キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ゼンカイジャー27話感想: 母と別の世界の人たちのため、友のため、母に似た人のため

前回、美都子がトジテンドから逃げたというニュースで衝撃が走ったカラフル。ヤツデさんが写真を見つめながら祈っていて、胸を突かれる。セッちゃんはラボで必死に広域捜索しているけど、見つからない。街に飛び出して当てもなく母親を捜していた介人も力無く戻ってきて、重苦しい空気。

でも「もしかしたら、ここじゃない、別の世界に逃げ込んだって可能性も、あるんじゃない?」とガオーンが言い出し、皆一気に色めき立つ。

そこにタイミング良くゾックスが来店。合体解除後の介人の只ならぬ様子を心配して来たんだな。並行世界を自由に行き来出来るゾックスは、介人にとって文字通り、本当に文字通り、渡りに船。

 

トジテンドでは、美都子に逃げられたイジルデが「吾輩は確かにコールドルームに戻したはずだが。お前も見ていただろ」と、ステイシーのことは疑っていない。まあ、まさかステイシーに、初めて見たサンプルを逃がす動機があるとは思わないかもな。

美都子は並行世界間ゲートで逃げようとした所をクダックに発見され、その攻撃でゲートが狂い、どの世界に繋がったのかわからなくなったと言う。

「ゲートは修復した。ステイシー、お前もあの女を捜して連れ戻せ」

「それはそんなに急ぐことなのか?せっかくゼンカイザーを追い詰めることが出来そうだったのに」

手柄を挙げたいのも本心だけど、捜索を後回しにすれば美都子をヤツデさんの元に帰せる可能性が高まるのに、というもう1つの本音を上手く隠してる。

「吾輩にとっては大変重要なサンプルなのだ」とだけ言うイジルデは、トジルギアでこれだけ成功してもまだ、今後も美都子博士の知識を必要としていて、そのことを周囲に隠してるってことだろうか。

 

介人、ジュラン、マジーヌが界賊船に乗り込んで並行世界に向かうことになった。

明るく送り出すガオーンと、行きたくてしょぼくれるブルーンの留守番コンビがなんか新鮮。ブルーンは行く先々でその好奇心を発動してややこしくなるからと説明するガオーン。だけど、行った先々で出会う生き物に夢中になりそうという点ではガオーンも似たり寄ったりな気はする。

船内では、まずどの世界から捜せばいいか決めかねてる。これまで解放した並行世界は20ともなると的が絞れないのも無理はない。

ついつい、「頑張ってこんなに解放しなけりゃもっと簡単だったんでは?」などとゼンカイジャーの活動そのものを否定する考えが浮かんでしまった(汗)。

 

なお、解放された世界をトジテンドがもう一度トジルギアに閉じ込めようという動きは今のところない。

介人たちの世界を閉じ込めかけた時に何かの不具合が起きて、キカイトピアの一部が融合してしまった。更にその世界の人間とキカイトピアの庶民とが協力して厄介な抵抗勢力になってしまっている。

そのため、その後に見つけた新たな並行世界(セイバーの世界)の封印や、一旦解放された世界の再封印に対し慎重になっているって感じだろうか。

 

介人はマジーヌに、母親の居そうな場所を占ってと頼むも、水晶玉は中々答えてくれない。いやいや3話であれだけ空振りしたことを思い出せば、「どこにいるか」だけは占わせちゃ駄目ではと思うんだが、それでもマジーヌの「好き」を決して否定はしないんだな介人。

で、目配せし合いながらイライラを極力抑えつつ見守る界賊一家に、「すみませんご面倒かけますが今後もお付き合い下さい」と言いたくなった。見切りを付けてフリントに「とりあえず、どっか行け」と笑顔で指示するゾックスが、頼れるにーちゃんで素敵。

 

最初に降り立ったのはカシワモチトピア。一体どんな世界かと思いきや、柏餅屋が街のあちこちにあり柏餅自販機まであるけど、住んでいるのは人間。でも柏餅に羽根が生えて鳥みたいに飛んでる生き物もいるから、人間以外の生態系はまた独特っぽいけど。

