キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ゼンカイジャー30話感想: ハカイザー登場、正体隠しスキルの差が狂ってる

おかしいとは思ったんだ。

冒頭でカキワルドがいきなり登場して「柿食えば鐘が鳴るなり砲」を世界に放った時、何?今回の怪人デザイン・・・って。

マスクの両側はいかにも柿らしいつるっと丸いオレンジの頬。でも明らかに継ぎ目があって、それに挟まれた顔の中央は色がもっと黄色く筋みたいなのがうねうねして顔のパーツを表現してる。頭のヘタも触覚に見えて果物というよりなんだか蜂の顔みたい。

テニスボールでお蝶夫人の髪型を完全再現したテニスワルドの秀逸デザインの後だったから余計に、ぶっちゃけハズレデザインに見えた。もうちょっと何とかならなかったのかなって、この時は。

 

鐘が鳴るなり砲は、ただ大音量で人々を苦しめるだけで目的不明。駆け付けたゼンカイ5人に聞かれても答えず、なら倒しちゃえば同じだとゾックスも参戦した時

「やめろお、ゼンカイジャー」とイジルデの新戦士が木の上から降り立つ。「機械のパワー、ハカイザー」

先週の東映公式がやたらと「この名前にだけはしたくなかった」云々とか言い訳していて(笑)、そりゃあ東映特撮ある程度見てれば誰でもハカイダーを連想するよね。

ゼンカイザー、ステイシーザー、ツーカイザーと来て次に敵側の新戦士を出すならこの名前が一番しっくりくるんだという言い分もわかるけど、でも追加戦士デザインに堂々とゴーカイのデザインパクってるスタッフさんだから、「そんなの建前で確信犯だろ」と言いたくなる(笑)。

デザインは普通に格好いい。ヒーロー番組の主人公と言われても納得する。そんでネットで何人もの人が指摘してくれた、体に「父」の字(汗)。前回登場した時からその正体はもう決まってるだろって感じだったけど、答を体に書いてくるな(笑)。

なおここまで、

ゼンカイザー→アカレンジャー

ステイシーザー→バトルジャパン

ツーカイザー→ゴーカイジャー

と皆デザインモチーフが過去戦隊の赤なんだけど、ハカイザーは一見すると私にはそこまで過去戦隊味を感じない。設定的にはウルザード(ファイヤー)っぽいからマジーヌと戦隊が被るけどそうなのかなと思って見比べたけど、言い切れる程ではないのかな。

 

「俺はワルドをガードするためにイジルデに作られた機械戦士だ」

「ってことでぇ、邪魔する奴らは全力でハカーイ!」

東映が「史上最高に爽やかな敵」と言うだけあって、ハカイザーは名前の割に台詞が妙にポジティブでヒーローっぽい。棒読みだけど。

ただし敵としては強い。独りで普通にツーカイザー含む6人まともにふっとばさて、ここまでゼンカイジャーの怪人やバラシタラにすら感じなかった強敵感。

持ってる武器、歴代スーパー戦隊のマスクが並ぶゼンリョクハカイ銃は更に凶悪で、チャンバラパワーを選んで操作するとニンジャレッド、ハリケンイエロー、シンケンイエロー、キニンジャーという黄色の和風戦隊をセレクト召喚。ステイシーザーのギアトジンガーより器用みたいだけど、あちらは強化戦士を出せるんだよな、と思っていたら黄色戦士たちが普通に強くてツーカイザーからもダウン取ってる(汗)。

その機を逃さずカキワルドは鐘が鳴るなり砲をゼンカイジャーたちにも喰らわせて逃走。

ハカイザーも「よおし、カキワルドを守ったぞお!じゃあなっ!」と爽やかな達成感丸出しで撤退(汗)。

やばい。面白い。前回ステイシーの影に潜んでたし、利用されて実の息子と戦わされるんだからどんだけシリアスなキャラが出てくるのかと身構えてたら、秒でゼンカイの作風に馴染んでた(笑)。想像の百倍くらい爽やかで軽くて気さくで前向きな、まるでヒーローみたい。

そこにホッとしたり笑ったりする反面、恐らく素の性格や口癖はそのまま、特に言葉の使い方に介人の父っぽさをたっぷり感じさせたままで悪事の片棒担がされているエグさ哀れさも感じてしまう。

 

トジデントでもハカイザーのデビュー戦の評価は上々。イジルデは、ステイシーに続く実験兵士で今回は(ステイシーがスーツを着るステイシーザーとは違い)イチから作った機械の戦士だと強調する。やっぱり五色田博士夫妻の技術をぱくったことはボスにすら秘密で全部自分の功績にしたいみたい。

「ふうぅん、イチからねえ」とそれを見透かしたようなゲゲが相変わらず不穏。

ステイシーザーより性能が上がったように見えるとの評価に「ですかね?まだ比べたことないですけど」とハカイザー。なんとなく、ちゃんと確かめないことは決めつけない、科学者の精神を感じた。

ステイシーは前回大活躍したせいか、今回はこうやって比べられて不機嫌になり退出するだけ。本人に対してはザマミロ的態度ながら息子が去ると暫く見送るバラシタラにちょっと秘かな親の情を感じたい(しつこい)。

 

セッちゃんはハカイザーとハカイ銃の正体を突き止め、カラフルに戻ってきた介人たちに、まくし立てる。銃に見覚えがあり博士たちの残したデータを調べて組み合わせたら、同じスーツと銃が出てきたと。ハカイザーは元はゼンカイザーのデザイン候補の1つだったもので、ハカイ銃は正式名称ゼンリョクゼンカイキャノン。

これでイジルデが五色田博士夫妻から技術を盗んでトジルギア開発にも利用したことが、ゼンカイジャーたちにも把握された。イジルデからその技術を更にぱくったのが界賊たちのシステムだということも。2話でイジルデの見せた「偶然だな」の狼狽え方が伏線だったことも確定。

だけど判明したその真実をどうこう言う前に一同が驚愕したのは、やかんの注ぎ口から直接水を飲み続けるヤツデのあられもない姿。前回はテニスボールにされた姿も可愛らしく、ステイシーを秘かに寝返らせる圧倒的ヒロイン力を見せつけたヤツデさんのこんなお行儀悪い姿を見せてくるとは(笑)。全力で演じてくれてありがとう郁恵さん。

介人たちは自分たちも喉がやけに乾いてサイダーを手にしたことに思い当たり、同じ頃ゾックスも船にあるだけの飲み物を全部飲み干してなお渇いていた。

 

街でも人々が渇きに苦しみ、水道の蛇口を争うという、ゼンカイジャー史上屈指のガチな地獄絵図。

それを嘲笑いながら姿を現したカキワルドは、顔の両側を外してシワシワの頬を露わにし、自分は実はホシガキワルドだと正体を明かす。これにはホントやられた(笑)。最初ハズレデザインとか言っててごめんよ。

まさか正体隠すために語尾まで合わせて騙してくるなんて思わなかった。ワルドの語尾は本人の意識付けの為に言わせてるものだから、こういう目的のためなら変えることは可能なんだけど、語尾で正体がバレたこともあるのを今回は逆手に取っていて、こういう所にも脚本香村さんの知力を感じる。

でもちょっと待て。ハカイザーは一応幹部ポジションで、ホシガキワルドはいち怪人。普通なら正体隠しスキルは幹部の方が上でしかるべきなんじゃないの?雑魚怪人がこんなに用意周到に正体を隠してるのに、幹部の答えが体に書いてあるの狂ってるだろ(難癖)。

って、ぶっちゃけ「体に父って書いてやんの(笑)」と笑ってたらワルドにまんまと騙されて、結構悔しいからの八つ当たりですすみません(笑)。

 

カキワルド改めホシガキワルドの能力は、鐘が鳴るなり砲を聞いた者の体内から水分を奪って干からびさせること。

なんて凶悪な能力。一緒にビーチバレーを純粋に楽しんだ敵もいたというのに、ここまでガチで殺しに来てるワルドは久々かな?

なお私は今週ワクチン接種の副反応で熱が39.1度まで上がり、脱水対策で水ばかり飲んでいた1日を経験したので余計に恐ろしく感じる(怖)。

 

介人たちはゼンカイジャーに変身するも、喉が渇き過ぎて名乗りの勢いも急激に萎み、力が出ない。もう文字通り絶体絶命って言って良い感じの彼らの前に出現したのがなんと給水所(笑)。

界賊一家総出で紙コップに水を注ぎまくってる。彼ら、特に基本非戦闘員フリントの、直接変身して戦わなくてもこうして折々着実に役に立ってる感じは手堅いなと思う。

ゾックスとゼンカイジャーどちらかが戦ってる間にどちらかが駆け込み変身を解いて給水という戦術のアイディアもテンポも良くて見応えあった。

こうなるとホシガキワルドは、まあワルドってそういう敵少なくないんだけど、能力が凶悪な代わりに直接の攻撃力は大したことないっぽくて、たちまち追い詰められる。

でもそこにハカイザーが乱入。「ホシガキワルド、諦めるのはまだ早いぞ?」と台詞もヒーローっぽく優しく、給水への道を阻むと、銃から今度は「サイエンスパワー」を選んで、デンジブルー、ダイナブルー、ブルースリー、タイムブルーとブルー戦隊をセレクト。

偽物ブルーたちは渇きに苦しむ介人たちを圧倒し、「スーパー戦隊、ありがとうホシガキ」と怪人側に言わせるのが酷い(笑)。

なおハカイザーは給水所とゼンカイジャーたちの間に立ちはだかっていたから、振り向いてフリントたちを攻撃されたらもう終わりだと一瞬ヒヤッとした。けど、ハカイザーには武装してない相手特に女子供に刃を向ける発想はないみたい。

 

倒れて苦しむ街の人々の姿が挿入されて危機感を煽る。ヤツデさんもやかんの水が尽きたのか、倒れて頬が土気色になってて凄いメイク(汗)。

このピンチを打開するために、介人は自分が独りでハカイザーを抑えるからその間にカキワルドを倒してくれと提案。時間が経つほど渇きが進んで苦しさが増すこの作戦の頼みの綱はひたすら根性。

(こういう時に、マジーヌなら魔法でもっとなんとかならなかったのかなとつい思っちゃうのは厄介かな。あと前回滝パワーを獲得して自分の消火をしたブルーンも・汗)

ハカイザーは根性で戦う介人にかける言葉も「頑張るな!ゼンカイザー、給水行かなくて大丈夫か?」と爽やか全開。まあ行ったら撃つ気満々だけど。介人は父母が世界を守るために作ったその銃を世界を終わらせるために使わせてたまるかと反撃のパンチを叩き込む。

更に「このままじゃミイラになるだけだぞ」と給水を促されて「そうなったら、世界初!世界を守るミイラになってやる!」とたぶんあくまで本気の言葉を叫ぶと、ハカイザーは妙にツボに入ったのかいきなり笑い出した。ゼンカイらしいトンチキな場面とも言えそうだけど、戸惑う介人のカットが入ったり、妙に不穏な感じに強調されてる感じ。

笑ってる隙を突いた銃撃で弾け飛んだハカイ銃を争って2人は空中で激突し、介人が銃の奪取(奪還)に成功。その手に持ち替えた途端、ハカイザーが持ってた時には隠れていた銃のもう片面が表に出る。そこには思いっきりゼンカイザーのマスクと同じ配色のデザイン(汗)。

メタ的にはゼンカイザーの武器として発売するんだから当然という大人の事情丸出し。けど、物語的には「イジルデ、お前それもうちょっとどうにかしようと思わなかったのかよ(笑)」というツッコミは入りつつも、それだけ博士たちの技術丸ぱくりだったのか・・・とキャラの残念さの範囲に収まってくれてる気もする。

セッちゃんのアドバイスで介人は奪ったばかりのハカイ銃改めゼンリョクゼンカイキャノンを、ホシガキワルドに向け、ジュランたちがハカイザーを抑えている隙になんか全スーパー戦隊のレッドの顔が浮かぶ必殺技フィナーレバスターで撃破。物凄い反動で介人も吹っ飛んだけど、きっといずれ全員で支えて撃つんだろうな。

皆の渇きも解消し、ハカイザーは銃を取り返そうとするも充電切れで「またな!」と軽いタッチで撤退。介人のステイシーへの「また今度!」を思い出して、この緊張感のなさはやっぱり親子だな。

 

クダイテストが「俺参上」とどっかの電車に乗った赤鬼みたいなこと言いながらギアを踏んで、出現したのはダイホシガキワルドではなくどうやら正真正銘ダイカキワルド。

ここは、同じギアなのに厳密にはトピアが違うことになるけどいいの?と引っかかる部分。倒されて解放されたのは果たしてカキトピアかホシガキトピアか。まあカキトピアでも大量に干し柿が作られていただろうとは想像出来るから、これだけ近い世界なら、例えばカキワルドと言いつつ実質ホシガキトピアに変質しかけてたって説明はつくかも(誰が名前を判定してるんだって疑問もあるけど・笑)。そんでワルドもダイワルドも頬は取り外し可能状態で生まれていて、名前と姿と能力を選べる仕様だったりとか。

 

これにまずゼンカイオー2体とツーカイオーが対峙。ブルマジーンが中々出番貰えないイメージがあったけど、ジュラガオーンはなんと21話以来9話ぶりの登場(汗)。合体時に「お待たせしすぎたかもしれません!」「ガオーン我慢してたもんねえ」を聞くと、序盤から声優さんたちのアドリブで合体シークエンスを面白いコーナーに作り上げて楽しんでたりした分、販促の事情とは言え自分たちのロボ登場がない期間が2ヶ月以上も続くのは色々思う所もあったかもな、と、ちょっと申し訳なく思ったり。

イカキワルドの能力は、カキ繋がりで巨大<牡蠣>攻撃、ゼンカイオーを生け花化する<花器>攻撃、それを燃やす<火気>、ともはや駄洒落の領域。カキトピアにおいては、世界の中心にある柿と同じ音を持つ物質はちょっと特別な存在なのかもしれないと無理やり考えてみた(笑)。

「だったらこっちは重火器だ」とゾックス介人が合体して、なんかこっちの合体シークエンスも雑談の場と化している(笑)。ゼンカイジュウオーはいきなりブラスターを喰らわすとトドメ全開。全ロボ4体が並び立ってる絵は初めてってことになるのか。もっと見せてくれても良いのでは?

