キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ゼンカイジャー25話感想: 実はトジテンドも危機一髪?な技あり総集編

冒頭からいきなり戦闘中。相手は、マヒルワルドにそっくり。だけど全く別個体のヒドケイワルドだからと警告しに割り込んできたセッちゃんが逆に捕らえられ、同時に「時を戻ソード」でゼンカイジャー結成前まで時間を巻き戻されてしまった。

今回はこの時間逆行によってゼンカイジャーが物語のスタートからここまで辿ってきた道のりを振り返るという、白倉Pが約20年前に担当した「仮面ライダー龍騎」のタイムベント回と同じ構造の総集編。

 

ちなみに今回の脚本は香村さんではなく久方ぶりの八手三郎氏。

八手氏ご本人は、バトルフィーバーJ以降スーパー戦隊シリーズの原作者としてクレジットされ続けている。脚本としては、たぶん本職のライターではなくプロデューサー主体で執筆された場合に、この名前が使われているのかなと思う。私が初めて見たのはゴセイジャーだったかな?

ヤツデさんの名前の由来はこれまで八手観音だと思っていたけど、スーパー戦隊シリーズの記念作品のヒロインだと思うとむしろ、こっちの意味合いの方が強かったのかもな、と今更思った。というか原作者と観音様のダブルミーニングだったのかも。

25話の折り返し地点まで来て香村さんが担当していないのは、この回とセイバーコラボの20話だけ。

過去に香村さんとコンビを組んだ宇都宮Pはサブライター投入で作風の幅を広げるのをたぶん意識されていて、その完成形がルパパトのシリアスとギャグの温度差だったと思う。けど、ゼンカイジャーは基本的には香村さん独りでそれをやろうとしているのかもしれないと思ったり。

 

トジテンドではボッコワウス以下幹部たちがこの作戦を見守っている。時間逆行はあくまでゼンカイジャーの世界にのみ作用して、キカイトピアには影響を及ぼさないってことみたい。並行世界だからそれぞれの時間軸が独立していても不思議はないか。

でもそのゼンカイジャー世界の歴史通りに、バラシタラとイジルデがトジテンドからモニターを見守る本人たちの前で戦線に立っているのはちょっとややこしい(汗)。

 

そんでヒドケイワルドは、ゼンカイジャー結成前時点のバラシタラ、5人目終結直後時点のイジルデの前に現れて、今のうちに禍根を絶つよう進言。でも、逆に信じて貰えず逆に警戒されて攻撃されてしまう(涙)。

更に、本編ドアワルド回では画面に映らない所で真面目に介人を捜していた時点のステイシーを見つけ、界賊に警戒するよう忠告に行く。でも、「歌って踊る、訳わからん奴ヒドケイ」という決して間違ってはいないけど絶対まともに受け止めては貰えなさそうな説明でやっぱり銃撃されてしまう(笑)。

 

介人の方は最初こそ、初対面状態のバラシタラやジュランたちを知らないヤツデさんの反応に戸惑ったりはしたものの、途中で元の時間での記憶は失われ、順調にジュラン、ガオーン、マジーヌ、ブルーンと過去に辿った道筋通りに仲間を増やしていく。

正直言って今回は、総集編として振り返る内容自体は結構ざっくりしていて個人的にはあまり強い印象はない。

その代わりこのヒドケイワルドの、自分の能力故に敵からでなく味方から次々に酷い目に合う姿が鮮烈で思わず同情してしまう。だって今回の彼って言語化すると

 

時間を巻き戻す能力を与えられて過去に飛び、未来に起こる厄難を防ごうと訴えるも、味方の誰からも信じて貰えず虐げられ身も心もボロボロになりながら、それでも自分や周囲の人たちの未来をより良く変える為に挫けずに人知れず孤独な戦いを続ける

 

って書けちゃうんだもの(汗)。まるっきりタイムリープ物の主人公みたい。

 

なお、センタイジュウギアを開発する直前のフリントが狙われた時、ヒドケイワルドに首輪で繋がれたセッちゃんと、カラフルから飛び出してきた過去セッちゃん、出会うはずのない2羽が出会った・・・(汗)。だけでなくいきなり息の合いまくったコンビ攻撃をヒドケイワルドに食らわせダウンを取っている。

タイムリープ物では、同一時間軸に同じ人間は存在出来ないとか同じ場所で出会ってはいけないとか作品毎にルールがあるけれど、そんなのお構いなし。きっとゼンカイジャーにはそんな厳密なものを求めてはいけない、はず(笑)。

 

