キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

キラメイジャー42話感想: 黒いガルザ→金色のガルザ→実は青かったガルザ?

充瑠はまたクリスタリア宮殿の夢を見た。青い体色の男の子が「ひらめキン~グ!」と叫んでイマジネーションの趣くまま自由に「僕の考えた必殺技」を描く姿を見て、「クリスタリアで現実にないものを絵に出来るのはオラディン王だけ」という姫の言葉を思い出し、男の子は幼少期のオラディンだと推察する。

前回、侵略者という悪役なクランチュラさんの創作意欲を見た後だと改めて、クリスタリア人には本当にオラディン(とガルザ)しか無から何かを生み出す創造力を持つ人がいないの?というのは疑問。

もしそれが本当なら、クリスタリア人は限られた一部の者のイマジネーションに進化を依存して現状維持するしかない種族ってことになっちゃうんだけど、それでいいのかいろいろと?と不安になってくる(汗)。

 

その男の子に不穏な影が忍び寄ったところで、充瑠はクラスメイトに叩き起こされる。

補習中に眠ってしまい、王様の夢を見たなどと言う充瑠をからかう例の補習仲間カップルに、柿原さんが猛然と「充瑠は凄いんだから!」と反論。

でも柿原さんの充瑠への態度の方が誰が見ても変化していて、そこを指摘されると慌てて否定するのが可愛い(笑)。というか柿原さん、あれから半年近く、ずっと充瑠に片思い状態なのかと思うといじらしい。

彼女がその間何もせずただ見てるだけとは思えないから、あの口調でいろいろちょっかいかけて、でも充瑠が鈍くて一向に気付かなかったんだろうな。

 

一方、前回皇帝に粛清されかけ、今は裏切り者のクランチュラさんは、命の恩人ガルザの頼みで赤い爆弾を作り抱えていた。

そのガルザはヨドン皇帝に、自分を中に迎えて欲しいと頼む。皇帝と一体化した力を得て地球を皇帝に適した世界に変えるという言葉に、皇帝は快諾。

皇帝の意識の部屋ではヨドンナが膝を抱えて眠っており、皇帝に促されてガルザが椅子に座ると皇帝の姿はガルザに変わり、ガルザは皇帝のパワーを実感する。

ヨドンナも教えられていなかった皇帝の複数人格共存の仕組みが、ガルザに説明する形で明かされる。ヨドン皇帝は敵国出身のガルザをそんなに信用しているのか。今ゴーカイジャーの記事も書いているけど、ザンギャック皇帝の用心深さを見た後だと余計に、ヨドン皇帝の無用心と紙一重の寛大さを感じる。

 

ココナッツベースでは、ガルザの動きを感知したかのようにマブシーナのグラスにヒビが入った。クリスタリアでは物が壊れるのは災いの予兆だというジンクスがあるらしい。

そこから「初恋は実らない、とかか」といきなり始まる為朝弄り(笑)。巫女さんヨドンナへの失恋という黒歴史を蒸し返され初恋認定される射水為朝21歳が不憫(涙)。

為朝のメンタルにもヒビが入りそうな空気を、リモート参加のオラディンが油断は禁物と引き締めて、「いざとなれば私のとっておきの技で対抗するしかないな」と言う。視聴者に「あ、あの男の子の絵?」と連想させた直後、派手に砕け散るグラス。確かに思いっきり凶兆だとしか思えない不自然で豪快な砕け方(汗)。

 

宝路は秋保ちゃんのコンサートの帰り。パンフレットを抱き締める宝路見ると、こちらの(初?)恋はまだ燃え残っている、いやバリバリ現役なんだろうか?と胸が痛みかけた時に、爆弾抱えてガルザの合図を待ちかねているクランチュラと遭遇して、追いかけっこが始まる。

 

夢で見た必殺技の絵を再現する充瑠を、好ましく見守る柿原さん。それを補習カップルがニヤニヤ見守り、柿原さんは「自分が変わったのは充瑠のせいだから、からかわれた責任をとれ」と遊園地のチケットを充瑠に突き付ける。デートじゃないの有効期限もギリなの!と押し切って「見たか私の狡パワフル」とほくそ笑む柿原さん。充瑠から言語化されたそんな自分の個性も今は受け入れ、何なら気に入ってそうなポジティブさがやっぱり可愛い。

だけどそんな空気を一変させる不気味な黒い霧が学校内に広まり、吸った生徒が次々にベチャット化。柿原さんまでその餌食になり「熱田行って!絶対助けてね。一緒に遊園地行くんだから」と充瑠に希望を託すのが、ここにきてしっかりヒロインしていていじらしい。

 

霧は広範囲に発生して人々がベチャット化。それを見てクランチュラさんは作戦が始まったと悟り、「地球はこれでおしまいだあ!へっへ~」と宝路に捨て台詞を吐いて追いかけっこ続行。

前回は同じ作り手としてネコ充瑠と敵味方を超えて一緒に楽しみ、その結果ヨドン軍を抜ける決意までした。だけど地球を滅ぼしたい気持ちまでは変わってなかったのか、と残念なような、でもまだあくまで敵で悪役なんだということに安心したような、と複雑な気持ち。

 

博多南さんが特定した霧の発生発生減はガルザ。禍禍しさが今までのガルザじゃないみたい、と小夜の言葉で皇帝との一体化効果が暗示され、駆けつけるとガルザの言葉で「充瑠たちはキラメンタルでこの霧の中でも正気を保っている」と説明が入るのが、細かいけど手堅いな。

皇帝と一体化しパワーアップしたガルザは、ゴーアローで強化したキラメイジャーたちでさえ、相手の戦力の見極めが甘いと駄目出ししながら圧倒し、充瑠を抑えつけて「結局最後に勝つのは力!この世の者を服従させる強大な力だ!」と豪語。

それに反論する充瑠の

「違う!力だけじゃ何も作れない。小さい頃のオラディン王だって、<閃きは世界を救う。だから僕に任せておけ!>って言ってた!」

という言葉に何か戸惑けど「そんなものは戯れ言だぁ!」と、現実主義者ぶりを改めて強調。

 

ガルザはここで地球の環境が整ったと皇帝に玉座を譲り、突然ガルザが巨大な皇帝に変わったことに皆が驚く中、この時を待っていたクランチュラさんが爆弾を皇帝に投げつけると、皇帝に異変、体が動かなくなってしまう。

皇帝の意識の部屋でガルザは高笑いするとヨドンナを気絶させ、狼狽える皇帝に斬りつける。皇帝は消滅し、ガルザがその肉体乗っ取りにあっさり成功してしまった(汗)。

 

宝路がクランチュラさんを捕まえ吐かせた内容によると、ガルザから「ヨドン皇帝が地球に現れた時に生まれる一瞬の隙をついて意識を乗っ取りたい。そのための道具を作れ」と頼まれて

「面白いじゃないか。皇帝の意識を弱体化させる特殊爆弾を作り、私が起爆させよう」と引き受けたと。

クランチュラさん、これまでも様々な能力を持った邪面を作ってきたけれど、その気になればあんな強大な皇帝の意識を一時でも弱体化出来る爆弾作れたのか(驚)。開発者としてどんだけ有能だったんだと改めて。

気性は元々、悪の組織にいるには寛大で温厚過ぎるくらいで、前回もヨドン皇帝の意に逆らいはしたものの、ヨドンナに追い詰められても自分から攻撃を加えようとはしなかった。

ヨドンナがもうちょっとでもと彼の能力やプライドや創作意欲に配慮してやっていれば、こんな積極的な謀反なんて考えもしてなかったろうにな、と思う。

皇帝も、敵国の裏切者ガルザをこんな形で裏切られるほど重用するほど寛大で、クランチュラさんにもヨドンナが来るまではわりと自由にやらせていた。それで地球侵攻が停滞気味になったためのテコ入れが必要だったのはわかる。

けど、ぽっと出でクランチュラさんの気持ちお構いなくあそこまで踏みにじって追い込んだヨドンナのやり方も拙かったのかな。なんかトップと現場の間に他所から入ってきた事務方が合理性一辺倒で、織に軋轢を産むあるあるだなと改めて思う。

まあ、皇帝の消滅が呆気なさすぎて逆に、このままで終わるはずないよな、とも思うけど。

 

皇帝の体は巨大なままガルザに変わり、更に体が金の模様が強い<ロードガルザ>に変貌。魔進が駆けつけて皆が乗り込む中、充瑠だけが

「すっげー!なーにあれ!あんなにわくわくする姿、俺、はーじめてだよ!」

と大興奮。ロードガルザに街が大規模破壊された直後だけにファイヤーに不謹慎と叱られ、慌てて乗り込みキラメイジンに。

 

充瑠のこの反応には、ヤバい強敵出現という地球の大ピンチしかも大規模破壊の直後なのにと、私も正直驚いて、不謹慎で危ういと感じてしまった。

でも一方で、柿原さんをずるパワフルと心から褒める事が出来て、敵だろうと悪だろうと凄い物は凄いとただ純粋に正直に煌めきを認めてワクワク出来るのが、充瑠の強みなのかもと。

そんで、前回敵である充瑠を受け入れたクランチュラさんの作り手魂もそうだったんだから、敵にばかりそれを求めずに自分でも純粋に楽しんで同じ気持ちになれれば、という前回の言葉を実践しているんだとすれば、キラメイジャーは最終的にそこに向かうのかもなあと思った。

ただ、後の展開を見ると、ワクワクの理由はそれだけでもないのかもだけど。

 

ロードガルザの強さはキラメイジンでは勝負にならず、エクスプレス、ザビューンも一撃で戦闘不能。更に重力すら操り、キラメイジンには為す術がない。

オラディンが召喚されグレイトフルフェニックスになり、「お前はどれだけ好きにすれば気が済むのだ!お前は必ず私が倒す!」と、ようやく「お仕置き」ではなく「倒す」と決意して向かっていくも、苦戦。追い詰められたオラディンの「今こそ私のとっておきの技で勝つ!」という言葉に、充瑠は夢で見た男の子の絵の技かと期待。だけど実際に繰り出されたのは名前もありようも全く別物の技だった。

それをあっさり跳ね返したガルザが「今度はこちらから行くぞ!」と放ったのは、「トルネードスクリュークラッシュ」。あの男の子が描いた絵と同じ技。同じ名前。

まともに喰らってグレイトフルはダメージで合体解除し、充瑠も放り出されて変身解除してしまう。

「今の技・・・あの子が描いていた絵と同じ!」

「なに?なぜ貴様がその事を知っているのかは知らんが、この技を考えたのは俺だ」

「じゃ、あの子は王様じゃなくてガルザ?」と混乱する充瑠の前で、王様フェニックスをあっさり捕らえたガルザは、ヨドンへイムで自ら処刑するといって姿を消して、続く。

ミニコーナーでワンダー開脚の宝路がクラッシュラを縛り上げてクラッシュラさん「助けて~」と悲鳴(笑)。

 

やばい(笑)。以前、アタマルドのクリスタリア人が皆オラディンやマブシーナと同じ体色なのを見て、ガルザは王族に生まれながら、誕生時から異端者だったのかなと若干心を痛めていたら、後天的なものだったとは(汗)。

しかもそこに、物語上かなり重要な意味を付けてくれそうな事に滅茶苦茶ワクワクしてる。

(てか、アタマルドの時はちょっとだけ、ひょっとしてスタッフさんそこ気にしないで全員同じ色にしちゃったの?とか思ってごめんなさい・汗)。

 

