キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

海賊戦隊ゴーカイジャー: 21話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■竹本監督

劇場版199ヒーローを終えた竹本監督が参戦。戦隊知識の蓄積やギミック、ロボの見せ方が図抜けてる方という印象で、劇場版も199人の戦士だけじゃなく全戦隊のロボも出演させることを重要視した宇都宮Pから「竹本にしか出来ない」と任されたとのこと。

なおゴーカイジャーは本編パイロット→中澤監督、劇場版→竹本監督でスタートし、本編最終回→竹本監督、劇場版→中澤監督と役割を入れ替えて終えてる。宇都宮Pは「ゴーカイジャーという作品に火を付けてくれたのは199だと思っている」と仰ってるし、ある意味ゴーカイジャーのもう一人のメイン監督かもしれない。

 

■イライラマベ

マベがいつになく焦っていて、ナビィに占いを無理強いしていておっかない。前回でバスコの持つラッパにレジェンドから大いなる力を奪う機能があると知って、先を越されてしまうのではと焦っている。占いの無い日が続くうちに不安が膨れあがったのかもな。

仲間たちも気持ちはわかるけど、ナビィが可哀想で見ていられずルカが嗜め、アイムがふんわりお茶を勧める。

 

■チーフ登場

ボウケンジャーからボウケンレッド明石暁、通称チーフが劇場版に続いて登場。まあこの人基本的に態度デカい(笑)。他人様の船に断りなく侵入しといてアイムに「スマンが俺にも一つくれないか?」とお茶を所望し「俺にしてみれば、この船に侵入するなど朝飯前だ」と豪語。

うん、書いてるのは本編未参加の下山さんだけど、確かにこんな人だったと思う(笑)。

レンジャーキーを取り戻しに来たのかと聞かれると、例によって鎧からねだられたサインをサラサラこなしながら「それはおまえ達が宇宙を冒険して集めたものだろう?他の戦隊は知らないが、俺たちボウケンジャーは手を出さない」

各戦隊が各々の正義やキャラクターで海賊に対し好意的だったり懐疑的だったりする中で、いかにもボウケンジャーらしい独特なスタンスに笑ってしまった。まあ「貴方達さんざん(早いモンがちじゃなくて)強いもん勝ちって強奪とか普通にやってましたよね?」とは思ったけれど(笑)。

 

ゴーカイジャーの先輩

ボウケンジャースーパー戦隊史上初めて?の正義を標榜しない宝探し戦隊。だからゴーカイジャーと共通点も多くて親和性が高い。

「ある意味、ボウケンジャー戦隊シリーズとして成立したからこそ、その枠を広げてくれたからこそ、ゴーカイジャーも制作出来たのかもしれません」

って東映公式は言ってる。

ゴーカイ「たった1つ自分だけの宝物誰も探してる」

ボウケンジャー「君も出会うだろう、ただ1つだけの宝が誰にも眠っているんだ」

とOPの歌詞もシンクロしてるし。

私はDVDでの一気見だけど、個人的にはかなり好きな戦隊で、ボウケンシルバー高丘映士の登場から加入までを描いた17~20話と、メインライターもサブライターもベクトルが好き放題突き抜けてる23~28話は大好き。

特に後者の振り幅の大きさは、個人的には後の宇都宮戦隊のエピソード毎の温度差を彷彿とさせる所があって、サブPとして影響受けた部分もあったのでは?と思ってる。

 

■チーフ登場の意味

劇場版に出演して大いなる力を渡したレジェンド本人が、本編にも改めて登場したのは嬉しかった。チーフ登場までは、

・劇場版で大いなる力を渡した戦隊はお役御免で本編には出て来ないのでは(話が作れないのでは)?

・劇場版に登場したレジェンドは本編にはもう出て来ないのでは(デカレン、シンケンと、本編でレジェンドが登場済みの戦隊は本編とは違うメンバーが出演しているし)?

っていう予想も当時あったけど両方とも覆されたわけだから。

まあ劇場版で大いなる力を渡した戦隊の中に比較的最近でおもちゃの売上が良かったゴーオンジャーがあったから、その大いなる力を製品化しないのも考えにくくはあったけれど。

 

■一枚上手

チーフは死者を蘇らせる力を持つプレシャス「黄泉の心臓」の回収を手伝えと要請。悪いがそんな暇はないとにべもなく断るマベに

「そうか。海賊だというからこの程度の事は朝飯前と思ったが・・・自信が無いなら仕方がない」

「なに?」

「違うのか(涼しい顔でチラリ)?」

チーフ、生意気な年下の若者を煽って転がすのが得意なのは相変わらずでニマニマしてしまった(笑)。ふてぶてしい印象のマベもチーフにかかるとまだそんな「若者」なんだな。バスコにマベちゃん扱いされる前だったらもっとインパクトあったかもしれない。

そんで渡りに船と思ってか、気色ばんだマベとの間に笑顔で割って入り、参加を促すルカが素敵。

 

■忍者違い

インサーンも黄泉の心臓を狙って海賊たちと鉢合わせし、チーフ、マベ、ルカが先を急ぎ、青緑桃銀が足止め役。

「忍者で行きましょう」で鎧はシュリケンジャー、他3人はカクレンジャーとお約束の忍者違い(笑)。鎧にしてみれば、忍者の戦隊は当時2つだけど自分と同じ追加戦士がいるのはハリケンジャーだから、当然そっちが選ばれるはずという先入観があったけど、ジョーは「忍者だろ?」とお構いなし。海賊と鎧を隔てる壁はまだまだ厚いな。

 

■ルカ姐さん

とっとと終わらせたくて先を急ごうとしたマベはチーフにトラップから助けられ、注意を促すチーフもその側からルカに助けられる。この、ビシッと決めたつもりで時々抜けてるのがなんともチーフ(笑)。ルカの目の速さが活かされたのがちょっと嬉しい。その後はチーフの差し出した手を軽くはね除けて自力で崖を這い上がると「私こんなの余裕だから女だからってお構いなく」とスキップ。小気味よくて格好良い。

ルカは今回、「秘宝だなんてなんかそそらない?」とか自分のキャラと結びつけて自然に振る舞いつつ、終始マベをフォローし明るいムード作りに貢献していて凄く魅力的。酸いも甘いも噛み分けた感じの頼りになる姐さんぶりに惚れ惚れ。

 

リュウオーン

チーフ相手に誰かネガティブ幹部を蘇らせるならやっぱりリュウオーンなんだろうな。

レジェンドが戦った敵が出てくるのはゲキレンジャー回以来だけど向こうはVSボウケンジャーのゲスト怪人で、本編の幹部が出てくるのは初めて。プレシャス回収のミッションもあって、カーレンジャーとは違った意味でなんだか、ボウケンジャーの世界にゴーカイジャーがやって来たような錯覚を覚える。

 

■シルバーだったら

ここまでは全戦隊レッドが出てはいたし、チーフの出演が妥当だったと思う。けど、お気に入りなこともあって、もしボウケンシルバー高丘映士だったら、蘇える敵はクエスターガイだったのかな?なんてちょっと思った。ただその場合後輩シルバーの名前も「ガイ」なんでややこしいかったかもな?と思いつつ、そのややこしさに悪態つく映士もちょっと見て見たかった気もする(汗)。

 

冒険者の心

チーフと一緒にトラップや仕掛けを攻略し、「ちょっとした冒険だな」とかチーフ語録をインプットされていくうちに、アカレッドとの冒険を思い出し、だんだん気持ちが乗ってきたマベ。

だけど、黄泉の心臓は一足先にリュウオーンの体に取り込まれた上に洞窟内に閉じ込められて

「しかしプレシャスは奪われた上に、ここに足止めじゃ、おまえの言う冒険ってのも意味ねぇな」

と愚痴ってみる。

だがしかし、チーフの本領発揮はここからだった!

「おまえ達は今まで数々の冒険をしてきたんだろう?その冒険は宝以外に大事な何かをもたらしてきた筈だ。おまえ達自身にな」

冒険者は目の前に困難が立ちはだかった時こそ心が奮い立つ。冒険をする喜びこそかけがえのない宝なんだ。おまえもそうじゃないのか?」

終盤のマベの言葉を思い出すとまさに正解で、マベは宇宙最大の宝を探す行為、過程にこそ価値を見出していた。だからチーフの言葉には共感するしかないし、そしたらバスコのラッパに焦ってぶれてた自分を取り戻すしかないんだよね。

あ、ただしマベとチーフの宝探しに違いがあるとすれば、マベは「仲間と一緒に」がほぼ絶対条件で、チーフの場合は時に仲間を置いてきぼりにして1人で突っ走りしかもそれを堂々と正当化して仲間から腹パン喰らうところかな(汗)。

 

■海賊の流儀

すっかりいつもの調子を取り戻したマベ。リュウオーンに取り込まれた黄泉の心臓は「もはや破壊するしかない」と言うチーフに「海賊の流儀を見せてやる」と豪語。

洞窟を脱出してリュウオーンに追いつき「吾に勝つことが如何に困難であるか教えてやる必要があるようだな」と言われると

「目の前に困難が立ちはだかった時こそ、心は奮い立つらしいぜ!」と返すマベは、もはやすっかりチーフに毒されている(笑)。でもこのスタンスも、元々海賊たちとは親和性が高いんだよな。

「アタック!」とまたも懐かしいフレーズが飛び出して、ゴーカイスクランブルも効かない強敵リュウオーンにはこれだとボウケンジャースタートアップ。

正直あのOPはそんなに燃えるタイプでもないんだけど、イントロ聞くと懐かしくてこみ上げるものがある。本編を1年かけて見てたわけでもないくせに何故だろな?

