キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

海賊戦隊ゴーカイジャー: 41話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■都合が悪いと逃げる

キャッチボールの流れ球を箒でフルスイングしたらあちこち跳ね返ってハカセに直撃。やばいと思ってハカセが事態を把握する前にソッコーで買い出しに抜け出すアイムが狡い(笑)。

アウトローな海賊の中にあって礼儀正しくひたむきで優しい、浮き世離れした元お姫様だけど、海賊仲間の中にいる時には、都合の悪いことを誤魔化したり人のせいにしたりもする。そういう人間臭いところもあるというのが、アイムというキャラの一筋縄ではいかない部分かなと思う。海賊たちにすっかり馴染んでいるというのもあるんだろうけど。

 

■皇帝ご来臨

38話で殿下が戦死した後、海賊たちの賞金だけは跳ね上がったものの、丸々2話動きの無かったザンギャック。ダマラスとインサーンは本星に事態を報告しギガントホースで待機するも、一切音沙汰がなく不安に駆られていた。

そこへいきなり砲撃とともに皇帝直属の艦隊がワープ。皇帝直々に親衛隊を率いてギガントホースに乗り込み、有無を言わさずダマラスを拘束する。

事前連絡なく急襲ってことは、司令官しかも皇帝継承者の戦死という異例の大事件に、実際は何が起こったのか測りかねてダマラスの謀反の可能性すら疑ったってことなのかな。この辺り、用心深く猜疑心の強い、というか最終的には誰も信じていない大帝国の独裁者って感じ。

皇帝のデザインは黒基調でわりとすっきりしていて精悍。なかなか格好いい。隻眼なのも、いかにも数多くの修羅場をくぐり抜け手段を選ばずのし上がってきた歴戦の強者って感じ。

同僚のダイランドーに嘲られ引っ立てられていくダマラスが気の毒で、いつも要領良く立ち回るインサーンが必死に庇うのが、意外だったけど嬉しかった。

 

■ザツリグ

入れ代わりに海賊の抹殺を命じられたのは皇帝親衛隊のザツリグ。数百の星を滅ぼしてきた。

12話で倒されたデラツエーガーは親衛隊隊長で、ザツリグは役職を名乗ってないから、多分それよりは格下なんだろうな。

けど、そこを気にせず出撃させるあたり、デラツエーガーの件は皇帝にどう伝わっているのかちょっと気になった。見栄っ張りの殿下のことだから、正直に報告してない可能性もあるかな。

まあ、上官より部下の方が純粋な戦闘能力は高いケースがあってもおかしくはないけど。

 

■遭遇

ハカセの追及を逃れるために(笑)3人という大人数で買い出しに出たジョー、鎧、アイムのキャッチボール組。

「でも良いことです。自分の星を愛せるということは」

アイムの言葉で彼女の境遇が改めて思い起こされた直後に、紫色の艦隊が来襲。

それを見て皇帝直属親衛隊だと緊張を高めるジョーの元ザンギャック設定が、これから激化していく帝国との戦いの幕開けを手っ取り早く予感させて相変わらず便利。

そこに降り立ったザツリグを見た途端、アイムが怒りを露わにいきなり突撃する。訳が分からず慌てたジョーと鎧の制止も受け付けない。明らかにいつもと様子が違う。

ザツリグはそれを軽くあしらい、その胸の目が開くと海賊たちは3人とも体が動かなくなったり吹っ飛ばされたり。全然歯が立たず大ダメージを喰らってしまう。

完勝のザツリグはトドメを刺さずに、次は6人で来いと余裕かまして、夜は酒を飲む時間だとさっさと帰る。この実力で上官になれない理由がなんとなくわかったかも(笑)。

 

■アイムの過去

ファミーユ星はザンギャックに従わなかったためにザツリグに攻め込まれ、アイムは両親である王と王妃を目の前で焼き殺され、家来によって無理やり星を脱出させられた。

この辺りはわりと亡国の王女の物語としてはテンプレって感じかな。スタッフさんもここはそれ以上力を入れて描きたい部分ではないってことなのかも。

星の名前と為政者の苗字が同じなのはわりと戦隊では珍しくないけど、例えばこの地球に地球の名を冠して全体を統治する存在はいないことを考えると、星の大きさも人口も、もっとずっと小所帯なのかもなと思う。

