場が良すぎたから文句なんて言えない。

船の名前はフリージョーカー。私の記憶だと最終回で初めて聞いた気がするけど、まさに逆転の切り札、ジョーカーだったな。

 

■千載一遇

マベはこのフリージョーカーで皇帝のいるギガントホースに突っ込むという作戦を即座に決める。

「狙うは大将の首一つ」は多勢に無勢の時の常套手段。だけどそれ以外の重要な狙いもあったことを、当時の私はまだ想像もしていなかった。

そんでこの後のジョーが素晴らしい。マベの意図するところを正確に汲み取り、一瞬切なく顔を曇らせるも、鎧に「お前も一緒に行け」と、マベとの関係の深さを考えれば自分が行きたいはずの危険かつ重要なミッションの相棒の座を譲る。

「夢なんだろ?ザンギャックを倒すのが」と、宇宙最大の宝という自分たちの夢を手放した代わりに、鎧の夢を後押ししてみせるのも忘れない。

「最前線に皇帝が出てくるなんて千載一遇のチャンスだ」という台詞は、例によってジョーの元軍人らしい戦略眼をアピールすると同時に、メタ的にはそれだけでなく、ここがレジェンド大戦との違いなんだとさりげなく示している。

この後の展開を見れば、たとえ艦隊の数はレジェンド大戦の何倍来ていたとしても、あの時とは違い皇帝が出張ってきたからこそ、ゴーカイジャー1戦隊でも大逆転に繋げられたことは明白。34戦隊が大集合してもザンギャックを滅ぼせなかったからといって先輩たちの格落ちとはならない、という配慮も感じて好き。

 

■艦隊全滅

マベと鎧はフリージョーカーでギガントホースに体当たりし、ポイっと雑にナビィを逃がして(笑)ゴーミンをなぎ倒しながら皇帝のいるブリッジに到達。

座ったままでもやたらめったら強い皇帝に苦戦し、鎧がゴールドモードで立ち向かうも、いつの間にかマベが画面から消えてる。あれ?と思ったら操縦席に座っていて、手際良くボタン操作したと思うと、ギガントホースに備わった全ての砲で、空を埋め尽くす超大艦隊を次々に破壊し、とうとう全滅させてしまう!

いや、あんな大軍どうやって対処するのかと思っていたら、「地球の意思とかレジェンドたちの思いが結集してその時不思議なことが起こった」みたいな奇跡や超常現象などには一切頼らず、あくまで現実的かつ理に適った方法で成し遂げたことに驚いて、しまいには笑ってしまった。

何が酷いって、皇帝のいるギガントホースに攻撃することは重大な反逆行為であり、その場から勝手に逃亡することも軍令違反だから、どんなに大軍だろうと反撃も退却も出来ないまま、大人しく順番に撃たれるのを待つしかないってことだよね(笑)。「逆らったからには逃げ続けるか死ぬか」というあの宇宙の一般常識が骨の髄まで染みこんでいるからこそザンギャックの兵士やっているのなら尚更。

一方で、根本的には他人を信用しない孤独な独裁者とその息子とための艦であるギガントホースには、部下の謀反に備えていざとなればどんな艦隊だろうと駆逐出来るだけの火力を持たせていてもおかしくなかったってことで、そこをマベに狙われたわけだ。

皇帝が最前線に出てきたからこそ可能だった大逆転。逆に言うと、皇帝さえ出て来ていなければ、多分フリージョーカーもいつかは大艦隊に破壊されて、ゴーカイジャーは勝てなかったと言ってもいいと思う。自分の手で息子の敵討ちがしたかったのかもだけど、出張ってくれてありがとう皇帝陛下!