個人の武器で連続攻撃→赤がマジックハンドで動きを封じる→5人がミキサーで足を固定。

流れるようなギミック使いはさすが竹本監督。

「わりぃな。俺たちはただの冒険者じゃない。海賊だ。欲しいものはこの手で必ず掴み取る!」

出た!マベの「掴み取る!」。

バスコに調子狂わされいつもの自分を見失っていたマベが、冒険者チーフにリハビリして貰って冒険そのものを楽しむ心を取り戻すだけでなく、そこからステップジャンプして「海賊の流儀」を誇示するのはカタルシス満載で、テンション上がった。

そんで文字通りリュウオーンの体から黄泉の心臓を掴み取り引きずり出して、チーフに投げる。チーフの「グッジョブだ!」いただきました(感慨)。

 

■実は弟属性

黄泉の心臓を抜き取られて1度は死者に戻ったかに見えたリュウオーンは、体内に残る再生エネルギーの暴走で巨大化してしまった。

苦戦するゴーカイオーの操舵室でマベは、打開の切り札に劇場版で貰ってはいたものの使ったことのなかったボウケンジャーの大いなる力を選ぶ。

「いけるかな?」とハカセの心配に、「ちょっとした冒険ってやつだ」とまたもチーフ語録を口にして、影響されすぎだろマベ(笑)。

まあ全部見終わった後では、どうもマベ、根は弟属性というか兄貴分的存在にぐいぐい来られるのに弱いんだな、とも思う。バスコにも兄貴的存在として慕っていたのを裏切られて傷付いたんだろうし。

 

アカレッドの依頼?

巨大リュウオーンをダイボウケンで倒し、すっかり元通りになったマベが冒頭のナビィへの横暴を謝れと責められてる頃、ゴーカイガレオンを見送るチーフは「これでいいんだろ? アカレッド」と呟く。チーフはボウケンジャーVSスーパー戦隊アカレッドと面識があった。

この台詞も、アカレッドの正体を知ってるか否かで受け止め方に差があるのかもしれない。私は初めて聞いた時テンション上がった。アカレッドはやっぱり生存していて今もマベを見守っており、最近の状況を憂慮してチーフに対処を依頼したのか!と思ったから。。

なおメインライターの荒川さんは当時、何かのインタビューで、この台詞を聞いて驚き焦ったと語っていた記憶。後々、自分が拾わないといけなくなるのか?大丈夫なの?みたいな感じで。それも、アカレッドが死んだと認識していないから本編に再登場させる可能性を考えてのことでは?と思ったりする。

一方、未見の人の場合は<今は亡き>アカレッドが<生前>に自分のやろうとしていたことを託した若者だから気に掛けていた、と見えるのかもしれないなと。

 

■レジェンドの扱いの変化

レジェンドの扱いは、カーレンジャーを境にかなりレジェンド要素が強めになっていった印象。

もともと俳優さんたちも当初から本作に注目していたのが散見されていたけれど、震災で「自分もこの状況で何か出来ることは」と火がついたのは大きかったんだろうな。ギンガマンの赤黒兄弟の共演の経緯とか。

また宇都宮Pの「火をつけてくれたのは199」という言葉を見るとタイミング的にその撮影も大きく影響したのではと思う。

そんでその状況にガソリンをぶっかけたのがカーレンジャー回で、あれで「ここまでやっていいのなら」とタガが外れた感はあるかな(笑)。マジレンジャーなんかも順番が遅ければもっと出番は多かったかもしれないな、と思ったりする。

 

 

キラメイジャー32話感想: 光の国から田口監督降臨、小夜の恋バナわちゃわちゃ大ピンチ

いきなり夜ドラみたいなしっとり&キラキラしたお洒落なレストランのシーンから始まって、小夜姉がデート中だと為朝がテンション高くまくしたててる。

お相手はアメリカの医大で一緒だった、ちょっと年上の雑誌でインタビュー記事も組まれるような遺伝子分野の若きスペシャリスト、日下。

小夜も満更でもないみたい。で、相談をしたのが年上の宝路でも時雨でもなく為朝ってのが、なんだか小夜のシビアな男子メンバー観を表しているようで、頑張れ青銀(汗)。

大盛り上がりの年下組、複雑な表情でなんなら否定したい年上組、下手すると自分の呪いの時より真剣度が上なマブシーナと、それぞれの反応が楽しいけど小芝居を目で追い切れない(笑)。

そこにヨドン反応。地球のことも自分のことも両方大事がモットーのキラメイジャーは「人生で一番大事な夜かもしれない」と小夜には知らせずに出動。

博多南さんの「ちゃんとやって・・・」と何かがぶつかって割れる音がじわじわくる(笑)。

 

今回の敵はナゾカケ邪面。相手の胸に?マークを付けて謎をかけ、答えられない人々をベチャットが痛めつけて闇を集める。

キラメイジャーも

「個室オンリーの公衆トイレとかけて、物足りない鰹のタタキととく。その心は?」

が答えられず、正解を出すまで消えない胸のマークのせいで攻撃がナゾカケ邪面に当たらない。

 

小夜の方は日下が肝心の要件を言い出せず、デザートまで引っ張った挙げ句にプロジェクトのトラブル発生で急遽お開き。小夜は「何この焦らし?」と唖然としながらも「ちょっとエモいかも」と気持ちが動いてる。女心かな。

デート仕様の小夜さん、髪にウエーブかけて目がうるうるしてしっとりしていつにも増して綺麗で色っぽい。期待を込めたその目で見つめられたら、確かに後に判明する内容のことは言い出せないかもなあ。それ以前にお洒落なレストランで食事しながらする話じゃなさすぎる気もするけど。

 

翌朝、基地で皆がホワイトボード使って謎の答えに苦戦中のところに小夜が出勤。

途端に謎放り出して激しく情報共有を迫る年下組&マブシーナ(笑)と、それよりは平静を装いつつだけど食いつき度は負けてない青銀(笑)。そんで200%応援モードの年下組も否定&ショックモードの宝路も皆全身で感情表現して動きが煩い中で、時雨だけちんまり動かずでも気になって仕方ないのダダ漏れ

時雨は当初から小夜と年上コンビだったし、これまでのやりとりから年下組より若干濃いめの気持ちがありそうなのはこれまでのやりとりで納得。でも格好つけでやせ我慢が美学だし「好きなんだな・・・」と肩ポンした時は「俺は俺の美学で現実を静かに受け入れるからもう引導渡してくれ」って心の声が聞こえた気がした(笑)。

宝路の方は、小夜との初対面でワンダキュートと思いママリナフニフニさせる一方で、幸也の隣で眠り込む小夜を「イマイチ締まらない奴だな」と評した時はなんだか保護者目線を感じたりもするんで、今回の反応は気になってる女性に恋人が出来そうなショックにも、実年齢的に娘に彼氏ができそうで動揺している父親気分にも見えるかも。

 

そこに日下から連絡で「すぐ会いたい」と呼び出し。アドバイスするから連絡よこせとチェンジャーを力強く叩きまくる年下組。抱き合って失意を分かち合いヨロヨロする年上組。そして興奮のあまり倒れるマブシーナ(笑)。

今回の演出はウルトラマンから田口監督を招聘して、東映公式によると「田口監督が戦隊でやりたかったこと」が詰まっているらしいけど、今回見渡した感じ、これが一番やりたかったんじゃないかと思う(笑)。

そう言えば今のウルトラマンは大勢の仲間とわちゃわちゃっていう要素はあまりなかったかもな。まあ勿論、やりたかったのはそれだけじゃないだろうけど。

 

「もしその気になって結婚しても、キラメイジャーやってちゃ結婚生活楽しめなくない?」という瀬奈の先走りから「キラメイジャー辞めちゃうってこと?」という充瑠の心配に小夜は、ホワイトボードに書かれた例の謎を見ながら「そうなったらまあ、これだよね?」と、皆がさんざん考えても出なかった答えをあっさり解いたみたい。そう言えばオラディンが謎めかして手帳に書き残した謎も、小夜はどんどん解いて宝路に頼りにされていたっけ。

 

為朝→敵味方のシビアな戦力分析や戦況判断からの作戦立案

時雨→一見戦いや問題には関係なさそうな事柄への洞察力から現状打開

小夜→パズルやクイズ、暗号みたいな物をとんちも効かせて解読

 

キラメイジャーの頭脳担当がわりと細かく差別化されてるの好き。

敵への打開策なんだからそこは引き止めてちゃんと答えを聞けよ、とは思っちゃったけど、事情を話せば小夜は日下の元に心おきなく行けなくなるかもと配慮して、敢えて何も言わなかったのかな?あくまで小夜の恋路は邪魔せず、それは失意(恋?)の青銀ですら同じなのがキラメイジャーらしいと言えばらしいかも。

まあ為朝がそれをヒントにすぐに思い当たったから良かったけど。

 

ヨドン軍は、2話ぶりに戻ってきたガルザの史上最大の作戦に、仲の悪いクランチュラさんとヨドンナもなにやら一致協力モード。

ガルザは孤島?のハコブーを訪れ、「お久しぶりです、ハコブー先生」と一瞬敬って見せる。そうか、オラディンとガルザはきっと子供の頃は机を並べてハコブーの教えを受けたりしたこともあったんだろな。でもハコブーが罵倒しかけた次の瞬間、ヨドミの谷?で鍛錬を重ねて会得したハコブーを意のままに操る技を放つ。

オラディンの「奇跡」にあくまで地道な鍛錬の積み重ねで打ち勝とうと挑む、現実主義者の意地かもしれないと思うと、若干同情したくなる(涙)。またこれまでさんざんエキスプレスにジョーキーを乗っ取られてきたけど、やっとここで一矢報いた感じかな。

 

ハコブーは作劇的にはこのために普段はココナッツベースではなくここに一人でいることにしていたのかな?けど、「だから皆と一緒にいれば良かったのに」ってついつい思っちゃうから、何かここにいる強めの理由は欲しかったかも。ちょっと割を食った感じがしてもどかしいけど、次回挽回があるだろうか。

 

見せたい物があると呼び出された研究所の地下室には、なにやら凄い設備が揃っていて驚く小夜。予想の斜め上の展開を為朝に報告しようとするもチェンジャーの通信機能が不通。もうこの時点で嫌な予感しかしない。

夕べのトラブルはこの設備が熱暴走でシステムがシャットダウン、やっと再起動したとのこと。

見せられたのは何かの植物の成長を促進する遺伝子操作プログラム。解決できない問題を相談された小夜は、エモい告白とはかけ離れているものの、興味を惹かれ、難しめの専門用語をすらすら並べながらパソコン操作を始める。ああこの人たち、やっぱり頭が良くて勉強出来て優秀な人たちなんだよな、と改めて。

 

謎かけで快調に闇を貯めていたナゾカケ邪面の元に小夜以外のキラメイジャーが駆け付け、為朝が

「どちらも、しょうがない」(個室だけのトイレ→便器の「小」がない&物足りない鰹のタタキ→生姜が添えてない)

