仮面ライダーゼロワン32話感想: 不破さんの頭の中で夢を持つ
※或人が過去にいた飛電インテリジェンスと今の飛電製作所、どっちも<飛電>がつくから、表記を<インテリジェンス>と<製作所>に分けます。
今回或人に助けを求めて来たのは、ファッションモデルヒューマギア、デルモのマネージャー。
Instagramのフォロワーが50万人もいる人気でファッションショーへの出演も決まっていたのに、突然停止させられ回収され、ファンは悲しんでいると。
回収されたデルモと回収されなかったヒューマギア達の違いは知名度?停止した姿を世間に公表されてヒューマギア擁護派の旗印にでもされたらまずいとか?フォロワーが50万人もいたら水面下の反発も確かにありそう。
でも住民投票で擁護派めっちゃ少なかったよなあ。まあゼロワン世界の大衆ほどアテにならないものはないような気もしてるけど。
復元したデルモはかなりシンギュラっていて、ヒューマギアであることに誇りを持ち、ショーでランウェイを歩き、自分を表現することが夢だと語る。
ヒューマギアがファッションショーのような目立つ場所に登場したらザイアが黙ってないということで、今回から製作所に<ヒューマギアを守る>用心棒として雇われているのが不破さん。
華麗な転身。
早速破壊にやって来た唯阿さんが、変身しようとする不破さんから一瞬の隙をついて装備を奪い、逆にショットライザーを不破さんに撃って変身させるのは格好良かった。唯阿さんこういう素早い動きがスタイリッシュで魅力的。
棒立ちで「私は道具じゃない」ってロボットみたいに繰り返すよりずっと良いよ。
けど、そのあとの上だけ赤縁眼鏡が昔の漫画の教育ママみたいでちょっと、いやかなり嫌だ(汗)。
テレビ朝日の公式では29話のランペイジ初登場回の時点で何を根拠にしたのかわからないけど「亡の思考を完全に排除した諫」と解説していた。
でもやっぱりそんなことはなくて、唯阿さんが亡のチップをコントロール出来るよう遠隔で設定変更したらまんまと操られる不破さん。
でも操られる時には最強フォームのランペイジではなくアサルトウルフに変身するのにはちょっとクスッとしてしまった。
ランペイジで操られたら収拾つかないもんね。
製作所での用心棒としての初仕事は逆に足を引っ張ってしまい散々なスタートだけど、守るはずのヒューマギアを逆に破壊という致命的な失敗の前に迅が乱入し、不破さんを連れ去ってくれた。
「僕を信じてくれ」と言われて「分かった。頼んだぞ」って或人は任せたけど、迅はこないだ亡を
<不破さんの頭の中から>
解放しようとしてたこと知らないんだよな・・・ってちょっとドキドキした。
迅は不破さんの中の亡しか見ていない。
そこから逃げてフラフラしながらやっと戻ってきても、亡が出て来ているのを知るとイズも或人も不破さんそっちのけで「ヒューマギアも夢を持って良い」と訴える。不破さんの体を使って夢を叶えようとすることになるかもしれないのに。
不破さん可哀想。もっと怒っていい。
ショーの当日。こっそり不破さんから逃げて1人になり、精神統一でもしたかったのか歓声の録音?に浸っていたデルモ。
そこに唯阿さん@ジャッカルレイダーが迫り、すっかりお馴染みになった部下2人と追い詰める。唯阿の仕事ぶりが不満の天津も参戦。或人とイズが守ろうとするけど、天津の攻撃でデルモは足を負傷。
デルモを破壊するって繰り返していたのに、脚を怪我したのを見て満足してる天津はすっかりポンコツ化。まあ、それだけランウェイ歩かれたら何より困るってのが頭にあったんだろうけど。
こうなるのを防ぐためにいたはずの不破さんはデルモをしている時に滅、迅と遭遇。
滅はアークから重要な指令を受け、滅亡迅雷を復活させると言う。それには亡の存在が必要だから亡を解放させたい迅とは目的が同じだと。
彼らが不破さんに何をしたのかしなかったのかよくわからないけど、またしてもアサルトウルフの姿で戻ってきた時は亡の意識で、だけど亡の意識は変わっていた。
「私も、夢を見たい。でも、夢がなんなのか、私にはまだわからない。だから、代わりにヒューマギアの夢を叶えたい。誰か、デルモの夢を叶えてあげて」
天津に「お前に夢などいらない。お前は私の道具だ」と言われて
「私は、何者なんだ?私はヒューマギア。でも、道具じゃない」
と怒り、その怒りに不破さんの意識も共鳴する。
亡がどんなヒューマギアだったのかはスピンオフを見ていないからわからないので、そんなに感情移入出来ないのは残念だったけど、台詞が良くて全部抜き書きしてしまった。
ちょっと555の巧が頭をよぎったり。
あれだけヒューマギアを憎んでいた不破さんが自分の頭に住み着かれた亡を認め、「2人で1人の仮面ライダー」みたいになったのも感慨深かった。
アサルトウルフの姿に交互に挿入される亡と不破さんの変身シーンとか、そう来たかって燃えた。
亡の外見は中性的、ボーイッシュな女性に見えてそれも魅力的ではあるんだけど、同時にストイックで自分を表現することを知らないか自分に禁じ殻を被った姿にも見える。
それがモデルヒューマギアの職能的に自分の魅力をアピールすることに長け、シンギュラリティによって自分自身であることも女性型ヒューマギアであることも誇りを持ち思い切り楽しんで表現しているデルモの主張に影響を受けて変わっていく。
っていうのが、例えば同じクラスのストイックで従順な優等生と自由奔放なお洒落女子の関係とかを見てるみたいで面白かった。
物陰から亡の覚醒を見て満足気な迅は「これで後は亡を解放するだけ」と不穏なことを言う。
迅の<解放>ってこの前の時は不破さん殺害を意味したんだけど、不破さんは恐らく手術で頭にチップを埋め込まれたのなら、もう一度手術で無事に取り出すことは出来ないのかな?