それから、ガルザにも現実にないものを絵に出来る創造力があったのに、姪にも魔進にも知られることがなかったの?というのはずっと引っかかっていて、美しい国クリスタリアや善王オラディンの影の部分を感じていたんだけど、冒頭でわざわざ充瑠の台詞でそこにスポットを当ててるのを見て、終盤でそこに向き合ってくれるのかな?と、スタッフさんの作り手としての誠実さを感じた。

 

あと、子供の頃のガルザと充瑠が共に「ひらめキング!」って言ってるのも気になる。

充瑠が次々に新装備やピンチの打開策を閃くのは純粋に充瑠の能力なのか、閃きの瞬間にキラキラ演出が入るのは何か理由があるのか、みたいな疑問もまた復活してきた。これまではてっきりオラディンと充瑠に何か秘密の繋がりがあるのかも?と思っていたけれど、オラディンではなく実はガルザだったというの可能性が、ここに来て浮上して来たような。

ロードガルザにワクワクしてしまったことにも、それと関連があるのかもだし。

青い体色があの黒色になった理由は、充瑠が目覚める直前に見た不気味な影が関係しているのかもだけど、それによって「閃きは世界を救う。だから僕に任せておけ!」と無邪気に絵を描いていた正義感が強くイマジネーション豊かな少年が、芝居を見ても悪役に惹かれるようになり、長じては兄の養子の謀殺を図り、とうとう自国を滅ぼし兄を手にかけることになってしまったのか、と思うとキツいな。

弟の体色が変わったことを、兄オラディンはどう受け止めたのかも気になる。オラディンがガルザに中々正面から向き合おうとしない根っこにそれもあったりしないのかな?と、少々考え過ぎてみたりして、次回はかなり楽しみ。

 

海賊戦隊ゴーカイジャー: 41話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■都合が悪いと逃げる

キャッチボールの流れ球を箒でフルスイングしたらあちこち跳ね返ってハカセに直撃。やばいと思ってハカセが事態を把握する前にソッコーで買い出しに抜け出すアイムが狡い(笑)。

アウトローな海賊の中にあって礼儀正しくひたむきで優しい、浮き世離れした元お姫様だけど、海賊仲間の中にいる時には、都合の悪いことを誤魔化したり人のせいにしたりもする。そういう人間臭いところもあるというのが、アイムというキャラの一筋縄ではいかない部分かなと思う。海賊たちにすっかり馴染んでいるというのもあるんだろうけど。

 

■皇帝ご来臨

38話で殿下が戦死した後、海賊たちの賞金だけは跳ね上がったものの、丸々2話動きの無かったザンギャック。ダマラスとインサーンは本星に事態を報告しギガントホースで待機するも、一切音沙汰がなく不安に駆られていた。

そこへいきなり砲撃とともに皇帝直属の艦隊がワープ。皇帝直々に親衛隊を率いてギガントホースに乗り込み、有無を言わさずダマラスを拘束する。

事前連絡なく急襲ってことは、司令官しかも皇帝継承者の戦死という異例の大事件に、実際は何が起こったのか測りかねてダマラスの謀反の可能性すら疑ったってことなのかな。この辺り、用心深く猜疑心の強い、というか最終的には誰も信じていない大帝国の独裁者って感じ。

皇帝のデザインは黒基調でわりとすっきりしていて精悍。なかなか格好いい。隻眼なのも、いかにも数多くの修羅場をくぐり抜け手段を選ばずのし上がってきた歴戦の強者って感じ。

同僚のダイランドーに嘲られ引っ立てられていくダマラスが気の毒で、いつも要領良く立ち回るインサーンが必死に庇うのが、意外だったけど嬉しかった。

 

■ザツリグ

入れ代わりに海賊の抹殺を命じられたのは皇帝親衛隊のザツリグ。数百の星を滅ぼしてきた。

12話で倒されたデラツエーガーは親衛隊隊長で、ザツリグは役職を名乗ってないから、多分それよりは格下なんだろうな。

けど、そこを気にせず出撃させるあたり、デラツエーガーの件は皇帝にどう伝わっているのかちょっと気になった。見栄っ張りの殿下のことだから、正直に報告してない可能性もあるかな。

まあ、上官より部下の方が純粋な戦闘能力は高いケースがあってもおかしくはないけど。

 

■遭遇

ハカセの追及を逃れるために(笑)3人という大人数で買い出しに出たジョー、鎧、アイムのキャッチボール組。

「でも良いことです。自分の星を愛せるということは」

アイムの言葉で彼女の境遇が改めて思い起こされた直後に、紫色の艦隊が来襲。

それを見て皇帝直属親衛隊だと緊張を高めるジョーの元ザンギャック設定が、これから激化していく帝国との戦いの幕開けを手っ取り早く予感させて相変わらず便利。

そこに降り立ったザツリグを見た途端、アイムが怒りを露わにいきなり突撃する。訳が分からず慌てたジョーと鎧の制止も受け付けない。明らかにいつもと様子が違う。

ザツリグはそれを軽くあしらい、その胸の目が開くと海賊たちは3人とも体が動かなくなったり吹っ飛ばされたり。全然歯が立たず大ダメージを喰らってしまう。

完勝のザツリグはトドメを刺さずに、次は6人で来いと余裕かまして、夜は酒を飲む時間だとさっさと帰る。この実力で上官になれない理由がなんとなくわかったかも(笑)。

 

■アイムの過去

ファミーユ星はザンギャックに従わなかったためにザツリグに攻め込まれ、アイムは両親である王と王妃を目の前で焼き殺され、家来によって無理やり星を脱出させられた。

この辺りはわりと亡国の王女の物語としてはテンプレって感じかな。スタッフさんもここはそれ以上力を入れて描きたい部分ではないってことなのかも。

星の名前と為政者の苗字が同じなのはわりと戦隊では珍しくないけど、例えばこの地球に地球の名を冠して全体を統治する存在はいないことを考えると、星の大きさも人口も、もっとずっと小所帯なのかもなと思う。

例えばヨーロッパのどこか1国レベルの人口とか。

 

■海賊になる理由

海賊たちはザツリグの半端ない強さに、しばらく身を隠して様子を見ようという雰囲気になる。

アイムには、自分の私怨でそれを覆し危険な戦いに仲間を巻き込むのは心苦しい。でもせっかく再会した両親の仇を見過ごすのは耐えられず、1人で対峙しようと決意する。

そんなアイムの不自然な挙動に気付いて仲間たちが声をかけるのはわりとお約束だけど、

「あいつとやれば確実にお前は死ぬ。それが現実だぞ」

という容赦ないシビアさは凄くゴーカイジャーっぽいなと思った。

 

ザツリグが両親と星の敵であることを明かし涙を流すアイムにマベが、両者の出会いを思い出させる。

どこかの星の荒野で、戦いを終えた海賊たちに自分から声をかけ、スカートの裾をつまんで場違いな上流階級のお辞儀をし、仲間にしてほしい、海賊になりたいと訴えるアイム。

ジョーが鼻で笑い、ルカが「ばっかじゃない?お姫様なんかに出来るわけないよー?」とからかってもめげずに、頑張りますと粘る。ルカも初対面ではアイムにこんな態度だったんだな。まあ無理もないけど。

そうまでして海賊になりたい理由。

「私の故郷はもうありません。けれど、他の星へ逃げ延びた方はいらっしゃいます。その方達がファミーユ星の誇りを持ち続けられるよう、私は象徴として生き続けたいのです」

「だったら海賊なんかじゃ駄目だろ」

「いいえ、海賊だから良いのです。だってこの手配書に顔が載れば、わたくしが生きてザンギャックと戦っているのを見せられますから」

ファミーユ星を脱出する時は付き従っていた家来はもういない。アイムを逃がす途中で命を落としたのかも。

そうやってたった1人でなんとか生き延びた命を、ただ永らえるためだけに息を潜めて安全を図るのではなく、他の星に亡命した自国の民の支えになるために、戦って手配書に乗る=命を狙われ続けることを選んだ。

そう書くと、おっとりして可愛らしい見かけによらず、内面には激しさもあり誇り高く覚悟完了した物騒な人だと思うし、やっぱり「私」より「公」を優先する王族なんだなとも思う。

あとやっぱりシンケンジャーの、影武者の影に隠れて生きることを卑怯と拒み、戦いの最前線に乗り込んできた薫姫の姿と重なる。

 

■竹本監督の台詞追加

そんな「公」の人が、自分を支えにしている人々がいると分かっていながら、敵を討ちたいという「私」も抑えきれずに泣きじゃくるのを、

「アイム。顔を上げて前を見ろ。俺たちが居るだろ」と諭すマベの声が優しい。

皆を自分の私情で危険に巻き込むまいと独りで戦い死のうとするアイムは、37話で皆を脱出させて独り残った時のマベに似ているかもしれない。

守られた側にいたあの時にはマベに間違っていると言えても、いざ自分も似た立場に置かれれば同じ選択をしてしまう。私怨だと思えば尚更。

仲間を大事に思えばこそのその気持ちを身を以って知っているマベが、今度は自分と同じ過ちを繰り返させまいとアイムに仲間の存在を優しく突き付けて守る。マベの台詞は竹本監督が付け加えたそうで、GJ!

それに呼応するように、さっきは逃げモードに入っていた他メンバーも、アイムのために強敵に立ち向かう覚悟を決めて微笑みかける。

それを見て「みなさん!わたくしに力を貸してください。ザツリグを倒す為に」と素直に助力を求めるアイムに、「その言葉を待ってたぜ」「ああ。皇帝親衛隊なんて、知った事か」と力強い言葉で応える海賊たちの心意気が尊い

 

■公と私

他のニチアサ作品では、たまに「復讐は何も生まない。それより平和のため未来のために戦う」がヒーローとしては正解とされたりするのを見かける。

でも宇都宮P作品は、例えば仮面ライダーウィザードなんかを見ても、意外と復讐心という後ろ向きの私情を必ずしも否定せす、それに仲間が加勢する心意気を良しとしているのかなと思ったり。

ゴーカイジャーは宝探しが目的という「私」の戦隊が地球の人々やレジェンドとの交流を経て地球の平和を守るという「公」も獲得していく物語で、41話までの積み重ねでかなり「公」への意識も強くなっている。そんでアイムは初期メンバーの中では最初から「公」の強いキャラ。

だけどそれでも抑え切れないアイムの「私」を皆で守り、それが彼女が生き続けて自国民の支えになるという「公」も守ることに繋がる、という形になってるのかな。

後にルパパトで公私を2つの戦隊に振り分けた宇都宮Pの中には、そのあたりもテーマとしてあるのかな、なんて思ったりする。

 

■なくしたくないもの

翌日、ザツリグと対峙した海賊たちは、一度はザツリグの胸に付いた目の能力で吹き飛ばされるも、他5人が囮になってアイムが目を封じる作戦を決行。

その戦闘中に、加入当初のアイムの様子が鎧に語る形で紹介される。

銃の反動で吹っ飛び、剣の重さに振り回され、洗濯機の操作を謝り泡を部屋に溢れさせるなど失敗ばかり。話のテンポがかみ合わないこともしばしば。

だけど、4人の時は争いになることも多かったのが、アイムが入ってからはそんな時も空気を和らげてくれるようになった。それが他のメンバーにはないアイムの得難いところで、それを「なんか、いい感じになった」という説明だけで鎧がしっかり理解できるのも、普段そんな場面を幾度となく実感しているからなんだろうな。

