キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ゼンカイジャー24話感想: たとえ君が良い奴でも

ヤツデさんが温泉ツアーに出かけ、介人たちが留守番は任せてと大見得切った直後にトジテンド情報。店番をガオーンとマジーヌが引き受けて介人と赤青が出動する。

ヒーロー活動という「公」のために生活拠点という「私」を犠牲にはしないという、キラメイジャーでも打ち出してた姿勢。ゼンカイジャーの資金や生活費は他から援助受けてるわけでもなく、この店の利益から出ている部分が大きいだろうしね。

 

現場にいたのは、先着のゾックスと戦うバカンスワルド。名前を確認して「夏全開だなあ」と介人らしい緩い反応だけど、それはそれとして倒す気満々。

バカンスワルドが「まだ何もしてないのに」と抗議すると

「<まだ>ということは、これから何かするつもりですか!?」とブルーン。防災のために倒すと印象付け、更に何をする気か問いただすことでぼかされてるけど、ゼンカイジャーというヒーローとワルドという怪人との関係について、後になって考えさせられるやりとり。

 

介人がチェンジマンのギアを使うと、チェンジグリフォンの力で地下から吹き出したマグマにバカンスワルドが空高く押し上げられ、逆にチャンスだと地上広範囲にバカンスパワーを解放。

するとゼンカイジャーたちだけでなく会社員や主婦更には国会議員まで、任務や仕事をおっぽり出しハイテンションでバカンスモードに突入してしまう。ほくそ笑むバカンスワルドの勝利宣言と共にOP。

・・・国会議員の中に、キカイノイドがちょこちょこいる(汗)。共存始めて半年足らずで国政にもあれだけ異種族が入りこめるなんて、大らか過ぎるにもほどがある。

こんな緩い世界なら、暴力なんて使わなくてもトジテンドの息のかかったキカイノイドを穏便にたくさん送り込んでいた方が、今頃ゼンカイジャーなんかが手を出せないごくごく合法的な形であの世界を手中に出来てたんでは?と思ってしまったりした。

 

OP終盤、いつもは介人たちがわちゃわちゃしてるカラフル店内は最後まで無人のままでやがてほんのり西日だけが照らすのも、最初は何事?とちょっと不穏だったけどバカンス全開で誰も戻ってこなかったのねと思うと後からじわじわ来る。

 

トジテンドでは、「侵略が完了したであります」とバラシタラが高らかに報告。人々(キカイノイド込み)はバカンスにかまけて遊び呆け、戦意を喪失しているからと。・・・このレベルでいいのなら、これまでも何度か一時的に侵略が成功していたのでは?という気がしないでもない(笑)。

 

クダイターがクダックを率い、侵略後の世界の使い道を決めるため調査に繰り出す。この作品、基本的に頭おかしいくせに、こういうところが変にリアルで真面目なのが味になってるな。

そこで目にしたのが住民たちと一緒に遊んでいるバカンスワルド。

クダイターがバカンスワルドに偉そうな口をきいていて、ワルドの元は雑魚兵のクダックなんだよなと再認識。

キラメイジャーだとベチャットが熟して邪面師になるといういわば昇進制度みたいな仕組みだけど、ゼンカイジャーの場合はクダイターからすると、たまたま実験体に抜擢された元部下みたいな感じで上下関係が変わる意識はなさそう。

そんでクダイターがバカンスワルドに感化されていくダメな予感をぷんぷん匂わせた頃、介人たちはそれぞれの趣味趣向に沿ったバカンスを思い思いに楽しんだ後に、浜辺でバーベキュー。

付近で行われていたビーチバレーのコートをバカンスワルドが強引に分捕ろうとした時、全力で諍いコートを賭けて勝負を挑むあたりは、洗脳されていてもやっぱり根っこはちゃんとヒーローのままなんだなと思った。

そこから大真面目に延々と繰り広げられるゼンカイジャーVSバカンスワルドのビーチバレー対決(笑)。セッちゃんの「そんでそんで」な解説でサクサクと試合が進み、ジュランがボソッと「尺の都合?」と突っこむけど、いや十分過ぎるほど尺とってると思う(汗)。

最後は介人がゲームにサンバルカンのギアを堂々と使い、反則まがいの必殺アタックで豪快に勝利し、コートを奪還。

するとバカンスワルドの闘志に火がついて、「今度は純粋に、お前らと勝負したいバカンス」と言い出す。

思いっきりビーチファッションに着替えたゾックス兄弟も加わって、本当に他愛なく浮き輪投げを楽しんでる。浮き輪を受けるフリントが無駄に可愛く、ゾックス一家の圧勝するとガオーンがキラメイジャーのギアをただ祝勝のためだけにクラッカーとして使用。しかもオラディンの「きらめこうぜ!」付きという気合の入れ方(笑)。いいの?前年戦隊のこんな使い方いいの?と頭をよぎったけど、手を下した監督がキラメイジャーのパイロット山口監督だから、きっと大丈夫。

 

一方、バラシタラは部下がいつまでたっても調査報告に戻って来ないので様子を見に行くと、住民と一緒になって仲良くバカンスを満喫していた(笑)。日光浴してるクダイテストがビキニ姿で、女子もいるんだなと判明し、ちょっとびっくりしつつじわじわ来る。

 

介人たちの方は続いてスイカ割り。ゼンカイもトジテンドもなく仲良く円陣を組むと、純粋にスイカ割りのためだけに変身するヒーローども(汗)。そしてこんな時に限って限りなく正統に近い貴重な5人名乗り(効果音がちょっとバカンス仕様)。

それぞれのチームリーダーの絵の付いたスイカを特定の棒で叩き割れば勝ち。仲間は敵を妨害しても良いけど、自チームのスイカ以外割っちゃダメ。そう妙にきっちりルール説明がされて始まるスイカの争奪戦が、敵味方入り乱れたゼンカイジャー屈指の見応えと言いたくなる力の入ったバトルで、カメラワークも冴え渡ってる(笑)。

ぶっちゃけ、物語の節目の大一番的な位置付けだった前回の偽物戦隊とのバトルより見応えあるって、やっぱりゼンカイジャーは頭おかしいだろ。

そんで今回はゼンカイジャーVS界賊のバトルも繰り広げられて、ゾックスのスイカを抱えて逃げるマジーヌをフリントが気軽に発砲しながら追いかけるとか、遊びにも界賊の流儀が遺憾なく発揮されていて恐ろしい(笑)。

 

でも介人、ゾックス、バカンスワルドが同時にそれぞれのスイカを割ろうと気合全開で振りかぶった時、部下がすっかりバカンス脳に冒されて怒り心頭のバラシタラが登場。

「下っ端のくせに我々より先にバカンスを満喫するなど言語道断!粛清である!」と言うやバカンスワルドにロケット弾を放って爆殺。

「バカンスワルドー!!」介人たちの絶叫と共に、炎の中から形見のスイカが転がり出てきて、なんかもう笑っていいのか泣いていいのかわからない(汗)。

ワルド死亡によってバカンスパワーは消滅し、皆は正気に戻っても洗脳されていた間の記憶は残ってるみたいで、介人がバカンスワルドを惜しむ気持ちは変わらない様子。

 

それにしてもトジテンドは、沢山の並行世界を一気に閉じ込めて征服しちゃったとこだけ見ると最強最悪な悪の組織なんだけど、中の人達はトップも幹部も兵隊もゆるゆるだなと改めて。油断するとすぐサボって仲良く遊ぶし、敵の変身やいい話の間待ってくれるしね。

ひょっとしてたまたま五色田博士の優秀すぎる技術を目の当たりにして強引に手にしたばかりに過大評価されてるだけ?

 

「少しくらい働け!」バラシタラがバカンス気分の抜けていないクダイテストめがけてギアを投げ、ダイバカンスワルド誕生。こちらは世界をトロピカルにはするものの、「遊びは終わり」と殺意満々。まあバカンスを楽しむ同僚が粛清されたことは知らないかもだけど、バラシタラにああ言われたらそれ以上緩い気分じゃいられないよな。

その攻撃にジュランとガオーンがダメージを受けて、今回はようやくマジブルーンが出撃。ジュラガオーンの方が出撃しない理由に気を配られてる気がするのは、やっぱりこちらがメインロボだからってことなのかな。

ダイワルド以外にもう一体クダイテストもいるため、ツーカイオーカッタナーも出撃。ツーカイオーはいつも通り普通に強いけど、ブルマジーンも魔法が使え、おまけに飛べるから、以外とジュラガオーンよりピンチ演出がしづらいのもあるのかな?とふと思った。

最後はゼンカイジュウオーで圧倒&トドメんロボ3体が並び立ったのは初めてかな。これにジュラガオーンが加わればゼンカイロボ全員集合だけど、それはまだ先にとっておくんだろうか。

 

戦い終わって、商品が飛び散ったカラフル店内を総出で片付けながら、介人はバカンスワルドとの時間を思い出して「トジテンドの人たちと遊べたの、楽しかったなあ。みんなああやって仲良くできたら良いのに」とスイカを抱えて微笑む。

でも「いやそれは分からなかねえけど、結局襲ってきたじゃねえか」「バカンストピアのギアの力が特別だったんすよ」と即座に釘を刺すジュランとマジーヌ。

前回の病院でもそうだった。介人の「ステイシーと仲良くなれるかもって思った」に対し「でも仲良くなりたかったのはヤツデだけだった」と流れるように否定。

ジュラン達はトジテンドにずっと酷い目に会ってきたから、介人が誰とでも仲良くなれるのではってすぐ思っちゃう所を危ういと思ってる。けど反面、そんな介人だから自分たちは救われてカラフルにいるんで、最大の美点でもあるのはわかってるんだよね。

だから「介人は甘い」みたいな全否定は決してしない。その代わりにあくまで論理的に根拠付きで即座に希望的観測を打ち砕くのが遠慮なくて、あくまで対等な仲間として介人を守ろうとしてる感じが良い。

 

やがてヤツデさんが温泉ツアーから戻ってきて、店の散らかりようにびっくり。お怒りモードでお土産渡さないと脅し、許しを請うて土下座するゼンカイジャーたちで、続く。

バラシタラが侵略成功宣言したくらいだから、バカンスパワーはヤツデさんの旅行先の温泉にも届いてたと思うけど、元々バカンス真っ最中だったから洗脳された認識ないまま引き続き楽しんでたのかな?

 

今回は途中までひたすらヒーローと敵とが一緒に遊ぶ描写の連続で、その時は見ていて楽しくてもこのまま終わるはずないから、どこで暗転するのかと途中からはハラハラしていた。

特に介人はちょっとでも共感ポイントがあれば仲良くなれるのではと思いたがる奴。振り返れば最初にステイシーと戦うのを躊躇ったのも、見た目人間だからというのはガオーンに寄り添い過ぎての言葉で、本当はその前に一緒に駆けっこした仲だからと脳内補完してる。

そんな介人が一緒にゲームを全力全開で楽しみ、良い勝負だったと互いを認め合って「強敵」と書いて「とも」と呼ぶかのような握手交わした相手を倒す展開はキツいなって。

だからバラシタラに倒された時は、悲しいけどホッとした。

 

ワルドという怪人は他の世界を犠牲にして成り立ってる。だから、この世界だけでなく他の世界の解放も標榜するゼンカイジャーは、ワルドが何も悪い事をしてなくても、たとえどんなに良い奴でも、その存在を許してはならない。

下手すると、あのまま楽しい時間をもっともっと共有した後で、いつかは介人たちがバカンスワルドを倒さなければならなかった。

なのでバラシタラが倒してくれて実は助かった面もある。というか、今回は介人をそこまで追い込まないために、バラシタラが一度は成功した侵略を「自分より先にバカンスを楽しんだから」というみみっちい理由でぶち壊すパワハラ上司の役割を担ったのかなと。

 

「トジルギアは並行世界を閉じ込めた物。ワルドとダイワルドを倒してギアを破壊すればその世界を救える」

という仕組みを知った時から、ゼンカイジャーというヒーローにとって、自分たちの世界を守るだけでなく閉じ込められた他の並行世界を解放することも旗印となった。

そのためワルドは問答無用で倒すべき敵という見方が固定され、そこに疑問を挟む余地はなくなったのではと思う。ステイシーに対してなら(もしかしたらバラシタラにも)和解出来る余地があるのでは?と思えてしまう介人であっても、ワルドに対してはそんなことは考えたこともなかったかもしれない。

でも今回、強制的にバカンスワルドと交流し楽しく遊んだことで、恐らくワルドも含めた<トジテンドの人たち>と仲良くなれたらいいのにという気持ちを持ってしまった。

それはゼンカイジャーというヒーローとしての行動原理に現時点では反するものなんだけど、介人がそこを意識しているようには見えない。でも私は責められないな。

介人は自分たちがこれまで助けた世界やそこに住む人々を一度も見たこともなく、当然交流した事も無い。

そういう存在を実感出来ない人々への共感や想像力だけでここまで20ものトピアを解放してきたことを、私は凄いなと思っている。だからいつの間にか介人たちの並行世界解放への意識がどこか形骸化してしまう時期があっても無理はないと思った。

私自身、見終わった直後には「バカンスワルドもジェラシットみたいに生き残れなかったのかなあ?」と残念に思ってあれこれ考えているうちに「あ、ワルドが倒されない限り解放されない並行世界があるんだった。ダメなんじゃん・・・」と思い出してやるせなくなったくらい。

 