と正解を突きつけ、マーク解除。その後はベチャットと激しく戦いながら、小夜の「しょうがない」の意味とは?と詮索しているのが楽しい。時雨がまたキョドって「俺は、一緒に頑張りたいけど」って言ってるのが可愛い。

 

小夜はスタンフォード大学の学生が発見した実証前の論文を読んだ記憶から正解を導き出し、エンターキーを軽いタッチで押すと、育てていた生物の種が巨大に成長して培養設備を突き破り飛び出してくる。

驚いた小夜に日下が「これで地球は終わりだ」と不穏過ぎる言葉を伝えると、そこにヨドンナ登場。

植物の正体はヨドンアイビーの種。地球環境で爆発的に成長するよう、日下は遺伝子組み換えに加担していた。種が発芽すれば一気に成長して街全体に広がり、ヨドミウムをまき散らしてたちまち腐敗した大地に変え、地球はヨドンへイムと同環境になってしまう。

 

てっきりプロポーズされるかと思った相手が地球滅亡の片棒担がされていて、知らずに自分も加担してしまった小夜。ショックはわかるし責めるのもわかる。ヒーローの小夜が日下の立場なら絶対引き受けてないだろうし。

でも、断ったら日下はその時点で口封じに抹殺されてたはず。

「どうして、どうしてこいつの言うことを聞いたの?」を「なぜ断ってその場で殺されなかったの?」と変換してしまうと、それも酷だよなあと思ってしまう。

日下は「調べれば調べれるほど人間には叶わない」からと頭の良い人間故の弱さって見せ方をしているけれど。

また彼は「協力すれば特権階級として生き残れる」というヨドンナの約束を信じて、小夜も救うために巻き込んだ。自分が断って殺されたら小夜も守れない。つまり彼も彼なりに小夜を大事に思っていたのは本当なんだね。

私は・・・日下を責められないかな。

 

この間違った科学と地球外生命体の組み合わせって、どちらかというと戦隊よりウルトラマンチックな展開っぽい。だから荒川さんが元々はウルトラマンが書きたくてこの業界に入ったことを思い出して、田口監督でもあるしニヤニヤしてしまった(笑)。この回が、荒川さんがウルトラマンを書くきっかけになったりしないかな?とか。

 

ヨドンナが約束を信じた日下を嘲笑い始末しようとするのを小夜が変身して食い止め、反撃。ヨドンナがダメージ受けて倒れると、突然自分で変身解除。

「もしあなたと気が合って結婚したとしたら、外科医とキラメイジャーで大変で平穏な結婚生活にはならないと思った。でも、好きで選んだならしょうがない。楽しくなるように頑張ろうって思ってたよ」

何かのために別の何かを犠牲にするんじゃなくて全部頑張ろうって思う小夜さんはやっぱりとってもキラメイジャー。

それを可能にするにはとてつもないパワーや、協力してくれる人が必要なのが現実。小夜はたぶんそれが可能な人種なんだろうな、とはちょっと思ったけど。

小夜さんは天才外科医設定なんだけど、コロナ禍のためもあって中々本業そのもので活躍するエピソードを作れないせいか、若干メイン回の割り振りで割を食ってた感じがしてた。

でも今回は、直接医療とは関わらないのは同じだけど、この重大な前後編のメインを貰い、荒川さんが女心にも深く迫って、かつキラメイメンバーとしても本領発揮したドラマを見せてきたって感じがする。

 

その後、チェンジャーを外して日下に託し、外に出て仲間に連絡してくれと頼み、自分は生身でベチャットにの足止めに立ち向かう。

ヨドンナが倒れている隙に変身したままの小夜が日下を庇いながらとっとと2人で屋外に逃げられたんじゃ?と思わないでもないけど、キラメイジャーの本質にも絡んだ小夜さんの見せ場だったわけだし、難しいな。小夜が食い止めている間に日下も心を奮い立たせてベチャットを振り切るという挽回描写しているわけだし。荒川さんて、失点→挽回の描写が、サブキャラやゲストに至るまできめ細かいな。

 

「キラメイジャーとかけまして、冬から初春にかけておいしい寿司ネタととく。その心は?」→「どちらも赤がいい(赤が良い&赤貝)」

自分で言うんだ充瑠(笑)。仲間たちの前でこれを言っても許されるという信頼感と自信。1話の自己肯定力の低い充瑠なら絶対に出て来なかった謎かけで、ホント変わったんだな~としみじみ。

そんで最後の謎かけ(土管とどかん)も仲間たちで「行ける行ける」とか、もはやクイズ番組の一般参加者のノリで撃破。小夜パートの方との温度差が凄い(笑)。

 

でも日下から連絡が入り一転、真相を知って応援してた分裏切られたと怒りをぶつける為朝、ショックとかより小夜の気持ちを思って沈痛の年上組。そこに大きなヨドン反応が同時に3箇所で発生と博多南さんから連絡が入る。

クランチュラさんは3体の邪面獣を作り出し、ナゾカケ邪面が集めた大量の闇エナジーで1度に送り込んだ。

ガルザはキラメイジャーの切り札的存在を潰すためハコブーに乗り込みアタマルドのオラディンを襲撃。

そこにヨドンナがヨドンアイビー発芽間近とキラメイジャーにバレたことを連絡する背後で、力尽きて気を失った小夜が囚われている。

あっちもこっちも大ピンチ!で続く。

 

ところで直前の29-31話と3話も邪面師不在回が続いていたんだけど、そんなに涙ぐましく邪面製作費用節約したのは次回のクリスマス販促クライマックス回で一気に邪面獣3体出すためだったの?

てっきり妄想キラメイゴールドスーツ作る為かと思って狂ってるとか言ってごめん(汗)。

 

海賊戦隊ゴーカイジャー: 20話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■解説係誕生

鎧を迎えてから初めてのレジェンド回。

これまで海賊たちにはちんぷんかんぷんだったナビィの占いも今回は鎧が、「閉ざされた森の戦士」というキーワードをもとにあっさりギンガマンだと特定してしまう。ついでにギンガの森とかその戦隊の世界観もざっくりすらすら説明。34戦隊全部そんな風に暗記していているんだろな。さすが戦隊オタク。

つまり鎧の登場で、海賊達に解説する形で未視聴の視聴者にもその戦隊の最低限の説明が出来るというメリットが生まれたわけで、各方面に便利なキャラだな。でもやっぱり居場所は知らない。

鎧はギンガマン本編の登場人物が作者の絵本まで持ってたけど、あの世界の学校だと割とマジにスーパー戦隊が歴史教科書に載っていて、こういうものが副教材になっていてもおかしくなさそうな気もする。

 

■利害の一致

鎧は宇宙最大のお宝という海賊たちの目的を知らずに加入した。鎧の目的である地球を守ることとは(現時点では)関係ない要素。

だけど、それに必要な大いなる力を集めることは、鎧にとっては憧れのレジェンドたち本人に会える大チャンス、と両者の利害が一致。鎧がこちらにもノリノリで積極的に関わる理由をすかさず示してるのが相変わらず手堅いよ。

 

■緩急

ギンガマンは「宇宙海賊」と戦っていた。同じ宇宙海賊だからといきなり敵視されないよう、ハカセが手土産に持参したドーナツに手を出して逃げたマベと追いかけるハカセ

進行方向に真っ直ぐ走って行った筈なのになぜか元の地点に戻ってきてしまうという形でギンガの森の結界が暗示され、それまでのピクニック気分が一気に警戒モードに切り替わる緩急の付け方がさすがだな。

すると突然、空間(結界)が破られて中から黒騎士ヒュウガが転がり出ると、続いてバスコとサリーも大いなる力を狙って追ってきた。

バスコを知らないこともあり、レジェンドとの遭遇に大興奮の鎧はこの状況でヒュウガにサインをねだる(笑)。

 

■番外戦士

マベがバスコとサリーを担当、青黄緑桃が挑んだのはバスコがレンジャーキーから実体化したデカマスターウルザードファイヤーマジマザー

もう笑っちゃうしかない強力メンバー。特にデカマスターウルザードは以前戦った追加戦士たちより格上感満載。もう初対戦で勝てる相手じゃないって説得力に溢れてて、まとめて川にたたき込まれるのも納得しかない(汗)。

 

■ファンだから迷う

負傷したヒュウガを連れて逃げた鎧。憧れのレジェンドを前にして舞い上がり、自分がずっとスーパー戦隊に憧れてきたこと、今は装備を得てゴーカイシルバーやってることを熱っぽくまくしたて、でも、過去に地球を守りきった大先輩、ヒュウガに比べればまだまだだと謙遜し、もっとレジェンドたちの活躍を見たかったと言う。

するとヒュウガが真顔になって、なら自分がゴーカイシルバーになるから装備をよこせ、と迫る。「俺は黒騎士でありたいわけじゃない。この星を護りたいんだ」と。

それは、今は戦う力を失ったけど心は折れていないヒーローとして物凄く真っ当な姿勢。

マベたちなら「ふざけんな」で終わるけど、スーパー戦隊の熱烈なファンである鎧にとっては、憧れの大先輩からそんな「ヒーローとして正しい要求」をされて思いがけず痛いところを突かれた形。

 

そう来たか~!と思った。これ、私が鎧の立場でも迷うよ。

装備を渡してしまえば、スーパー戦隊の戦士になるというせっかく掴んだ夢を手放すことになっちゃう。

でも、鎧はある意味たまたま戦う力を託されたけど、実績はまだまだひよっこ。「地球を守るためには」と地球ファーストで考えれば、実績があるけど今は変身出来ない大先輩に装備を譲る方が確実で賢明な判断かもしれない、って考えちゃうの凄く共感出来る。

てか、私なら下手するともうこの時点で物わかり良いふりしてとっとと渡してるかも(汗)。

「ファンとしてずっと活躍を見ていたい」って気持ちもよくわかるしね。鎧はヒュウガのゴーカイシルバー変身シーンまで妄想しちゃったけど乙です(笑)。

鎧も迷った末に、渡そうと進み出かける。

 

