キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ルパパト: 陽川咲也について~サブライターが育てたポジティブお化け~

今回は咲也について。悟の時と同様、以前書いたこともまとめて総括する形になるかなと思う。

 

正直言って最初の頃はどちらかと言うと興味は薄かった。

理由は、あんまり裏表なさそうなキャラだなってのが一つと、序盤はあまりきちんとしたメイン回をやらなかったからかも。

 

3話で透真と抱き合わせ

7話でメインの初美花に利用される

11話は強いて言えば咲也メインだけど性転換のイメージ強すぎ

19話でやっとがっつり単独メイン

て感じ。

ただし、回が進むにつれてだんだんキャラが掴めてくると同時に、なんか思ってなかった方向にすくすく育って、終盤では「化けたなあ」と思うようになった。

 

■素直であるとは

ルパパト開始前に雑誌で「素直」と紹介されてたのを読んだ後で本編を見た時の違和感。

 

・のっけから快盗がギャングラーを倒してくれて良かったと言う

・U号した先輩に「なんか汗臭い」と言う。

・ランチ休憩中とは言え制服姿で初対面の可愛い店員をナンパ。

・初美花に本気かと聞かれ「可愛い子とは仲良くなりたいじゃないですか」。

・毒に冒され瀕死で駆け付けた圭一郎に「今融合すると先輩の毒が僕らに」と言う。

 

ちなみに書いたのは全部メインライターの香村さん。

「これ、素直と言うにはズケズケ遠慮なくアグレッシヴすぎないか?」と最初は思った。

でもいつしか「素直」とは、自分の気持ちを隠したり変に屈折したりせず伸びやかに表現することで、私の方がハイハイと大人しくいうことを聞く「従順」と素直をはき違えてたんだと気付かされた。

咲也の「素直」は

好きなものや人を隠さず照れず計算せずそのまま好きと言い

モテたければカッコつけずにそう言い

仲良くなりたければ嫌われる事を恐れず近づき

上司や先輩の意見でも違うと思えば言葉や態度に出し

居てくれてよかったと思えば快盗の事もそう言い

より大事だと思う方をシンプルに選び

ひねくれたりねじくれたりしたところがない

ツンデレから最も遠い人

なんだな。

いろんな意味で屈託なく伸びやかに自分を出していく。そして他人の言動の裏や表情などからの余計な情報をあまり気にしたりせずに性善説でポジティブに受け取る。

初美花の咲也に対する態度なんて、側で見ているつかさが余裕

で困ってる事に気づくくらいだったけど、意に介さない。

 

初美花は退学してなければ出会った当時は現役女子高生に相当して、当初私はそこに引っかからなかったと言ったら嘘になる。

だけど、たぶん咲也にとっては、自分が社会人で相手が女子高生だとか年齢差とかは関係なく

「可愛いものは可愛い、めちゃめちゃ良い子はめちゃめちゃ良い子。だから好き。それだけ」

なんだよね。

特撮のルパパトを「体裁はどうあれ良いものは良いんだ」と年間ドラマ部門2位に選んだBros編集部に通じる所があるかも。

 

■「花」を照らす太「陽」として

ただし当の初美花にとって、序盤での咲也のイメージは最悪。振り払っても振り払っても来るお誘いに心底困ってたし。

そんな初美花が自分から咲也にアプローチするのは例外なくピンチを打開しようと利用するため。

 

だけど、

「いつもお洒落気合入ってるよね?好きなの?」

「きっと友達も巻き込まれたんですよ!可哀想に・・・」

ろくにまともな会話もしてない、脈なしと思われた序盤7~8話の時点で実は、子供の頃からの夢とそれを封じて快盗をやっている理由という、初美花の重要な2つの核に関わる部分をごくごくあっさり掴んでた。

その頃から初美花の人生の大事な局面を支えるポテンシャルは持ってたし、たとえ事情は知らず利用された形でも、咲也が初美花にその時はガチ恋までは行かずとも好意を持っていた事が、魁利も透真ももちろん初美花も救ったこともある。

 

そこから15話で警察官としての姿勢を密かに見直され、22話では咲也の受け取り方とは違う、素直な意味での「いい人」に昇格。

39話ではもはや、ぼかしながらとはいえ大事な事を相談出来る頼れるお兄さんポジションを獲得してしまった。 

「初美花ちゃん的にはどっちが大事?」と的確なアドバイスのできる咲也は、素直でポジティブ故に時に騙されることはあっても、自分の気持ちに素直故に、本当に大事な場面での優先順位は絶対外さない。

それは本人が本当に善良で心から平和と市民の安全を第1に思っているからこそでもあるんだけど。

コミカルな描写が多くても本質的には国際警察に選ばれるだけのデキる人。

 

咲也はこれが核にあるから、尊敬する先輩達に対しても言いなりではなく必要と思えばバンバン意見するし、自分の立場より皆の笑顔を優先できる。

但し、たとえその後相手から嫌われ避けられたとしても構わず笑顔で話しかけ続けられる、不死身のメンタルが必要かもと思うと、気軽に見習えないかも(汗)。

 

そんな彼のどこまでも真っ直ぐな気持ちはとうとう初美花に届いた。

お正月の晴着姿を咲也に見て貰いたそうな素振りを見せる。

食事に誘われたら、7話で利用するために誘った時とは違う、咲也の年齢に合わせた大人っぽいワンピースを選ぶ。咲也も初美花の年齢を考えた、ラフな服装だったけど。

そしてどこまでも初美花を信じたい咲也の「真っ直ぐ、真っ直ぐ帰ってね」には、初美花に快盗として咲也を騙し利用する事はもうこれ以上出来ないと思わせる力があった。

 