 

■ダイランドー

強いことは強い。だけど結論から言えばジョーの言うとおりマベと鎧を除いた4人だけで、苦戦はしても倒せた。バトルとしては自慢の大艦隊殲滅に驚愕して空を見上げたところを背後から撃つ卑怯な「海賊ですから」攻撃や、ハカセのズバーンを変形させた剣を使いジョーのデカマスターが二刀流、そして攻撃ダメージで変身解除しながらもゴーカイガレオンバスターでトドメ、と見せ場はたくさんあるものの、ダイランドーはそれをがっつり受けるだけ受けて散っただけ。「ちょいちょ~い」など印象的な口癖以外は特にキャラとしての掘り下げはない。

でも、もしかしたら逆に、わざとんな扱いにしたのかもしれない。1年レギュラーを張ったお馴染みの幹部たちは一人残らずきちんとスポットを当ててから退場した。

後に残ったのは、非常に強いけれど見ている側の思い入れは薄い皇帝とダイランドーだけ。仮に海賊たちがあの絶望的な状況下で「賢く確実な選択」をしてお宝を使った場合には消えてしまっても正直惜しくなかったと思うから、純粋に海賊たちがどんな選択をするかだけをハラハラ見守れた部分もあったのかなと。例えばダマラスが生き残っていて、彼と決着を着けずにザンギャックが消えてしまったら?と考えると、個人的には寂しかったと思う。

「こっちはやったぞ、マーベラス

自分ではなく鎧を行かせ、別れ際にマベと視線のやりとりだけで意思疎通し送り出したジョーが、ギガントホースを見上げて笑うのが格好いい。マベとの関係の長さを活かした相棒ポジションにバリゾーグとのドラマと、年間通して凄く描写に恵まれた良いブルーだった。

 

■ギガントホース破壊

大艦隊を失って精神的な動揺もあったけど、それでもマベ鎧2人ががりを同時に吹っ飛ばす皇帝は強い。あのダマラスを従えられるんだから当然か。

2人は劣勢のままファイナルウェーブを出そうとし、それダマラスにもバスコにも跳ね返されたんだけどな・・・と思ったら、狙いは今度も皇帝ではなく艦そのもの。さっきマベが座った操縦席のシステムを破壊し、船のコントロールを失わせて動揺した皇帝を串刺し。

大艦隊は殲滅させたけど、そもそも大艦隊を殲滅出来るほどの攻撃力を持ったこのギガントホースを地球上空に残しておくわけねーだろ!と言わんばかりの「狙いはこっちなんだよ!」が素敵。

とことん海賊らしいゲリラ戦法(と言っていいのかどうか)で、数の上では圧倒的不利だった空中戦を実質2人(+1羽)で制してしまった。お見事過ぎる!

 

■お宝を使っていたら

最終決戦におけるザンギャックの爆撃による被害は見る限り甚大で、もしお宝を使ってザンギャックがいなかった世界に変えていたら、失われずに済んだ命もあったのかもしれない。

だけど考えてみるとザンギャック以外にも、これまで地球を襲った脅威は34のスーパー戦隊が戦ってきた分だけ存在した。もしスーパー戦隊がいなくなった地球にその脅威が迫っていたら地球はどうなっていただろう。そう考えると、やっぱりあの世界の地球からスーパー戦隊を奪わないという選択は正しかったんだろうな、と、改めて思ったりする。

 

■怒濤のゴーカイチェンジ

ギガントホースは破壊され墜落。マベと鎧は飛べる戦士にチェンジして脱出したのはわかるとして、皇帝はどうやって無事に地上に着陸したかのかはわからない。けど、全宇宙を支配出来る強さを持った宇宙人ならどうとでもなるってことなんだろう。直前に腹を串刺しにされたダメージすら感じさせない。

ここでまだ自分が海賊たちを葬れると考えている皇帝に、海賊たちがその心得違いを突きつけるのが好き。特にジョーの「この星を狙ったのが間違いだったんだ!」って言い回しが大好き。

 

ラスボス皇帝との最終決戦はレジェンド大戦とは違い、あくまでもゴーカイジャーの6人が自分たちの後ろにいる34のスーパー戦隊の力を借りて戦う。怒濤のゴーカイチェンジ乱れ撃ち。

