キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ゼンカイジャー22話感想: 異世界に大事な物を見つけた時に

冒頭、空手の猛者にラグビー選手というガタイと突進力の強そうな人たちを次々に頭に角の生えた<闘牛>にしてしまうトウギュウワルド。

駆け付けたゼンカイジャーが物凄く久しぶりに真っ当な5人名乗りで、これまでがこれまでだったから意表を突かれてちょっと残念な気持ちにさえなってしまった(笑)。この後の展開を考えると、5人の気持ちが本当の意味で1つになった回だからきちんと名乗りをさせたかったけど、その時には約1名戦闘不能になってるからその前にここでやるしかなかった、みたいな感じかなと勘繰ってみたり。

トウギュウワルドは<牛>にされた人に指定した色を襲わせる能力があり、赤:ジュラン→白:ゼンカイザー→青:ブルーンと順番に襲われ、一般人を傷付けるわけにいかず今回も厄介な能力。

介人はセンタイジュウギアを呼ぶもなぜか来なくて、トウギュウワルドを倒せず逆に遙か遠くまで吹っ飛ばれてしまった。

 

ガオーンは、料理にいたずらしようとしたセンタイジュウギアを追いかけ回したら店の外に逃げてしまったことを思い出し「家出しちゃったかも」と告げていて、ジュランは機械の体を嫌うガオーンがまた酷い仕打ちをしたのではと責める。

回想見る限り今回のガオーンに非はなくて可哀想。だけど、彼が以前ステイシーをジュランたちから守って妨害してしまったことへのわだかまりが、ジュランの中で埋み火みたいに燻っていて、今回着火しちゃったのかな。あの時はジュランたちが折れて許す形だったから余計に。

ガオーンも、「やったのが人間の子供でも同じことをしたか?機械だからじゃねえのか!?」と問い詰められると自信がない。猫じゃらしでくすぐられた時を思い返すに、たぶん叱るにしてももっと声に愛がダダ漏れしてたのでは?とは私も思うからなあ。

ジュランがガオーンの胸倉を掴んでいるのを見て、急いで「手だけ離そう」と間に入る介人。安易にどちらかを否定しない。その後「ガオーン、あのさ、」と何を言いかけたのかはわからないけど、口調からしてそれでも嗜める言葉をかけようとはしていたんだろうか。

 

トジデントではバラシタラが今回の作戦を説明。ゲゲが口をパクパクしてるけど台詞はボッコワウスが話している場面は、ゲゲの声優さんがスキャンダルから体調不良による活動休止を公表した影響だろうか。ゲゲの台詞をボッコワウスに振り分けた?そんな目で見ると、心持ち今回のボッコワウスが物わかり良くなってるように感じて、大きな影響があるシーンではないはずだけど複雑な気持ち。

 

バラシタラの説明がボッコワウスにすんなり受け入れられ、話が征服後のことにも及んでいることに苛立つイジルデは「ステイシーの奴ぅ、一体何をやっている!」

→カラフルサンデーを美味しく頂いてました(笑)。食べながら頬が緩んでいて、サンデー自体も本当に美味しく気に入ってるっぽいのが他愛なくて可愛い。

 

一方モヤモヤしたままセンタイジュウギアを捜すジュランは、オープンカフェでカキ氷食べてる界賊一家に遭遇。

「よう赤いの」とゾックスは名前こそ呼ばないものの向ける目線がなんか柔らかくなっていて、「機嫌悪いな、なんかあったのか」と一応様子を気にかけているのかな?彼は介人を面白いと気に入って、前回も友情を示したと思っているけれど、ジュランたちをどう思っているかはまだそんなにクローズアップされていないから気になるところ。

トウギュウワルドの話を聞いてゾックスが向かった後、ジュランはフリントにセンタイジュウギアについて「家出するなんて聞いてねえぞ」と若干八つ当たりっぽくクレームを付ける。

でもフリントは「そんなこと出来るレベルの人工知能ついてねえもん」と一蹴。実際、ゴミ集積場のネットに引っかかってもがいていた。可愛い(笑)。

「こりゃ俺、やっちまったかぁ?」と頭をかいて呟くジュランが良いな。時には頭に血が上って早とちりもするけど自分の方が悪いとすぐに客観視出来て、でもこういう行き違いはわりと誰にでもある事と「誰にでも」に自分も含めて受け入れているっぽい。やっちまったことに焦りはするものの、変に自責しすぎたり狼狽えすぎたりせず対応しようとするのが感じ取れて、根っこの部分で頼もしいおっちゃんだと思う。

 

一方ガオーンは全力全開で反省中で、若さもあって「こんな僕」と簡単に自己評価が下がる。公園で、子供たちが人間もキカイノイドもなく気遣い合いながら仲良く遊んでいるのを目にして、思い出すのはキカイノイドに対して冷たく当たる自分の料理を、屈託なく思い切り褒めてくれる仲間たち。

