キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ゼンカイジャー14話感想: 変わっていくための洗礼

前回リサイクル戦隊ダイワルジャーに敗れて吹っ飛ばされたゼンカイジャー。意識を取り戻して立ち上がると、世界が元に戻って行く所。

きっとツーカイオーが倒してくれたんだと確信してゾックスの元へ駆けつけ、介人とガオーンは思い切り感謝を表し、マジーヌも賞賛、ジュランも態度を軟化させて、たぶんカラフルから持ち出した小さな買い物籠に山盛りのトジルギアを渡す。

「SDトジルギア、あるといいな」と介人。「こんだけあんだ、あんじゃね?」とジュラン。

でもゾックスは厳しい顔でそれを受け取り「ああ、そしたら話は簡単だ」と素っ気なく去る。

 

その理由。

味方のはずのリサイクルワルドを倒したステイシーは、ゾックスに対し、探しているギアを渡すからゼンカイザーを倒してくれと取引を持ちかけた。そんなことを言われても信用出来ないゾックスは、それでも「欲しいものは自分の手で奪いとる」と本家宇宙海賊みたいなことを言って、ギアを貰うのではなく自分をトジデントに連れていくよう条件を変更して、一応交渉成立。

「そしたら話は簡単だ」ってのは、SDトジルギアが見つかれば、介人を倒す必要がなくなるからか。本音は介人と戦いたくはないってことで、だから籠一杯のトジルギア=介人たちの自分たちへの思いやりを受け取る時に浮かない顔してたのか。。

それでも「ゼンカイザーを倒した後、もしトジデントに乗り込めなくても、俺たちに損はない」と、あくまで弟たちのためにそういう気持ちを押し殺してるっぽい兄貴を見据えて、フリントが「うん、騙されて、ムカつくだけ」と言い放つのが印象的。ゾックスも思わず妹の方を振り返る。

なんだか、損が無ければ騙されてムカつくことも甘んじて受け入れようとする兄の姿に苛立って、これでいいの?と問いかけてるようにも見える。介人達のサンバに大笑いしてたゾックスを見て戸惑ってたのと結びつけると、余計にそう思えるのかな?

「本当は介人の事、気に入ってるんじゃないの?なのに信用出来ない奴らの話に乗って殺すの?

そりゃ弟達を元に戻したいけどその為に兄貴が騙されて殺したくない奴殺して、ムカつくかもしれない道を敢えて選ぶの嫌だな・・・!」みたいな。

おまけに介人たちが集めてくれたギアは結局、全部偽物だった。それがテーブルに散らばる様は、「騙されて、ムカつくだけ」を、これから起こるかもしれない事から既に現在進行形で起きてしまっている事として突き付けているみたい。私が彼らなら、たぶん惨めだと思う。

それを受け止めたゾックスは暫く考えて「よし!」と心を決める。

 

カラフルを訪れ、介人に決闘を申し込み、ステイシーとの取引を打ち明けるゾックス。

皆が抗議の声を上げて詰め寄る中、介人だけは正直に打ち明けてくれたことを喜び、承諾する。

「不意討ちとかじゃなくて、こうやって本当のこと話してくれて、勝負だって言ってくれたんだよ?嬉しくない?」

いや嬉しくない(汗)。そこまで相手の立場に立ちすぎる君の基準で自信満々に同意を求められても困る(笑)。そんな介人を驚いた目で見つめるゾックスの真剣な表情が好き。

そのあとに「俺が勝っちゃうかもしんないけど」と笑うのは、ゾックスの心を軽くしていて、粋。スマートだな。

もともと香村さんはヒーローのスマートな会話を描ける人だけど、介人は最初にぶっ飛んだトンデモお馬鹿なところを描いてから徐々に盛り込んで来るから、ギャップで余計に効く。そのギャップもキャラブレじゃなくて、ちゃんと介人の一面なのが凄い。

 

トジデントでは、イジルデがリサイクルワルドをステイシーに倒させたことを、バラシタラが激怒して詰め寄る。イジルデがとぼけると「貴様は技術だけ提供していればいいのでアル!余計なことはするな!」。