今回が、介人にトジテンドとの共存への希望を意識させるターニングポイントになるのか、もっと言えばワルドという存在に対するジレンマに直面する序章になるのか、それとも単なる1エピソードとして通り過ぎるだけなのかは気になるところ。

ただもし最終的にトジテンドとの和解がなったとしても、ワルドだけはワルドのまま生き残ることはたぶん許されない。たとえバラシタラやイジルデですら改心して共存出来たとしても。

ワルドは、共生をテーマにしたゼンカイジャーの物語にあっても絶対に共存が許されない存在なんだな。そう思うと今回みたいな回は、面白うてやがて悲しく切ない。

 

ちなみに生き残りルートに乗れたゲスト怪人て誰がいたっけって思い返したら、ジェラシット以外に思い浮かんだのがヤツデンワニ(汗)。どちらも荒川戦隊の浦沢脚本回(大汗)だと思うと、生き残りに必要なのは良い奴かどうかとか戦隊メンバーと心を通わすことができたかとか、そういうものとは別の強烈な何かなんだろなと、見えないハードルの高さを感じて複雑な気持ちになった。

ゼンカイジャー23話感想: 光属性の覚悟、闇属性の覚悟

前回ラストに登場したバトルシーザーロボ2世はゼンカイジュウオーに善戦して戦いは長引き、夜までもつれ込む。

介人は「ステイシー、タイム!休憩!」と言って合体解除し人間の姿に戻る。こんな時も介人らしい、まるで一緒に遊んでる友達に対するような緩い言葉使いだけど、もしここでステイシーが聞く耳持たずにロボで攻撃してきたら全滅しかねなかった場面でヒヤッとした。

だけどステイシーも「どういうことだ?まだ決着はついてないぞ?」と苛立ちながらも攻撃をやめ、理由を聞く。こちらも根っこは甘いというか青臭い。

介人は、「また明日、俺とお前、1対1でやり直そう」と言い、ステイシーもあっさり受けて撤退。

そんな介人をゾックスが無言で睨み付けていて、OP。この引きで、今回はゾックスと介人2人のドラマも期待してた・・・んだけどな。

 

ガオーンが痛みに泣き叫びながら治療を受けてる病院の待合室で、介人はステイシーとの戦いに「ちょっとずつ色々、迷っちゃって」と赤青桃に打ち明ける。ヤツデさんに会いに来るステイシーを見ていたら、もしかしたら仲良くなれるかもって思ったりしてしまった。

この、ちょっとでも共感ポイントを見いだせば分かり合えるのではって思っちゃう所は、つくづく彼の最大の美点で弱点。あのバラシタラにさえ親の情を見てホッとしちゃうとか、もし戦場でバラシタラがステイシーを庇って見せたりしたら、それだけで攻撃出来なくなっちゃうんじゃ?くらいの危うさがあって怖いよ。

だけどすかさずジュランが、ステイシーが仲良くなりたかったのはぶっちゃけヤツデさんだけだった、とシビアに突きつける。介人はそれも薄々わかっている。けど、年長者として敢えて言葉にし、身を滅ぼしかねない甘い希望を打ち砕くのが頼もしい。

 

敵の本拠地であるカラフルを攻撃するでもなく、敵の家族でもあるヤツデさんと仲良くなりたいのはなぜか。その疑問に介人は以前、ステイシーが言っていた言葉を思い出す。介人の両親も攫われたのなら、今頃は自分の母のように棄てられて野垂れ死んでいるかもなと。

シリアスな回想場面なんだけど、世界中を廻って体中お土産だらけになった介人のトンチキな姿が緊張感を削ぐ(笑)。

 

介人の迷いは合体していたゾックスもしっかり感じていて、冒頭で睨んでいた理由はそれ。今のままの介人なら痛快に戦えないので自分が参戦する価値はないとまで見切ってる。「俺、明日は行かねえよ」と言った途端シリアスな空気と不穏なBGMになるから、行かないことでピンチになるのかとか、どんなドラマがあってその気持ちが変わるのかとか、期待しちゃったんだけどね・・・。

 

思い悩んで眠れず家族の写真を見ていた介人は、ヤツデからサトシが「ここに来るのは最後だ」と言っていたことを聞く。ヤツデさんも「なんかあったのかい?」と、孫の<友達>を心配気していて、こういう夜皆が眠ってからのヤツデさんと介人のやりとりは、いつも沁みる。

「サトシはさ、・・・ヤッちゃんのこと、自分の母親に重ねてたのかもしれないな」

介人は教科書に乗ってるような知識には人一倍疎いけど、こういう人を見通す洞察力は凄い。他人の言うことをいちいち誠実に真剣に受け止めているからかな。ただなんというか、香村さんが書くとキャラにお馬鹿の皮を被せても地頭の良さが滲み出ちゃう、っていう感じもする。

 

散歩と言いつつ店のすぐ外に腰掛けて空を仰いでいる介人に

「イケてるお兄ぃさん。よかったらお食事ご一緒しませんか?」と、あくまで落ち着いた声でおどけて見せるジュランがイケメン過ぎる。介人の深刻な気持ちをそっと和らげて、キカイノイドがやってるラーメン屋台へ。

介人を倒すことはヤツデを悲しませることになる。それはステイシー自身と同じ目に合わせること。それでもいいのかとステイシーに聞いた方がいいのでは?と言うジュラン。

でも介人は「俺からは言えないよ。俺に言われるのが一番嫌だと思うし、なんか狡いし」と、この期に及んでもステイシーの気持ちを慮る。良い子過ぎる。「狡い」というのは、ステイシーのヤツデへの気持ちに付け込んで優位な立場に立とうとするように思えるんだろうな。ステイシーがゾックスの家族への気持ちを利用したことにあれだけ怒った介人は、自分自身にもそういうことは許さないんだね。

ステイシーは全部分かっていて覚悟決めてきたんだと、介人もこの時点ではもう全部わかっている。ただ、ジュランと話すことで頭と気持ちの整理がちゃんとついたって感じかな。誰かに聞いて貰えるだけでいい。

このあたりは、スシワルド回以来久々の、ジュランの真骨頂って感じ。まだ若い介人への精神的なケアに関しては盤石だ。

ただ、私なら夜中のラーメンは絶対翌日まで残って決闘に響くんで無理だから、若いっていいなと思ってしまった(汗)。

 

翌日、吹っ切れた介人は、ヤツデと話す時間をくれたことに礼を言い、ステイシーの覚悟も全力全開で受け止める覚悟をしたと告げる。

ステイシーは「そういう所が嫌いなんだ」と言って変身する。

介人のそういう真っ直ぐに相手を見て、敵の気持ち、もしかしたら配慮だったかもしれない可能性もきちんと受け止められる覚悟は、両親の失踪後にヤツデさんの大きな愛に見守られて培われた光属性ならでは。

カラフルに何度も通った後なら、それが嫌と言うほど分かる。介人が生まれた時から与えられていたものを、自分は異世界でやっと見つけたのも束の間、手放さなければならない。そう考えたら余計に憎らしく腹立たしいかもしれないとは思った。

 

しばらく1対1で戦うも互角で埒があかないと見るや早々に偽物戦隊を繰り出すステイシー(汗)。ゾックスは楽勝だったことを思うと、やっぱり純粋な戦闘力はゾックスの方が介人より上か。

1対1の勝負だからと手を出さず見守っていたジュランたちが卑怯だと抗議すると「ダークセンタイギアは僕の武器だ!全部利用する!」とちょっと焦ったように言い訳するステイシー(笑)。

ああ、そうだった。ここんとこヤツデさんとの交流がメインだったから、店の片付けを手伝うとかおやつ食べてニコニコとか、ステイシーのナイーブな好青年むしろ少年的な部分がアピールされて好感度荒稼ぎしていたけど、敵としては結構残念な部類だったっけな・・・。ガルザさんが仲間だと手招きしてる気がする。

それを見て我慢出来なくなったジュランたちも参戦。「仲間ってのは最大の武器だからな!」は、そんなもの生まれてこの方持ったことのないステイシーにはキツいなあ。

ジュランたちは偽物たちを引き受け、ステイシーには手を出さないからこれでまた1対1の勝負。と思いきや、だったらとまた偽物戦隊を繰り出すステイシー。さっきがオーレンジャーで、今度がシンケンジャー

どっちもゾックスの弟たちの力だな、と思ってたらゾックス本人も空から降臨。介人の覚悟が決まったみたいだからと凄くあっさり参戦を宣言する。夏服の、裾の長いベストのヒラヒラが、踊ると軽やかに翻って映えるな~、と感心した。

ただうーん、冒頭とかで言った通り介人とゾックスのドラマも何かしら期待してたから、ジュランとのやりとりを優先したのはわかるんだけど、ちょっと拍子抜け。

香村さんて思わせぶりに布石を置くけど結局特に目立った波風立たずに終わっちゃうことが時々あるのは気になる。ルパパトだと魁利の圭一郎への拗れた気持ちが起こす事件を期待したり、コグレさんに黒い思惑があるのか期待したりしたけど、結局肩透かしみたいな。その結果ノエルの見せ方にそのあたりのしわ寄せが行きがちでキツかったから、今回もちょっとナーバスになっちゃう(汗)。

 

ゾックスがシンケンジャーを引き受けて、まだ1対1にはならずともこれでやっと勝負らしい勝負になるか・・・と思ったら、今度はバトルシーザーロボ2世を呼び出すステイシー。

介人との勝負に拘るわりに1対多やロボで優位に立とうとするのは、それだけ介人が嫌いで絶対倒したいんだろうし、ヤツデさんも諦めたからには卑怯でも何がなんでもこの場で決着をつけるという決意は固い。それが彼の覚悟。周りに人がいない者、闇属性を背負った者の覚悟って感じもする。

とは思うものの、やっぱり敵として今回の見せ方はちょっと残念だよステイシー(涙)。決戦回で盛り沢山な販促ノルマを消化するために必要な展開なんだけどね。

まあ根はそこまで卑劣な奴ではないのもわかり、まだ後にヤツデさん関係、特に五色田夫妻絡みで挽回可能だからってことかもだけど。

 

介人もスーパー化&巨大化で立ち向かうけど、前日にセンタイジュウオーと互角にやり合った相手との戦力差は、根性だけでは埋まらず押され気味。

ガオーンはダメージが回復していないから巨大化できないので、ジュランが単体で巨大化し、介人と合体してスーパーゼンカイオーに。

・・・うーん、ロボ同士でこんな組み換えもできますよと劇中で示すのは良いけど、マジブルーンは問題なく行ける状態だったのに今回「も」見てるだけだったのは正直苦しいな。

2体合体は当初は組み換え出来るし楽しくて良いなと思ったけど、思ったよりもジュラマジーンとガオブルーンの出番がなく、ブルマジーンも行けるのにジュガオーンだけが戦うケースが何度かあるのを見ると、販促の都合を感じてしまってもどかしい。

過去戦隊のような5体合体かキカイノイド全員での4体合体ならガオーンがダメだと合体出来ないのは分かるんだけど・・・と思うと、この2体合体は、ロボが増えるに従ってネックになっちゃってるのかもなと思ってしまった。

 

偽物戦隊との戦いはガオーンがゾックスからギアを借り、オーレンジャーにはオーレンジャーシンケンジャーにはシンケンジャーのフォームとギアで偽物戦隊を撃破する。

介人もジュランも抜きで、ゾックスとキカイノイドの協力関係があっさり成立している。そうなるだけの積み重ねはあったと納得してるけど、もうちょっとマイルストーンらしい何かがあっても良かったかも、という欲もある。

もしかしたら、ジュランとゾックスのドラマがもう一幕あるのかなと期待したり、でも前回さらっとダブル変身やっちゃってるから、あまり期待するのはやめとこうかな、と思ったり。

 

一方ロボ戦の方はイジルデがクダイテストを出現させ、空中のスーパーゼンカイオーの足を不意打ちで捕捉。

そこでまずはSDゾックスがツーカイオーと合体化してスーパーツーカイオーに。1号ロボと追加戦士ロボとのスーパー合体がない代わりに、ゼンカイジュウオーのパーツをそれぞれ1号ロボや追加戦士ロボと組み合わせてスーパー化するって感じかな。

新しい試みかとワクワクする一方で、もう1号ロボと追加戦士ロボを両方買って貰ってスーパー合体出来るご家庭は少なくなってるってことだろうか、と寂しい気もする。今年は特にまたシンカリオンの攻勢を受けてるから、尚更厳しいと警戒したのかもだけど。

スーパーツーカイオーはあっさりクダイテストを撃破し強さをアピール。

一方スーパーゼンカイオーは空中からの格好いい攻撃も見せたものの、2世からの攻撃を受けて合体解除となり、ジュランは戦線離脱。

・・・またごめん。スーパーゼンカイオーをアピールしたいなら、初登場で負けさせるのはちょっとなあ・・・と。ルパパトでパトカイザーが発売日翌日に、苦戦の挙げ句グッテイによる強制解除させられた見せ方がその後の販売不振に繋がったのでは?って説を思い出して微妙な気持ちになった。今月頭のバンナム決算が厳しかったので余計に、ついそういう見方になってしまう。

 

ここでゾックスが「俺を使え!」とゼンカイジュウオーに合体。

昨日と今日の差は介人の覚悟→気合の差、ということか、今回はいきなりの必殺技の打ち合いでゼンカイ側が勝り、あっさりバトルシーザーロボ2世を撃破。ステイシーは再びの敗戦で、操縦席に乗ったまま殉職コースでもおかしくないレベルの大爆発。

 

喜んで駆け寄る仲間と労り合う介人を見て満足げに笑うゾックスは、やっぱり利害を超えた大事な仲間と思い始めているように見える。けど、決戦回なのでやっぱり個人的にはもうちょっとドラマが欲しかったところかも。

介人はブルーンに背負われながら撃破したステイシーのことを思って顔を曇らせるのは彼らしく、きめ細かく配慮されてるなと思う。

そのステイシーはボロボロな姿で河原に倒れていて、そこに舞い降りるゲゲ。次の場面ではステイシーはイジルデの研究室に運ばれていた。

イジルデは2世の敗北を見届けた時に自分のロボではなく操縦者のせいにし、もう用済みと見限っていたけれど、それを助けろと。

この場面、ゲゲは言葉を発せず、不気味な笑い声を上げるだけで、イジルデが「ボッコワウス様の命令か?」とゲゲの言いたいことを先回りする形でカバー。

辛うじてそれで成立しないこともないけど、最初の笑い声は壊れかけてるような違和感もあって、声優さんの事情で仕方ないけど本当ならゲゲがどんな風にイジルデを脅した、もしくは丸め込んだのかは気になってしまう。

でもそんな気持ちは次の瞬間吹っ飛んだ。

「こいつはただのキカイノイドじゃないから面倒なんだ」と言いながらイジルデは五色田夫妻の画像を映し出し、「どちらにしようかな?」と動かした指が美都子の方で止まると床下から現れたのは眠ったままの美都子本人!

