キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ゼンカイジャー24話感想: たとえ君が良い奴でも

ヤツデさんが温泉ツアーに出かけ、介人たちが留守番は任せてと大見得切った直後にトジテンド情報。店番をガオーンとマジーヌが引き受けて介人と赤青が出動する。

ヒーロー活動という「公」のために生活拠点という「私」を犠牲にはしないという、キラメイジャーでも打ち出してた姿勢。ゼンカイジャーの資金や生活費は他から援助受けてるわけでもなく、この店の利益から出ている部分が大きいだろうしね。

 

現場にいたのは、先着のゾックスと戦うバカンスワルド。名前を確認して「夏全開だなあ」と介人らしい緩い反応だけど、それはそれとして倒す気満々。

バカンスワルドが「まだ何もしてないのに」と抗議すると

「<まだ>ということは、これから何かするつもりですか!?」とブルーン。防災のために倒すと印象付け、更に何をする気か問いただすことでぼかされてるけど、ゼンカイジャーというヒーローとワルドという怪人との関係について、後になって考えさせられるやりとり。

 

介人がチェンジマンのギアを使うと、チェンジグリフォンの力で地下から吹き出したマグマにバカンスワルドが空高く押し上げられ、逆にチャンスだと地上広範囲にバカンスパワーを解放。

するとゼンカイジャーたちだけでなく会社員や主婦更には国会議員まで、任務や仕事をおっぽり出しハイテンションでバカンスモードに突入してしまう。ほくそ笑むバカンスワルドの勝利宣言と共にOP。

・・・国会議員の中に、キカイノイドがちょこちょこいる(汗)。共存始めて半年足らずで国政にもあれだけ異種族が入りこめるなんて、大らか過ぎるにもほどがある。

こんな緩い世界なら、暴力なんて使わなくてもトジテンドの息のかかったキカイノイドを穏便にたくさん送り込んでいた方が、今頃ゼンカイジャーなんかが手を出せないごくごく合法的な形であの世界を手中に出来てたんでは?と思ってしまったりした。

 

OP終盤、いつもは介人たちがわちゃわちゃしてるカラフル店内は最後まで無人のままでやがてほんのり西日だけが照らすのも、最初は何事?とちょっと不穏だったけどバカンス全開で誰も戻ってこなかったのねと思うと後からじわじわ来る。

 

トジテンドでは、「侵略が完了したであります」とバラシタラが高らかに報告。人々(キカイノイド込み)はバカンスにかまけて遊び呆け、戦意を喪失しているからと。・・・このレベルでいいのなら、これまでも何度か一時的に侵略が成功していたのでは?という気がしないでもない(笑)。

 

クダイターがクダックを率い、侵略後の世界の使い道を決めるため調査に繰り出す。この作品、基本的に頭おかしいくせに、こういうところが変にリアルで真面目なのが味になってるな。

そこで目にしたのが住民たちと一緒に遊んでいるバカンスワルド。

クダイターがバカンスワルドに偉そうな口をきいていて、ワルドの元は雑魚兵のクダックなんだよなと再認識。

キラメイジャーだとベチャットが熟して邪面師になるといういわば昇進制度みたいな仕組みだけど、ゼンカイジャーの場合はクダイターからすると、たまたま実験体に抜擢された元部下みたいな感じで上下関係が変わる意識はなさそう。

そんでクダイターがバカンスワルドに感化されていくダメな予感をぷんぷん匂わせた頃、介人たちはそれぞれの趣味趣向に沿ったバカンスを思い思いに楽しんだ後に、浜辺でバーベキュー。

付近で行われていたビーチバレーのコートをバカンスワルドが強引に分捕ろうとした時、全力で諍いコートを賭けて勝負を挑むあたりは、洗脳されていてもやっぱり根っこはちゃんとヒーローのままなんだなと思った。

そこから大真面目に延々と繰り広げられるゼンカイジャーVSバカンスワルドのビーチバレー対決(笑)。セッちゃんの「そんでそんで」な解説でサクサクと試合が進み、ジュランがボソッと「尺の都合?」と突っこむけど、いや十分過ぎるほど尺とってると思う(汗)。

最後は介人がゲームにサンバルカンのギアを堂々と使い、反則まがいの必殺アタックで豪快に勝利し、コートを奪還。

するとバカンスワルドの闘志に火がついて、「今度は純粋に、お前らと勝負したいバカンス」と言い出す。

思いっきりビーチファッションに着替えたゾックス兄弟も加わって、本当に他愛なく浮き輪投げを楽しんでる。浮き輪を受けるフリントが無駄に可愛く、ゾックス一家の圧勝するとガオーンがキラメイジャーのギアをただ祝勝のためだけにクラッカーとして使用。しかもオラディンの「きらめこうぜ!」付きという気合の入れ方(笑)。いいの?前年戦隊のこんな使い方いいの?と頭をよぎったけど、手を下した監督がキラメイジャーのパイロット山口監督だから、きっと大丈夫。