なんだか柏餅以外の食べ物があるのか心配になってくる勢いで、糖尿病にならないのかとか、ついつい住民の健康を心配してしまった(笑)。

柏餅を模した帽子を被るのが常識というかマナーらしく、被ってないジュランを変質者扱い。世界が変われば常識も変わるってことをすかさずアピールしてくるのは香村さんらしいなと思う。

一行はこの後もレトロトピアやコオリトピア等、他の並行世界を回るけど、住んでいるのはやっぱり全部人間。しかも全世界にスーさんがいて、ある意味スーさん七変化回(笑)。

<並行>世界だから同じ人間がそれぞれの世界に存在しているんだよってことみたい。それをスーさんで見せられても需要的にどうなんだとはちょっと思うけど(笑)

キカイトピアは全く別種族の生物だったから、てっきり他の並行世界もそれぞれ別の姿をした生物が生きているのかと思ってたから意外だった。でもメタなことを考えれば、そんな別種族の着ぐるみをそれぞれ何体も作る予算があるとは思えない。だから代わりにスーさんを使って、同じ人間が別々の世界でそれぞれの風俗習慣常識に沿って暮らしている並行世界のあり方を見せたって感じかな。

 

並行世界を次々に回っても、母親は見つからない。でも介人は、自分が解放した世界を初めて見て、むしろ元気を貰っている。

解放された側は目の前にいるのが恩人とも知らずに不審者扱いしたりもするのに、彼らが平和に暮らしていることを喜ぶ介人が、凄く介人だ。ゾックスやフリントも、たぶんそう思って笑ってる。

 

そこに、ステイシーもクダックを引き連れて捜索に来ていた。全員モコモコの防寒着なのが可愛い。

そんでそれを見た後だと半袖の介人とゾックスが、改めて寒々しい。睫毛凍ってるし(笑)。

ステイシーは、美都子捜索のため全並行世界にクダイターが放たれ、捜索だけに飽き足らずその世界を荒らし回っているだろうと告げる。「自分の世界に戻ってくれれば良かったのに」と誰にも聞かれないよう本音を漏らしてる表情が本当に残念そうで、ヤツデさんのために人知れず苛立ったりしている感じが好き。

 

これを聞くと介人は放置出来ずに、手分けして全世界の捜索隊たちを倒しに行こうとゾックスに提案するが、拒否される。

「俺はお前だから協力してんだ。他所の世界まで助けてやる義理はねえ」それよりは美都子捜しを最優先すべきだろうと主張。

ジュランやマジーヌはゼンカイジャーというヒーローとして介人に同調してるけど、私は今回はゾックスに同調してしまった。手分けすると言っても広範囲過ぎて手に負えないし、倒しても倒しても、美都子が見つかるまできっとトジテンドはまたやってくるわけで。

そもそも介人は今回、ゾックスが自分には何の得にもならないことにここまで付き合ってくれていることへ意識が薄いなと、ちょっと思う。自分に関する損得感情が薄いから、つい他人の損得感情にも疎くなる部分はあるんだろうな。

母親も捜したい、でも母親の捜索のために並行世界を荒らし回るトジテンドもなんとかしたい。

板挟みになった介人は、マジーヌの「次で美都子さんが見つかっちゃえば解決なのに」と言う言葉に何か閃く。

 

次の世界はキノコトピア。人々は頭にキノコ生やしている(汗)。2話で皆の頭にキノコが生えたのは、てっきりキノコワルドによる力の悪用のせいだと思っていたけど、もしかしてキノコトピア自体がそういう世界だったの(汗)?それとも柏餅の帽子と同じくこの世界のルールとしてくっつけているのかな。

そう言えばコオリワルド以外は、カシワモチワルド回もレトロワルド回もキノコワルド回も中澤監督で、担当監督として責任持ってこれらの世界を作り込みます!って感じだったのかなとふと思った。