そんなアイムをなくしたくないから、皆で頑張る、とここでサブタイトルの指すものが明かされるのが素敵。

 

■絆の見せ方

皆が次々に囮になり、最後の鎧の背後からアイムが飛び出すのと同時に「パイレーツ・ガールズ」がかかるのが滅茶苦茶格好いい。40話のゴーカイシルバーのテーマの使い方もだし、199ヒーローのゴセイジャーOPもだけど、竹本監督は、挿入歌の使い方がつくづく上手いなと思う。

首尾よくザツリグの目を封じた後は、アイムとのペアで仲間たちが次々とゴーカイチェンジ。

鎧とはゴーオンウィングス。追加戦士の枠でありつつ兄妹という絆も両立。

ハカセとはゴウライジャー。っこれも兄弟という絆。

ルカとはゴセイ黄桃。

ジョーとはデカマスターデカスワンという実質夫婦。

そんで最後のマベとは本編でも実現しなかったダブルシンケンレッド、義理の親子。

個人的には強いて言えば、ゴセイ黄桃だけはマジ姉妹でも良かったかなと思ったけど、竹本監督によると必殺技を持ってるペアなのが重要らしくて、最終回を除けば一番頭を使ったとのこと。

家族など特別に強い絆を持つレジェンドたちを選び、海賊たちの絆をそれと同等なものとして重ねてくるのか!と当時滅茶苦茶テンション上がった。

 

ゴーカイジャーの初期メンバーの絆自体は、12話時点で「俺達は強い絆で~」と言ってしまうほど序盤からある意味完成されていて、危機のたびに再確認しているだけという見方も出来てしまうかもしれない。

でも、バスコ登場時、ゴーカイガレオンバスター製作のための武器貸し出し、VSグレートワルズなど、その都度その都度切り口を変えて、またその時の海賊たちのキャラや成長を踏まえた見せ方が上手で、何度見せてもらってもいいなと思う。大好物(笑)。

アイムを中央にゴーカイガレオンバスターでトドメ。両親の無念を晴らして胸に手を当てるアイムの肩に手をかけてマスクの下で「良かったね」と言っているようなルカが優しい。

 

■帝国の逆襲の予感

ロボ戦も制して、一件落着と河原に寝転がっている海賊たちが子供みたいにわちゃわちゃしている頃、牢獄の中で静かに目を光らせているダマラス。親衛隊の手練れを倒されて海賊の実力を思い知り認識を改めた皇帝側が本格的に逆襲に転じ、それによってダマラスもこのままでは終わらない予感を不気味に漂わせている。

これまでずっと殿下に抑えられて海賊と未対決のまま責任とらされて投獄とか、いろいろと不遇すぎて同情するしかなかったので、彼が実力を発揮すれば今じゃれあってる海賊たちに最大のピンチが訪れるんだろうと予想はついても、「やっとだね、頑張れ!」と思わずにいられなかった(しみじみ)。

 

※42話の記事は来週更新予定です。

 

キラメイジャー41話感想: 猫耳可愛い回と見せて「作り手」クランチュラさんのプライド炸裂

冒頭、クランチュラさんがスランプだと嘆いている。前回の針金邪面の不発が響いているらしい。

「0からアイディアを生み出すのは大事業なんだ。そのアイディアは奇抜で斬新で面白いものでなくてはならない」彼の美学は創作者としての拘りであると改めて今回スポットが当たる。

ヨドンナはその拘りが理解出来ない。ヨドン皇帝が求めているのはひたすら強い兵隊でそれ以外の要素は不要。彼女が登場してからそれなりの期間一緒に作戦をこなしたりして、打ち解けたのかと思う瞬間もあったけど、ここは最初から相容れない部分。

「ならば面白くて強い奴を見せてやる。面白くて最高最邪悪の邪面師を!」と啖呵を切ったクランチュラさんが次のカットでうらぶれた感じの階段に座り込んでいるのを見て一瞬、「あれ?ヨドンへイムにあんな場所あったの?」と思ったけど、下の地面が乾いているしもう地球に来ていたってことだったみたい。

遠くに目だけが光る「最高傑作邪面師」のシルエットが無駄に強者感があって、その正体がわかった後で見返すとじわじわ来る(笑)。

 

ココナッツベースでは充瑠がただ好きに絵を描くことを楽しんでいたことがきっかけで、自由に楽しむ心の大切さが話題になる。為朝の「eスポーツでも遊んでる時にハイスコアが出たりするぞ」という言葉には、うん君は力まなければ女の子のハートだって撃ち抜けるもんな、と別ベクトルの感想に脱線したけど(笑)。

「でも、好きなことも、仕事や義務になると時々行き詰まっちゃうんだなあ」と小夜。商業クリエイターの方たちって多かれ少なかれそんな気持ちもありそうだな。キラメイジャーのスタッフさんたちの実感も籠もっていたりして。でも皆さんコロナ禍の逆境を逆手に目一杯アイディア出して楽しんで作っているようにも見えるのが凄い。

なお、小夜のこの何気ない言葉が、後々クランチュラさんの心境とシンクロしてくる構成が、憎いな。

 

そこにヨドン反応。現場では倒れていた人たちに猫耳が生えて一斉に猫化してしまう。

犯人は招き猫邪面。その緊張感のない姿と言動に、為朝がクランチュラのスランプやネタ切れを疑うと、背後から怒ったご本人登場。

あの1/5を失ったラップバトル回以来の最前線復帰。この時期に出てくるとか殉職フラグにしか思えず、この時点で内心ヒヤヒヤだった(汗)。

よく考えると、せっかく敵が変身前の無防備な背中を曝しているのにそこを攻撃したりしないんだな。それも美学のうちかも。

 

予告で見て楽しみにしてた通り、「地獄ネコミミ作戦」のビームを浴びて充瑠瀬奈小夜の可愛い組が揃って猫耳に。人選分かってる(笑)。

猫の習性そのままに自由に飛び回る充瑠たちの制御で、戦闘どころではなくなる成人男性組。ネコ小夜に甘えられて戸惑いながら「悪くない」とか時雨が煩悩全開過ぎる(笑)。

その有様に招き猫邪面は満足してそれ以上のやる気を無くし、上司クランチュラさんへの最後っ屁とともに撤退。失敗作と嘆くクランチュラさんだけど、いやいやどうしてあなたらしい作品かと(笑)。

 

基地ではネコ瀬奈ネコ小夜の可愛いらしさに魔進たちが癒されてる(笑)。よく考えると大変な事態なんだけど、博多南さんやマブシーナも和んでいるし、宝路はエプロン姿で猫まんま運んできたりとおかんモード(笑)。良いところ、魅力を見つけてポジティブに受け入れるキラメイジャーらしいと言えばらしいかも。

茶色っぽい猫耳つけた瀬奈が、攻撃的な表情もガンガン見せる野生的で全身バネみたいなやんちゃタイプ。

白ッぽい猫耳つけた小夜が、蕩けそうな柔らかい表情で飼い主の部屋から一歩も出たことなさそうなゴロニャンタイプ

と、スタッフさんは女子2人の猫としてのキャラの描き分け心得てるなと感心した。違った魅力でどっちも可愛い。

 

一方、ネコ充瑠はクランチュラのローブのヒラヒラに心を奪われて、追い払ってもビームを撃ってもかわしながら付いてくる。

クランチュラさんはこれ幸いと殺すかと思ったけど、困惑しているばかり。それどころか、抱きつかれて倒れた拍子に転がり落ちたスケッチブックを見て、「お前も作り手だったのか」とシンパシーを感じてしまう。

「敵のパワーアップの要がコイツなら、今が殺すチャンスだ!」みたいな残虐敵モードじゃなく、そっちに心が向く意外な展開に驚いた。

 

充瑠は屋外でフラッグ製作をしている人たちを見つけて乱入し、興味の向くままペンキでイタズラを始める。遊ぶことしか考えていない充瑠の楽しそうな様子にクランチュラさんは、過去に自分が地球の様々な文化に触れて創作意欲をかき立てられたことを思い出す。

そんで、あの頃は楽しみながらたくさんの邪面師を作り出したのに、今はなんてザマだと嘆きながらも、いつしか充瑠につられて一緒に絵を描き始めた。

無邪気に仲良く楽しんでいる2人が可愛らしく尊い猫耳回の予告を見た段階では、まさかこの2人を「作り手」という共通点でこんな風に結びつける展開になるなんて、予想もしていなかった。

 

ガルザはモニターでそんなクランチュラさんを見ながら、彼が変わったのは1/5が失われたせいなのでは?と推察。

なるほど。失われたのはラップの才能だけでなく、敵を敵として否定し冷徹に殺そうとするビジネスライクな部分とかも含まれてたのかもしれないのか。

闇のラップバトルもエンタメという点ではクランチュラさんの美学に思い切り寄り添うものでありつつ、相手を否定する言葉で物理的に刺して無力化、という攻撃性の高さは容赦なかったし。

 

一方ヨドンナは、ひと仕事終えたと寝転んで休憩中の招き猫邪面を一喝して鞭で強化。邪面の瞳が変わってやる気を出した招き猫邪面は、猫化した人々を暴走させる。

基地でも瀬奈小夜が暴れ出し、同時にヨドン反応。

「2人は私と姫が何とかする!」と博多南さんが成人男性組に出撃を促すと、その瀬奈小夜に引っかかれまくって「無理無理無理ダメですぅ!」と×作るマブシーナが可愛い(笑)。

 

充瑠とクランチュラさんは綺麗な蝶の絵を完成させた。

「久しぶりに楽しいという思いを味わったな」と充瑠の頭を撫でるクランチュラさんはすっかり打ち解けてる。元々そんな素養はあったんだろうけど、すっかり気の良いおじさんだな。

招き猫邪面に操られて突然暴れ出してしまった充瑠に「せっかく楽しかったものを台無しにするな!」と困惑しながら止める様は、もう悪の幹部じゃないみたい。

そこにヨドンナが現れ、絵を真っ二つ。「楽しい」や「面白い」の価値を否定し、ヨドン皇帝の役に立つことだけしか眼中にない。自分が招き猫邪面を強化したお陰で闇が溜まったと誇示すると、クランチュラが猫に紐付けて作った猫缶リガニーを「名前なんてどうでもいい」とまたもその拘りを否定して召喚する。

更にヨドンナは、まともな邪面師も作れず敵とお絵描きごっこする奴にはもう何の価値もないと嘲って絵を踏みにじり、それと一緒にクランチュラさんのプライドも踏みにじられていく。

いつもノホホンとしている姿に癒されてきただけに余計にキツいな。

さすがに耐えきれず止めようとしたクランチュラさんに鞭を振り下ろそうとすると、充瑠が庇って唸りを上げる。

その姿に、敵と味方を超えた絆を感じたのか、クランチュラさんは「猫起こし」で充瑠を正気に戻す。正気に戻った充瑠が驚いて突き飛ばすのは、無理もないけど切ない。

クランチュラさんは、攻撃しようとするヨドンナを食い止めて「お前はここにいるべきではない!他にやるべきことがある!」と充瑠を逃がす。明らかな裏切りで、ヨドン皇帝への謀反と言われても仕方ない。でもクランチュラさんは「私には、忠誠よりも侵略よりも大事にしなければならないものがある。それは、私という邪面使いの誇りだ!」とまで言い切った!

