キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

海賊戦隊ゴーカイジャー: 50話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■数が多すぎる

ゴーカイジャースーパー戦隊の大いなる力を総動員してザンギャックの大艦隊を駆逐し続ける。けれど、あまりに数が多すぎてきりが無く、とうとうゴーカイオーも豪獣神も力尽きて破壊され、海賊たちはバラバラの場所に放り出されてしまった。

画面の奥まで大艦隊が無数の小さな黒点状態で空を埋め尽くしている様は、大量発生したバッタの海外ニュース映像とかを連想させる。これまでもザンギャックは数の多さを大きな特徴としてきたけど、ここまで強調されると絶望感が半端じゃない。

だからこそ皇帝から明日の朝地球人を皆殺しにすると告げられた時に、唯一の希望として海賊たちの脳裏に宇宙最大のお宝が浮かぶ必然性がヤバすぎる。これじゃもうスーパー戦隊を犠牲にしてでもザンギャックのいない世界に作り替えて地球を守るしかないのでは?って。

メタ的には、海賊たちはきっとスーパー戦隊を犠牲にするような選択はしないだろうけど、じゃあそこにどんな理屈をつけるの?つけられるの?っていう緊張感が当時凄かった。

 

■レジェンド登場コンプ

子供の前で瓦礫の下敷きになった母親を助けようとする鎧に加勢したのは、ジュウレンジャーのマンモスレンジャー、ゴウシ。

ジュウレンジャーの大いなる力自体は加入前に鎧が変身後のドラゴンレンジャーから貰っていたけれど、ラスト1話でゴウシが登場したことにより晴れて34全戦隊からのレジェンド出演が叶った。前話でも書いたけど、本当にクロスオーバー作品としても凄い快挙で、スタッフさんも役者さんたちも頑張ったなと思う。

 

■勇気を貰った少女

ルカとアイムは、23話で55Vのマツリに助けられた母子に再会する。妹が生まれてお姉ちゃんになった少女は、ゴーミンに襲われた時に母と妹を庇って銃口の前に立った。マツリも怖かったけど守りたいもののために勇気を出したと聞いたからと言う。

スーパー戦隊に影響を受けてこんな小さな少女も勇気を出して戦おうとしているのを見て、アイムとルカは顔を見合わせ、強く頷き合う。

今作でレジェンドとある程度以上の交流が描かれた一般人は、この少女を除けば、ジャンの弟子の子供たち、亮の商店街の人たち、後は直接会話する場面はないけれど健太の教え子たちぐらいだろうか。その中で香村さん脚本の2本は少年少女がレジェンドから直接学び影響を受けていた。

でもこの物語の時間軸の中で、レジェンドに出会ったことによる成長を描くことが可能だったのはこの少女だけかもしれない。

香村さんはもしかしたら意識的にレジェンドと少年少女たちとの交流を描こうとしてくれたのでは?と思ったりするけれど、特にこの少女を登場させてくれたことは、この後に海賊たちが出す答えの説得力を増していると感じて、有難く思う。

 

■天知博士と山崎さん

  ジョーとハカセが目にしたのは前年の戦隊ゴセイジャーを居候させていた天知博士と、マジレンジャーでマジレッドに恋していた山崎さん。

 天知博士は正直言って本放送当時はそんなに好感持って見ていたわけじゃないけど、「弱気はNG」と明るく大声で人々を励ましながら瓦礫の下敷きになっていた人々を全員助け、ペタンと座り込む姿は今まで見た中で一番格好いいと思った。

  山崎さんは助け出された女の子にマジレッドのぬいぐるみを渡し励ます。

「大人になっても覚えてて。みんな勇気という名の魔法が使えるの。それが未来を照らしてくれる。私もスーパー戦隊にそう教わったの」

勇気が魔法の発動条件になっていたマジレンジャーの設定を踏まえていつつ、勇気を持って戦えば誰だって未来を良い形に変えられるんだよという、視ている私たちへのエールにもなりうる形に昇華させた台詞が素敵。そして明日は皆殺しだと言われても女の子が大人になれる未来が来ることを揺ぎ無く信じている、穏やかな強靱さも。

2人とも、本編ではがっつり戦隊のサポートをしてたわけじゃなく、というか途中までヒーローたちの正体も知らず一般人的な立場として戦士たちと接していた。それでも、レジェンドたちの戦いを見続けて諦めない気持ちや勇気を貰い、今はそれを周囲にも与えようとしている、という見せ方。最近の戦隊のキャラでそういう役割を担えるのはこの10年くらいだとこの2人が一番適任、てぐらいピンポイントな人選がお見事。

本放送時女子高生だった山崎さんは6年経って美しい大人の女性に成長していて、私はあのぬいぐるみがなかったら彼女だとはわからなかったかもしれない。もしかしたらそれも彼女が選ばれた理由の1つなのかな。

 

■少年との再会

マベは2話でレンジャーキーを盗もうとした少年と再会する。マベが敢えてシンケンレッドに変身させ力の限界を思い知らせた少年は、変身しなくても鉄パイプでゴーミン数人と渡り合えるまでに成長していた。

スーパー戦隊の力に頼らなくても、自分の力で戦えるし戦おうと立ち上がった彼も、この地球の人々の不屈の精神を象徴している。

だからマベは少年にこの星の価値は見つかったかと聞かれ時「お前の言うとおりどこにでもあった」の後に少年の胸を小突き「ここにもな」と付け加えた。マベがこの50話で見てきたものの積み重ねを思い返すと、「どこにでもあった」が誇張でも何でもないのが感慨深い。

  

一見現実の地球と同じに見えるけど、1話の保母さんみたいな戦隊オタクがごろごろいてゲキレッドの生い立ちが一般常識というこのゴーカイ世界の地球は、実はスーパー戦隊の存在の浸透によって人々のメンタリティも不屈で、ただ無力に守られているだけではなかった。そんなこの星の真骨頂を、ルカとアイム、ジョーとハカセ、そんでマベがそれぞれの形で目の当たりにしていく流れが綺麗すぎる。

あと当時を振り返ると、甚大だった震災被害を考慮して視聴者へのメッセージ成分がより強くなった部分はあるかもと思う。

 

スーパー戦隊の価値

ガレオンに戻ってお宝を前にし、まず「使いましょう」と口火を切ったのは鎧。

ゴウシは、自分たちがザンギャックを追い払うことしか出来なかったことを不甲斐なく思っていたんだろう。地球が滅ぼされようとしているのにスーパー戦隊だけを温存したって意味はない。だから自分たちはどうなってもいいから宝を使ってくれと鎧に頼んだ。

鎧はそんなゴウシやレジェンドたちの思いを伝え、断腸の思いでその消滅を選ぶ。

でもガレオンに戻る途中で、この星の人々の強さの根底にスーパー戦隊の戦いの歴史があることを改めて目の当たりにした海賊たちは、その支えを消してしまうことを拒み、使わないと口を揃える。

スーパー戦隊が当たり前に存在する地球以外の、宇宙の圧倒的大部分では「ザンギャックに逆らったからには逃げ続けるか死ぬか」という選択肢しかなく、海賊たちもそんな「宇宙の常識」の中に生きてきた。

けれど、鎧から「ザンギャックを倒す」というこれまでになかった発想を与えられて言わばカルチャーショックを受けたのが18話。鎧がその発想をごく当然のように持てたのは、34のスーパー戦隊が入れ替わり立ち替わり地球を侵略の脅威から守り続けた歴史を一般人たちも共有していたから。

そして今度は、スーパー戦隊が当たり前に存在していたために、宇宙全体で見た時にそれがどれほど貴重なものなのか本当には分かっていなかった鎧に、海賊たちがその真価を教える形になった、というお返しの構図でもあるのかも。

  

誰よりもスーパー戦隊を愛する地球人の鎧がレジェンドの思いを汲み取ったからこそその消滅を選べば、宇宙最大の宝が目的でスーパー戦隊の知識などなかった通りすがりの海賊たちが1年かけてその価値を知り尊重して消滅を拒むという、ひっくり返しの構図がただただ綺麗で尊い

 

■過去を乗り越える

鎧は、これまで自分がさんざん啓蒙してきたスーパー戦隊の価値を、海賊たちが自分以上に認めてくれていたことに涙しつつも、その宝を使わなければ失ったものを取り戻せないのでは?と彼らへの気遣いも見せる。

海賊たちの夢への配慮も鎧が宝を使うことに傾いた一因だったかもしれない。確実に地球を守れる上に、大事な仲間たちも悲しい過去を払拭して幸せになれるのだから、選ばない理由はないと。

でも海賊たちは辛い過去でもそれを乗り越えてきたから今の自分があるのであり、過去を否定することは今の自分を否定することだと、どんな過去も受け入れて前に進むことを選ぶ。

一度は取り戻せるかと喜んだものを諦めるのはきっと内心辛さもあったろうけれど、スーパー戦隊と地球の人々の支えを奪わないために掴まないことを決める。それだけでなく自分たちは全てを乗り越えて前に進み続けているからこそ、そんな今の自分たちを肯定したいからこそ掴まないことを誇りを持って選ぶ。

私が「どんな理屈をつけられるのか?」と心配し、自分なりにあれこれ想像していたものを軽々と凌駕する答えだった。当時もうこの時点でボロ泣きだったし、今見てもうるっと来る。

なお、当時を思うと、現実の世界でも311で大事な人、大事な故郷を失ってしまった人々が大勢いた。そんな人たちにエールを届けたいというスタッフさんたちの思いもあったのかもしれないな、とも感じる。

 

■見習い卒業

5人はそんな自分たちの答えを出した上で、地球人という当事者である鎧に決定権を託す。海賊たちは、根本的には「通りすがり」だから。

  鎧はレジェンドたちに詫びながら「俺は6番目の海賊、ゴーカイシルバーです! 夢はこの手で、掴み取る!」と、お宝を銃で撃ち砕く。

スーパー戦隊を犠牲にして戦わずに夢を叶えるのではなく、自分たちの手で戦ってザンギャックを倒すという夢を叶えると。

20話で鎧がヒュウガを突き飛ばした時の台詞を思い出した。

「すいません!この星を護るためなら、ヒュウガさんが変身する方がいいかもしれません。でも俺、ゴーカイシルバーやりたいです。俺がやりたいんです!」

<ヒュウガさんが変身する>を<お宝を使う>に、<ゴーカイシルバーやりたい>を<戦ってザンギャックに勝ちたい>に置き換えれば、まんま今の鎧の気持ちなんだろうなと。

  

宝を使う方が安全で確実に地球を守れる賢い道なのかもしれない。でも何が賢いか考えていたら海賊になんかならない。やりたいことをやって、欲しいものを自分の手で掴み取る。自分たちで戦いザンギャックに勝ち地球を守ることを掴み取る。それが海賊、そして海賊<戦隊>ってもんだろと。

・・・まあそれでも、「だからってなにも壊さなくても(汗)」と思ってしまった私はやっぱり絶対に海賊にはなれないな。分かってるよそんなこと(笑)。

  

「これでお前も一人前の海賊だよ!」鎧の涙の決断を見てマベはその頭を掴み手荒くも優しく祝福。鎧の加入時に最後まで反発していたハカセも肩を叩き労う。

鎧の見習い卒業までこんなにも劇的にきちんと盛り込んでくるのは見事だし、狡い。鎧はその加入や成長が物語の重要なマイルストーンと密接に絡んでいて、幸せな追加戦士だなとつくづく。特に今は本放送時以上に狡いと思ってしまう。

 