咲也はパトレンジャーという太「陽」が昇るのとほぼ同時に着任したわけだけど、太陽としての咲也は闇に咲く初美「花」を照らし続けた結果、光の中に生きなくてはと彼女に思わせるところまで来ていたのかもしれない。

 

■究極のポジティブシンキング

このあたりが咲也のキャラクターの核なんだろうな。取り上げた描写もほぼメインライターの香村さんによるものだし。

ただし、咲也のキャラはこれだけでは語れない。戦隊キャラの掘り下げはサブライターが幅を広げることも多いけど、咲也は特にそれが大きかったと思う。

信じやすさ前向きさがサブライターの回で暴走を始めちゃったんだよね。

 

・女体化してもすぐにその状況を前向きに受け止め、メイクさんやスタイリストさんに女性として「仕上げて」貰い、映画撮影継続を切望する。そして後にその時の写真を見て「楽しかったですね」と懐かしむ。

・怪人に操られたのもあるにせよ、入門して三週間で師範代になったことも稽古がエアロビクスそのものなのもおかしいと思わずに突き進む。

・ノエルが自分の歓迎会を自分で主催することに違和感を覚えた形跡がない。

・クリスマスケーキのためにパリに行くノエルを瞬時に受け入れ笑顔で送り出しただけでなく、帰ってきたばかりのノエルにまたチキンを買いにもう一度パリに行くよう頼む。

 

これら全部サブライターさんによるもの。

あらゆる異常な状況を前向きに捉えて突き進むポジティブお化けだと思うよこれ。

正直、サブライターさんが話をギャグに転がしやすいように誇張してる感じはあって最初は違和感もあった。

でも大笑いできたのも本当だし、ここまで突き抜けられたらもうこれはこういう形で大輪に花開いてしまったんだなあと、圧倒されてしまったりして(笑)。

 

レオタード回とか、メインの香村さんが今後にむけてコツコツと初美花の咲也に対する好感度を積み上げていく側から、一瞬にしてゼロまで引き戻している気がしなくもないけど(汗)。

 

ただしそんな咲也でもポジティブに受け取れない例外はあって、それが「いい人」=振られるサイン。

さすがのポジティブお化けでもトラウマになるくらい振られ続けてきたということなの(泣)?

それとも香村さんが書いた回だったからまだそのあたり人間らしい弱さが描かれたんだろうか(違)。

 

■枠のない人

大和屋さんが担当した実質最後のゲスト怪人回にあたる45話のサモーン回は、咲也の優しさ親しみやすさに加え、このポジティブお化けの魅力も最大限活かされた集大成的回だと思う。

そして今回は快盗達も、招待してくれた幼稚園の子達を喜ばせたい&悟の事で悲しむ先輩達を元気付けたいっていう咲也を心底好ましく思い、積極的に協力する。

コレクションやギャングラーに関係ないところで快盗メンバーが警察メンバーに心から全面協力するのはこれが初めてだと思う。

1年間の関係の積み重ねがベースにあるとは言え、咲也だからこそ魁利達も巻き込んでのこういう楽しい展開に持ち込めるんだろなって説得力を感じた。

 

ノエルがケーキ買いに行った時の超ポジティブな受け止め方は前述したけど、これ見方を変えると、「変身してわざわざパリに」っていうヘンテコなシチュエーションに気を取られすぎず、

「子供達と圭一郞達のため更には自分の気持ちも酌んで、彼の考えるベストを尽くそうとしてくれたんだ」

とノエルの思いにいち早く目を向け、素直に感謝したんだろうなと思える。

咲也は騙されやすい反面、こういうナチュラルな見極めが早い。このあたり表裏一体なのかな。

平和への思い、人々を助けるのが第1とか、本当に大事な部分の優先順位は揺るがないけど、それ以外はなんでもあり。

枠がないというか。

咲也の<ありえるありえないの境界線の位置>は実は、不思議な力を持つルパンコレクションが身近にあって数々の不可能を可能に出来る術を知っているノエル達ルパン家の人々と案外近いのかもしれない。

 

私、わりとそういう人を危ういと思いながら特別に尊敬するようなところがあって、

「実は咲也がそうだったのか!ごめん最初の頃見くびってた(謝)」

ってなった。

咲也のキャラクターの核を作ったのはもちろんメインの香村さんだけど、ここまで魅力とある意味化け物じみたスケール?を広げたのはサブライターさん達の力も大きかったと思う。

 

そんな咲也とノエルの「顔と動きが煩いコンビ」は見ていて終始楽しかった。

警察の中ではいち早くノエルを受け入れ、その言動も比較的好意的に受け止めてくれていたのもこのようなキャラを踏まえれば納得だし。

自分が突然女体化しても前向きに受け入れるんだから、ノエルが人間か否かなんてわりとどうでも良かったんだろなと思う。

だから余計に、快盗の正体が分かった後の咲也のノエルへの激高が、実質この二人の最後の絡みになってしまったのが悲しい。

 

「キャラクターブックDUE」の座談会でメンバーの俳優さん達が「ノエルのためにVシネを」って言ってくれてたのが嬉しくて

「そーだそーだ!もっと言ってやってもっと言ってやって!」

だったんだけど、横山さんが

 「僕は49話で胸ぐらを掴んだ記憶を塗り替えたいから、ノエルともう一度ギャグ回をやりたい」

って言ってくれたのを読んだ時、いろんな気持ちが一気にこみ上げてきてヤバかったのを覚えている。

その願い、叶えてほしいな。

あと、出来れば初美花との恋の行方ももちろん。