健気なヒドケイワルドはやがてセッちゃんの言葉から、ゼンカイジャーの生みの親である五色田夫妻が全ての元凶なのだと知り、センタイギアの開発前にスクラップにしようと再び時間を巻き戻しかける。

でも間一髪、そこにゼンカイジャーたちが駆けつけて巻き戻しは失敗。介人たちが冒頭の場面と同じ台詞を繰り返すことで、遡った過去の時間がやっと巻き戻す前の時点まで追いついたことが分かる描写。

ゼンカイジャーは以前倒したマヒルワルドの再来ならまた倒せば良いだけと若干、いやかなり緩みを見せてる。寝転びながら銃撃つな(笑)。

でも実はそこまで全部演技。本当はヒドケイワルドに連れ回されていたセッちゃんから逐次情報を得ていたので準備万端だった。「お前に会える日を、全力全開でずっと待ってたぜ!」と介人。

つまり、新しい時間軸ではカラフルにいるセッちゃんとは別にもう1羽、未来から来たセッちゃんがいて、介人たちはその両方と繋がっていたというややこしいことになる。

・・・そうと分かっていたなら、途中でセッちゃんを奪還し解放してあげられなかったのかなと思ってしまうのは私の悪い癖(ごめん)。

こういうタイムリープ物でたまにあるんだけど、過去のある時点に置き去りにされてから時が流れて元いた時点に戻るまでの長い時間を耐えて待つ、または飛ばされた時間が遥か昔の場合は自分のいた未来に向けて種を蒔き、その思いが実って状況が改善することを信じながらその時代で生涯を終える、っていうシチュエーションがちょっと苦手なんだよね。その長い雌伏期間の気持ちを想像してしまってしんどくなるから。

でも下手に過去の歴史にはなかったヒドケイワルドとの対戦を途中で割り込ませたりすると、万が一歴史が未知の悪い方向に転がったりしたらマズいと思ったからってことかな。

 

販促対象のセンタイジュウギアはスーパー形態×2もセンタイジュウオーも振り返り映像の中でしっかり紹介済み。

だから、今回のヒドケイワルドとの決戦は心起きなくキカイノイドたちの技のキレを見せ付ける。最後はジュラン曰く「やっと来ました師匠の技!」ジュウレンジャーの必殺技で撃破。

 

トジテンドではこの顛末を、こちらも半年リアルタイムで見届けるのは悠長過ぎるから、結果だけ見届けてたんだろうか?その辺りはあまり深く考えてはいけない気がする(笑)。

ボッコワウスは敗北に激怒して拳を何度も打ちつけて幹部を何度も宙に浮かし、ルーティンと化していたクダイテスト→ダイワルドによる巨大戦も却下。

それを取りなすゲゲの声は今回から福西さんに交代。声自体はわりと先代に似ていると思う。少なくとも私はそんなに違和感ないかな。

 

放置されたヒドケイトジルギアはそのままひっそりと砕け散り、ヒドケイトピアの解放が印象付けられる。

ワルドが倒されるごとに並行世界が解放されるのはこの作品の基本ルールなんだけど、前回バカンスワルドの死を惜しんだ介人がそのことを改めて意識した感じはしないし、私も忘れかけてた。閉じ込められ救われた世界を実感出来ないと、どうしてもそうなっちゃう部分はあるかなと思う。

だから、前回の終わりはあれでいいと思っているけれど、今後1度くらい解放された世界の住民と交流する話があっても良いかなと思ったりした。でも出来ればゴミワルドとかはいろんな意味で避けたい(汗)。

 

その夜、カラフルではセッちゃん主役のお祝いパーティーが開かれていた。ヒドケイワルドが倒されたことで2羽のセッちゃんは融合したのかもだけど、敵に半年間連れ回されていた事実とその間の心労の記憶は残ったんだろなと思う。

そりゃあ半年ぶりに戻ったカラフルでパーティーを開いて貰い、皆から主役としてチヤホヤして貰ってもバチは当たらない。

でもそれを労う料理が全部鶏料理(笑)。「それ鳥チュンね」「それも鳥」といちいちセッちゃんが毒混じりの声でツッコむのが、声優さんのアドリブらしいけどじわじわ来る。

そこにしれっと混ざっていて誰よりも早くかぶりついている界賊一家のふてぶてしさは、もはやこれが平常運転。だけど、これまでの道のりを振り返る中で彼らに助けられたことも多かった、と再認識したセッちゃんがそのことを口にすると、事情はわからないなりに照れ始めていて可愛い。そう、海賊行為が身についてはいるけど、根は悪い奴らってわけでもなさそうっチュウ。

 

