ゼンカイジャー31話感想: スタートからゴールへ、ゼンリョクゼンカイオー完成
やっぱり来たよ着ぐるみのリデコ(笑)。
今回の敵、ギュウニュウワルドはゼンカイジャーにもツッコまれるくらい、堂々とトウギュウワルドの色違い。前世では角を模していた腕を、薄ピンクに塗り替えて無理やり牛の乳房にしてるのがなんか生々しくて嫌だ(笑)
ゴミワルドにシール貼っただけでリサイクルワルド → マヒルワルドの姿のまま時間モチーフ繋がりで無理やりヒドケイワルド
という超手抜きもとい製作費用節約術を見た後だと、もはやリデコしてる分だけ手がかかっているように感じてしまうのは狡い(笑)。
でもちゃんとキャラさえ面白く変えてくれれば全然気にならないってのは証明済みだから、どんどんやってくれて良いよ。
なんせハカイ銃のゼンカイザーマークを放置したことでイジルデ本人の開発能力特にデザイン能力は底が見えた気がするので、トジルギアに備わるワルドデザインバリエーションの少なさがこういう被りを産むんだと、個人的にはかなり納得した(笑)。
ギュウニュウワルドの狙いは分からないけど、何か起こる前に倒そうとするゼンカイジャー。でもそこにまたハカイザーが「そうは行かないよっ。とうっ!」とヒーローよろしく爽やかに立ちはだかる。ハカイ銃がなくても腕自体がマシンガンみたいに乱射出来るし、背中のブーメランもしっかり役に立っていて普通に強く、独りで5人を圧倒する。
だけどやっぱり軽い、というか情緒を感じない。
介人が「その格好で、悪いことすんな!」「その格好は、父ちゃん母ちゃんが世界を守るために考えたヤツだ!」と訴えても、それになんら感情が動くでも悪意を持って嘲るでもなく「俺に言われても、困るなあ」と意に介さないだけ。それが却ってちょっと不気味。
トジテンドでは、ハカイザーの銃を奪われたことに怒ったボッコワウスが拳を小刻みに激しく打ちつけ、その動きに合わせてイジルデが高速で低く跳ねまくってる。よく見れば違うんだけど、ぱっと見まるでバスケットボールのドリブルみたい(笑)。
ボスの拳の衝撃で跳ねる部下の見せ方はテニス回のラリーで1つの頂点に達したと思ったけど、種目を変えて貪欲に新たな表現を追求してるな。でもやっぱり部下はボールなのか(笑)。
ギュウニュウワルドの能力「ランダムミルク」は、腕から発射した牛乳をかけることで服でもビルでも何でも漂白する。白信号機が事故を起こして、ああこうやって混乱させる狙いかと納得しかけた矢先に、セッちゃんからラボのデータが消えていくと緊急連絡。携帯のデータも消えて不通になり、本からも文字や絵が消えて真っ白、街中のコンピュータのデータも消えてしまう。
ちょっと待て(汗)。見たところ本やコンピュータにはランダムミルクは直接かかっていないはず。特に地下に隠されたセッちゃんのラボには届いているはずがない。なのに、ハカイザー曰く「文明滅びちゃうな」なんてレベルで影響が及ぶってのが壮大過ぎて、ちょっと理解が追いつかなかった。だって牛乳だよ(笑)?
前回は干し柿の「乾かして作る」という製造工程が強制脱水化による大量殺戮作戦に繋がり、今回は牛乳の色が情報データの強制白紙化による文明滅亡作戦に発展(汗)。
これ、もしかして9話で早々にカシワモチ中毒が特大インパクト与えちゃったために、以後食べ物モチーフのトピアの力を素直に食べ物として出せなくなった結果とか?