例えばヨーロッパのどこか1国レベルの人口とか。

 

■海賊になる理由

海賊たちはザツリグの半端ない強さに、しばらく身を隠して様子を見ようという雰囲気になる。

アイムには、自分の私怨でそれを覆し危険な戦いに仲間を巻き込むのは心苦しい。でもせっかく再会した両親の仇を見過ごすのは耐えられず、1人で対峙しようと決意する。

そんなアイムの不自然な挙動に気付いて仲間たちが声をかけるのはわりとお約束だけど、

「あいつとやれば確実にお前は死ぬ。それが現実だぞ」

という容赦ないシビアさは凄くゴーカイジャーっぽいなと思った。

 

ザツリグが両親と星の敵であることを明かし涙を流すアイムにマベが、両者の出会いを思い出させる。

どこかの星の荒野で、戦いを終えた海賊たちに自分から声をかけ、スカートの裾をつまんで場違いな上流階級のお辞儀をし、仲間にしてほしい、海賊になりたいと訴えるアイム。

ジョーが鼻で笑い、ルカが「ばっかじゃない?お姫様なんかに出来るわけないよー?」とからかってもめげずに、頑張りますと粘る。ルカも初対面ではアイムにこんな態度だったんだな。まあ無理もないけど。

そうまでして海賊になりたい理由。

「私の故郷はもうありません。けれど、他の星へ逃げ延びた方はいらっしゃいます。その方達がファミーユ星の誇りを持ち続けられるよう、私は象徴として生き続けたいのです」

「だったら海賊なんかじゃ駄目だろ」

「いいえ、海賊だから良いのです。だってこの手配書に顔が載れば、わたくしが生きてザンギャックと戦っているのを見せられますから」

ファミーユ星を脱出する時は付き従っていた家来はもういない。アイムを逃がす途中で命を落としたのかも。

そうやってたった1人でなんとか生き延びた命を、ただ永らえるためだけに息を潜めて安全を図るのではなく、他の星に亡命した自国の民の支えになるために、戦って手配書に乗る=命を狙われ続けることを選んだ。

そう書くと、おっとりして可愛らしい見かけによらず、内面には激しさもあり誇り高く覚悟完了した物騒な人だと思うし、やっぱり「私」より「公」を優先する王族なんだなとも思う。

あとやっぱりシンケンジャーの、影武者の影に隠れて生きることを卑怯と拒み、戦いの最前線に乗り込んできた薫姫の姿と重なる。

 

■竹本監督の台詞追加

そんな「公」の人が、自分を支えにしている人々がいると分かっていながら、敵を討ちたいという「私」も抑えきれずに泣きじゃくるのを、

「アイム。顔を上げて前を見ろ。俺たちが居るだろ」と諭すマベの声が優しい。

皆を自分の私情で危険に巻き込むまいと独りで戦い死のうとするアイムは、37話で皆を脱出させて独り残った時のマベに似ているかもしれない。

守られた側にいたあの時にはマベに間違っていると言えても、いざ自分も似た立場に置かれれば同じ選択をしてしまう。私怨だと思えば尚更。

仲間を大事に思えばこそのその気持ちを身を以って知っているマベが、今度は自分と同じ過ちを繰り返させまいとアイムに仲間の存在を優しく突き付けて守る。マベの台詞は竹本監督が付け加えたそうで、GJ!

それに呼応するように、さっきは逃げモードに入っていた他メンバーも、アイムのために強敵に立ち向かう覚悟を決めて微笑みかける。

それを見て「みなさん!わたくしに力を貸してください。ザツリグを倒す為に」と素直に助力を求めるアイムに、「その言葉を待ってたぜ」「ああ。皇帝親衛隊なんて、知った事か」と力強い言葉で応える海賊たちの心意気が尊い

 

■公と私

他のニチアサ作品では、たまに「復讐は何も生まない。それより平和のため未来のために戦う」がヒーローとしては正解とされたりするのを見かける。

でも宇都宮P作品は、例えば仮面ライダーウィザードなんかを見ても、意外と復讐心という後ろ向きの私情を必ずしも否定せす、それに仲間が加勢する心意気を良しとしているのかなと思ったり。