 

ハカイザーを充電しながらイジルデは銃を奪われたことを嘆くも、ハカイザー本体が無事ならまあ良いみたい。で、それよりハカイザーが得た新しい情報が何か功博士に影響を与えているっぽいことに興奮してる。空中に浮かび上がる功の映像の頭から煙が出ていて、イジルデの狙い「脳に刺激」を表現してるみたい。

ハカイザーの本体の構造と功の関係はわからない。この場面を見るまでは、てっきり洗脳した功本人を変身させていると思っていた。けどこれだと、あくまで功本人はコールドスリープシステムの中にいて、ハカイザーの意思に功の意識というか思考回路?脳の情報が取り出されて使われ、ハカイザーが得た刺激をまた功本人にフィードバックしてるのかな?脳から直接情報を抜き出してギア等を作れるなら出来ないことではなさそう。

そんで今回ハカイザーとしての戦いの中で新たな刺激を受けたとしたら、一番の刺激になったのは間違いなくツボに入って笑い転げた実の息子の言葉「世界初!世界を守るミイラになってやる!」だと思うと、それがどんな発明に繋がるのか見たいなと思う気持ちといやちょっとあんまり考えたくない気持ちとがせめぎ合って複雑だな。

 

カラフルでは勝利を祝って乾杯。ハカイザーは倒せなかったものの、ヤツデさんが息子夫婦の大事な物を取り戻してくれたことに感謝し、介人はこれからはそれを正しく使っていくと誓って、続く。

 

ハカイザーは裏表一切なさそうなキャラだから介人とも本気で戦い本気で銃を奪われたように見える。

けど、センタイジュウギアのデータをセッちゃんに伝えた時みたいに、封じ込められた息子への思いが無意識に呼び覚まされて一瞬防御を緩めさせ、そのデザインが思い切り示しているように、本来その武器を与えたかった者の手に渡らせたのなら良いなと思った。10年越しの、父から息子へのプレゼントだったらな、と。

それにしても。

 

介人がステイシーを倒す

→ステイシー修復の為に美都子を解凍

→ステイシーが美都子を目撃し解凍し直す

→美都子が並行世界に逃走

→残った功の脳活性化のためハカイザー開発

→ハカイザーの武器を介人が奪取し強化

→来週の合体ロボ?

 

と、介人vsステイシー決戦の結果が新たな敵と新たな強化に繋がる後半戦のストーリーの流れが綺麗すぎる。また美都子逃走は捜索の為に船を貸すゾックスがその度に同居して更にゼンカイチームとの距離を縮める事にも、ゲゲの具体的な暗躍にも繋がっていてホント一粒で何度も美味しいなと思う。

香村戦隊って私の目には過去2作は30話付近で

ジュウオウジャー→ゴーカイコラボ時期がズレてホエールお披露目と重なり、恐らくバドとラリーの役割が海賊に振られて出番が後ろにずれる

ルパパト→テコ入れの影響が具体化

と色々本筋が停滞する影響が出たように見えるから尚更、ゼンカイジャー ではパズルみたいな緻密な構成力の本領発揮が見られるのでは?と期待したいな。

 

なお、今回出番の少なかったステイシーについて。

今回ゼンカイジャーは苦しんで苦しんでやっと勝ったけど、前回を見た感じだと、ステイシーにホシガキワルドのせいでヤツデさんが脱水で死にかけてると伝えればソッコーで闇に葬ってくれていたんでは?とついつい思ってしまった。

ステイシーは、介人たちがホシガキワルドを倒さなければ他の大勢の人々と一緒にヤツデさんも死んでいたとは知らない。けど、これまでだって彼女はワルドのせいでゴミに埋まったり数日間徹夜させられたり過去に囚われて笑顔を失ったりしてる。

介人を倒すことはヤツデさんから孫を奪うだけでなくいずれ彼女本人を守れなくなることにも繋がり、もっと言えば介人たちだけで無理ならテニス回の時のようにステイシーが手を貸すしかない。

本当にヤツさんが大事ならいつかは介人と共に戦う以外ないのに、それを直視するのを拒んでるみたいだ。

前は異世界の生物ラブのガオーンの爪の垢でも煎じて飲めと思ったけど、今だとゾックスにもそういう所にズバッと斬り込んでくれないかなと、ちょっと思ったり。

ゼンカイジャー29話感想: その女に手を出すな

冒頭、ヤツデさんとマジーヌはオープンカフェのお洒落な季節限定スイーツで秘密の女子会。ヤツデさんなりに紅一点で元々は内気なマジーヌを気遣ってるんだろな。他のキカイノイド男子たちから見たら贔屓だから内緒にして。

ゼンカイジャー は差別を否定した作風だけど、それは「皆同じ」ではらなくて、個々の違いは尊重する。「マジちゃんが好きだと思ったんだよ」ってあくまで個人を見た上で、男女間で生まれやすい嗜好の差を大事にするバランス感覚は好き。

 

その頃、配達中の介人の前に、またもステイシーが現れて戦いを挑む。

これに介人は「あー・・・でもあと1件配達が残ってて・・・そうだ!お店でちょっと待っててよ。ヤッちゃんも会いたがっ・・・」と、友達から遊びに誘われたみたいなリアクションで、命を狙われているという緊張感皆無(笑)。

「ヤッちゃん」を出されて自分を惑わそうとしたと怒ったステイシーが構わず攻撃してくると

「ちょっと待って!ストップ、わかった、ごめん」と謝って変身し「やるからには勝って、お前をカラフルに連れて行く!」と、あくまで友達に対する姿勢を崩さない介人はやっぱりもう、そのスタンスに一切迷いがない。

 

ステイシー来襲の知らせに、店番中の野郎キカイノイド3人は飛び出し、マジーヌもカフェを後にする。

でもその直後にテニスワルド出現。紫のミニスカート姿に紫のサンバイザー、黄色いテニスボールを繋げてお蝶夫人の髪型を再現するというデザイン力が凄まじく、もう笑うしかない。

そのスマッシュを食らった人々はテニスボールにされてしまう。ヤツデさんもやっぱり、自分よりその場にいた客を逃がすことを優先したため、テニスボールに。目を貼り付けた位置にボールの白いラインがあって、なんだか泣いているようにも見え、これがめっちゃ可愛らしい。。

騒ぎを聞きつけ戻ってきたマジーヌはヤツデボールを回収し、遅れて参戦したゾックスが応戦している間に、介人たちの所に知らせに行く。

ヤツデさんの一大事に介人たちは介人たちは「タイム!」とこれまたゲームのノリで戦いを中断。ステイシーもヤツデの受難に動揺し、その場を去ってしまう。

一方ゾックスは、自分の攻撃がテニスワルドに効いていないことに気づく。テニスワルド曰く「私はテニスでしかダメージを与えられないテニス」とのことで、実は超厄介な強敵だった(笑)。

 

トジテンドではテニスと聞いて呆れたボッコワウスがバラシタラをボール扱いしてゲゲとラリーを始める(笑)。音がテニスというより卓球だけど、ボスのドスンで部下が跳ね上がるお約束芸の見せ方が1つの到達点に至ったようで感慨深い。

結局テニスでしか倒せない防御力の高さを認められて事無きを得たけど、こんな屈辱的な扱いをされても怒らずむしろ何とか乗り切った感すら見せているバラシタラに、若干同情した。

 

テニスでしか倒せないならテニスするまで、とゾックスが皆のコーチを買って出る。実写版「エースをねらえ」でよく見かけた気がする室内テニスコートで、テニスウエアを身につけた一同・・・野郎キカイノイド3人が、上はそれぞれの体色と同じ色のウエアなのに下が全部ピチピチの白パンツなのが微妙に間が抜けていて嫌(笑)。

テニスは漫画で覚えたというゾックスは、キカイノイドたちの素人ぶりに苛立ち介人を指名すると、華麗なラリーの末に強力ショットで吹っ飛ばす。

演じる増子さんが本来右利きなのに左手にラケット持ってるのは、ミュージカル「テニスの王子様(略してテニミュ)」で演じた役の影響だそうで、昔からニチアサはテニミュ経験者が多いみたい。

「テニスは格闘技」ってどんな漫画で覚えたのか知らないけど、ゾックスの狙いは敵を倒せる破壊力を持ったショットを体得すること。それに向けて崖登りや川での手拭い振り、滝に打たれるなど様々な特訓模様が4分割画面で描かれる。どうやらこれらもテニミュに紐付くらしい。

私は未見だけど、この回は全編全力全開でその作品のパロディをぶっ込んでいるようで、東映公式が、やり過ぎたと慌てて関連映画作品を宣伝する形でフォローしてる(笑)。未見でも十分楽しめたけど、ネットの熱狂ぶりを見た感じ、知ってる人は絶対に私の数倍楽しんだに違いないと思うとちょっと悔しい(笑)。

 

そんなゼンカイ界賊合同訓練を陰から見守りながら「あれで本当にヤツデを助けられるのか」と苛立つステイシー。その脳裏に、母親からテニスを習った幼い頃の思い出が蘇って「またバラシタラに奪われるのか・・・」と、相変わらず彼の周辺だけはシリアス。

 

特訓に鍛え上げられたゼンカイチームは、人々をまたテニスボールに変えていたテニスワルドの前に立ち、テニスで勝負を挑む。テニスワルドは「よくってよ」とお蝶夫人全開な台詞(念のために言っておくと声優さんは男・汗)。「相手して差し上げるテニス」とラケットを振り上げると場面が一転、いつもの爆破の聖地岩舟山にテニスコートが出現して、もうそれだけで大笑いしてしまった。

ボールが変幻自在に軌道を変えてぶつかると文字通り爆発するテニスワルドのショットにジュラン、ガオーン、マジーヌ、ブルーンと次々敗退。

残る介人とゾックスにダブルスを促し、テニスワルドは分身して対応。放ったボールも無数に分身して、もうテニスの試合中とは思えない爆発から身を守るため、介人とゾックスは変身。ラケット持って格好よく名乗りポーズ決めるな(笑)。

「よくってよ」とテニスワルドが繰り出す分身してショットを、ゾックスがスーパー化してスピードで対抗するなど、2人は善戦する。けど、手応えを喜び威力を増すテニスワルドのショットの容赦ない火力(汗)に最後は吹っ飛ばされて変身解除。だから岩舟山なのねと改めて納得した(笑)。

それでも2人は立ち上がり諦めない闘志を見せるものの、スーパーツーカイザーは初の敗北、耐久性のあるスーパーゼンカイザーは見るからにスピードに対抗出来なさそう、ともう打つ手無し。追い込まれた所に、ステイシーがひらりとネットを超えてきて「選手交代だ」と告げる。

いつもの衣装と180度違う白いテニスウエアに長めの髪を1つにまとめ、サトシと名乗ることで、テニスワルドも自分の上司の息子とは気付かない様子(ブルーンの「王子様みたいです」は絶対狙ってる・笑)。

まあ印象がガラリと変わってはいるし、トジテンドなら気付かなくても仕方ないかなと納得はする。ゆるゆる敵組織だとこういう時に便利で、香村さんはその緩さを存分に作劇に活かしてる感じだな。

「お前らは基本がなってない。黙って見てろ」と漫画で覚えたゾックス&彼にコーチされた面々のスキルを真っ向否定したステイシーもといサトシは、ゾックス曰く「基本に忠実なパーフェクトなテニス」でテニスワルドと堂々渡り合う。なんだか宿命のライバルがボールで会話してるアニメみたいな、カメラが2人の周りを自在に泳ぎ回っているかのようなカメラワークがじわじわ来る。

「テニスは好きだが、(ヤツデをあんな目に合わせた)お前は嫌いだ」とステイシーが執拗に顔を狙って放つショットが、遂にネット模様の仮面を弾き飛ばした。これがないとテニスパワーのご加護が激減、つまり防御力がガタ落ちするらしい。

してやったりのステイシーはキラキラエフェクトと共に長く残したサイドの髪を靡かせ、すっかりゼンカイ世界の住民の趣(笑)。「今なら攻撃が通用する」とわざわざアドバイスしてコートを去る。

勢いづいたゼンカイ5人が変身して、テニスワルドに駆け寄った審判もろとも一網打尽のトドメ。

ヤツデさんたちが元の姿に戻り、介人はスーパーゼンカイザーの姿のまま、相手の渋いリアクションにも構わずボディタッチしまくって感謝。更にゾックスも、「お前、面白い所あんじゃん」。

14話で介人とゾックスの決闘を仕組むも「だっておまえより、介人の方が面白いんだよ!」という理由で裏をかかれてから15話目、ワンクール以上経て遂に面白さを認められたのが心を揺らしたみたいで、「うるさい・・・!」と明らかに動揺しながら去るステイシーが可愛い。「お前は面白くない」と突きつけられたこと、実は気にしてたろ?