■大いなる力強奪

そこに乱入してきたバスコ。ある意味鎧にとってナイスタイミングだったかな。

自分たちが認めた相手にしか大いなる力は渡さないと拒むヒュウガにバスコは「認めるとか認めないとか関係ないんだよね~。無理やり奪っちゃうから」とラッパを吹く。

レンジャーキーを実体化する時とは違う不協和音ぽい音色と共に、ヒュウガの体から引き剥がされる大いなる力。

これまで大いなる力は海賊たちがレジェンドに認められて平和的に渡されてきたから、いくらバスコが襲って追い詰めてもレジェンドが渡す訳ないじゃん!と思ってたから、「そんな手が!」と当時はマジでびっくりしてた。

 

このラッパの能力、アカレッドが用意したとしか思えない。だとすると彼はもし大いなる力を渡すのを拒む戦隊がいたら、キーから実体化させた戦士に襲わせつつ弱ったところを強引に吸い取ろうと考えていたことになるんだよな(汗)。

まあ、バスコに渡るのが想定外だったかはわからないけど。

あと、バスコはダマラスからスーパー戦隊や大いなる力のことを聞いた時に「知らなかった」ではなく「やっと繋がったよ」って言った。それってあの時点で断片的に、大いなる力というものがあって、それをこのラッパで吸い出せることが分かっていたんだなと思う。アカレッドからバスコに説明があったとも考えにくいから、ラッパに取り扱い説明書でも添えて一緒にしまっていたんだろうかアカレッド・・・(汗)。

 

■賢いとか賢くないとか

あわやってところに、サリーをノールック射撃で振り切ったマベが乱入して妨害、大いなる力はヒュウガの体に戻る。

バスコがヒュウガ本人の目の前で黒騎士のキーを実体化してマベにぶつけるのがエグいよなあ。

デカマスターたちも参戦して劣勢のマベは変身解除。

鎧も加勢しようと、さっきバスコに跳ね飛ばされたセルラーに駆け寄ろうとするけど、ヒュウガに譲るべきか葛藤して立ち止まってしまい、それを見たヒュウガが自分で取りに行こうとする。

 

でもそこで、バスコの「ここらで諦めた方が、賢いと思うけど?」へのマベの返しがもう・・・ね。

「どうしたら賢いなんて考えてたら海賊なんかにならねぇよ。宇宙最大のお宝は俺の夢だ。夢を掴む事を誰が諦めるか!」

惚れ惚れ。香村さんは、こういう時のこういう行動原理を絡めた啖呵が、本当に上手いよ。

そんでその言葉と諦めないマベの姿は鎧に突き刺さる。

(俺の……夢は……俺が掴みたい、夢は……!)

鎧は、セルラーに手を伸ばしかけた<憧れの大先輩>ヒュウガを押し退けて、セルラーを掴み取る。

鎧の中で、はっきりと

 

自分がヒーローをやること>>>ヒーローのファンでいること

 

になった瞬間だった。

ヒュウガに無礼を謝りながらも、地球を守るためならヒュウガの方がいいのかもと認めながらも、ゴーカイシルバーは自分の夢だから相手がヒュウガでも譲れない、ヒュウガの分まで自分が地球を守る、と必死に訴える鎧には、何度見ても涙が出る。

それに対する

「その言葉が聞きたかった。自分がやるといえない奴に、この星は任せられないからな」

ってヒュウガのエールも素晴らしい。

 

■もう一人のレジェンド

川に落ちたジョーたち4人を助けたのは、ヒュウガの弟でギンガレッドのリョウマ。

海賊たちは彼が何者か知らないまま礼を言い、休む間もなくマベの元に駆け付ける。

水中で意識を失いかけながらもドーナツの箱を決して手放さなかったハカセの執念は凄いけど、そのたぶんびしょ濡れのドーナツを貰ってもリョウマも困っただろうなあとはちょっと思った(笑)。まあリョウマは未見の私が見てもかなりの好青年だとわかるから、きっと好意的に受け止めた、はず。

 

敢えて私が書かなくてもいいくらい有名なエピソードなんだけど、演じる前原さんはこの当時既に俳優を引退して東京を離れていた。でも311後に、ヒュウガ役の小川さん同様、被災した人たちを励ましたいと常々仰っていたとのこと。

そんでお仕事で東京に来る日があったので当時のスタッフやキャストが集まって食事会をしていた時に小川さんに出演依頼の電話が入り、その場で前原さんも出演したい旨伝え、兄弟での出演が実現したとか。

素敵なエピソードで、これもゴーカイジャーにまつわるひとつの奇跡だなあと思う。

 

■後味最高

マベと鎧、それにジョーたちも合流して改めてバスコに対峙。鎧以外はギンガマンにチェンジして番外戦士たちにリベンジ。鎧だけはゴーカイシルバーのまま黒騎士を撃破し、そのレンジャーキーがふわりと本来の変身者ヒュウガの手に戻った時はぐっときた。そのキーに自分の大いなる力を宿すヒュウガの姿にも、何か「荘厳」という言葉が浮かんだ記憶。

バスコはサリーのお腹からツッキーくんを出してまたも黒騎士のキーを奪われただけで手ぶらで撤収。海賊たちはツッキーくんを撃破して、一件落着。

ヒュウガは鎧にギンガマンの大いなる力と黒騎士のキーを渡し、俺の分まで地球の平和を守るんだろ?と厳かに鎧に託す。

 

この草原、やっぱり中澤監督が撮ったボウケンジャーのシルバーとアクタガミの出会った場所かな?

広々して綺麗でなんか絵本の1ページみたいな詩情もあって、レジェンドに憧れるファンでもあった自分を乗り越えレジェンドの分まで地球を守るヒーローに成長した、まだ少年に近い青年を送り出す場所として、素敵だなと思う。

出立するゴーカイガレオンをリョウマとヒュウガ2人並んで見送る場面も清々しくて綺麗で、もう後味最高。

 

ギンガマンは未見だけど、鎧とヒュウガのやりとりは本編の26話のリョウマとヒュウガのやりとりのオマージュ、ってのは放送当時から本当によく目にしていた。

だから、私がギンガマンを見ていたら、もっと違った、もっと深い感動も得られたのかな?とは考えたりする。

でもギンガマンの背景は知らなくても、鎧、ヒュウガ、マーベラス三者の思いの交差は充分見応えがあった。特に「自分より適任者がいるのに・・・」という葛藤が、登場時はトンデモだった鎧を一気に等身大で身近な存在に引き寄せてくれたのは、個人的に凄くよかったと思う。

たとえギンガマン未見でも、ここまでのレジェンド回で一番好きかもと思うくらいには良かったよ。

 

因みに東映公式によると、小川さんはカーレンジャー回のレジェンド陣内恭介として出演した岸さんに対抗心を燃やしていたそうで、スタッフさんがくれぐれもかっこいい王道ヒーローを演じていただくよう改めて確認し、小川さんが「俺には自由にやらせてくれないんですね」とすねたという攻防があったって話が好き(笑)。

カーレンジャー回の毒素はいろんな形でじわじわとにゴーカイジャーを蝕んでいるのかも(汗)。

 

海賊戦隊ゴーカイジャー: 19話感想というか覚え書き

■宝箱から転送

冒頭、ナビィが宝箱から光る糸を引き出してゴーカイシルバーのバックルに接続。これで鎧も出したいレンジャーキーを思い浮かべれば宝箱からバックルに転送出来るようになった。

それまで海賊たちが次々にレンジャーキーを取り出す仕組みはあまり気にしていなかったってのもあるけど、てっきりレンジャーキーを雑多に詰め込んでいるだけだと思っていた宝箱にそんな役割があったとは意外で、細かい部分だけど設定しっかり考えてるなと感心した記憶。

ハカセだけは、なぜアカレッドがくれた自分たちのシステムと同じなのか気にしていたけど、他は同じスーパー戦隊だからと納得したり気にしなかったり。結局このあたりは最後まで判明することはなかったけど、私も18話で書いたようにアカレッドと殉職追加戦士の霊魂が連携していたんだろなと思ってる。

 

■「普通」とは?(2回目)

料理やらせれば、たった30分で手際よくメインのオムライスを含め6人分×何品も作り、しかも美味しいとか(汗)。無理。私絶対無理(涙)。

武術も中々の腕前でジョーに気に入られる。そもそも前回見せた身体能力からして只者じゃない。

私の頭の中でまた「ごくごく普通」の定義とは?と疑問符が踊る。

声と顔がやかましくて戦隊愛が暑苦し過ぎるけど、実はかなりハイスペック男子だったのか鎧。

最初見た時には各方面スキル高すぎて違和感あったくらいなんだけど全部見終わると、スーパー戦隊にただ憧れすぎるくらい憧れていただけじゃなくて、それに出来るだけ近づこうと、「諦めなければ必ず何かに繫がるはず」と日々精進を積み重ねてきたとんでもなく努力家だったんだなと思う。

 

ハカセの劣等感

料理はハカセが他の海賊たちより得意と自負してたはずの領域。でもルカの「ハカセのよりパンチがあって美味しい!」から始まって、仲間たちの鎧への賞賛にいちいちパンチを食らったようなダメージを喰らうハカセ

ジョーとの立ち会う鎧が剣を落とすと秘かにガッツポーズとかセコいぞ(笑)。

コミカルなんだけど、かなり思い切ってコンプレックスを強調してきたなと思った。もともと海賊らしくないハカセを、「格好いい」から遠く突き放してとことん等身大で人間臭く描いてる。それがだんだん息苦しいくらいリアルに思えてきて、こっちの方がよほど「ごくごく普通の人間」じゃないかなと。

 

だけど鎧の活躍に焦ってゴーミン相手にも追い詰められての、ビルの屋上やベランダの手すりを使ったあたふたアクションは人間離れした物凄い動きで、さすが竹内さん。

 

■ゴーオンウイングス

ゴーオンジャーは大人になって初めて最初から見た戦隊で、追加戦士の登場なるものも初めて経験したからウイングスは特に懐かしい。追加戦士が兄妹という男女ペア、特に女子の追加戦士はかなり特殊なんだってのは後で知った。

その特殊さが鎧を迷わせたあげくにあんな半分こ怪人状態に(笑)。でもデザインはスッキリしていてあまり違和感がなくてむしろ優秀な部類かも。

そんでアイムの「パチパチ」の絶妙な間の取り方が、なんとも中澤監督だな。

2人で1人だからタガーを2本持てて飛び回ってはゴーミンを倒し大活躍なのは素直に凄いと思った。17話から発揮されてる妄想力の強さもここまで来ると立派な武器だよ。実際この後とんでもないことを成し遂げるけど。