■海賊からスーパー戦隊

夜が明けて、ダイランドーが地球人掃討作戦を実行するために兵を率いて現れる。ヘルメットと鉄パイプで立ち向かおうとするあの世界の地球人たちが健気だ。

そんな彼らの背後の高みから、海賊たちが現れる。その口から発せられたのは

「うっさいバーカ!」

「フッ、消えるのはお前たちだ」

「あなた達の言うことなど、聞く耳はありません」

「僕たちも、この星の人たちも、お前らみたいなの、大っ嫌いだ!」

もうここで鳥肌立った。ルカの代名詞にもなった「うっさいバーカ!」から1話の啖呵をリフレインしつつ、今は地球人と気持ちを1つにしていると1年かけた距離感の変化を付け加えてみせて。そんで

「滅びるのが目にみえているこの星で、海賊ごときが何しても無駄ダダダ!」に

「無駄なものか。それに俺たちはただの海賊じゃない」と鎧が返し

「この星に、守る価値を見つけたからな」とマベが続け

「戯れ言はそこまで。どうせユーたちは死ぬだけチョイ」

「死ぬ気はねぇな。だが、命を懸けてこの星を守る。それが、スーパー戦隊ってもんだろ!」

という流れは、もうもう感無量(涙)。1話では「気に入らねえもんはぶっ潰す。それが海賊ってもんだろ!」だったんだよね。

  

本当に、開始当初に見所として掲げられた「通りすがりの宇宙海賊がいかに地球を守るスーパー戦隊になっていくか」を1年かけてきっちり、本当にきっちりやり切りやがった。ここまでやってくれるとは思ってなくて、当時はただただ圧倒されていたし、もう数えきれないほどDVDで見返しているけどそれでも見るたびに熱くなる。

もうここで終わってくれてもいいと思うくらいゴーカイジャーという作品に満足していた。

でも海賊たちがジュウレンジャーにチェンジした時、ここまで盛りだくさんでも更にジュウレンジャーのレジェンド回としても全うしようとしているのか・・・と脱帽。

ゴーカイジャーは年間通して1話1話のレベルが 嘘みたいに高い戦隊だったけど、この回はその中でも特別で、トドメ刺された。

ただ当時はもうこの時点で充分満足し過ぎていて、あの大艦隊にどう立ち向かうかという問題は気になるものの、私の中では今回がピークで次回は消化試合でも仕方ないかな、なんて気持ちもあった。今思うと、まだ私はこの作品を舐めていたんだな、と思う。

 

ゼンカイジャー3話感想: 占い→勇気→魔法 マージ・マジ・マジーヌ

五色田家の朝食が、ギアの形したポテトフライか何かをマフィンで挟んでいて随分小洒落てると思ったら、ガオーンの手料理だった。見た目だけでなく味も良くて、ちゃんとジュランの分も作ってる。

この世界の生き物には愛溢れる反面、嫌いな同種族のキカイノイドにはつれないガオーンの態度ってキャラとして面白いけど結構なマイナスポイントじゃね?って心配してた。けど食事係としての腕前が確かでジュランの分もちゃんと平等に用意する描写は好感度に気を使ってる感じだし、ヤツデさんに「仲良くしな」とたしなめられると弱いってのも良いバランスだな。

ジュランの方もガオーンの態度は気に入らなくても、料理はちゃんとおいしいと褒めるし、懐深い大人のおっちゃんだ。

 

「今日の射手座は滑り知らず。何でも積極的に行動しましょう」というテレビの占いでその気になる介人は射手座、11月下旬~12月中旬生まれか。まあ大らか過ぎるところは、射手座らしいかも。

善は急げだと、早速まだ見ぬ仲間を捜しに店を出たところで介人がすってんころりん。外はいつの間にか氷の世界になっていた。

コオリギアを取り込んだコオリワルドの仕業で、介人たちは変身して戦おうとするも、滑って敵を通り過ぎる(笑)。敵幹部のバラシタラまで滑って転んで、ゼンカイ3人はその玉突きを食らい、また果てしなく滑っていく。ヒーロー側からも敵側からもなんだか凄く色濃く立ち上ってくるゴーオンジャーの香り(汗笑)。

ただ最初に、急激な路面凍結により車がスリップ事故で爆発炎上し死人も出ていそうな容赦ない被害描写があるから、敵がちゃんと「倒さないといけない悪」になってるのは手堅いな。

 

敵から遠く離れてダンボールの山に激突した3人は、居合わせたマジーヌを巻き込んでしまう。独りが心細くてずっと知り合いを捜していたマジーヌは、ジュランを「おじちゃん」と呼んで抱きつき号泣。前作のマブシーナは泣くと涙が青い宝石になったけど、キカイノイドは小さな歯車が混じるみたい。でも滝のような涙は出るそばからすぐに凍ってしまって、当たり前だけどそりゃあ凄く寒いんだもんなと改めて。

ジーヌは子供の頃一時期、ジュランとご近所さんだったらしい。

「気付いたら知らない世界にいるし、キノコ生えるし世界は凍るし意味わかんなくて心細過ぎて」っていうマジーヌの台詞に、ようやく心から共感出来るまっとうな感覚の持ち主が来たよ(笑)と安心した。

「キノコ生えるくらい良くない?」とかあの世界の人間たちの適応力包容力の方が異常なんだよ。大らかで優しい世界で素敵だし、見てる分には面白いけど。

 

ヤツデさんはそれを見て、ジュランと一緒なら心強いだろうからと同居を勧める。

出た!ジュランガオーンに続きマジーヌまで初対面であっさり身柄を引き受けるヤツデさんは、真理夫おじさんやヒルトップ管理官といったこれまで香村さんが繰り出してきた明るくファンキーで懐深いおっちゃんたちの系譜だな。大好き。

直接戦えるわけじゃないけど戦士たちが帰ってきてホッと出来る場所を守っていくポジション、大事。

 

一方、我が家に居候するならやることやって貰おうかと即座にゼンカイジャーに勧誘する介人(汗)。ガオーンの時も「友達になって」→「え?ゼンカイジャーやってくれるの?」と<友達=一緒に悪と戦ってくれる人>だったけど、メンバー絶賛募集中がたぶん頭の95%くらい占めてる今の彼は、新たに知り合う相手全てその候補者としか見られなくなってる。状況を考えれば無理もないけど。

でもそこで、そりゃあ駄目だとマジーヌの彼女の内気さ温和しさに配慮して止めるジュランは目配りの出来る大人の保護者って感じだな。

 

トジデントではバラシタラが軍隊長としてトジルギアの使い勝手についてボッコウスに報告。現場ではコオリギアの力を認めていたのにボスへの報告では「あのようなものがなくとも」と言っていて、イジルデとの関係はあまり良好じゃなさそう。ボスの御前で互いを貶め合い、不興を買ってドスン→ピョコンは健在。いやピョコンからピョーンへと飛び上がる高さ=コミカル表現も増してるのはそれでいいのか今作の悪(笑)。

ゲゲがギアの力はじっくり見極めるんだなと言って、トジルギアを使った侵略フォーマットが改めて固まった感じ。「ペットの分際で」とバラシタラはゲゲの存在も面白くなさそう。

 

ジーヌは占いが出来ると知って介人はコオリワルドの居場所を占ってもらう。それを手がかりにそりで現地に向かう4人が可愛くて楽しそう。遊びの延長的な表現で、小さな子が見ていて喜びそうだな。

スカイツリーは介人が出禁状態で追い返され、サウナもお化け屋敷もそれ自体は楽しんだものの空振り。と、コミカルにテンポ良く外れが続いて、テンパっていたマジーヌは、ガオーンに「占いなんて信じる方が間違ってると僕は思うね」と否定されてブチ切れる。

普段は大人しくてオドオド気味だけど好きな物を語る時超早口になり、それをけなされると猛然と怒り出すのはオタクの鏡。「知らない癖に雑に否定すんな!」は私の心にも刺さった(笑)。

気圧されて謝るガオーンも、自分にも大好きな物があってそれを否定されたり踏みにじられたりする怒りは理解出来るから、そこを突かれると弱いのかも。

 

我に帰って自分の占いの才能のなさに落ち込むマジーヌに、介人は占いを「当たる当たらない」ではなく何か自分が行動を起こすきっかけとして、その価値を肯定し、励ます。

その言葉にマジーヌは、自分が子供の頃、花びら占い(キカイトピアの花のデザインが好み!)に背中を押されてジュランが近所の子供たちと遊んでいる輪に「自分も入れて!」と踏み出せたこと、それが占いにハマる原点だったことを思い出す。占いの信憑性に下手に踏み込むのは地雷になりかねないけど、こういう落としどころはいいなと思った。

 

ヤツデさんから海の凍結が広がっているニュースを聞いて、皆はその中心の埠頭に駆けつけ、コオリワルドたちと対峙する。

「この世界は氷河期まっしぐら」と言われて氷河期を知らないこの世界の住人介人と、一般常識だろ的な反応のキカイトピアの住人たちという逆転に若干混乱した。キカイトピアにも氷河期があったのか?そんでやっぱり介人の一般常識はヤバいのかもしれない。スカイツリーバンジージャンプやろうとしたり正体不明のキノコを食べようとしたのは伊達じゃなさそうだ(汗)。

 

それらの会話を聞いていたマジーヌは、介人たちの仲間になってみたい、けど・・・と咄嗟に水晶玉で占おうとする。

でも、彼女はもうさっき思い出していたんだよな。もともと自分にとって占いとは踏み出す勇気をくれるものだと。そんな占いも、そんな理由で占いを好きになっていた自分も、全部丸ごと介人は肯定してくれ、ジュランおじちゃんも同調してくれた。そんな彼らだからこそ、仲間になってみたい。

ジーヌの占いの結果も、結果が出るのを彼女が待ったのかすらも、見ている側にはわからなかったけど、彼女にとってもう結果が当たってても外れても、問題じゃないってことなんだろう。

自分が踏み出そうとしている「せっかく開けそうな新しい世界」を潰されてたまるか、という自分の気持ちこそが大事で、だから前に出てゼンカイジャー加入を宣言する。「自分も入れて」と、子供の時に使ったフレーズをここで繰り返すのが、熱い。

仲間になりたいという加入の理由は「私」的だけど、<世界を壊されたくない>と「公」にも繋げてるのが、ヒーローの戦う動機として上手いな。

 

銃を明後日の方向にぶっ放して「そうじゃない」と使い方を教えるのと、それを「まだ!?」と苛つきながら大人しく見守る敵というのは、これ全員やる気なんだろかな?毎回じわじわ来るからここまで来たら次回もぜひやって欲しい(笑)。

滑らずに攻撃出来る戦闘員クダックたちに滑りまくりのゼンカイ側は苦戦するも、セッちゃんのナビでトッキュウジャーのギアを使い、何か武器が出て来るのかと思ったら電車ごっこ状態に4人で連結して敵を弾き飛ばす(笑)。ギアの力いらなくね?とも思ったけど、今作はさっきのソリもそうだったように、小さな子が見て楽しんだり真似出来たりする見せ方に振ってるのかも。それも今の戦隊には大事なんだろな。

 

クダックは一掃したもののコオリワルドの攻撃で連結が解除されると、セッちゃんは今度はマジーヌに魔法を使えと指示。モチーフがマジレンジャーだというマジーヌが魔法を使うと、皆の足の裏に滑り止めのスパイクが発生。格段に戦いやすくなり、マジーヌもカップのマジック技でコオリワルドを翻弄して、とっとと皆でトドメ。