 

美都子を捜しながら住人をいたぶる戦闘員たちの前に介人、ジュラン、ゾックスが立ち塞がる。ゾックスはあれだけダンスが上手いだけあって、回し蹴りも綺麗に決まるな~と感心。

そこにフリントが「美都子がいたぞ~!」と大声で知らせに来て、敵も味方もそっちへ向かう。美都子発見の知らせを受けたイジルデは全並行世界に散らばった捜索隊を全員キノコトピアに向かわせた。通信機器のボタンを叩きながら口でピポパポ言ってるのが、この物語の諸悪の根源と言っても良いキャラなんだけど、愛嬌があって可愛い(笑)。

ステイシーも半信半疑ながら合流すると、崖の中腹から介人たちが勝ち誇って見せびらかしたのは美都子。・・・逃げ出した時=攫われた時のチェックの夏服じゃなくて、介人の回想や写真でお馴染みのピンクのセーター。攫われた時にその服も一緒に持っていたとは考えにくいから、もうここである程度作戦の内容が分かってニヤニヤできる(笑)。

美都子は動きがぴょこぴょこしていてコミカルで可愛い。クダイターに腕を掴まれたりして「ぬぬぬ」と言ってるのを見ると、ああやっぱりねと(笑)。

ステイシーは乱戦の中でクダイターが美都子を連行するの阻止。介人に奪い返されると攻撃するふりしてクダイターの攻撃を除けさせ、後はもう見てるだけ。クダイターが倒され、美都子がまんまと界賊船に回収されるのを見届けると「ヤツデのためだ」と呟いて、そのまま立ち去ろうとする。

単にこれで本物の美都子が無事ヤツデの元に帰れたと思っているのか、それとも介人たちの作戦に気付いた上でそれに乗っかったのか。所々意味ありげに美都子を見つめるステイシーのカットが入り、後者な気もするけど、確証はないかな。

こんな風にヤツデさんのためにステイシーが人知れず働いているのを誰も知らないままなのは、ちょっと切ない。もしヤツデさんに、

「サトシは実はステイシーで確かに介人の命を狙い続けてるけど、不幸な生い立ちで母親の面影を宿した貴女を慕い、ゼンカイジュウギア開発に実は貢献したし、今回美都子を逃がしてくれたんだよ」

って言ったら、何て言うだろうかと考えたりする。びっくりしてショックも受けるけど、10秒後に「ならうちにおいで」って言うだけな気もしたりして。

 

そんなステイシーにイジルデからブラックジュラガオーンで追跡しろとの催促。「ステイシーってば!」が可愛くて、やっぱり狡い。

渋々出したブラックジュラガオーンが、並行世界間ゲートの中を進む界賊船に追いすがって、2体はコオリトピアに墜落する。

介人とゾックスがセンタイジュウオーになっての戦闘は、まるで氷河期時代の戦い。幻想的でもある絵面が寒々しく荒涼としていて大迫力。前話で追い詰めただけあって今回もブラックは強く、センタイジュウオーを一度はダウンさせる。

でも介人のひらめキングでブラックの背後にそびえる氷山を破壊し、その崩落で下半身が埋まり動けなくなったブラックに一気にトドメ。

終わって見れば、またしても2話であっさり退場となったステイシーのロボ。もしかして劇場版ロボ枠?なんて思ったりしたけど、この活動期間の短さじゃ、やっぱりプレミアムバンダイだろうか?