 

■ふにゃーっ

鎧の活躍とそれをチヤホヤする仲間たちにまた気持ちが乱れてウオーリアンの攻撃を避け損なったハカセ。彼を庇ってアイムが攻撃を受け、それに同様したマベジョールカも次々に、骨を抜かれて戦闘不能に。

いつもは強面のマベやジョーが「ふにゃーっ」と文字通り骨抜きになってゴロゴロ。鎧の爽やか妄想に続いて普段とのギャップの破壊力が凄かった(笑)。可愛い。

戦えるのがギクシャクしてる(のはハカセだけだけど)ヘタレ緑と新入り銀コンビだけって、下手するとバスコにマベ以外さらわれた時に匹敵しそうな大ピンチなんだけど、ごめん、正直楽しいくてずっと見ていられる(笑)。また女子特にルカの「ふにゃ~しよ?」が可愛すぎ。

 

宇都宮戦隊だと後にトッキュウジャーのハンコシャドーも似たような攻撃だった。普段とのギャップが楽しくピンチ演出もしやすい、使いやすい作戦なんだろうな。個人的にはルパパトでも見たかった気もする(特に圭一郎、つかさ、透真あたり)。

 

■容赦なくネガティブ

この状況を諦めずに打開しようとする鎧。変身出来なくても工事現場の人を助けようと1人で突っ込んで行った奴がここで挫けるわけもない。

でもそんな奴の隣にいると自分がますます惨めになっちゃうのがハカセ。自分がこの状況の元凶なことにも苛まれて、鎧に「お前といると自分が情けなくなるんだよ!」とまで言って突き放しちゃうのが見てて辛いな。

いくら海賊らしくないと言っても、アウトローで破天荒な格好いい海賊戦隊のメンバーを、そこまで容赦なくネガティブ描写するか、って驚いた。

で、多分、海賊たちを35番目のスーパー戦隊、ヒーローだと思って憧れて加入した鎧にも、その一員が自分に対してそんな劣等感を突きつけ自暴自棄な姿を見せるなんてショックだったよな。「俺、悲しいです・・・」という台詞にその気持ちがこもってる。

 

■互いの凄さ

鎧が出ていって初めて、ハカセは素直に鎧の凄さを認めて口に出す。

でもナビィから「鎧と同じこと言ってる」と言われてびっくり。

鎧はハカセのレシピノートを見つけて、そこからハカセが栄養バランスや皆の体調まで考慮してメニューを考えていたことを読み取り、素直に感動していた。

これまでずっとそんな配慮を毎日当然のようにしていたから自分では特別凄いこととも思わなかったし、仲間たちも気付かなかった。そこへ新たに加入した鎧は今までなかった視点で、誰も、ハカセ自身すら気付いていなかった価値に光を当てたんだね。

2人とも実は互いを凄いと認めてた。

 

■挽回

それまでハカセはたぶんガッツポーズした時もそうだったように、鎧に脅威を感じて否定出来る部分を一生懸命捜していたと思う。

でもその鎧に凄いと認められていたことを知って劣等感と一緒にそんな見方から解き放たれ、鎧の長所や可能性に目を向けられるようになった。そうなると今度はそれを生かせないかって考え始めたんだろね。

そんで彼の技術者としての視点は、キーを合体させた鎧の妄想力に更なる可能性を感じて、あるアイディアを閃かせる。

2つのキーを合体させることが出来るなら、1度に全部の追加戦士キーを合体させることも出来るのでは?と。それが出来れば、戦えるのが2人しかいなくても戦力を底上げ出来る。

 

今まで避けていた鎧が苦戦中のところに、ハカセは今度は自分から駆け寄り、走る姿がゴーカイチェンジで少しずつゴーカイグリーンに変わって行く演出がハカセの復活と成長を暗示。

自分のアイディアを告げて時間稼ぎを買って出、たった1人で次々にゴーカイチェンジを繰り返し粘り続けるハカセの頑張りは、前半が情けなかった分をしっかり挽回して余りあるよ。

こういう埋め合わせ、ヒーロー番組でヒーローを描く上では本当に大事なんだよな、と改めて身に染みて思う。

そんでゴーカイチェンジは「諦めずに次々繰り出す手数」として効果的だなと改めて。

 

イカ

鎧が15の追加戦士キーを手に妄想し、真っ白な謎空間に入るとそこに15人の追加戦士たち。

鎧が呼びかけ頭を下げ続けると、出来上がったのは金色の錨の形の鍵、ゴールドアンカーキー。15追加戦士のちっちゃなマスクがぎっちり並んでいる。

鎧の苗字も「伊狩(イカリ)」。

OPの2番の歌詞が

「進め!イカリを上げたなら 自由の拳突き上げろ」

だから、ここは確信犯的に重ねているのかな。

 

水面下(地球人たち)の中に埋没していたイカリ(伊狩)が、船に引き上げられる→海賊の仲間入りすることで

自由の拳を突き上げろ→海賊たちがそれまで前提にしていたザンギャックの支配を打ち破るという意識転換に進み始める

 

ってのを暗示しているようで好き。

 

■ゴーカイシルバーゴールドモード

「金が銀かどっちだ」ごもっとも(笑)。

なんかずらっと埋め込まれた追加戦士のお面が物凄いインパクトで気味悪いくらい。屋台のお面屋さんかよ?みたいな(汗)。

でも動くと意外と格好いい。

もちろんスーアクさんの動きあってこそだけど、厚みのある足に沿ったビラビラ?が、ああ見えて実は宇都宮Pが愛してやまない「ヒラリズム」をぎりぎり継承しているのもあるかもしれないなと思う。

 

見事ウオーリアンを倒し、骨が戻ったマベたちも怒りも露わに駆け付けて豪獣神とゴーカイオー揃い踏みで巨大戦も制し一件落着。

ハカセと鎧はすっかり打ち解けて、終わって見れば海賊戦隊の料理番体制が盤石になって個人的に羨ましい(切実)。

 

キラメイジャー31話感想: 超変化球で超どストレートなハートフル販促回

冒頭で「歯応えのない邪面師だった」と倒したことを示して、またも邪面師省略回。ネアンデルタールジン邪面と同パターンで、等身大戦と巨大戦の敵が別個体だから出来るキラメイジャーの強みだな。

他4人は仕事に戻り、2人だけ基地に戻ってきた充瑠と宝路は、そのタイミングでの邪面獣出現にうんざりしてる。

邪面師と邪面獣はセットで出てくること多いけど例外もあったりで、タイムラグがあるといつまで待機すべきか正解がないから仕方ないんだよな。

「じゃあオラディン王呼んじゃう?」という博多南さんの軽口にファイヤーたちが「気軽に王様の手を煩わすんじゃねえ!」と口々に反発して、じゃあよほどピンチの時だけ呼ぶことにする、とルール化。

今回の展開を見ても、キラメイジンとドリラーの出番は死守したいんだなとひしひし伝わってくる。

考えてみるとキラメイジャーは最終ロボと初期ロボとの合体要素がないので、例年よりも余計に露出確保を考慮しなければならない部分なのかも。

 

ただしザビューンやエキスプレスはオラディンとの親睦会で不在と言われると、「君たちはお留守番なの?」と格差を感じて悲哀が滲む(笑)。まあ全魔進が出払うのはまずいから分割開催したって解釈出来るけど、ザビューンが他より王夫妻に近い感じがするからついつい。

あと、今は滅んだクリスタリアの序列を、身を寄せている面もある地球人に強要するのは若干印象がよろしくないので、王様が気軽にアタマルドを離れられない他の理由がやっぱり欲しいかな。王妃のケースを思えばむしろ理由がある方が自然だと思うけど。

 

今回の邪面獣は、双頭に搭載したスマホ画面から光線を当てて対象を拡大または縮小するピンチイン・アウトダガメス。

そのビームを浴びてキラメイジンとドリラーがおもちゃサイズに縮んでしまった。巨大な猫や空き缶でサイズ感を示し、基地との通信もこちらからは出来ないと、必要情報をさくっと散りばめてすぐ今回のゲストの母子登場に繋げるのがテンポ良いな。

 

母子家庭で母親が働いている間、小学校低学年らしい龍生はお留守番に夕食の買い物もこなしている。忙しい母親を思いやって良い子でいるけど本当は何か言いたげで、なのに「良い子だから助かるわ」とそれに気付かず話を聞かない母親が短い時間で要領良く描かれて荒川さん匠の技。

 

母親を見送って1人になった龍生は、草むらに散らばる魔進たちを見つけて、誰かが忘れたのかなと躊躇したかと思ったら次の瞬間、豪快にエコバッグに放り込んで持ち去る(笑)。

まあ直後に同じ場所をヨドンナがガサ入れしてたから、彼女に回収されずに済んで結果的に助かったんだけど。

 

ちなみにクランチュラさんは自分の作戦をヨドンナがねじ曲げたことにおかんむり。「東京ミニチュア化作戦」ていかにもクランチュラさんの遊び心というか美学が詰まってる感じだしなんか可愛いさもある。

だけど、キラメイジンとドリラーの縮小だけでエネルギー使い果たして暫く戦闘不能になるんじゃ完遂に何年かかるかわからないから、キラメイジャーのロボを戦闘不能にして捕らえるヨドンナの作戦の方が手っ取り早いのは確かなんだな。実際龍生がいなかったらヤバかったわけで。

 

家に帰った龍生がエコバッグから魔進たちをぶちまけると、食品のパック(たぶん鶏肉150g)が一緒に出てくるのが、あれからちゃんと買い物したんだなと分かって細かい。暫くパックを放置したままで遊び出すから「はよ冷蔵庫しまえ!」ってヒヤヒヤしたけど、そんだけワクワクしてたんだろな。

おもちゃのふりしてやり過ごそうとしていた魔進たちは「科学特捜スーパー警備隊」とどっちかというとウルトラマン世界にいそうな名前を付けられてガシガシ豪快に遊び倒される。龍生のイマジネーションでペットボトルやらメガホンやら家にあるものを街に、掃除機を怪獣に見立てて遊ぶ様がなんかトイストーリーみたい。魔進たちは受難だけど、生き生きと遊ぶ様子に、充瑠は母親の前で良い子していた時にはなかったキラキラを見る。