生みの苦しみの中でモチーフと能力のこじつけが暴走して、ありふれた食べ物の単なるいち特性を世界存亡レベルの破壊兵器にまで育て上げてるってこと?だとしたらゼンカイジャーのスタッフ会議って一体どれほどの狂気が渦巻いてるのか見てみたいよ(笑)。
いつものビルの屋上では、ステイシーがハカイザーにゼンカイジャーを舐めない方がいいと警告。でもハカイザーはむしろ敵が思いもよらないパワーを発揮するのなら楽しみだと楽観的。そこに空からヨホホイが乱入して、ステイシーの出番は今回これだけ。
ステイシーなりにハカイザーを「何かおかしい」と思う小さな布石って感じだろうか。でも小さ過ぎてよくわからない。
ゾックスは「俺は界賊、強敵出会えばこの血が騒ぐぜ♪」と歌いながらハカイザーに勝負を挑む。ん?この人そんなバトルジャンキーキャラだっけ?と一瞬戸惑った。この時は。
一方、カラフルに駆け戻った介人たちが見たのは、体内のデータを失い介人のことも自分のことも分からなくなり、やがて完全に機能停止してしまうセッちゃん。
冒頭で、戦いに赴く介人と送り出すセッちゃんとのタッチが印象的にスローモーション演出されてたのは、その友情の危機が暗示されてたってことか。
いつも全力全開、元気で前向きな介人がセッちゃんを抱きしめてボロボロ涙をこぼし、その弱々しい背中が映し出される。
喋らなくても子供の頃からずっと大事な友達で、それがまた喋らなくなっただけ、とはいかないんだろうな。両親が失踪してからはたぶんずっと心の支え。
そんで喋り始めてからは、両親が自分たちのために残してくれていたものをセッちゃんを通じていつも与えて貰っていたから余計に、データだけでなく両親との精神的な繋がりも断ち切られてしまう恐怖と喪失感が一緒に甦ってしまっても不思議はないと思う。
(ごめん、「牛乳が直接かかってないじゃん」に囚われたせいでここ、頭では理解出来たけど感情移入が追いつかなかったのが悔しい・涙)
そこにフリントが飛び込んで来て、「ギュウニュウワルド見つけたぜ」と告げる。遙か上空にいたから、界賊船は牛乳の影響を受けてなかったみたい。
「兄貴今ちょっと忙しくてさ、せっかくだから教えに来てやった」と、ハカイザーと戦っていることは伏せたのな。
ギュウニュウワルドを倒さなければセッちゃんは元に戻らない。けどセッちゃんが機能停止した今、介人たちにはワルドの居場所が分からないから、これ以上ない助け船。
セッちゃんを助けるために介人たちは早速現地に向かい、ギュウニュウワルドは早速ハカイザーに助けを求める。
けど、頼みの綱の用心棒はゾックスと絶賛交戦中。そのため来られないことが演出で強調されていたし、今回ゾックスはこれを狙ってハカイザーに勝負を挑んだんだな。
ハカイザーが来ない今のうちに倒そうと勢いづくゼンカイジャーは、群がって出てきたクダックをジュランたちが引き受けて次々に歩道橋から飛び降り、画面から消える。
1対1になるとギュウニュウワルドは「貴様1人なら余裕で勝てるギュウニュウ」とほざいていて、いや介人は今スーパーゼンカイザーなのに舐めすぎでは?と思ったら、介人は「1人じゃない!」とゼンリョクゼンカイキャノンのビーストパワーを使い、動物モチーフのレジェンド戦士4人を召喚。
ハカイザーが使うと同一色セレクトなのに対し、介人が使うと色はバラバラ、というか良い感じに赤青黄緑の戦隊カラー。ガオレッド、ブルードルフィン、イエローオウル、ジュウオウエレファント(セッちゃんがいないと解説がないのが寂しい)と、陸海空制覇で肉食草食のバランスもとれている。
そこに白の介人が加わって、なんだかマイセレクト動物戦隊を率いているみたい。
これまでステイシーやハカイザーに敵側戦士として召喚されていたレジェンドたちが、晴れて正義側として技を繰り出しワルドを翻弄するのは見ていて楽しいし、キャノンの販促にもいいと思う。