うん、理由は後で書くけど、バラシタラがこう言いたくなる気持ちはわかる気がする。

 

介人とゾックスは、両応援団の声援の中、再び決闘。シンケンフォーム→じゃあライブマンの剣で対抗→ではオーレンフォーム→だったらバトルフィーバーの力、で体が勝手に踊り出す介人(笑)。それを見てゾックスも「ダンスで俺に勝てると思っているのか!」とダンスで張り合い、緊張感ゼロ(笑)。

これが命を賭けた決闘の一場面として組み込まれても「ゼンカイジャーだから」と許される世界観がすっかり確立してる。なんせ私も含め視聴者は、空から降ってきた途端ヨホホイ歌って踊り出す追加戦士の初登場に脳がパニック起こした経験とかでかなり鍛えられてるからな(汗)。

ゾックスが次に使ったのはキュウレンジャーのギア。介人が使った時は怒濤のラッキーパワーだったけど、今回は追加戦士、それもホウオウソルジャーじゃなくてコグマスカイブルーという変化球。その力で巨大化して介人を踏み潰しにかかる。

介人はマスクマンの力を使うも何も発動せず、ゾックスの一撃に大爆発。跡形もなく消し飛んだかのようで、ゾックスの勝利宣言=介人の死にジュランたちは嘆き悲しむ。

 

そこにステイシーが現れると、約束通りトジデントに連れて行けと迫る界賊一家に「いいとも。ただし首だけね」と早々に騙したことを明かして、クダックに取り囲ませる。

いや待て。凄くしてやったり顔なんだけど、ゾックスの戦力考えるとクダックもそんなに数多くないし、すぐ近くにジュランたちもいるし、ツメが甘いにも程があるんでは?と思ってたら、空からクダックが銃撃される。

やっぱり介人は生きていた。マスクマンのオーラパワーで宙に浮いている。最初から介人側とゾックス側が示し合わせた芝居だった。

ジュランたちが全力全開でおいおい嘆き悲しんでたのも全部、劇団ゼンカイジャーの素顔のまんま公演で、台詞とかポーズとか、お前ら練習したろ!

 

「どうして・・・疑わしくても僕の申し出に賭ける方が、目的を果たせる確率は高かった筈だ」と狼狽えるゾックスに

「だっておまえより、介人の方が面白いんだよ!」

「あたし達、ゴールドツイカー一家のモットーは」「面白そうな事にはー」「頭から突っ込めー!」

 

罠と分かってもギアを回収しようとするのを見た時は、ゾックスって一見脳天気に歌って踊ってるように見えて、本質は凄く悲観的で慎重な人なのかとびっくりした。

でも、そもそも戦う為に変身するだけなら、その前にあんな全力ダンスを組み込む必要なんかないわけで。

本質はどっちか選ぶなら面白い方がいいじゃんな人が、弟たちの呪いを解く使命感にがんじがらめになって目的の為には石橋を叩き壊してでも可能性を網羅する慎重さ冷徹さを見せてたのかな。

それが介人の面白作戦とかその根底にある優しさに触れて、変化するというより本来の姿を取り戻したみたいな?

 

罠だとわかっても可能性を捨てられずに、元人間傷付けてもギア回収するってのは、結局トジデントの策にまんまとハマめられてるってこと。

それを介人達は、人々を傷付けず、ゾックス達の目的も果たせてしかも面白い、根底にいろんな優しさと配慮の詰まった作戦を繰り出して罠に勝った。

でもそうまでして集めて貰ったギアは結局全部偽物だったことで、これ以上トジデントの思惑に乗っかる事への嫌悪感と虚しさを煽り、介人たちの方に気持ちが傾くのを加速させた面もあるのかな。

 

2話に渡ってゼンカイジャーと界賊を戦わせようとしたトジデントの作戦は、怪しいさ信用出来なさ満載であっさり寝返られる今回のイジルデ&ステイシーの作戦より、罠だと分かっていても思惑に乗せてしまうバラシタラの作戦の方が人の心理を嫌らしく突いていて優秀だと思う。

