ゼンカイジャー5話感想: 5話レッド回は当たりが多い?
介人の両親がトジデントの研究室にいたらしいという話を聞いて、それまでの和やかな空気が一変したカラフル。ブルーンは「聞いたような」と伝聞形で話しているにもかかわらず、ヤツデさんが慌てて夫婦の写真を見せて見覚えないか確認しようとするのが辛い。
夜、眠れない介人が起きて居間に行くとヤツデさんも同じだった。これまでの作風が明るくわちゃわちゃな分だけ余計にしんみり具合がいいメリハリ。ああやっぱりこういうところも香村脚本だな、いいなと思う。ヤツデさんも普段は明るくチャキチャキだけど、子供がいくつになったって10年間行方不明なのは心配に決まってるもんなあ。それが侵略者組織にいるかもと聞いたら、介人以上にいてもたってもいられないかもしれない。
介人が急に何かに気付いてお茶吹いて寝室に戻ったと思ったら、ブルーンを叩き起こしてどうやってこちらに来たのか問い詰める。
あ、そうか。ここで思いきりスポット当ててくれるのか。「キカイトピアからこっちの世界にどうやって移動するのか興味あったんだけど、そこは思い切りスパッと省略しやがった(笑)」とか前回言っててごめん(汗)。
居候の野郎キカイノイド3人は介人の部屋で思い切り雑魚寝。カラフルの間取りなら部屋はいっぱいありそうに思えたけど、そうでもなかったのか。あの状態でもうちに来いと言える五色田家というか介人は想像以上に大らかだった。
トジデントでは、閉じ込めた世界が元に戻ったとボッコウスが知って激怒。怒りの<ドスン→ぴょーん>は幹部たちのゆったりした宙返りが加わって、回を追う毎にパワーアップしてる(笑)。こうなったら最終的に4回転ムーンサルトぐらい決めて欲しい。
ゲゲがなだめてそこまで厳しい罰は下らなかったけど、イジルデさんはちゃんとお叱り覚悟で自分の作戦の不備を報告し、改善を申し出たんだな。組織の幹部としては真っ当だと思う反面、前回ブルーンを口封じしようとしたもんで、これからもボッコウスに隠したままずるずる今の作戦続けて傷口広げて隠しきれなくなり、追い詰められて暴挙に出るのを見たかった気もしてちょっと残念(笑)。
翌日、介人たちはブルーンがこの世界に降り立った場所にやって来る。トジテンドからは並行世界と行き来出来るゲートを通ってここに着いたと聞き、ガオーンとジュランを踏み台にして上空にあるかもしれないゲートに跳ぼうとする介人は、まんまゴーカイジャーのゴーオンジャー回で次元の割れ目にトランポリンや棒高跳びで挑む走輔。脚本を担当した香村さんの中では介人の思考回路が走輔のそれと凄く近いものだという認識なのはよくわかった(笑)。
今回はバラシタラに率いられたスシワルドが、人々を公園の遊具と一緒に握ってくっつけてしまう。ガオーンたちが助けようとしても離れなくて「寿司というのはこんなに接着力が強いのですか?」とブルーンが激しく誤解しているけどいやいやいや(笑)。
というかそもそもスシトピアとはいったいどんな世界なのか(汗)。
でも両親のことが気になりすぎる介人は戦いそっちのけでスシワルドにしがみつき、トジデントまで案内させようとして振り落とされ、庇ったジュランともどもベンチと一緒に海苔で巻かれてワサビをかけられてしまう。介人の白とジュランの赤で<カラーリングがはちゃめちゃマグロ>(笑)な握りはやっぱり引き離せず、スシワルドを倒さないとどうしようもない。
何か閃いたガオーンが駆け出しマジーヌとブルーンが追いかけて行った後、介人の目に映ったのは、同じようにくっつけられて苦しんでいる人々や、その近くで心配する人々。
「やっちゃった・・・父ちゃん母ちゃんの事より、スシワルド倒してみんな助けなきゃいけなかったんだ。ああ~後悔全開・・・」
キノコの毒にやられた時もだけど、介人の失敗は失敗と認めて挽回しようとする姿勢は気持ち良い。これまでの香村レッドと違い考えるより先に突っ走るタイプで簡単に失敗するけど、すかさず反省を入れてくるのはやっぱり好感度に配慮された香村レッドだ。
そんでそれを「馬鹿野郎!」と一喝し、「父ちゃん母ちゃんよりなんて事あるか!自分のこと大事なのは、当然だろ!」と、ヒーローだって人として当然の感情や価値観は捨てなくていいと諭すジュランが素敵。
キラメイジャーも個人をヒーロー活動の犠牲にしないことを早々に打ち出したけど、ゼンカイジャーの場合は介人の環境がヒーローとして活動するようお膳立てされすぎている上に、心配されてる張本人の両親までそう望んでいるように受け取れなくもないので、ともすると介人がそっち方面に流されてもおかしくない(実際<友達>=<一緒に戦う>だったり)ところをジュランがストッパーになってる感じ。
