ゼンカイジャー11話感想: 天才エンジニアだって失敗も繰り返す
ブルーンと介人は食料買い出しに行った商店街で、フリントと双子の弟に遭遇。双子はあんパンとクリームパンのどちらが美味いかで喧嘩し、フリントはいつものことと放置して豪快に50個まとめ買い。どんだけ食うんだ。そしてこれまでよっぽどいろんな世界を荒らしてガッポリ貯め込んでいるんだな。
そこに出現したのがオニゴッコワルド。並行世界モチーフがどんどん何でもありになってきてる(笑)。
双子たちは先に倒した方が勝ちだと競い合って突っ込んで行くと、待ち構えていたオニゴッコワルドがタッチ。すると双子の額に青鬼のお面が出現して、体が勝手に動き商店街の人にタッチ。その人の額にも鬼面が発生してまた他の人を襲い、と商店街はたちまちパニックに陥る。
タッチされると強制的に鬼にされて他の人を追いかけ、そんな鬼がどんどん増えてしまう今回の作戦。あくまで正気は保ってるのに体が勝手に動いて被害者を増やしてるのが、絵面や台詞はコミカルなんだけど自分に降りかかったらと思うとかなりキツい作戦だ(汗)。
鬼ごっこトピアも柏餅トピアも本来こんなデスゲームを繰り広げてる世界じゃなくて、トジルギアから能力を抽出してああいう形に悪用してるだけなんだと思いたいんだけど、序盤にキノコとか氷とかゴミとかわりと説得力ある世界観を繰り出されたせいで、ひょっとして解放しない方が良くね?とついつい思いたくなっちゃう風評被害が凄い(汗)。
介人ブルーンは襲ってくる鬼たちを必死にかわしながら、ならばオニゴッコワルドを倒せばいいと攻めに転じるも、タッチされたら鬼になってしまうと慌てて遠距離攻撃に切り替え。いつもながら、ふざけているようで厄介な敵だ。
その背後からいつの間にか双子が迫っていて、ブルーンにタッチし鬼にしてしまう。
フリントは弟に追い詰められたところをゾックスに救出され、孤立無縁になった介人の元にジュランたちが駆けつける。
ブルーンに「キカイノイドだし」と容赦なく発砲するガオーン(笑)。
双子はマジーヌが魔法パチンコで追っ払い、倒れて動けないブルーンを残してひとまず4人は退散。キカイノイドだって変身前は撃たれればそれなりにダメージはあるもんな。だってその銃、クダックなら普通に倒せるだけの威力あるしと思うと、やっぱりガオーン酷い(笑)。
界賊船では落ち込むフリントに、ゾックスがかき氷かと見紛うような凄いビジュアルの豪快な「界賊丼」を出して励ます。いつもこんなの食べてるの(汗)?それともいつもは、こないだ野菜が尽きそうと言ってた双子がきちんと料理していて、ゾックスはそっち方面はからっきし?
でも彼が初めて空から降ってきて歌って踊り出した時は、どんな脳天気なヨホホイ野郎だよって脳がフリーズしたけど、こういう場面を見てると、本当は何があっても妹や弟達を不安にさせないよう、どんな状況や心境でも自分は基本的に笑顔で余裕な態度を崩さないよう自分に課し続けているんだろうな、良い兄ちゃんだなって思った。
で、そんな兄の背中を見つめるフリントも、きっとそれをわかってる。
カラフルに戻った介人たちは対策を考え中。鬼にされた人たちは自分が魔法で引き受けると頼もしいマジーヌに皆が希望を見出した直後、彼女の背後に、「もういいかい・・・みつけましたよみなさん」とブルーンがホラータッチで登場。
「というかなんで普通にここにいるんですか!私、場所分かっちゃうに決まってるじゃないですかあっ!」というブルーンの絶望が、仰るとおりで悲痛だけど笑っちゃう。頼むからいないでくれと祈りながら来たんだろうな。
これがシリアスな作品で頭良いキャラ設定なら「脚本の都合(苦笑)」ってなりかねないところも、ゼンカイジャーの場合は「うん、こいつらこういう奴らだし」で済んでしまうのが今作の強みだ(笑)。
