キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

海賊戦隊ゴーカイジャー: 18話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■ヒーロー気質

ゴーカイガレオンで鎧が語った過去。

「ちょっと暑苦しいだけのごくごく普通の人間」て自分では言っていたけど、後に披露する身体能力とか気質とか、いろいろ「ごくごく普通」の定義が私とは違う気がする(汗)。

道路の向こう側に咲く花に気を取られ飛び出した少女を庇って車に跳ねられるとか、この時点で変身出来なくてもヒーローだから。しかも庇って重傷負いながら花を差し出すとかなかなかいないから。

病院で人工呼吸器着けて昏睡状態の中、なんだか幽体離脱してるしこの後の展開見たら実は死んだんじゃないかと思ったり。

夢?の中で鎧が出会ったのはドラゴンレンジャー、タイムファイヤー、アバレキラーの3人。

私は放送当時彼らの所属する戦隊はどれも見ていなかったけど、予告を見てからネットの情報を漁って、彼ら3人とも「殉職した恐竜ロボ持ちの追加戦士」だということを知って、そんな共通点によく目をつけられたなと当時はひたすら感心していた記憶。

レジェンド大戦には殉職した戦士も戦っていたけど、彼らの扱いをどうするかとか共通点のくくりを探したりとか、今作は過去戦隊や戦士のパズルがいろいろと大変だったろうなと頭が下がる。

 

■仲代壬琴

3人の中で彼だけが変身を解いて人間体になり、鎧に装備を渡し、3戦隊の大いなる力を与えると告げる。

彼のことはデカレンジャーVSアバレンジャーで見ただけ。だけどお噂はかねがねって感じで、今回の彼はだいぶ漂白された後なんだろうなということだけはわかった。

今配信でアバレンジャー見ていて、まだ出て来ないけど楽しみ半分怖さ半分。

 

■レジェンドゲストの扱いは?

劇場版での11戦隊に続き、ここに来てまた3戦隊と一気に渡してきたな、とは思った。

同時にこの頃はまだ、大いなる力を渡した戦隊は用済みで、もうこの先タイムレンジャージュウレンジャーのレジェンドがゲスト出演することはないのか?なんて寂しく思ったりもしていた。そんでこの先も変身前のレジェンドゲストが出ないまま大いなる力を得る戦隊もあるのかな?とも。

レジェンドゲストの俳優さんにコンスタントに出て貰うのは大変だし、そういう落とし所も必要だよねと、当時は勝手に分かった気になって納得していたかもしれない(汗)。まさか後にアバレンジャーも含めて改めてこの3戦隊のレジェンドゲストが登場する回があるなんて思ってなかった記憶。

 

■夢じゃない

鎧は夢から醒めて、同時に恐らく看護師さんの慌てっぷりを見た感じ奇跡的な回復を果たす。夢で渡されたゴーカイセルラーとシルバーのレンジャーキーも実体化して枕元にあった。

ゴーカイジャーの変身装備を作ったのはアカレッドだと思うけど、彼はある意味概念的というか霊的な存在でもあるので、殉職した追加戦士の魂とも交信出来て、シルバーの装備を作って貰ったのかなと思う。

そんで赤き海賊団として地球を離れている自分の代わりに同じ性能の変身システムを作れるレジェンド、となると案外生身の人間より霊魂の方が適していたと言われても納得出来てしまうから、よく考えられてるなと感心する。

 

アカレッドやレジェンドたちが、地球人の中からもゴーカイジャーと合流して一緒に戦う戦士が必要だと考えたとしたらもっともだと思う。

海賊たちと地球人たち、特にレジェンドとの距離を縮める役割を果たしてくれるだろうし。個人的にも通りすがりの異星人の善意に守られるだけでなく、地球人の中からもちゃんと自分の星を守るために参加して欲しかったから、追加戦士が地球人だと知った時は嬉しかった。

 

あと、こんな不思議体験からゴーカイジャーと同じマークの変身装備を渡されたら、てっきり海賊側への根回しも済んでいると鎧が思い込んでいても無理はなかったかな?とも思ってみたり。

 

■マベの思いやり

鎧から話を聞き、鎧が貰ったはずの大いなる力の発動に必要なアバレキラーたちのレンジャーキーを特定させたマベは、「よくやった」と言いながらも「甘いよお前」と、彼の変身装備を取り上げる。

