キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ゼンカイジャー16話感想: たぶんもうきっと、たった1つの宝物

前回ゲゲ主導で行われたレトロワルドの作戦は失敗。だけどボッコワウスは可愛いペットのゲゲが楽しめたならそれで上機嫌。「鳥の僕にも使えるなんて、とても良い発明だね」とゲゲが誉めると「(猫撫で声)そうかそうか~。(ガラッと変わる)良かったな、イジルデ」。

そりゃあバラシタラも「あの鳥も俺様たちと同じく負けたというのに、この差デアル」とぼやきたくもなる。

ゲゲはもう1回別のギアを使ってみてもいいかとボッコワウスに甘えた声でねだり、ボッコワウスが快諾してイジルデにギアを見繕わせたところでOP。

 

OP今日の見所コーナーで怒濤のサトシ連呼。あのカシワモチ連呼すら超える勢いで、まあ予告からこちらも楽しみにしてきたけど中澤監督が全力全開でサトシ弄り(笑)。

ステイシーがうっかりカラフルに来てヤツデさんにほだされる展開は待ち望んでたけど、てっきりヤツデさんに「ステイシーちゃん」て呼ばれて戸惑う姿を想像してた。香村さんはこれまで「マベちゃん」「けいちゃん」て意外なキャラに「ちゃん」付けして馴染ませてきたから。

でもまさかステイシー自ら「サトシです」と名乗るとかこちらの想像のはるか斜め上の破壊力だったよ(笑)。

 

ゲゲが送り込んだ今回のジシャクワルドによって、キカイノイドも人間も体が磁力を持ってしまい、街中のいろんな金属がくっついてまたしても大混乱。

その直前、マジーヌが水晶占いを介して街角で子供たちと交流を始めていた。内気な彼女もカラフルから1人で外の世界に踏み出したのかな?と思うと、諒くんを思い出してほっこりする。

 

ジシャクワルドの居場所を突き止めた介人たちが変身のため皆でギアトリンガーを構えた途端、これも隣の人の体にくっついてしまい、あたふたしながらも強引に変身。変身するだけでいちいち絵が面白いのが狡い。

銃で狙うも磁力に引っ張られて狙いが定まらない上に、無限鉄骨攻撃の下敷きに。その隙に悠々とワルドに逃げられてこの場は完敗。

後から来たゾックスが磁力の影響を受けていないのは、発動した時にその影響範囲外にいたってことかな。

 

ゾックスに助けて貰った介人たちがへとへと状態でカラフルに戻って来ると、今度は店内の小さな金属が飛んできてくっついてしまう。その中にカラフルサンデーを食べていた人のスプーンもあって

「お客さんすいません、ただ今磁石なもので」と介人が間違ってはないけど凄くゼンカイ世界クオリティな台詞と共に相手の顔を見ると、サンデー持ったまま目を見開きフリーズ状態のステイシー(笑)。もう予告の時からこの瞬間が楽しみだったよ。

介人たちが一斉に「ステイシー?」と言った瞬間、絶妙なタイミングで飛んできたセッちゃんのけたたましい声が被さってしかも介人の腹にくっついてしまい、「ステイシー」という名前はなんとなく有耶無耶になったところに、ヤツデさんがステイシーを「サトシ」と呼んだ!

それを聞いてジュランが正そうとすると、ステイシーが「サトシです!」と有無を言わせない勢いでごり押し。まるで「この場はステイシーとして害意を働く気は無く、サトシという1人の客で通すから合わせろ」と言外に迫ってるみたい。

予告の時はステイシーがこの場で咄嗟に「サトシ」と口走るのかと思ったけど、その前にヤツデさんがカラフルに引っ張り込んだ時に名乗っていたのか。諒くんの時もヤツデさんは最初に名前聞いてたしな。

 

何も知らないヤツデさんの前だからと介人たちが調子を合わせると、ステイシーもといサトシは更にヤツデさんに「ありがとうございます。美味しいです」と丁寧に礼を言う。

それを見た介人が何かを感じ取るのが印象的。

ヤツデさんが非金属のスプーンを取りに行った隙に警戒体制に戻る両陣営だけど、キカイノイドの体だけだんだん磁力が強まって重い設備も動き出し始め、下手すると店ごと倒壊しかねない事態にキカイノイドたちはいったん外に避難し介人も後を追う。

磁力が引き起こす事態が、ステイシーの正体バレや衝突を自然に回避させている。

そんでよく考えると、いくらキカイノイドたちが大変でも、自分たちの基地であり祖母もいるカラフルに敵のステイシーを1人残すのは普通は危険と考えるのでは?