頼みの綱のマジーヌが鬼にされ、更にはヤツデさんも。往年のアイドル郁恵ちゃんにも自分で「鬼婆(泣)」と嘆かせる容赦ないスタイル。
散り散りバラバラに逃げた介人は商店街に戻ってきて、双子が鬼にされた場所に立ち尽くすフリントを見つける。
双子が突っ込んだ時に戸惑って動けないフリントの表情が何度かアップになったけど、彼女は咄嗟に弟たちを止められなかった自分を責めていた。
双子が今の姿にされたのも、SDトピアでさっきのように競い合って敵に向かって行くのを自分が止められなかったからだという。
・・・敵って言うけど、相手からしてみたら界賊たちの方が一方的に荒らしてきた悪で、正当防衛だよな、と思う。マジーヌの言うとおりどこまでも自業自得。
仮にSDトピアが解放されたとしても、界賊たちが今のスタンスのままなら相手には呪いを解く義理はないかも。
でも介人たちとの交流を通じて、SDトピアが解放された頃には彼らの考えも変わっていそうな感じもする。というか、その変化を見たいな。
フリントだけど、ここまでは略奪上等な海賊トピアの流儀にどっぷりで、口悪いわ凶暴だわ天才エンジニアだわで、私にとっては完全に画面の向こうの鑑賞用キャラだった。
でも、突っ走る弟達を咄嗟に止められずに見送ってしまうという失敗を繰り返して自分を責める姿に、不意打ちで親近感が爆上げ。
本当に反省してるなら同じ轍は踏まないだろって厳しい意見もあるのはわかる。けど私はこの、咄嗟には動けずって感覚も「またやっちゃった」って後悔も凄く覚えがあってわかるので、途端に他人事でなくなってしまった。また香村さんの共感度荒稼ぎの手腕にまんまと絡め取られてる(笑)。
で、前回、介人に問い詰められても中々事情を話そうとしなかったゾックスって、弟達の失敗を第三者に曝すことだけでなく、フリントの傷をあの場で改めて呼び起こしてしまうことも避けたかったのかなと思った。
そんでフリントが業を煮やして全部ぶちまけたのは、介人への腹立ちからだけでなく、兄が弟とそれから自分の事も庇って言われっ放しになってるのに我慢出来なくなったからってことなのかな。
介人は「失敗も挽回!何回でもトライ!」とフリントを励まし、ゼンカイジャーのシステムを開発した両親の言葉だと戦隊ギアを見せる。それを受け取ってフリントがまじまじと見つめているのが後の伏線になるとはまさか思わず(笑)。
そこにまた鬼にされた人たちが襲ってきて、逃げる2人。
フリントが律儀に貴重なギアを返すのがちょっと意外だった。この時はまだ。
トジデントでは、ゼンカイジャーも鬼にしたと作戦の順調さを得意気に報告するオニゴッコワルドに、ボッコウスは誉めるどころか、油売ってないで鬼を増やしてこいと一喝してまたドスン。バラシタラとオニゴッコワルドがゆったりと孤を描いて宙返りするのがホント好き(笑)。
ところで、あの場でうっかり誰かにタッチしてたらどうなっていたのかは、ちょっと気になる。特にボスはあの体で、仮に鬼にされても追いかけられるのだろうか(汗)。
叱られたオニゴッコワルドがやけくそで鬼を増やしまくっていると、そこに介人たちと更には鬼にされたブルーンやマジーヌまで集合。「ガオーンはいねがあ」とさっきの銃撃を恨んだブルーンがガオーンを付け狙う(笑)。
しっちゃかめっちゃかな状況の中、追いかけられる側と追いかける側が1列に走りながら変身してるのが、なんだか電車ごっこみたいで可愛い。そんで名乗ってはタッチをかいくぐり、名乗ってはタッチしようと飛びつき、と戦隊史上もっとも運動量が過剰で締まらない名乗りかも(笑)。
なんかこれ言うの何度目かだけどゼンカイジャーの名乗りは
1~4話: メンバー1人ずつ追加
5話: 寿司職人&握られ状態
6話: ゴミヒーロー
7話: なし
8話: 介人+巨大化4人
9話: なし
10話: 流れ弾浴びまくり
11話: 鬼ごっこ入り乱れ←new!