偶然手に入れたからといって使いこなせるとは限らない。それにジョーたち4人は皆俺にないものを持っている。お前には俺が欲しいと思う何かがあるのかと。

「あいつはザンギャックと戦うって事の本当の重大さをまだわかってねえ。宇宙全体を敵に回すって事だからな」

鎧が答を持って来るから時間をくれと立ち去った後にマベが語ったもう一つの拒絶の理由に、鎧のこれからを案じた本当の思いやりと船長としての責任感がこもっている。

マベ本人が赤き海賊団としてザンギャックと戦い続け、途中まで連戦連勝するも最後は負けて大事な人を失った痛みを抱えているからってのもあるのかな。

 

スーパー戦隊って基本的に正義の味方なんだけど、結成にあたっては結構問答無用だったりスカウトの仕方が外道だったりするケースもままある(汗)から、それに比べると普段荒っぽいくせに意外と慎重というかまともというか。

 

■変身出来なくても

自分にマベの欲しがる何があるのか考えあぐねていた鎧だけど、誰かが襲われていたら見過ごせない。たった1人でも、たとえ変身出来ないことに途中で気付いても、怯まず飛び込んで行って襲われている人たちを逃がす。

この時に見せた生身アクションが凄い。東映公式も、スーツアクターさんたちに引けを取らないと褒めてたけど、バク転即回し蹴りとかまさに全身これバネって感じ。角材での殺陣もキレキレ。

そんで私とはつくづく<普通の人間>の定義についての齟齬が甚だしいとまた思った。それともあの世界の地球人にとってはあれくらい<普通>にごろごろいるとかなんだろうか(汗)。

 

■諦めないこと

多勢に無勢で追い詰められた時の鎧の

「頑張れば、必ず何かに繫がるはずなんだ。だから俺は諦めない。最後の最後の最後までやめないんだあ~っ!」

が好き。というか、わりとこれを自分に言い聞かせて何かを続けることがごくたまにある。実際にはベクトルが間違っていれば何にも繋がらないこともザラにあるんだろうけど。

 

■ターニングポイント

あわやというところに加勢に入った海賊たち。鎧の想像以上の無茶っぷりを気に入ってくれた。ハカセだけは「ま、とりあえず根性は認めてやるよ」と渋々な感じだけど。

 

その後の、マベと鎧のやりとりは、この物語のある意味最大のターニングポイントかもしれない。

「どうする?これを使えばザンギャックを、宇宙全体を敵に回すぞ?」

「違いますよ、マーベラスさん。ザンギャックを倒し、宇宙全体を平和にするんです!」

 

かつてシド先輩は、ジョーと一緒にザンギャックから脱走する時、「ザンギャックに逆らったからには逃げ続けるか死ぬかだ」

と言った。それはあの世界の宇宙全体の共通認識で、海賊達にとっても例外ではなかったんだよね。

ハカセの過去はまだ分からなかったけど、海賊たちは皆、1度はザンギャックに負けたり虐げられたり大事な物を失ったりしている。局地戦では歯向かっても、そんなザンギャックに支配された理不尽な世界を、根底ではそういうもんだと諦めて受け入れていたんだな。

そんな彼らの「常識」を鎧が当然のように否定して見せた時、海賊たちは豪快でしたたかで格好良くて強者感はあっても、実はこの時までは対ザンギャックの「敗者」のままだったのかもしれない、と突き付けられた気がして頭と心がザワザワしたのを覚えている。

 

あの世界の地球は30数年間、次々に侵略の脅威に晒されては、次々に現れたスーパー戦隊が組織ごと返り討ちにしてきた歴史を持っている。

一介の保育士さんがすらすらとゴレンジャーを解説出来てゲキレッドの生い立ちが一般常識なあの地球に住む人々は、そんな戦いの歴史を身近に見続けて育まれてきた。

その中から飛び出してきた鎧にとってザンギャックとは、「この広い宇宙で誰も逆らえない絶対的支配者」ではなくて、「地球にとって30数番目の倒されるべき侵略者」でしかなかったんだね。

 