 

今回の敵はスーパー化でも倒せない強敵で、ステイシーが加勢しなければ負けていた。ヤツデさんの受難がなければこの展開はなかったと思うと、テニスワルドの敗因はズバリ、ヤツデさんに手を出したこと。彼女に危害を加えようとすると、ゼンカイジャーだけでなくステイシーも水面下で敵に回ることになるんだな。まさに「その女に手を出すな」。

ただし、もしヤツデさんの存在とステイシーの思いがトジテンドに知られると一転、彼女を人質に取られたりしてゼンカイジャーだけでなくてステイシーもエグい決断を迫られる可能性もある。

後半戦スタート早々、ヤツデさんのヒロイン力が全力全開で止まらない。番組開始時に「ヒロインが祖母」って説明が公式からあった時、話半分で聞いてた自分を殴りたい(汗)。

 

ダイテニスワルドにはまずセンタイジュウオーで挑むも、ラケットを持っていなかったために敢えなく変身解除。こんなふざけた怪人のふざけた回なのに、これまで無敗の最強ロボが初黒星って、鳴り物入りで登場したバトルシーザーロボ2世とブラックジュラガオーンは泣いていいと思う(涙)。

ここで5話ぶりのブルマジーンに選手交代。魔法が使えるからラケットも出せるし、飛べるからネットを高くされても更にその上からトドメのショット。断末魔は「コートでは誰でも一人きりテニス」と、余韻はしっかり「エースを狙え」(笑)。

「ベストを尽くした結果です!」とキカイノイドたちの特訓の成果はなんとかロボ戦で活かされた感じかな。まあ持てるポテンシャルを全力全開すればブルマジーンはかなり強いと思うけど。

 

戦い終わって、カラフルでは、ヤツデさんが自分のためにボロボロになって頑張ってくれた戦士たち一人一人にタオルを渡して労い、深々と頭を下げる。

でも今回はサトシのテニスが強かったおかげ。そうゾックスが告げると、介人はちょっと戸惑ってから「また、うちの店、来てくれるんじゃないかな」と告げる。希望的観測なんだけど、介人の決意表明でもあるんだろうな。

それを聞いたヤツデさんの全力全開の笑顔が、とても綺麗だと思った。

ステイシーはここまで陰ながらヤツデの為に幾度となく暗躍してきたけど、誰からも気づかれなかったんだよな。でも今回初めてゼンカイ側とヤツデさん本人にも認識されて、なんか報われた感ある。

そんでサトシと伝えたのが介人でもキカイノイドでもなく、今まで敵対するだけだったゾックスなのもちょっと嬉しい。

介人やキカイノイドたちだとヤツデさんの気持ちを慮るあまり、サトシの正体がステイシーだとバレるのを恐れて迂闊に言い出せない部分もありそうなんだけど、ゾックスならズバッと行ける。彼が時々船を貸して同居したりとカラフルにいることが多くなったのは、そういう意味でも効いてるなと思ったりする。

そんで数話前までの、ヤツデのためにはサトシの正体を知らせず倒し秘密を墓場まで持って行くべしという考え方も、今回面白さ認定したことで変化してきてるのかな。

 

一方ステイシーの方は、トジテンドに戻って来て「僕は何をやってるんだ」とまた自己嫌悪モード。

「全力全開!ちょわー!」の時もだけど、正義も悪もゼンカイ脳にどっぷり浸かった世界でシリアスの最後の砦と言われながら、「ヤツデの為」というシリアス理由を大義名分に掲げて躊躇なくこっちの世界に足を踏み入れ超ド級の破壊力を見せつけては、こんな風にシリアスの世界にすっと戻って来るのがホント狡い(笑)。

そこにイジルデが「戻っておったか」と声をかけると、ステイシーの影から突然、見たことのない赤白黒のバトルスーツを纏った戦士が襲いかかる。その攻撃を避けたステイシーにイジルデは「新たな実験兵士だ」と不気味に笑って、続く。

 

イジルデの様子からは、突然乱入してきてテニスワルドの敗因を作った白いウェアの少年「サトシ」の正体がバレたという雰囲気は感じられない。まだトジテンドにバレてステイシーがマズい立場になったりはしなさそうで良かったと思う。ゲゲがどこまで把握しているかは気になるけど。

でも反面、バラシタラには敵将としてそれなりに目配りの利く奴であってほしかったり、父親としていくらモニター越しでも息子の顔くらい見分けて欲しい気持ちもあって複雑だ。

 

なお、謎の(と言っても正体はもう1人しか思い浮かばない・汗)新戦士の名前はハカイザーって(笑)。

 

ゼンカイジャー28話感想: いつか色で呼ばなくなる日

冒頭、カラフル開店の準備をしているジュラン、マジーヌ、ブルーンという日常そのものの場面。そこへ階段を降りてきたのが、あのド派手なパジャマに乙女なナイトキャップ姿のゾックスと双子。笑顔で「モーニン」に何が起こったのかと一瞬脳がフリーズした。

続けてバカンストピアで美都子を捜す介人、ガオーン、フリントの場面。美都子が見つかるまでゾックスは介人に船を貸して、代わりにその間はカラフルに住むことになったと説明される。

前回は予告のせいでてっきり美都子が見つかると思ってたから、結局捜索が棚上げになった時は、過去作品の例もあるので「香村さん出来ればあんまりギリギリまでひっぱらないで早めに動かして欲しいな」と思った。けど、この同居が見られるなら当分見つからなくていいかも、と一瞬思ってしまってごめん。

 

ヤツデさんは「みっちゃん<だけでも>早く助けてあげたいからさ」ってどう見ても本心から言ってる。

彼女にとって実の子供は功だけで今逃げてる美都子は嫁。私がヤツデさんなら、じゃあ息子は?って気が気でないし、嫁だけが逃げてる事に複雑な気持ちになってもおかしくないと思うから、ヤツデさんはやっぱり本当に観音様だと思う。でも口には出さなくてもやっぱり息子の安否は心配なはず。

それを代弁するセッちゃん。更にそこで「技術目当てだから残った方は大切にするさ」と、根拠付きでいち早くフォローし、だけど「暫くはな」を付け加えるゾックス。

自分も呪われた弟達の為に楽観的悲観的両方の可能性をあれこれ考えてきたから、ヤツデの気持ちに寄り添いつつもあまり楽観的にもなりすぎない距離感を感じて頼もしい。

 

ブルーンがカラフル備品の単行本コミックを整理しているのを見て、ゾックスは朝食のソーセージを咥えたまま目の色を変える。本はマンガだけ好きで読むらしい。

「昔行った並行世界でハマってさ」

「おい、青いの!」とジュランへの「赤いの」に続いて未だに色呼びのゾックスに、「私の名前はブルーンです!」と叫んだりはせずに「なんと!いったいどんな漫画ですか?教えて下さい!」と食いつき返すブルーン。

思わぬところでブルーンとゾックスという、本の虫と不良みたいな組み合わせが共通の趣味を発見して意気投合したかのような趣。そのままの勢いで漫画談義が始まろうとしたその時、セッちゃんの「大変っチュウ。街が漫画っチュウ」という叫びで中断。

 

今回のワルドはペンを模した右手から発射した「執筆スプラッシュ」で人々を紙の漫画原稿に変えてしまう。それを見たゾックスが即座に「へ~え、お前、マンガトピアのギア使ってんのか」と看破。彼が漫画にハマった並行世界とはマンガトピアのことらしい。SDトピア以外でもゾックスたちが行った世界がこうしてフューチャーされるのは新鮮で、前回の並行世界旅行に続いて界賊設定がどんどん補強されてる感じ。

マンガワルドは「この世界が舞台の最高の漫画を作ってやるマンガ」と、左手の杖「吹き出しプラカード」に「製本」と文字を浮かべると、それらの原稿を一冊の漫画雑誌「週刊少年マンガワルド」に製本。

更にそれを背後から奪おうとこっそり近づいたした双子もマンガにされて雑誌に組み込まれてしまう。

「発売前の漫画を勝手に読むのは悪いことマンガ。ふふ、買ってね」と、このネット時代にはわりと刺さる正論を吐くマンガワルド(笑)。そんで「発売する予定があるのですか?」と大真面目に問いかけるブルーンがじわじわくる。

マンガワルドは「近づいたら(雑誌を)破くマンガ」と漫画にされた人たちを人質に取って怯ませ、更にジュランとマジーヌも漫画に変えてしまう。ゾックスはひらりと避けてブルーンは辛くも盾にしたピッカーだけが漫画化。

そこへ駆けつけた介人がキックで形勢逆転させるも、漫画家の命である腕(ペンの突いた右手ではなく左手だけど・笑)を痛めたマンガワルドは「ボツ原稿爆弾」を投げ付けて退散。今回は漫画制作に絡んだ台詞やネーミングが全般的に面白くてツボ(笑)。

ジュランとマジーヌは製本を免れてガオーンとブルーンぎ回収。でも、製本された双子は持ち去られてしまう。

 

トジテンドでは、バラシタラの戦況報告にかこつけて、ゲゲがイジルデに、「先日お前の研究所が何やら騒がしかったようだな」と意地悪く話題にする。聞いておらんぞとボスに詰め寄られて慌てるイジルデに「捕まえておいた実験サンプルに逃げられたんだったか」とバラシタラが追い撃ち。

全並行世界に追っ手を差し向けるという大掛かりな捜索を組織のトップが知らないままなのに、ちょっと驚いた。まあボスは壁と同化してあまり自由に動けなさそうだから、部下下が情報入れないと蚊帳の外になっちゃうのかもだけど。

怒って拳を打ち付けるボッコワウスに、イジルデはもう始末はしたので安心するよう取り繕う。本当は逃げられたままなのに。

トジルギア破壊=トピア解放の事実が判明した時もだけど、イジルデは都合の悪いことを隠そうとする時の小者臭が凄いな。

 

ゼンカイ側はこういう時の恒例、カラフルに全員集合で作戦会議。

漫画にされたジュランとマジーヌはコマの中で動いたり喋ったり出来て、存在感は変わらない。台詞がいちいち吹き出しになって、字幕使わないで見てる側にはむしろ親切(笑)。

そう言えば、前回の中澤組もジュランマジーヌ組、ガオーンブルーン組に分かれていたなと思った。この時期、中澤監督回と加藤監督回の撮影を同時進行させて中澤監督がジュランマジーヌ組をメインに撮り、今回の加藤監督はガオーンとブルーンをメインに撮ったのかも。

 

破かれたら終わり、燃やされてもアウトと、フリントとブルーンが脅す形で、漫画にされた人たちをマンガワルドから回収して引き離してからでないと攻撃しにくいことを印象付けるのは手堅い。ではどうするか。

ジュランとマジーヌをおとりにしてその間に、というガオーンはまだちょっと仲間のキカイノイドに冷たい(笑)。でもマンガワルドは漫画を集めていたから、漫画で誘い出すのは有効とブルーンがフォロー。ならば「こういうのを、俺たちで書けばいいんだ!」と介人が提案し一気に盛り上がるゼンカイ組を

「漫画を舐めるな!」と意外にもゾックスが一喝。

「え?」と振り返る漫画ジュランと漫画マジーヌの反応も介人たちと同じ画面に収めて、むしろこの2人の方が目立つのは狡い(笑)。

「人を誘い出せるほどの傑作漫画を、素人が簡単に描けると思うなよ!」ゾックスの口から意外なド正論が出て、なんだか好感度上がるのは狡い(笑)。こんな一面もあったのか。そして出て行ってしまう。

追いかけるフリントに突き飛ばされて「ひでぶっ!」と「北斗の拳」の断末魔を叫ぶブルーン(笑)。

「昔、漫画家でも目指してたのかね?」とヤツデさん。この台詞のせいで、「え?まさかゾックス、戻って自分で書く気?」と変な期待をしてしまった(汗)。

「絵は上手いらしいッチュウ」とセッちゃん。意外な設定と思いきや、東映公式によると

「そもそもゾックスがマンガにお熱な設定は、これも加藤監督担当の19カイでアバレキラーの力を借りた際、メープルシロップの絵が上手かったのを見逃さなかった香村さんの後押しあってのこと。」

だそうで、今回は現場と脚本のキャッチボールが生んだ名エピソードだった(と、もうこの時点で断言してしまう)。

 

ボスの前では美都子の逃亡をなんとか誤魔化したイジルデ。研究室に戻ると功の映像を映し出しながらバラシタラに苛立ち、ステイシーにも余計なことは言わないよう釘を刺す。

ステイシーは、バラシタラを喜ばせるだけだから言うまでもないというスタンス。だけどヤツデさんの息子の映像を前に何を思うのか。イジルデが五色田夫妻のことを組織に隠していることは、ステイシーがヤツデのために暗躍するにも都合が良いんだよね。ゲゲにどこまで把握されてるか、は気になるけど。

イジルデは夫妻を抵抗出来ない状態にし、直接頭脳を解析して得た知識を、自分の発明に役立ててきたらしい。眠ったままの異種族の脳から直接知識を取り出せるほどの科学技術力は、それはそれで十分凄い。

「またあっと驚くような物を作ってやる」と豪語するイジルデに、「その前に僕が勝てばいいんだろう」と言い捨てて去るステイシー。ヤツデさんの息子の哀れな状態に心を痛め、自分が早く勝てばもう利用されずに済むと思ったのか。

でも大事にされるのは利用価値がある間だけ、というゾックスの冷徹な見方の方が正しい気がする。

 

素人の漫画が駄目ならプロの作品で、とゼンカイ組はカラフルに置いている漫画本を餌にしてマンガワルドをおびき出す作戦に出る。

道に漫画本を撒いてこっそり見守るヒーローたち(漫画コマのジュランマジーヌ含む)というほのぼのした光景が凄くゼンカイジャー。・・・そして、スシワルドやカブトムシワルドに続いてこんな作戦にまんまと引っかかるマンガワルドも凄くゼンカイジャーの敵怪人(笑)。

・・・と思いきや、マンガワルドが撒き餌の漫画本を読み耽っている隙に介人がそろりそろりと近づき、雑誌に手を伸ばしたその時、落ち着いた口調の「執筆スプラッシュ」が炸裂。介人も漫画にされてしまう。

マンガワルドは罠だとお見通しだった。嘲笑いながらガオーンとブルーンも漫画にしようとしたその時、上空に現れた界賊船から大量の漫画原稿がまき散らされる。

その漫画を拾い上げたマンガワルドは、面白過ぎて続きを読まずにはいられない。「罠だとわかっていてもやめられんマンガー!」

なんだか夕食の支度が遅くなるとわかっていても明日寝不足が響くとわかっていてもついつい読んでしまう心境を代弁された気がして、うっかり共感してしまうから困る(汗)。

その隙にゾックスがまんまと雑誌を回収成功し、前回に続き綺麗な回し蹴り。今回はひたすらゾックスの掘り下げが面白くて格好いい。

(ゾックスは好きだから嬉しい反面、同じ脚本家、同じスーツアクターの3年前の追加戦士も、状況が許せばこんな風にもっとちゃんと掘り下げて貰えたのかな?とついつい考えてしまって複雑。)