そのうちに「え?形が変わる?」とすらすらとキラメイジンへの合体の手順にたどり着くのが販促にもほどがあるだろ(笑)。

普段と違い、誰かの手で合体させられることに戸惑う魔進たち。マッハは相変わらずヤバい(汗)。ショベ爺の「ワシは簡単じゃな」はほっこりする。そしてスカイ組が要らない子にならなくてちょっとほっとした(笑)。

でも夢中で遊んだ後に、「お母さんが帰ってくる前に片付けなきゃ」と現実に帰るのがなんか切ない。

 

あんなに散らかしてたのを片付け終わってたぶん疲れて眠り込む龍生。今のうちに逃げだそうと抜き足差し足のキラメイジンとドリラーがホント可愛いな。

でも充瑠はこのまま帰りたくないと、なんと龍生を強引に起こして「龍生君が良い子だから命が宿ったんだ」「俺と、お友達になってくれない?」と話しかける。

最初はびっくりしていた龍生がおずおず受け入れると

「さっき道でお母さんと話していた時の君の笑顔はキラキラしていなかった・・・どうして?」

と心の内を聞き出そうとする。

「本当はお留守番淋しから嫌なんだ」と本音を漏らした龍生。働いている母親を気遣って一生懸命嘘の笑顔を見せていた。

「良い子だね、君は。でも、そのままじゃ君はキラキラ出来なくなる。君にとって大切なことを守りたい時には、我慢しなくてもいいんだよ」と言う充瑠。

 

ダガメスがエネルギー回復して復活。ヨドンナも現れて、連絡が取れなくなった充瑠たちを捜索していた為朝たちはタガメスに男子、ヨドンナに女子と二手に分かれて対応。

なんかヨドンナVS瀬奈小夜は、ヨドンナがうんざりしてさっさと撤退したために、いかにも等身大戦のノルマこなした感じで終わってしまって、ロボに尺回したいのかなと余計な詮索してしまった。

女子2人は前回もマネキン化で戦闘不能だったしその前も本人は戦っていないから、そろそろちゃんと活躍が見たいかな。

 

充瑠たちは無線への発信は出来なくても受信は可能。だからダガメス出現と、アローを充瑠が持ち出しているためにオラディンも呼び出せず戦えるロボがいないことを知って、龍生に「もう行かなきゃ。地球がピンチなんだ!」と別れを告げる。

でもそこに母親が職場で貰ったケーキを持って帰ってきた。職場が近いから出来る(おそらくそういう職場を選んでいる)んだろうけど、やっぱり息子に申し訳なくて何かあれば埋め合わせしたいとは思ってるんだろな、と感じさせる。

でもそこに、見るからに高価そうなおもちゃ(二つで定価は1万円くらい?)が並んでいるのを見た母親が血相を変えるのが辛い。

これは母親にとっては「我が子がまさか盗みを?」って疑うのも無理はないというか、むしろ個人的には辛くても疑わなくちゃならない場面だと思う。子供への負い目があるから余計に辛かったろうけど、都合良く解釈して放置したりしなかったこの母親は真っ当だなと思った。

実際、忘れ物かもしれないものを勝手に持ってきてしまったわけで、外国ならともかく日本では褒められたもんじゃない。親に泥棒?と疑われる子供も辛いけれど。

 

母親はおもちゃを渡せと言うけど、龍生はロボを単なるおもちゃじゃなくて「友達」で「地球がピンチなんだから行かせなきゃ」と思ってるから拒んで家を飛び出す。

母親はたぶんそれを、単におもちゃを取り上げられたくないから、下手するとやましいことがあるから逃げた、と思って追いかける。この状況で「地球がピンチ」なんて言っても信じて貰えない。

だから充瑠はお母さんの口から否定的な言葉が飛び出してしまう前に敢えてお母さんの前で龍生を褒め、つまりお母さんの前でおもちゃが喋って動いて走り出すのを見せて、後に残る宝路にフォローを頼んだ。ちゃんと龍生が嘘つきと言われないよう考えてあげてのことなんだな。

 

基地に戻ってきたミニチュアキラメイジンからアリンコみたいな充瑠が砂粒みたいなアローを持ち出して、大きく出来ないか聞く。虫眼鏡で見たりとか絵的に可愛くて楽しい。

博多南さんはタガメスの光線を映像から分析して、ブルーダイヤなら元に戻せると神サポート能力を見せる。

毎度ながらどんだけ優秀なのよ博多南さん(汗)。

そんでやっぱり速い。ソッコーで装置を用意して、ソッコーでアローが元通りに。

 

戦えるロボもなく、2人だけで邪面獣に挑まなければいけない為朝と時雨。この2人だけの掛け合いってあまりなかったから新鮮。

そう言えば、荒川戦隊(5人)ってデカレンジャーゴーカイジャーも赤以外の初期男子2人のダブルメイン回ってなかったな。青が赤とがっつり絡むことが多くて緑は女子とコンビ組んでるイメージが強い。

2人で充瑠がいなかった頃を思い出すけどしみじみしてる場合じゃなく「やっぱ無理」。今回は時雨が顔芸も込みで軽妙。

そこにマブシーナから召喚されたオラディンとハコブーが駆け付けて(親睦会で一緒だったザビューンとエキスプレスは?と思ってはいけないんだろな・汗)、時雨と為朝がそれぞれ乗り込み、グレイトフル・フェニックスに合体。

縮小ビーム当てられたらどうなるかな?と思ったけどあっさり避けたりして、瞬く間にタガメスを真っ二つ。

 

基地ではキラメイジンの姿がいつの間にか消えてた。龍生の元に駆け付けたんだけど、これは別の意味でも正解だよな。

博多南さんたちは小さいままのつもりで捜したりしていたけど、あのまま残っていたら、怪人を倒せば攻撃効果が消える戦隊ルールが発動して、元のサイズに戻ってしまってココナッツベースは崩落していたはず(汗)。

 

母子の方はいざとなれば実年齢アラフィフの宝路がきちんと説明して理解して貰い、更に

「お母さんにもっと、何か言いたいことがあるんじゃないのか?」と龍生を促す頼れる大人の男性っぷりを見せる。

「お母さん、僕の話ちゃんと聞いて?僕、本当は1人でお留守番するの淋しい」

「本当は、お仕事に行く前にお母さんに、ぎゅ~っとして欲しい。そしたら我慢出来るから」

 

自分の気持ちを伝えたところでお母さんが働きに出ないといけない状況は変わらない。

だけど充瑠に背中を押されて気持ちを伝えることで、龍生はその状況をただ言われるまま受け入れるだけではなく、かといって全拒絶するのでもなく、出来るだけお母さんに負担がかからず実行可能で、自分の気持ちもちょっとだけ癒してもらえる方法をあの小さな頭で考え出して提案出来る子になった。

それは龍生がちょっとだけ大人になったってことでもあるんだけど、母親に「ぎゅ~っとして貰う」ことがまだ大事な年齢なのに早すぎるのかもしれないその成長が、健気で愛おしく少し痛々しくもある。

でも、息子にこれまで無理させ過ぎていたことを理解し、今も自分のために我慢出来る=妥協点を差し出してして貰っていることを身に染みた母親もこれからはきっとちょっと違うはず。

そんな前よりもっと気持ちが通い合った母子がぎゅっと抱き合うのを、元のサイズに戻った「友達」が夕日に照らされて見ているのがなんともハートフルで素敵だな。

 

あと、ヨドンナに見つかってたらと思うと龍生は地球とヒーローを守った事にもなるんだけど、我が子が自分の知らない高価そうな玩具持ってるのを見た時の親の疑いは真っ当だし、実際忘れ物かもなのに持ってきてしまったのは褒められた行動ではないと思う。

だから、劇中では龍生のお陰で助かった事にスポットをあてず、誰も知らないままで、決して肯定しないバランス感覚が、いろいろ配慮してるんだな、と好感持てる。

 

新ロボ登場後はどうしてもそちらの販促が中心になって初期ロボの出番は制限されたりかませにされたりで、今回も初期ロボ2体はやられて、敵を倒す活躍は新ロボってのは定石どおり。

だけど1号ロボと追加戦士ロボは敵を倒さない代わりにおもちゃそのもののとして、変形や合体の仕方まで魔進声付きで懇切丁寧に解説。

おまけにおもちゃが子供に「友達になってよ」と語りかけるロマンがあってその子の抱える問題を解決する後押しまでするという、強さ格好良さとは違う形での、かなり良い販促だったんじゃないかな。これなら新ロボの販促とも無理なく両立出来るのが凄い。

正直、先日のバンダイナムコ決算で戦隊はかなり厳しい結果で、もう出来ることは何でもやってくれ!頑張って!と思ってたところだった。

そこにこの、超変化球ながら超どストレートでもある販促回でストーリー内容もあったかくて凄く良くて、こんな出来がキープ出来るんならもうミニチュア回を毎年恒例にしちゃってもいいんでは?と思ったりする。

海賊戦隊ゴーカイジャー: 18話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■ヒーロー気質

ゴーカイガレオンで鎧が語った過去。

「ちょっと暑苦しいだけのごくごく普通の人間」て自分では言っていたけど、後に披露する身体能力とか気質とか、いろいろ「ごくごく普通」の定義が私とは違う気がする(汗)。

道路の向こう側に咲く花に気を取られ飛び出した少女を庇って車に跳ねられるとか、この時点で変身出来なくてもヒーローだから。しかも庇って重傷負いながら花を差し出すとかなかなかいないから。

病院で人工呼吸器着けて昏睡状態の中、なんだか幽体離脱してるしこの後の展開見たら実は死んだんじゃないかと思ったり。

夢?の中で鎧が出会ったのはドラゴンレンジャー、タイムファイヤー、アバレキラーの3人。

私は放送当時彼らの所属する戦隊はどれも見ていなかったけど、予告を見てからネットの情報を漁って、彼ら3人とも「殉職した恐竜ロボ持ちの追加戦士」だということを知って、そんな共通点によく目をつけられたなと当時はひたすら感心していた記憶。

レジェンド大戦には殉職した戦士も戦っていたけど、彼らの扱いをどうするかとか共通点のくくりを探したりとか、今作は過去戦隊や戦士のパズルがいろいろと大変だったろうなと頭が下がる。

 

■仲代壬琴

3人の中で彼だけが変身を解いて人間体になり、鎧に装備を渡し、3戦隊の大いなる力を与えると告げる。

彼のことはデカレンジャーVSアバレンジャーで見ただけ。だけどお噂はかねがねって感じで、今回の彼はだいぶ漂白された後なんだろうなということだけはわかった。

今配信でアバレンジャー見ていて、まだ出て来ないけど楽しみ半分怖さ半分。

 

■レジェンドゲストの扱いは?