え、彼女をどうするの?とゾッとした不穏すぎる場面で続く。・・・からのバカンス全開な予告という温度差で自律神経がやられそうになった(笑)。

 

人間である美都子の肉体をパーツとして使うのならこの先絶望しかない。けど優れた科学者としてのの技術力や知識を使うなら、生きて動く彼女をステイシーが目撃したり、修復の過程でヤツデさんが渡したカラフルのおやつ券を彼女が見る可能性もあって、こっちは希望がいっぱい。だから絶対に後者希望だな。

 

仲間同士気遣い合い助け合うゼンカイチームと家族同士協力しあう界賊一家を見た後に、所属組織からコマ扱いしかされず自身も誰も信頼していないステイシーを見ると、ならトジデントなんかとっとと見限って味方になればいいのにともどかしくなる。

夜中の屋台でジュランと語り合って介人の迷いが吹っ切れるの見ると、次はガオーンがステイシーと屋台に並んでくれと思う。異世界で見つけた大好きな物を全力で愛す代わりに同族を否定してた以前のガオーンが見れば、生まれやら同族やら何やらに縛られて諦めようとしてるステイシーなんて人生損してるようにしか見えないだろうからドンと背中を押してやってほしいな、とか。

 

なおそんなステイシーの肉親バラシタラは今回、息子に対して「まさか怖じ気づいたんじゃないだろうな?」と煽るだけ。敗北して死にかけてる息子を見たらどうしていたかは、私もバラシタラには親の情を見たい気持ちがあるので気になる。

 

海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE 感想というか覚え書き(長文)

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

199ヒーローの感想からだいぶ開いてしまったけれど、こちらもポイント毎に当時の記憶やら何やらも織り交ぜながら。

 

■時系列

ギガントホースに皇帝とダイランドーとインサーンがいて、ダマラスもザツリグもいない。

→43話でダマラスが倒された後

サリーが生きている

→46話より前

で、ここから更に絞り込むとすると、推測込みになるけど、バトルフィーバーJの大いなる力を貰う前だったら、バトルケニア曙四郎が現れた時にはいくらギャバンの一大事であっても誰かが「大いなる力をくれ」という話をしたはずだと思う(特に一件落着後)ので44話より後。

また45~46話はニンジャマンがガレオンに同居しており、彼からカクレンジャーの大いなる力を貰ってぐずぐずせずに47話でバスコと対峙したのではと思うので、45話より前。

つまり、44話と45話の間と思われる。46話の感想記事にも書いたけれど、ザンギャックは44話でクリスマスにビバブーを倒されてから46話でジュジュを派遣するまで少なくとも2週間は影を潜めていた。

それは本星からの増援を待っているからという理由に説得力は感じていたものの、実はその間にこんな大作戦決行があったんだ、と思うとより納得出来る。

 

宇宙刑事ギャバン

私は未見。初めて今作を見た時は、想像以上に銀色にピカピカ光っていて驚いた(技術の進歩で当時よりキラキラした素材を使えるようになったとのこと)。

で、容赦なく強い。買い出しに行っていた鎧を除く海賊5人を1人で圧倒していきなり逮捕に成功してしまう。強さではギャバン>>>ゴーカイジャーであるとバッチリ印象付けたのは、こういうVSでは珍しいこともあって驚いた。「銀色の輝きは伊達じゃないぜえ」がハッタリでもなんでもない。

ギャバンは30年前の作品で一乗寺烈も相応に年を重ねているけれど、未だ現役バリバリだった。演じる大葉さんも当時御年56歳ながら殴る蹴る跳ぶといったアクションのキレが別格で、流石と言うしかない。

 

■狂気の沙汰かと

ゴーカイジャーは色々な無茶を突破していった作品だけど、当時個人的に一番無茶だろと思ったのがこれだった。狂気の沙汰かと。

なんせ30年前の作品とのクロスオーバー。公式発表された直後でさえ、本当にやるのか?ネタじゃないのか?って信じきれなかったり心配したりする声がネットに上がったくらい。

それを真正面から堂々とこれ以上なく本気で取り組んで、大人も子供も楽しめ熱くも切なくもなれる作品を作り出した。商業的にも尺や公開時期等の違う199ヒーローを除けばVS映画史上最高興業収入という大成功。更には後のギャバン単独映画製作やクロスオーバー作品へのギャバン登場にまで繋げたのは、お見事だと思う。

 

■銀河連邦警察in宇宙警察

デカレンジャーが属するのは宇宙警察。

ギャバンが属するのは銀河連邦警察。

で、後にこの2作が直接クロスオーバーした「スペース・スクワッド」では、銀河連邦警察は宇宙警察の中の組織犯罪対策部門という位置付けらしい。今作でも、ギャバンも「宇宙警察」という言葉を使っている。

海賊たちが逮捕されたのは海賊行為のため。でも彼らの容疑は同じ宇宙警察のデカレンジャーの調査で濡れ衣だとわかっていたはずなのに、という抗議がアイムからされていて、それをギャバンは問答無用で押し切っているのが理不尽。

この逮捕は宇宙警察総裁ウィーバルの命令によるもので、ギャバンは実はウィーバル総裁を疑っていて、正体を暴こうとしていた。

ぶっちゃけ海賊たちはウィーバルをおびき出す餌として一方的に襲われ無実の罪で逮捕されたわけで、ギャバンが間一髪で拘束を解かなければ銃殺されていたんだよな(汗)。そう考えると「巻き込んで済まなかった」では済まないレベルの被害だろと思う。

だけど、宇宙警察のトップが乗っ取られるという一大事さはわかるからか、「なるほど」で済ませるマベ。命知らずな冒険好きというのもあって、こういう「迷惑」にはわりと寛大だな。ドモンに騙されてただ働きさせられたと誤解した時の方が、よほど怒りが激しい(笑)。

 

■アシュラーダ

ウィーバル総裁の正体は実はザンギャックの魔空監獄獄長アシュラーダ。ギャバンに滅ぼされた宇宙犯罪組織マクーの首領ドン・ホラーの血を引いていて、自分の血を滾らせることで魔空空間を発生拡大し地球を飲み込もうと狙う。

彼が化けたウィーバル総裁は人間体を佐野史郎さんが、殆ど表情を崩さないながら爬虫類みたいなねっとりした冷血さを表現していて、出番は短いものの印象的。

恐らく本物は拉致されたか、気の毒だけど殺されているんだろう。とすると、怪人体の声は別の人があててもおかしくなかったけど、そのまま演じている。「ビームで撃たれた声を出すのは初めて」と仰ってた(笑)とのことで、特撮に縁が薄ければ普通そうだよね、と微笑ましかった。

 

■恩人かもしれない

ギャバンの「よろしく勇気だ!」という言葉がマベの子供時代の記憶を呼び覚ます。他4人がモバイレーツで変身する中、マベだけがギャバンを呆然と見つめたままで、BGMのみの無音&スローモーションによる演出が、なぜマベがそうなったのか説明はまだなくても、ドラマチックで切なげで興味を引きつける。

 

10年前にまだ子供だったマベを助けてくれた命の恩人がギャバンかもしれない。というかマベには子供の頃の朧気な記憶でも、視聴者からすれば回想の恩人は服装といい声といい思いっきりギャバン

実際に30年前の番組だったからこそ、今も現役で戦っている彼なら宇宙で通りすがった子供をこんな風に助けていたこともあったろう、と説得があり、この出会いがすんなり受け入れられた。

マベの子供時代を、2010年に「龍馬伝」で龍馬の幼少期を演じ注目されたばかりの濱田龍臣さん(後にウルトラヒーローに!)が演じていて、愛らしい。早くに親を失って独りで船から船、星から星へと放浪していたのかな?

誰にも頼れずにいた期間が長かったことが、実はマベが兄貴分的な人にグイグイ来られると弱い一因かもしれないとちょっと思った。

 

■バスコとサリー

まだ普通に仲が良い(涙)。コミカルな場面もあって笑うんだけど、2人の結末が思い浮かんでしまうと・・・(涙)みたいな複雑な気持ち。

この映画の公開は2012年1月21日で、その翌日放送された47話でバスコはサリーを爆殺してるから、それを見た直後に映画を見た人たちは、もっと情緒が大変だったかもしれないなと思う。

 

■そっくりさん×2

ギャバンがマクー監獄に囚われていると知って漂う深刻な空気が、パンダを連れたバトルケニア曙四郎とあんパンの屋台を引いたデンジブルー青梅大五郎がやって来て、あっという間にコミカルモードに切り替わる。

2人とも大葉健二さんがギャバン役の前に演じた戦士で、合成によって同じ画面での共演が実現した。

ゴーカイジャーという作品の売りの1つはレジェンド俳優の出演。199ヒーローではメインのゴセイジャー以外にも10名以上のレジェンドが素顔で登場している。

ただし今回は下手にレジェンド俳優を出演させるとVSギャバンという大事な主題が呆けてしまう可能性もあったと思う。

でもレジェンドの中に大葉さんが演じた戦士が2人もいた。彼らを登場させることでレジェンドゲスト枠を埋めながら、ギャバン役の大葉さんもより強くフューチャー出来るという一石二鳥の布陣。というわけでまさかの大葉健二さん大集合が実現してしまった(笑)。

しかもマクー空間に行くには彼らのレンジャーキーの力を使うよう教えるという役割も与えることで、単なる顔合わせに留まっていないのが手堅いよ。なぜ彼らのキーにマクー空間へのゲートを開く力があるのかは分からないけど、顔がギャバンと同じだからと思うとなんとなく納得しちゃうような、いやそんなことないような(笑)。

なお顔が同じ件については海賊5人が当然一斉に驚く中、鎧だけが「言われてみれば似てるかな?でも全然違います」みたいなスタンスなのも、スーパー戦隊を熟知するマニアならではと理由付けつつ清々しいほど強引に押し切っていて好き(笑)。

 

特命戦隊ゴーバスターズ

バスコがギャバンの情報を教えたのは、海賊たちがマクー空間に行った隙に空っぽのガレオンを乗っ取り宇宙最大のお宝探しに必要な全てを奪おうとしたから。実際、47話ではサリーを犠牲にしてまんまとそれを成功させている。今回も邪魔が入らなければそうなっていたはずで、それを阻止したのがゴーバスターズ。

戦隊のVSは劇場公開になったシンケンジャーVSゴーオンジャーからジュウオウジャーVSニンニンジャーまで、劇中に次の新戦隊が先行登場して活躍する。前年のゴセイジャーVSシンケンジャーではゴーカイジャーが本編では生き延びた骨のシタリを人知れずド派手に葬ってしまった(笑)。

今回は3人で強敵バスコを翻弄して足止めし、サリーを餌で釣って戦意をそいで反撃の体制をとらせず撤退させていて、ゴーバスターズの只者ではない強さをしっかりアピールしつつバスコの株も下げない良いバランスだと思う。また、先日感想を書いたゼンカイジャーの劇場版を見た後だとつくづく、サリーはバスコの株を下げずにヒーローを立たせられる便利な存在でもあるんだなと改めて。

 

バスコは大いなる力を全部揃える必要性からスーパー戦隊ゴーカイジャー含め35ということを頭に叩き込んでいる。そんな彼に未知なる36番目のスーパー戦隊をぶつけたことで、大いなる力に興味のないザンギャックの誰かにぶつけるよりも驚きと拒絶反応を強く出せて良かったと思う。

また同時に見ているこちらにも、スーパー戦隊の集大成的なお祭り作品の後にもこうして新たなスーパー戦隊が続いていくんだよ、というメッセージは余計に強く伝わったかもしれない。

 

■豪華な囚人たち

マクー監獄に収監されていたレジェンド怪人や敵幹部たちの競演も嬉しい。

まずジェラシット。なぜかちゃぶ台を持ち込んでお茶飲んでいて、もうここで笑ってしまう。確かクリスマス決戦の時に成功した温泉宿経営者として宇宙週刊誌?に取り上げられてたけど、それがザンギャックの知るところとなり裏切り者として投獄されたのか、それとも記事自体というかあの雑誌ごとハカセの捏造だったのかは分からない。どちらにしても、身重の体?で子供の父親と引き離されたおばちゃんに同情。但し話は聞きたくないのは海賊たちに全力で同意する(笑)。

そして牢屋には他にも

ヤツデンワニ(アバレンジャー)、バンキュリア(マジレンジャー)、幻のゲッコウ様&風のシズカ(ボウケンジャー)、バエ(ゲキレンジャー)、三大臣(ゴーオンジャー)

という、なんとも豪華な生き残り改心?組がひしめいていた。

いや厳密には三大臣はもう本編でお亡くなりになっていて今作では頭に死者の証として白い三角巾付けてるんだけど、これ、同じ中澤監督のシンケンジャーVSゴーオンジャーで、三途の川から引き上げられて作戦に加担しろと言われたのを嫌がり逃げおおせた設定を引き継いでいる。

東映公式によると、シンケンスタッフが三大臣の扱いについてゴーオンスタッフにアドバイスを求めたところ「出した方がいいけど殺しちゃ駄目」と言われて頭を抱えた結果、そういう扱いにしたとのこと。

死者が渡る三途の川を敵の本拠地とするシンケンジャーの設定が奇跡のように上手くハマっての復活から、こうして他のお祭り作品でも生き残り改心組にしれっと混ざって再登場させてもらえたのは、3人が大好きなので有り難く、中澤監督GJ!