「この漫画はあなたが書いたのですか?」と食いつくブルーンに

「まさか。これは昔、マンガトピアで頂いてきたお宝。珠玉の漫画コレクションだ」とゾックス。なるほど。

 

いろんな並行世界を巡っているからワルドのギアに閉じ込められた世界にも行ったことがある。

界賊だからそこでお宝だと思ったものを奪って持っている。

世界を閉じ込めたギアで誕生しギアの力=閉じ込められた世界の力を使うワルドが、その世界で生まれた作品に惹かれるのはもう運命。

 

物凄く狂った回に見えて、解決方法が物凄くロジカルなのは、凄く香村さんで凄く ゼンカイジャーだ。

そんでゾックスを賞賛する介人や双子の漫画のコマがいちいち挿入されるのも楽しい。

 

反撃の狼煙の変身はゾックスのダンスをしっかり見せた後、漫画にされた介人ジュランマジーヌも原稿がカラーになってそのまま変身。変身過程や名乗りのアクションが文字通りコマ送り状態で描かれる芸の細かさ。

東映公式によると、加藤監督がネームをコマ割りで書いて、それを企画者104という代々スーパー戦隊の企画から参加してる編集プロダクションが清書し管理。

更にそれとは別にマンガトピアの傑作漫画原稿やカラフルの漫画本の表紙は清書まで加藤監督の手によるものとのことで、その手のかかり方、入れ込み方に圧倒される。

 

劣勢になっても漫画原稿を読むのをやめられないマンガワルドはクダックたちを「アシスタントー!」と呼びつけて、意味は間違ってはいないけどじわじわ来る。

戦闘はガオーン、ブルーン、ゾックスの戦闘をしっかり見せた後に、ジュランマジーヌ介人も漫画のまま技を繰り出すという、もはや笑うしかない頭おかしい演出。コマが巨大化してクダックの前に立ちはだかってる感がむしろいつもより強者感さえある(笑)。

介人にはステイシーが挑むけど、彼の攻撃が届く前に風圧で原稿が飛ばされてノーダメージで漫画化がむしろメリットになってる。そんで介人の方はダイナピンクの力でコマをバラで埋めると実体化させてバラ爆弾、というふざけた攻撃がまともに当たり、あくまで真面目にダメージ受けてるステイシーが不憫だ(笑)。

 

ゾックスが華麗にマンガワルドを圧倒して痛快にトドメを刺し、介人たちや漫画にされていた一般人たちは元に戻る。ステイシーは「むしろ戦いやすいというもの!」と介人との戦闘を続行。確かにこっちの方が攻撃はちゃんと当たる(笑)。

けれど、ダイマンガワルド出現でゾックスに手を貸せと言われた介人に「ごめんステイシー、また今度!」と飲みに誘われたのを断るような軽いタッチで逃げられ、やっぱり不憫(笑)。

追いかけようとするステイシーの前に立ち塞がったのが赤黄桃の3人で、青がもうこの時点でいないのが、後から見返すとニヤニヤしてしまう。

ダイマンガワルドは「俺くらいになると、絵が勝手に動き出すマンガ」と、キャラが勝手に動く快感に目覚めた漫画家みたいなことを言いながら、描いたミサイルを実体化させて攻撃。

それに「わかるぜ。楽しいよな」と同意するゾックスは、やっぱり漫画家目指してた時期もあったのかもと思った。もっと言えば書いてる香村さんも脚本と漫画の違いはあれど、作り出したキャラが勝手に動き出す「楽しい」経験ありそうだなと。

そんで両者の周りにそびえ立つ巨大単行本タイトルが、これまでのワルドやら他戦隊やらのパロディーで目がそっちに言ってしまい

戦いを見るのに集中出来ない(笑)

 

ゼンカイジュウオーはワルドの左手のインク壺を破壊し、フキダシプラカードに先に「ヤラレター」と書いてからトドメ。断末魔は

「好きな漫画の最終回、見届けたかったマンガ」

いつもダイワルドの断末魔はじわじわ来るけど今回はグサッときた(笑)。そうだよ、ガラスの仮面とかガラスの仮面とかガラスの仮面とか(涙)。

 

その頃イジルデは功の脳を解析するが、使えそうな情報はもう出てこない。

「10年も凍らせておけば、脳に刺激もなく底も尽きるというもの・・・いや、待てよ?脳に刺激か」

と不気味に笑い出すイジルデに不穏なBGMが被さって不吉。全編トンチキなのにこういう怖いシーンが挟まることで全体が引き締まるな。

 

ゾックスの作戦で一件落着のカラフル。マンガトピアの漫画を「天才過ぎたんだ」と語るゾックスに「でも、家族のためなら、大事なお宝もばら撒けちゃうんだね」と介人。「当たり前だろ」とゾックスはあくまで家族第一なのはぶれない。

そんな凄え漫画なら読んで見たかったというジュランに「ありますよ」とブルーン。「私も読んで見たかったので、集めてきました!」と原稿の束を見せる。他3人が一生懸命ゾックスと戦っている間、やっぱり1人で散らばった原稿をせっせとかき集めていた。戦いそっちのけで(笑)。

いやお前戦い優先しろやという気持ちと、いやでも優れた作品へのリスペクトもあってこそのかき集めだろという気持ちとがせめぎ合って困る。実際私もその場にいたらかき集めない自信はない(きっぱり)。

それを見たゾックスの血相が変わり、「お~ま~え~!拾ってきたんなら返せ!」と取り返そうとする。一度は家族のために諦めたお宝も、目の前に戻れば我欲剥き出しで所有権を主張し、集めたブルーンへの労いとかは皆無なのが、凄く界賊。

冒頭で意気投合したように見えても、介人に対するような仲間意識をキカイノイドたちにも持ち、色ではなく名前で呼ぶ日はまだまだ来ないのかな。この時期でもまだ主人公以外の初期メンバーとの距離がここまで遠い追加戦士はそう多くないかも、と思うと若干もどかしい。

でもこんな暮らしを続けていけばそのうちにいつの間にか、ってなるような気もするし、そのための同居でもあるなら、嬉しい。もしそれをしっかりドラマで描いてくれたら、ちょっと泣くかも。

 

なおブルーンの方も自分が苦労して集めた原稿をすんなり返す気はなさそうで、読みたい介人たちも加わって原稿を取り合い大騒ぎの皆をヤツデさんが一喝。

「漫画トピアは解放されたんだから、返してきなさい!」

一瞬虚を突かれた。考えてみたらド正論。でもあの場でも他の誰も、そんで私もそこまで思い至らなかったよ。

介人を助け美都子捜索に協力してくれるゾックス達に感謝はすれど、善悪の線引きはきっちりしていてさすがヤツデさん。

だけど一方で、ゾックスが漫画トピアから漫画を強奪したからこそ、マンガワルドを倒せて介人たちも解放され、最終的には漫画トピアも解放された。そう思うと、物事の良し悪しは一面だけで決めつけられないという香村イズムもちょっと感じる。法を犯してはいるけどそのために助かった人も少なからずいるルパンレンジャーに通じるというか。

あの後、ゾックスたちは素直に返しに行ったんだろうか?ヤツデさんなら、見ず知らずのマンガワルドの人たちのために「返すまでウチには泊めない。船も貸してくれなくて結構」まで言い出しかねない怖さがあるから、なんだかんだ介人を助けたいゾックスが折れるかな。でも返しに行った先で、「気に入ったから是非売ってくれ」と改めてお金出して頼めば解決なような気もする。

ちなみにフリントはちゃっかりと、いち早くヤツデさんの真似をして「返して来なさい」とブルーンに指図してた(笑)。元々は兄貴が強奪したもので兄貴の宝物なんだけど。彼女もちょっとだけカラフルに感化されてきてるのかもな、と思ってみたり。

 

次回予告。

ステイシーの純白テニスウェア姿見た時は、ゼンカイジャーのシリアス最後の砦ステイシーもついに陥落かと感慨深かった。けどテレ朝予告読んだら、大切な物を守るために自ら敢えて陥落の道に踏み出したってことなのか、とちょっと泣けたりして。

 

ゼンカイジャー27話感想: 母と別の世界の人たちのため、友のため、母に似た人のため

前回、美都子がトジテンドから逃げたというニュースで衝撃が走ったカラフル。ヤツデさんが写真を見つめながら祈っていて、胸を突かれる。セッちゃんはラボで必死に広域捜索しているけど、見つからない。街に飛び出して当てもなく母親を捜していた介人も力無く戻ってきて、重苦しい空気。

でも「もしかしたら、ここじゃない、別の世界に逃げ込んだって可能性も、あるんじゃない?」とガオーンが言い出し、皆一気に色めき立つ。

そこにタイミング良くゾックスが来店。合体解除後の介人の只ならぬ様子を心配して来たんだな。並行世界を自由に行き来出来るゾックスは、介人にとって文字通り、本当に文字通り、渡りに船。

 

トジテンドでは、美都子に逃げられたイジルデが「吾輩は確かにコールドルームに戻したはずだが。お前も見ていただろ」と、ステイシーのことは疑っていない。まあ、まさかステイシーに、初めて見たサンプルを逃がす動機があるとは思わないかもな。

美都子は並行世界間ゲートで逃げようとした所をクダックに発見され、その攻撃でゲートが狂い、どの世界に繋がったのかわからなくなったと言う。

「ゲートは修復した。ステイシー、お前もあの女を捜して連れ戻せ」

「それはそんなに急ぐことなのか?せっかくゼンカイザーを追い詰めることが出来そうだったのに」

手柄を挙げたいのも本心だけど、捜索を後回しにすれば美都子をヤツデさんの元に帰せる可能性が高まるのに、というもう1つの本音を上手く隠してる。

「吾輩にとっては大変重要なサンプルなのだ」とだけ言うイジルデは、トジルギアでこれだけ成功してもまだ、今後も美都子博士の知識を必要としていて、そのことを周囲に隠してるってことだろうか。

 

介人、ジュラン、マジーヌが界賊船に乗り込んで並行世界に向かうことになった。

明るく送り出すガオーンと、行きたくてしょぼくれるブルーンの留守番コンビがなんか新鮮。ブルーンは行く先々でその好奇心を発動してややこしくなるからと説明するガオーン。だけど、行った先々で出会う生き物に夢中になりそうという点ではガオーンも似たり寄ったりな気はする。

船内では、まずどの世界から捜せばいいか決めかねてる。これまで解放した並行世界は20ともなると的が絞れないのも無理はない。

ついつい、「頑張ってこんなに解放しなけりゃもっと簡単だったんでは?」などとゼンカイジャーの活動そのものを否定する考えが浮かんでしまった(汗)。

 

なお、解放された世界をトジテンドがもう一度トジルギアに閉じ込めようという動きは今のところない。

介人たちの世界を閉じ込めかけた時に何かの不具合が起きて、キカイトピアの一部が融合してしまった。更にその世界の人間とキカイトピアの庶民とが協力して厄介な抵抗勢力になってしまっている。

そのため、その後に見つけた新たな並行世界(セイバーの世界)の封印や、一旦解放された世界の再封印に対し慎重になっているって感じだろうか。

 

介人はマジーヌに、母親の居そうな場所を占ってと頼むも、水晶玉は中々答えてくれない。いやいや3話であれだけ空振りしたことを思い出せば、「どこにいるか」だけは占わせちゃ駄目ではと思うんだが、それでもマジーヌの「好き」を決して否定はしないんだな介人。

で、目配せし合いながらイライラを極力抑えつつ見守る界賊一家に、「すみませんご面倒かけますが今後もお付き合い下さい」と言いたくなった。見切りを付けてフリントに「とりあえず、どっか行け」と笑顔で指示するゾックスが、頼れるにーちゃんで素敵。

 

最初に降り立ったのはカシワモチトピア。一体どんな世界かと思いきや、柏餅屋が街のあちこちにあり柏餅自販機まであるけど、住んでいるのは人間。でも柏餅に羽根が生えて鳥みたいに飛んでる生き物もいるから、人間以外の生態系はまた独特っぽいけど。

なんだか柏餅以外の食べ物があるのか心配になってくる勢いで、糖尿病にならないのかとか、ついつい住民の健康を心配してしまった(笑)。

柏餅を模した帽子を被るのが常識というかマナーらしく、被ってないジュランを変質者扱い。世界が変われば常識も変わるってことをすかさずアピールしてくるのは香村さんらしいなと思う。

一行はこの後もレトロトピアやコオリトピア等、他の並行世界を回るけど、住んでいるのはやっぱり全部人間。しかも全世界にスーさんがいて、ある意味スーさん七変化回(笑)。

<並行>世界だから同じ人間がそれぞれの世界に存在しているんだよってことみたい。それをスーさんで見せられても需要的にどうなんだとはちょっと思うけど(笑)

キカイトピアは全く別種族の生物だったから、てっきり他の並行世界もそれぞれ別の姿をした生物が生きているのかと思ってたから意外だった。でもメタなことを考えれば、そんな別種族の着ぐるみをそれぞれ何体も作る予算があるとは思えない。だから代わりにスーさんを使って、同じ人間が別々の世界でそれぞれの風俗習慣常識に沿って暮らしている並行世界のあり方を見せたって感じかな。

 

並行世界を次々に回っても、母親は見つからない。でも介人は、自分が解放した世界を初めて見て、むしろ元気を貰っている。

解放された側は目の前にいるのが恩人とも知らずに不審者扱いしたりもするのに、彼らが平和に暮らしていることを喜ぶ介人が、凄く介人だ。ゾックスやフリントも、たぶんそう思って笑ってる。

 