と、普通の5人名乗りは1度だけで、毎度毎度よくアイディア尽きないな、と尊敬しかない。
「みんな名乗った?」「5人揃ってえ」「1回タイム」とか、名乗りのお約束をわざと意識させるメタなバタバタ感も満載で、個人的に今回のは一番好きかも。
鬼ごっこはその後も続き、遠距離射撃でオニゴッコワルドを狙うも動きまわる人たちが邪魔で撃てない。
するとセッちゃんがゴセイジャーの力を使えと指示。カラフルでヤツデさんの振り回す虫取り網から逃げながらで、あっちもこっちも大騒ぎなのが、大変そうなんだけどかなり楽しい。
天装術で鬼の人たちを吹き飛ばし、さあ反撃という時に、またも双子が背後からガオーンにタッチして鬼に。今回のピンチは、かなりこの双子によるところが大きいな。
ガオーンと双子を介人が引きつけて、ジュランが1対1でオニゴッコワルドに挑むもロケットパンチタッチで鬼にされてしまい、残るは介人だけとピンチ全開。
そこに上空の界賊船からゾックスが舞い降りて、ゲキレンジャーのギアを使うとゲキチョッパーの武器でオニゴッコワルドの額のスイッチをオフにする。
介人の「オニゴッコワルドを倒せば終わるゲーム」という言葉をヒントにフリントが、ゲームならスイッチをオフにすればいいと思い付いた作戦だった。
鬼にされた人たちは鬼面が消えて自由に動けるようになり、倒さなくても解決出来る珍しいパターン。
ゾックスが使ったゲキレンジャーのギアはフリントが介人に見せて貰ったギアを真似てゾックスも使えるよう作ったもの。
・・・ちょっと待て。持ち帰って分解したわけでもなくあんな短い時間眺めてただけで性能までぱくれるってフリント凄すぎる。トジデントから奪った設計図等の情報でゴーカイジャー等3戦隊は作れたんだから、その延長って考えればあり得なくはないかもだけど。
寿司回のキュウレンジャーのラッキーパワーもだけど、香村さんて「理由」は用意するけど、じゃあその理由が本当にそれを可能にするのかって部分はわりと強引に押し切るスタイルかもと思った(笑)。
ゾックスは更にハリケンジャーのギアを使い、シュリケンジャーの超忍法、秘打千本ノックでオニゴッコワルドを圧倒し、スイッチオンを阻止。
同じギアでもゾックスが使うと追加戦士の技が発動するのは、なるほどな差別化でこれからの楽しみが増した。
感心していた介人たちは、このままでは鬼ごっこしただけで終わると慌てて立ち位置を確認し(笑)、並んでゼンカイフィニッシュバスターでトドメを横取り。
巨大戦はクダイテスト2体で一体がダイワルド化。足元に公園の遊具が出現して2体でキャッキャと鬼ごっこしてる様はなんか可愛くて、これこのままでも平和で良くない?とうっかり思ってしまった。
巨大戦の鬼は爆弾にされて爆発する、とのローカルルールが発動して、鬼にされたジュラガオーンを救うためにブルマジーンが魔法で出した障害物にクダイテストが躓き、タッチされて爆発。残るダイワルドは、鬼ごっこはまだ続くと追いかけ、ゼンカイオー2体が戦わずにひたすら逃げる絵面が、よく考えるとシュールだ(笑)。
そこに巨大戦初参加の界賊船が左右に分裂すると飛行体とバイク体になり、リベンジに燃える双子が巨大化して操縦しダイワルドを攻撃する。
双子はタッチされて鬼=爆弾にされると、ダイワルドそっちのけでまた喧嘩を初めてあっという間に地平線の彼方へ。それを見送って嘲笑うダイワルドだったが、実は喧嘩は演技で、地球を一周してきた界賊船が背後からダイワルドにそっとタッチ(笑)。
自分の付け足したローカルルールでまんまと返り討ちに合って大爆発する緩さが、いかにもゼンカイジャーの敵だ。
双子の競い合いと失敗が繰り返し強調されていたから、私もしっかり騙された(笑)。
戦い終わって、今回はフリントが、ギアを作れたのとスイッチオフ作戦を思い付いたのは介人のお陰だと笑顔で礼を言い、両陣営が少し歩み寄った和やかな雰囲気。フリントは笑うと普通に可愛いから狡い(笑)。今回でかなり好感度上がった。
ゾックスたちが「さらばーい」と去った後、自分たちの技術がぱくられた事に気付き、ムカつくジュラマジーン組と感心してるブルガオーン組の2対2に分かれ、残る介人の表情は陽射しが眩しくてよくわからない。前回に続いて界賊への見方はどちらかには大きく偏らせないってことかな。
一方、トジデントではイジルデが、何やら製作中の巨大ロボを見上げてほくそ笑み、続く。
楽しかった。
次回も香村さん担当で、スタートから12話連続。
毎回毎回こんなトンチキな世界や作戦を次から次へと繰り出すアイディアの引き出しの多さ
44もあるレジェンド戦隊の力を把握して今回はこれだと選んで組み込む情報量と判断力
ちゃんと人間ドラマとして30分の番組に出来る構成力
なんだかんだ登場人物みんな好きになってく好感度コントロール力
これをここまで続けてるの大丈夫?って、マラソンをトップスピードで走り続ける人を見る怖さを、久しぶりに感じてる。