長柄物コンビ、忍者集団、リボンコンビ、車集団、炎兄弟、と竹本監督曰く「1人攻撃じゃなくコラボ攻撃できるメンバーを選んで」「いかに皇帝を倒すというかよりも、いかに全戦隊を出すかを考えて、この1年で1番頭使いました」とのこと。

正直言って瞬きするのも憚れる感じで圧倒され、とてもじゃないけど全部の戦士なんて把握出来ず個人的に勿体なくて申し訳ない(汗)。強化形態の勢揃いでやっと息がつけた。そしてここでハイパーシンケンレッドは1人で美味しいとこ持って行き過ぎで狡いよ殿、いやマベ(笑)。

 

■主役は鎧

皇帝が最後の力を振り絞って放った攻撃の爆炎から鎧がガレオンバスターを持って飛び出すのが格好いい。その銃口を皇帝に突き刺すと、背中を5人が支えて零距離発射。遂に、宇宙帝国ザンギャック皇帝アクドス・ギルを倒した。

鎧の「スーパー戦隊として自分たちの手でザンギャックを倒す」という夢がここに叶う。

竹本監督は、マベたちはもうお宝を手にしたので最終2話の主人公は鎧だと仰っていた。物語的にも、鎧はメンバー中ただ1人の地球人だから、襲われた星の住人こそが当事者として中心にいるというのは納豆出来るしそうあるべきと思う。

海賊がスーパー戦隊になる道筋のこんなにも要所要所でマイルストーン的な役割を果たし、見習いから一人前の海賊への成長も終盤のクライマックスに絡めてしっかり描かれ、最終回は鎧の夢を海賊たち皆が後押しする実質主人公。本当に、本当に幸福な追加戦士だと思わずにいられない。

 

■カレー屋再び

数ヶ月後、海賊たちは1話で店が破壊され食べ損なったカレー屋を訪れ、今度こそゆっくり心ゆくまで味わっていた。

宇宙新聞の記事によれば、ザンギャックは皇帝を失ったものの完全に滅んだわけではない。でも本星では内部分裂が進んで宇宙における影響力を失い、崩壊は時間の問題と見做されている。わりと現実的な落とし所なのが、シビアなゴーカイジャーらしい。

マベは、次の狙いは宇宙で2番目のお宝であり、そのありかはザンギャック本星だと目星を付けていると言う。その言葉を聞いた他の仲間たちも、笑顔を浮かべてそれに付き合うと表明する。

1つの夢に決着を着けてもそこで立ち止まらず、当たり前のようにまた次の夢を追うのがマベらしいし、ゴーカイジャーらしい。でも彼らの意図は本当にお宝探しなのか、それともこの機を逃さずザンギャックにトドメを刺すのが真の狙いなのか。

 

■保育士さんと園児たちも再び

鎧が合流して海賊たちが出立しようと船に向かうと、保育士さんと園児たちが地球を守ってくれたお礼を言いに駆け寄ってきた。これも地球での初戦を思い出させて懐かしい。

でも海賊たちは、「自分たちはたまたまお宝探しに寄った地球で邪魔なザンギャックを排除しただけ」と否定する。ハカセの「だからお礼を言われる理由はないよ」など、海賊たちの台詞も1話ラストで助けたお礼を断ったやりとりと重ねている。

物語の始まりと終わりをこんなにも綺麗に重ねて完成度高めてどうすんだよ?と、ちょっとだけ腹立った(笑)。

別れを告げて歩いて行く海賊たちの行く手に修理を終えたガレオンが大きく浮かび上がるのが、いよいよ彼らが地球を去る寂しさを突きつけて、切ないけど格好良くて清々しい。

 

アカレッドを乗り越えて

出立の直前、マベはスーパー戦隊の大いなる力を宿したレンジャーキーを船から地上に放って元の持ち主に返す。

ふと船首を見ると、そこにアカレッドの影。マベの方に少し振り返って頷いて見せる。マベにとってアカレッドは死者の幻影かもしれないけれど、その姿に「あばよ、アカレッド」と微笑む。