そこに、ステイシーもクダックを引き連れて捜索に来ていた。全員モコモコの防寒着なのが可愛い。

そんでそれを見た後だと半袖の介人とゾックスが、改めて寒々しい。睫毛凍ってるし(笑)。

ステイシーは、美都子捜索のため全並行世界にクダイターが放たれ、捜索だけに飽き足らずその世界を荒らし回っているだろうと告げる。「自分の世界に戻ってくれれば良かったのに」と誰にも聞かれないよう本音を漏らしてる表情が本当に残念そうで、ヤツデさんのために人知れず苛立ったりしている感じが好き。

 

これを聞くと介人は放置出来ずに、手分けして全世界の捜索隊たちを倒しに行こうとゾックスに提案するが、拒否される。

「俺はお前だから協力してんだ。他所の世界まで助けてやる義理はねえ」それよりは美都子捜しを最優先すべきだろうと主張。

ジュランやマジーヌはゼンカイジャーというヒーローとして介人に同調してるけど、私は今回はゾックスに同調してしまった。手分けすると言っても広範囲過ぎて手に負えないし、倒しても倒しても、美都子が見つかるまできっとトジテンドはまたやってくるわけで。

そもそも介人は今回、ゾックスが自分には何の得にもならないことにここまで付き合ってくれていることへ意識が薄いなと、ちょっと思う。自分に関する損得感情が薄いから、つい他人の損得感情にも疎くなる部分はあるんだろうな。

母親も捜したい、でも母親の捜索のために並行世界を荒らし回るトジテンドもなんとかしたい。

板挟みになった介人は、マジーヌの「次で美都子さんが見つかっちゃえば解決なのに」と言う言葉に何か閃く。

 

次の世界はキノコトピア。人々は頭にキノコ生やしている(汗)。2話で皆の頭にキノコが生えたのは、てっきりキノコワルドによる力の悪用のせいだと思っていたけど、もしかしてキノコトピア自体がそういう世界だったの(汗)?それとも柏餅の帽子と同じくこの世界のルールとしてくっつけているのかな。

そう言えばコオリワルド以外は、カシワモチワルド回もレトロワルド回もキノコワルド回も中澤監督で、担当監督として責任持ってこれらの世界を作り込みます!って感じだったのかなとふと思った。

 

美都子を捜しながら住人をいたぶる戦闘員たちの前に介人、ジュラン、ゾックスが立ち塞がる。ゾックスはあれだけダンスが上手いだけあって、回し蹴りも綺麗に決まるな~と感心。

そこにフリントが「美都子がいたぞ~!」と大声で知らせに来て、敵も味方もそっちへ向かう。美都子発見の知らせを受けたイジルデは全並行世界に散らばった捜索隊を全員キノコトピアに向かわせた。通信機器のボタンを叩きながら口でピポパポ言ってるのが、この物語の諸悪の根源と言っても良いキャラなんだけど、愛嬌があって可愛い(笑)。

ステイシーも半信半疑ながら合流すると、崖の中腹から介人たちが勝ち誇って見せびらかしたのは美都子。・・・逃げ出した時=攫われた時のチェックの夏服じゃなくて、介人の回想や写真でお馴染みのピンクのセーター。攫われた時にその服も一緒に持っていたとは考えにくいから、もうここである程度作戦の内容が分かってニヤニヤできる(笑)。

美都子は動きがぴょこぴょこしていてコミカルで可愛い。クダイターに腕を掴まれたりして「ぬぬぬ」と言ってるのを見ると、ああやっぱりねと(笑)。

ステイシーは乱戦の中でクダイターが美都子を連行するの阻止。介人に奪い返されると攻撃するふりしてクダイターの攻撃を除けさせ、後はもう見てるだけ。クダイターが倒され、美都子がまんまと界賊船に回収されるのを見届けると「ヤツデのためだ」と呟いて、そのまま立ち去ろうとする。

単にこれで本物の美都子が無事ヤツデの元に帰れたと思っているのか、それとも介人たちの作戦に気付いた上でそれに乗っかったのか。所々意味ありげに美都子を見つめるステイシーのカットが入り、後者な気もするけど、確証はないかな。

こんな風にヤツデさんのためにステイシーが人知れず働いているのを誰も知らないままなのは、ちょっと切ない。もしヤツデさんに、

「サトシは実はステイシーで確かに介人の命を狙い続けてるけど、不幸な生い立ちで母親の面影を宿した貴女を慕い、ゼンカイジュウギア開発に実は貢献したし、今回美都子を逃がしてくれたんだよ」

って言ったら、何て言うだろうかと考えたりする。びっくりしてショックも受けるけど、10秒後に「ならうちにおいで」って言うだけな気もしたりして。

 

そんなステイシーにイジルデからブラックジュラガオーンで追跡しろとの催促。「ステイシーってば!」が可愛くて、やっぱり狡い。

渋々出したブラックジュラガオーンが、並行世界間ゲートの中を進む界賊船に追いすがって、2体はコオリトピアに墜落する。

介人とゾックスがセンタイジュウオーになっての戦闘は、まるで氷河期時代の戦い。幻想的でもある絵面が寒々しく荒涼としていて大迫力。前話で追い詰めただけあって今回もブラックは強く、センタイジュウオーを一度はダウンさせる。

でも介人のひらめキングでブラックの背後にそびえる氷山を破壊し、その崩落で下半身が埋まり動けなくなったブラックに一気にトドメ。

終わって見れば、またしても2話であっさり退場となったステイシーのロボ。もしかして劇場版ロボ枠?なんて思ったりしたけど、この活動期間の短さじゃ、やっぱりプレミアムバンダイだろうか?

ひょっとしてステイシー関連の商品がプレミアムバンダイで人気なため、バトルシーザーロボ、今回のブラックジュラガオーンだけでなく、この後もステイシーのロボを出して稼ごうとしてる?とかメタな事情を勘繰ってしまってみたり。

 

出発した場所に戻ってきた介人たちはガオーンとブルーンに出迎えられる。連れ帰ってきた美都子の正体は、やっぱりマジーヌ。占いが不発に終わったマイナスを取り戻す活躍ってことか。

美都子はゼンカイジャーが回収したとトジテンドに思わせて、各並行世界から捜索隊を引き上げさせる作戦だった。

結局母親捜しは空振り、しかも各世界の平和のために途中で切り上げざるを得なくなったわけだけど、介人はまたも元気いっぱい。世界を守ることと母親捜し、両方やっていくと決意を新たにする。

それを「しょうがねえなあ。でもこいつらしいなあ」って感じで微笑ましく見守ってるゾックスとフリントは、もうすっかり介人に絆されまくっている(笑)。「これからもよろしく全開!」と満面の笑みで言われて「ま、乗りかかった船ってやつだ」とデレて後ろを向くゾックス。そんな兄を横目にフリントはちゃっかり「代わりに、カラフルの代金、これから全部奢れよな」と条件を出す。

困って値切ろうとするも、ゾックスから「そこは、財布全開、だろ?」と楽しそうに言われ、わちゃわちゃやってるところで、続く。

 

介人のためなら協力を惜しまなくってるゾックスは

「最近は介人に対して後方彼氏面を崩さなかったゾックスくん」

とまで公式に言われていて、思わず言葉の意味を調べてしまった。推しのアイドルを後方の観客席で静かに見守るファンのことだそうで、まあ偽物回から陰から見守って心配したりニッコリしたりしてたのをそう呼ぶのかと、気持ちはわからんでもない(笑)。

ゾックスは他の世界に生まれ育っていれば、子供の頃から同年代の友達としょっちゅう冒険ごっこで傷だらけになって、気に入った友達の家には入り浸り冷蔵庫とか勝手に開けてる代わりに、その友達を苛める奴には徹底的に報復するタイプだったんじゃ?って気がする。

介人は、そんなゾックスにとって初めて出来た同年代の友達だったのかもしれないなと。

 

で、介人の方は、自分が見たこともない他の並行世界の人々のために損得抜きで体張れるし、今回もそれらの世界のために自分の母親捜索も一旦棚上げにしちゃうような奴。

なので、介人の為だからこそ自分たち一家にとっては直接メリットのないことに多大な労力を貸しているゾックスの気持ちに、ちょっと鈍感な部分があるのかもな。

レジャーでも車出してくれた人にガソリン代分お礼するんだし、これからも並行世界に連れてって貰う気なら、ゾックスたちの申し出は妥当、むしろ安いくらいだよなと思ったり。

 

並行世界の人達は、介人たちが解放してくれた恩人とは知らずに時に不審者扱いする。それに、頑張ってこんなにたくさんの世界を解放しちゃったことが自分の大事な母親の捜索を却って難しくしている皮肉な面もあると思う。

なのに、ひたすらそれらの世界が平和に暮らしてる事を喜び、それに元気付けられ、母親の捜索よりも他の世界を荒らされないことをまずは優先する介人のヒーロー性のスケールには、正直なところ今回ちょっとお手上げ。

だけど各世界からトジデント捜索隊を引き上げさせる事で、各世界の平和だけでなく、数で圧倒的に勝るトジデント捜索隊が先に母親を見つけてしまう危険も防げるというメリットもある。

こういうくすぐり作戦の時にも似た、全方位に良い作戦を考えつけるのは介人の凄みだな、と改めて。

 

今回、予告を見た時は美都子がステイシーと接触?とか、もしや美都子救出成功か?とか一気に話が進むのかと思ったけど、終わって見るといろいろ棚上げ。そこはちょっと拍子抜けだし、香村さんの過去作を思うと今回はあんまりギリギリまで放置しないで早めに動かして欲しいなと思う。

けど、これまで解放したいろんな並行世界を実際に介人も私たちも見たことで、彼らのヒーロー活動のうち、これまでイマイチ実感が無かった「並行世界を救う」という活動の意義が強く補強された。そこは凄く良かったと思う。

それに、介人は母と並行世界のため、ゾックスは介人のため、ステイシーはヤツデさんのためと、それぞれ誰かを思っての行動の交差が味わい深くて面白かった。

 

ゼンカイジャー26話感想: 体が新生なステイシー、覚悟が新生な介人とゼンカイジャー

冒頭、体にコードを何本も付けて手術台?の上で目覚めたステイシー。イジルデによる修復が成功して生き延びた。強化改造もしたと恩着せがましく言われていて、改めてこの人は見た目人間でもちゃんと半分機械なんだなと思う。

 

ワイシャツにネクタイの上から作業着を羽織った人々が働く、何か中堅中小の製作所っぽいオフィス。介人が置き菓子を補充している。

「あー、介人くん介人くん」と呼び止められると「ゼンカイジャー頑張ってね!」とエールを受け、嬉しそうに元気に応えてる。この世界らしい素敵な場面。ちょっと介人が痩せたな、と感じてしまうけど。

暑そうだしコロナ感染拡大で気苦労も多いはず。そうでなくても人間の役者は少なくて、のし掛かるプレッシャーも大きいだろうし、毎回何かと体張ってて大変だろうなと思う。どうか健康なまま残り半年、乗り切って欲しい。

なお、声をかけた社員を演じているのはガオーン役のつたむねさん。刑事を演じた高田さん(ゼンカイザー)に続いてスーツアクターさんがエールを送る趣向は気持ち良いから、この後もあるといいな。

 

なお私はこれまで、駄菓子屋の売上で親子2人細々と暮らすだけならまだしも、居候4人抱えながら何かとパーティーまで開いてて大丈夫?と密かに心配してた。まあドラマだからありだけど現実は厳しくね?と。

でも、職域販売という説得力満点の答えに「考えが足りずすみませんでした!」って気持ち(笑)。

ヤツデさんの人徳もあって昔から頼んでる人もいそう。だけど、きっと今はそれ以上に、無償で命賭けて世界を守ってるゼンカイジャーを支援する意味もあって、他にもカラフルの置き菓子頼んでる企業が増えているんだろな。それでこそあの優しい世界だと嬉しくなった。

 

外に出てきた介人の前にステイシーが現れた。衣装がマイナーチェンジしてる。物語的には強化改造を視覚的に表現してるんだろうけど、見るからに風通し良さそうな素材になっていて良かった(笑)。

ん?倒されて改造したタイミングで衣装も夏仕様に変わったって事は、寒くなる頃にもう一回倒されて改造され更にゴージャスな冬仕様の衣装になると期待していいのかステイシー?とメタな期待をしたくなる。前の衣装も好きだけどまさかパワーアップ前仕様に戻らないよね?とか。

 

介人は自分の手で倒した相手が生きて元気そうなのを喜んで、ステイシーがのけぞるくらいぐいぐい話しかけてる。敵だと知る前にタコ焼き屋で遭遇した時みたい。無邪気に新しい服も褒めたりして、これが介人の偽らざる本心なんだな。覚悟決めて決闘したのはステイシーの気持ちに寄り添っただけだったんだなあとつくづく。

 

それでもステイシーの方は倒す気満々。変身後の姿には右手に盾が加わって、ブーメランにもなる。

やむなく介人も変身して対応。ステイシーザーは装備の分だけ確かに強化されてはいる。けど、介人は後ろから肩車に乗っかるというトリッキーな動きで頭に銃を突きつける決定的なチャンスを作った。そこで撃つのを躊躇わなければ勝てたかもって感じ。

その迷いを突かれて、盾を外した右手からミサイル「シーザー暗黒流星群」を浴びせられてしまう。

トドメを刺されそうになった所にジュランたちが駆けつけて、ステイシーは撤退。

そこまでの戦いをゾックスが陰から見ていた。彼は決闘の前から、介人のステイシーへの迷いに苛立ってるから、またかよって感じかな。根底にあるのは介人への心配だろうけど。

 

独りでゼンカイザーを圧倒したことをボッコワウスから褒められたステイシー。父バラシタラの前でドヤ顔しかけたのも束の間、イジルデがすかさず自分の技術のお陰と猛アピールし、ボスの意識もそっちに向いてしまう。