一癖も二癖も愛嬌もある囚人たちが、嫌がる海賊たちを捕まえてわいわいガヤガヤやってるのが、もう何言ってるかわからないけど楽しい。中澤監督監督によるとミキサーの人がひたすら頭抱えていたらしいけど(笑)。

 

■スニークブラザーズ再び

騒ぎを聞きつけたゴーミンたちをまずジョーと鎧が引き受けて、他メンバーもドアの先に広がる魔空空間で立ちはだかる怪人を「ここは俺に任せて先へ行け」を発動して次々に引き受け、マベを先に行かせる。

8話で強烈なインパクトを残したスニークブラザーズが兄弟ではなく兄妹として再登場。妹がどう見ても弟に雑にスカートはかせただけなのを萌え声で押し切ってるし、兄がやたら大量発生していて煩い(笑)。

ここでハカセが「ここは僕とルカでなんとかする!」とルカを道連れにし、ルカが「は?私も?・・・ま、いいか」となるのが、これも荒川さん曰く(ハカセとルカのカップル化への)既成事実積み上げってやつかとニヤニヤする。

 

■ヒリヒリする戦闘

やっとギャバンが拘束されている場所まで辿り着いたマベの前に、ギャバンブートレグが立ちはだかる。

ゴーカイジャーを1人で圧倒したギャバンの力を模したブートレグの方が実力でマベに勝るのは明らかだし、展開的にも後にギャバンとの一騎討ちが控えるブートレグをマベ1人で倒させるわけにはいかない。

でも狭い監獄の段差や渡された柱など構造を利用して粘り食らい付く戦闘が、ヒリヒリするような緊張感を醸し出していて見応えある。

それでもとうとう変身解除させられ、もはやこれまでかと思わせたその時、戦闘中に跳ね飛ばされた自分とブートレグの剣に向けて銃を発射。その跳弾がギャバンの拘束具を破壊する。狙いすました逆転劇が滅茶苦茶格好いい。

マベが「飛べ!」と促し、爆発の炎を背にギャバンが飛び降りる姿が、スローモーションでマベのあの記憶と立場を入れ替えて重なる。ハッとするマベの視線から、ギャバンを受け止めた感触であの時の恩人と確信し、微笑む流れに、初めて見た時はちょっと涙出た。

 

■ド派手な脱出

ギャバンの拘束は解いたものの、どうやって目の前のブートレグを振り切り他の場所で戦闘中の皆と共に脱獄するのか。初めて見た時にはかなりの難題に思えて、見当もつかなかった。

でもマベが足元を円形に撃ち抜き、それと呼応するように他メンバーもそれぞれの場所で足元の地面を円形に撃ちぬくと、マベの場所を最上階にして一本のトンネルとして貫かれる。

他の5人が次々飛び込み、マベもギャバンを伴って飛び降りて皆と合流。更にガレオンバスターをそのトンネルめがけて発射すると、最上階まで一気に殲滅(笑)。

どうやってそこが他メンバーの作る穴の真下(真上)だとわかるんだよとか、なんで合図ないのにタイミングばっちりなんだよとか、ツッコミが追いつかないけど細けえことはどうでも良くなる、いかにも海賊らしい荒っぽくも小気味良い連携プレー。痛快過ぎて、初めて見た時にはテンション上がって笑ってしまった。

「ド派手に脱獄だ」と笑うマベが上に伸ばした手に、最上階まで包む炎の中から落ちて来た彼のサーベルがスポッと収まり、当然のようにクルクル回しながら歩き出すと同時に青緑がレンジャーキーでゲートを発生させ、悠々と脱獄する姿が、ひたすら格好よすぎる。

ゴーカイジャーVSギャバンは、戦力的にはギャバンゴーカイジャー5人より上だと早々に印象付け、だけど囚われたギャバンゴーカイジャーがこんなにも格好よく助けるという形でバランスをとったんだな。

 

■緩急

中澤監督は劇場版では今作の次に仮面ライダーウィザードの夏映画を撮っているけれど、その時に「戦隊から続けて見る小さなお子さんが退屈して泣き出したりしないようにしたい」みたいな意味のことを仰っていたのが印象的だった。実際、劇場ではわりと定期的に子供たちの笑い声が聞こえていて、最後まで楽しめてるなと思った記憶。

今作も戦隊ライダー同時上映の夏映画ではないものの、本編よりは長い1時間物なので、やっぱり緊迫(シリアス)→緩和(コミカル)→緊迫(シリアス)→緩和(コミカル)を小刻みに繰り返していて、小さなお子さんにも配慮してるんだなと感じる。

 

■変身プロセス

元の世界に戻ってきたゴーカイジャーギャバンをアシュラーダが追ってきて、戦闘開始。

ギャバンが変身すると

宇宙刑事ギャバンは戦闘の際、コンバットスーツを蒸着するタイムは僅か0.05秒にすぎない。では、蒸着プロセスをもう一度見てみよう!」

というナレーションとスローモーションでの振り返りが入ったのは、ギャバン本編のオマージュとのこと。これを拾ってくれたことに感激するブログ記事をいくつも読んだけど、今作全編、知れば知るほどギャバンの小ネタに向けた荒川さんの熱意というか執念が素晴らしい。

なお合わせてゴーカイジャーの変身プロセスも改めて紹介されたけど、こちらは0.1ミリ秒。

単位を揃えると0.0001秒でいいのかな?単位をミリに変えてることで敢えてちょっと差をわかりにくくしている感じだけど、30年前のシステムよりは、その後も毎年ずっと入れ替わり立ち替わり登場し続けたスーパー戦隊を引き継ぐゴーカイジャーのシステムの方が進化して時短化されているのが当然てことかな。

 

■オールピンク

ピンクは戦隊では明確に女子専用の色だからオールピンクはないのかなと思っていたら、ここで登場。ただしマベやジョーがピンク戦士として長く戦うのはイメージに合わないからか一瞬で終わってしまって、個人的にはもうちょっと一人一人ちゃんと見たかったと残念(笑)。

そう言えばルカ過去回のオールイエローやクリスマス決戦回のオールグリーンみたいに、41話のアイムの敵討ち回にはオールピンクという選択肢もあったのかもと一瞬思ったけど、いやあのゴーカイチェンジつるべ打ちの方を選んでくれて良かった(汗)。

なお、男子のピンク戦士は後にトッキュウジャーの乗り換えで登場し、その後にルパパトでパトレン3号が一時男性化している。・・・どちらも宇都宮戦隊そしてトッキュウジャーは中澤監督がメイン監督でルパパトの性転換回も中澤監督だそう言えば(笑)。

 

オールピンクの後は、これも本編ではなかったオールホワイト、それから最後はやっぱりオールレッド。オールレッドはゴセイVSシンケンや本編2話でも5人verを披露済みだけど、鎧が加わっても追加戦士枠にタイムファイヤーがいるから上手くハマったなと思った。

 

■巨大戦でも最後は

ブートレグギャバンが倒し、アシュラーダもゴーカイジャーに一度は倒されたけど、ドン・ホラーの魔空空間が拡大して巨大化。

ギャバンにもドルギランという龍の首が印象的なデザインのメカがあって、上にカンゼンゴーカイオーを乗せる形でタッグを組み戦うのが格好いい。冒頭の銃撃戦でもガレオンに攻撃力でひけをとらないのが描写されてる分、味方になるとより頼もしさが増す。

そんで最後はギャバン、それからマベも龍頭に立って、レーザーブレードとファイナルウェーブで直接アシュラーダを撃破。巨大敵が相手でも最後は直接ギャバンがトドメを刺すというスタイルにマベが乗っかる形で、30年の時を超え新旧ヒーローが並び立った瞬間だな。感慨深い。

なお巨大アシュラーダは切り取ったビルを操りゴーカイオーを襲わせていて、今見返すとこれに赤目がついていたらゼンカイジャーのダイコピーワルドの世界じゃね?とちょっと思ってしまった(苦笑)。

 

■疑似親子

ギャバン本編には、ギャバンがマクーに捕らえられていた父親を救い出すという重要エピソードがあるとのこと。それをこの映画では、早くに親を亡くしたらしいマベが、子供の時に助けてくれたギャバンを成長してから救出するという形でなぞっている。

ギャバンがマベの原点だという仲間からの台詞。昔助けた子供が今は自分の背を追い越し立派な男になって未来を掴み取ったことを父親のように喜ぶギャバン。その言葉をじんわり噛み締めるマベ。2人の関係に疑似親子的な意味合いも持たせて描いているみたい。

単なる30年前の作品とのクロスオーバーの都合と感じさせずに、ちゃんとドラマとして丁寧に繊細に紡がれた場面だなと、尊く思う。

 

■親子で楽しめる

「大きくなったなあ。立派な男になった」

当時、子供を連れて見に来ていて、このギャバンの台詞に泣いてしまったというお父さんのブログ記事を読んだ記憶がある。子供の頃にギャバンを見て憧れていた世代で、まるで大人になった自分にかけられた言葉のように思えてしまったとか。

舞台挨拶等で語られたこの映画の狙いとして、お父さんは子供の頃に見たギャバン、現役のお子さんはゴーカイジャーと、親子2世代で楽しめるように作ったという意味の言葉があったけれど、本当にそれを誠実に真摯に実現させたんだなと脱帽する。また逆にギャバンを知らなかった子供やゴーカイジャーを見ていなかった父親にも、それぞれの良さをアピールすることもきっと出来たはず。

 

■かつての子供たちへ

再び曙四郎と青梅大五郎が登場し、今度は同じ画面に3人の大葉健二さんが並び立った(笑)。

青梅大五郎が曙四郎に敬語、マベに対して疑似父モードだったギャバン一乗寺烈が、2人に対してはしっかり従順な後輩モードな所に、制作順による絶対的な年功序列を感じる(笑)。そう言えばドゥギーも199ヒーローでアカレンジャーやビッグワンに敬語だったっけ。スーパー戦隊はきっと体育会系。

最後の三者同時変身は、「宇宙刑事シャイダー」の最終回に、ギャバンシャリバンシャイダーが天の声に促されて同時変身したオマージュらしい。

撮影した中澤監督はこの部分の脚本を見て「何ですかこれ?」から始まって、理解してから「これはいるんですか?」みたいな感じだったとか(笑)。でもかつての子供たちへのメッセージという意味で撮ってよかったんだろうと納得されていて、確かに当時、この展開に大興奮してEDテーマソングの記憶がとんだとか、ここまで拾ってくれるのかとダダ泣きしたとか、こちらも物凄い熱量で書かれたブログ記事を幾つも読んだ記憶がある。3作品とも見てない私もこの場面には、何がなんだかわからないけど凄いことが起こっているのだけはわかって圧倒され、凄く高揚した気持ちになった。今作、スーパー戦隊のレジェンド戦士は俳優としては実質大葉健二さんだけしか出演していないんだけど、大満足。

 

■<今>の子供たちへ

そのまま夕日に照らされての別れに続くのが、EDテーマソングの爽快感とちょっと切ない余韻が混ざり合って最高だった。私は白状すると劇場では見られなくて、一度レンタルで見た後にやっぱりこの余韻を手元に置きたくて買ったんだっけ。

その後で本編を見直すと、最終回でマベが子供たちに別れを告げる手の形は、ギャバンの「よろしく勇気」だったんだなとわかった。子供の頃にギャバンから未来を掴み取れと示されたポーズを、成長したマベが今度は地球の子供たちにそっと贈る。そんなさりげない継承の意味が込められていたんだな。周回遅れだけど、それがわかると尚更、あの場面が尊く思えてきた記憶。