占いに勇気を貰いゼンカイジャーとして踏み出したら、占いを超えた魔法を使えるようになった。

占い→勇気→魔法の流れに、マジレンジャーの魔法の発動条件が勇気だったのを思い出す。特に、今ちょうど感想を書き始めているゴーカイジャー50話の「みんな勇気という名の魔法が使えるの」というマジレンジャーに由来する台詞とリンクしてグッと来た。

 

コオリワルドの能力は世界を凍らせて滑らせることに全振りしていたのか、ゼンカイ側が滑らずまともに戦えるようになったら、ぶっちゃけ弱かった(笑)。同じ氷属性でも強敵だったルパパトのザミーゴが見たら「さっむ!」って身震いしそう。

今回も巨大戦闘員クダイテストが召喚されてコオリギアを踏み、ダイコオリワルドに進化して世界はまたも凍ってしまう。普通の冬→氷点下→普通の冬→氷点下と、あの世界の人たちは文字通り温度差で風邪をひきそう(汗)。

ジュランとガオーンは巨大化してしぶしぶ合体しゼンカイオージュラガオーンになる。でも、こちらも滑って転んで戦えない。そこでセッちゃんのナビでマジーヌが巨大化すると、マジドラゴンならぬマジンドラゴンになり空を飛んだ(紛らわしい・汗)。

・・・ホント、これを人間が使っていたらどんな現象が起きていたのか真面目に知りたい。というかもしヤツデさんが介人の頼み通りにノリノリであれ使って変身してたりどうなっていたのか凄く気になる(汗)。

マジンドラゴンは魔法でダイコオリワルドの攻撃をかき氷に変えて「旨し!」とかやりたい放題(笑)。唯一の女子戦士だけど口調は「~ッス」「~なんだが」だし一人称も「自分」とオタクのそれで、思いきったキャラ付けだな。新人女優だったら難しそうな台詞が並んでいて、声優さんが演じることでよりぶっ飛んだ濃いキャラ付けにしてるのかも。

 

マジンドラゴンはジュランティラノと合体して、ゼンカイオージュラマジーンに。今回は2体合体だから、初期メンバーだけで組み換えて計4パターンも合体ロボを作れるのは、中々の玩具のプレイバリューだなと感心した。

ジュラマジーンは飛行出来て滑り問題をクリア。張り切るマジーヌをジュランが「無理すんなよ」と気遣うのも良い感じ。一方で、ジュランの気遣いがもしかしたらマジーヌにブレーキになりかねない危うさも、ちょっとだけ感じた。

ジュラマジーンの攻撃のダメージで氷パワーが弱まったところをジュラガオーンに組み換えてリベンジ。マジーヌがダイコオリワルドをかき氷に変えて、ジュランソード電撃クラッシュでトドメ。

 

カラフルに戻ってマジーヌは改めて「今日からよろしくお願いします」と挨拶し、ヤツデさんは「さっきよりもなんかハキハキしてる」と彼女の変化を喜んでるのが、細かいけど素敵。

呼び方もそれぞれ呼び捨てで統一。年齢や立場に関係なく仲間同士対等な立場でっていうのは今作らしいなと思うけど、「おじちゃん」呼びは可愛かったから、なくなるのはちょっと残念。

セッちゃんに促されてマジーヌがまだ見ぬ未来の仲間のヒントを占うと、「待てば眼鏡がやって来る」とゴーカイジャーのナビィみたいなお告げ。眼鏡というのは、今回もコオリトピアの解放を目撃してイジルデへの報告にすっ飛んで行ったブルーンなのは間違いない。けど、あんな虫ケラみたいな扱いをされても真面目に報告に行くレベルの忠誠心はあるっぽい彼が、どんな経緯でキカイトピアからこっちの世界に来て仲間になるのか、凄く楽しみ。

 

・ガオーンは食事係

・マジーヌは時々占いでゼンカイジャーの未来をナビゲート?

・ジュランはそんな若者たち特にマジーヌを見守るおっさんポジで性別の違うヤツデさんと保護者役を分担

と、居候キカイノイドたちが早々にカラフルでの役割が決まっていってるのに安心する。次に来るブルーンなんてもう掃除係が約束されたようなもんだし。

 

ジーヌの声は、最初に予告とかで聞いた時はちょっとくぐもってる気がして、どこまでもよく通る所謂ヒロイン声とはちょっと違うかな?と違和感もあった。いつも泣きそうな雰囲気もあって。

でも、今日聞いたら内に籠もりやすい弱さと、だけど馬鹿にされたら怒り出して止まらないくらい好きなものがその内面に詰まってる豊かさみたいなのを感じさせる声で、想像以上にピッタリだな、流石だなと思った。

海賊戦隊ゴーカイジャー: 49話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■5戦隊から認められて

海賊たちはバスコに勝って全戦隊の大いなる力をコンプリートした。けど、そのうちバスコに奪われた5戦隊の力については、海賊たち自身がレジェンドたちに認められ与えられたわけではない。それをこのまま勝手に使って良いものか、と海賊たちは躊躇する。

これがもし地球に来て日も浅い頃に全部を手にしたのなら、そんなことは気にも止めなかったかもしれない。この1年間、レジェンドたちと触れ合い互いに認め合うことを積み重ねてきたからこその変化がここにも見える。

するとその5戦隊のレンジャーキーが光ると共に、海賊6人は真っ白なイメージ空間の中に。199ヒーローの時と同じように、5戦隊からレジェンドが1人ずつ登場して海賊たちのここまでの戦いを認め、大いなる力を託すと改めて伝えた。

 

ここで一気に5戦隊来たことで、レジェンド未登場の戦隊はあと1つだけ!と個人的に盛り上がったのを覚えている。さらに予告を見てコンプだ!と感無量になった。

年間通して51話+映画で34戦隊。本当に良く登場させたし、俳優さんにもよくこれだけ出演して貰えたよな。

311は本当に不幸な震災だったけど、それをテコに色んな人たちの気持ちがゴーカイジャーに集まった結果かと思う。

 

■ナビィ受難

これで心置きなく大いなる力を使えるとなると、次はナビィ。

バスコが「君が扉なんだよ」と言っていたことから、マベがナビィを乱暴に掴んで「トリ、扉になれ!」と命令。

普段ならナビィへの乱暴な扱いを嗜めるルカやアイムもお宝が目の前だと思うと止めるどころか、どこかに隠しスイッチとかあるのでは?と他の海賊たち全員よってたかってナビィの意思ガン無視で体を雑にいじり回す。前のめりすぎるだろ(笑)。

海賊たちのこういう荒っぽいところや俗っぽさを隠さないところも好き。だけどついさっき海賊たちを褒め讃えていたレジェンドたちにはこの有様を見せられないと思った(笑)。

 

■扉になった

その後、海賊たちはハンマーとかスパナとか刃物とか持ち出してきて、ナビィをもはや生き物と思っていないかのような容赦なさでいじり倒したらしいけど、何も起こらなかった。でも苛立ち紛れにマベが宝箱の蓋を開けると、レンジャーキーから光が放たれ、それを浴びたナビィが本当に立派な扉に(笑)。

34ある鍵穴に各レッドのレンジャーキーを差し込むと扉が開き、その中に出現した洞窟のような道を進むと、金色でピラミッド型の小さな物体が置かれていた。宇宙最大のお宝というには小さいし正直地味で、当時この時点では拍子抜け。

でもマベはそれを掲げて高らかに「宇宙最大の宝、俺たちのもんだ!」と宣言し、嬉しそう。

前回「中身は何でもいいのかもしんねえ」って言ってたのは本当なんだなと思う。様々な困難を乗り越えて仲間と一緒にここまで辿り着いた証を手に入れたってことだけでも十分だったのかなと。

 

■過去を変え放題

そのお宝がいきなり喋り出した。自分はこの星の意思でこの宝を通して話をしており、

「34戦隊の大いなる力をこの宝に宿せば宇宙を好きなように作り変えることが出来る」

と告げる。例えば過去を変えてザンギャックの存在しなかった世界に作り替えることも可能だと。

ハカセの星もアイムの星と殺された両親もルカの妹と暖かい家もジョーのシド先輩も、全部取り戻せると言う。思っても見なかった幸せな奇跡に手が届くと知って、1度はシド先輩の死を受け入れ魂だけでも救おうとバリゾーグとの決着をつけたジョーでさえ、顔を綻ばせずにいられない。皆ザンギャックのために大事なものを失っているんだな、と改めて思う。

地球人の鎧を除けば、マベ1人だけ自分の取り戻したいものを口にしてはいない。彼の場合、たぶん今一番大事な物は仲間たちとの宝探しなんだろうな。願いが叶ったらその仲間たちは取り戻した幸福な元の世界に戻ってしまい、今のチームは解散ということになってしまうかもしれない。

でも、「凄えじゃねえか!」と、むしろ誰よりも興奮して嬉しそう。

自分が巻き込み時には危険にも曝し責任も感じていた「宇宙最大のお宝探し」が、付き合ってくれた大事な仲間たちに想像を超えた大きな喜びをもたらす結果に繋がったことが嬉しくて、ちょっと肩の荷が降りたりもしたのかなと思った。

 

■代償

意気揚々と船内に戻ってきた海賊たちはそのままの勢いで早速、宇宙を作り変えようとする。

でもすんでのところで、大いなる力を使い願いを叶えると、代償としてスーパー戦隊の存在がこの世から消えてしまうことがわかり、全員愕然。

まあ、宇宙を作り変えるほどの大きな力、ここまで大きな奇跡なら相応の代償を必要とするのは納得出来る。むしろ34戦隊の力だけで宇宙全体作り変えられちゃうんだ、と思ったくらい。

 

なお宇宙最大の宝の正体について、荒川さんは、49話まで考えていなかったと仰っている。

井上敏樹氏から「宇宙最大のお宝の正体が地球人の愛とかそういうのだったら俺は軽蔑するからな!」と言われたりもして、なるべく即物的な物にしたかったけど、お金そのものにするとわかりにくいかと、最終的に「宇宙を作り変えられる」というところに落ち着いたとのこと。同時に「どういうことにしたら彼らが迷えるかな?」とみんなで議論して「スーパー戦隊の存在がなくなる」という代償を設定したらしい。

 

ハカセが引っかかったサンバルカンのバルイーグル飛羽高之の「俺たちの分まで」って言葉から、レジェンドたちは海賊が願いを叶えた場合の自分たちの運命を知っていて、最終的にそれを受け入れていたことがわかる。

全てが明らかになってから振り返ると、そりゃあ、ある時期までは通りすがりの海賊たちに自分たちの大いなる力を渡すことについて、慎重になる戦隊もあるはずだよな、と納得した。

また大いなる力を与えず隠れたまま海賊に守らせ続けようと考えたカクレンジャーのえげつなさも、一概には責められないと思う。自分たちだけでなく他の33戦隊のことも考えたのかもしれないなら尚更。

49話までお宝の正体が未定なら結果的にそうなったってことになるけど、上手くハマって凄い説得力になったもんだなと感動する。

そんでアカレッドが無理やり力を奪えるラッパを開発したのも理屈としては納得すると同時に、どんだけ容赦ないのよと戦慄した(汗)。いざとなったら納得出来ないまま強制的に存在を消される戦隊がいてもやむなしってことだから。

 

前回マベは「俺たちゴーカイジャーの夢を邪魔するもんは誰であろうとぶっ潰す」と啖呵を切ったけれど、それはスーパー戦隊のレジェンドたちの存在と引き換えにしてもなの?って突きつけられたことになる。スーパー戦隊オタクの鎧はもちろん、これまで多くのレジェンドたちと交流してきたマベたちにとってもそれはおいそれと受け入れられるものじゃない。