 

一方、バラシタラは部下がいつまでたっても調査報告に戻って来ないので様子を見に行くと、住民と一緒になって仲良くバカンスを満喫していた(笑)。日光浴してるクダイテストがビキニ姿で、女子もいるんだなと判明し、ちょっとびっくりしつつじわじわ来る。

 

介人たちの方は続いてスイカ割り。ゼンカイもトジテンドもなく仲良く円陣を組むと、純粋にスイカ割りのためだけに変身するヒーローども(汗)。そしてこんな時に限って限りなく正統に近い貴重な5人名乗り(効果音がちょっとバカンス仕様)。

それぞれのチームリーダーの絵の付いたスイカを特定の棒で叩き割れば勝ち。仲間は敵を妨害しても良いけど、自チームのスイカ以外割っちゃダメ。そう妙にきっちりルール説明がされて始まるスイカの争奪戦が、敵味方入り乱れたゼンカイジャー屈指の見応えと言いたくなる力の入ったバトルで、カメラワークも冴え渡ってる(笑)。

ぶっちゃけ、物語の節目の大一番的な位置付けだった前回の偽物戦隊とのバトルより見応えあるって、やっぱりゼンカイジャーは頭おかしいだろ。

そんで今回はゼンカイジャーVS界賊のバトルも繰り広げられて、ゾックスのスイカを抱えて逃げるマジーヌをフリントが気軽に発砲しながら追いかけるとか、遊びにも界賊の流儀が遺憾なく発揮されていて恐ろしい(笑)。

 

でも介人、ゾックス、バカンスワルドが同時にそれぞれのスイカを割ろうと気合全開で振りかぶった時、部下がすっかりバカンス脳に冒されて怒り心頭のバラシタラが登場。

「下っ端のくせに我々より先にバカンスを満喫するなど言語道断!粛清である!」と言うやバカンスワルドにロケット弾を放って爆殺。

「バカンスワルドー!!」介人たちの絶叫と共に、炎の中から形見のスイカが転がり出てきて、なんかもう笑っていいのか泣いていいのかわからない(汗)。

ワルド死亡によってバカンスパワーは消滅し、皆は正気に戻っても洗脳されていた間の記憶は残ってるみたいで、介人がバカンスワルドを惜しむ気持ちは変わらない様子。

 

それにしてもトジテンドは、沢山の並行世界を一気に閉じ込めて征服しちゃったとこだけ見ると最強最悪な悪の組織なんだけど、中の人達はトップも幹部も兵隊もゆるゆるだなと改めて。油断するとすぐサボって仲良く遊ぶし、敵の変身やいい話の間待ってくれるしね。

ひょっとしてたまたま五色田博士の優秀すぎる技術を目の当たりにして強引に手にしたばかりに過大評価されてるだけ?

 

「少しくらい働け!」バラシタラがバカンス気分の抜けていないクダイテストめがけてギアを投げ、ダイバカンスワルド誕生。こちらは世界をトロピカルにはするものの、「遊びは終わり」と殺意満々。まあバカンスを楽しむ同僚が粛清されたことは知らないかもだけど、バラシタラにああ言われたらそれ以上緩い気分じゃいられないよな。

その攻撃にジュランとガオーンがダメージを受けて、今回はようやくマジブルーンが出撃。ジュラガオーンの方が出撃しない理由に気を配られてる気がするのは、やっぱりこちらがメインロボだからってことなのかな。

ダイワルド以外にもう一体クダイテストもいるため、ツーカイオーカッタナーも出撃。ツーカイオーはいつも通り普通に強いけど、ブルマジーンも魔法が使え、おまけに飛べるから、以外とジュラガオーンよりピンチ演出がしづらいのもあるのかな?とふと思った。

最後はゼンカイジュウオーで圧倒&トドメんロボ3体が並び立ったのは初めてかな。これにジュラガオーンが加わればゼンカイロボ全員集合だけど、それはまだ先にとっておくんだろうか。

 

戦い終わって、商品が飛び散ったカラフル店内を総出で片付けながら、介人はバカンスワルドとの時間を思い出して「トジテンドの人たちと遊べたの、楽しかったなあ。みんなああやって仲良くできたら良いのに」とスイカを抱えて微笑む。

でも「いやそれは分からなかねえけど、結局襲ってきたじゃねえか」「バカンストピアのギアの力が特別だったんすよ」と即座に釘を刺すジュランとマジーヌ。

前回の病院でもそうだった。介人の「ステイシーと仲良くなれるかもって思った」に対し「でも仲良くなりたかったのはヤツデだけだった」と流れるように否定。

ジュラン達はトジテンドにずっと酷い目に会ってきたから、介人が誰とでも仲良くなれるのではってすぐ思っちゃう所を危ういと思ってる。けど反面、そんな介人だから自分たちは救われてカラフルにいるんで、最大の美点でもあるのはわかってるんだよね。

だから「介人は甘い」みたいな全否定は決してしない。その代わりにあくまで論理的に根拠付きで即座に希望的観測を打ち砕くのが遠慮なくて、あくまで対等な仲間として介人を守ろうとしてる感じが良い。

 

やがてヤツデさんが温泉ツアーから戻ってきて、店の散らかりようにびっくり。お怒りモードでお土産渡さないと脅し、許しを請うて土下座するゼンカイジャーたちで、続く。

バラシタラが侵略成功宣言したくらいだから、バカンスパワーはヤツデさんの旅行先の温泉にも届いてたと思うけど、元々バカンス真っ最中だったから洗脳された認識ないまま引き続き楽しんでたのかな?