無生物の機械が専門でマッドサイエンティストな気もあるイジルデに対し、バラシタラの方は生きて意思のある敵を相手にした駆け引きや攻防の場数が違うって感じがする。

一方で、バラシタラの作戦が嫌らしい分だけゾックスたちの怒りや嫌悪感を余計に煽り、イジルデ&ステイシーの作戦の成功率を下げたかもな、とも。もし今回の作戦がバラシタラの作戦の前だったら?と思うと、ステイシーは結局父親に足を引っ張られた面もあるかも。 

 

ただしステイシーも策士を気取りながら、自分が騙しているように相手も騙し返してくる頭と可能性があるとは微塵も考えなかったんだよな。

それに対し、正面から勝負を挑んでくれたと喜んだ介人は、一見底抜けのお人好しのようでいて、不意打ちという手段を考えうる頭と立場がゾックスにあることを踏まえていた。

ぱっと見や言動から一見頭が良さそうに見えるのは介人よりステイシーだけど、相手の立場に立ち尊重して推し量る姿勢の有無が、対人関係で介人の方をずっと賢くしてるように見えた。

なんかステイシーって、境遇が理由で心を閉ざし自分の世界の中だけで完結して生きてきた人って感じがする。今回は界賊を舐めすぎっていうより、そんな人が経験不足のまま、他人の思惑がビシバシぶつかり合う現場に飛び込んで、上手くやってみせるつもりが現実はいろいろ行き届かず全敗、みたいな若干身に覚えのあるいたたまれなさを感じて冷や汗が(笑)。

「一億年早かったな」にぐうの音も出ない。

だからと言ってあんな非道なトジデントで心を開いて上手くやっていけたとしても、それはそれでどうなの(汗)?ってのもある。ただ、その外見からトジデントの中では生まれついてのはみ出し者だったろうし、誰かを面白いと思ったことなんてきっと一度もなければ、面白いことに価値を感じたこともなさそうなのが不憫ではあるかな。

 

で、たぶんバラシタラはそんな息子の未熟さを十二分に理解してたんだろうなと今は思う。正直、ステイシーがいかに反発して張り合おうとも、きっと現時点ではバラシタラには到底及ばない。

騙し返されたと知ったステイシーが敵の前で素直に可愛く(笑)涙目になってるのを見ると、バラシタラはそんな息子の初陣に本心では心配でじっとしていられず出張って、銃のエネルギー切れで袋叩きにされそうなピンチを救いドアワルドをお守りに付けてエネルギー復活の時間を稼がせたのでは?と、やっぱり思いたくなるな。

 

手を組んだゼンカイジャーとゾックスは一列に横並びで同時変身。画面の右端でずっと踊ってるゾックスが面白くてどうしてもそっちに目が行くけど、ゼンカイジャーの一斉変身って、ジュラガオーン→ブルマジーン→介人の順にくるっと回ってたんだなと今更。まともな一斉変身見るのいつ以来か(笑)。そんで初めての6人名乗り。

 

介人とゾックスの2人がかりで挑まれたステイシーは、ジャッカー電撃隊4人を召喚して対抗。スクラム組んだ必殺技?でまんまと介人をうっちゃる。

1人残されたゾックスに、セッちゃんがブルーン経由でジャッカー電撃隊のギアを使えと指示する。従うと、ビッグワンが出て来て悠々とゾックスに同化し、その指令でジャッカーたちは逆にステイシーを攻撃(笑)。

「今のはビッグワンの技、というか、権力チュン。ビッグワンはジャッカー電撃隊の行動隊長チュン」

・・・敵に操られて正義側を攻撃させられていた戦士が、逆に操ってた側を攻撃するバグを起こす要因ってのはこれまでもいろいろあった。

 

・ヒーロー側の熱い正義の心

・仲間を思う強い友情や絆

・子供達の純粋な心

・家族の愛

・ヒロインが流す涙

・一般市民一人一人の思い

・技術力の勝利

・奇跡

・・・そして今回、

・権力←new!