彼の言葉にガルザが反応したのは何を思ったのかは気になる。

クランチュラさんは更に、いよいよおかしくなったというヨドンナの言葉を否定し

「私は研ぎ澄まされ、より純粋になったのだ!作り手として!もはやここにいる意味はない!」と、ヨドン軍への決別とも取れる言葉を吐いて駆け出してしまった。

クランチュラさん、悪役であんな見かけだけど、育ちの良さや人の良さ、教養や探究心を感じさせるところがあって、それが敵らしからぬ愛嬌や魅力になっていたんだよな。けど、1/5を失ったことでそれらが敵の組織の許容範囲に治まりきらなくなってしまったのか。

彼は悪の組織にいながらわりと温厚で、面と向かってこんな組織に歯向かうようなことを言うとは思ってなかった。でも、格好いいよ。今回の変化でキャラがぐっと劇的に深まったのが嬉しいような、でも物凄く危うくて死亡フラグ乱立状態なのが悲しいような(涙)、いやだけどワンチャン生存ルートが浮上したのかもと希望が出て来たような、複雑すぎる心境。

 

為朝と時雨は瀬奈小夜を庇いながらの戦いに苦戦し変身解除。

ピンチに充瑠が乱入して、クランチュラ直伝「ネコ起こし」で2人を正気に戻す。耳と語尾の「にゃあ~」は残っていて、時雨の「まだちょっとネコ残ってるな」が可愛い。5人揃って「キラメイにゃ~」名乗りも遊び心満載で、スタッフさん隙あらば名乗りで遊んでいるな(笑)。

赤緑桃の自由奔放なネコ攻撃に触発されて、黄青までモードに、とやりたい放題。だからって「為にゃん」「しぐにゃん」はノリノリ過ぎる(笑)。

今回のエピソードは葉山監督の持ち込みだそうで、ホントいろいろ素晴らしくてありがとうございます!

 

一方クランチュラさんはヨドンナに追い詰められていた。

「戦い、勝利するためだけに邪面を作り続けるのは、しんどい!もっと自由に、楽しく作ってみたい!そんな生き方も、きっとある!あいつが教えてくれた」

渾身の、心の叫び。だけど、そんな生き方は今いる組織では絶対に許されないのが悲しい。

ヨドンナから強制バトンタッチした皇帝が「お前はもう用済みだ。消え去るがいい」と攻撃を加えると、クランチュラさんは致命傷とも思えるレベルのダメージ表現で、背後の水面に落ちる。

 

戦闘の方は、宝路が風呂嫌いの猫の習性を利用してワンダー温泉を掘り当て、猫缶リガニーの動きを止める。そのお湯は猫招き邪面の動きも鈍らせ、同時フィニッシュ。今回のロボ戦はドリラーが頑張った。

充瑠は、クランチュラと絵を描いた場所に戻って、自由にただ楽しむためだけに絵を描いてクランチュラ一緒に楽しんだ記憶を辿り、皆も同じ気持ちになれればいいのに、と笑って続く。

 

で、クランチュラさんはミニコーナーでガルザに助けられ、次回を待たずに生存確認(笑)。

いや、ミニコーナーでこんなに重要な情報を扱ったことがかつてあっただろうか(笑)。

クランチュラさん、これだけスポット当たって可愛く格好良く魅力的でちょっと哀れにも描いて貰ったら、正直これで退場しても文句言えないかな?なんて思ったりもしたんだけど、やっぱり嬉しい。

まあ後ろに広がる水面見た時点で、どんだけ追い詰められてもまあ安心かなと思うくらいには私もニチアサ民なんだけど(笑)。

でもさすがに皇帝から直々にあんな必殺ビーム喰らっても生きてたのは、ガルザさんが何か延命治療したのかもだけど、落ちたのが清流でなく澱んだ水の中だったのも、体の回復を助けた一因だったのかなあ?なんて考えてみたり。

 

そんでガルザさん。

皇帝が直々に粛清したはずのクランチュラさんを助けたってことは、ガルザもヨドン皇帝に逆らったってこと。

ヨドンナ=ヨドン皇帝だからヨドンへイムの今の対地球侵略に向けた幹部構成は、実質、配下の幹部が2人ともヨドン皇帝に離反してヨドン皇帝が孤立してるって状態なんだな。こちらはこちらで、なかなか深刻な事態。

クランチュラさんを助けた真意はまだ不明。だけど、そう言えばガルザも、兄オラディン王より才能があると自負してたのに、姪もそれを知らないほど魔進作りを抑制されてた人だったんだよな。だからクランチュラさんの叫びに作り手として何か思う所があって反応し、それを一切認めようとしないヨドン皇帝の意に逆らったのならいいな、なんて希望を持ったりする。

 

あと、今回ネコ瀬奈ネコ小夜のあれやこれやが可愛すぎるのは当たり前でそれだけで眼福。

だけど充瑠の、仔犬の瞳で来るなと言ってもひたすら懐いてきてご主人様のピンチを守ろうとする健気さをネコの自由奔放な動きの中に混ぜ込むのは、猫と犬の可愛い所のハイブリッドで狡すぎるよ(汗)。

 

海賊戦隊ゴーカイジャー: 40話感想というか覚え書き (長め)

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

※思い入れ強すぎて長めです(汗)。

 

■ドモン

鎧からの召喚なしにいきなり30世紀から豪獣ドリルを送り、操縦席に自分のバーチャル映像付きのビデオレターを添える。

34戦隊の大いなる力を集めるチャンスをやるから、豪獣ドリルで過去である2010年10月2日に行き、寝隠神社を守れ。

タイムレンジャー最終回で未来に帰ってから十数年か。今は時間保護局で豪獣ドリルを発進させる権限を持っていることが判明する。

なお、「過去の人間には関わるな」と言う言葉には、当時大勢のネット民から「お前が言うな!」というツッコミが入った記憶(笑)。私もタイムレンジャーは一昨年見たので、心から、本当に心からそう思う。

 

■時系列

豪獣ドリルに予めセットされた日付に飛んでも、たかだか数年前なのであまり景色は変わらない。タイムスリップを実感出来ない海賊たちに、鎧が「スカイツリーが建設中だから過去だ」と言う。

スカイツリーの完成は2012年2月29日。もし放送と劇中の時間軸が一致していれば、この40話が放送された2011年11月には未完成。

だけど、ゴセイジャー本編終了後(2011年2月以降)に起きたレジェンド対戦から更に数年後の物語という設定なので、ゴーカイジャーの物語世界ではとっくに完成しているんだね。ちょっとややこしい。

 

■海賊は見た

寝隠神社に到着するとそこには大量のナナシ(シンケンジャーの戦闘員)とそれに怯える1人の少年。

鎧が少年をガードし、他5人が戦闘体制に入ったところに「集合!」の掛け声でナナシ連中は一斉に撤収。

鎧を除く海賊たちが追いかけた先で目にしたのは、遠くに小さくずらりと並んだゴセイジャーシンケンジャー。後ろで爆発なんかしちゃって、これはゴセイジャーVSシンケンジャーの一場面とすぐわかる。

因みにこのVSは2011年の1月公開だけど撮影されたのは秋なので、2010年10月2日というのは撮影時期と合わせているんだね。

崖の上の名乗りから戦闘のため飛び降りるのを見て「あ、飛びました」と言うアイムにじわじわ来る(笑)。別の作品をこんな風に遠くから俯瞰するのって、なんか不思議な感覚だ。

こうやって別の戦隊から見られてるなんて思いもよらずに戦っている2戦隊の映像は、東映公式によるとPは映画で撮影した時のを使い回せるのではと目論んでいたけど、拘りの竹本監督が全12戦士新録する気満々の予定表を見て気絶しそうになったとか(笑)↓。

https://www.toei.co.jp/tv/go-kai/story/1197367_1843.html

 

■先行登場の落とし込み

元々、ゴーカイジャーはこのゴセイジャーVSシンケンジャーに顔見せで先行登場していた。それは前年のシンケンジャーVSゴーオンジャーに、ゴセイジャーが先行登場したのに続いての劇場版VSでのプロモーション的なお約束。

それを本編に取り込んで正史化してくるなんて、そこまで完成度に拘ってくるのかと、当時滅茶苦茶驚いたし興奮した。

やりたいと言い出したのは宇都宮Pとのこと。

考えてみると、ゴーカイジャーは全ての戦隊本編だけでなく全てのVS作品とも地続きという世界観なので、ゴーカイジャー自身の先行登場を例外にすることは許されない、という意識だったのかもしれない。

そんでこの作品は、レンジャーキーや大いなる力を集めてそれを戦闘に用いている関係上、時系列もあやふやに出来ない。だからレジェンド大戦前の2010年時点で他戦隊に変身出来る理由や、鎧が不在の理由もしっかり整合性を取っていく必要があった、ということか。

2戦隊のレンジャーキーは今は自分たちが持っているから、ここは間違いなく過去だと納得する場面が、大ざっぱな海賊にしては細かいかなとも思ったけど、それを踏まえると納得した。

 

■借りを返す

さっきナナシを召集したのは、シンケンジャーの幹部である骨のシタリ。

これを自分たちが倒せば、大いなる力をくれたゴセイジャーシンケンジャーに借りを返せるのでは?と相談する海賊たち。

「どうせ誰かが倒すんだ」とか「見られなければ問題ありません」とか、正義のヒーローからはまず出て来ない台詞が酷い(笑)。特にアイムは13話といい実は「死人に口なし」という支配者側の論理が信条なのでは(笑)?

 

■違和感なし

劇場版では「映画だから派手に行く」みたいなこと言ってたのを、こちらでは「せっかく過去まで来たんだ。いつもより派手に行くぜ!」に変えてたりはしたけど、

シタリの前に姿を現してからの他のやりとりとか戦闘の構成は基本的には劇場版と同じかな。

改めてシタリの「誰?」「赤ばっか」とかがじわじわ来る(笑)。

オールレッドを披露して「海賊版てやつ」とかが、当時からキャラも言い回しも今と解釈一致しているのはよほどキャラ設定が最初からしっかりしてるんだなと改めて思う。物凄くスムーズに、本編の一部として溶け込ませてしまった。

せっかく本編を生き延びたのに劇場版に続いてこちらでも改めてこっそり、でもしっかり倒されてしまったシタリには合掌(笑)。

 

■鎧の行動原理

鎧が助けた少年は、「自立」と称して家出してきたらしくあんな危険な目に会っても帰らないと言う。

母子家庭で母親はフリーのジャーナリスト。じっくり丁寧に仕事するために取材対象が変わるたびに引っ越しするから、転校を繰り返して友達が出来ないことに我慢できなくなったと。

フリーだと実績積み重ねて走り続けないと干上がるから、母子家庭なら尚更生活のためにも頑張らないといけないのはわかるけど、確かにこれは可哀想。母親が誰かわかってみると、あの人猪突猛進で安定とか考えない人だからな・・・と納得はするけど(汗)。

だけど話を聞いた鎧は、自分も親の都合で転校を繰り返したけど、そのたびにあちこちにたくさん友達が出来たという。環境が変わるたびにうざがられても頑張っていろんな子にいっぱい話しかけるんだと。

 