ここでインサーンからの襲撃を受けたのは、むしろ海賊たちにとってはこの問題を棚上げ出来て好都合だったかも。

 

■追い込まれるインサーン

ザンギャック本星からの増援の到着はもう間もなくで、海賊や地球の運命は風前の灯。だけど地球征服が終わればインサーンも殿下の死の責任を問われて無事に本国に戻ることは出来ない。

ダイランドーからそう仄めかされ皇帝からも「手柄を立てるなら今のうち」とプレッシャーを与えられて、インサーンは自ら出撃を申し出る。

ダマラスさえ撃破した海賊たちの力は認めつつも、だからといって「皇帝の跡取り息子を守れなかった無能トリオ」って評価は揺るがないんだな。

そんで後の展開を見れば、皇帝もダイランドーもインサーンを増援到着までの時間稼ぎとして使い捨てにするつもりだったことがわかる。勝てば儲け物だけど、実力的にはダマラスでさえ敗れた相手にインサーンが勝てる確率は低く、でも処罰と手柄という言葉、飴とムチで出撃に追い込んでいくのが非情で嫌らしい。

それをどこまで分かっていたのか、インサーン本人は、この機に出世コースに返り咲こうとしていたのが、哀れ。

敵ではあっても1年近く見守って来たキャラが地位は上でも後からポッと出のキャラに粗末に切り捨てられるのを見るのは、ちょっとムカつく。

 

■インサーンの夢

「私が開発した武器で全宇宙の征服を成し遂げる。そして私は全宇宙で最も偉大な科学者になる。その夢をかなえるまで死ねるものか!」

ゴーカイジャーに夢があるように、インサーンにも夢がある。それを叶えるために「おまえ達の首を手土産に」と言う。

自分の夢を叶えるために海賊たちを殺そうとするインサーンと、本人たちの承諾を得ているとはいえ自分たちの夢を掴めば34戦隊を消滅させてしまうことになる海賊たちとは何が違うのか。ここでインサーンに夢を語らせたのには、そんなことを考えさせる狙いもあったのかな?と、思ってみたり

 

■5戦隊で花道を

インサーンはグレートワルズを参考にして開発したっぽいグレートインサーンで出撃。正直言って、グレートワルズ戦とダマラス戦の後でグレートインサーンと言われても、そこまでの強敵感もインパクトもないかな。

海賊たちは貰ったばかりの5戦隊の大いなる力を次々に繰り出してグレートインサーンを撃破し、脱出したインサーン本人と加勢に来たドゴーミンたちにはその5戦隊に1人ずつチェンジして応戦する。

こうすることで、バスコに大いなる力を奪われて割を食った感もある戦隊たちにも、レジェンド回に準じた見せ方を用意したのかな。

 

そしてそれはインサーンにとっては、5戦隊もの力を総動員して倒すという退場の花道にもなったと思う。

海賊たちが宇宙最大の力を使ってザンギャックのいない世界に作り替えた場合、今のザンギャック幹部たちはどうなってしまうのか。スタッフさんは視聴者がそんなことを考えなければならなくなる前に、1年間見てきてそれなりに思い入れもあるだろうレギュラー幹部たち、を全てきちんと華々しく退場させたかったのかもしれない。

これであとに残るザンギャック幹部は、凄く強いけど視聴者的にはイマイチ馴染みが薄いままの皇帝とダイランドーだけになったわけだから。

 

■超大軍到着

インサーン撃破直後、ザンギャックの増援部隊が到着して空を埋め尽くし、その砲撃から逃げ惑う海賊たちの姿で続く。

ザンギャックの戦力の最大の特徴は、その兵力の多さ。

レジェンド対戦では34戦隊、200人近い戦士たちの力で大艦隊を駆逐し追い払ったけれど、鎧によれば今度はその何倍もの数。このままだとゴーカイジャーだけでそれに立ち向かわなければならない。

「使えばスーパー戦隊の存在が消えてしまう」からと棚上げにしていた宇宙最大の宝を使うか否かという問題について、

「このザンギャックの大攻勢から地球を守るためには使わなければならないのでは?」

という葛藤ポイントも新たに浮上。

海賊たちがどんな理由でどんな選択をするのか、当時は楽しみな一方でがっかりするような落とし所になったりしないかっていう心配もしたりで、1週間やきもきしていたのを今も覚えている。

 

ゼンカイジャー2話感想: 一番愛せるものは異世界にあってガオーン合流

ボッコウスはゼンカイジャーの出現に苛立ち、巨大な拳をテーブルに打ちつけるとその振動でまた幹部がピョコン(笑)。それを聞きつけたブルーンが興味を示して口を挟み、掃除係ふぜいがと痛めつけられるのも前回と同じ。

イジルデはトジルギアに閉じ込めた世界の力を使えるよう研究していて、今回はキノコトピアを閉じ込めたキノコトジルギアの力で戦闘員を強化する。前回ラストで人々の頭にキノコが生えたのはこのキノコワルドの力、とここで今作のゲスト怪人の成り立ちが明かされた。

キノコワルドのボディのデザインは雑魚戦闘員クダックからそれより強力なクダイター(1話で介人に撃破された奴)に変化し、頭と両手だけキノコ仕様。キラメイジャーの邪面+αな着ぐるみ節約方式は継続っぽくて、また個性豊かなゲスト怪人を楽しめそうで良かった。

 

介人とジュランに目撃され、イジルデはキノコワルドに突撃を命じるが、なりたてホヤホヤで自分のことだと気付かず間が空いて「お前だよ!」と突っ込み、やっぱり今回の敵は幹部も含めてゆるめだ(笑)。

双方がギアの力を使って戦っていることがわかり、介人の母親が開発したことを知るとイジルデがちょっと狼狽える。そのあとわざわざ、それが偶然でトジルギアは自分が開発したと強調するのが却って怪しすぎ。

敵と味方が同じ力を使っているのは仮面ライダーっぽいけど、介人の両親の不在とも何か関係があるのか疑いたくなる。

介人とジュランはゴーグルVのギアを使って出てきたリボンを繋いで大縄跳びを始め「お入んなさい」とかヒーロー側も相当ゆるいぞ(笑)。でもまんまと誘い込まれたキノコワルドが足を引っかけて倒れた所にリボンから高圧電流攻撃とか、わりと容赦なかった(汗)。

 

キノコが一旦撤退したその夜、店のもんじゃ焼きの鉄板テーブルにお皿を広げて介人、祖母のヤツデ、ジュランが当たり前のように晩御飯。ジュランはここに同居を始めたってことか。そしてやっぱり人間と同じ物を食べられることが判明。

時系列的にここまでは1話と同じ1日の話だと思うと、五色田一家もジュランも受け入れと馴染みが相当に早いな。

お店は「カラフル」という名のとおり色とりどりでお洒落だけど、もんじゃ焼きの鉄板があるのは昔ながらの駄菓子屋さんて感じでなんだか懐かしい。駄菓子屋の店内真ん中が食卓って不思議な感じだけど、ここにこれからメンバーが増えて行くんだな、と思うと楽しみ。

 

トジデントがまだ侵略を諦めてなかったんだという話の流れから、ジュランは王朝トジデントの悪政でキカイトピアの庶民が苦しんでいると語り、介人はそんなトジデントを倒すと誓って、改めてジュランと心を1つにする。

「悪はキカイトピア全体ではなく今の支配者階級だけで、同種族の庶民キカイノイドにとっても倒すべき敵」

と、同種族でも敵味方はきっちりわけられることが主人公の誓いの前に示されるのは手堅いな。トジデントが市民革命前夜の腐った独裁政権みたいに思えてくる。

 

「おいらの中のデータによると、敵の起こした異常事態は、敵を倒すとだいたい解決するっチュ」

と、セッちゃんは戦隊ならではのふんわりしたお約束を「44戦隊が蓄積してきた説得力ある実績データ」として堂々と押し付けてきて、こういうところ香村さん狡い(笑)。

対抗するには仲間を増やすべし、と翌日早速、巨大化変形したジュランの頭の上で変身した介人がプラカードを持って大っぴらにメンバー大募集(笑)。

昨日侵略者を倒したヒーローだ!とTVレポーターまで取材に来たものの、駄菓子屋のチケットを特典に危険なヒーロー活動をというのはさすがに割に合わなすぎたのか、人間もキカイノイドも応じる者はなし。

そんで今この現状も「キノコ生えるくらい良くない?」「なんか可愛いし」と頭にキノコ生やしながら大らかに受け止めるカップル(汗)。

まあ、ある日突然大量に現れたキカイノイドたちをたった1ヶ月で受け入れて何事もなかったように普通に共存させているこの世界の住人の適応力包容力を持ってすれば、ある日突然自分や周囲の人の頭にキノコが生えてもその状態を受け入れて普通に暮らすくらい朝飯前ってことなんだろかな。緩くて逞しくて好きになってきたよこの世界。

 

変身解除してメンバー募集を続ける介人の元気いっぱいな姿にズキュンされたのが、黄色いキカイノイドのガオーン。ジュランはおじさんで、ガオーンは青年なのね。どこで年齢を判断するのかわからないけど(汗)。

ガオーンはゼンカイジャーにはなれないけれど友達ならと話しかけ、介人に受け入れられてこの世界の生き物と初めて握手でき大感激。

介人は、1話では非常事態でもあってジュランに銃突き付けてぐいぐい同族殺しを迫ったけど、はっきり断る者には無理強いはせず意思を尊重するんだな、というのはわかって良かった(笑)。

なお、ゼンカイジャー入りを断った理由はキカイノイドとは関わりたくないから、とジュランには塩対応。

キカイノイドは硬くてゴツゴツしてひんやりして可愛くない。トジデントなんてやることまで最悪で全然愛せない。でもこの世界の生き物たちは、丸みがあってキュート。触れたら柔らかそうであったかそうで、見ているだけでこの胸に愛が溢れてくる、らしい。

・・・ガオーンはキカイトピア時代、周囲の人々をどう感じてどう接していたのか(汗)。自分の世界の同族を生理的に愛せない異端者だったら辛すぎるよなあ。

当時はそんな素敵な生き物を見たことがないために世界とはこういう物と思い込んで淡々と暮らしてたら、突然別世界に飛ばされてそこで見た生物を素晴らしいと感じすぎ、それに引き換え自分のいた世界の奴らはと全否定したくなってる時期なのかもって思いたいな。

 

むしゃくしゃしたジュランはパーティーで憂さ晴らししたくなり、介人は「見ていたら食べたくならない?」とキノコ鍋パーティーを提案。そこまではまだいい。でもなぜそこでお店にキノコを買いに行くんじゃなくそこら辺に生えてるキノコを摘み始めるのか(滝汗)。

ただでさえキノコは毒のあるものもあるのに敵が生やしたキノコを美味しそうに見えるからというだけで食べるために摘んで帰ろうとする介人を見ていると、ホントにこの子はやらない理由やめる理由を探さずに突き進むんだなとちょっと怖い。個人的には私の心の平安のために誰かストッパーが欲しい(笑)。

番組としては直後に胞子から毒をまき散らして人々を苦しめてる描写をしっかり見せて、良い子はマネしちゃダメよ的なアピールしてるからOKだろうけど。この胞子まき散らしの前に介人が食べちゃってたらかなりヤバかったんだろな。

 

そんな人々を苦しめる作戦第2段階に進む時も「自分がキノコだと忘れないように」と語尾にキノコを付けるキノコワルドとそれを良い心がけだと褒めるイジルデがほのぼのとして可愛いらしく憎めない(笑)。やってることはあくどいけど。