ゴーカイジャーは宝探しが目的という「私」の戦隊が地球の人々やレジェンドとの交流を経て地球の平和を守るという「公」も獲得していく物語で、41話までの積み重ねでかなり「公」への意識も強くなっている。そんでアイムは初期メンバーの中では最初から「公」の強いキャラ。

だけどそれでも抑え切れないアイムの「私」を皆で守り、それが彼女が生き続けて自国民の支えになるという「公」も守ることに繋がる、という形になってるのかな。

後にルパパトで公私を2つの戦隊に振り分けた宇都宮Pの中には、そのあたりもテーマとしてあるのかな、なんて思ったりする。

 

■なくしたくないもの

翌日、ザツリグと対峙した海賊たちは、一度はザツリグの胸に付いた目の能力で吹き飛ばされるも、他5人が囮になってアイムが目を封じる作戦を決行。

その戦闘中に、加入当初のアイムの様子が鎧に語る形で紹介される。

銃の反動で吹っ飛び、剣の重さに振り回され、洗濯機の操作を謝り泡を部屋に溢れさせるなど失敗ばかり。話のテンポがかみ合わないこともしばしば。

だけど、4人の時は争いになることも多かったのが、アイムが入ってからはそんな時も空気を和らげてくれるようになった。それが他のメンバーにはないアイムの得難いところで、それを「なんか、いい感じになった」という説明だけで鎧がしっかり理解できるのも、普段そんな場面を幾度となく実感しているからなんだろうな。

そんなアイムをなくしたくないから、皆で頑張る、とここでサブタイトルの指すものが明かされるのが素敵。

 

■絆の見せ方

皆が次々に囮になり、最後の鎧の背後からアイムが飛び出すのと同時に「パイレーツ・ガールズ」がかかるのが滅茶苦茶格好いい。40話のゴーカイシルバーのテーマの使い方もだし、199ヒーローのゴセイジャーOPもだけど、竹本監督は、挿入歌の使い方がつくづく上手いなと思う。

首尾よくザツリグの目を封じた後は、アイムとのペアで仲間たちが次々とゴーカイチェンジ。

鎧とはゴーオンウィングス。追加戦士の枠でありつつ兄妹という絆も両立。

ハカセとはゴウライジャー。っこれも兄弟という絆。

ルカとはゴセイ黄桃。

ジョーとはデカマスターデカスワンという実質夫婦。

そんで最後のマベとは本編でも実現しなかったダブルシンケンレッド、義理の親子。

個人的には強いて言えば、ゴセイ黄桃だけはマジ姉妹でも良かったかなと思ったけど、竹本監督によると必殺技を持ってるペアなのが重要らしくて、最終回を除けば一番頭を使ったとのこと。

家族など特別に強い絆を持つレジェンドたちを選び、海賊たちの絆をそれと同等なものとして重ねてくるのか!と当時滅茶苦茶テンション上がった。

 

ゴーカイジャーの初期メンバーの絆自体は、12話時点で「俺達は強い絆で~」と言ってしまうほど序盤からある意味完成されていて、危機のたびに再確認しているだけという見方も出来てしまうかもしれない。

でも、バスコ登場時、ゴーカイガレオンバスター製作のための武器貸し出し、VSグレートワルズなど、その都度その都度切り口を変えて、またその時の海賊たちのキャラや成長を踏まえた見せ方が上手で、何度見せてもらってもいいなと思う。大好物(笑)。

アイムを中央にゴーカイガレオンバスターでトドメ。両親の無念を晴らして胸に手を当てるアイムの肩に手をかけてマスクの下で「良かったね」と言っているようなルカが優しい。

 

■帝国の逆襲の予感

ロボ戦も制して、一件落着と河原に寝転がっている海賊たちが子供みたいにわちゃわちゃしている頃、牢獄の中で静かに目を光らせているダマラス。親衛隊の手練れを倒されて海賊の実力を思い知り認識を改めた皇帝側が本格的に逆襲に転じ、それによってダマラスもこのままでは終わらない予感を不気味に漂わせている。

これまでずっと殿下に抑えられて海賊と未対決のまま責任とらされて投獄とか、いろいろと不遇すぎて同情するしかなかったので、彼が実力を発揮すれば今じゃれあってる海賊たちに最大のピンチが訪れるんだろうと予想はついても、「やっとだね、頑張れ!」と思わずにいられなかった(しみじみ)。

 

※42話の記事は来週更新予定です。