苦虫を噛みつぶす息子を父親が「残念だったであるな」と煽って、この2人は相変わらずの関係性。息子は今も父を見返すことが最大のモチベーションで、父はそんな息子を冷ややかに見透かしている。こんなんでも最後は父が息子への情を見せて散ったりしないかとついつい望んだりするけど。

 

カラフルでは晩御飯。

介人は昼間の戦いで出来た口の中の傷に酢豚が浸みて痛んでる。

そんな強敵って今日は何ワルドだい?とヤツデさんに聞かれ、一瞬場の空気がゴキッと派手な音を立てて凍りつく演出が、お帰りなさい中澤監督。てっきり当分テン・ゴーカイジャーかなと思ってたから、予想より早く戻ってきてくれて嬉しい。

ブルーンが彼らしく空気読まずに「ステイシーですよ!」とバラして赤黄桃から制裁を受け(笑)、ヤツデさんは「倒されたんじゃなかったのかい?しつこい奴だねえ」と忌々しさを隠そうともしない。ステイシー=サトシだと知らずに「今度来たらね、私が出て行ってやるよ!うちの孫に何するんだい!ってね」と力説。

いかにも孫が大事なお祖母ちゃんらしい盲目的な台詞が、この状況だと却って切ない。通常の敵相手なら何の足しにもならないような無力で滑稽な威嚇。でもステイシーには間違いなく、他のどんな攻撃よりクリティカルヒットしてしまうんだろうな。

 

そのステイシーはイジルデに文句を言おうと訪れた研究室で、眠ったままの介人の母を目撃。ステイシーを救うために人間の血が必要だから一時的に解凍したという。

血だけか・・・。もしや体のパーツを?みたいなエグい想像よりはマイルドな使われ方でホッとする一方、彼女を眠りから醒まして修復を手伝わせ、目を醒ましたステイシーと遭遇なんて展開への期待もあったぶん若干拍子抜け。

問い詰められたイジルデはちょっと口ごもった後、別の世界から攫ってきたサンプルで科学者、ちょっと知識を利用させて貰っているとだけ答える。本当は夫妻の知識がトジルギアの技術の由来だと思うけど、そこはやっぱり隠してるっぽい。

イジルデが彼女の入った冷凍装置を再稼働させて床下に格納し退室した後、ステイシーは、息子夫婦が消えてしまったと語るヤツデさん、おやつ券をくれたヤツデさんを思い出す。

黙って見つめるおやつ券の裏側に書かれた「いつでも来てね!」の存在感が、揺れる彼の心を画面の中で雄弁に語っていて上手い。意を決してシステムを操作すると、収納されたばかりの介人母の装置がもう一度床下から押し上げられてきた・・・。

 

翌日、介人とジュランは買い物帰りに公園で寄り道してブランコ。介人は夕べのヤツデさんの言葉に、彼女から説得して貰えばステイシーと戦わなくてすむかもって思ってしまった。

うん、私も普通に思った。ヤツデさんがショックを受けたとしても一時的で、それが一番手っ取り早いと思ってしまう。

ジュランはヤツデさんを苦しめることになると否定的だけど、正直、そこまでヤツデさんの気持ちを慮って隠さなきゃダメ?と思ってしまう部分もある。まあステイシーが隠したい気持ちは物凄く説得力があるんで、介人に関してはそれに寄り添い過ぎてる部分もあると思うけど。

そこに割り込んで来たゾックスは更に、迷いがあるままではお前がやられると昨日の戦いを引き合いに出し、覚悟を決めて倒すしかないと諭す。偽物回から、ゾックスはゾックスなりに介人を心配してるのがだんだんハッキリしているのはいいな。介人に寄り添う仲間がまた増えていく。

ジュランも今回ばかりはゾックスに同調。ステイシーがどんなにヤツデを慕おうが、介人を倒す決意は変わらないし諦めないんだからと。

でも介人にとっては、一度は倒したステイシーが生きていたと分かって嬉しかったしホッとした気持ちが、本音なんだよな。自分に殺意を向ける相手に対する本音がそれって、よく考えるととんでもないことなんだけど。

話し合いが膠着状態になりかけた時に、「見つけたぞ!」とビルの屋上からステイシー。

新たなギアで暗黒召喚した新ロボは、ブラックゼンカイジュランとブラックゼンカイガオーンが合体したブラックジュラガオーン。ぶっちゃけ戦隊ロボあるあるのリデコ。ブラックver.売る気満々だな。

売上が厳しい中、プレミアムバンダイでのステイシーの装備やロボの販売が好調だから更に稼ごうという大人の事情をひしひし感じるけど、そう言えば今年は劇場版枠に当たる玩具が出てなかった(去年はザビューン関連)から、もしかしてそっちの方かな?

面白えと攻撃的な顔になったゾックスがツーカイオーで対峙。

ガオーンたちも到着すると、ステイシーが次に繰り出したのは、アバレマックスとスーパーゴセイレッド。

強化改造されたら偽物レジェンドも強化形態になったわけだけど、別の考え方するとこれ、強化形態のない戦隊はもうステイシーの手駒にはならないってことで良いのかな?。それでも強化形態ある戦隊は余裕で10超えてるし、比較的近年の戦隊に絞れて良いのかも。

 

キカイノイドたちは迷いのある介人を庇うように戦って、戦闘の舞台は街中を流れる川に移動。仮面ライダーWの劇場版やディケイドのアギト回とかに出てきた場所だろうか。戦隊だとこういう川中の戦いって私はあまり印象がなくて新鮮。ジュウオウジャーの同じ香村中澤コンビ回の大和vsみっちゃんくらい?

そんで何度負けても諦めず自分を倒そうとするステイシーの叫びに、両親の「本気でやりたいことはな、結果を出すまで全力全開!失敗も挽回!何回もトライ」を思い出した介人が、なんか意味不明な叫びをあげながら仮面の上から猛然と川の水でザフザブ顔を洗い出した(笑)。

すんごい斬新で印象的な演技演出で、これをやるためだけに川を舞台に選んだと言われても納得する。

「そうだよな!」「俺だって、諦めなくていいよな!」そんでステイシーに突進し「俺がずっとやられなかったら、いつか、お前の気持ちが変わるかもしれない!」「ステイシー、またうちの店来いよ!やっちゃん、待ってるよ!」「すぐには無理でも、俺も諦めないから!だからみんな、これからも協力よろしく全開!」

介人の覚醒に、ちょっと泣けた。

「な~るほど、そっちの覚悟を決めたわけね。流石だわ」と若干呆れ混じりにジュランが感嘆し、ガオーンたちもすんなり受け入れる。

これこそ本当の介人なんだろうな。視聴者にとってもジュランたちにとっても。

ここに至ると、ステイシーとの決闘は介人がステイシーの意志に寄り添って自分の本意を殺していた訳で、決着回に見えて実はまだ介人の心情的にはステップの途中に過ぎなかった。

そう思うとあの回がイマイチ、ドラマとロボ戦の兼ね合いがすっきりしなかったのも、あまりバッチリ決まり過ぎてもそれはそれでよろしくなかってことなのかなと思ってみたり。

一方で、成功するまで何度でも自分を殺す事を諦めない決意を突きつけられたら、一般小市民の私ならストレスマッハで胃腸炎起こす自信がある。けど、そこで両親の教えなんていう尊い記憶と重ね合わせて仲良くなる事を諦めない方に覚醒するなんて、ポジティブシンキングにも程があると思う。

去年ガルザから憎悪を向けられた充瑠もだけど、ヒーローって神経タフでないと務まらないよな、偉いなと改めて(笑)。

吹っ切れてスーパーゼンカイオーになった介人に「やっぱイケてるわ~うちの介人は!」とすっかり身内贔屓な叔父さんモードのジュラン(笑)を皮切りに、黄桃青も次々と偽レジェンドたちにクリティカルヒットを決めながらの名乗り。トリをスーパーゼンカイザーが務めて、爆炎を背景に決意も新たなある意味新生ゼンカイジャーの5人名乗りがビシッと決まって、爽快感MAX。

 

その頃イジルデの研究室では、解凍状態で放置されていた介人母、美都子が目を醒ました。銀鼠色の布の下はチェックの普段着っぽく、10年前に攫われた時のまんまの服装みたい。「コールドスリープシステム?」と即座に自分の入れられていた装置を理解するのが、服装はラフでもしっかり科学者。

「そうだ、私たちキカイトピアに攫われて」と、諸悪の根源トジテンド王朝でなくキカイトピアという世界そのものに攫われたって認識なのが、ちょっとしんどい。攫われてすぐ凍らされたっぽいから無理もないけど。

「功くん、どこ?」と夫をくん呼びなのがいかにも仲の良い友達夫婦っぽくて、泣きそうに顔を歪めながらシステムを操作しようとするのがリアル。

そこに戻って来たイジルデ。洗面器をガシャッと落として、お前はまたスパに行ってたのか(笑)。

一瞬怯むも拳を突き出し、挑んでいく美都子の掛け声も介人と同じ「ちょわーっ!」でこの母にしてこの子あり(笑)。

イジルデが洗面器から飛び出したギアの1つを踏んづけて転び(石鹸?)あの下半身なんで自力で起きられなくなった隙に美都子が逃亡。うわ、ここから新展開くるか?(わくわく)。

 

偽レジェンドが倒され1人になったステイシーは、以前だったら5人相手に袋叩きだったかもだけど、強化された今はしっかり健闘し、暗黒流星群でスーパーゼンカイザー以外なぎ倒す。強化された介人とジュランたちの戦力差がくっきり出て、分かっているけど物悲しい。

でもセッちゃんのアドバイスカーレンジャーのキーを使うと、ガオーンにイエローレーサーの技、激走メカニックばらしが発動してミサイルのスピードに対応しつつスパナで分解した(汗)。

相変わらずマニアックな戦隊知識が使われている。たぶん戦隊オタク香村さんの案じゃないかと思うけど、折り返し地点を過ぎても殆どサブライターが入らない理由の1つが、他の人ではこの辺りを真似出来ないからでは?と思ってみたり。

なお巷ではなぜジェットマンのギアよりカーレンジャーのギアの方がまともなのかという疑問が散見されてじわじわ来る(笑)。

 

ならばとステイシーの胸のマークから砲筒が出現し、「シーザー蛇王咆哮撃(漢字曖昧)」とかいう暗黒流星群以上の中二病感漂うネーミングの必殺技を放とうとした瞬間、クダイターが現れ、

「あの女が並行世界間ゲートを使って逃げた。至急捜索せよ。直ちに戻れ」

とイジルデからの伝言を伝える。やっぱり呼び捨てで、同格か格下に対するようにぞんざいな口調。

「あの女って・・・」と聞きとがめた介人に、ステイシーは暫く沈黙した後、「お前の、母だろうな」

ヤツデさんをたぶんこの世で唯一大切な人として慕いながら、その孫を必ず殺すと固く決意して、でもその母親を解凍して逃げるチャンスを与え、思惑通りに彼女は逃げた。それは殺したい介人に母親を取り戻すという、自分にはもう決して望めないチャンスを与えることでもある。

人はそんな時、どんな壮絶な表情をするんだろう?

カメラは足元からステイシーを仰いで、顔はよく見えない。元々仮面の下で素顔が見えるはずもないんだけど、見えないことで却っていろいろ想像せずにいられなくなり、ぐっとくる。

宇都宮Pが「後ろ姿の魔術師」って呼んでたけど、中澤監督のこういう表情見えない状態での演出好きだな。

トッキュウジャーで祭の記憶を取り戻したライトの背中

つかさに兄の話を持ち出された時の魁利

「またおいでね」を背中で受けるステイシー

 

介人母の逃亡という大ニュースがその場に衝撃を与え、なおも矢継ぎ早に質問を浴びせる介人を振り切ってステイシーは去った。残された介人はやり場の無い気持ちをブラックジュラガオーンに向け、ゾックスに合体を呼びかける。

ここまでツーカイオー苦戦中。押され気味だけど負けてはおらず、この後の展開を思うとむしろ健闘かもしれない。あまり界賊にハッキリ土を付けたくないのかな?とふと思った。

ゼンカイジュウオーはここまで負け知らずの最強ロボ。だけどその必殺技をブラックジュラガオーンは、分離することで生じたブラックホールに吸収し、逆にミサイルを浴びせ返してゼンカイジュウオー初のピンチ・・・かと思ったら、ステイシーが撤退したせいかブラックジュラガオーンも消滅して戦いは決着つかず。

介人の心が乱れまくってるせいか、直後にゼンカイジュウオーも合体解除。ゾックスが介人に肩車して成り立っていることが判明(笑)。これは中澤監督らしい茶目っ気かな?って気がする。今回全編通じてギャグ少なめだし。

介人はいてもたってもいられず、ゾックスやジュランたちを置いて駆け出し、もしや母が帰っているのではとカラフルに飛び込む。

カラフルではヤツデさんもセッちゃんから美都子の逃亡を聞いて取り乱してる。でもここに戻ってはいなくて、介人は当てもなく街に飛び出して母を捜し回り、続く。

今回良い場面だらけでずっと面白かったんだけど、ごめん、ブランコの側で保冷バックからはみ出して炎天下に晒されっ放しだったネギがどうなったかちょっと気になった(汗)。

 

予告にコオリトピア、カシワモチトピアなど、これまで解放してきた並行世界。美都子を捜してこれらの世界を廻るのか。

ギアに閉じ込められていた世界はこれまで名前を聞いたりワルドの力からどんな世界か想像するだけで、見た事がなかった。だからどうしても「ワルドを倒せばトピアが解放される」というルールへの意識が薄くなりがちだったのではと思う。私も忘れてたし、バカンスワルドを惜しんだ時の介人も、もしかしたらそのせいでバカンスワルドの方に距離感が近くなってたのでは?と思ってしまった。

だから次回で一気に各トピアを見せてくれるのが嬉しい。

介人達が解放してきたことで、美都子が今回逃げ込めて助かる事になるならもっと嬉しい。

ゼンカイジャー25話感想: 実はトジテンドも危機一髪?な技あり総集編

冒頭からいきなり戦闘中。相手は、マヒルワルドにそっくり。だけど全く別個体のヒドケイワルドだからと警告しに割り込んできたセッちゃんが逆に捕らえられ、同時に「時を戻ソード」でゼンカイジャー結成前まで時間を巻き戻されてしまった。

今回はこの時間逆行によってゼンカイジャーが物語のスタートからここまで辿ってきた道のりを振り返るという、白倉Pが約20年前に担当した「仮面ライダー龍騎」のタイムベント回と同じ構造の総集編。

 

ちなみに今回の脚本は香村さんではなく久方ぶりの八手三郎氏。

八手氏ご本人は、バトルフィーバーJ以降スーパー戦隊シリーズの原作者としてクレジットされ続けている。脚本としては、たぶん本職のライターではなくプロデューサー主体で執筆された場合に、この名前が使われているのかなと思う。私が初めて見たのはゴセイジャーだったかな?