でも迷わずそうした介人は、たぶんさっきの「美味しいです」を見て大丈夫と判断したってことになる。基本的に性善説の塊なんだとしてもいろいろ凄いな。まあ土台にゼンカイジャー世界の緩さあってこそかもだけど。

 

その介人の判断は結果的に正しくて、ステイシーはヤツデさんから穏やかにスプーンを受け取ってサンデーを完食し、カラフルを襲うどころか逆にめちゃくちゃになっていた店内の片付けを1人で手伝い、女の力では動かせない重い設備も元の位置に戻した。中性的な容姿でもここはやっぱり男の子。

「ありがとね、サトシくん。助かったよ~」「またおいでね」

たぶん母親が死んでからこれまで、トジデントで一度も言われたこともなくこれからも言われることはないと思ってた優しい言葉が次々浴びせられて、ステイシーの中に積み重なってく。

「またおいでね」の時のステイシーは店から出ようと背を向けていたけど、顔が見えなくてもステイシーの気持ちが伝わって思わずうるっときた。

トッキュウジャー23話で祭の記憶を取り戻したライトがずっと背を向けたままだったりとか、中澤監督は時々ここぞという場面でそういう演出をする。宇都宮Pが東映公式でのルパパト24話の紹介で魁利とつかさの場面に触れて中澤監督を「後ろ姿の魔術師」と呼んでいたのを思い出した。

 

ワルドの力がだんだんエスカレートして大ピンチになる展開はこれまで何度かあるけど、その際に人間とキカイノイドへの影響の大きさが違う。キノコワルドの毒やレトロワルドの精神攻撃は人間の被害の方が深刻で、今回はキカイノイドたちの方が大変。そんで被害の軽い方が打開のために立ち上がる。

異なる者たちが共存することで、その多様性が全滅を防ぎ互いをカバーし合える。そう見せたいのかな?とちょっと思った。

 

街中の金属に追いかけられて逃げ続ける4人は、まずマジーヌが自販機の下敷きになり、ブルーンもトラックと乗用車に挟まれ「アイルビーバック」とターミネーター2みたいなサムズアップでリタイア(笑)。

残ったジュランガオーンに今度は界賊船までコントロールを失って引き寄せられてきた。こういう場合、普通は重量の軽いジュランガオーンの方がぴゅーっと飛んで界賊船にくっつくのでは?とか思っちゃダメ(笑)。あくまで磁石にされた側の方が強い、それこそがジシャクワルドの力のキモなんだよきっと。

 

前回に続く界賊船=妹弟たちのピンチにさすがに危機感を覚えたゾックスは、介人がステイシーにジシャクワルドの居場所を教えてくれと頭を下げる現場に介入。戸惑い拒否モードのステイシーに「おとなしく言うこと聞いた方が良いんじゃない?」と脅す(笑)。「介人はヤツデの孫だ。介人の命を狙ってること、バラされたくはないだろ?」

いろいろと凄い場面。

 

まず敵であるステイシーに頭を下げてこちらに有利な情報を教えてくれ=裏切れと頼む介人。

これまでのステイシーの言動から必ずしもトジデントに忠実な訳ではなく、ヤツデへの態度を見て更に、所属組織の意向に反するこんな願いも聞いてくれる可能性があると思ったのかな。

介人ってうっかりするとあのバラシタラにすら親の情を勝手に読み取ってホッとするくらいだから。ホッとするってことは、バラシタラにすら親の情をフックに話の通じる余地があるのでは?と、もし考えてしまうということだとすると、恐ろしいな介人、と。