スーパー戦隊の力と存在を代償に、宇宙最大の宝で地球を守るようマベに託したアカレッドにしてみれば、ゴーカイジャーが出した答えと結果は自分の想定を超えるものだったかもな。彼の成り立ちを思えばスーパー戦隊を犠牲にすることは苦渋の決断だったろうから。

アカレッドに拾われて彼に懐いていた少年は、命を救われて夢を託され、それを叶えるため彼の背中を追いかけながら不敵な船長の鎧を纏い、地球で仲間と共に数多くの冒険や苦難を乗り越える過程でやがて真似ではなく自分自身の足で立ったキャプテン・マーベラスとなり、「邪魔する奴はアカレッドだろうとぶっ潰す」との境地に達して夢を一度は掴み、だけど誇りを持って手放すことでアカレッドをも超え、今その幻影かもしれないものに改めて別れを告げる。マーベラスの冒険と成長の物語としても完成度高いなと思う。

 

■レジェンドたちの大集合

OP曲が流れ出すと共に、10人を超えるレジェンドたちが次々にレンジャーキーを受け取り、去って行くガレオンを見上げて敬意を表する。

宇都宮P曰く、ラスト3話は実質竹本監督の回だそうで、レジェンドたちも「ここまで来た以上はとにかくできる限り揃えましょう」と。P的にはずっとスケジュールが悪い中でゲストを増やすことを危険視していたけれど「絶対間に合わせるからやらせてくれ!」と主張され、キャストも知らない所でどんどん増えていったとか(汗)。ホントよくぞここまでと頭が下がる。

ゴーカイジャーは本編:中澤監督&劇場版:竹本監督でスタートし、劇場版:中澤監督&本編:竹本監督で締めくくられたけれど、どちらのお仕事も素晴らしかった。

 

レジェンドのトリをアカレンジャー海城剛が務め、「掴み取れよ、今度は君たちの夢を!」と力強く語りかける。<今度は>という言葉からは、地球の人々のために自分たちの夢を掴まなかった海賊たちの思いを、レジェンドたちがしっかり受け止めていることが感じられる。示された敬意にはそのことも含まれているんだろうな、というのが尊い

そんなエールを背に海賊たちはザンギャック本星に向けて力強く梶を切り、この物語は終わる。

 

■特別な戦隊

宇都宮Pは、「ここまでスケジュールが悪かったのは初めてで、雨が降るたびに寿命が縮む思いだった」そうだけれど(「帰ってきた~」のVシネがないのも恐らくそのせいかなと)、一方で、「いろんな意味でやり過ぎた気がする」とも仰っていた。

本当に、これまで私が見た中でもストーリーラインの綺麗さ、キャラの魅力、ゴーカイチェンジを除いても個性的な戦闘スタイル、震災を乗り越えていろんな無茶を突破しての付加価値創造等、個人的に一番特別な、宝物みたいな戦隊になった。

 

一方で後発、特に宇都宮P作品を見る時に私にとってはこの完成度の高さが呪いみたいになり、ストーリー構成やキャラバランス、顔出し敵、追加戦士、全部集めると願いが叶うアイテムや取り戻したい死者の扱いなど、様々な要素で個人的にハードルを上げてしまった部分はあるかな、とちょっと反省もしている(汗)。

 

物語自体は9年前に最終回を迎えているのに、感想を書き終わると思うと、半年以上かけてやっと最後まで辿り着いたという安堵と一緒に、今更ながら名残惜しい気持ちもある。最終回のサブタイトル「さよなら宇宙海賊」をいつもより大きなフォントで画面いっぱいに打ち込んだ当時のスタッフさんの気持ちがちょっとわかる気がした。

なお本編ではないけれど劇場版、特に199ヒーローは完全に本編と地続きで大いなる力もたくさん貰っているので、こちらも押さえないといけないかなとも思う。けど、あれはいろんな意味でボリュームがありすぎるので、まだどうするかは決めていない。