ゼンカイジャー22話感想: 異世界に大事な物を見つけた時に

冒頭、空手の猛者にラグビー選手というガタイと突進力の強そうな人たちを次々に頭に角の生えた<闘牛>にしてしまうトウギュウワルド。

駆け付けたゼンカイジャーが物凄く久しぶりに真っ当な5人名乗りで、これまでがこれまでだったから意表を突かれてちょっと残念な気持ちにさえなってしまった(笑)。この後の展開を考えると、5人の気持ちが本当の意味で1つになった回だからきちんと名乗りをさせたかったけど、その時には約1名戦闘不能になってるからその前にここでやるしかなかった、みたいな感じかなと勘繰ってみたり。

トウギュウワルドは<牛>にされた人に指定した色を襲わせる能力があり、赤:ジュラン→白:ゼンカイザー→青:ブルーンと順番に襲われ、一般人を傷付けるわけにいかず今回も厄介な能力。

介人はセンタイジュウギアを呼ぶもなぜか来なくて、トウギュウワルドを倒せず逆に遙か遠くまで吹っ飛ばれてしまった。

 

ガオーンは、料理にいたずらしようとしたセンタイジュウギアを追いかけ回したら店の外に逃げてしまったことを思い出し「家出しちゃったかも」と告げていて、ジュランは機械の体を嫌うガオーンがまた酷い仕打ちをしたのではと責める。

回想見る限り今回のガオーンに非はなくて可哀想。だけど、彼が以前ステイシーをジュランたちから守って妨害してしまったことへのわだかまりが、ジュランの中で埋み火みたいに燻っていて、今回着火しちゃったのかな。あの時はジュランたちが折れて許す形だったから余計に。

ガオーンも、「やったのが人間の子供でも同じことをしたか?機械だからじゃねえのか!?」と問い詰められると自信がない。猫じゃらしでくすぐられた時を思い返すに、たぶん叱るにしてももっと声に愛がダダ漏れしてたのでは?とは私も思うからなあ。

ジュランがガオーンの胸倉を掴んでいるのを見て、急いで「手だけ離そう」と間に入る介人。安易にどちらかを否定しない。その後「ガオーン、あのさ、」と何を言いかけたのかはわからないけど、口調からしてそれでも嗜める言葉をかけようとはしていたんだろうか。

 

トジデントではバラシタラが今回の作戦を説明。ゲゲが口をパクパクしてるけど台詞はボッコワウスが話している場面は、ゲゲの声優さんがスキャンダルから体調不良による活動休止を公表した影響だろうか。ゲゲの台詞をボッコワウスに振り分けた?そんな目で見ると、心持ち今回のボッコワウスが物わかり良くなってるように感じて、大きな影響があるシーンではないはずだけど複雑な気持ち。

 

バラシタラの説明がボッコワウスにすんなり受け入れられ、話が征服後のことにも及んでいることに苛立つイジルデは「ステイシーの奴ぅ、一体何をやっている!」

→カラフルサンデーを美味しく頂いてました(笑)。食べながら頬が緩んでいて、サンデー自体も本当に美味しく気に入ってるっぽいのが他愛なくて可愛い。

 

一方モヤモヤしたままセンタイジュウギアを捜すジュランは、オープンカフェでカキ氷食べてる界賊一家に遭遇。

「よう赤いの」とゾックスは名前こそ呼ばないものの向ける目線がなんか柔らかくなっていて、「機嫌悪いな、なんかあったのか」と一応様子を気にかけているのかな?彼は介人を面白いと気に入って、前回も友情を示したと思っているけれど、ジュランたちをどう思っているかはまだそんなにクローズアップされていないから気になるところ。

トウギュウワルドの話を聞いてゾックスが向かった後、ジュランはフリントにセンタイジュウギアについて「家出するなんて聞いてねえぞ」と若干八つ当たりっぽくクレームを付ける。

でもフリントは「そんなこと出来るレベルの人工知能ついてねえもん」と一蹴。実際、ゴミ集積場のネットに引っかかってもがいていた。可愛い(笑)。

「こりゃ俺、やっちまったかぁ?」と頭をかいて呟くジュランが良いな。時には頭に血が上って早とちりもするけど自分の方が悪いとすぐに客観視出来て、でもこういう行き違いはわりと誰にでもある事と「誰にでも」に自分も含めて受け入れているっぽい。やっちまったことに焦りはするものの、変に自責しすぎたり狼狽えすぎたりせず対応しようとするのが感じ取れて、根っこの部分で頼もしいおっちゃんだと思う。

 

一方ガオーンは全力全開で反省中で、若さもあって「こんな僕」と簡単に自己評価が下がる。公園で、子供たちが人間もキカイノイドもなく気遣い合いながら仲良く遊んでいるのを目にして、思い出すのはキカイノイドに対して冷たく当たる自分の料理を、屈託なく思い切り褒めてくれる仲間たち。

もうジュランたちが良い奴らなのはわかっていて、キカイノイドの体を理由に嫌う気持ちは解けている。それをはっきり行動に移して過去の自分と決別する時が来たんだと決心し、キカイノイドの子供に人間の子供にするのと同じように目線を合わせて優しくボールを手渡して挙げる姿が象徴的。予告で見た時から楽しみな場面だったけど期待に違わず。

ガオーンに料理上手な設定を振り分けたのが本当に効いている。これがあるからキカイノイドの仲間との完全な断絶にはならず繋がりを保てていて、皆のご飯を作って褒められるのを繰り返すことで距離が縮まっていくことにも説得力が出てるなと改めて。

 

セッちゃんはステイシーの正体を知っているから警戒心全開で見張っていて、ヤツデさんを巡る2人の睨み合いが可愛い(笑)。

何にも知らないヤツデさんは、セッちゃんを作った息子夫婦の話を始める。この話し方が、そんなに重い話されても困るよねって気を配りつつも、内容が深刻で辛くてちょっとでも手掛かりが欲しい気持ちがどうしても滲み出ちゃう感じ。実際にこういう話し方間の取り方を見たことがあるので、リアリティを感じて切ない。

そのやりとりを店の外で聞いていた介人。ステイシーが初めて店に来た時から、ヤツデさんへの気持ちをだいたい正しく把握して、大事な祖母に近づく敵だと排除するどころか温かく受け入れ、奢ってさえいる。

一度はゾックスの気持ちにつけ込んで利用したことを怒り敵として撃退したけど、何か共感ポイントがあればそれを切り捨てられずに分かり合える希望を持ってしまうのかな。あのバラシタラにさえ親の情にホッとしてしまうのを見ても、ここは介人の美点でもあり危うい弱点でもあるような。

 

<牛>を率いるトウギュウワルドと遭遇した青桃からの連絡を受けて介人はまたステイシーを放置して駆け出し、それを知ったステイシーも現場に向かおうとする。

ヤツデさんが元気に「またおいでね!」と声をかけると

「今日が・・・最後かもしれません」と思い詰めた様子で告げるステイシー。

ヤツデさんは何か事情があると察して一瞬顔を曇らせた後に笑顔を作り、おやつ券を握らせてもう一度「またおいでね」とだけ言う。さっきの「またおいでね」とは違う包むような笑顔と声の優しさと、それに辛うじて頷くステイシーの表情に、何度見てもうるっと来てしまう。

ステイシーがヤツデさんの事情をしっかり把握したことは絶対に今後の展開に繋がると思うので、これが今生の別れになるはずはない、と思っても切ない。

以前、センタイジュウギア開発へのステイシーの貢献を誰1人知らないのがもどかしくて、カラフルサンデー1ヶ月無料パスポートあげてよと思ったけど、ヤツデさんはそんな事情なんか知らなくてもおやつ券をあげて、いつでも来てねと添えた。ホント八手観音すぎるなと思う。でもステイシーが彼女の大事な孫を倒す=殺すと心に決めていると知ったら、優しい観音様のままでいられるだろうか。

 

トウギュウワルドの元には先にゾックスとジュランが駆けつけるも、ジュランマジーヌブルーンが<牛>にされてしまい、他の<牛>と一緒にゾックスを標的に。でもジュランから事前に事情を聞いていたゾックスがギンガマンのギアを使うと、皆一斉にゾックスに懐いた(笑)。

ゾックスが<牛>に取り囲まれて「よーしよーし」とあやす異様な光景の中、「黒騎士は牛に懐かれるっチュウ」と、さも事実であるかのように堂々と解説するセッちゃん(汗)。

黒騎士のパートナー星獣が牛モチーフだからって「五色田博士夫妻(またはフリント)は黒騎士を牛に懐かれる奴だとイメージしてこの能力を付与した」と、全てを彼らの解釈力イメージ力のせいにしてトンデモな能力をしれっと付与する香村さんが狡い(笑)。ゴーカイジャーギンガマン回を同じ黒騎士にフューチャーしつつ感動的なエピソードに仕上げたのと同じ人が書いたとは思えない(褒めてる)。

でも頭に角つけたごつい男たちに恍惚の表情でまとわりつかれるという酷い絵面状態(汗)にゾックスが長く耐えられるわけもなく、うんざりして振り払うと一転、<牛>たちが再び襲いかかる。ゾックスはギアの力が切れたかって言ってたけど傍目には邪険にされて怒ったようにしか見えない(笑)。

 

遅れて駆けつけた介人はその光景を見て「早くトウギュウワルドを倒さないと、ゾックスが皆を傷付けちゃう」と焦る。「一般人に配慮しないゾックス」を否定せず黙認しちゃってる辛さだな。

こんなにいろんな考え方を一概に否定せずに受け入れて、なんとか皆が良い形になるように頑張るのは偉いし、そんな介人だから皆が盛り立てようとするのは分かる。けど、いつかキャパオーバーにならないの?身動きとれなくなったりしないの?って危なっかしくも感じてしまうな。

 

同じく遅れて駆けつけたガオーンもその状況を把握。そんでトウギュウワルドを挑発し、わざと自分を<牛>の標的にさせる。ガオーンの狙いは、自分が<牛>を全部引き受けて

・その間に介人とゾックスにトウギュウワルドを倒してもらう

・ジュランたちがゾックスに傷付けられることから守る

こと。だけど更には後に判明するけど

・これまで自分が冷たくしてきた仲間から攻撃される形で罰を受ける

という自分なりのケジメの意味もあったことに驚いて、泣けた。今回は本当、うるっとくる場面がつるべ打ちで、渡辺監督にまんまと転がされてる。

ガオーンの声は「進撃の巨人」のエレン他で大活躍中の梶裕貴さんだけど、若々しいちょっと未熟さや不安定さのある青少年の叫びがビシッとハマって凄く魅力的で、なぜこの役に起用されたのか、節目節目で改めて納得させられる。

 

ガオーンの捨て身の覚悟を見た介人が一か八かセンタイジュウギアを呼ぶと、今度はフリントの言葉通りネットを脱出して駆け付けた。ゾックスと揃ってスーパー化すると、一気に撃破。

結局センタイジュウギアの家出騒動は、ギアがいなくなったことや戻って来たことには何のドラマ性もなかったのはちょっと意外で、そんなレベルじゃないとはっきり言われてしまったこともギアにはちょっと可哀想だけど新鮮だった。考えてみると、どうもマスコットロボが家出するという戦隊恒例エピソードに慣れすぎていたせいかもしれない(笑)。

けどジュランの早とちりをきっかけにガオーンが自分を見つめ直し、ジュランたちを心から仲間として認められるようになった。雨降って地固まる。

前回、介人が偽物だと分かっていても撃てなかったガオーンを見て、気持ち分かるけどあなたオニゴッコワルドの時は鬼にされた本物ブルーンを容赦なく撃ってましたよね?って突っこんだんだけど、今のガオーンはもうブルーンの事もきっと撃てなくなってる。というか本当は意識してないだけでもっと前から撃てなくなってたのかも。

 

そんな感動的なやりとりの間、「話は終わったか?」とずっと待っていてくれたクダイテストさんが優しい(笑)。というかイジルデやバラシタラも銃の取り扱い説明の間とか待っていてくれたから、組織としてのカラーか。

そして日本の闘牛は黒毛和牛だからという豆知識を振りかざして世界を焼肉全開にするダイトウギュウワルド(笑)。ゼンカイジャー屈指の感動的なドラマの後で、巨大な灼熱の焼き網の上で繰り広げられる、敵の攻撃を換気口で吸い込んで無効化し牛タンで拘束する悪側と、牛タンを「悪くない」と食いちぎって打開する正義側の戦いが、ひたすら頭おかしい(笑)。

それでもまだデビュー2戦目のセンタイジュウオーの勝利。と思ったら、今度はステイシーがバトルシーザーロボ2世を召喚し、ゼンカイジュウオーに挑む。強化された2世にゼンカイジュウオーが圧され気味で、ゾックスは闘志増し増しだけど介人は・・・?ってところで続く。終わってみれば前後編だった。

 

今回はガオーンの成長やステイシーとヤツデさんとの交流にうるっと来たり狂った巨大バトルに笑ったりと、凄く見応えあった。

特に、異世界で見つけた好きなものを全力で愛する反面、同種族を躊躇なく否定してしまっていた過去の自分に決別し、仲間のキカイノイドたちのために体を張ってみせたガオーンのドラマは、ゼンカイジャーという物語の中でも1つの節目になったのではと思う。

一方で、同じく異世界に大事な人を見つけたのに、所属する世界のしがらみやそこで培われてしまったマイナス感情に囚われて諦めようとしてるステイシーを見ていると、過去のガオーンの爪の垢でも煎じて飲めばいいのにと思ってしまってもどかしい。