一方で、そのためにジュランたちを画面の外に追いやるのは、これまでも何かとキカイノイド組は割を食いがちだったからちょっとモヤモヤしたのも正直なところ。これからもこの機能使う度にジュランたちは画面の外に消えるの?って。
でもキャノンはゼンカイジャーの商品展開最後の砦みたいなもんだから、売れてくれないと困るんで仕方ないのかな?そう思うと悩ましい。ならばジュランと赤い誰か、ガオーンと黄色の誰か、みたいにコンビで戦うのが見たいかなと思う。
それでも今回はわりとすぐトドメのために皆が戻って来てホッとした。前回独りで撃った反動で吹っ飛ばされたからと、介人を後ろ一列になって支える並び順でわちゃわちゃ揉めてるのは可愛い。
世界が元に戻って行くのを見て、自分がツーカイザーと戦っている間にギュウニュウワルドを倒され任務に失敗したと悟ったハカイザー。「こーりゃあイジルデに怒られるなあ。ま、いっか」とやっぱり軽いノリで撤退。「今日の仕事はおーわりっ」とそれが成功で終わろうが失敗で終わろうがあまり気にしてない様子。
「血が騒ぐ」と戦いを挑んだ割にハカイザーの撤退を引き留めようともしないゾックスは、それより何か気になる様子。
ダイギュウニュウワルドとゼンカイオー2体の戦いは、拭いた後雑巾臭くなるランダムミルク攻撃に、ぬぬぬマジーヌで巨大牛乳瓶から外した蓋を使って敵の牛乳噴き出し口を塞ぎ対抗という、いつものトンチキ攻防からスタート。牛乳瓶の蓋を外す奴、子供の時以来凄く久しぶりに見てつい懐かしくなった(笑)。
すると復活と同時にチューニングも完了していたセッちゃんは、キャノンの飛行モードを使えと指示。
冒頭でセッちゃんが設計データには残ってない新たな力が隠されているようだと語ってたのがこれか。なるほど、単に介人が武器として使うからだけじゃなく、介人が乗るビークルにもなるから、ゼンカイザーカラーでありマークであったわけね、と納得。
飛行モードからいきなりオーバーキル気味な必殺技「ゼンリョクカイザーストーム」が放たれ、ギュウニュウワルドはサクッと爆散。
するとイジルデはボッコワウスに予告していた新兵器、ニュークダイテストを2体投入。頭など部分的に青くメタリックな感じでクダイテストと差別化され、能力は未知数。
そこにセッちゃんが「もう1つ分かったことがあるチュン。なんと、5人みんなで合体出来るっチュン」と言い出して、介人たちはびっくり。
前年のキラメイジャーを始め、これまでの戦隊だと5体合体はスタートなことも多かったんだけど、ゼンカイジャーではむしろ30話過ぎて皆が驚くゴールという位置付けなのか。
玩具的にはもう5体合体から買い増していく商品展開についていく家庭が少なくなってきているとの判断だろうか、と思うと改めて複雑。ここ数年、何やかや生産コストが上がって、昔と同じ価格で同じクオリティのロボ玩具を出せなくなってるっぽいのは感じてきたけれど。
ただ、合体シークエンスでのキカイノイドたちのワクワクぶりがなんだか新鮮で、5人の力が合わさったロボを最強として最後まで大事に活躍させられるのなら、それはそれで良いことかもな、とも思った。
去年とかもだけどこれまで最強ロボが出てくるとどうしても、大事な相棒たちで構成される1号ロボのキラメイジンがかませになるケースは避けて通れなかったわけだし。
共に足を担当するマジーヌに「支えましょう!」と力強く呼びかけるブルーンが格好いい。
完成したゼンリョクゼンカイオーはプロポーションも凄く良いな。東映公式も言ってたけど、当初予定にはなかった合体とは思えない正統的な格好良さ。まあここまで長いこと5体合体の1号ロボをたくさん作ってきて、合体ノウハウもたくさん蓄積されていればこそだとは思うけど。