とりあえず今は、改めてありがとうゴーカイジャー

それから、無駄に長くなってしまいがちな拙文に最後までお付き合いいただいた方にも、お礼申し上げます。

ゼンカイジャー4話感想: ブルーン覚醒 掃除係と呼ばないで

イジルデの元に駆け込んで、閉じ込めた世界を解放する方針に変更したのかと尋ねるブルーン。

キノコトピアとコオリトピアの解放を初めて確認して驚いたイジルデは、ブルーンを口封じのためにスクラップにしようとクダックたちに襲わせる。

この作戦の発案者はイジルデ。最後の1つに手間取っていることに対してあれだけ苛立っていたボッコウスがこんな大失態を知ったら、自分はただでは済まないのでは?と焦るのは無理もないけど、物凄くその場しのぎな感じがする(汗)。

 

一方カラフルはお客さんで賑わっている。キカイノイドたちもすっかり馴染んでいて、特にガオーンが常連客のスーさんに嬉しそうに声をかけたり気遣ったりするのが、この世界の生き物に対しては博愛主義的な部分が接客にも好感度的にもプラスに働いていて良い感じ。

なおスーさんは「いつもの」とカラフルサンデーを頼んでたけど、ああいうサンデーとかパフェとかって私の中では高級デザートという位置付けなので、それを定番メニューにしているカラフルをもはや「駄」菓子屋と言っていいのか小一時間問い詰めたくなった。でもネットでググったら「駄菓子屋パフェ」とか「駄菓子屋カフェ」とか普通に出て来て、私の世界もちょっと広がったかも(笑)。

 

ところがスーさん、体の中でゴングが鳴ると腕に突然グローブが発生してボクシングを初め、ヤツデさんに殴りかかりる。それを庇って介人が殴られたりして、店は滅茶苦茶。

介人を沈めて勝利に満足したスーさんを追いかけてジュランたちが外へ出ると、結婚式の最中の新郎新婦とか握手会中のアイドルとファンとか、ありえない組み合わせの殴り合いがあちこちで繰り広げられていた。そしてなぜそこで勝利するのが新婦とアイドルなのか(笑)。

ボクシングワルドの仕業と知った介人は、「よくもスーさんに殴らせようとしたな!」と、自分が殴られたことよりも操られて行きつけの大事な場所を破壊させられそうになった人のために怒る。後半に来る啖呵といい、今回の介人のこういう見せ方は好き。

変身しようとする介人たちをの前を、ブルーンがクダックに追いかけられながら通り過ぎる。キカイトピアからこっちの世界にどうやって移動するのか興味あったんだけど、そこは思い切りスパッと省略しやがった(笑)。

逃げまどいながらも介人たちがギアを使って変身するのを見たブルーンは状況無視して戻ってきて割り込み質問攻め。知りたくなると止まらないブルーンは正直この時点でもうウザい(笑)んだけど、イジルデがトピア解放を知ったのと同様、質問をまくしたてる中でブルーンだけが知っている事実「世界を閉じ込める」がポロっと出て介人の心に引っかかり、次の展開に繋がるから油断出来ないな。

ボクシングトピアの「命令さえ遂行すれば、余計なことは知らなくていい」って台詞やそれに反応するブルーンなど、今回は「知らないことを知る」「知ろうとする姿勢」「教えを請われた時の対応」など、「知る」がテーマとして太く貫かれている構成。

 

ブルーンがトジデントに追われていることを知った介人たちは、とりあえずブルーンを救出して逃走。たぶん東京ドームシティの一角まで逃げてきたところで、自分から名乗り名前を聞く介人に、ブルーンは一瞬戸惑い、それから嬉しそうに名乗る。

私はこの時点ではそのやりとりの意味に気付かなかった。そんでゼンカイ側が質問してもすぐにブルーンが自分の興味を優先して質問する側に回り、介人がそれにいちいち快く付き合って教えてあげるのを見ても、焦れったい気持ちの方が勝っていた。でも後から振り返れば、それらの描写全部に、大事な意味があったんだよな(汗)。