今回の作戦は、仕掛けたヒドケイワルドを過去の幹部たちが全く信じず逆に虐げてチャンスを潰したのに対し、仕掛けられたゼンカイジャーはもう1羽のセッちゃんを信じ無事に切り抜けて勝った。

一緒に過去を旅し、それぞれ自陣営のために未来の情報を伝えようとしたヒドケイワルドとセッちゃんの明暗を分けたのは信頼関係の有無。悪の組織とヒーロー陣営との残酷な対比。

ただ、ヒドケイワルドの扱いは確かに酷くて不憫だけど、セッちゃんの場合は4~5話時点で既に全員面識=信頼の下地があるのに対し、ヒドケイワルドは巻き戻し時点では影も形もないから怪しまれても仕方ないかな。特に1話当時のバラシタラはワルドという怪人の存在すら知らないわけで。

過去の自分に信じさせるような配慮を何一つしなかったバラシタラの自業自得と言ってしまえばそれまで。だけど、自分が発案しボスの前で誇らしげに説明したせっかくの作戦を、過去の自分が何も知らないまま容赦なくぶち壊す記憶が、ボスと共にモニターを見守るのと同時進行で上書きされていく居たたまれなさには同情する(笑)。

 

一方イジルデ。

2話の介人とのやりとりを見た感じ、たぶん五色田博士夫妻を拉致して奪った技術からトジルギアを開発しているんだろうな。

だからヒドケイワルドがもし失踪前の夫妻を抹殺していたら、ここまで殆どの並行世界を封印し手中にしたという壮大な成果が一気に無に帰するところだった。そう考えると実はトジテンドの存続に係わる危機一髪だったのかも。

五色田博士夫妻のことをボッコワウスやバラシタラが把握している感じはあまりしないから、もしかしたらイジルデは自分の技術の由来と夫妻の存在を隠しているのかもしれない。

だとするとヒドケイワルドの標的が夫妻に向いた瞬間心臓(あるかわからないけど)バクバクになってもおかしくなさそうで、イジルデはその前にヒドケイワルドを倒してくれた ゼンカイジャーに感謝してもしすぎることはないかもな。。

やっぱり1怪人が持っていい能力ではないよ。もしヒドケイワルドがあんな健気な奴でなく妙な野心や上司への強い恨みに突き動かされたりしていたら、トジテンドにとって危険なことになってたかも。

 

なお、マヒルワルドの時に充電切れを起こしていたセッちゃんが、半年間ヒドケイワルドと一緒にいても普通に稼働して逐次連絡を取れてたということは、ヒドケイワルドがこまめに充電してあげていたことになるよな。

攫われてたからとはいえそんな風に面倒見て貰いながら半年間ずっと一緒にいて、上司からの理不尽な扱いにボロボロになる気の毒な姿も見て「上司に恵まれない中間管理職の悲哀っチュウ」なんて言葉もかけた。だけど「同情は要らないヒドケイ」への「誰が同情するチュウか!」「だから同情してないっチュウ」が本心からの言葉でしかなくて、最後まで1ミリも絆されなかったセッちゃんは、メカだけに正に鋼鉄の意志だなと改めて。

これが介人ならたぶん1日でありがとうとか言い出して、3日もすると20個以上共感ポイント見つけて仲良くなりたがり悪い事やめようと説得始めるけど、和解の道を捜してる最中に倒さないとヒドケイトピアが解放されないことに思い当たってジレンマにドボンしてるのでは?って気がした。

 

最後に、着ぐるみの扱いについて。

リサイクルワルドの時に、ゴミワルドの姿にリサイクルマーク貼っただけで別の怪人として成立させたのを見て感心した。

でも今回のヒドケイワルドはマヒルワルドと何にも変えていない。

着ぐるみ節約は近年の戦隊共通の課題だけど、リサイクルワルドで1ステップ踏んでから今回で<ゼンカイジャー 世界では全く同じ姿の別ワルドが存在する>という世界観をしれっとねじ込めたのは今後を考えると強いなと思う。

見ている間も、上司に恵まれない中間管理職の悲哀キャラが強烈で、マヒルワルドと同じ姿でも全く気にならなかった。ゲスト怪人で大事なのはデザインの独自性以上に声の違いやキャラ立ちなんだろうな。

むしろ着ぐるみを再利用する怪人こそ、別キャラとして先代を塗り替えるような個性をガンガン打ち出した方がいいのかもと改めて思う。

戦隊では珍しい時間逆行形式を採用し、今回だけに留まらず今後の着ぐるみ節約の道筋を付け、サポートキャラのセッちゃんにも主役として堂々とスポット、と色々技ありの総集編で面白かった。