もうジュランたちが良い奴らなのはわかっていて、キカイノイドの体を理由に嫌う気持ちは解けている。それをはっきり行動に移して過去の自分と決別する時が来たんだと決心し、キカイノイドの子供に人間の子供にするのと同じように目線を合わせて優しくボールを手渡して挙げる姿が象徴的。予告で見た時から楽しみな場面だったけど期待に違わず。

ガオーンに料理上手な設定を振り分けたのが本当に効いている。これがあるからキカイノイドの仲間との完全な断絶にはならず繋がりを保てていて、皆のご飯を作って褒められるのを繰り返すことで距離が縮まっていくことにも説得力が出てるなと改めて。

 

セッちゃんはステイシーの正体を知っているから警戒心全開で見張っていて、ヤツデさんを巡る2人の睨み合いが可愛い(笑)。

何にも知らないヤツデさんは、セッちゃんを作った息子夫婦の話を始める。この話し方が、そんなに重い話されても困るよねって気を配りつつも、内容が深刻で辛くてちょっとでも手掛かりが欲しい気持ちがどうしても滲み出ちゃう感じ。実際にこういう話し方間の取り方を見たことがあるので、リアリティを感じて切ない。

そのやりとりを店の外で聞いていた介人。ステイシーが初めて店に来た時から、ヤツデさんへの気持ちをだいたい正しく把握して、大事な祖母に近づく敵だと排除するどころか温かく受け入れ、奢ってさえいる。

一度はゾックスの気持ちにつけ込んで利用したことを怒り敵として撃退したけど、何か共感ポイントがあればそれを切り捨てられずに分かり合える希望を持ってしまうのかな。あのバラシタラにさえ親の情にホッとしてしまうのを見ても、ここは介人の美点でもあり危うい弱点でもあるような。

 

<牛>を率いるトウギュウワルドと遭遇した青桃からの連絡を受けて介人はまたステイシーを放置して駆け出し、それを知ったステイシーも現場に向かおうとする。

ヤツデさんが元気に「またおいでね!」と声をかけると

「今日が・・・最後かもしれません」と思い詰めた様子で告げるステイシー。

ヤツデさんは何か事情があると察して一瞬顔を曇らせた後に笑顔を作り、おやつ券を握らせてもう一度「またおいでね」とだけ言う。さっきの「またおいでね」とは違う包むような笑顔と声の優しさと、それに辛うじて頷くステイシーの表情に、何度見てもうるっと来てしまう。

ステイシーがヤツデさんの事情をしっかり把握したことは絶対に今後の展開に繋がると思うので、これが今生の別れになるはずはない、と思っても切ない。

以前、センタイジュウギア開発へのステイシーの貢献を誰1人知らないのがもどかしくて、カラフルサンデー1ヶ月無料パスポートあげてよと思ったけど、ヤツデさんはそんな事情なんか知らなくてもおやつ券をあげて、いつでも来てねと添えた。ホント八手観音すぎるなと思う。でもステイシーが彼女の大事な孫を倒す=殺すと心に決めていると知ったら、優しい観音様のままでいられるだろうか。

 

トウギュウワルドの元には先にゾックスとジュランが駆けつけるも、ジュランマジーヌブルーンが<牛>にされてしまい、他の<牛>と一緒にゾックスを標的に。でもジュランから事前に事情を聞いていたゾックスがギンガマンのギアを使うと、皆一斉にゾックスに懐いた(笑)。

ゾックスが<牛>に取り囲まれて「よーしよーし」とあやす異様な光景の中、「黒騎士は牛に懐かれるっチュウ」と、さも事実であるかのように堂々と解説するセッちゃん(汗)。

黒騎士のパートナー星獣が牛モチーフだからって「五色田博士夫妻(またはフリント)は黒騎士を牛に懐かれる奴だとイメージしてこの能力を付与した」と、全てを彼らの解釈力イメージ力のせいにしてトンデモな能力をしれっと付与する香村さんが狡い(笑)。ゴーカイジャーギンガマン回を同じ黒騎士にフューチャーしつつ感動的なエピソードに仕上げたのと同じ人が書いたとは思えない(褒めてる)。

でも頭に角つけたごつい男たちに恍惚の表情でまとわりつかれるという酷い絵面状態(汗)にゾックスが長く耐えられるわけもなく、うんざりして振り払うと一転、<牛>たちが再び襲いかかる。ゾックスはギアの力が切れたかって言ってたけど傍目には邪険にされて怒ったようにしか見えない(笑)。

 

遅れて駆けつけた介人はその光景を見て「早くトウギュウワルドを倒さないと、ゾックスが皆を傷付けちゃう」と焦る。「一般人に配慮しないゾックス」を否定せず黙認しちゃってる辛さだな。