初登場時、決してフレンドリーとは言えない海賊たちに思い切り邪険にされても、めげずにぐいぐい仲間入りを訴えてきた鋼のメンタルのルーツはこれか!と物凄い説得力だった(笑)。

さらにその行動原理は

「確かに、自分じゃどうしようも出来ないこともある。それでも自分に出来ることを探してやってみれば、自分の明日ぐらい変えられる。俺はそう思ってるけどねー」

という、タイムレンジャー本編2話でタイムレッド浅見竜也が言った台詞そのもの。

鎧を劇場版の不在の整合性をとるためだけに単独にしたのではなく、むしろ鎧のメイン回として掘り下げ、キャラ形成のルーツをタイムレンジャーのメインテーマにドンピシャで重ねてきた。

香村さんはヒーローの行動原理を整合性の取れた形で掘り下げるのが滅茶苦茶上手な人だなと思っている。その中でも今回の鎧は、兄妹弟子である荒川さんとすり合わせしてのこととは思うけど、特に印象が強い。一昨年に配信を見た後だと、改めて脱帽。

 

■真犯人登場

神社も守れたし、少年とも和やかムードになって空気が緩みかけたところに、ゴセイジャー本編に登場したマトロイド・ザンKTのプロトタイプが神社破壊を宣言。神社が発するエネルギーを探知した幹部メタルアリスからの指示を受けてのことだった。

鎧が変身して応戦するのと同時に、久しぶりにゴーカイシルバーのテーマ曲。

「本気なら、夢は叶うことを、大声で叫びたい気分さ」

のフレーズが好きなんだけど、彼の<本気>のレベルが、「出来ることを探して自分の明日くらい変える」という子供時代の逆境に培われた鋼のメンタルを基盤に、武術も料理も目一杯頑張って人並み以上に習得し、ヒーロー気質も維持してそのために1回死にかけた、というものだと思うと、かなりハードル高いなと(汗)。

 

そこに5人が合流。目の前にいるのが神社破壊の真犯人だと知らされて

「では・・・先程のイカさんと、雑魚さん達は?」「まあいい」「俺たちは真犯人を倒すまでだ」

が本当に酷くてこの連中らしくて大好き。特に口調だけは丁寧なアイム(笑)。

タイムレンジャーに変身して、相手の攻撃を鎧だけ直撃、他は全員マトリックス回避するのも本編の初変身オマージュだな。

 

■借りを返したつもりが

倒されたザンKTをメタルアリスが巨大化して、豪獣神が応戦。

ガレオンは現代に置いて来たから5人が戦闘に参加出来ないのは仕方ないけど、だからってもう少し真剣に見守ってもいいと思うの。特に腕立て伏せに勤しんでいたジョー(笑)。まあ鎧への信頼あってのことだろうけど。

正体不明の闖入者に肝いりのロボを破壊されて戸惑うメタルアリスは、対ゴセイジャーに向けて更なる強化を決意する。

海賊たちは借りを返したつもりで、実は知らぬ間にこの後のゴセイジャーの苦戦を招いてしまったことになるのが、皮肉(笑)。

 

■未来という名前

少年の母親が迎えに来て、息子を助けてくれた海賊たちに深々と頭を下げる。顔を上げると、ドモンの恋人で最終回に彼の子供を出産して育てていた森山ホナミ。少年はドモンの息子だった。だけどドモンはそのことを知らないまま未来に帰ってしまっている。

少年の名前は「森山未来」。

いかにも<未来戦隊タイムレンジャー>という物語の中で誕生した子供の名前って感じ。偶然、実在する俳優さんとほぼ同姓同名になってしまったけど(笑)。

タイムレンジャー本編終盤、ドモンが自分のいた30世紀を「未来」と呼んだことにホナミちゃんが、喜ぶ一方で「軸足を20世紀に移さずちゃんと30世紀を守れ」と嗜めたのが印象的だった。

彼女とって「未来」という言葉は、愛する人がそこで生きている絶対に届かない場所であると同時に、彼が軸足を変えかけるほど自分を大事に思ってくれた証でもある、特別な大切な言葉だったんだろうな。

そんで香村さんはそこをすくい取って子供に名付けたのかもと思う。

 

■神社の秘密

現代に戻った海賊たちはお留守番に置いていったナビィから、どの戦隊の力を貰ったのか?と聞かれて、今回の時間旅行では現時点で何も手に入れていないことに気づき大ショック(笑)。ドモンを嘘つき呼ばわりし鎧にも八つ当たりと荒れ狂うメンバーの中で、無言ながらポニーテールを揺らして超高速腹筋運動のジョーがおいしくて、ホントこの筋トレのキャラ付けは無口で崩しも少ない彼を面白くしてくれるよなあと、改めて感心する。

そんなわちゃわちゃしたガレオンが飛んでいく夜空の下、件の神社の祠に納められた壺が怪しい光を放っていて、何か秘密があることを窺わせる。

だからドモンは決して海賊たちにただ働きさせたわけではないんだろうとこの時点で予測はつくけど、それが何なのかはまた別の話。

 

■ドモンの涙

鎧は神社を守った証拠として皆で写真を撮っていた。そこに一緒に映っていたホナミちゃん親子を認め、ドモンは(恐らく子供の推定年齢と別れてからの年月から)少年が自分の息子だと知り「何だよ、俺に似てハンサムじゃねえか」と涙をこぼす。

 

タイムレンジャー本編で、未来人のドモンが20世紀で恋人との間に子供を設けていたことを知らなければ、ここは唐突に感じる人もいるかもしれない。東映公式も、「1つだけ反則を犯した」と言っているのはこのあたりのことをさしているのかなと思う。

でも私の場合、リアルタイムで見ていた時はタイムレンジャー未見だったからドモンの涙の意味をどこまで理解したか、という点では不足があったとしても、演じる和田さんの演技には思わずうるっと来た。

 

■ホナミちゃんの覚悟

ホナミちゃんは「ちゃんと30世紀を守れ」と言う直前に、幼児を見ながら「私は大丈夫だから」と笑ってた。もうこの時には自分の身に起こったことを承知し、それを不安や負担ではなく喜びや支えと受け止めて1人で茨の道を行くと決め、最終回の極限状態で再会した時も告げずに送り出したのではと思う。

そんな支えが、ドモンの計らいがないまま、つまりゴーカイジャーがあの神社に来なかった時間軸ではどうなっていたのか・・・と考えると恐ろしい。

なお今回のプロットには当初息子のことまではなかったけれど、宇都宮Pからホナミちゃんを出すとの提案があり、その中で息子の話に決着をつけたくなったとのこと。

スタッフさんたちはもしかして、何も知らないまま恋人1人に苦労させてしまったドモンに、ゴーカイジャーの未来だけでなく、何も知らないまま母子の未来も救わせたのかもと思ったりもする。

 

私がタイムレンジャーを見たのは一昨年。ゴーカイジャーを先に見ていたからドモンとホナミちゃんの結末はネタバレ済みだった。だけどタイムレンジャーに限ってはそれで良かったと思っている。

タイムレンジャーを配信で先に見ていたら、ホナミちゃんが最終回でドモンの子供を1人で育てているのを見て、そりゃあ驚いたと思う。

だけど、ホナミちゃんが幼い女の子を見て微笑み、「私なら大丈夫」と言った時の覚悟に気付くことはなく、最終回まで見終わってからその場面を見返そうにも配信は終わっていたはずだから。

 

■ダブル?トリプル?いや4つ

「未来は過去に」というサブタイトルの<未来>には、

ゴーカイジャーが宇宙最大のお宝を掴む未来

・神社が破壊を免れたことで守られた<何か>の未来

・もしかしたらその巻き添えで失われていたかもしれない少年の未来

・そしてドモンにとっては過去に生まれていた息子の名前

と、ダブルミーニングどころか4つの意味が込められているんだなと思う。さりげないようで味わい深くて、しみじみ好きなサブタイトル。

 

■複数の戦隊パズル

東映公式は、タイムレンジャーについて「手を出すのは迷った作品」と言っている。こういう言い方をしたのは、カーレンジャージェットマンに続いて3戦隊目。

だけど、ゴセイジャーVSシンケンジャーの先行登場を矛盾なく本編に落とし込むにはタイムレンジャーが最適だったんだろうな。

そんでカーレンジャージェットマンは迂闊に触ると火傷するからと本編のメインライターを起用したのに対し、今回は香村さんに任せたのは信頼の大きさだろうし、香村さんも当時握手会に行くほどのファンでもあり、十二分に応えたなと思う。

またタイムレンジャーだけでなく、シンケンジャーゴセイジャーの要素も矛盾なく落とし込み、更にはもう1つ、現時点では謎だけど大いなる力を全部集めるには必要な要素の伏線も、とパズルを解くように組み合わせ、綺麗に30分にまとめてみせた。でもメインはしっかりタイムレンジャーのテーマを盛り込み後日談要素も、という手腕はつくづくお見事過ぎる。

 

海賊戦隊ゴーカイジャー: 39話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■バスコの困惑

海賊たちが殿下を撃破したニュースがデカデカと宇宙新聞を飾っている。それを見てバスコは「余計なことしてくれちゃって」と軽口を叩きながらも困惑。

この件がバスコにどう迷惑をかけるのか、放送当時この時点ではイマイチよくわからなかった。

自分の地球での活動を黙認しているダマラスが責任をとって更迭されたら、次のトップの意向次第で今後の活動に支障が出かねない、とかか?ぐらいに思ってたっけ。

全部見終わった今だと、ある理由から大いなる力集めには海賊もまだ必要なので、ザンギャックが海賊の殲滅に本腰入れてくるのは困る、ということだとわかるんだけど。

なんせ海賊たちの賞金も跳ね上がって、特に船長のマベの金額はアンリミテッド。「幾らでも払うから首を獲ってこい」とザンギャックの本気度200%。

守銭奴ルカがそれに反応して、フロアが一瞬凍り付くのが、らしくて笑った。

 

■全員潜入

「諸星学園高校で僕と握手!」

という占いで一同メガレンジャーの母校へ。そこで今は教師をしているメガレッド伊達健太の、待ちかねていたぜ的な歓迎を受ける。

もはやレンジャーキーを巡って決闘とかしていた頃は遠い記憶になるほど、海賊はレジェンドに信用されてるんだなとしみじみ。

アイムは王族だったために学校には行けず憧れがあり、マベやルカも憧れはないもののやはり学校には行っていない。

それを知った健太は、大いなる力を渡す条件として、海賊たちに1日この学校の生徒になれと言う。

それぞれの個性に合った制服の着こなしが貴重で楽しい。秀才キャラのハカセだけでなくなぜジョーまで眼鏡をかけることになったのかはわからないけど(笑)。

 

なお、脚本の香村さんは、最終的に地球を守るにしてはここまで地球人との絡みが少ないと思い、宇都宮Pには2人くらいでいいのでは?と言われたけれど全員潜入させると押し切ったそうで、つくづくグッジョブ。

 

■夢を育む場所

マベたちが校内で目にしたのは、青春を満喫し、恋愛、勉強、部活に一生懸命な生徒たちの姿。

メガレンジャーの大いなる力が何かとは具体的に言及されなかったけれど、高校生が主要メンバーだったこの戦隊のキーワードはきっと青春とか学校生活、そんでそこに詰まった夢。

ザンギャックに故郷の星を蹂躙された海賊たちからすると、少年少女たちが安心して夢を育めるこの学校という場所は、地球特に日本人たちが思っている以上に貴重な物に映ったんだろうな。