ヤツデさんの名前の由来はこれまで八手観音だと思っていたけど、スーパー戦隊シリーズの記念作品のヒロインだと思うとむしろ、こっちの意味合いの方が強かったのかもな、と今更思った。というか原作者と観音様のダブルミーニングだったのかも。

25話の折り返し地点まで来て香村さんが担当していないのは、この回とセイバーコラボの20話だけ。

過去に香村さんとコンビを組んだ宇都宮Pはサブライター投入で作風の幅を広げるのをたぶん意識されていて、その完成形がルパパトのシリアスとギャグの温度差だったと思う。けど、ゼンカイジャーは基本的には香村さん独りでそれをやろうとしているのかもしれないと思ったり。

 

トジテンドではボッコワウス以下幹部たちがこの作戦を見守っている。時間逆行はあくまでゼンカイジャーの世界にのみ作用して、キカイトピアには影響を及ぼさないってことみたい。並行世界だからそれぞれの時間軸が独立していても不思議はないか。

でもそのゼンカイジャー世界の歴史通りに、バラシタラとイジルデがトジテンドからモニターを見守る本人たちの前で戦線に立っているのはちょっとややこしい(汗)。

 

そんでヒドケイワルドは、ゼンカイジャー結成前時点のバラシタラ、5人目終結直後時点のイジルデの前に現れて、今のうちに禍根を絶つよう進言。でも、逆に信じて貰えず逆に警戒されて攻撃されてしまう(涙)。

更に、本編ドアワルド回では画面に映らない所で真面目に介人を捜していた時点のステイシーを見つけ、界賊に警戒するよう忠告に行く。でも、「歌って踊る、訳わからん奴ヒドケイ」という決して間違ってはいないけど絶対まともに受け止めては貰えなさそうな説明でやっぱり銃撃されてしまう(笑)。

 

介人の方は最初こそ、初対面状態のバラシタラやジュランたちを知らないヤツデさんの反応に戸惑ったりはしたものの、途中で元の時間での記憶は失われ、順調にジュラン、ガオーン、マジーヌ、ブルーンと過去に辿った道筋通りに仲間を増やしていく。

正直言って今回は、総集編として振り返る内容自体は結構ざっくりしていて個人的にはあまり強い印象はない。

その代わりこのヒドケイワルドの、自分の能力故に敵からでなく味方から次々に酷い目に合う姿が鮮烈で思わず同情してしまう。だって今回の彼って言語化すると

 

時間を巻き戻す能力を与えられて過去に飛び、未来に起こる厄難を防ごうと訴えるも、味方の誰からも信じて貰えず虐げられ身も心もボロボロになりながら、それでも自分や周囲の人たちの未来をより良く変える為に挫けずに人知れず孤独な戦いを続ける

 

って書けちゃうんだもの(汗)。まるっきりタイムリープ物の主人公みたい。

 

なお、センタイジュウギアを開発する直前のフリントが狙われた時、ヒドケイワルドに首輪で繋がれたセッちゃんと、カラフルから飛び出してきた過去セッちゃん、出会うはずのない2羽が出会った・・・(汗)。だけでなくいきなり息の合いまくったコンビ攻撃をヒドケイワルドに食らわせダウンを取っている。

タイムリープ物では、同一時間軸に同じ人間は存在出来ないとか同じ場所で出会ってはいけないとか作品毎にルールがあるけれど、そんなのお構いなし。きっとゼンカイジャーにはそんな厳密なものを求めてはいけない、はず(笑)。

 

健気なヒドケイワルドはやがてセッちゃんの言葉から、ゼンカイジャーの生みの親である五色田夫妻が全ての元凶なのだと知り、センタイギアの開発前にスクラップにしようと再び時間を巻き戻しかける。

でも間一髪、そこにゼンカイジャーたちが駆けつけて巻き戻しは失敗。介人たちが冒頭の場面と同じ台詞を繰り返すことで、遡った過去の時間がやっと巻き戻す前の時点まで追いついたことが分かる描写。

ゼンカイジャーは以前倒したマヒルワルドの再来ならまた倒せば良いだけと若干、いやかなり緩みを見せてる。寝転びながら銃撃つな(笑)。

でも実はそこまで全部演技。本当はヒドケイワルドに連れ回されていたセッちゃんから逐次情報を得ていたので準備万端だった。「お前に会える日を、全力全開でずっと待ってたぜ!」と介人。

つまり、新しい時間軸ではカラフルにいるセッちゃんとは別にもう1羽、未来から来たセッちゃんがいて、介人たちはその両方と繋がっていたというややこしいことになる。

・・・そうと分かっていたなら、途中でセッちゃんを奪還し解放してあげられなかったのかなと思ってしまうのは私の悪い癖(ごめん)。

こういうタイムリープ物でたまにあるんだけど、過去のある時点に置き去りにされてから時が流れて元いた時点に戻るまでの長い時間を耐えて待つ、または飛ばされた時間が遥か昔の場合は自分のいた未来に向けて種を蒔き、その思いが実って状況が改善することを信じながらその時代で生涯を終える、っていうシチュエーションがちょっと苦手なんだよね。その長い雌伏期間の気持ちを想像してしまってしんどくなるから。

でも下手に過去の歴史にはなかったヒドケイワルドとの対戦を途中で割り込ませたりすると、万が一歴史が未知の悪い方向に転がったりしたらマズいと思ったからってことかな。

 

販促対象のセンタイジュウギアはスーパー形態×2もセンタイジュウオーも振り返り映像の中でしっかり紹介済み。

だから、今回のヒドケイワルドとの決戦は心起きなくキカイノイドたちの技のキレを見せ付ける。最後はジュラン曰く「やっと来ました師匠の技!」ジュウレンジャーの必殺技で撃破。

 

トジテンドではこの顛末を、こちらも半年リアルタイムで見届けるのは悠長過ぎるから、結果だけ見届けてたんだろうか?その辺りはあまり深く考えてはいけない気がする(笑)。

ボッコワウスは敗北に激怒して拳を何度も打ちつけて幹部を何度も宙に浮かし、ルーティンと化していたクダイテスト→ダイワルドによる巨大戦も却下。

それを取りなすゲゲの声は今回から福西さんに交代。声自体はわりと先代に似ていると思う。少なくとも私はそんなに違和感ないかな。

 

放置されたヒドケイトジルギアはそのままひっそりと砕け散り、ヒドケイトピアの解放が印象付けられる。

ワルドが倒されるごとに並行世界が解放されるのはこの作品の基本ルールなんだけど、前回バカンスワルドの死を惜しんだ介人がそのことを改めて意識した感じはしないし、私も忘れかけてた。閉じ込められ救われた世界を実感出来ないと、どうしてもそうなっちゃう部分はあるかなと思う。

だから、前回の終わりはあれでいいと思っているけれど、今後1度くらい解放された世界の住民と交流する話があっても良いかなと思ったりした。でも出来ればゴミワルドとかはいろんな意味で避けたい(汗)。

 

その夜、カラフルではセッちゃん主役のお祝いパーティーが開かれていた。ヒドケイワルドが倒されたことで2羽のセッちゃんは融合したのかもだけど、敵に半年間連れ回されていた事実とその間の心労の記憶は残ったんだろなと思う。

そりゃあ半年ぶりに戻ったカラフルでパーティーを開いて貰い、皆から主役としてチヤホヤして貰ってもバチは当たらない。

でもそれを労う料理が全部鶏料理(笑)。「それ鳥チュンね」「それも鳥」といちいちセッちゃんが毒混じりの声でツッコむのが、声優さんのアドリブらしいけどじわじわ来る。

そこにしれっと混ざっていて誰よりも早くかぶりついている界賊一家のふてぶてしさは、もはやこれが平常運転。だけど、これまでの道のりを振り返る中で彼らに助けられたことも多かった、と再認識したセッちゃんがそのことを口にすると、事情はわからないなりに照れ始めていて可愛い。そう、海賊行為が身についてはいるけど、根は悪い奴らってわけでもなさそうっチュウ。

 

今回の作戦は、仕掛けたヒドケイワルドを過去の幹部たちが全く信じず逆に虐げてチャンスを潰したのに対し、仕掛けられたゼンカイジャーはもう1羽のセッちゃんを信じ無事に切り抜けて勝った。

一緒に過去を旅し、それぞれ自陣営のために未来の情報を伝えようとしたヒドケイワルドとセッちゃんの明暗を分けたのは信頼関係の有無。悪の組織とヒーロー陣営との残酷な対比。

ただ、ヒドケイワルドの扱いは確かに酷くて不憫だけど、セッちゃんの場合は4~5話時点で既に全員面識=信頼の下地があるのに対し、ヒドケイワルドは巻き戻し時点では影も形もないから怪しまれても仕方ないかな。特に1話当時のバラシタラはワルドという怪人の存在すら知らないわけで。

過去の自分に信じさせるような配慮を何一つしなかったバラシタラの自業自得と言ってしまえばそれまで。だけど、自分が発案しボスの前で誇らしげに説明したせっかくの作戦を、過去の自分が何も知らないまま容赦なくぶち壊す記憶が、ボスと共にモニターを見守るのと同時進行で上書きされていく居たたまれなさには同情する(笑)。

 

一方イジルデ。

2話の介人とのやりとりを見た感じ、たぶん五色田博士夫妻を拉致して奪った技術からトジルギアを開発しているんだろうな。

だからヒドケイワルドがもし失踪前の夫妻を抹殺していたら、ここまで殆どの並行世界を封印し手中にしたという壮大な成果が一気に無に帰するところだった。そう考えると実はトジテンドの存続に係わる危機一髪だったのかも。

五色田博士夫妻のことをボッコワウスやバラシタラが把握している感じはあまりしないから、もしかしたらイジルデは自分の技術の由来と夫妻の存在を隠しているのかもしれない。

だとするとヒドケイワルドの標的が夫妻に向いた瞬間心臓(あるかわからないけど)バクバクになってもおかしくなさそうで、イジルデはその前にヒドケイワルドを倒してくれた ゼンカイジャーに感謝してもしすぎることはないかもな。。

やっぱり1怪人が持っていい能力ではないよ。もしヒドケイワルドがあんな健気な奴でなく妙な野心や上司への強い恨みに突き動かされたりしていたら、トジテンドにとって危険なことになってたかも。

 

なお、マヒルワルドの時に充電切れを起こしていたセッちゃんが、半年間ヒドケイワルドと一緒にいても普通に稼働して逐次連絡を取れてたということは、ヒドケイワルドがこまめに充電してあげていたことになるよな。

攫われてたからとはいえそんな風に面倒見て貰いながら半年間ずっと一緒にいて、上司からの理不尽な扱いにボロボロになる気の毒な姿も見て「上司に恵まれない中間管理職の悲哀っチュウ」なんて言葉もかけた。だけど「同情は要らないヒドケイ」への「誰が同情するチュウか!」「だから同情してないっチュウ」が本心からの言葉でしかなくて、最後まで1ミリも絆されなかったセッちゃんは、メカだけに正に鋼鉄の意志だなと改めて。

これが介人ならたぶん1日でありがとうとか言い出して、3日もすると20個以上共感ポイント見つけて仲良くなりたがり悪い事やめようと説得始めるけど、和解の道を捜してる最中に倒さないとヒドケイトピアが解放されないことに思い当たってジレンマにドボンしてるのでは?って気がした。

 

最後に、着ぐるみの扱いについて。

リサイクルワルドの時に、ゴミワルドの姿にリサイクルマーク貼っただけで別の怪人として成立させたのを見て感心した。

でも今回のヒドケイワルドはマヒルワルドと何にも変えていない。

着ぐるみ節約は近年の戦隊共通の課題だけど、リサイクルワルドで1ステップ踏んでから今回で<ゼンカイジャー 世界では全く同じ姿の別ワルドが存在する>という世界観をしれっとねじ込めたのは今後を考えると強いなと思う。

見ている間も、上司に恵まれない中間管理職の悲哀キャラが強烈で、マヒルワルドと同じ姿でも全く気にならなかった。ゲスト怪人で大事なのはデザインの独自性以上に声の違いやキャラ立ちなんだろうな。

むしろ着ぐるみを再利用する怪人こそ、別キャラとして先代を塗り替えるような個性をガンガン打ち出した方がいいのかもと改めて思う。

戦隊では珍しい時間逆行形式を採用し、今回だけに留まらず今後の着ぐるみ節約の道筋を付け、サポートキャラのセッちゃんにも主役として堂々とスポット、と色々技ありの総集編で面白かった。

ゼンカイジャー24話感想: たとえ君が良い奴でも

ヤツデさんが温泉ツアーに出かけ、介人たちが留守番は任せてと大見得切った直後にトジテンド情報。店番をガオーンとマジーヌが引き受けて介人と赤青が出動する。

ヒーロー活動という「公」のために生活拠点という「私」を犠牲にはしないという、キラメイジャーでも打ち出してた姿勢。ゼンカイジャーの資金や生活費は他から援助受けてるわけでもなく、この店の利益から出ている部分が大きいだろうしね。