街のあちこちでは毒の効き目が薄いキカイノイドたちが、倒れた人間を気遣っていて、庶民キカイノイドと人間との平和な共存関係はこの程度の侵略ではでは壊れないのがわかってホッとする。

まあトジデントが人間も庶民キカイノイドも一緒にスクラップだと言い放って襲撃し、それを排除した側にもキカイノイドがいてそれがTVで流れたりもしてるなら、不信や排斥運動の流れになってないのにもある程度説得力があるかな。

それでも現実世界ではコロナで一時期欧州のアジア人が白眼視されたのを思い出すと、やっぱりゆるくて大らかな優しい世界だなとは思うけど。

 

そんでガオーンは自分の愛する生物たちの苦しむ姿を見て激しい怒りを燃やし一転、自分もゼンカイジャーになって戦うと名乗りを上げる。

これまで自分の暮らす世界にはなかった全力で愛せるものに異世界で出会い、それを守っていこうと決める。たとえば外国人が寿司や着物みたいな日本文化に惚れ込み日本に移住して職人になったり、逆に日本人が海外の文化に惚れ込んで定住して継承者になったり、などと同じかもと考えると、ガオーンのこれも異種族交流の1つの形なのかもな、と思う。

そんでそんな熱い決意の合間にも、もぎとってもキュポって効果音と共に頭に生えてくるキノコが絶妙に間が抜けていて楽しい(笑)。

 

介人が銃をガオーンに渡すと即座に戦闘員を撃ち殺し、使い方はそうじゃないとあーだこーだ使い方を教える間、敵が首を傾げて待っているという流れが1話のジュランの時と同じで、繰り返されると余計に笑える。敵が戦力拡大している最中に「愉快な仲間が増えたようだな」とのんびり構えるイジルデさんも充分愉快だよ(笑)。

 

ようやく3人揃って変身し、仲間になってもジュランをガン無視で、キカイノイドには触りたくないガオーンが手の位置を入れ替えるのが細かい。これ、中盤とか終盤でガオーンがジュランを大事な仲間として認め自分から握手を求めてきたら、燃えるだろうな私。

ゼンカイガオーンは特徴的な大きな手と爪が、色も同じジュウオウライオンを思い出す。その活躍に刺激されて介人がハリケンジャーのギアを使うと、全員で忍法影の舞い。予備知識がなくても新装備で変身しその技の名を叫びながら必要な動きが出来る戦隊のお約束を「体と口が勝手に」とまたメタな解明(笑)。

介人が吹っ飛ばされると必死に追いかけダメージないようキャッチするガオーンは次にガオーンが吹っ飛ばされビル壁に叩きつけられても一顧だにせず(笑)、介人とのコンビでキノコワルドを撃破。

 

セッちゃんの言ったとおり人々を苦しめたキノコ問題はだいたい解決してしまい、イジルデは1話にも出て来た巨大戦闘員クダイテストを召喚。巨大戦はこのままだと変わり映えしないけどな・・・と思っていたら、キノコワルド爆破後に残ったキノコトジルギアを踏んづけて、こちらも頭と両手がキノコ化する。名前はダイキノコワルド。直球だな。

「キノコパワーが充ち満ちたキノコー!」「え~~っ?!」

ゼンカイ側と一緒にイジルデさんもびっくりしていて、ホントこの人も愛嬌あるな。

イジルデはこれで、トジルギアの力が暴走すると巨大戦闘員にも使えると把握し、次回からの等身大戦→巨大戦のシステムが確立されたってことかな。

これまで他の世界への侵略はトジルギアへの封印一択でマンパワーも使わず楽をしすぎてたせいか、そうではなくトジルギアの力を使って武力制圧しようとした時に、敵も初めてのことが多くていちいち驚いたり学んだりしながら手探りで侵略手順を構築しようとしているのが、可愛くて新鮮。

 

キノコパワーで辺りはたちまちキノコ世界になって、ついでにキノコ本人も効果音とともにひょこっと可愛く「キ~ノ~コっ」とか顔出したりして、予算のあるパイロット回だからここまでやれたのかもだけど、これから巨大戦も楽しめそうで嬉しい。

ジュランが巨大化して応戦するのを見てガオーンも巨大化。向かってくる巨大キノコから巨大キノコへと飛び移りながら突撃するのはせっかく格好良かったのに、ナメコで滑って落下しジュランに激突するのは不意打ちで狡い(笑)。

敵を前に揉めてばかりの2体に介人は躊躇なく自分も巨大化すると決め、2人同様ギアをひっくり返すと、なんと巨大化ではなく、ジュランとガオーンが口から裂けて(汗)変形。半分こ合体したロボになり、介人は操縦席へ。

 

・・・もしこの世界にアクシデントでキカイノイドが来ることなく、介人が人間の仲間を作っていたら、これを使うとどうなっていたのか知りたい(汗)。人間同士でも変形して強制合体とかさせられてたのかどうか、怖いけどわりと真面目に知りたい(笑)。

・・・それとも両親はこの銃とギアを使う介人の仲間がキカイ人間だと想定して開発したの?キカイトピアの一部がなぜかこの世界と融合したことに、両親が関わっていたなんて可能性もあったりするの?

 

合体バンクがなぜか野球のスタジアムとか嫌がるジュランとガオーンが「無理無理無理無理!」と分裂して中の介人が丸見えになり落下しかけるとか、もういろいろツッコミが追いつかなくて笑いっ放し。でもなんか懐かしげな挿入歌をBGMに戦闘はエネルギッシュで格好良く、キノコ頭を両足で挟んでタコ殴りとか動きも面白い。分裂も今度はせーので攻撃を躱すとか戦闘にも活かして、最後はジュランソード電撃クラッシュで大勝利。

 

その頃、ブルーンは掃除中にキノコトピアが開放されたことをいち早く知る。彼の立ち位置は面白いな。

1人だけ人間界には行かず敵ボスのお膝元で掃除係。毎回洩れ聞こえてくる情報に興味を示しては虫けら扱いされてトジデントの横暴と階級格差を強調し、トジルギアが破壊されると閉じ込められた世界が救われる仕組みををいち早く目にする。

ブルーン本人は現時点ではまだ、なぜキノコトピアが開放されたのかは知らないはずだけど、その彼が合流することでゼンカイジャーに、自分たちの世界だけでなく他の世界も救うという、この戦いのもう一つの意味を共有することになるのかな。ますます楽しみになってきた。

 

ガオーンはヤツデに紹介され、毛並み(笑)を褒めて気に入られる一方、機械の体のセッちゃんにはやっぱりつれなくて、ジュランはやっと不満を共有出来る仲間が出来たところで続く。

まだ仲間は全部集まってはいないけど、この2話で世界観や基本フォーマットがわかりやすく確立されて、ギャグと燃えのバランスも良くて面白かった!

序盤の香村さんの掴みの上手さはホント相変わらずだし、久しぶりに戦隊に戻ってきた中澤監督演出もキレキレ。もうずっと戦隊にいてほしい。この2人のコンビ回はホントに好きな回が多い(ルパパト38話以外)から、これらも数多く見たいな。

介人も相変わらずブレーキのない奴ではあるものの、1話よりは人をちゃんと見て話が出来る奴って感じがして好感度が上がった。ジュランとガオーンの掛け合いやすれ違いも当分楽しめそうだし、人間は1人しかいないけど、今のところ好きになれそうな戦隊で嬉しい。

 

海賊戦隊ゴーカイジャー: 48話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■サリーの布石

ガレオンを乗っ取ったバスコは、自分が奪った5戦隊の大いなる力をそれぞれのレンジャーキーに移す。

縛られていたナビィは、その隙に縄を切り居住区から脱出してコックピットに隠れ、海賊たちと連絡をとって現在地を教える。脱出出来たのは昨夜サリーがたまたまテーブルの下に落としたナイフで縄を切れたから。爆殺されるとも知らずにバスコに言われた通り潜入したサリーの行動が、海賊たちに反撃のきっかけを与えることになって、ちょっだけカタルシス

なお、後々の展開から振り返ると、もしここでナビィが逃げて時間稼ぎをしていなかったら、バスコはまんまと宇宙最大の宝を手にしていた可能性が高かったんだなと思うとヒヤッとする。

 

■海賊の海賊版

バスコはガレオンの出入り口を封鎖するとゴーカイジャーのレンジャーキーを実体化させてナビィを捜索させる。

元々ゴーカイジャーのマスクはピカレスク風味があって若干悪役顔。私はそんなデザインも気に入っているんだけど、意思なくバスコの手先として動いている、言わば海賊の海賊版になると、余計に人相悪く見える。特にやり過ごせたと思ってホッとしたナビィをドアの隙間からじっと見ていたゴーカイレッドなんて、演出もあって完全に悪党面で怖かった(笑)。

 

■お宝を探す理由

マベは16話でも垣間見えたけど、金銀財宝にはあまり興味がない。ザンギャックから金を盗み出そうとしたルカと鉢合わせしたのも、金が欲しかったというよりはザンギャックのその星の侵略を妨害するため。

じゃあお宝を手にしてどうしたかったのかと聞かれると

「さあな・・・」「大体そのお宝がなんだかもわかんねえ」「中身は何でもいいのかもしんねえ。この宇宙を旅する海賊達、誰もが欲しいと望みながら誰も手にしたことのない伝説の宝物。それを手にした者は宇宙の全てを手にしたのと同じ。そんなもんが存在するなら、手に入れるしかねぇじゃねぇか。夢は、手に入れられないと思った時に無くなっちまうんだから」

マベちゃん、正にOPの「冒険とロマンを求めて大海原を旅する」こと、夢を追うこと自体が目的の人だった。現実的な利益を求める気持ちはやはり薄く、人によってはリスクの大きさと見合わないと思うかもしれない。20話での「どうしたら賢いなんて考えてたら海賊なんかにならねぇよ」を思い出す。

でもだからこそ、アイムのように一見仲間にしてもメリットがなく逆に足手纏いになりそうな者でも、面白いと思えば仲間に引き入れる器の大きさを保てたのかなとも思う。そんでその冒険とロマンは、仲間たちと一緒に追い求めることがたぶん一番大事。

きっと仲間たちも気持ちは似たり寄ったりというか、そんなマベと一緒に夢を負いたい気持ちが一番大きな感じなのかな。ルカだけは現実的金銭的な夢があるものの。

 

■雨が止む

ナビィの連絡を受けて、ガレオン奪還のために起き上がろうとするマベをジョーが無言で引き止め、マベも仲間たちに任せることを受け入れる。38話で悟ったように今はマベも仲間の強さや夢への思いを信頼していればこそだけど、同時にやっぱりその中でも最古参ジョーとの信頼関係はまた特別なんだなと思った。

この時にそれまで降っていた雨が止んで光が差し込む。渡辺監督は、雨とそれが止んで光が差し込んだり水溜まりに雫が落ちて光ったりする光景を、キャラの状況や心境の変化とシンクロさせる演出がお得意で、大好き。(最近だとキラメイシルバーの闇落ち回)

 

ハカセと「跳ぶ」

崖下に停泊するガレオンへの跳び移りをルカに心配されたハカセは「行く!行くなって言われても行く!」と答える。

3話では「仲間のためなら勇気が出せるけどお宝のためには出せなかった」けど、本当に色々あった末に「仲間と一緒にお宝のために勇気が出せる」ところまで来たんだな。

もっとも、マベを助けるために1人でダマラスに挑んだことを思えば、もはや当たり前に超えられるハードルにすぎないのかもだけど。つくづく、ハカセは1年通してその成長を丁寧に積み重ねて貰えたなと思う。