ひょっとしてステイシー関連の商品がプレミアムバンダイで人気なため、バトルシーザーロボ、今回のブラックジュラガオーンだけでなく、この後もステイシーのロボを出して稼ごうとしてる?とかメタな事情を勘繰ってしまってみたり。

 

出発した場所に戻ってきた介人たちはガオーンとブルーンに出迎えられる。連れ帰ってきた美都子の正体は、やっぱりマジーヌ。占いが不発に終わったマイナスを取り戻す活躍ってことか。

美都子はゼンカイジャーが回収したとトジテンドに思わせて、各並行世界から捜索隊を引き上げさせる作戦だった。

結局母親捜しは空振り、しかも各世界の平和のために途中で切り上げざるを得なくなったわけだけど、介人はまたも元気いっぱい。世界を守ることと母親捜し、両方やっていくと決意を新たにする。

それを「しょうがねえなあ。でもこいつらしいなあ」って感じで微笑ましく見守ってるゾックスとフリントは、もうすっかり介人に絆されまくっている(笑)。「これからもよろしく全開!」と満面の笑みで言われて「ま、乗りかかった船ってやつだ」とデレて後ろを向くゾックス。そんな兄を横目にフリントはちゃっかり「代わりに、カラフルの代金、これから全部奢れよな」と条件を出す。

困って値切ろうとするも、ゾックスから「そこは、財布全開、だろ?」と楽しそうに言われ、わちゃわちゃやってるところで、続く。

 

介人のためなら協力を惜しまなくってるゾックスは

「最近は介人に対して後方彼氏面を崩さなかったゾックスくん」

とまで公式に言われていて、思わず言葉の意味を調べてしまった。推しのアイドルを後方の観客席で静かに見守るファンのことだそうで、まあ偽物回から陰から見守って心配したりニッコリしたりしてたのをそう呼ぶのかと、気持ちはわからんでもない(笑)。

ゾックスは他の世界に生まれ育っていれば、子供の頃から同年代の友達としょっちゅう冒険ごっこで傷だらけになって、気に入った友達の家には入り浸り冷蔵庫とか勝手に開けてる代わりに、その友達を苛める奴には徹底的に報復するタイプだったんじゃ?って気がする。

介人は、そんなゾックスにとって初めて出来た同年代の友達だったのかもしれないなと。

 

で、介人の方は、自分が見たこともない他の並行世界の人々のために損得抜きで体張れるし、今回もそれらの世界のために自分の母親捜索も一旦棚上げにしちゃうような奴。

なので、介人の為だからこそ自分たち一家にとっては直接メリットのないことに多大な労力を貸しているゾックスの気持ちに、ちょっと鈍感な部分があるのかもな。

レジャーでも車出してくれた人にガソリン代分お礼するんだし、これからも並行世界に連れてって貰う気なら、ゾックスたちの申し出は妥当、むしろ安いくらいだよなと思ったり。

 

並行世界の人達は、介人たちが解放してくれた恩人とは知らずに時に不審者扱いする。それに、頑張ってこんなにたくさんの世界を解放しちゃったことが自分の大事な母親の捜索を却って難しくしている皮肉な面もあると思う。

なのに、ひたすらそれらの世界が平和に暮らしてる事を喜び、それに元気付けられ、母親の捜索よりも他の世界を荒らされないことをまずは優先する介人のヒーロー性のスケールには、正直なところ今回ちょっとお手上げ。

だけど各世界からトジデント捜索隊を引き上げさせる事で、各世界の平和だけでなく、数で圧倒的に勝るトジデント捜索隊が先に母親を見つけてしまう危険も防げるというメリットもある。

こういうくすぐり作戦の時にも似た、全方位に良い作戦を考えつけるのは介人の凄みだな、と改めて。

 

今回、予告を見た時は美都子がステイシーと接触?とか、もしや美都子救出成功か?とか一気に話が進むのかと思ったけど、終わって見るといろいろ棚上げ。そこはちょっと拍子抜けだし、香村さんの過去作を思うと今回はあんまりギリギリまで放置しないで早めに動かして欲しいなと思う。

けど、これまで解放したいろんな並行世界を実際に介人も私たちも見たことで、彼らのヒーロー活動のうち、これまでイマイチ実感が無かった「並行世界を救う」という活動の意義が強く補強された。そこは凄く良かったと思う。

それに、介人は母と並行世界のため、ゾックスは介人のため、ステイシーはヤツデさんのためと、それぞれ誰かを思っての行動の交差が味わい深くて面白かった。