 

現場にいたのは、先着のゾックスと戦うバカンスワルド。名前を確認して「夏全開だなあ」と介人らしい緩い反応だけど、それはそれとして倒す気満々。

バカンスワルドが「まだ何もしてないのに」と抗議すると

「<まだ>ということは、これから何かするつもりですか!?」とブルーン。防災のために倒すと印象付け、更に何をする気か問いただすことでぼかされてるけど、ゼンカイジャーというヒーローとワルドという怪人との関係について、後になって考えさせられるやりとり。

 

介人がチェンジマンのギアを使うと、チェンジグリフォンの力で地下から吹き出したマグマにバカンスワルドが空高く押し上げられ、逆にチャンスだと地上広範囲にバカンスパワーを解放。

するとゼンカイジャーたちだけでなく会社員や主婦更には国会議員まで、任務や仕事をおっぽり出しハイテンションでバカンスモードに突入してしまう。ほくそ笑むバカンスワルドの勝利宣言と共にOP。

・・・国会議員の中に、キカイノイドがちょこちょこいる(汗)。共存始めて半年足らずで国政にもあれだけ異種族が入りこめるなんて、大らか過ぎるにもほどがある。

こんな緩い世界なら、暴力なんて使わなくてもトジテンドの息のかかったキカイノイドを穏便にたくさん送り込んでいた方が、今頃ゼンカイジャーなんかが手を出せないごくごく合法的な形であの世界を手中に出来てたんでは?と思ってしまったりした。

 

OP終盤、いつもは介人たちがわちゃわちゃしてるカラフル店内は最後まで無人のままでやがてほんのり西日だけが照らすのも、最初は何事?とちょっと不穏だったけどバカンス全開で誰も戻ってこなかったのねと思うと後からじわじわ来る。

 

トジテンドでは、「侵略が完了したであります」とバラシタラが高らかに報告。人々(キカイノイド込み)はバカンスにかまけて遊び呆け、戦意を喪失しているからと。・・・このレベルでいいのなら、これまでも何度か一時的に侵略が成功していたのでは?という気がしないでもない(笑)。

 

クダイターがクダックを率い、侵略後の世界の使い道を決めるため調査に繰り出す。この作品、基本的に頭おかしいくせに、こういうところが変にリアルで真面目なのが味になってるな。

そこで目にしたのが住民たちと一緒に遊んでいるバカンスワルド。

クダイターがバカンスワルドに偉そうな口をきいていて、ワルドの元は雑魚兵のクダックなんだよなと再認識。

キラメイジャーだとベチャットが熟して邪面師になるといういわば昇進制度みたいな仕組みだけど、ゼンカイジャーの場合はクダイターからすると、たまたま実験体に抜擢された元部下みたいな感じで上下関係が変わる意識はなさそう。

そんでクダイターがバカンスワルドに感化されていくダメな予感をぷんぷん匂わせた頃、介人たちはそれぞれの趣味趣向に沿ったバカンスを思い思いに楽しんだ後に、浜辺でバーベキュー。

付近で行われていたビーチバレーのコートをバカンスワルドが強引に分捕ろうとした時、全力で諍いコートを賭けて勝負を挑むあたりは、洗脳されていてもやっぱり根っこはちゃんとヒーローのままなんだなと思った。

そこから大真面目に延々と繰り広げられるゼンカイジャーVSバカンスワルドのビーチバレー対決(笑)。セッちゃんの「そんでそんで」な解説でサクサクと試合が進み、ジュランがボソッと「尺の都合?」と突っこむけど、いや十分過ぎるほど尺とってると思う(汗)。

最後は介人がゲームにサンバルカンのギアを堂々と使い、反則まがいの必殺アタックで豪快に勝利し、コートを奪還。

するとバカンスワルドの闘志に火がついて、「今度は純粋に、お前らと勝負したいバカンス」と言い出す。

思いっきりビーチファッションに着替えたゾックス兄弟も加わって、本当に他愛なく浮き輪投げを楽しんでる。浮き輪を受けるフリントが無駄に可愛く、ゾックス一家の圧勝するとガオーンがキラメイジャーのギアをただ祝勝のためだけにクラッカーとして使用。しかもオラディンの「きらめこうぜ!」付きという気合の入れ方(笑)。いいの?前年戦隊のこんな使い方いいの?と頭をよぎったけど、手を下した監督がキラメイジャーのパイロット山口監督だから、きっと大丈夫。

 

一方、バラシタラは部下がいつまでたっても調査報告に戻って来ないので様子を見に行くと、住民と一緒になって仲良くバカンスを満喫していた(笑)。日光浴してるクダイテストがビキニ姿で、女子もいるんだなと判明し、ちょっとびっくりしつつじわじわ来る。

 

介人たちの方は続いてスイカ割り。ゼンカイもトジテンドもなく仲良く円陣を組むと、純粋にスイカ割りのためだけに変身するヒーローども(汗)。そしてこんな時に限って限りなく正統に近い貴重な5人名乗り(効果音がちょっとバカンス仕様)。

それぞれのチームリーダーの絵の付いたスイカを特定の棒で叩き割れば勝ち。仲間は敵を妨害しても良いけど、自チームのスイカ以外割っちゃダメ。そう妙にきっちりルール説明がされて始まるスイカの争奪戦が、敵味方入り乱れたゼンカイジャー屈指の見応えと言いたくなる力の入ったバトルで、カメラワークも冴え渡ってる(笑)。

ぶっちゃけ、物語の節目の大一番的な位置付けだった前回の偽物戦隊とのバトルより見応えあるって、やっぱりゼンカイジャーは頭おかしいだろ。

そんで今回はゼンカイジャーVS界賊のバトルも繰り広げられて、ゾックスのスイカを抱えて逃げるマジーヌをフリントが気軽に発砲しながら追いかけるとか、遊びにも界賊の流儀が遺憾なく発揮されていて恐ろしい(笑)。

 

でも介人、ゾックス、バカンスワルドが同時にそれぞれのスイカを割ろうと気合全開で振りかぶった時、部下がすっかりバカンス脳に冒されて怒り心頭のバラシタラが登場。

「下っ端のくせに我々より先にバカンスを満喫するなど言語道断!粛清である!」と言うやバカンスワルドにロケット弾を放って爆殺。

「バカンスワルドー!!」介人たちの絶叫と共に、炎の中から形見のスイカが転がり出てきて、なんかもう笑っていいのか泣いていいのかわからない(汗)。

ワルド死亡によってバカンスパワーは消滅し、皆は正気に戻っても洗脳されていた間の記憶は残ってるみたいで、介人がバカンスワルドを惜しむ気持ちは変わらない様子。

 

それにしてもトジテンドは、沢山の並行世界を一気に閉じ込めて征服しちゃったとこだけ見ると最強最悪な悪の組織なんだけど、中の人達はトップも幹部も兵隊もゆるゆるだなと改めて。油断するとすぐサボって仲良く遊ぶし、敵の変身やいい話の間待ってくれるしね。

ひょっとしてたまたま五色田博士の優秀すぎる技術を目の当たりにして強引に手にしたばかりに過大評価されてるだけ?

 

「少しくらい働け!」バラシタラがバカンス気分の抜けていないクダイテストめがけてギアを投げ、ダイバカンスワルド誕生。こちらは世界をトロピカルにはするものの、「遊びは終わり」と殺意満々。まあバカンスを楽しむ同僚が粛清されたことは知らないかもだけど、バラシタラにああ言われたらそれ以上緩い気分じゃいられないよな。

その攻撃にジュランとガオーンがダメージを受けて、今回はようやくマジブルーンが出撃。ジュラガオーンの方が出撃しない理由に気を配られてる気がするのは、やっぱりこちらがメインロボだからってことなのかな。

ダイワルド以外にもう一体クダイテストもいるため、ツーカイオーカッタナーも出撃。ツーカイオーはいつも通り普通に強いけど、ブルマジーンも魔法が使え、おまけに飛べるから、以外とジュラガオーンよりピンチ演出がしづらいのもあるのかな?とふと思った。

最後はゼンカイジュウオーで圧倒&トドメんロボ3体が並び立ったのは初めてかな。これにジュラガオーンが加わればゼンカイロボ全員集合だけど、それはまだ先にとっておくんだろうか。

 

戦い終わって、商品が飛び散ったカラフル店内を総出で片付けながら、介人はバカンスワルドとの時間を思い出して「トジテンドの人たちと遊べたの、楽しかったなあ。みんなああやって仲良くできたら良いのに」とスイカを抱えて微笑む。

でも「いやそれは分からなかねえけど、結局襲ってきたじゃねえか」「バカンストピアのギアの力が特別だったんすよ」と即座に釘を刺すジュランとマジーヌ。

前回の病院でもそうだった。介人の「ステイシーと仲良くなれるかもって思った」に対し「でも仲良くなりたかったのはヤツデだけだった」と流れるように否定。

ジュラン達はトジテンドにずっと酷い目に会ってきたから、介人が誰とでも仲良くなれるのではってすぐ思っちゃう所を危ういと思ってる。けど反面、そんな介人だから自分たちは救われてカラフルにいるんで、最大の美点でもあるのはわかってるんだよね。

だから「介人は甘い」みたいな全否定は決してしない。その代わりにあくまで論理的に根拠付きで即座に希望的観測を打ち砕くのが遠慮なくて、あくまで対等な仲間として介人を守ろうとしてる感じが良い。

 

やがてヤツデさんが温泉ツアーから戻ってきて、店の散らかりようにびっくり。お怒りモードでお土産渡さないと脅し、許しを請うて土下座するゼンカイジャーたちで、続く。

バラシタラが侵略成功宣言したくらいだから、バカンスパワーはヤツデさんの旅行先の温泉にも届いてたと思うけど、元々バカンス真っ最中だったから洗脳された認識ないまま引き続き楽しんでたのかな?

 

今回は途中までひたすらヒーローと敵とが一緒に遊ぶ描写の連続で、その時は見ていて楽しくてもこのまま終わるはずないから、どこで暗転するのかと途中からはハラハラしていた。

特に介人はちょっとでも共感ポイントがあれば仲良くなれるのではと思いたがる奴。振り返れば最初にステイシーと戦うのを躊躇ったのも、見た目人間だからというのはガオーンに寄り添い過ぎての言葉で、本当はその前に一緒に駆けっこした仲だからと脳内補完してる。

そんな介人が一緒にゲームを全力全開で楽しみ、良い勝負だったと互いを認め合って「強敵」と書いて「とも」と呼ぶかのような握手交わした相手を倒す展開はキツいなって。

だからバラシタラに倒された時は、悲しいけどホッとした。

 

ワルドという怪人は他の世界を犠牲にして成り立ってる。だから、この世界だけでなく他の世界の解放も標榜するゼンカイジャーは、ワルドが何も悪い事をしてなくても、たとえどんなに良い奴でも、その存在を許してはならない。

下手すると、あのまま楽しい時間をもっともっと共有した後で、いつかは介人たちがバカンスワルドを倒さなければならなかった。

なのでバラシタラが倒してくれて実は助かった面もある。というか、今回は介人をそこまで追い込まないために、バラシタラが一度は成功した侵略を「自分より先にバカンスを楽しんだから」というみみっちい理由でぶち壊すパワハラ上司の役割を担ったのかなと。

 

「トジルギアは並行世界を閉じ込めた物。ワルドとダイワルドを倒してギアを破壊すればその世界を救える」

という仕組みを知った時から、ゼンカイジャーというヒーローにとって、自分たちの世界を守るだけでなく閉じ込められた他の並行世界を解放することも旗印となった。

そのためワルドは問答無用で倒すべき敵という見方が固定され、そこに疑問を挟む余地はなくなったのではと思う。ステイシーに対してなら(もしかしたらバラシタラにも)和解出来る余地があるのでは?と思えてしまう介人であっても、ワルドに対してはそんなことは考えたこともなかったかもしれない。

でも今回、強制的にバカンスワルドと交流し楽しく遊んだことで、恐らくワルドも含めた<トジテンドの人たち>と仲良くなれたらいいのにという気持ちを持ってしまった。

それはゼンカイジャーというヒーローとしての行動原理に現時点では反するものなんだけど、介人がそこを意識しているようには見えない。でも私は責められないな。

介人は自分たちがこれまで助けた世界やそこに住む人々を一度も見たこともなく、当然交流した事も無い。

そういう存在を実感出来ない人々への共感や想像力だけでここまで20ものトピアを解放してきたことを、私は凄いなと思っている。だからいつの間にか介人たちの並行世界解放への意識がどこか形骸化してしまう時期があっても無理はないと思った。

私自身、見終わった直後には「バカンスワルドもジェラシットみたいに生き残れなかったのかなあ?」と残念に思ってあれこれ考えているうちに「あ、ワルドが倒されない限り解放されない並行世界があるんだった。ダメなんじゃん・・・」と思い出してやるせなくなったくらい。

 

今回が、介人にトジテンドとの共存への希望を意識させるターニングポイントになるのか、もっと言えばワルドという存在に対するジレンマに直面する序章になるのか、それとも単なる1エピソードとして通り過ぎるだけなのかは気になるところ。

ただもし最終的にトジテンドとの和解がなったとしても、ワルドだけはワルドのまま生き残ることはたぶん許されない。たとえバラシタラやイジルデですら改心して共存出来たとしても。

ワルドは、共生をテーマにしたゼンカイジャーの物語にあっても絶対に共存が許されない存在なんだな。そう思うと今回みたいな回は、面白うてやがて悲しく切ない。

 

ちなみに生き残りルートに乗れたゲスト怪人て誰がいたっけって思い返したら、ジェラシット以外に思い浮かんだのがヤツデンワニ(汗)。どちらも荒川戦隊の浦沢脚本回(大汗)だと思うと、生き残りに必要なのは良い奴かどうかとか戦隊メンバーと心を通わすことができたかとか、そういうものとは別の強烈な何かなんだろなと、見えないハードルの高さを感じて複雑な気持ちになった。