もっとも、頭からチップがなくなってしまったら、不破さんは変身出来ず戦えなくなってしまうっていうジレンマがあるんだけど。
憎んでいたはずのヒューマギアとの文字通り共存がこれからの不破さんのテーマだろうか?
自分の中の人工知能が自我に目覚め、自分の体を使って夢を叶えようとしたら、人間のあなたはそれをどこまで許容出来るのか?
それってもしかしたらこの番組のテーマ
「人間を助けるために作られたロボットが自我に目覚め人間社会で自己主張し対等な権利を望んだら、人間達はそれをどこまで許容出来るのか?」
が、不破さんの体内に凝縮されてるってことなのかもしれないんだけど。
自分と同じ立場だった不破さんからも、自分が道具だと見なしていたヒューマギアの亡からも、目の前で道具じゃないと宣言され、未だ道具のままの自分が惨めになったのか変身を解いてしまう唯阿さん。
次回はとうとう彼女が爆発するらしいけど、やっとだよ。長かった。ちょっと長すぎたかな・・・・。
(ここから辛口)
ごめん、足を怪我したデルモの、ランウェイを歩くのという夢を叶える方法がなんで「イズが代わりにモデルとしてランウェイを歩く」になるのが分からない。
途中で客席からの歓声を浴びることへの思いが語られて、だから歓声を聞かせてあげて夢は叶えられたってことなんだろうけれど。
デルモの夢はランウェイで自分を表現することで、欲しかった歓声とは自分に向けられたもの
って理解だったから。
イズと或人がやったのは、デルモ個人の夢を途中で、ヒューマギアがランウェイを歩くことで世間に存在意義をアピールするっていう自分達の野望にすり替えたようにしか見えない。
もっと言うと、その場の思いつきで秘書ヒューマギアのイズが代わりにランウェイを歩けて、それで歓声を貰えるほどモデルの仕事はチョロくて替えがきいて競争も激しくないの?
デルモの再登場を望んでいたファンはそれで良いの?デルモの人気はデルモ個人ではなくヒューマギアだったことによるところが大きいの?
って思っちゃう。
製作側はこの番組を通してお仕事を紹介する事に拘っている、と聞いたことあるけど、ハッキリ言っちゃうと製作側はモデルの仕事を舐めていて、だから「イズと或人がランウェイを歩く」をやりたくて、そのためにデルモの夢をダシにしたんじゃないの?とまで思ってしまった。
で、ショーの直後にヒューマギアの復元し提供すると公に宣言するなら、その時点で当然データの器になるヒューマギアのスペアを複数用意してないとおかしいし、もしスペアがあったならデルモ本人がランウェイを歩けたんじゃないの?とも。
社会問題になるくらいヒューマギアの不法投棄が多いなら、或人がちょっと頑張れば他にも集められたと思うんだけど。
もし1体しなかった場合、ある一時期だけ活動させたらまたデータ引っこ抜いて次のヒューマギアに体を譲るの?それで満足するユーザーはどれくらいいるだろう?
「夢を持ったヒューマギアはハッキングされ、暴走する心配はありません。」
なぜそう言い切れる?
そして「夢を持ったヒューマギア」はもはや、或人が信頼を取り戻そうとしている人々が望む仕事を大人しく引き受けてくれるとは限らないのでは?
結局、或人の思う「夢を持ったヒューマギア」とは、「与えられた職能の範囲内でその仕事をより良くしたいと、人間に都合の良い夢を自主的に思ってくれるヒューマギア」に過ぎないように思えちゃう。そこから外れ、例えば人間を滅ぼしたいと自主的に思ったチェケラのような、人間に都合の悪い夢は想定していないよね?
まあでも、滅亡迅雷が復活したら、今度はそこにスポットがあたるのかな?