 

イジルデにブルーン抹殺を命じられ、ボクシングワルドは自分が操ってるボクサーたちに手配書代わりに挑戦者募集のビラを撒いてブルーンを襲わせる。その逃避行の中で、とうとうブルーンの持っていた情報と、ゼンカイ側が持っていた情報がすり合わされた。

 

<ブルーン側>

・トジデントは、たくさんの並行世界を小さなギアに閉じ込めている。

・最後に残ったこの世界は不具合で封印を免れ、キカイトピアの一部と融合した。

・キノコトピアとコオリトピアはなぜか解放された。

<ゼンカイ側>

・キカイトピアから突然この世界に送られたジュランたちはゼンカイジャーとして介人と一緒に戦っている。

・キノコワルドとコオリワルドを倒している。

・トジデントは閉じ込めた世界の力を使ってこの世界を侵略しようとしており、それを倒してギアを破壊すると、閉じ込めた世界が解放される。

 

最後の1人がこっちの世界に飛ばされたキカイノイドの中からではなく、こちらの世界にいてはわからなかった情報を持ってキカイトピアから現れ、その合流によってゼンカイジャーが人数的に完成するだけでなく、自分たちの世界を守るためだけじゃないもう一つの目的もはっきり打ち出されるのが劇的。良い意味で凄く計算されてるな。

自分たちが戦うことで、閉じ込められた他所の世界も助けられると知った介人は大興奮で、ブルーンに感謝する。

ブルーンは庶民には手の届かない知識を得るために自分からトジデント宮殿に押しかけて掃除係になったくらい、好奇心と知識欲が強い。でもこれまでの扱われ方を見れば、介人ほど短い時間で快くたくさんのことを教えてくれた人も、自分のことを知ろうとしてくれた人も、教えたことを喜んでくれた人も、たぶんトジデントにはいなかった。

 

またもボクサーたちに見つかり、介人たちが逃げ出した先にイジルデとボクシングワルドが待ち伏せていた。介人はブルーンにはゼンカイジャーに勧誘することなく隠れているように言う。

「俺、絶対あいつら倒すから。勝手に他所の世界閉じ込めて、勝手に他所の世界使って、俺たちの世界に酷い事させて。世界ってそういうもんじゃねぇから!」

自分が殴られたことよりスーさんにヤツデさんを襲わせたことを怒っていた介人は、ここでも自分が見たことも行ったこともない他所の世界のために本気で怒る。

氷河期が何かは知らなくても、世界は閉じ込めたりその世界の力を使って別の世界を苦しめたりするものじゃないと揺るぎなく分かっていて、そのために行動できる介人がだんだん好きになってきた。

この果てしなく枠のない博愛精神の持ち主に、いわゆる一般常識の枠まで併せ持てと求めるのは、欲張り過ぎるのかもしれないな。(でもスカイツリーからバンジージャンプしちゃいけないことや、敵が生やした正体不明なキノコ食べちゃいけないことは、安全的な面から知ってて欲しいとしつこく思う)。

両親から並行世界のことを聞かされてその存在を信じ、まだ見ぬ世界と出会いたいと思っていたというバックボーンがそうさせている部分もあるのかな。

 

介人の言葉を聞いたブルーンは、隠れるのではなく誰よりも前に進み出る。「イジルデ様、いや、イジルデ!」と呼び方を変えるのが、彼の心の変化を示していてベタだけど好き。

「あなたは私に何も教えてくれませんでした。でも私は今日学びました!これまで私がどんなに狭い世界に居たかという事を!知る事で世界は広がるという事を!」

そして「掃除係が偉そうなことを」と蔑むイジルデに

「お別れに、私が教えてあげます!私の名前はブルーンです!」と叫ぶように名乗る。

私、あるキャラがそのフラットな精神から誰にでも当たり前にしていることが、自分を粗末に扱う世界をそういう物と受け入れていた相手には物凄く尊く刺さってその意識を変える展開が大好物。