あと、介人がジュランもガオーンも責めずに「手だけ放そう」と取りなしたり、ヤツデさんがステイシーに余計な詮索をせず「またおいでね」とおやつ券を渡したりとか、いつにも増してキャラたちのその場での身の処し方や言葉の使い方が絶妙で、そのたびにキャラの好感度が上がるんだけど、それって結局は脚本の香村さんの会話センスやバランス感覚が凄いって話になるんだよな、と改めて。

ゼンカイジャー21話感想: 人間だってロボにする!ゼンカイジュウオー誕生

ゼンカイザーに続いてツーカイザーまでパワーアップしたことで、トジテンドではフリントの脅威を再認識。前回ゾックスへの報復に攫おうとした作戦はかすりもしなかったけど、こうやってほぼ全員が忌々しさを共有したってことは、いずれガチでフリントがピンチになる回は来そうな予感。

 

今回の怪人はコピーワルド。人間でも何でも、見た目はそっくりで性格は凶悪なコピーを作り出せる。で、またもOP前にゼンカイザーとツーカイザーがまんまとコピーされて悪い偽物が作られてしまい、いつもながら展開の早さ全開。

ちゃんと変身解除して介人とゾックスにそっくりな姿にもなれ、装備もコピーされた時に持っていれば再現されて戦力的に全く互角、むしろ本物が押され気味なのが厄介だな。

こんな時もまずは性善説全開の介人が「一緒にトジテンド倒そうよ~」と説得にかかったのは、らしくて笑った。

 

介人とゾックスの偽物たちは早速銀行強盗や宝石強盗など次々に悪事を働き、あの世界だと2人はヒーローで有名人だからその犯罪行為がニュースでも流れて、ヤツデさんは大ショック。

「介人は馬鹿だよ」と何度もすげえ馬鹿言いつつ、でもこんなことはしないと、実際に家族が冤罪で逮捕されたら狼狽えてこうなるよな、って言動の描写がリアル。加えて例の家族写真のカットを入れることで、悪事に使われた武器が行方不明の息子夫婦の作というダメージも拍車をかけてるのが、わかりやすくて手堅いな。

 

悪事描写は、13話のサンバに続いて加藤監督ノリノリ。東映公式が

゙まさか台本の「その他の悪行」という一文がこうなるとは……゙

とびっくりしていたけど、ルパン三世(緑ジャケット&赤ジャケット)にキャッツアイ(レオタード)のパロディとかホントやりたい放題(笑)。

 

そんな極悪全開な偽物兄貴の所業を見てもただ面白がってるだけのフリントと双子は、行為自体は別の世界で自分たちもやってきたから抵抗ないのかなと思われて、やっぱり根は「賊」な奴らなんだな。

一方、ゾックスが不機嫌なのは無理もないとしても、単に自分の姿で好き勝手されてるのが気に入らないのか、それとも他にも理由があるのか。

 

一方、介人は警察に逮捕されて取り調べ中。逮捕後も偽物の悪行は続いていて濡れ衣は晴れたも同然だし、他にも同じような偽物たちが滅茶苦茶暴れていて、これはもういつものトジテンドの仕業だろうっていうのは現場の刑事はわかっている。そもそも悪い方の介人なら大人しく逮捕されたりしないだろうしね。

取り調べの刑事はそれでも、本物の介人を冤罪から守る意味もあってもう暫くここにいて欲しいと詫びる。介人と刑事が互いに相手の大変さを労い合うのが気持ち良くて、和んだ。

刑事を演じているのはゼンカイザーのスーツアクター高田さん。高田さんと警察と言えばパトレン1号のスーツアクターが真っ先に思い浮かぶけれど、個人的には

 

ゴーカイジャー

警察署にやって来た手配書まんまの海賊に慌てふためく下っ端署員

ルパパト

地域の平和を守り圭一郎の進路を決定付けた優しく強い正義のお巡りさん

ゼンカイジャー

現場を指揮し理不尽承知でヒーローを逮捕しつつその苦労を温かく労う酸いも甘いも噛みわけた刑事

 

と、この10年に見る「俳優」高田さんの警察官としての成長も味わい深いよ。

 

でもそんな和やかな空気を破り、ゾックスが歌いながら扉をぶち抜いて乗り込んで来る。

成長してもやっぱり海賊にびっくりさせられる高田さん(笑)。まああの状況じゃ仕方ないけど、それでもわりと冷静さを保っているように見えるからやっぱり成長してるんだよな。

ゾックスは、介人の手錠を撃ち抜いて外すと拉致。警察署を一部破壊する乱暴なやり方に怒り、何故だと問いただす介人に

「俺は俺の格好で勝手なことされるの、許せないんだよねえ。だから、自分の手でケリをつける。お前もその気なら、連れてってやってもいいぜ」といつにも増して真剣な表情のゾックス。

「俺も絶対倒したい。偽物でもなんでも、母ちゃん父ちゃんが作った物使って、酷いことしたんだ。絶対許せない」と、介人も一番引っかかるところはヤツデさんと同じ。両親の作った装備を悪事に使われることが何より許せない。

それを聞いてゾックスは唇の端だけで笑う。

今回のゾックスを見た感じ、確証はないけど「自分の格好で勝手なことされるの」と同じかそれ以上に、介人と同じ姿で彼が絶対やらない悪事を働いて心労を与え、無実の罪で逮捕させたことが許せなかったのでは?と思ったりする。だから警察署を破壊して脱走という介人には絶対に出来ない乱暴なやり方で現状打破し、その上で介人の意思を確認したのかもと。

今回、この2人は偽物たちの方が最初から仲良くツーカーな相棒って感じだけど、本物の方も介人は元から全方位友好的なのに対し、これまで家族だけが大事だっただろうゾックスにも、介人への彼なりの友情がより強く芽生えてるように見えて。

 

一方ジュランたちは偽物の介人ゾックスを発見し銃を構えるけど、アイラインびっちりの顔でも「俺だよ、介人だよ!」と哀願されると撃てずに返り討ち。それを嘲笑う偽物介人の演技がノリノリで駒木根さん凄く楽しそう(笑)。2人ともアイラインがキツいから余計に悪い表情が強調されて怖い。

「偽物だってわかっていても、撃てないよお!」と嘆くガオーンに、うんそうだよなと共感しつつ、でもあなたオニゴッコワルドの時は操られている本物ブルーンを容赦なく撃ってましたよね・・・と頭をよぎってしまった(笑)。

 

そこに本物2人が立ち塞がり、敵も味方も一斉に変身。名乗りも本物偽物入り乱れて、つくづく意地でもまともな全員名乗りをする気ないんだな(笑)。「秘密のコピー」とかもはや意味不明だし、「海賊のコピー」は元々ツーカイザー自体がゴーカイジャーのパクリなんだと思うとじわじわ来る。

そんで「5人揃って」をやろうとした介人がちらっと自分を見て戸惑い皆を呼ぶのを見て、俺はお呼びじゃないよねハイハイどうぞと空気読んでその場を離れるゾックス(笑)。

 

コピーワルドVSジュランたち。コピーワルドがまた4人をコピーしようとすると、ぬぬぬマジーヌ→「トナーを交換して下さい」に意表突かれた(笑)。

香村さんの脚本は、たびたびヒーローやその周辺の人達のリアルな等身大感にフィクションの垣根を超えて身につまされたりするのが魅力の一つ。ではあるんだけどまさか敵怪人から、ここぞという切迫した局面でコピー機のトナー交換を突きつけられる社畜の焦燥や小さな絶望まで追体験させられるとは思わなかった(汗)。

トナーの予備なんか持って来てないと焦る隙に超電子バイオマンの力で電子回路を狂わせて厄介なコピー能力を完封。って、今回は戦隊ギアの使い方がごく真っ当なんだけど、ジェットマンのアレの後だとちょっと大人しく思えてしまうのは困りものだ(汗)。

 

介人&ゾックスVSコピーズ。冒頭とは違い変身後の偽物は目が赤くなって見分けやすくなった。実力はやっぱり互角。

けど、「呼ぶと来る」センタイジュウギアはスキャンした時には不在だったからコピー出来ておらず、スーパー化だけは真似出来ない、というのはギアの特性を活かしてるな。そんで本物と同じ強さの偽物をパワーアップ形態で倒す、という見せ方が上手い。

ジュランたちの方も同時にコピーワルドを撃破して、センタイジュウギアの販促から外れた他メンバーの活躍も確保されていて、良かったというかほっとした。

 

続いて登場したダイコピーワルドが周囲の建造物を次々コピーすると、邪悪な赤い目のついた悪いビルや悪い歩道橋が誕生(笑)。ミサイルを発射するビル、巻き付く歩道橋とか、明らかに本物にはあり得ない攻撃力でゼンカイオー2体が戸惑った隙に偽物ゼンカイオーも作り出し、劣勢になった本物は早々に敗北。・・・やっぱりこうなるよね(涙)。

するとフリントがセンタイジュウギアを使えと指示。介人が使うと巨大化、続いてゾックスが使うと小さくデフォルメ化し、合体して恐竜メカのようなセンタイジュウオーに!

・・・初めてゼンカイオーを見た時、キカイノイドでなく人間がメンバーでも同じように巨大ロボ化したのか気になってたけど、センタイジュウオーにその答を見た気がする。ゾックスのギアはフリントのパクリによるイレギュラーなんだけど、元々介人が恐竜メカ変形する仕様で、それにゾックスがくっつくために「デザインの都合」でああなったのかなと。

そして他メンバーを巨大合体ロボにして息子に操縦させる仕様に息子とまだ見ぬ息子の仲間とに対する扱いの差を感じずにはいられなかったけど、センタイジュウギアを使わなきゃって状況では実子と言えど巨大ロボにする気満々だったんだな五色田夫妻。

 

センタイジュウオーはまるでウルトラマンの怪獣みたいに、いやそれ以上の容赦なさで悪い建造物たちをド派手に破壊し、大迫力(笑)。街を破壊とか確かに普通の戦隊ロボには中々出来ない見せ方で、ワクワクした。

その勢いのまま偽物ゼンカイオーも2体まとめて撃破。これ、センタイジュウオーがその気になれば本物のジュランたちももこうやってあっさり倒せる=殺せるってことだよな、と思うとちょっとヒヤリとする。

残るダイコピーワルドもセンタイジュウオーをコピーする隙もなくスキャナを破壊されて、必殺技はゼンカイザーとツーカイザーが分離状態で同時に繰り出し、コピーワルドに続いてダイコピーワルドも違法コピーの注意喚起(笑)と共に爆殺。

 

敗北を見届けたイジルデの元に呼び出されたステイシー。新たな武器を授けると言われてちょっと俯く。

イジルデの新たな作戦の始動は、以前の「ステイシー」にとっては大嫌いな介人をこの手で倒し念願の父親超えを果たすチャンスになってたはずだけど、今の「サトシ」にとっては優しい笑顔とおやつをくれる母に似た人との決別を意味している、と思うと切ない。けど彼が何を選んでどう動くか、前にも増して楽しみになってきた。

 

平和な街を取り戻し、介人が協力してくれたゾックスに礼を言うと「俺は俺の面子を守っただけさ」とそっけない。でもなんとなくツンデレ味は感じる。

ゾックスの偽物は本物とあまり変わらなかったと言われ「俺は元々、海賊だぜ」と笑うゾックスが去った後、5人はそう言えば初対面で海賊行為をされたと思い出す。

東映公式によれば

゙ゾックスが普段とあんまり違わないのは、香村先生曰く

「彼は普段は子ども番組の皮を被っているだけで本当は……」とのこと。゙

だそうで(汗)。偽物たちがやらかした数々の悪行は、介人との決闘に負けてなければ本物ゾックスのありえた現在かもしれない。そう思うと介人グッジョブだけど、あの時点でまともに戦って介人が勝てたかというと怪しいから、決闘を中断させるほどの大混乱をもたらした挙げ句「柏の葉をもぎ取られたらただのモチワルド」という謎理論でゾックスに負けを認めさせたカシワモチワルドの功績大だな。

ただ介人は「世界荒らさないって約束してて良かった~!」と言ったけど、今のゾックスなら約束がなくても介人を困らせる事はしないかもなって気もするよ。

上で書いたようにゾックスにも介人へのより強い友情が芽生えたのなら、そのタイミングで2人の合体ロボが誕生したことになるのかもと思うと、ちょっと感慨深い。

 

東映公式によれば、元々は初登場の怪獣型ロボに思い切り街を破壊させたい→なら悪いビルを出そう(笑)って発想からスタートして、悪い偽物を作り出すコピーワルドが誕生したみたいだけど、介人とゾックスの偽物回にもすることで、同等の強さを持つ偽物を倒せる強化体をアピールすると共に、新ロボに活躍を奪われるキカイノイドたちにコピーワルドを倒す見せ場を確保し、ゾックスから介人への友情チラ見せも盛り込もうっていうやりくりをされたのなら、パズルみたいでスタッフさん頑張ってるな、といつもながら感心してしまう。

機界戦隊ゼンカイジャー THE MOVIE 赤い戦い!オール戦隊大集会‼ 感想(ネタバレあり)

円盤買ってやっと見られたので、とりとめなくポイント毎に感想とか。

 

■時系列

白倉Pによると、本編5・6話と7・8話の間くらいとのこと。4話でブルーンが加入して初期メンバーが出揃いある程度一緒に活動した後、かつステイシーが本格登場する7・8話の前ってことか。

ステイシーが7話で暗黒ギアを使ってアカレンジャーたちレジェンドを出した時に、ゼンカイジャーが初対面ではなく先輩扱いしていたのはこの劇場版で遭遇済みだったから、ということで納得。

キラメイジャーのエピソード0は本編の前日談だったけど、1話ずつメンバーが増えていくゼンカイジャーではこの時系列で良かったと思う。

 

■強者感

冒頭のトジテンドの侵略描写からそこに立ちはだかるゼンカイジャー登場の見せ方が、声援を送られて調子に乗るらしさはあるものの、普通に強者感満載のちゃんとしたヒーローで格好良い。

考えてみれば公開当時はこれが初披露なんだから補正があって当たり前なんだけど、本編で20話もゼンカイ脳ぶりを見た後だとなんか違和感というか、「盛ってるな」感が凄い(笑)。

 

■ピザすき焼き

本編14話のラストで界賊一家を招いてパーティしたときに出された料理。

この劇場版を踏まえて実現したらしいという情報はちらほらネット上で目にしていたけど、実際に見たら何度もしっかり名前が出されていたのに驚いた。

五色田家に元々あったメニューではなく、

今夜はパーティーですき焼きだ→パーティーにはピザだろ→だったら合体してピザすき焼きだ!