そう言えば彼は27話で、「仲間の身を案じたために、跳べそうな距離を跳ばない」という選択をしたこともあった。ハカセの場合、「跳ぶ」という行為がその時の勇気や仲間への思いを表現する形になってたようにも思えて、偶然かもしれないけど味わい深い。

 

■また掴みに行った

ジョーたちを見送り独りになったマベは、それでも立ち上がろうとしてダメージを痛感。苛立って打ち付けた拳の中に金属の破片、サリーの首飾りの一部を握りしめていたことに気付く。

サリーはあの時、咄嗟に爆弾を自分のお腹にしまい込み、体内で爆発させたせいで恐らく木っ端微塵になった(涙)。すぐ側にいたにもかかわらずマベが致命傷を負わなかったのは、サリーが庇ったためだったんだな。

そして手の中の首飾りの破片は、サリーが一方的にマベを庇っただけではなく、マベ自身もあの状況で咄嗟に跳び退くどころか逆に、ジョーの首輪の時のように首飾りを掴んで離さなかったことを示している。

ずっと一緒の仲間のはずだったバスコに見捨てられ爆殺されようとした時、これまで敵だったマベは逃げるどころか最後まで助けようと掴んで来てくれた。それはあの瞬間のサリーにとって、せめてもの救いになったのかもしれない。

だからこそサリーはマベの気持ちに応えて彼を守ったんじゃないかな。そう思うと余計に、捨てたバスコと掴んで離さなかったマベの対比が鮮烈に感じられる。

 

■VS自分の海賊版

ガレオンの甲板を派手にぶち破り内部への侵入に成功した5人。二手に分かれて居住区を目指すと、それぞれ自分の変身後の姿に遭遇。これを倒せばレンジャーキーを取り戻せる。

ナビィの脱出が海賊にガレオンの位置を知らしめ侵入を許し、そのナビィ捜索のためにゴーカイジャーを実体化させ船内に放ったことが海賊たちにレンジャーキー奪還のチャンスとなる。サリーの落としたナイフから始まった逆転への道筋がまたひとつ開けた。

変身前VS変身後の戦闘ではあるけれど、海賊たちにはもう、自分の意思の入らないガワ、海賊版なんかには負けない強さは充分にあるよな、と安心して見ていられた。特にハカセのトリッキー対決は見ていて楽しかったし、鎧の殺陣のキレもさすが。

 

■ナビィの秘密

一方、再び捕らえられたナビィはバスコから、自分に宇宙最大の宝を手に入れるための大きな役割があると聞かされてびっくり。

「なんのエネルギーの供給もなく動き続ける永久機関。宇宙の物理法則を無視したイレギュラーな存在。ナビィちゃん、君が宇宙最大のお宝への<扉>なんだよ」

思えば16話でバスコはジョーたち4人を人質に、ガレオンとレンジャーキーだけでなくナビィも要求していたけど、その理由はあの微妙な「レッツお宝ナビゲート」だけじゃなかったのね(笑)。

バスコは宇宙最大のお宝関連の情報について、地球に着く前のマベやナビィよりかなり有利な立場だったんだなと改めて。

そんで8話ではギャグ扱いだった「俺は電池なんか変えたことねえぞ!」にまで意味があったのは、笑うと同時に感心した。宇宙最大の宝を何にするかを決めたのは49話の内容を考えた時らしいので、ナビィのこの設定がいつ時点で固まったのかは不明だけど、きちんきちんと拾っていくもんだなと。

 

■騙し返す

そこにナビィ捜索を終えた海賊版5体が戻ってきた。そう見せかけて実は、取り戻したレンジャーキーで変身し海賊版に成りすましていたジョーたちが不意打ちでバスコを銃撃し、ナビィを奪還するのが痛快。

やられたらやり返す。倍返しとまではいかないけど、バスコVS海賊は最初から最後まで、こういう知恵比べも総じてハイレベルで楽しませてくれたなと思う。

でもバスコが「生きてるだけでも驚き」と言ったのにはこっちが驚いた(笑)。マベはともかくジョーたちまで、しかもレンジャーキーを回収するために近寄っただろうに、あれで死んだと思ってトドメを刺さなかったのか(汗)。

まあナビィが異変を察知して変な動きをする前に、一刻も早くガレオンに乗り込みたいと気が逸ってたのかもだけど。

 

■ガレオンバスター敗れる

地力で勝るバスコは5人ひとまとめに外壁ぶち破って船外に放り出す。

海賊たちはオールレッドになり、そこにいないマベの思いも背負ってまずは海賊版ゴーカイレッドを袋叩き。レンジャーキーを取り戻す。

続いてガレオンバスターを取り出しバスコに向ける。元々ハカセがこの最終兵器を開発したきっかけは、バスコにボロ負けして対抗出来る武器が欲しかったためで、いよいよ本命との対決。だけど余裕かましたバスコに苦もなく跳ね返されてしまい、ゴーカイジャーはこういうところ容赦ない(涙)。この時のハカセの気持ちを思うと泣けてくる。

ジョーたちはダメージで変身解除させられ、再びレンジャーキーを奪われてしまった。この期に及んで戦力差が悲しいけど、メタな見方するとこの後の一騎討ちに介入させないためもあるからだから仕方ないか。

 

アカレッドだろうが

今度こそ息の根を止めるとバスコが引き金を引こうとした時、銃を撃ちまくりながらマベが登場。船長コートはボロボロだし腕からはまだ血が流れてるしで、万全な体調でも以前はボロ負けしたのに無理だろこれ(汗)・・・と思ったけど、ここまで来たらもう気合なんだろう。

バスコはまたマベの動揺を誘おうと思ったのか、アカレッドが実はこの星出身で、宇宙最大の宝を餌にマベとバスコに集めさせたレンジャーキーをレジェンドたちに無償で返すつもりだったと、つまり先に裏切ったのはアカレッドだと告げる。

「マベちゃんが懐いてた」とか「あの赤いおっさん」とか中々のパワーワードが並んでいてここの語りは味わい深くて好き。

なおアカレッドの真意は劇中でハッキリ語られていないこともあって、彼の成り立ちを考えるとバスコの主張もあながち否定しきれないかもなあ、とも思う。バスコがどこまで本気でそう思ってたのかはわからないし、仮に騙されたと本気で思ったとしても、元々人を信じずマベにも真の姿を隠していた男がどこまでショックを受けたのかはわからないけど。

 

それに対するマベの答えは

「今の俺は赤き海賊団じゃない。この星に宇宙最大のお宝があり、それを手に入れる為の物が揃ってる。それだけで十分だ。俺たちゴーカイジャーの夢を邪魔するもんは、誰であろうとぶっ潰す!てめえだろうが、ザンギャックだろうが、アカレッドだろうがな!」

アカレッドに倣い自分を犠牲にして仲間たちを守ろうとした時のマベは、アカレッドに心酔しお手本として盲従していたけれど、夢の中でアカレッドに「お前は私ではないし、ゴーカイジャーは赤き海賊団ではないだろう?」と嗜められた。

あれから10話を経て今のマベは言われた言葉をすっかり血肉にして、ゴーカイジャーの船長としての自己をすっかり確立していたんだな。

20話でスーパー戦隊の熱烈なファンである自分を乗り越えて、彼等と肩を並べる戦士であろうとした鎧を思い出す。

それまで心酔していた誰かやそんな自分を乗り越えて、独自の一歩を踏み出す成長を見せた姿がここでしっかり描かれていて感慨深い。でも一方で「アカレッドだろうが」には、同時に子供に親離れされてしまったような一抹の寂しさも感じてしまったりで、複雑な心境。

そんなマベの言葉にバスコも表情を改め、これまでどこか、細貝さんによれば「可愛くて、弟みたいな存在」だった「マベちゃん」はもういないと、対等のライバルとして初めて「マーベラス」と呼び変えるのが、劇的でホント痺れる。

 

■お守り

バスコの先制攻撃と同時にジョーが奪い返したレッドのレンジャーキーを投げ、マベがモバイレーツで受ける格好いい変身。5人が見守る前でいよいよ2人の宿命の対決。

激しい立ち回りに途中から互いに武器を飛ばされ相手の武器を拾って、マベが二刀流、バスコが二丁拳銃になるのが凄くゴーカイジャーの等身大戦の集大成って感じ。スピードに勝るバスコに翻弄され劣勢になるも、ならばと彼の足を踏みつけた自分の足ごと串刺しにするのが壮絶(痛)。そんで互いに至近距離からの必殺の一撃。

どちらも変身解除しながら吹っ飛んで倒れ、先に緑の血を流しながらカッと目を開けて起き上がったバスコが怖かった。

「まさか、相討ちになるとはね・・・もっと早く殺っときゃよかったな」という言葉で、あのバスコもとうとう致命傷を負ったんだ・・・と思った時に、心臓を撃たれたはずのマベが起き上がり、バスコは愕然。

マベの胸ポケットに入れていたサリーの首飾りの金属片が、バスコの銃弾を受け止めていた。

人を裏切り切り捨て続けてきたバスコがサリーも騙して「お守り」だと渡した爆弾。

その破片は、人を掴んで離さなかったマベにとってはサリーを最後まで救おうとしたことで文字通り「お守り」になったという因果応報が、鮮やか過ぎる。

 

■最期の笑み

マベとバスコのサリーに対する対照的な向き合い方が土壇場で勝負を分けた。それを悟ったバスコは「なるほどね・・・そういうことか・・・」と笑みを浮かべて自分の負けを認めると、ゆっくり倒れ、消滅する。

 

宇都宮Pは「台本に書いてないのにあそこで笑える芝居が出来たのは役をよくわかってる感じがした」という意味のことを仰っていた。

演じた細貝さん的には「最後にサリーが<もう終わりにしなよ>と教えてくれてバスコも何かに気付きながら散った」みたいな芝居をしたつもりだとのこと。

素敵な解釈と素晴らしい演技で、細貝さんも間違いなく、ゴーカイジャーが引いた当たりの1つだったと思う。

脚本については荒川さんによると、当初バスコ関係は最後まで香村さんに書いて貰う予定がいろんな兼ね合いでこうなったそうで、申し訳なかったと仰っていた。ただ香村さんが書いていたらどうだったか考えることもあるけれど、この前後編の荒川脚本には満足しかない。

バスコはザンギャックが殆ど絡まなかった「宇宙最大のお宝」が目的だったことで、ザンギャック以上にレジェンド回に踏み込めたのも存在感と完成度を高められた一因かもとは思う。

でも、それを差し引いても登場から最後の瞬間まで、ビジュアルもキャラクターも演出も演技も本当に素晴らしい、見事な悪役だった。宇都宮戦隊には魅力的な顔出しの悪役が何人もいるけど、その中も個人的に一番好きかな。ありがとう、バスコ。

 

※今後ゴーカイジャーの記事は週一更新予定です。

ゼンカイジャー1話感想: 敵は種族ではなく階級格差?