でも「私の名前はブルーンです」が炸裂した瞬間に、介人に名前を聞かれた時の戸惑いの意味が初めてわかって、グッときた。

そんで、ずっと側近くで働いていたのに掃除係と侮り何も教えず名前も覚えず実質指名手配書だったビラに名前も書けなかったイジルデと、真っ先に名前を聞いて面倒臭い質問攻めにも快く答え尊重してくれた介人との対比がここで自分の中にくっきり浮かび上がってきて、沁みた。

 

ブルーンは自分も戦うと申し出て、銃を渡されると真っ先に使い方を尋ねる。毎回銃持たせたらいきなりぶっ放すパターンが気に入ってたけど、ブルーンのキャラならあんな物持たされたらまず使い方を根掘り葉掘り聞かずにいられないよなってのは、納得するしかない(笑)。

メンバー総出で取り囲みレクチャーするわちゃわちゃと、それを大人しく見ているトジデント側の緩さも相変わらずで好き。

ようやく5人揃ったゼンカイジャーは、ジュランがジュウレンジャー、ガオーンがガオレンジャー、マジーヌがマジレンジャーと、ここまではモチーフになった戦隊と名前が似ていてわかりやすかったけど、ブルーンがボウケンジャーなのは意外だった。ボウケンは名前にし辛くて色名の方に寄った感じかな。

でも変身したブルーンの武器がツルハシだったのには、ダイボウケンが初めてそれを持って登場した時の驚きと感動と笑いが蘇って、見た循環に気に入った。

 

ジーヌはボクサーたちに魔法をかけ、インターバル中にして戦闘から外す。新婦やアイドルがイッちゃった目をしてマッサージ受けてるのがシュールで、魔法が良い味出して機能してる(笑)。

ブルーンは戦いながらもまた根掘り葉掘りで「質問は後だ」と言われると「では早く片付けましょう。私掃除は得意です」と、キャラの前身と上手く噛み合った台詞。パワー系らしく、群がるクダックたちを一度に跳ね飛ばす一方で、上半身と下半身が分かれて攻撃を避けながら間合いを詰めるのは面白くて狡い(笑)。体が元通りくっつくのと同時に右ストレートが綺麗に決まってワルドのマウスピースが飛びダウンするのが、ボクシングというモチーフも大切につつ格好良いな。

・・・と思ったら直後に皆でダイレンジャーの力を使い薙刀を振り回して、「それは反則~」と抗議するワルドを構わずボコボコにし(笑)、一斉射撃でフィニッシュ。

ボクサーたちも正気に戻り、喜ぶ介人たちの前に出現したダイボクシングワルドが無数のリングを展開。でもこれを倒せばボクシングトピアも解放出来る。

・・・ここでふと、ギアがこんなにあるんだから一度に何体もワルドを出せば一気に侵略が成功するのでは?というヒーロー物あるある問題について、ゼンカイジャーの場合は世界同士で潰し合ってどちらかの力が無効化するから意味ないって答が出来るかもな、と思った。

氷の世界にたぶんキノコは生えず、キノコの毒胞子の中ではボクシング出来ない、みたいな感じで。

 

合体の抵抗感もなくなった赤黄がジュラガオーンになり介人が乗って対戦するも、武器使用を咎められ馬鹿正直に頷いたところを奇襲され、劣勢。

するとブルーンが巨大化してダンプになり、「邪魔なリングはお片付けです!」とリング破壊。介人がボクシングルールを尊重する側からボクシングの試合そのものを土台から否定するのか(笑)。

そのくせワルドがセコンドと称してもう一体クダイテストを呼びブルーンダンプを抑えつけさせると「ボクサーとしての誇りはないんですか!」と抗議し、中々のダブルスタンダードっぷりでふてぶてしい(笑)。

ジーヌも巨大化し、ブルーンと合体してゼンカイオーブルマジーンに。青とピンクの合体は去年のスカイメイジもだけど、色合いが綺麗。そしてやっぱり武器はツルハシ(笑)。

介人はブルマジーンに乗り込んだけどジュラガオーンも問題なく戦っていて、操縦者不在でも可動に影響なしいうことで良いんだろうか。

ギアを踏まない素のクダイテストも拘りなく出すことで2対2となり、別々のリングで各対戦をすっきり見せられるのは、ゼンカイジャーの2体合体方式にボクシングというモチーフが上手くかみ合った感じ。これ全員揃ったこのタイミングでと計算していたのかな?