一方、ガオーンは<寿司>ワルドならば本来は酢飯とネタを握りたいはずだからと、酢飯の匂いでスシワルドを誘き出す作戦を立てる。
キカイノイドは嫌いだけど愛する人間たち特に介人を救うためならば率先して他のキカイノイドたちのリーダーとなるガオーンに安心した。料理が得意=食への興味が強い設定にしたのも上手く機能してると思う。ゼンカイジャーの活動には必ず「人間を守る」が含まれるだろうから、ジュランがいない時はガオーンがリーダー格になって対人的には大人しめな青桃をひっぱる形になるのか、それともそれぞれの得意分野の時に変わりばんこにリーダーシップをとるようになるんだろうか。
でもその作戦の掛け声が「米を炊け!」「おー!」なのは狂ってるけど楽しい。
夜の公園で、両親のことを隠してたわけじゃないけど「なんかあんま言葉にしたくなかったっていうか」という介人にジュランは
「わかるぜ。俺も言ってねぇもん。家族いなくなっちまったって。こっちの世界来るより全然前だ。ま、キカイトピアの庶民には珍しくねぇのよ」と自分の事情も話す。
庶民キカイノイドの失踪は日常茶飯事って、かなりヤバそうな感じ。香村さんにはルパパトの化けの皮という前科があるしな(汗)。実は失踪にトジデントが関わっていて消えた庶民たちが残酷な扱いを受け、最悪もう生きていないとかだったら、それはキカイノイド庶民が同族の王朝トジデントを倒すべき悪と見なす大義名分として完璧だなとは思うけど。
ジュランが人生のパイセンとして介人を支えるポジションなのがしっかりアピールされて、しみじみした素敵な場面。介人とジュランの年齢差あればこそで、このあたりも恐らくはいろんな事情で人間体を1人だけにせざるを得なかったのを逆手に取り、基本的には若者たちだけで構成される従来の戦隊では出来ない配置に活かしてきたな。
それだけじゃなく、昼間から苦しんでる皆に声かけて励ますのも沁みる。絵面は狂ってるけどあの態勢で一晩過ごす辛さが肌感覚で伝わって来るんだけど、香村さんの脚本には時々そういう、五感を刺激されて画面の中の物語とリアルの垣根が解けて他人事じゃなくなる感じがあって好き。
翌日、寿司職人の格好した黄桃青はいつもの採石場で寿司桶に酢飯を広げ、匂い拡散のために扇ぐ。相変わらずいろいろ狂っているけど、その匂いにまんまとおびき寄せられたスシワルドも紛れもなくこの狂った世界の怪人だな(笑)。
採石場で扇ぐって酢飯が砂埃塗れになりそうだけど、ガオーンは愛する人間たちがこれ以上被害を受けないよう、スシワルドを人気のない場所に引き離したかった狙いもあるのかもと思うと健気だ。
3人がかりで優勢だったのも束の間、バラシタラが参戦。「席はあいてるか?」とか、脳筋かと思えば小洒落た台詞。氷に滑ったりボスのドスンに華麗な宙返りを披露したりと、これまでコミカル面が目立ってたけど、まともに戦うとしっかり強くて、たちまち大ピンチ。セッちゃんからそれを聞いて介人はくっついた状態からチェンジ全開。
こんな状態でというジュランに介人は「全部大事で当然」というジュランの昨日の台詞を引き合いにし「握られたみんなも助ける。ガオーンたちも助ける。父ちゃん母ちゃんも探す。無茶でもなんでも、大事なこと全部、この手で握ってやる!」と寿司に引っかけて、ニチアサヒーロー名物総取り宣言をここに持ってきた。
最近まで35作品記念作ゴーカイジャーの感想書いていたので、45作品記念作ゼンカイジャーの主人公である介人の「握る」がマーベラスの「大事なものを掴む、掴み取る」というスタンスを引き継いでいるような連想もしたりして、個人的に嬉しい。
でも変身の代わりにキュウレンジャーシシレッドの姿が一瞬浮かんだと思うと、介人の口から「よっしゃラッキー」と聞き覚えのある台詞(汗)。そんで、次の瞬間、近くの消防線が壊れて高圧水流にベンチごと吹っ飛ばされる。
間違えてキュウレンジャーのギアを使ってしまったためにキュウレンジャーの力である<ラッキー>が発動したらしく、転がってトラックの荷台→カーブで転げ落ち→大量の風船が絡まって浮上→ガオーンたちの上に流されてきたところに何故か飛んできたキツツキならぬクマゲラ?が風船を割り、落下してスシワルドを押し潰して着地(笑)。チートすぎるぞキュウレンジャーの力。