ジュウオウジャーの内容に触れています。

 

35作記念のゴーカイジャーは34戦隊と地続きの世界観だったけど、45作記念の今作はたくさんの並行世界があって、その中に44戦隊の世界もそれぞれ存在しているという設定。そんで突然それらの世界が次々とトジルギアという小さな歯車の中に封印された。

最後に残った世界がこの物語の舞台。ある日他の世界と同様に閉じ込められようとした時、突然キカイノイドたちが出現して、それが原因なのかはわからないけど封印は不発に終わる。

それから1ヶ月後、キカイノイドたちはすっかり人間世界に解け込んでわりと仲良くやっていた。

と、わりとさらっと、物凄く大胆な異種族間交流が超短期間で行われているぶっとんだ世界観(笑)。

どうしてもジュウオウジャーの最終回を思い出す。あのラストのその後の世界はこんな感じなのかも。

 

世界を閉じ込めてきたのはキカイトピア王朝トジデント。

ボスはボッコワウス。中田譲治さんが声を担当している。戦隊では香村さんの好きなライブマン以来の敵ボスかな。ゴーカイジャーライブマン回のザイエン→ジュウオウジャーのアザルド→今作と、香村脚本と縁が強いようで嬉しい。

大きくて怖いボスなんだろうけど、床にドスンと一撃食らわすとその衝撃で幹部2人がピョコンとしたり、喋るトリ型ロボットのゲゲにだけメロメロな口調になる。今回はボスからしてこういう緩くてコミカルな敵で行きますよってわかりやすく見せてくれてる感じ。香村戦隊だとジニス様やドグラニオ様の大物感は、うん、ないな。あの2人は基本的に鷹揚に構えていて滅多なことでは声を荒げなかったし。

 

1ヶ月前に封印が失敗したのは、キカイトピアの一部となぜか融合してしまったかららしい。けど、原因は不明。

その話に食いついた青い掃除担当ロボはOPにいたブルーン。彼は他4人と違って人間界に飛ばされたわけじゃなく、こんなにも敵ボスの近くで働いているのか、とちょっと驚いた。

中澤監督のせいか眼鏡ブルーのせいか、OPでコケてる姿にトッキュウジャーのトカッチの匂いを感じてワクワクする。ここからどうやって仲間になるのか、かなり楽しみ。早くこっちの世界においで。

 

封印失敗から1ヶ月も何やってたんだよと苛立つボスにゲゲが、だったらこの世界だけは封印ではなく普通に武力で侵略しちゃえよと提案。ねっとりした喋り方が曲者っぽくていい感じ。

そんで、44戦隊の世界が封印されたのに新戦隊の世界だけがそれを免れて、これからも免れ続けるであろう理由が

・イレギュラー要素により他の戦隊が為す術なかった封印が使えないから

・先輩戦隊も退けてきた通常の侵略に切り替えたから

なんだと早々にここで示すことで、先輩戦隊の格を落とさないよう慎重に配慮してるのかな、と思った。

 

主人公は五色田介人という若者。祖母と2人で妙に間口の広いメルヘンチックな駄菓子屋をやってる。でも見た感じお店の経営に興味はなく任せきりで、給料だけ貰ってそうな感じかな。

スカイツリーでのバンジージャンプは普通禁止だろうとは思い至らない。これまで比較的知能指数が高く空気も読めて察しの良いタイプが続いた香村戦隊の主人公としては、かなり別種で危険な匂いがする(笑)。

世界初とか誰もやった事がないという言葉の前には一般常識とか軽く吹っ飛びそうな、というか下手するとそもそも備わってもいないかもしれない(汗)。たぶんやらない理由を探さない人。

一方でキカイノイドを初めて見た時、両親が発見した並行世界の人たちかと喜んで警戒感ゼロで仲良くしようとしてたのを見ると、既成の考え方に囚われない分だけ差別の心もなさそう。

店から持ち出した綿菓子とキカイノイドが作ったキカイタコ焼きを交換し異文化交流に勤しむ彼は、この1ヶ月ずっとこんな感じでキカイノイドを見れば積極的に交流しようとしてきたのかな?と思う。反面、人間の深く付き合う友達がいるのかは若干気になる。

 

キカイタコ焼きがあまり人間のタコ焼きと変わらないように見える。その気ならいくらでも、それこそ食べ物に見えない形にも見せられたと思うけど、敢えて「キカイノイドは姿はあんなだけど食べる物は人間とあまり変わらない」って見せ方だろうか?

介人が食べようとした瞬間に爆発で吹っ飛ぶのはゴーカイジャー1話のカレー屋のシーンを思い出した。和やかな日常が一変する中澤監督のこういう緩急、大好き。

 

爆発は、トジデントがこの世界を侵略するために送り込んだキカイノイドの軍隊の仕業。人間も、それから人間と馴染んでる同種族のキカイノイドも攻撃し始めた。

河原で人間のバーベキューにノリノリで加わっていた庶民キカイノイドのジュランの所にも、兵隊たちはやって来て無差別攻撃を始める。戸惑いと怒りで混乱し反撃しようとするジュランは、さっきまで仲良くしていた人間たちから一転、恐怖の目を向けられて大ショック。

先に来て現地人と仲良くしてたら、後から来た自分と同種族の奴等が侵略始めるって、現地人から「騙しやがって」って思われてもおかしくないから、これは辛いよなあ。

ただし同じキカイノイドでも、侵略してきたのは所謂「お偉いさん」な支配階級で、ジュランのような庶民キカイノイドは人間と一緒にスクラップにしても良いと言う。ブルーンも幹部から虫けら扱いされていたし、この作品はキカイノイドの階級間格差をかなり強調してるな。

これまでの戦隊は異種族が侵略してくる形が多かったけど、ゼンカイジャーは異種族間の敵対ではなく、キカイノイドの階級間にある隔たりが敵味方を分けてる。

上流階級は今の所はっきりとした悪で敵

庶民は人間と仲良くしたい善で味方

この作品での戦いはキカイノイドの階級間格差をぶっ壊す革命的な面もあるのかな。

 

ジュランがゴミ捨て場に吹っ飛ばされた頃、介人も軍隊を率いてきた幹部の1人バラシタラに軽く吹っ飛ばされてゴミ捨て場に、と軽くシンクロしてみせる2人。

その後一旦店に戻った介人は祖母と共に入り口にバリケードを作って立てこもりながら、子供の頃に鳥型人工ペット?のセッちゃんを作ってくれた時の両親の言葉を思い出す。

両親は並行世界を研究してた有名な科学者で、現在は所在不明ってことかな。

「爆発」を繰り返しながらもセッちゃんを完成させたこの夫妻のモットーが、「本気でやりたい事はな、結果を出すまで全力全開!」「失敗も挽回、何回もトライ!」

えーと・・・何度危険な失敗を繰り返しても形になるまで全力で突っ走るべし。安全面を考慮し諦めなくていい。介人はそういう価値観の家庭環境で天真爛漫に育っちゃったわけね(汗)。危険何それおいしいの?ってタイプかも。

介人は自分が世界を守ると決意し、方法はわかんないものの「結果出すまで全力全開だ!」と叫ぶ。と、いきなりセッちゃんが意思を持って騒々しく喋り出した。自分の息子が将来、本気で何かをやり遂げようとした時に、というか、後々の展開を見ると侵略されてそれと戦おうと決意した時にそれに反応して起動する仕掛けだったのかな?

 

セッちゃんが介人と祖母を物凄く雑に地下に頭から落下させる(汗)と、そこは両親がいつの間にか作っていた秘密アジト。

ああ、「爆発」って、単なる人工ペットを作るためじゃなく、こんな大掛かりなものを作る過程で起きたのかもな。それってもしかしたら、「失敗」はカモフラージュで本当は手っ取り早く地下にこの「空間」を作るためだったんじゃないか?なんてむくむく湧き上がる疑惑(汗)。

息子(娘?)夫婦がいつの間にこんなものを?と驚く祖母と介人に、セッちゃんは並行世界とスーパー戦隊のことをさらっと説明し、彼等の装備を参考に開発されたというずらりと並んだ銃を見せる(汗)。

たぶんこれ、ルパパトの世界なら普通に逮捕案件だよな。普通に人も殺せるだろうし、なぜに両親は実際に侵略者が来るずっと前にこれを用意していたのか(汗)。・・・うん、きっと侵略者に襲われた世界が44もあったので次は自分たちの世界なのかもと想定して準備していたんだよね?まさか、ただ「格好いいねこれ!」と思って真似して作ったんじゃないよね?

小心者の私の中で、五色田夫妻のヤバい人度がじわじわと積み重なっていくんだけど(笑)。

でも今の介人にとってはまさに渡りに船。即座にこれを使って戦うことを決意し、祖母も平気で引きずり込もうとする。危険何それおいしいの?は自分の祖母にも適用されるのか(怖)。炎をバックに2人が銃を構える「イメージです」は中澤監督らしいお茶目さで笑ったけど。

 

介人は早速街へ出て、ジュランが身を挺して人間の男の子を庇う場面に遭遇し、早速実力を行使して助ける。

それまでさんざん人間たちから怖がられて傷付いても、その人間の子供のピンチは見過ごせない。でも庇った後で怖がられた記憶が蘇り、謝って離れようとするのを介人が屈託なく「ありがとう」と声をかける。それを見て、自分を襲った相手と同種族だけど庇ってくれたこの赤いキカイノイドにどう反応していいのか迷っていたっぽい男の子も安心して「ありがとう」と言う。

ジュウオウジャー6話でラリーさんが助けた女の子からお礼言われるシーンを思い出して泣けた。あれも香村さん+中澤監督。

 

そんで介人は、今回男の子を後押ししたように名前のとおりこれからも人間とキカイノイドを仲立ち「介する人」になってくのかな。そう思った矢先・・・

「ねえ、俺と一緒にトジテンドと戦ってよ」と、銃を渡して笑顔で誘ってきた(汗)。

若者と年配者を差別しない。人間とキカイノイドを差別しない。文字で書くと美徳なようで、でも、何の躊躇いもなく自分と一緒に還暦ばあちゃんを戦わせようとしたり、「あいつらとは違うじゃん」と笑顔でキカイノイドに同じキカイノイドを殺させようとするのを見ると、介人の枠や分け隔てのなさって結構アグレッシブでおっかない部分もあるのかもと思った。どこまで確信犯で書いているのか気になる。

他人の危機を見過ごせないのはちゃんとヒーローで、その一線には安心しているんだけど。

 

異種族との衝突と交流については、ジュウオウジャーのジューマンたちはなまじ人間に擬態出来てそれを前面に出す必要があったために、若干印象が弱まってみっちゃんの成長話に食われた感もあったと個人的には思うけど、今回は人間体がないことでよりストレートに踏み込めるのかもしれないな、なんてちょっと思ったりもする。

ただ、ジュウオウジャーのジューマンは侵略の意図はなかったけど、ジュランたちは常に「同種族の侵略」を突きつけられかねないのが辛い所。侵略者じゃないことの証明のためにも同族同士で戦わなければならないんだとすると、シビアな立ち位置だなと思う。だから「敵は階級格差」っていう構造になってくのかもだけど。

 

介人はジュランに銃の操作方法を教える。敵の軍隊が待ってる前であーじゃねーこーじゃねーとレクチャーしシュールな間をとったり、敵雑魚の口上を銃撃で永久中断させると同時にBGMを止めてパッと空気を変えたり、と中澤監督らしい演出が相変わらず素敵。

変身すると介人は赤ではなく白基調で5色のアクセントに仮面ライダーっぽいマスクなのが、これまでの戦隊主人公と一線を画している。

ジュランは、肩アーマーなどがかなりボリューミーで、これ動き辛くないのかな?と余計な心配をしてしまった。香村さんと中澤監督を重用した宇都宮Pがアクション映えするヒラヒラ以外はスーツに着けたがらなかったのを覚えているから、余計にそう感じるのかも。同じロボットだけど戦う力を持たない庶民キカイノイドからの変化をわかりやすく強そうに見せるためだから仕方ないんだけど。