自分たちの大いなる力が「夢を掴む力」なのだと認識した直後なら、尚更。

特に、ルカには故郷の星に置いてきた子供たちにもこういう環境が与えられたらと思ったかもしれない。

学校を知らなかった海賊たちがメガレンジャーの大いなる力を得るのであれば、ぜひ直に体験して知ってほしかったというのが健太の願いだった、というのは納得。

 

片思いの先輩に手作り弁当を渡そうとする少女の挙動不審さが不思議そうなそっち方面は疎いジョーと、お姫様育ちのくせにその辺りの察しは良いアイム、生徒たちが苦戦する問題をスラスラ解いてルカの前でポイントを稼ぐハカセ、というそれぞれのペアの反応が楽しい。そしてバスケ部の練習に乱入して地球人とは別次元の跳躍力を容赦なく見せつけてドヤ顔のマベは反則(笑)。

 

■バスコの手口

バスコはその学校のあちこちに爆弾をしかけ、解除して欲しかったら大いなる力を渡せ、と健太に取引を迫る。

人質と引き換えに欲しい物を手に入れようとするのはこれで3回目。いかにも正々堂々が苦手とうそぶき「何かを得るには何かをすてなきゃ」が信念のバスコらしい。

ただしその3回とも香村さん脚本なので、現時点までのバスコの嫌らしさの8割以上は香村さんのせい(笑)。

香村さんはウィザードやジュウオウジャーでも要所要所で、怪人の卑劣さを表すのに、人が人を思う心を利用する話を使っていた印象。

ん?ルパパトはそんなんでもないかな・・・?と思いかけたけど、よく考えたら敵ではなく味方、コグレの快盗スカウトが思いっきりそれだった(笑)。

 

なお、マツリも健太も取引を持ちかけられて即座に応じようとしている。海賊が居合わせて止めなければ、どちらもまんまと奪われていたはず。レジェンドたちにとっては自分たちの大いなる力よりも人命優先なのは共通の価値観なんだね。

だから、バスコに力を奪われてしまった戦隊の扱いには心が痛むけど、彼らも人質と引き換えに渡さざるを得なかったんだ、とせめて脳内補完したい。

 

■デジタル研究会

鎧からの爆弾の報告を海賊と一緒に聞いたデジタル研究会のメンバーは、PCのシステムを健太のパスワードで起動するとたちまち爆弾の仕掛けられた位置を特定し、全校生徒にその情報をメールで知らせる。

私は未見だけど、健太を含むメガレンジャーはこのデジタル研究会のメンバーだった。当時の設備がある程度継承されたりブラッシュアップされたりしているってことなのかな。

そんで生徒たちも決して無力に守られるだけの存在ではない、っていう描写が気持ち良い。

仕掛けられた場所はマベが一緒にバスケをした体育館の天井、お弁当カップルの座るベンチの下、などバラエティーに富んでいて、海賊たちが回収に行った先に居合わせた生徒たちの反応もいろいろで楽しい。けど同僚の先生の愛妻弁当は、どうしてそこに仕掛けようと思ったバスコよ(笑)。

 

■VSバスコ

31話では、海賊たちは真の姿を現したバスコにほぼ瞬殺されて終わってしまった。特に鎧は大怪我を負わされている。

でも今回はちょっと違う。マベたちが爆弾を回収するまでの時間稼ぎを鎧1人で引き受けてサリーと渡り合い、業を煮やしたバスコには敵わないまでも、健太がラッパで危うく力を奪われそうになった時は機転を効かせて阻止する。

海賊たちは集めた爆弾をタイムレンジャーのバズーカで圧縮冷凍。鎧不在の場でも彼の作ったスーパー戦隊大百科の知識は、確実にゴーカイジャーの血肉になってるな。

マベの「スーパー戦隊の力、舐めんな」が、以前よりスーパー戦隊に寄り添った感じなのも、それを改めて補強していて良い感じ。

 

メガレンジャーにゴーカイチェンジして戦う海賊たちはバスコには苦戦するものの、サリーを徹底的に追い込んで徐々にフルボッコ

サリーも元々強いんだけど、猿だし妙に愛嬌あるからなんかだんだん大勢で動物虐待してる雰囲気に(笑)。特にジョーがバーチャル映像でバスコに化け油断させて騙し討ちとか酷い(笑)。

サリーのピンチにバスコが珍しく動揺して身を呈して庇ったのは、初めて見た当時は、その真剣さが印象的だった。

「あれ?人信じないとか言ってもバスコにとってサリーは大事な相棒なの?猿だから?」なんて思ったりもした。あの時は(汗)。

 

■卒業証書

バスコが撤退間際にサリーの腹から出したドロイド2体を倒して学園を守り切ったゴーカイジャーに、健太先生は約束どおり大いなる力を渡す。

卒業証書っていうのがメガレンジャーらしく、また、1日だけだとしても実際に生徒として過ごし、学校とは何かとその大切さを彼らなりに理解した海賊たちに渡すものとして相応しいな。

最終合体で殿下を撃破した前回の後で、ちょっと息抜きというか和やかで大人しめな印象な今回。

だけど、潜入、コスプレとバラエティー要素を楽しみつつ、地球人との触れ合いやスーパー戦隊知識の活用、それからメガレンジャーの要素を夢というキーワードで海賊たちに落とし込むという、実は中身の詰まった回だな、と思う。

 

キラメイジャー40話感想: ミスリードと時系列で頭の整理が大変な異色回

最初に言っちゃうと、私は時系列ハッキリさせたい方なんで、今回の話はいろいろ頭の中で整理するのが大変(汗)。こういう話の味わい方としては不正解なんだろうと思うけど、性分なもので。

 

充瑠は自分が書いた絵をアップロード。私は絵を描かないので仕組みはよく分からないけどピクシブみたいなものかな?

他の人の作品もいっぱいアップされてる中、充瑠はカロリーというハンドルネームの人が書いた絵の上手さに驚き、なぜそんなに上手く書けるのかとコメントすると、「教えてあげる」と即レス(汗)。ドラマの都合もあるとは言えそのスピードと無警戒なフレンドリーさに驚いた。

 

ヨドンへイムではクランチュラがイリュージョンのパワーを研究し、この石を使えば人間を邪面獣に変えられる(闇エナジーを貯めて地球に送り込まなくても侵略可能)と告げる。

人間の心が闇に満たされた瞬間に、今回の邪面師である針金邪面がこの石のパワーを注ぐ、という段取りだと言う。

針金邪面には対象の人間そっくりに擬態する能力があるので、対象の人間を誑かして突き落とそうという狙いか。なお体のどこか1ヶ所だけ針金飛び出してしまうが絆創膏で隠せば大丈夫とのこと。逆に言うと絆創膏していたら怪しんで下さいという思いっきりな前振り。

 

ヨドン反応があり、絵を習いに行って不在の充瑠以外は現場に急行。針金邪面は捕らえた人間たちを並べ、闇の具合を確認するも皆イマイチらしい。やっぱり当初の作戦通りで行こうという台詞が、既に何か作戦の仕込みが始まっていることを暗示していて不穏。

キラメイジャーがベチャットを一掃すると、針金邪面は早速擬態能力で青に化け、まんまと騙された緑と銀に本物が攻撃を受けてしまい、今回も受難の時雨が不憫(笑)。今回は全体的にトーンが重めの中、戦隊恒例偽物回要素でコミカルさを付加している感じかな。

 

その頃充瑠は、実は年下の少年、というか子供だったカロリー君と合流。絵は友達に教わったんだと、オタク全開部屋に暮らす大人、八太さんを一緒に訪問し紹介する。この八太さんが、見た目も雰囲気も話し方も微妙に怪しげで不気味。この時点では。

でも充瑠は和やかに一緒にゲームしたりとすぐに打ち解けて、<絵が上手でアニメにも詳しくゲームも上手いなんて天才>と、いつもの煌めきセンサーをフル稼働。仔犬の瞳で本心からあんな褒め方されたら、そりゃあ八太さんも満更じゃないよな。

 

そこに瀬奈から連絡が入って中座し屋外で話していると、通りすがりのカップルの話から、八太が男性の中学の同級生で、何年も家に引きこもっていることを知る。

カップルの男性は20代前半~半ばって感じだから、八太さんもそのくらい?中学の時に始まったのかは分からないけどもう10年くらい引きこもってるのかな?

 

偽物疑惑で困っているからと言われ、部屋に戻りそろそろお暇をと言いかけた充瑠の目に映る八太さんの見せ方がこれまた不穏な感じ。特に指に意味ありげに巻かれた黒いテープが、冒頭の針金を隠す絆創膏を連想させて、いかにも怪し気(汗)。

八太さんは、カロリー君の勧めで自作の漫画を少年誌の新人賞に応募しており、「入賞したらこれからもずっと友達でいてくれるかな?」とカロリー君に尋ねる。

嬉しそうに頷くカロリー君への八太の怪しげな視線(下手すると事案ではないかと・汗)に重ねて、クランチュラさんの高笑いとガルザの「純粋であればあるほど無防備だ。無防備であればあるほど傷ついた時闇に落ちやすい」

という台詞。

針金邪面の「当初の作戦」とはこの時点では、純粋なカロリー君の心を八太さん(針金邪面)が陥れようとしているんじゃ?と、いかにも思わせぶりな、というかもう、どうぞ怪しんで下さいと言わんばかりだよこれ(汗)。

 

針金邪面を取り逃がした他メンバーは、基地に戻っても「偽物が紛れているんじゃ?」と疑心暗鬼。さっき犠牲になったことで唯一本物だと保証された時雨がドヤ顔(笑)で「やれ!」と命じると、瀬奈とマブシーナが宝路をくすぐり偽物でないかの確認作業。

さらに小夜がさっき食べたビスケットの枚数を過小報告し、実は数えていたヘリコに嘘とバラされ次のくすぐりの餌食に。ヘリコはどんだけ小夜をガン見しているのか(笑)?

充瑠が博多南さんと合流して一緒に戻って来たら、もともと基地にもいたから博多南さんが2人になってしまったけど、こちらは超久し振りの代役ん。

紛らわしくミスリードを誘ってきているけど、こういう時に序盤の設定を棚卸ししてくるのはわりと嫌いじゃないかも。意外と使われなかったなあ、代役ん。

博多南さんはサボって好きな漫画家のサイン会に行っていたんだけど、地球に30年ぶりに戻って半年かそこらの宝路の食いつきが凄いなと思ったら、30年前に宝路に差し入れた漫画の作者だった。細かく拾ってくるな。

 

その頃、八太さんは応募した少年誌からの落選通知をネットで受け取っていた。

通知と一緒になぜか一般からの匿名レビューもしこたま付いていて、心ない罵倒コメントで埋め尽くされている。審査に一般読者からの投票システムが採用されてるのかもしれないけど、こんな通知システムが実在するんだとしたら恐ろしいな(汗)。マイナーな懸賞サイトとかならあるかもだけど、メジャーな少年誌でこんなのあり?とか疑問だしビビる。

八太さんはその罵詈雑言に大ショックで、もしかしたら何年かぶりに家を飛び出し、打ちのめされているところにカロリー君登場。

八太さんが自分を嘆きながら黒いテープを外すとその下は針金ではなく、漫画を頑張って描きまくったために出来たペンだこ。

「この程度の奴が偉そうなこと言ってゴメン。」「全部無茶苦茶壊してやりたい気分だ」

と八太さんの心が闇に満ちたところに

「この世界は君には残酷過ぎる。いこう。僕と一緒に。もっと純粋なまま生きられる世界に」

とカロリー君が手を差し伸べ、八太さんが握るとカロリー君の体から針金が伸びて一瞬天使の羽を描き、更に八太さんにぐるぐる巻き付いて包み込むと、同時に闇が発生。

カロリー君は針金邪面に姿を変えるとイリュージョンを取り出し、八太さんは邪面獣に変貌。

さんざん八太さんを思わせぶりに怪しく演出していたのはミスリードを誘うためで、実はカロリー君の方が針金邪面だった。

その展開をまるっきり予想していなかった訳じゃないんだけど、このあたりから私の中で時系列が混乱してしまって大変だった(汗)。けど、整理は後にしてずはまこのまま流れを追いたい(笑)。

 

駆け付けたキラメイジンとドリラー。頭にペンやアニメのディスクやゲーム機など、八太宅にあったあれこれが生えているのを見てに嫌な閃きが生じた充瑠が、ザビューンを呼びサーチさせると体内に八太を発見。

体が邪面獣に形を変えて膨張巨大化するんではなく、八太さんから生まれた闇と八太さんに巻き付いた針金邪面の針金が化学反応を起こし、八太さんを核にした巨大な繭玉を作る要領で邪面獣が出来上がった、という感じかな?