劇場版での11戦隊に続き、ここに来てまた3戦隊と一気に渡してきたな、とは思った。

同時にこの頃はまだ、大いなる力を渡した戦隊は用済みで、もうこの先タイムレンジャージュウレンジャーのレジェンドがゲスト出演することはないのか?なんて寂しく思ったりもしていた。そんでこの先も変身前のレジェンドゲストが出ないまま大いなる力を得る戦隊もあるのかな?とも。

レジェンドゲストの俳優さんにコンスタントに出て貰うのは大変だし、そういう落とし所も必要だよねと、当時は勝手に分かった気になって納得していたかもしれない(汗)。まさか後にアバレンジャーも含めて改めてこの3戦隊のレジェンドゲストが登場する回があるなんて思ってなかった記憶。

 

■夢じゃない

鎧は夢から醒めて、同時に恐らく看護師さんの慌てっぷりを見た感じ奇跡的な回復を果たす。夢で渡されたゴーカイセルラーとシルバーのレンジャーキーも実体化して枕元にあった。

ゴーカイジャーの変身装備を作ったのはアカレッドだと思うけど、彼はある意味概念的というか霊的な存在でもあるので、殉職した追加戦士の魂とも交信出来て、シルバーの装備を作って貰ったのかなと思う。

そんで赤き海賊団として地球を離れている自分の代わりに同じ性能の変身システムを作れるレジェンド、となると案外生身の人間より霊魂の方が適していたと言われても納得出来てしまうから、よく考えられてるなと感心する。

 

アカレッドやレジェンドたちが、地球人の中からもゴーカイジャーと合流して一緒に戦う戦士が必要だと考えたとしたらもっともだと思う。

海賊たちと地球人たち、特にレジェンドとの距離を縮める役割を果たしてくれるだろうし。個人的にも通りすがりの異星人の善意に守られるだけでなく、地球人の中からもちゃんと自分の星を守るために参加して欲しかったから、追加戦士が地球人だと知った時は嬉しかった。

 

あと、こんな不思議体験からゴーカイジャーと同じマークの変身装備を渡されたら、てっきり海賊側への根回しも済んでいると鎧が思い込んでいても無理はなかったかな?とも思ってみたり。

 

■マベの思いやり

鎧から話を聞き、鎧が貰ったはずの大いなる力の発動に必要なアバレキラーたちのレンジャーキーを特定させたマベは、「よくやった」と言いながらも「甘いよお前」と、彼の変身装備を取り上げる。

偶然手に入れたからといって使いこなせるとは限らない。それにジョーたち4人は皆俺にないものを持っている。お前には俺が欲しいと思う何かがあるのかと。

「あいつはザンギャックと戦うって事の本当の重大さをまだわかってねえ。宇宙全体を敵に回すって事だからな」

鎧が答を持って来るから時間をくれと立ち去った後にマベが語ったもう一つの拒絶の理由に、鎧のこれからを案じた本当の思いやりと船長としての責任感がこもっている。

マベ本人が赤き海賊団としてザンギャックと戦い続け、途中まで連戦連勝するも最後は負けて大事な人を失った痛みを抱えているからってのもあるのかな。

 

スーパー戦隊って基本的に正義の味方なんだけど、結成にあたっては結構問答無用だったりスカウトの仕方が外道だったりするケースもままある(汗)から、それに比べると普段荒っぽいくせに意外と慎重というかまともというか。

 

■変身出来なくても

自分にマベの欲しがる何があるのか考えあぐねていた鎧だけど、誰かが襲われていたら見過ごせない。たった1人でも、たとえ変身出来ないことに途中で気付いても、怯まず飛び込んで行って襲われている人たちを逃がす。

この時に見せた生身アクションが凄い。東映公式も、スーツアクターさんたちに引けを取らないと褒めてたけど、バク転即回し蹴りとかまさに全身これバネって感じ。角材での殺陣もキレキレ。

そんで私とはつくづく<普通の人間>の定義についての齟齬が甚だしいとまた思った。それともあの世界の地球人にとってはあれくらい<普通>にごろごろいるとかなんだろうか(汗)。

 

■諦めないこと

多勢に無勢で追い詰められた時の鎧の

「頑張れば、必ず何かに繫がるはずなんだ。だから俺は諦めない。最後の最後の最後までやめないんだあ~っ!」

が好き。というか、わりとこれを自分に言い聞かせて何かを続けることがごくたまにある。実際にはベクトルが間違っていれば何にも繋がらないこともザラにあるんだろうけど。

 

■ターニングポイント

あわやというところに加勢に入った海賊たち。鎧の想像以上の無茶っぷりを気に入ってくれた。ハカセだけは「ま、とりあえず根性は認めてやるよ」と渋々な感じだけど。

 

その後の、マベと鎧のやりとりは、この物語のある意味最大のターニングポイントかもしれない。

「どうする?これを使えばザンギャックを、宇宙全体を敵に回すぞ?」

「違いますよ、マーベラスさん。ザンギャックを倒し、宇宙全体を平和にするんです!」

 

かつてシド先輩は、ジョーと一緒にザンギャックから脱走する時、「ザンギャックに逆らったからには逃げ続けるか死ぬかだ」

と言った。それはあの世界の宇宙全体の共通認識で、海賊達にとっても例外ではなかったんだよね。

ハカセの過去はまだ分からなかったけど、海賊たちは皆、1度はザンギャックに負けたり虐げられたり大事な物を失ったりしている。局地戦では歯向かっても、そんなザンギャックに支配された理不尽な世界を、根底ではそういうもんだと諦めて受け入れていたんだな。

そんな彼らの「常識」を鎧が当然のように否定して見せた時、海賊たちは豪快でしたたかで格好良くて強者感はあっても、実はこの時までは対ザンギャックの「敗者」のままだったのかもしれない、と突き付けられた気がして頭と心がザワザワしたのを覚えている。

 

あの世界の地球は30数年間、次々に侵略の脅威に晒されては、次々に現れたスーパー戦隊が組織ごと返り討ちにしてきた歴史を持っている。

一介の保育士さんがすらすらとゴレンジャーを解説出来てゲキレッドの生い立ちが一般常識なあの地球に住む人々は、そんな戦いの歴史を身近に見続けて育まれてきた。

その中から飛び出してきた鎧にとってザンギャックとは、「この広い宇宙で誰も逆らえない絶対的支配者」ではなくて、「地球にとって30数番目の倒されるべき侵略者」でしかなかったんだね。

 

その発想はマベや海賊たちにはなかったもので、つまり「俺にない何か」で、たぶん絶対に「俺が欲しいと思う何か」。

自分たちの絶対的前提、基本常識をひっくり返した鎧にマベや海賊たちが衝撃を受け、同時にたまらなく痛快に思い気に入り価値を見出すこの展開は、物凄い説得力だった。

正直、こんな喋り方と顔芸と服装センスが煩くて、スーパー戦隊愛と理想が極端すぎて空回り、ナレーションにまで「謎のお調子者」と言われてしまった(笑)暑苦しい戦隊オタクのくせに、こんなこちらの想定を軽々と超える答を持ってくるなんて「やられた!」っていうか、なんか悔しかったかも(笑)。

 

ゴーカイジャーという物語の見所は

「地球を守る義理のない通りすがりの海賊がいかに地球を守るスーパー戦隊になっていくか」

だと開始前にスタッフさんから語られている。そんな1年通しての大事な縦軸の、ある意味一番劇的なターニングポイントをこの「謎のお調子者」が担うのかよ!って意表をつかれつつもホント素晴らしいなと思ったし、鎧を見る目も一変。

そんで個人的には追加戦士合流エピソードとしてもゴーカイジャー1年間の物語のマイルストーンとしても、かなり尊い回になったんだよな。

 

■賑やかバトル

初めて6人揃ってのゴーカイチェンジから乱戦へ。鎧と海賊たちのペアバトルがそれぞれ描かれゴーミンを一掃した後に、初めて6人揃っての多段変身。

ここはシンケンジャーで行きましょう→鎧だけはキーを取り出せない→追加戦士がどれかわからないマベ→「あるでしょ?顔に漢字が書いてあるやつ」→「これだな?ほらよ」

からの、シンケンジャー×5+キングレンジャー(顔に漢字で<王>と書いてある)というオチ(笑)。

スーパー戦隊の知識ゼロの海賊たちと超スーパー戦隊オタクの鎧のズレが楽しくて仕方ない。

「金色のピカピカのヤツです」と言われてとりあえず金色のレンジャーキー思い付くまま全部出して「これか」と選んでるマベとか、サカナマルに興味深々のハカセ、百枚おろしの技に食いつくジョーとかもじわじわくる。

特別サービスでオールシルバー見た時は、もう戦隊組めるほど銀戦士がいることにちょっと感動した。9年たった今だとあれから更に5人も増えてるのか。

 

■大いなる力

倒したオソガインが巨大化して、いよいよ鎧が貰った3戦隊の大いなる力の初披露。

まずタイムレンジャーの力で豪獣ドリルが未来から来る。私は当時未見だったけど、タイムレンジャー本編のロボも同じく未来から送られてきていたので、「30世紀から誰が送っているのか?」って当時気にする人が結構いた記憶。

まさか後にその「未来からロボを送り出している人」にスポットが当たることになるとは想像もしていなかった。

 

次にジュウレンジャーの力で恐竜形態の豪獣レックスに変形し、ラストはアバレンジャーの力でロボ形態の豪獣神へと三段変形。ハカセやルカのツッコミがいちいちメタだったんだけど、おもちゃで見た時にプレイバリューが凄いなと驚いた記憶。実際かなり売れて、追加戦士ロボながら玩具売上の年間総合トップ10入りしてる。