という介人とジュランの会話から実現していたってことで、孫の思い付きをホイホイ実現させるヤツデさん凄い。まあガオーンが介人愛から全面協力したのは予想に難くないけど。

メタ的には料理研究家リュウジさんという方が

東映さんの無茶ぶりに応えたらとんでもなくウマい料理が爆誕しました」

と2月の劇場版公開直後に料理を公開しているので、劇場版脚本に登場したピザすき焼きという料理を東映からリュウジさんに頼んで実現させ、後に本編にも登場させた、という流れみたい。

ピザすき焼きへの情熱が凄いけど、このピザとすき焼きという全く異質な料理を組み合わせて生まれた新しい料理は、もしかしたら人間とキカイノイドという異種族が力を合わせることで互いを補い合いこの世界を守っているゼンカイジャーの象徴の1つみたいに、スタッフさんは位置付けてるのかなと思ったり思わなかったり。

 

■スーパー悪者ワルド

トジデントがこの映画のために繰り出したワルド。冒頭の戦闘でただ1人生き残ったクダックに、スーパー悪者トピアという世界を閉じ込めたギアを使って誕生。

体全体のシルエットは199ヒーローの黒十字王に似てると思うけど、体色は青を基調にしつつカラフル。歴代の悪ボスをトーテムポールみたいに寄せ集めてパーツ構成してて、劇場版ならではのデラックス感もある。どこに誰を使ってるかの解説を見たけど、たくさん過ぎてもう訳がわからない(笑)。

 

■宇都宮戦隊第三勢力

このワルドの力で過去戦隊、ゼンカイジャー世界の設定では並行世界の各戦隊の敵キャラが召喚された。ボスはワルドの体に使ってるからか、幹部級や第三勢力が多い。特に直接ゼンカイジャーたちに絡むのが

 

介人&ジュラン VS バスコ・ダ・ジョロキア&サリー

ガオーン VS ザミーゴ・デルマ

マジ—ヌ VS バングレイ

ブルーン VS 十六夜九衛門

 

と、宇都宮戦隊第三勢力率が高いのが私ホイホイで嬉しい。

人間体のあるバスコとザミーゴにはキャラを踏まえた台詞も多くて、特に「温かく柔らかい」人間ちゅわんを愛するガオーンと、人間の皮を被った氷の怪人ザミーゴとのかみ合わない会話が面白かった。もしかしたら本編を見てガオーンの人間愛を知った後だから余計にハラハラして見られたかも。

 

捕らえられた介人たちの前に勢揃いした怪人たちの中にはシュバルツ様、ダマラスさんにデストラさんとか好きな顔触れもいて心が踊ったけど、そんな幹部級たちに混じってなぜか野球仮面もいて、選考基準が一気にわからなくなった(笑)。ただまあ知名度なら確かに野球仮面はゴレンジャー屈指の有名怪人だからってことかなあ。

 

■まさかの汗(汗)

キカイノイドも汗かくんだ。しかもしゅぴしゅぴ飛沫が飛ぶんだ(汗)。

中年男性もとい「イケおじ(本人基準)」ジュランの汗という、人間だとあまり想像したくないちょっと生々しい描写を最初にガオーンの駄目出しで印象付けたことが、まさか逆転の布石だとは思わなかった(笑)。

このあたり時々こちらの皮膚感覚を刺激しつつそれを堂々とパズルのピースにしてくる香村さんらしい。

介人がヒーローとしての挫けない覚悟を格好よく叫び「結果出すまで全力全開だーっ!」と決め台詞と共にシリアス全開でグワッと立ち上がろうとすると、まき散らされた汗のためツルっと縛られていた鎖から抜けられて、敵も味方も「え(汗)?」とフリーズし静寂の中吹き抜ける風の音、という間の取り方緩急の付け方はいかにも中澤監督らしい(笑)。

そしてワルドや野球仮面に混じってダマラス様に「シェー!」のポーズをさせるな(笑)。

 

■財布からギア

自由になった介人は隙を突いてサリーが持っていた自分のギアトリンガーを取り戻す。

今回バスコはサリーとワンセットで召喚されたんだけど、ペットながら強いサリーがいることで介人とジュランがバスコ1人に負けるという、主人公とキカイノイドの主軸キャラの格を下げる形にはならず、でもペットだからちょっとだけバスコの別格感は出せている。また変身前の介人にギアトリンガーを奪い返される役をバスコに振らずに済んで彼の格を下げることを防いでもいて、サリーの存在を上手く使ったなあと思う。

じゃあなぜ介人とジュランをワンセットにしたのかと言うと、介人が子供の頃に両親から貰った宝物であり逆転の切り札になった「赤いセンタイギア」を財布にしまっているのを、ジュランに前もって目撃させる形で紹介しておきたかったのかな。

介人のギアはバスコが持ったままで、銃だけ奪い返しても変身出来ない。それを把握している敵から「銃ひとつで何が出来るワルモノ!」と言われた時に、介人がきりっと「何かは出来る!」と返すのが好き。

厳しい状況の中でも可能性を信じて自分の出来ることをする。ゴーカイジャーハカセがダマラスに言った「出来ることが出来るんだ!」を思い出した。

介人は財布を放り投げ、小銭と一緒に飛び出したギアがギアトリンガーにピタッと収まるのが格好よく決まって、こういう外連味ある見せ方も中澤監督らしい。

介人が銃を放つと赤い旋風が巻き起こり怪人たちを蹴散らすと、全レジェンド戦隊のレッド全員が召喚されて、ゼンカイジャー5人の装備を怪人たちから奪還した。

 

■継承

取り戻した装備をゼンカイジャーに返すのは

ティラノレンジャー→ジュラン

ガオレッド→ガオーン

マジレッド→マジー

ボウケンレッド→ブルーン

そして

アカレンジャー→ゼンカイザー

と、それぞれモチーフになった戦隊のレッドたち。

「ここは君たちの世界だ。奴らを倒せるかは、君たちの力にかかっている」という言葉と共に1人ずつ装備を手渡す形で、改めてヒーローとしての継承を行っている。ゼンカイジャーというヒーローの物語の始まりに重みを与えてくれてるみたいで、ぐっときた。

 

■「お前、赤じゃないのか」

介人が変身したゼンカイザーの姿を見てアカレンジャーが「何?!」と真剣に驚いてるから何事かと思ったら、その後に続いた言葉(笑)。まあレッドが戦隊の主人公を務める作品が40年以上延々と続けばそうなるか。確かに私も最初にゼンカイザーを見た時は驚いたし、ちょっと違和感というか伝統が途切れる寂しさも感じた。

でも本編を20話も見た後だと、「そうか、そんなに驚くことだったのか」と一瞬思ってしまったから、慣れって怖い。

戦隊レッド全員集合にセッちゃんが大興奮。喉の血管が切れるんじゃ?と心配する勢いで息継ぎもなく順番に絶叫紹介していくから大丈夫かこれ?と思ったらだんだん倍速がエスカレートし、ボウケンジャー以降は「以下略!」で済ませちゃったけど、正直ちょっとホッとした(笑)。

 

■炎使い

スーパー悪者ワルドが歴代のボスの力を使い優位に戦いを進めようとするのを、ブルーンの車体化、マジーヌの魔法、ガオーンの爪、とキカイノイドたちの特性を活かして打開してくのがテンポ良い。

だけど、暗闇→ジュランの炎で「ぶっちゃけ意味ねーから!」は、間の取り方がさっきの汗の時に似ていて、ジュランは若干オチ要員的な感じなのかなと改めて。

で、そう言えばジュランは本編だとジシャクワルドの時に「俺、炎使えたんだった」みたいなこと言ってて、私もそれまで炎使いの印象がなったから「?」だったけど、ここでがっつり使ってたんだな。

そんでそういう特性を持たない介人はひたすら根性で押し切り、「ちょ待てよ!ただの根性って」と視聴者からのツッコミをジュランに代弁させるの狡い(褒めてる)。

 

■海城剛

ワルドはゼンカイジャーが、召喚された怪人たちはレジェンドたちが倒して、一件落着。

レジェンドを代表してアカレンジャーが変身を解く。46年前に27歳で海城剛を演じた誠直也さんは今年73歳だけど、当時からも、また10年前にゴーカイジャーに出演された時からもシルエットに大きな変化は感じられない。ヒーローとしての意識や姿勢を保たれているんだな、と思った。正にレジェンド。

同時に、役者さんもヒーローを演じたことは今も大事な財産として受け止めて下さっているんだなと感慨深かった。

 

■元の世界は?

レジェンドたちが消えた後、召喚され倒された怪人たちの幻影?が空に浮かんで「お前らのお陰で、俺たちの世界もトジテンドから解放されたんだよね」と礼を言い「これからは本来の世界でバリバリ悪いこと出来るぜ」と本来の世界に戻っていく。

「もしかして俺たち、世界初?全部の悪者を世界に解き放ったスーパー戦隊になっちゃった」「やべー!」と頭を抱える5人に、セッちゃんが「まあ・・・別の世界には別のスーパー戦隊がいるから、きっと大丈夫っチュウ」と慰めて、「介人たちにはこれからもおいらたちの世界を守って欲しいっチュウ」から3月7日の番組開始告知に綺麗に繋げ、それはそれとしてピザすき焼きパーティーだと盛り上がってお終い。

 

この流れで行くと、「俺たちの世界」「本来の世界」とは各スーパー戦隊の世界で、それがスーパー悪者ワルドを倒したことで「スーパー悪者トピア」と一緒に解放されたとも受け取れて、ちょっと気になった。本編開始時点では全レジェンド戦隊の世界はトジルギアに閉じ込められている設定だけど、それが6話の後あたりで一旦解放されたことになるの?

でもその後もイジルデが暗黒ギアでレジェンド戦隊を召喚出来るシステムを作っているから、本編では解放されていないままで、劇場版のこの部分は本編とは違うパラレルなのかな?

まあでも全体的には面白かったよ。45作記念のお祭り番組のスタートに相応しくて、ちゃんと劇場で大きな画面で見られた人が羨ましい気もした。

 

ゼンカイジャー20話感想: 「映画公開記念合体スペシャル!」でスーパーツーカイザーお披露目

冒頭、トジテンドではセイバー世界の一件、オリヒメワルドの失敗の責任をバラシタラとイジルデが見苦しく押し付け合い、ボッコワウスがドスン→ぴょーん、とまとめて断罪して今日も平常運行。

これまで44戦隊世界を含む全ての並行世界は、ゼンカイジャー世界を除いてトジルギアに封印された設定だったけど、把握されていなかっただけで他にも並行世界は散らばっていた、というのは無理のない展開かな。特にトジテンドみたいな緩い組織なら。というかトジテンドの皆さんのお仕事ぶりを見れば見るほど、よくこれだけ広範囲な征服が出来たなと。

それだけトジルギアが優秀なシステムだったということか、それともトジルギアによる征服が楽過ぎてぬるま湯に浸かるうちに組織としていろいろ鈍ってしまったのかな?。セイバーの世界にトジルギアを使わなかったのは、ゼンカイジャー世界で使った時の不具合を警戒したってことで説明はつきそう。

その後ゲゲから作戦を妨害した界賊に思い知らせた方が良いとのアドバイスがあり、イジルデが、ではその家族を狙っては?といかにも悪の組織らしい卑劣な提案をした時には「今回は界賊一家のピンチのターンか」と、ちょっと覚悟した。まさかフリントも双子たちもピンチのピの字も擦らずごくごく平穏なまま終わるとは予想してなかった(笑)。

 

セイバー世界から恐らく海賊船に宙吊り状態のままでこっちの世界に戻ってきたゾックスと、その足にしがみついてきた神代兄妹。ワンダーライドブックを返す返さないで引き続き揉めている。そこに目の前で消えてしまったマジーヌを捜し回っていた介人とジュランが合流。

 

ジュランのことを「変な機械」って、言われて見れば人間とキカイノイドがごく普通に共存しているゼンカイジャーの世界は、人間だけが社会を構成している圧倒的多数のライダーや他の戦隊の世界とはかなり異質だったっけ。ゼロワンの或人が目指したヒューマギアと共存する世界に似ているようで、それともまた違うような。

 

海賊の仲間ならと一緒に粛清されそうになった所に、更にオリヒメワルドに似た姿のヒコボシワルドが墜落してきて、玲花を見るなり「織姫みっけ」とタナバスターを振るうと、玲花の姿が消えてしまう。