変身した2人にセッちゃんが無線?でセンタイギアの使い方をナビゲート。介人は40番のジュウオウジャーを使ってイーグルの力で空中から、ジュランは39番のニンニンジャーを使って地上で立ち回り、雑魚戦闘員を一掃する。今回は戦隊の力をこう使いますという見せ方なんだろうけど、今のところCG主体で若干印象が薄いかも。

それよりセッちゃんのテンション高いスーパー戦隊解説を、モニターで戦闘を見守りながら「へー・・・」と口をあけて聞いてる還暦ばあちゃんの、イマイチ興味薄そうなリアクションの方がじわじわきた(笑)。まあ急に次々まくしたてられても頭に入ってこないよな。

 

バラシタラはならばと巨大ロボを召喚。それに対してセッちゃん(ついナビィと書きそうになって困る・汗)のナビゲートでジュランがギアをひっくり返すと、彼がその姿のまま巨大化。

活き活きと動いて戦う姿は中々格好良くて、恐竜の姿に変形して丸めた背中から特攻するのも面白く、これなら今回はロボ売れるかも?とメタな期待をしてしまった(汗)。

介人の方はいつの間にかバラシタラはいなくなっていて、河原でジュランをボコった中隊長ポジションみたいなキカイノイドと戦闘。今回の介人の戦闘はイマイチ印象が薄かったけど、巨大化ジュランと同時にフィニッシュ。初勝利。

すっかり意気投合した2人は駄菓子屋で還暦ばあちゃんから労われ、ばあちゃんが謎の「ヤツデスペシャル」を振る舞うために買い出しに出ようとすると、街行く人々の頭に急にキノコが生えてびっくり!で続く。

 

まだ1話だから仕方ないかもだけど、前作に比べると敵の怪人枠や巨大ロボ枠の印象が少し薄めかな?間違いなくコスト面では厳しい中で工夫をつけるのは大変だと思うけど、前作が邪面という大発明をしているし、香村さんも怪人のキャラ付けは上手な方なので、今作も頑張って欲しい。

でも、香村さん(特に序盤)×中澤監督のコンビは、やっぱり好きだなと思う。テンポと勢いが良くてキャラも掴みやすく、膨大な情報量も上手く整理されていてわかりやすかった。

主人公(とその両親)のヤバさはこの先どう転ぶのかは気になるものの笑いどころも燃えどころも満足で、個人的にはスーパー戦隊要素がなくても面白く見られたかもしれないな、と思うくらいには気に入ったかも。

 

海賊戦隊ゴーカイジャー: 47話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■デートの誘いかよ

いよいよバスコと雌雄を決する時が来た。レーダーに映らないフリージョーカーに乗った相手をどう捜すか。

電話しては?というアイムの提案が、あまりに緊張感のないお手軽感で吹いた(笑)。バスコも赤き海賊団の一員だったから、モバイレーツは持っているんだよね。試しにかけてみたら本当に出た。いや今までもバスコからはかかってきたことはあるけど、あれだけ敵対してきた相手がホットラインで繋がってるってのも不思議な距離感(笑)。

バスコはふざけた調子で「いつにする?」とか友達が待ち合わせの日時決めてるみたい。

一方マベは、らしくなくたじろいで「明日にするか・・・?」と弱気モード。いざとなると心の準備が出来てなかった感じ。

 

■ロボ戦では勝負にならない

もっともバスコは先んじてガレオンを見つけていて「今から行くよ」と先制攻撃。

更にサリーのお腹からロイド2体を出して挑むも、カンゼンゴーカイオーに敗れてしまう。

大いなる力を気前良く渡しすぎたかと若干後悔してるようだけど、16話時点でも、ロイドを1体ずつ出してる限りはバスコ側に勝ち目はなかった。今は2体がかりでも勝てない。しかもロイドはもう残ってないから、ロボ戦ではバスコに分が悪すぎる。

ではどうするか、と、バスコがサリーに意味深な目を向ける。バスコの酷薄な性格を考えればサリーに対してロクなことを考えていなさそうなのが不穏すぎる。

 

■サリーへの温度差

ロイドを倒した海賊たちは、サリーに向けて銃を連射するバスコを目撃し驚いて、バスコが立ち去り倒れているサリーの元へと向かう。

躊躇なく駆け寄るハカセ・アイム・鎧。警戒心混じりにちょっと遅れるマベ・ジョー・ルカ。

まあマベはここでバスコから裏切られた自分をサリーと重ねて「ガレオンに連れてって、手当てしてやれ」と言うんだけど、せれに対して思わず顔が綻ぶ前者、血相変えるジョールカ、と、やっぱり反応がハッキリ分かれた。

前回も書いたけど、海賊らしい古参組と海賊らしくない新参組がバランスよく半々に分かれて、ハードなアウトロー的格好良さとソフトな正当派ヒーロー的親近感や良識を両立させて、魅力を多重構造にし、補い合ってるのが好き。

そんで今回は更にアウトロー組筆頭のマベが趣旨替えしてみせることで、残されたジョールカの波紋がよりドラマチックに次の場面に続いてる。

 

■マベの傷

展望台でどういうつもりか問いただすジョーにマベは「わっかんね・・・」と自分の気持ちを上手く言語化出来ない。

でも、たとえ今回は罠でありサリーの芝居だとしても、いずれサリーはバスコに裏切られると思うと、昔受けた傷がどうしようもなく疼くんだろう。

この時マベが思い出していたのは、戦いの後で甲斐甲斐しくマベの傷の手当てをしてくれたバスコ。陽気で茶目っ気があり、兄というよりむしろ姉が可愛い弟をからかい半分に構ってるみたいなイチャイチャぶり(男同士にこの言葉使うのあまり好きじゃないんだけど、あまりにもこの表現がぴったりだと思った・汗)。

「自分だって大して強くないくせに」と言われても「まあね」とさらっと流して、実はあんな強さと凶悪な本性を隠しているなんて想像も出来ない。

バスコのそんな姿やしてくれたことは想像以上にマベの心に食い込んでいるんだな、とちょっと驚いた。

しかも「せっかく仲間なんだからさ、自分の出来る事をやればいいじゃないの」って、43話で印象的だったゴーカイジャーのスタンスのルーツが、実はバスコだったなんて(汗)。

マベはいつも船長としての鎧を纏っているけど、レジェンドたちとのやりとり見た感じ、一皮向けば兄貴的な存在に弱い弟気質なんだよな。バスコに「マベちゃん」と可愛がって貰い、凄く慕っていて、だからその分裏切られた傷も相当に深いんだな、と改めて。

サリーを「別に仲間に入れようってわけじゃない」と言いつつも、思いっきり自分と重ねているのを見てとった上で、

「本当か?うちの信じられないお人好しだからな」と言うジョーが良い。そんな手酷い裏切られ方をした男が、(また裏切られるかもしれないのにそれを怖がらず)よくこれだけ仲間を集めたものだと。

裏切られることを想定して誰も信じないバスコとは、正反対だな。

サリーを見捨てられないマベを否定することは、ジョーたちを仲間にしたマベを否定するのと同じなのかもしれない。特に敵対していたサリーに一番近い立場が誰か、と考えると、元ザンギャックのジョーは「好きにしろ」と言わざるを得なかったのかもなあと思う。

 

■サリーの葛藤

ガレオンで、アウトロー組からの微妙な視線と共に良い子組から手厚い看護を受けたサリー。

夜になって目を覚ますと宝箱の元へ。やっぱりバスコの策略で、サリーはガレオンに潜り込み宝箱を持って来るよう指示されていた。

宝箱を掴もうと伸ばした手に巻かれた包帯を見てから始まる葛藤が、台詞もないのに本当に気持ちが伝わってくる。いじらしくて可哀想。スーツアクターおぐらさん、名演だな。

 

■全て計算どおり

サリーは夜中から明け方まで逡巡した挙げ句、宝箱を持ち出してバスコの近くまで戻って来た。でもバスコを目の前にして足が止まってしまう。

そんで何だかんだお見通しだった海賊たちがサリーの後を付けていた。当然宝箱は空。

サリーの傷は手当てしなければ死んでしまうほど酷いものだった。海賊たちはそれを責め、マベはサリーに歩み寄って、本当にそんなバスコの仲間で良いのか問いかける。

バスコと海賊双方からの綱引きの板挟みになって、つぶらな瞳を泳がせるサリーが本当に痛々しい。

とうとうマベを選んだサリーに、でもバスコは狼狽えるどころか高笑い。作戦を仕込む時に「御守り」だとサリーの首にかけていた爆弾のスイッチを押した。

 

罠だと見抜かれて海賊たちが追ってくるのも、サリーが自分を見限ってマベ側につくのも、全部バスコの計算のうちだった。

そもそも海賊が手当てしなければ死ぬ怪我を負わせたのも、迷うサリーに怖い顔を見せて苛立って見せたのも、海賊たちの前でサリーを自分の道具扱いして見せたのも全部わざと。

それを見て海賊たちが怒りサリーに同情して自分から引き離そうとし、最終的にサリーの気持ちを自分から海賊たちの方に移らせるための計算だったわけだ(汗)。

バスコはロボ戦に持ち込まれたら勝ち目がない代わりに等身大戦は有利。ただし宇宙最大の宝を得るために必要なガレオンや宝箱、ナビィを無傷で手に入れるために、海賊を船から誘い出したかった。そんでサリーが海賊に付いたタイミングで爆破し、敵に回すと厄介なサリーを始末し海賊の戦力もそいで勝ちを確実にする、という作戦。

結果は憎たらしいくらい上々(汗)。海賊の中で一番強いマベは、爆発に巻き込まれて倒れたまま動かず戦闘不能状態。

 

そんでサリーは・・・(泣)。直接は映さなくても「こんな・・・」と絶句するアイムの目の動きが、いかにサリーがバラバラに四散したかを物語っている。かなり残酷でショッキングで、直前までの葛藤する様を思うと哀れで仕方ない(涙)。

 

ジョーたち4人は怒りに燃えて変身し立ち向かうも、バスコに完全に叩きのめされて意識を失ってしまう。

バスコは海賊からレンジャーキーを奪い取り、そのままガレオンに乗り込んでナビィを踏みつけ制圧し、全てを手に入れて高笑い。

もうね、狡猾、冷徹、冷酷、邪悪、凶悪、どんな言葉でこの男の所業を評したらいいんだろう(汗)。

 

■細川さん受難

この回のバスコのゾッとするような悪どさは当時、大人の私が見てもかなりの衝撃だったけど、小さな子供たちには与えたショックは、演じた細川さんによるともう「トラウマもん」だったみたい。

よりによってこの回が放送された午後に実施された写真集イベントでは、子供が泣いて暴れて大変だったとか(汗)。イベントに来るくらいだからバスコも好きだったけどサリーもセットで好きだったろうに、そのサリーを爆破しちゃったもんだから完全に恐怖の目線で見ていたとのこと。

細川さんには受難でもあったけれど、それだけ恐れられ憎まれる悪役としてきっちり、演じられた故で、本当に敵としてはお見事と言うしかなく、素晴らしかった。

 

■大事だからこそ?

一方でバスコは39話ではサリーのピンチに動揺し、身を挺して庇う様子を見せていた。まだ利用価値があるから失いたくなかっただけかもしれない。

だけどこの時の記憶があるので、本当はサリーを大事に思いながらも大事だからこそ「宇宙最大の宝」の対価として捨てなければ、という呪縛に囚われていたのでは?などと想像させる余地があって、背景はわからないなりに一筋縄でいかない魅力にもなったと思う。

 

※48話の記事は来週更新予定です。