販促的にも、これならキャノンの登場を機にゼンカイオーのロボを2つとも買い揃えようと考える家庭が増えるのでは?って期待出来そうかな。
なお、ハカイ銃もといキャノンにゼンカイザーのマスクデザインがあったのを見た時は、玩具都合とはわかっていても「イジルデお前それもう少しなんとかしようと思えよ(笑)」とツッコんだけど、イジルデがそんな出来る奴だったらゼンリョクゼンカイオーの背中がハカイザーの顔になってたかもな(笑)。そう思うと、やっぱりそのまま丸ぱくりしてくれてありがとうイジルデ。
でもまさか奪われた銃でゼンカイジャーの恐らく最強ロボが誕生してしまうなんて、イジルデ本人もびっくりしてたけど、ボッコワウスたちがどう反応するのか考えるとちょっと楽しみだったり怖かったり。
ジュランたちはロボのパーツだから、コックピットには介人1人だけ。だけど壁面に4人の肖像画があり、そこを通して会話出来る仕組み。
敵の攻撃に対し、ブルーンとジュランが次々と、自分のモチーフに紐付いた全力マシンパワー、全力ジュラシックパワーを繰り出し、トドメの全力バイブスラッシュでまず一体撃破。その間にトジルエネルギーを充填して更に巨大化したもう一体もマジーヌの全力ミラクルパワーで拘束し、必殺技「オール戦隊ファイナルビッグバン」で、新兵器とはいえクダイテスト相手にいささかオーバーキル気味なトドメ。
当初予定になかったってことは着ぐるみも無かったのか、オールCG。動きが滑らかでスピーディーで、なんだかルパンカイザーを思い出した。
その夜のカラフル。食卓を囲んで、ゼンリョクゼンカイオーはゼンカイジャー5人とセッちゃんや五色田夫妻みんなの力が合わさったロボットだと総括され、なんとも綺麗な締め。
と思ったらその頃、界賊船ではゾックスが釈然としない顔。どうしたのかとフリントに問われて、
「ハカイザーと戦って感じたんだけどさ、あいつ、なーんか、介人と似てんだよな」といきなり核心に踏み込んで、続く。
今回、なぜハカイザーがギュウニュウワルドを助けにやって来なかったのかは、介人たちは知らないまま。
ゾックスが勝負を挑んだ時には、この人強敵見ると血が騒ぐキャラだっけ?とちょっと違和感あった。元々は面白いことに全力で首突っ込む一家ではあるようだけれど。
でも自分がハカイザーを独りで引き受け、ゼンカイジャーにギュウニュウワルドを倒させる狙いだったんだ、と思えば納得。しかも介人達の精神的な負担にならないようその事を伏せて、フリントにはギュウニュウワルドの居場所だけを伝えさせた。
そんで、ゼンカイジャー5人をまとめて圧倒したハカイザーの足止めにもちゃんと成功し、その正体にもいち早く迫っている。今回出番は少なくても格好いいよゾックス。
こうなると誰よりも先にハカイザーの正体に気付いて、介人やヤツデさんを苦しめないよう知らないうちに自分だけで倒そうとしたり、正体を話せない為に何かとの板挟みになってわざと悪役を演じてしまったりするゾックスが見たくなってきて困る(笑)。
一方で、今回の描写は「ゾックスは本当に強敵と戦いたくて、それがたまたま良い方に転がっただけ」って解釈することも可能ではあるんだよな。
香村さんは偽物回のゾックスにも、本当に自分がムカついただけで介人を脱獄させたのか、それとも介人の苦境を見かねたのか、ハッキリとは描かなかった。
しつこいけど、ルパパトでノエルに同じような描き方を多用された時は、いろいろ不幸が重なって警察官としてのノエルの見せ方にはマイナスに繋がってしまったと思っているから、ついついその当時の記憶が重なって、もうちょっとハッキリ描いてくれてもいいかもな、とも思ったりする。一方でそういう部分をあれこれ解釈する楽しさも魅力の1つだと確かに感じているから、複雑な気持ち。
ともかくゾックスにこれからもこういう描写が使われるなら、ちょっと気を付けて見ていようかなと思う。