 

そんでゾックスはちょっとヤツデさんへのしおらしい態度を垣間見ただけでステイシーの気持ちを瞬時に見抜き、でもその場に乗り込んで正体をバラしヤツデさんに真実を告げるでもなく、単にステイシーにダメージを与えてザマミロするでもなく、今後の恰好な交渉材料として大事に胸に納めておいて、ここぞという場面で脅迫(汗)。

とても正義の味方とは呼べない、ホント強かな界賊って感じ。

介人がヤツデさんの孫って情報は、相手が違えば逆に介人の弱点を敵にバラしたことになるんだけど、ゾックスは逆にステイシーの弱点に出来ると踏んで強気に交渉したってことだよね。

 

そしてステイシーの方は逆にヤツデさんを人質に脅すとか微塵も考えられず、そういうハッタリすら言えずに素直に従う。

つくづく悪役やってくための資質が追加戦士に完全に負けてるよステイシー(涙)。

そもそも侵略対象世界のキカイタコ焼き屋にもたぶんちゃんと料金払ってて、店内がめちゃくちゃで困っていたヤツデさんを助けて片付けを手伝い、そうしたい相手には礼儀も敬語もちゃんと使えるステイシーは、根は素直で育ちも良いんだろうし、彼ほど今いる環境が悪いだけって思わせる悪役も珍しい気がするな。

 

両親失踪時のヤツデさんの慰め方を見ると、介人は両親の愛情は疑ってなくて、だからこそ自分を置いて消えるなんておかしい、何か悪いことに巻き込まれたのでは?という不安に押し潰されそうになっていたのかもしれない。

けど、もしヤツデさんがいなければ自分を捨てたと恨みを育ててしまう可能性も小さくなかったのでは?とも思う。いずれにしても介人はヤツデさんのおかげで両親失踪による心の傷を最小限に食い止めることが出来たんだとすれば、介人とステイシーを分けたのはヤツデさんの存在の有無かも、と思ったりする。

でもトジデントにヤツデさんみたいな人が生きられる余地があったか考えると、やっぱり介人たちが住むあの一際大らかで優しい世界との環境の差は大きいな。

全キャラ中一番ヤツデさんを必要としてるのはステイシーだろうし、早く光の世界においで。

 

ステイシーはジシャクワルドを騙して岩漕山(岩船山の「船」を「漕」ぐの字にってわかりやすい・笑)に誘き出す。

そこに待ち構えていた介人とゾックス。体にくっついた金属が重くて大変だと文句を言う介人にセッちゃんが「悪かったな、チュウ」(笑)。介人が頭下げた時にも「苦しい・・・」と呟いたりしていて可愛い。変身した後も雑にくっついていて何気に戦場デビューしたんだな。

キカイノイドほとではないとは言え磁石状態の介人は、またしても無限鉄骨の下敷きにり大ピンチ。そこに、色んな物がくっついて遠目にわかりにくいかもしんないけどジュランガオーンが、界賊船から逃げ続けてどうせもうダメならジシャクワルドを巻き込んでやると向かってきた。たまらずワルドが磁石パワーを弱めると、船はかけ続けていた逆噴射で遠くに吹っ飛び、ジュランガオーンも介人も大物金属が体から離れて動けるようになり、形勢逆転。

更にすかさずセッちゃんの指示で介人がファイブマンのギアを使うと、「磁石は熱を加えると磁力が弱まる」みたいな理科の知識が介人の口からスラスラ。理科の先生であるファイブレッドの能力で、「介人が、賢い?」と声を揃えるジュランガオーンが酷い(笑)。まあ氷河期知らなかったから仕方ないけど、介人は知識はなくても対人では賢いと思うぞ。

 

ジュランが自分にも火力があると思い出して「貰って貰って」とガオーンにも分け、ツーカイザーシンケンフォームとの炎の連携攻撃が、カメラワークも相まってめっちゃ格好良い。そんで今回のトドメはゼンカイザー単独。

それを見届けて「これでいいだろ」とステイシー。ゾックスがせっかく握ったこの弱味を手放すとは思えないから、この先も「バラされたくなければ」と骨の髄までしゃぶられてもおかしくないと思うんだけど(汗)。