・・・前から薄々思ってたけど、香村さんは「こうなった要因」は都度用意するけど、その<要因>に本当にそこまで出来る物理的な力があるかどうか(ワゴンを持ち上げられない風船に人間+キカイノイド+ベンチを持ち上げられるかとか)は、わりと強引に押し切っていいと思ってるような(笑)。そんでキュウレンジャーの力がラッキーってのも、あくまで五色田夫妻の解釈ですから!という言い訳が立つのが狡い(笑)。
介人とジュランはベンチに括られた状態で変身&名乗り&戦闘をこなして、バラシタラをガオーンたちが担当する間に、2人でスシワルドを撃破。
今回は戦隊名物くっつきネタだったのかと今更。追加戦士に寿司屋がいた侍戦隊の両手くっつき戦闘も凄かったけど、背中合わせ+ベンチ状態での戦闘もかなり狂気の沙汰。そして12年を経てどちらも参加してる竹内さん(ジュラン&シンケン緑)はつくづく化け物。
くっつき状態は解放されたけど、今度はダイスシワルドが回転寿司レーンを展開し、巨大化しようとしたジュランたち4体まとめて寿司に握り回転レーンに乗せてしまう。「硬くてまずそう」な酷い絵面の中で、ピンクのマジンドラゴンになんだかエビが一尾丸ごと乗ってるような豪華さを感じてしまうのは私の目がきっと良くないせい(汗)。
「その活きの良いの4つくれ」と言ったら爆弾投げつけられてリュウソウジャーのギアでリュウソウ剣を使い「こんな店は営業停止だ」と暴力には暴力で対抗しレーンに斬りかかって破壊しジュランたちを救出。
改めて合体するキカイノイドたちだけど、ブルーンが向かい合ったマジーヌに「合体は慣れましたか?」と聞き、マジーヌが「や~慣れないっすねぇ」と返すのが、片や合流したばかりの元は組織人な敬語男子、片やそれよりは古株だけど引っ込み思案気味なオタク女子、な2人が改めてコンビ組んで当たり障りなく距離を詰めようとする時の会話として解釈一致過ぎる。
香村さんはこういう年齢こういう立場こういう状況で、いかにもそのキャラが言いそうな台詞の引き出しが多いな~と改めて。
ちなみにキカイノイドの合流は、ガオーンがジュランの翌日で、マジーヌもガオーンが介人たちのために初めて朝食を振る舞った日だからそんなに離れていないはず。ブルーンだけは他3人がすっかりカラフルの常連さんと馴染んだ後でちょっと間が空いてる感じかな?
「大将、もう看板かい?」今回は敵も味方も台詞が寿司ネタ満載で、レーンが破壊された寿司店主への挑発も粋。寿司回だけにここまでネタも満載で、そのせいか戦闘自体はジュラガオーンとブルマジーンの2体がかりでわりとあっさり撃破。
見届けたバラシタラは「楽しかったのである」となんだかご満悦?それとも負け惜しみ?戻ろうとする背中にまたも介人が抱きついてむりやりトジデントに同行しようとするけれど、何らかの理由で1人だけ弾かれてしまう。機械の体でないとダメなのか、それとも他の要因でジュランたちもダメなのか。
夜はガオーンが改めて寿司職人として手巻き寿司を振る舞い、えーとこれ、あの採石場に持ってった砂まみれの奴じゃないよな?とはちょっと気になったけど、皆で美味しく頂きながら、介人とヤツデさんは諦めずに方法を探すと気持ちを新たに。
ガオーンはせっかくの手料理の反応が薄いと遠慮なく催促するのが可愛い。
一方、ギアを改良している?イジルデは何か試してみたいことがあるらしく不気味に笑う。「誰で試そうか」の「誰」がどのグループに属しているのか、トジデントの身内か、ゼンカイジャーの誰かか、それとも閉じ込めた戦隊たちの誰かか、なのか、思わせぶりなのが不穏。
主人公×レッドのダブルメイン回として良かった。香村戦隊の5話レッド回は、ジュウオウジャー(ジュウオウゴリラ回)、ルパパト(ダブルレッド対決)、そんでゼンカイジャー が今回と、外れ無しで好き。というか4話→5話の流れ自体も好きで、いつもここで決定的にハマってるな。
元々は宇都宮戦隊が一部例外はあれど4話までに一通りキャラ紹介済ませて5話でがっつりレッド回っていうフォーマットだった。シンケンジャーの兜折神回やゴーカイジャーのデカレンジャー回とかも好き。その宇都宮Pに重用された香村さんがメインのゼンカイジャーも、メンバーが4話までに1人ずつ加入して完成する展開もあってそれにぴったり沿っているようにも見える。
予告の謎の青年が追加戦士じゃなくザミーゴやバスコみたいな顔出し敵幹部または第三勢力なら余計にそう感じるだろうけど、こちらはどうなるか楽しみ。