人間を攻撃する訳にはいかず、頭上で操っている邪面師だけを攻撃しようとすると、八太さんにはカロリー君が攻撃されていると錯覚して庇い、傷付いてしまう。

「カロリー君との、あの時間だけが、生きていて楽しかったことの全部なんだ。本当に楽しかった。だから、何があっても守る!」

引きこもりというには割と友達も友達が連れて来る初対面の少年もウェルカムなんだな、ってのがちょっと意外だったけど、同年代ではないずっと年下の子供だったから、ストレスを感じず安心してちょっと優位に立てて尊敬してもらえる友達でいられた部分もあったのかな。その時間だけが生きていて楽しかった全て、と言われてしまうと、いろいろ生き辛い人のようでキツい。

 

それを「愚かな奴だ。だがコイツはいい」と嘲笑いながら利用する針金邪面は、これまでの邪面師と違って愛嬌皆無のゲスキャラなのも、キラメイジャーのこれまでの作風とは異質な感じ。

人が心の闇から怪物に変わってしまうのも、どちらかというと戦隊よりは、仮面ライダーWドーパントとかウルトラシリーズにありそうなビターテイストかな。

「どうしてこんなことを!俺は八太さんの絵を見て、本当に感動したんだ。純粋でキラキラしてて宝石みたいな才能だって。もっと、ずっと書いてて欲しかったのに!」

充瑠の叫びが暴れる八太さんの姿に重なって、夕陽でオレンジに染まった戦闘が切ない。

ドリラーが腹に穴をあけ、ダストキューイングで吸い出そうとする。邪面獣と一体化していないからこの切り離し方法が取れるのは救い。

吸い出された八太の目には、自分の周りにマンガやアニメ、フィギュア、それからカロリー君との楽しかった日々の幻が映る。

「これは・・・全部僕の大事な・・・一度、別れてしまったら、もう2度と戻れない気がするんだ。たとえまた会えたとしても、きっとその時はもう、今の僕たちとは違う。だから、ずっとこのまま、ずっと一緒にいよう」

実際には醜悪な邪面獣にさせられて暴れているんだけど、八太さんにはキラキラしたエフェクトのかかった美しい世界に見えているのがキツい。それを失うまいと八太さんはカロリー君に手を伸ばすけど容赦なく引き離されて、現実の空中に放り出されたところを、スカイメイジがキャッチ。

核の抜かれた邪面獣をザビューンソニックブラッシュが撃破。

 

逃げた針金邪面は、追ってきた充瑠にカロリー君の声で「充瑠君、僕だよ。また一緒に絵を書こう?ね?」と情に訴えてるつもり。

でもこれ、姿もカロリー君の幼気な子供に変わるならともかく、針金邪面の姿のままじゃ逆に、なぜ八太さんがあんなことになったのか具体的な方法はわからなくても充瑠にだいたい悟らせて、怒りの火にガソリン注ぐだけなんだけど(汗)。

珍しく針金邪面に正面を向かず俯いたマスクの横顔が震えていて、怒りが伝わってくる伊藤さんの演技が良い。「人の純粋な心を利用して・・・許さない!」

ゴーアローで強化し弓を構えたところにヨドンナが現れ、ゆっくりと針金邪面に歩みより庇うと見せかけ石を回収すると、「役立たずに用はない」と見捨ててしまう(笑)。残された針金邪面は、充瑠がアローを使った時の雨あられな矢を受けて怒りのオーバーキル。

 

この回は思わせぶりなミスリードがあちこちに散りばめられていて、どっちかというと1~2時間もののミステリーの手法が使われてるって感じかな。脚本が相棒とか書いている徳永さんだし。

ただ、個人的には30分の販促番組でドラマ部分がそれより短いこの枠では、ミスリードに尺使うよりその逆の伏線回収に使われる方が好みかも。

 

青桃に見守られて泣きじゃくる八太さんに、充瑠は昼間貰ったペンの御礼を言い、代わりに自分のクレヨンペンを握らせる。キラメイジャーには珍しい、かなりビターな戦いの終わり。

 

後日、赤黄緑で八太宅を見舞いに訪れると、家のあった場所は更地になっていた。しかも雑草が生えている(汗)。引っ越したのかと話しながらの戻り道で充瑠が見たのは、八太さんが応募していた少年誌の表紙広告。八太の画風にそっくりな期待の大型新人による特別読み切り漫画を紹介している。

「似てるだけじゃね?」という為朝に、絶対に八太さんだと言い返して喜ぶ充瑠。

それを見て為朝はさっき「今回のことで変われるかも」と言った自分への、充瑠の「別に変わらなくたって良いじゃん」という言葉を思い出す。

「確かに、変わらなくていいのかもな。どんなものであれ自分の中の純粋な煌めきを大事にし続ければ」「いつか、誰かにとっての煌めきになる」

と、今回からに異色な作風ではあっても最後は全肯定のキラメイジャーらしい終わり方で続く。

 

家の建っていた場所が更地になり、そこに遠くからしっかり目視出来る雑草が生えるまでの時間を考えると、八太さんが邪面獣にされてから見舞いに行くまでには実は何ヶ月かという時間が経っているのかな?でもそんなに前の出来事を「今回のこと」と言うか、とか少年誌の号数の若さを思うと、メタ的に雑草の生えていない更地を用意出来なかっただけなのか。

だけど、罵詈雑言レビューと一緒に落選通知を送り付けた新人の作品を、ああやって雑誌に掲載するのに必要な月日は経っているんだよな。落選した作品をそのまま載せたのか、編集部が八太さんに再チャレンジさせて出来た作品を載せたのかで時間のかかり方は違うかもだけど。

もっと言うと、そもそも編集部が、そんなに時期を置かずに読み切り漫画を掲載させるような期待の新人に、本当にあんな酷い落選通知をしたのかな?って疑問も沸く。

本当は当選していたけどイリュージョンの力で落選をでっち上げられたのでは?なんて考えたりもしたり。でも針金邪面がイリュージョンを使ったのは八太さんを邪面獣にする時だけなんだとするとそれも違うかな。

 

というかそもそも今回は最初に言ったとおり、時系列を整理しようとすると大変なんだよな。

 

今回の針金邪面の作戦がスタートしたのは、ヨドンナがイリュージョンを入手した後。→瀬奈の年賀タオル配布後だから今年1月に入ってから。→カロリー君の仕込みはその後で、まだ1ヶ月もたっていない、下手するとここ数日くらいの出来事。

針金邪面は人間をコピー出来る。オリジナルの人間にはなれないなら、カロリー君の姿をした少年は別にいる。→無関係の少年の姿を借りて1ヶ月弱でアカウントまで立ち上げ絵を1から習得したとか考えにくい。→カロリー君という少年絵師は実在していて、作戦以前から絵を描いている。

針金邪面はカロリー君の姿で八太さんとの関係をいちから築いたのか?それとも八太さんとカロリー君との関係を利用しようと途中から入れ替わったのか。八太さんとの関係はそんな短時間で築けるか。

充瑠にカロリー君の声で話しかけた。→カロリー君と充瑠の交流を知っていたのなら充瑠と会っていたカロリー君は、実は針金邪面。

でも充瑠がカロリー君と接触したのが針金邪面と他5人との戦闘中なら、迎えに来たカロリー君は本物だったことになる。→ただし1/5針金邪面または針金邪面が撤退してすぐカロリー君に化けて充瑠の元に駆けつけた可能性も。

すり替わったカロリー君の安否も気になるところ。キラメイジャーの作風的には生きていそう(そうあってほしい)だけど、その場合カロリー君は自分の知らない所で八太さんに、彼を騙し怪物にした化け物だと誤解され、ある日訪ねたら連絡もなく引っ越されて家が更地になっていたのかも。そう考えるとこっちも可哀想。

カロリー君にとってだって八太さんと一緒に過ごした時間もかけがえのない大事なものだったのかもしれないのに、ある日突然理由も分からないままそれをそっくり奪われて、八太さんはとっとと漫画家デビューし、もはや自分との思い出は黒歴史になってるんだとしたら、不憫。

「たとえまた会えたとしても、きっとその時はもう、今の僕たちとは違う」というのは本当にありそうで切ないけど、それでも再会して欲しいかな。

何がどこまで真実だったのかすっきりわからないままの事柄が多い回。スタッフさん側としてはそれも込みで味わって欲しい回なのかもしれないけど。

 

充瑠が「変わらなくたって良い」って言ったのは全肯定のキラメイジャーらしくていいけど、変わらなくていいのは充瑠が輝いてると思う作品を八太さんが描くのに必要な心のありようであって、それ以外の行動範囲や行動パターン、チャレンジする気持ちを変えた結果チャンスを掴んで夢を叶えるのはやっぱり嬉しいんだよな、当たり前だけど。

充瑠自身だってキラメイジャーに選んで貰って自分のアウトプット方法が変わったことをあんなに感謝しているんだし。

それに実際にあんな体験したらこれまでと同じではいられないよ。引きこもった時間が長くてそれまでのいろんな経験値が低ければ尚更。

何年も引きこもりだった所に、ずっと年下の友達が出来て懸賞に挑戦し、ネットの罵詈雑言に曝され怪獣化してヒーローに助けられる。これって物凄い経験でそれ以前の自分とは決定的に何かが変わるには充分だと思う。

針金邪面のした事は許せないけど、為朝の言うように結果的に家から外に出るきっかけにもなり、その後傷ついた自分を強く磨き上げて外に向かわせる荒療治になったのかもしれず、良識の範囲内なサポートでは適わない結果を生み出した面もあるのは皮肉だなと思う。

 

海賊戦隊ゴーカイジャー: 38話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■守られた側の気持ち

前回ラストでマベに問答無用で脱出ボタンを押された5人。

ルカ、ハカセ、アイムは同じ場所に落ち、別の場所に落ちた鎧とすぐに合流してガレオンを目指す。

鎧は「あれがマーベラスさんにとっての<守る>って意味だったんでしょうか?」と納得いかない。

「俺は・・・マーベラスさん一人に背負ってほしくなかったです。仲間なら、俺たちを守るんじゃなくて最後まで一緒に戦いたかったです!」

他のメンバーは、アカレッドに倣ったのだろうと一見冷静に推測し、マベらしいと理解は示す。

マベが自分の身よりも仲間の命を大事に思ってくれた気持ちは尊い。また自分がマベの立場でも同じことをしないとは言い切れない。そんな気持ちもあるんだろうか?