 

ダイジシャクワルドにはまずツーカイオーリッキーが立ち向かおうとするも、磁石の同極が反発する力を利用して合体解除され、遙か彼方に飛ばされてリタイア(笑)。販促がひと段落したとたん、容赦なくギャグと共に他のロボとの販促バランスを見られて、前回の等身大戦不参加に続いて今回はロボ戦不参加。まあ近所の玩具屋さんだとツーカイオーは売り切れていてたぶん次の入荷までもう暫くかかるだろうから、今回はゼンカイオー販促でいいのかも。

そのゼンカイオー2体も合体解除させられたけど、ガオーンが自分たちの反発を逆に利用してジュランを飛ばし攻撃させ、意図に気付いたブルーンマジーヌもこれに参戦。ひたすらボールのように飛び交って斬りつけているジュランが酷い絵面なんだけど、ピンチを逆手に取ったこの作戦を即座に受け入れていて、やっぱりこの人は大人だ。

たまらずダイワルドが極を反転させると今度は全員くっついて、「・・・何これ?」という間の取り方が凄く中澤監督(笑)。

全員その位置から一斉に何言ってるのかわからない必殺技の名を叫びながらフィニッシュ、というどこか間抜けな流れがやっぱりゼンカイジャー。

 

トジデントでは、幹部2人がゲゲの失敗をあげつらい、ペットの分際であまり偉そうな口を聞くなとか、ここぞとばかりに日頃の鬱憤を晴らそうとする。

だけどゲゲは「でも僕が手を出した事で、ボッコワウスの機嫌が直ったと思わない?君達はこれからも、自分のやりたい事を試してごらんよ。また僕が機嫌を取ってあげるからさ」

と、ゆったり構えた気怠げな怪しい声で、自分の存在は2人にとっても有益でかつボスの機嫌は自分次第だと優位性をアピール。

更にステイシーにも「今は黙っておいてあげるよ」とこっちも弱味を握ったことを仄めかしながら高笑いして舞い上がる。

冒頭ではいかにもボッコワウスに甘えて取り入る女幹部みたいだったけど、何種類かの声のトーンを自在に使い分けて、なんだか底が知れず不気味な存在感が増した感じ。

 

カラフルでは夕食が終わって、キカイノイドたちは昼間の疲れで皆うたた寝してしまった。

起きているのが介人と2人だけになったヤツデさんは、サトシと何かあったのかと聞く。昼間の皆の態度を見てそんな感じがしたと。サバサバしているようで、こういう時の聞き出し方が、繊細だな。

介人は「えっと・・・前に喧嘩したんだよね、派手なヤツ。でも、今度あいつが来たらまたカラフルサンデー食べさせてやってよ。今度は俺のおごり」

敵であるステイシーがこれからもここに来て、ヤツデに優しく接して貰えることを望まなければ出て来ない台詞。ヤツデには絶対危害を加えないし、それどころかたぶん慕っていることも今回のことでわかり、ステイシーの境遇にも思うところがあるんだろうか。

「こーんなの作っちゃおうか!」と互いに身振りでふざけるやりとりが可愛く優しくて、ホント好きだな香村中澤コンビのこういうラスト。

 

ステイシーは今のトジデントに大事な物も忠誠心もなく、その行動原理は反発する父親を超える手柄を上げることと、大嫌いな介人を倒すこと。

でもそれならゼンカイジャーの根城と家族の存在はトジデントにとって願ってもない情報で、それを差し出せばステイシーの功績にもなって、介人も苦しめられたはず。

なのに報告もせず介人にもヤツデさんにも手出しせず、黙ったまま逆にヤツデさんに嫌われたくないからと、味方のワルドまで売った。

ヤツデ観音にとってはこれまでその手を差し伸べてきた多くの人の中の1人なのかもしれない。

だけどステイシーにとってヤツデさんはたぶんもうきっと、母親の死後初めて出来た、たった1つの宝物でしかないんでは?と思うとちょっと切ない。