 

今回は途中までひたすらヒーローと敵とが一緒に遊ぶ描写の連続で、その時は見ていて楽しくてもこのまま終わるはずないから、どこで暗転するのかと途中からはハラハラしていた。

特に介人はちょっとでも共感ポイントがあれば仲良くなれるのではと思いたがる奴。振り返れば最初にステイシーと戦うのを躊躇ったのも、見た目人間だからというのはガオーンに寄り添い過ぎての言葉で、本当はその前に一緒に駆けっこした仲だからと脳内補完してる。

そんな介人が一緒にゲームを全力全開で楽しみ、良い勝負だったと互いを認め合って「強敵」と書いて「とも」と呼ぶかのような握手交わした相手を倒す展開はキツいなって。

だからバラシタラに倒された時は、悲しいけどホッとした。

 

ワルドという怪人は他の世界を犠牲にして成り立ってる。だから、この世界だけでなく他の世界の解放も標榜するゼンカイジャーは、ワルドが何も悪い事をしてなくても、たとえどんなに良い奴でも、その存在を許してはならない。

下手すると、あのまま楽しい時間をもっともっと共有した後で、いつかは介人たちがバカンスワルドを倒さなければならなかった。

なのでバラシタラが倒してくれて実は助かった面もある。というか、今回は介人をそこまで追い込まないために、バラシタラが一度は成功した侵略を「自分より先にバカンスを楽しんだから」というみみっちい理由でぶち壊すパワハラ上司の役割を担ったのかなと。

 

「トジルギアは並行世界を閉じ込めた物。ワルドとダイワルドを倒してギアを破壊すればその世界を救える」

という仕組みを知った時から、ゼンカイジャーというヒーローにとって、自分たちの世界を守るだけでなく閉じ込められた他の並行世界を解放することも旗印となった。

そのためワルドは問答無用で倒すべき敵という見方が固定され、そこに疑問を挟む余地はなくなったのではと思う。ステイシーに対してなら(もしかしたらバラシタラにも)和解出来る余地があるのでは?と思えてしまう介人であっても、ワルドに対してはそんなことは考えたこともなかったかもしれない。

でも今回、強制的にバカンスワルドと交流し楽しく遊んだことで、恐らくワルドも含めた<トジテンドの人たち>と仲良くなれたらいいのにという気持ちを持ってしまった。

それはゼンカイジャーというヒーローとしての行動原理に現時点では反するものなんだけど、介人がそこを意識しているようには見えない。でも私は責められないな。

介人は自分たちがこれまで助けた世界やそこに住む人々を一度も見たこともなく、当然交流した事も無い。

そういう存在を実感出来ない人々への共感や想像力だけでここまで20ものトピアを解放してきたことを、私は凄いなと思っている。だからいつの間にか介人たちの並行世界解放への意識がどこか形骸化してしまう時期があっても無理はないと思った。

私自身、見終わった直後には「バカンスワルドもジェラシットみたいに生き残れなかったのかなあ?」と残念に思ってあれこれ考えているうちに「あ、ワルドが倒されない限り解放されない並行世界があるんだった。ダメなんじゃん・・・」と思い出してやるせなくなったくらい。

 

今回が、介人にトジテンドとの共存への希望を意識させるターニングポイントになるのか、もっと言えばワルドという存在に対するジレンマに直面する序章になるのか、それとも単なる1エピソードとして通り過ぎるだけなのかは気になるところ。

ただもし最終的にトジテンドとの和解がなったとしても、ワルドだけはワルドのまま生き残ることはたぶん許されない。たとえバラシタラやイジルデですら改心して共存出来たとしても。

ワルドは、共生をテーマにしたゼンカイジャーの物語にあっても絶対に共存が許されない存在なんだな。そう思うと今回みたいな回は、面白うてやがて悲しく切ない。

 

ちなみに生き残りルートに乗れたゲスト怪人て誰がいたっけって思い返したら、ジェラシット以外に思い浮かんだのがヤツデンワニ(汗)。どちらも荒川戦隊の浦沢脚本回(大汗)だと思うと、生き残りに必要なのは良い奴かどうかとか戦隊メンバーと心を通わすことができたかとか、そういうものとは別の強烈な何かなんだろなと、見えないハードルの高さを感じて複雑な気持ちになった。