でもやっぱり内心は割り切れず、鎧の言葉には共感せざるを得ない。そんな中でルカの

マーベラスに文句言わなきゃ」

と、今は生死不明のマーベラスに文句を言える未来がこの先にある、いやそんな未来を自分たちで掴み取るんだよ、と前進を促す言い回しが、ルカ姐さんらしくて粋。

 

■決着

マーベラスの野郎!」と鎧以上に怒りを露わにしてやはりガレオンに向かうジョー。この姿を見られれば鎧も「納得いかないのは俺だけ?」とモヤモヤせずに済んだろうな。

海賊の死体確認と残党狩りを命じられたバリゾーグと再会し、今度こそ決着を!と再び激しく激突する。

仲間に庇われてしまった負い目と怒りを抱えて押され気味に戦いながら、ジョーはバリゾーグに「お前が忠義を尽くすワルズ・ギルはお前を命を張って守ってくれるのか?」と尋ねる。

「私をワルズ・ギル様が守ることはあり得ん」主従&職務の範囲の関係であると感情を一切挟まない機械的な回答に、ジョーは今さらのように自分たちの関係との違いを思い知る。

片方がもう片方に負担や犠牲を押し付けたままの一方的な関係で終わるのは嫌だ。自分たちは仲間であり、もっと対等な関係のはず。

「俺は絶対にここで倒れるわけにはいかない!仲間のために命を張った大馬鹿野郎に借りを返す為にもな!」

またも繰り出されたシドの必殺技を変身解除しながらも跳ね返し、自分の技を喰らってダメージを受けたバリゾーグに生身の、ジョーの姿でトドメを刺す。

バリゾーグ視点の画面が乱れてブラックアウトという演出の無情さが、バリゾーグという機械の最期に相応しいけど胸に来る。

 

やり遂げたジョーの前に、哀愁を誘うBGMと共にシド先輩の幻。

「俺、あなたの魂だけでも救えましたか?」という後輩の問いかけにしっかり頷き、更にジョーの成長を喜ぶ言葉をかけ、今の仲間との未来に進めと指差す。

走り出すジョーの背中を見送るその姿が消えて、バリゾーグの骸だけが残されるラストカットが、儚くて切ない。

 

■ジョー担当

渡辺監督は、夏映画でローテーションを抜けてた時期もありここまでで3巡目だけど、初メイン回の4話、ライブマン回、今回と各ローテーション全てでジョー編を担当している。だから過去が判明したシンケン前後編こそ担当してないものの、ジョーと言えば渡辺監督、というイメージが強いかな。

今回は内容が超盛り沢山の限られた尺の中で、ライブマン回で揺り戻したジョーの物語の結末を情感豊かにしっかり描き切って下さったのは有難い。

 

アカレッドからの第一歩

地面に叩きつけられたガレオンの中で意識を失ったマベは、夢?の中でアカレッドと再会する。

あの時のアカレッドのように仲間を守れて良かったというマベに、アカレッドは疑問を呈する。

「お前は私はではないし、ゴーカイジャーは赤き海賊団ではないだろう?お前が選んだ仲間たちは本当にお前に守って欲しかったのか?お前が本当に守るべきものは、夢を掴む為に集まった、掛け替えのない仲間たちとの絆じゃないのか?」

 

36話ではマッハルコンにかけたマベの言葉がアカレッドにかけられた言葉と重なって見えて、船長としてアカレッドに並んだようにも見えた。

だけどそれは、マベが意識してか無意識かはともかく、船長のお手本としてアカレッドを倣っていた面もあったのかもと思えてくる。もしかしたら、これまでもずっとそうやってお手本に沿った船長を演じていた部分もあったのかな?

でもアカレッドの言葉に背中を押されてマベはこの時、誰かの真似ではなく自分だけの道なき道を行くゴーカイジャーの船長として、本当に自分の足で第一歩を踏み出したのかもしれない。

 

ジョーとシド先輩が黒い背景のイメージ空間だったのに対し、マベとアカレッドは白い幻影空間、という対比。

この2つの関係を重ねて、それぞれ(今は亡き)先輩が後輩の仲間との未来に向けて背中を押し、押された後輩が先輩の手を離れて夢のために前進する。

1話の中で両方詰め込むのは勿体ないような濃さで、もっとゆっくり別々に見たかったような、いやでも一緒にまとめたからこそ物語の節目として凄くしっかり効いてしまっていて、尊く思えるような。

 

なお、アカレッドを出したのも下山さんの発案。1話で両方やるのは本当はご自身のセオリーには反したそうだけど、ゴーカイジャー最後の担当回となるこの盛り沢山重要回をキッチリまとめ上げて、有終の美を飾られたなと思う。

 

■トリ、可愛い

目覚めたマベの胸にすがり羽でバタバタ叩いて「おいらを置いて死んだら承知しないからなあ!」

今ザンギャックが襲ってきたらどうする?と聞かれ「決まってるだろ?二人で戦うよ~。な~んてね、おいらだけ飛んで逃げちゃうかな」

可愛い(汗)。健気な良い子成分と、それがマベの負担にならないよう悪い子成分を混ぜて冗談ぽくふわっと投げつける匙加減が絶妙だと思う。

声と演技の可愛らしさも相乗効果を上げていて、こんな時もマベの気持ちを明るくし、再起に向けて勢い付かせることの出来るナビィは本当に優秀なサポート役だな。

何気にマベは、ナビィとだけは最後まで一緒にこの船と運命を共にしようと思ってたんだろうか?まあ逃がす手段がなかっただけかもだけど、考えてみたら他の誰よりもマベとの付き合いが長いのはナビィなんだよなと改めて。

 

■守りたい存在だった

海賊を排除し、地球侵略を邪魔する者はもういない。ダマラスを見返し、父皇帝にも認められ、これからは全て上手く行くはずだった殿下。

勝利の祝賀会の最中にもたらされた、唯一の存在であるバリゾーグの死の知らせに、天国から地獄へ急転直下。身も蓋もなく泣き叫んで海賊への復讐を誓う殿下の耳に、再びの出撃を制止するダマラスの声はもう届かない。

バリゾーグは「私をワルズ・ギル様が守ることはあり得ん」と言ったけど、この有様を見ると違うんだろな。何をすればちゃんと守ることになるかまでは考えたことなかったろうけど、何よりも失いたくない存在だったのは確か。

結局殿下は、ただ1人信頼していたバリゾーグからも、本当には理解しては貰えていなかった。そんで仮にバリゾーグが殿下のこんな気持ちを知ったとしても、そのことを嬉しく感じたり出来る心は持っていなかったんだろうな。やっぱり殿下は最期まで1人だった。

 

■夢を掴む力

「鎧、俺が間違っていたみたいだ。お前らやお前らの夢は俺に守られるほどヤワじゃねえもんな」

合流して詫びるマベに、皆にっこり。そんでまたしてもルカの「じゃあ文句は言わないであげるか」が素敵。

改めて絆を深めた海賊たちはイケイケで、主題歌に乗ってドゴーミンたちも一掃。

そこに殿下のグレートワルズ再来襲。マジゴーカイオーも風雷丸も退けられ、やっぱり実力差は埋まらない。

だけど再び召喚されたマッハルコンともども、海賊たちはさっき完敗した相手にも今度は怯まない。前回はわりと早々に「これまでか」と諦め仲間を逃がしたマベも、高らかに叫ぶ。

「夢をこの手で掴むまで、俺たちは突き進むだけだ!」

するとゴーカイジャーのレンジャーキーが光り、差し込むとゴーカイオーと豪獣神の胸から放たれた光でカンゼンソウルが誕生。

「これが俺たちの大いなる力、夢を掴む力か!」

 

予告を見た時に、合体の最終形態が来るのは分かってたし、前回冒頭でマッハルコンから前振りもされてはいたけど、「ゴーカイジャーにも大いなる力が」というのは、当時本当に意表を突かれた。

でも同時に、この物語においてはそれもスーパー戦隊になるための必要条件で通過儀礼だったんだな、と納得せざるを得なくて、「やられた!」となぜか思った記憶(笑)。

 

■カンゼンゴーカイオー

カンゼンソウルをマッハルコンにセットすると、ゴーカイオー、豪獣神、マッハルコンが合体したカンゼンゴーカイオーが完成。

大きい。わかっちゃいたけどグレートワルズよりハッキリと大きくて、「俺は超える!ダマラスも父上も!見ていろバリゾーグ」という言葉ももはや殿下の運命の濃厚フラグにしか思えないのが悲しい(涙)。

さっきまでの劣勢が嘘みたいにカンゼンゴーカイオーはグレートワルズを押しまくり、攻撃をたたみかけてフルボッコ。必殺技ゴーカイカンゼンバーストで

「俺はこのまま終わってしまうのか~」の断末魔と共にグレートワルズは大爆発(涙)。

殿下の戦死に激震が走るギガントホース。ダマラスが思わず、もう主が戻ることのない司令官の椅子を見やるのが切ない。

 

■出来過ぎマイルストーン

スーパー戦隊のシリーズではわりと当たり前に使われてきた「守る」という言葉をテーマに、元敗者であるマベの視点でその意味を問い直し、マベとジョーがそれぞれの大事な存在と向き合い背中を押され、本当に過去を乗り越えて今の仲間たちとの夢に踏み出し、その結束によって強まった「夢を掴む力」が、ゴーカイジャーの大いなる力となり、またスーパー戦隊に近づく大きな一歩になる。

1年間の縦軸のマイルストーンとして「とうとうここまで来たんだ」みたいな感慨も当時凄かったし、その象徴になった最終合体が現時点での敵ボスを倒すのは、ちょっと完成度高すぎて狡いとすら思ったりする(笑)。

 

■さよなら殿下

グレートワルズの残骸からダマラスが殿下の遺体を抱きかかえて出て来た。ボロボロに焼け焦げて五体満足ですらなさそうな最期の姿はこういう子供番組にしてはショッキングな無残さで、「愉快な殿下のことだからもしや?」と無理やり残しておいた儚い希望は木っ端微塵(涙)。

グレートワルズを贈られなかったらまだ生きていられたと思うと父皇帝の愛が仇になってしまったのが皮肉。

「私が付いていながら」という、殿下の亡骸以外誰も聞いていないダマラスの言葉は偽りない本心のはずで、その造形からマスクも泣いてるように見える。その顔が海賊の船に向けられると今度は怒りと復讐心を強く感じさせて不気味な迫力。

殿下・・・海賊が強大な帝国に潰れされずにここまで戦えてこれたのはぶっちやけ殿下が無能だったからで(ごめん)、だけどそれをコミカルにチャーミングに見せて、造形の効果もあってザンギャックという敵組織に華やぎと魅力を付加してくれた。

38話でというのはまだ早いようにも思えるし、バリゾーグと一緒というのも駆け足な印象だけど、全編見た後だとやっぱりここでの退場がベストだったんだろうなと思う。ありがとうさよなら殿下(涙)。