その発想はマベや海賊たちにはなかったもので、つまり「俺にない何か」で、たぶん絶対に「俺が欲しいと思う何か」。

自分たちの絶対的前提、基本常識をひっくり返した鎧にマベや海賊たちが衝撃を受け、同時にたまらなく痛快に思い気に入り価値を見出すこの展開は、物凄い説得力だった。

正直、こんな喋り方と顔芸と服装センスが煩くて、スーパー戦隊愛と理想が極端すぎて空回り、ナレーションにまで「謎のお調子者」と言われてしまった(笑)暑苦しい戦隊オタクのくせに、こんなこちらの想定を軽々と超える答を持ってくるなんて「やられた!」っていうか、なんか悔しかったかも(笑)。

 

ゴーカイジャーという物語の見所は

「地球を守る義理のない通りすがりの海賊がいかに地球を守るスーパー戦隊になっていくか」

だと開始前にスタッフさんから語られている。そんな1年通しての大事な縦軸の、ある意味一番劇的なターニングポイントをこの「謎のお調子者」が担うのかよ!って意表をつかれつつもホント素晴らしいなと思ったし、鎧を見る目も一変。

そんで個人的には追加戦士合流エピソードとしてもゴーカイジャー1年間の物語のマイルストーンとしても、かなり尊い回になったんだよな。

 

■賑やかバトル

初めて6人揃ってのゴーカイチェンジから乱戦へ。鎧と海賊たちのペアバトルがそれぞれ描かれゴーミンを一掃した後に、初めて6人揃っての多段変身。

ここはシンケンジャーで行きましょう→鎧だけはキーを取り出せない→追加戦士がどれかわからないマベ→「あるでしょ?顔に漢字が書いてあるやつ」→「これだな?ほらよ」

からの、シンケンジャー×5+キングレンジャー(顔に漢字で<王>と書いてある)というオチ(笑)。

スーパー戦隊の知識ゼロの海賊たちと超スーパー戦隊オタクの鎧のズレが楽しくて仕方ない。

「金色のピカピカのヤツです」と言われてとりあえず金色のレンジャーキー思い付くまま全部出して「これか」と選んでるマベとか、サカナマルに興味深々のハカセ、百枚おろしの技に食いつくジョーとかもじわじわくる。

特別サービスでオールシルバー見た時は、もう戦隊組めるほど銀戦士がいることにちょっと感動した。9年たった今だとあれから更に5人も増えてるのか。

 

■大いなる力

倒したオソガインが巨大化して、いよいよ鎧が貰った3戦隊の大いなる力の初披露。

まずタイムレンジャーの力で豪獣ドリルが未来から来る。私は当時未見だったけど、タイムレンジャー本編のロボも同じく未来から送られてきていたので、「30世紀から誰が送っているのか?」って当時気にする人が結構いた記憶。

まさか後にその「未来からロボを送り出している人」にスポットが当たることになるとは想像もしていなかった。

 

次にジュウレンジャーの力で恐竜形態の豪獣レックスに変形し、ラストはアバレンジャーの力でロボ形態の豪獣神へと三段変形。ハカセやルカのツッコミがいちいちメタだったんだけど、おもちゃで見た時にプレイバリューが凄いなと驚いた記憶。実際かなり売れて、追加戦士ロボながら玩具売上の年間総合トップ10入りしてる。

 

■海賊見習い

晴れて鎧は海賊たちの仲間入りを果たした。ただし、見習い。水夫モチーフのスーツともシンクロするし、陽気で煩くてぐいぐい来る鎧だけど、敬語キャラに加えて上下関係を付与することで、俺が俺がと出しゃばり過ぎたり衝突しすぎたりしない、っていうキャラ配置のバランス感覚が、荒川さんは本当に凄い。

しかも今後はマベたちに足りなかったスーパー戦隊の知識も彼が補うことになるとか至れり尽くせりだよ。

予告で鎧を初めて見てから17話終わった時までは正直不安もあったけど、良い意味で物凄く裏切られて、ゴーカイジャーホント凄えもん見せてくれるなって何度目かの脱帽。

1年間で見ても、シンケン前後編からあまり間をおかずバスコ前後編それから追加戦士前後編と、この時期の盛り上がりは最初のピークの山脈みたいなものだったな、と思う。