選手交代と称して、ジュラマジーンとブルガオーンになる組み換え合体も、見ていてワクワクする。今年の玩具はきっと売れるよ(願望)。

そのままイケイケでダイボクシングワルド+1体を倒し、ボクシングトピアは解放。

・・・正直、ボクシングトピアが誰彼なく四六時中ああやって戦い合わずにはいられない種族の世界なら、このまま閉じ込めておいた方が平和だったんじゃないだろうかという気がしなくもない(汗)。けどそうではなく、あくまでも爽やかなスポーツマンシップとルールに則って健全に殴り合いを楽しんでる世界なんだろうか?というのはちょっと気になる(笑)。

 

ブルーンはスーさんに滅茶苦茶にされた店内をあっという間に綺麗に片付けて、ヤツデさんを感服させる。またまた前身を活かす形で、カラフルにおけるこの新しい居候の役割もすんなり決まったな。

ブルーンはゼンカイジャーの使うギアがトジルギアと違って世界を閉じ込めたものではないと説明を受けて一安心。だけど、セッちゃんが「そんな酷いこと、功博士と美都子博士はしないっチュ」と言うと、その名前に反応。

「以前イジルデの研究所に、そんな名前の人が居たと聞いたような気がしまして・・・」

2話でのイジルデの挙動不審すぎる「偶然だな」から、両親が10年前に行方不明になったことにトジデントが関わっている可能性が匂わされてはいたけれど、早くも4話でブルーンから手がかりがもたらされ、展開の早さにびっくり。

 

私はあの銃を介人以外の「人間」が使ったらどうなるのか興味あって、やっぱり自分の息子以外は巨大化変形して半分こ合体する仕様だったら両親やべえ(汗)と思ってたけど、10年前にトジデントの存在を知っていたのなら、キカイトピアの庶民と力を合わせて戦う未来を想定して準備していた可能性もあるのかな。

もっと言えば、その場合は今回の謎の不具合、キカイトピアとの一部融合にも両親が関わっている可能性もあるのかも?

そもそもいくら並行世界のスーパー戦隊の戦いを見たからって、自分たちの世界もいずれ侵略される可能性があると想定したわけでもなく、ただ興味あるから格好いいからってあんな物騒なものをこっそり作ってたりしたらどんだけマッドサイエンティストだよ?って話だし。

並行世界を見ていくうちにイジルデとも接触して技術力に目をつけられてしまい、自分たちが拉致される危険を想定して秘かに備えておいた、なんて可能性もあるのかな?

 

そんでイジルデ。今回は下手すると侵略そのものよりブルーンの口封じを優先してたくらいだけど、「自分が研究し考案した侵略方法には、負ければせっかく閉じ込めた世界を解放するリスクがあり、実際既に3世界解放されてしまった」という自分の地位を脅かしかねない事実をこれからどう扱うんだろう?

まだ3つだけだからとボッコウス以下にこのまま隠し続けるとすれば、他の理由で中止も言い出せそうになく、このままトジルギアを使った侵略を続けざるを得なくてどんどん綻びが広がる感じかな。

敵の侵略フォーマットの欠陥が序盤からはっきり示され幹部がそれを把握し隠蔽しながら進行するんだとすると、ちょっと珍しい感じで展開が楽しみ。

途中で隠しきれなくなった時に一波乱あるようならそれも面白いけど、イジルデの胃が心配かな。