皆が驚く前でヒコボシワルドは他にも次々に女性を消失させ、介人ジュランが追いかけ戦っているところに凌牙が生身で乱入。いつもの冷静さを失い半狂乱でヒコボシワルドに襲いかかり、終いにはロープに絡まって相手を逃がしてしまうという、本編ではちょっと考えられないレベルの無様な姿を曝してしまう。

意外なほど早くゼンカイ世界の洗礼を受けちゃったけど、この人も妹が弱点か。妹持ちってやっぱりそうなるよね・・・と、ここ数年の戦隊の追加戦士とかマコト兄ちゃんとかが頭に浮かんでしみじみ納得。

 

凌牙も加わったカラフルでの対策会議。ヒコボシワルドの目的は織姫を探すことだとすると、攫われたマジーヌと玲花の共通点は?ってところでゾックスが「髪を後ろで束ねていた」とまたも鋭さを発揮。海賊行為で悪さしてる分、こういうところで好感度をフォローしてる感じ。

そんで、フリントも同じ髪型だと気付いた途端、不安にかられ始め、徐々に態度から余裕が消えていく演技が細かい。

凌牙がライドブックを返せと迫り、事情を知った介人も「お前だって妹がいるんだし、あの人の気持ちもわかるだろ!」と説得しようとしても、俺の妹とこいつの妹は違う、と半分自分に言い聞かせてるみたいなキツい言葉で拒絶。でも店を出ると、いてもたってもいられない様子で、急いで船に戻るんだなってわかる。

ゾックスも知らないけど、そもそもトジテンドの本来の狙いがフリントで、マジーヌも玲花もある意味とばっちりなんだよな。

 

一方攫われた女性たちはどこかの体育館みたいな場所に集められていて、その中にマジーヌと玲花の姿。

ヒコボシワルドの目的は<織姫候補を探す>って方に思い切りズレていて、イジルデに「海賊の家族がいないではないか!」と叱られてる。

それを聞いたマジーヌが「もしや、フリント狙いすか?」と口を出して存在がバレてしまい縛り上げられるも、介人たちと同じゼンカイジャーの仲間だと知った玲花がここを抜け出すために協力しようと接触

ここのマジーヌは自分でも「流石にお馬鹿すぎ・・・」と反省するくらい迂闊だったけど、彼女だけを鎖で縛って他の女性たちは拘束もせず見張りはクダックだけってのは、<仮面ライダー>がいたのは想定外としても、後に玲花が言うようにトジテンドも舐めすぎてる。どっちも安定のゼンカイクオリティだ。

 

その頃、凌牙は介人たちの女装作戦に乗っかって、いかつい体にピンクのチャイナドレスを纏い、金髪ロン毛のカツラ姿を披露していた(汗)。予告で見た時に、このセイバー屈指の堅物強面キャラの何がどうしてこうなったのかわからず唖然としてたけど、ゼンカイ男子と一緒にヒコボシワルドが狙う髪を後ろで束ねた女性に化けて誘き出そうとしてたのね。

それにしても金髪のカツラもピンクのチャイナ服も死ぬほど似合わない(汗)。顔立ちや輪郭の柔らかい介人のチアリーダー姿が異常にハマってて目に優しい綺麗な女の子になってるから余計に(汗)。

で、乗っかるだけ乗っかった後に苛立つ。まあ傍目には仲間のピンチにかこつけて女装ごっこを楽しんでいるように見えても仕方ないノリではある(笑)。

そこからのやりとりで、ほぼ初めて掘り下げられる凌牙の妹への気持ち。

そんでゼンカイ男子陣から語られるマジーヌへの信頼。「もう、ただ守られているだけの小さい子供じゃないんですわよ」って、内気な少女時代を知るジュランが言うのが特にぐっと来る。

良い場面なんだよ、メイクもばっちりな女装顔を1人ずつアップにするから絵面がひたすら酷いことになってるけど(笑)。

それらの言葉に考え直してカツラを被り直す凌牙が、本人の真面目さ真剣さを表現してるのはわかるけどじわじわくる。

 

海賊船に戻ったゾックスが切羽詰まった声で妹を捜し名前を呼ぶと、フリント本人がのんびりひょこっと顔を出す。

元々は自分が狙われたために大事件になったり兄貴がもの凄く心配したりなんて思いもよらないフリントは、新しい並行世界に行って思い付いたと、作りたてホヤホヤの新しいギアを茶目っ気たっぷりに兄貴に渡す。

このあたりのゾックスの、不安と焦りから一瞬で安堵へと移り変わる表情、自分のそれまでの心配は全部1人で飲み込んで妹には漏らさず、日頃の貢献にガラにもなくしんみり感謝するのを変だとからかわれて照れ臭がる演技が、凄く良かった。

台詞での説明がなくても、妹が無事に側にいることの有難味を心底噛み締めてるのがわかって、これならば妹を心配する凌牙への共感が増してその後の態度が変化してもおかしくないな、と思えたもの。

 

で、傍目にはこんなトンチキな女装集団なのにヒコボシワルドはまんまと引っかかり、脚本家が変わっても安定のゼンカイクオリティ。結局ヒコボシワルドはイジルデに叱られても何も変わらなかった(笑)。

飛んで来たところをジュランが「かっとばすわよー、あ・た・し!」とパラソルバットでクリーンヒット。浅沼さんもうノリノリ。

ヒコボシワルドの逃げ道をゾックスが塞ぎ、同じ妹を思う兄として凌牙にライドブックを返すと、ゼンカイ男子と凌牙が並んで変身。ゼンカイジャーはきっちりと4人名乗りをこなし、なぜ人数足りないとか不完全な状態だと綺麗に名乗れるのか(笑)。

ゼンカイ勢は凌牙にも同じノリで名乗りを強要し、戸惑ったわりにはちゃんと「俺を怒らせるな・・・!」まで付け加えるお兄様素敵。

 

1人高みの見物状態のゾックスは、さっきフリントに貰った新しいギアを気前よくゼンカイジャーに投げ渡す。元々は自分の行為が原因な部分もあるし、ゼンカイジャーの仲間のピンチに何かしてやりたい気持ちでも沸いたか、と思うのは甘すぎかな。

メタ的にはこの後パワーアップの本命が控えるゾックスより、ゼンカイジャーたちにも先に見せ場を作っておくというバランスなんだろうけど。

ジュラン: ジオウギア→未来先読み、ガオーン: ゼロワンギア→ライジングインパクト、介人: セイバーギア→火炎剣烈火でクダックたちを一掃。

ブルーンだけ何もなくて可哀想だけど「いいなあ仮面ラ~イダー!私のギアはないんですかあっ(泣)?」と全身で羨ましさ悔しさを表現していて、これはこれでおいしい(笑)。知りたがり屋のブルーンなら物理学者のビルドがマッチしそうだけど、平成のうちに終わったビルドは出さないとか3個セットで商品化とかかな?

 

ヒコボシワルドと凌牙の対戦中に、共闘して他の女性たちを解放&脱出した玲花とマジーヌも合流。もうこのあたりになると介人たちはすっかりただの野次馬モードで東映公式からも「求: 緊張感」と言われてる(笑)。

ダブルヒロインはきっちりヒコボシワルドを翻弄して、攫われたマイナスポイントを挽回。長身できりっとスタイリッシュな立ち姿の玲花と、小柄で可愛らしくコミカルな動きのマジーヌは好対照だな。

 

凌牙と玲花でトドメと行きかけた所に、ゾックスが参戦。

「来い!センタイジュウギア!」がタイムファイヤー滝沢直人の「来い!ブイレックス!」を思い出して、ちょっと切なくなる(涙)。どちらもキョウリュウモチーフ。

そんで「呼べば来るんだ」と感心する介人にほっこり。

ゾックスはギアをセットし、これまで以上にパンチが効いて難易度の上がっていそうなダンスから、直接スーパーツーカイザーに変身。

「なぜ踊る」と本日通算3回目のツッコミが凌牙から入ったけど、このダンスがある限りいくらコントでキャラ崩壊させられても「格好いい」に戻せるのは狡いなあ。

スーパーツーカイザーは、その速さでヒコボシワルドを圧倒。同じギアで変身しても、ロボみたいなゴツいフォームになったゼンカイザーはパワータイプ、ツーカイザーはスピードタイプと、見た目も属性も違うのが2人の個性とも合っていて面白い。

ルパパトの防御力のパトレン、回避力のルパンを思い出した。ヒーローとしても平和を守ろうとする介人はパトレンタイプ、大事な人たちのために戦い盗みも辞さない海賊のゾックスはルパンタイプだしな。

というかスーパーツーカイザーが普通に格好良くて、金色に翻る長いマントとか肩アーマーの張り方とか、全身に漂うスーパールパンX味に心がざわつく。最終回の数分間だけじゃなくてもっとたくさん見たかったよ、スーパールパンX(涙)。

最後は凌牙もトドメを決めようとしてちょっと揉めたけど、結局仲良く?2人並んで必殺技。

オリヒメギアの時と違ってヒコボシギアまでは破壊されなかったのは、最強フォームのクロスセイバーの破壊力がデュランダルに勝っていたということで、ダイヒコボシワルドが誕生。

 

・・・そもそもヒコボシトピアってどんな世界なんだろう?とふと思った。住人全員が1年に1度しか恋人に会えない彦星だけの世界?そんで、住人全員が織姫のオリヒメトピアと1年に1日だけ天の川で隔てられた並行世界ゲートが繋がって両方の世界にカップルが溢れ、日付が変わると同時に容赦なく閉じるシステムだったりすると大変だなと(汗)。両方の全世界民が1年間その1日のためだけに生きてる感じだろうか。

 

ダイヒコボシワルドは、オリヒメワルドも使った短冊に「ツーカイオーが負けますように」と書いてツーカイオーに貼り付けて優勢に持ち込もうとするも、ブルマジーンが加勢し、魔法で短冊を<ツーカイオー>から<ダイヒコボシワルド>に書き換えて形勢逆転。マジーヌは攫われて、ブルーンはライダーギアでの活躍がなかったから、ロボ戦でバランスをとった感じ。そんで毎度ながらマジーヌの魔法は強い。

最後はツーカイオーとブルマジーン2体同時にトドメで、ダイヒコボシワルドは「今年の旧暦の七夕は8月14日」と豆知識を披露して爆散。

仙台の七夕祭りが8/6~8なのは有名だけど、旧暦だともっと遅い日付の方が多いくらいなんだなってのは今回調べて初めて知って、ちょっと勉強になった。

 

一件落着で、神代兄妹はゾックスたちがセイバー世界に送り届けることになった。玲花がここで突然、万感の思いを込めてマジーヌをハグしたのは、役者さんのマジーヌ推しをスタッフが拾ったみたいだけれど、そういう事情は知らなかったからびっくりした(笑)。教会の鐘まで鳴ったから、思わずレンアイワルド再びか?なんて焦ったりして。

ネットでは「唯一の女性ライダーとして肩肘張って頑張ってきたから、同じく女性戦士として頑張るマジーヌへの同士愛が生まれた」という解釈を見かけて、なるほどと。

神代兄妹を乗せた海賊船は並行世界ゲートを通過した直後に怪しげな宇宙ステーション?とすれ違い、たぶん劇場版に続く。

 

今回のトジテンドの作戦は、本来は邪魔なゾックスへの報復として家族を狙うという、悪の組織として正しく卑劣な方針によるもの。その目的を果たすためには他に幾らでも方法はあったはず。

なのに

ポニテの妹を攫おう→それに適した能力のトピアは?→彦星トピアの力を使えば女を織姫探しで攫えていいんじゃね?→頑張って織姫候補いっぱい攫いま~す

ってどんどん本来の目的からはずれて、肝心のフリントそっちのけで見当違いの女ばかり集めてるトンチキぶり。まさしく東映公式が解説する

<スタートは正しいはずなのに、ゴールがあらぬ方向に。人、それを「ゼンカイ脳」と呼ぶ……>

を忠実に体現しているな。毛利さんは今回初脚本ながら、このゼンカイ脳スピリッツを十二分に自分の血肉にして書き上げて下さったと思う(笑)。

実際、そんなつもりもなかった柏餅や鬼ごっこ、磁石とかの方がよほど妹弟たちがピンチだったじゃん。

 

久しぶりのライダー戦隊合体スペシャル、丸々1時間面白かった。

東映公式が紹介した諸田監督の言葉「ゼンカイ成分の含有される話を2話続けて見ると頭がグワングワンする」には若干同意するけれども(汗)。

合体スペシャルだけどセイバーと違い、正規回にカウントされてるのは、ゾックスの初強化回でもあるからかな。

今回はセイバー世界には並行世界を自由に行き来出来るゾックスが、ゼンカイ世界にはゾックス一家とは兄妹という共通点のある神代がお邪魔して、それぞれ上手く機能してキャラの掘り下げにもなったと思う、特に神代兄妹。

あと欲を言えばこの2作品だと、セイバーとゼンカイジャーの青2人、倫太郎とブルーンを出会わせてみたいな。未知の世界への興味とか生真面目なリアクションとか実は凄く似ていて気が合いそうで。互いの世界への好奇心がブルンブルンし過ぎて互いに根掘り葉掘り聞いては互いに持てる知識を際限なく紹介して収拾つかなくなったりして、他メンバーから遠巻きにされる所を見てみたい。