 

斬新だな(汗)。

ゴーカイジャーでは主に人数の都合で初期戦士枠だったビッグワンだけど、今回は追加戦士でとしてゾックスが使える力となり、見事に逆転、というか自分の出した戦士に<権力>によって逆に襲われるなんてゼンカイジャーらしいギャグなんだけど、あくまで真面目に狼狽えてるステイシーが不憫(笑)。

ジャッカー電撃隊の暗黒ギアにビッグワンがいなかったのは、もし初期戦士しか実体化する機能を付けていなかったのならイジルデの落ち度だからステイシーは怒っていいと思う(笑)。

やむなくステイシーがジャッカーたちをデリートしたところに介人が戦線復帰して、戦闘員たちもジュランたちに倒されて、いよいよステイシー1人に。

介人の「ステイシー、これで終わりだ」は、本気で倒そう(殺そう)としてると見ていいのかな?以前は戦うのを躊躇っていたけど、今回ゾックスに仕掛けた罠の卑劣さは許せないようだし。

 

そこにバトルシーザーロボが飛んできて、ステイシーはその操縦席に逃げ込み、ここから先は俺たちにと、ツーカイオーが一体で立ち向かう。やっと玩具が発売されたばかりだもんね。販促は大事。

まずツーカイオーリッキーでバトルシーザーロボの腕から放たれたミサイルをワニの口がぱくり。

だったらとバトルシーザーロボが剣を取り出すと、ツーカイオーカッタナーにチェンジして、いつの間にか陽の傾いた荒野で剣豪対決の趣き。雨中対決の時もそうだったけど、凝った舞台装置での睨み合いからのロボ同士の殺陣が迫力あって格好いい。火花散る斬り合いからバトルシーザーロボの刀が飛んで、最後は烈火大斬で勝負あり。

夕日をバックにススキと共に佇む侍ロボの姿は、なるほどOPで何話も前から使いたくなるビジュアルの良さ。

派手に爆散したロボから投げ出されたステイシーは「覚えていろ、ゼンカイジャー、ツーカイザー」とススだらけの顔で、いかにもな捨て台詞を吐いて撤収。

 

その夜カラフルでは界賊一家を招いて祝勝会。ヤツデさんが「孫を助けてくれたお礼だ」と、ピザすき焼きとかご馳走の大盤振る舞い。界賊たちは着実にヤツデさんに胃袋を掴まれていると思う。

「皆で力を合わせて、トジデントの企みを破ったお祝い」だと「本日の主役」と書かれたタスキをかけられて、ゾックスは「なーんか、ちょーっと違うけど、ま、いっか。腹減ったし」と、まんざらでもない。

家族で撮った写真を見ながら「なーんか、どんどん世界広まってる気がするな」と呟く介人に、「お前も他の世界行ったことないだろ」とゾックス。

「でも、皆が来てくれて、仲良くなれたし」

「今回はたまたまだ」

「またまたあ、俺のこと、面白いって思ったくせに」

「まあ、そこはな」

まだ心を1つにする仲間じゃないし、目的の違いからそうなる日が来るのかわからない。この先もなかなか飛び越えられない溝が露わになるかもしれない。

けど、距離は確実に縮まってる。

 

介人は両親と祖母の愛を信じて伸び伸び育ち、ゾックスも両親は知らんけど兄弟仲良くわいわい。育った環境は違っても、信じて拠り所に出来る愛に支えられた者同士がちゃんとコミュニケーション取れて仲良くなる一方で、そういう存在のいないステイシーは今の所誰ともちゃんと向き合えずにいる。敵だからって以上に、育ってきた環境が明暗分けてる感じで残酷だなと思った。

先に転校してきたのに、育った境遇からクラスメイトのファンキーなノリについて行けず浮き始めた所に、後から転校して来た陽気なヨホホイの方が乱暴で自分勝手でもクラスメイトとガンガンぶつかっては距離を縮め早々に馴染んじゃったから、余計に取り残されてる、みたいな辛さも感じる。

でも香村さんのことだから、きっとステイシーも、どっちのベクトルかはわからないけど変わって行くんだろうな。今回はそのための手痛い洗礼みたいな感じで。

だから次回、ヤツデさんと出会うらしい予告を見て、ヤツデさんの差し伸べる手がステイシーにも向かないかと凄く期待してしまう。個人的には「ステイシーちゃん」と呼ばれて欲しい(笑)。