こんなにいろんな考え方を一概に否定せずに受け入れて、なんとか皆が良い形になるように頑張るのは偉いし、そんな介人だから皆が盛り立てようとするのは分かる。けど、いつかキャパオーバーにならないの?身動きとれなくなったりしないの?って危なっかしくも感じてしまうな。

 

同じく遅れて駆けつけたガオーンもその状況を把握。そんでトウギュウワルドを挑発し、わざと自分を<牛>の標的にさせる。ガオーンの狙いは、自分が<牛>を全部引き受けて

・その間に介人とゾックスにトウギュウワルドを倒してもらう

・ジュランたちがゾックスに傷付けられることから守る

こと。だけど更には後に判明するけど

・これまで自分が冷たくしてきた仲間から攻撃される形で罰を受ける

という自分なりのケジメの意味もあったことに驚いて、泣けた。今回は本当、うるっとくる場面がつるべ打ちで、渡辺監督にまんまと転がされてる。

ガオーンの声は「進撃の巨人」のエレン他で大活躍中の梶裕貴さんだけど、若々しいちょっと未熟さや不安定さのある青少年の叫びがビシッとハマって凄く魅力的で、なぜこの役に起用されたのか、節目節目で改めて納得させられる。

 

ガオーンの捨て身の覚悟を見た介人が一か八かセンタイジュウギアを呼ぶと、今度はフリントの言葉通りネットを脱出して駆け付けた。ゾックスと揃ってスーパー化すると、一気に撃破。

結局センタイジュウギアの家出騒動は、ギアがいなくなったことや戻って来たことには何のドラマ性もなかったのはちょっと意外で、そんなレベルじゃないとはっきり言われてしまったこともギアにはちょっと可哀想だけど新鮮だった。考えてみると、どうもマスコットロボが家出するという戦隊恒例エピソードに慣れすぎていたせいかもしれない(笑)。

けどジュランの早とちりをきっかけにガオーンが自分を見つめ直し、ジュランたちを心から仲間として認められるようになった。雨降って地固まる。

前回、介人が偽物だと分かっていても撃てなかったガオーンを見て、気持ち分かるけどあなたオニゴッコワルドの時は鬼にされた本物ブルーンを容赦なく撃ってましたよね?って突っこんだんだけど、今のガオーンはもうブルーンの事もきっと撃てなくなってる。というか本当は意識してないだけでもっと前から撃てなくなってたのかも。

 

そんな感動的なやりとりの間、「話は終わったか?」とずっと待っていてくれたクダイテストさんが優しい(笑)。というかイジルデやバラシタラも銃の取り扱い説明の間とか待っていてくれたから、組織としてのカラーか。

そして日本の闘牛は黒毛和牛だからという豆知識を振りかざして世界を焼肉全開にするダイトウギュウワルド(笑)。ゼンカイジャー屈指の感動的なドラマの後で、巨大な灼熱の焼き網の上で繰り広げられる、敵の攻撃を換気口で吸い込んで無効化し牛タンで拘束する悪側と、牛タンを「悪くない」と食いちぎって打開する正義側の戦いが、ひたすら頭おかしい(笑)。

それでもまだデビュー2戦目のセンタイジュウオーの勝利。と思ったら、今度はステイシーがバトルシーザーロボ2世を召喚し、ゼンカイジュウオーに挑む。強化された2世にゼンカイジュウオーが圧され気味で、ゾックスは闘志増し増しだけど介人は・・・?ってところで続く。終わってみれば前後編だった。

 

今回はガオーンの成長やステイシーとヤツデさんとの交流にうるっと来たり狂った巨大バトルに笑ったりと、凄く見応えあった。

特に、異世界で見つけた好きなものを全力で愛する反面、同種族を躊躇なく否定してしまっていた過去の自分に決別し、仲間のキカイノイドたちのために体を張ってみせたガオーンのドラマは、ゼンカイジャーという物語の中でも1つの節目になったのではと思う。

一方で、同じく異世界に大事な人を見つけたのに、所属する世界のしがらみやそこで培われてしまったマイナス感情に囚われて諦めようとしてるステイシーを見ていると、過去のガオーンの爪の垢でも煎じて飲めばいいのにと思ってしまってもどかしい。

あと、介人がジュランもガオーンも責めずに「手だけ放そう」と取りなしたり、ヤツデさんがステイシーに余計な詮索をせず「またおいでね」とおやつ券を渡したりとか、いつにも増してキャラたちのその場での身の処し方や言葉の使い方が絶妙で、そのたびにキャラの好感度が上がるんだけど、それって結局は脚本の香村さんの会話センスやバランス感覚が凄いって話になるんだよな、と改めて。