 

■海賊見習い

晴れて鎧は海賊たちの仲間入りを果たした。ただし、見習い。水夫モチーフのスーツともシンクロするし、陽気で煩くてぐいぐい来る鎧だけど、敬語キャラに加えて上下関係を付与することで、俺が俺がと出しゃばり過ぎたり衝突しすぎたりしない、っていうキャラ配置のバランス感覚が、荒川さんは本当に凄い。

しかも今後はマベたちに足りなかったスーパー戦隊の知識も彼が補うことになるとか至れり尽くせりだよ。

予告で鎧を初めて見てから17話終わった時までは正直不安もあったけど、良い意味で物凄く裏切られて、ゴーカイジャーホント凄えもん見せてくれるなって何度目かの脱帽。

1年間で見ても、シンケン前後編からあまり間をおかずバスコ前後編それから追加戦士前後編と、この時期の盛り上がりは最初のピークの山脈みたいなものだったな、と思う。

 

海賊戦隊ゴーカイジャー: 17話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■時系列

前後編名物冒頭での巨大戦で

「では先日頂いたゴセイジャーさんの大いなる力で行きましょう」

と、いきなりゴセイヘッダー大進撃(汗)。

戦い終えて

「なんたって大いなる力をまとめて11個も手に入れちゃったからね」

「それにふさわしい激戦だった」

「その前にはバスコから新しいレンジャーキーを15個もgetしたし」

と、劇場版の内容を堂々と本編にねじ込んできた(笑)。時系列的にはこう↓なる。

 

16話

→劇場版「ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦」

→17話

 

この劇場版で海賊たちは

ゴレンジャー、ジャッカー電撃隊、ゴーグルV、ダイナマンバイオマンターボレンジャー

デンジマンダイレンジャーボウケンジャーゴーオンジャーゴセイジャー

と、計11個の大いなる力を手に入れた。

 

当初、映画の公開はもっと早かったんだけど、震災で3週間延びたら16話と17話の間という時系列どんぴしゃなタイミングでの公開になった。ある意味災い転じて、なのかも。

でも誰もが公開直後に見に行けるわけではないから、17話より前により多くの人に見て貰うことを優先した当初の公開予定日も正しいんだろな。

 

(ここまで劇場版が本編に組み込まれていると本来は先に劇場版の感想&覚え書きをやるべきか迷ったんだけど、あれはあれでかなり中身が濃くて労力かかりそうなのでひとまず本編優先で)

 

■転んだら自分で起きる

巨大戦を大はしゃぎで見守っていた男。マベたちとすれ違った男の子がペタンとかなりわざとらしく(汗)転んだのを見て、起き上がろうとするのを制して「起こしてあげて」と、かなり図々しく要請、というのがファーストコンタクト。

なんかもう、「スーパー戦隊こうあるべし」っていう思い込みをいきなりベッタベタに押し付けてくるヤバい奴キター!ってビビった。

「ちょっと転んだくらいなら自分で起きりゃいいだろ」とマベ。

「そうだよ!」と男の子。

マベも言ってることがもっともだし、男の子もそれに同調して変質者扱い。

特に最終回まで見ると、この世界の地球人の子供が、あの程度で無力に助けられるのを待ってるわけないよな、と思う。

 

■キャラ崩壊

「俺の名は鎧。伊狩鎧。誰よりもスーパー戦隊を愛する男です」

「俺、皆さんの仲間になりに来たんです。ゴーカイジャー6人目の仲間に」

再度押しかけるなり、いきなり階段駆け上がって海賊たちを見下ろし大声&オーバーアクションで自己紹介&仲間入り志願。

さっきの「起こしてあげて下さい」から始まって、どこをどう切り取っても海賊にまともに相手にされそうな要素が皆無で再び「うわあ・・・」ってドン引き(汗)。

でも好感度のベクトルが直滑降し始めたその時に妄想が始まり

「やあみんな、元気かい?僕はキャプテンマーベラス。時々勢いつきすぎて失敗もするけど、皆の笑顔を守るために頑張るから、よろしくね?バァン!」

「僕はジョー。野球が大好き、力持ち」

というあまりにあまりなマベジョーのキャラ崩壊っぷりに大笑いして、面白れーじゃん!とベクトルが一気に回れ上したのを覚えている(笑)。

 

ハカセの反発

そんな清く正しく爽やかな妄想海賊戦隊スタイルが受け入れられるはずもなく当然のごとく総スカンなんだけど、中でも普段なら渉外担当として人当たりのいいハカセの当たりのキツさが印象的。後の19話での衝突の種は既にこの時点で蒔かれているのが手堅い。

妄想で省かれたってのもあってなんとなく本能的にポジションを脅かされそうな気もしたのかなと思うけど、後々になってみると最初のきっかけは案外ルカとの

「ちょっと可愛い気もしたけどね」

かもしれないと思った。ハカセに「えええ~」と否定的な反応をさせた荒川さんによると、たぶんルカに一目惚れしているらしいので(笑)。

 

■違和感

「嘘でしょ?まさかの拒否なんて・・・この展開は予想してなかったよ・・・」

という鎧の反応に、リアルタイムで見ていた時は

「いやあなたが拒否されると予想してないなんて予想してなかったよ?」

と、驚いたし違和感もあった。あんな押しかけ方をして何を根拠に自分が拒否されないと思い込んでいたのか。

でも、視聴者はマベたちのキャラをわかっているから、こんなの拒否されるとわかるけど、鎧にはマベたちとは初対面でわからなかったろうし、「スーパー戦隊はこういうもの」って先入観が凄かったせいもあるのかなと。

もっとも、鎧が後に語った不思議な経験を知った後では、誰かがある程度海賊側に根回ししてくれてるんだろうと思い込んでいても無理もなかったのかな?とは思う。

 

■加入条件

鎧の押しかけに不安を覚えるハカセにジョーが「安心しろ」と言う。

マベが認めなければ絶対に海賊の仲間入りは出来ない。

普段は平等に何でも遠慮無く言い合う仲だけど、いざとなればこのチームのリーダーは船長=キャプテンであるマベで、最終的には彼の決めたことが絶対なんだと改めて示される。

それは同時にこのチームに加入するハードルの高さも示していて、今のところ印象最悪でそこに足をかけることすら出来ない鎧がこの後どうクリアしていくのか?っていう物語への興味を煽ってもきていて、上手いなと思う。

 

■根は冷酷

今回の行動隊長アルマドンはバリアでの防御が強力で海賊たちは苦戦するも、首が弱点だと気付く。ザンギャック側も海賊たちが気付いたことは想定済み。

プライドの高いアルマドンの自分へのぞんざいな態度を不快に思った殿下は、首のガードを強化すると見せかけ爆弾をしかけ、海賊が攻撃してきたところをもろとも爆殺しようと企む。

殿下はコミカルで可愛らしいところもあるんだけど、ダマラスが「行動隊長も捨て石に」と戦慄したように根は冷酷で部下も使い捨て上等。そういう怖さをさらりと見せてきた。

作戦能力は優秀なところもあるのかもだけど、これでは下はたまったもんじゃない。でも強大な帝国の独裁者の跡取りだから誰も逆らえず、これで通用しちゃってそうなんだけど。

 

インパクトは強さより驚きで

再び対峙する海賊とアルマドンの間に割って入る鎧。

危険だから下がれというマベを制し、「見ていて下さい」とゴーカイシルバーにチェンジ。

船長ハットがマスクモチーフのマベたちのスーツに対し、ゴーカイシルバーは下っ端の水夫を模している。それでもマークは同じ。

「なぜこいつが変身出来るのか?」っていう海賊たちの驚きと混乱が強烈に伝わってきて、この場面は何度見ても凄くワクワクして好きだ。

戦い方は小気味よくてちゃんと強いけど、お調子者で抜けていたり敵の攻撃に早々に転がったりして、追加戦士の初登場補正にありがちな圧倒的無敵感はない。

それまで見ていた追加戦士って初登場補正で圧倒的に強くて後で弱体化するって印象だったけど、こういうタイプだとあまり弱体化が目立たないかもな、と思ったのは鎧で2人目。。

1人目は同じ宇都宮戦隊のシンケンゴールド梅盛源太で、彼も追加戦士のインパクトを強さではなく「一般人がなぜ変身出来るのか」という謎や驚きで出していたっけ。

 

■第一印象

他の部分でも、第一印象はもろに源太再び。

声の大きさと大袈裟な口調と顔芸と、決してオープンでもフレンドリーでもない集団に厚かましいほどにぐいぐい入ってくる感じかな?

で、シンケンに続いて2作目なこともあって、宇都宮戦隊は斜に構えたところのあるレッドと熱血直情型の追加戦士の組み合わせという、ゴーオン以前によくあった組み合わせと逆っぽい傾向(チーフと映士は若干近いかも?)なのかな?と思ったりもした。もっともそれは次のトッキュウジャーで早々に崩れたけど。

あと、追加戦士は長身のイメージが勝手にあったので、それにしては小柄な人を選んだんだな、とも。でも予告の生身アクションを見ていろいろ納得した。

 

■ちょっと不安

鎧の鮮烈デビュー戦に、ナビィの占い「なんか凄い銀色の男を捜せ」が彼のことではと思い当たり、それまでの態度とは一転して食いつき、質問攻めにする海賊たち、で続く。

既に装備は持っていたわけで、果てしなく高いと思われた海賊加入ハードルが一気に下げられたかに見える。

でも実際にはそんな簡単なものでもなくて、そこを鎧がどう乗り越えるかが、個人的には本作屈指のクライマックスで大きなターニングポイントだと思っているけど。

ただ当時は楽しみな反面、なんとなく不安もあった。

すでにスーパー戦隊は、シリーズの中でキャラクターのバリエーションはあっても基本的には正義の味方。そんな中で海賊戦隊の独特でハードで一筋縄ではいかない格好良さは、かなり貴重に思えて気に入っていたんだよね。

そこに現れた鎧が「スーパー戦隊こうあるべき」という理想をパロディめかしてるとはいえ強烈にガンガン押し付けて来たもんで

「ひょっとしてこのお気に入りの作風、格好良さが、彼一人の出現によって一気にに塗り替えられ壊れてしまうのでは?」

と最初は正直危惧もしていた。

今となっては杞憂だったけど。