キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ゼンカイジャー19話感想: 三陣営連携の結晶、センタイジュウギアでスーパーゼンカイザー

研究に煮詰まったイジルデが、気分転換のためスパに行った。キカイトピアにもスパがあるのか。というかキカイノイドも人間と同様、温泉にリフレッシュ効果とかあるのか。でも金だらいと手拭いを手にした姿はどちらかというとスパというお洒落な響きよりは銭湯、「神田川」の雰囲気を感じさせた(笑)。

空になった研究室にステイシーが忍び込み、システムを手探りで操作しているうちに、空間に映し出される眠ったままの2人の男女の姿。ホログラムなのかな?どういう仕組みかはちょっとわからない。

ステイシーはカラフルで見た写真の五色田夫妻を捜すために、早速忍び込んだわけか。似ている、とここで思ったということは、過去にはっきり目撃したことがあるわけじゃなく、以前の介人の話からここにいるのではと当たりを付けて捜したら、速攻で見つかったと。

序盤でブルーンからの事前情報があったとは言え、まだOP前にこんな重大な事実があっさり確定して、驚いた。

 

一方カラフルには、しばしばトジテンドによる異変の第一報をもたらす男スーさんが、今回は麦わら帽子にランニングシャツと短パンという姿で虫取り網片手に飛び込んでくる。見えないカブトムシを追いかけて網を振り回し、こういうことがある度にまた滅茶苦茶になるカラフル店内。で、やっぱり身のこなしがキレキレで只者じゃない(笑)。

その網が介人の顔にスポッとかかって、イケメン台無しの変顔のままトジテンドを察知しながらOPに。

 

今回の敵はカブトムシワルド。「ビートルトル!」と発射する光線に当たると、男はランニングシャツに短パン、女はノースリーブのワンピース、頭に麦わら帽子、手には虫取り網で昭和の夏休みの少年少女にみたいな姿に変わると、見えないカブトムシを追うのに夢中になってしまう。

ゼンカイジャーたちもその光線を浴びると、森の中にいるような幻覚を見せられて、戦闘中だったことも忘れやっぱり全員カブトムシ採りに夢中になってしまう。

正直、凄くノスタルジックで楽しそうで、ちょっと光線浴びて子供に戻ってみたくなった(笑)。

 

遅れて来たヨホホイだけはその身のこなしで光線を避け続ける。容赦なくゼンカイジャーたちや一般人を盾に光線を防いでいて、相変わらず人々を守る気は一切ないのがぶれない。

そんな彼に容赦なく次々に振り下ろされる5本の虫取り網(笑)。「お前ら、何してんだ」と振り払いもせず無抵抗のまま呟くゾックスがじわじわ来る。

 

一方トジテンドでは、今回の作戦の報告を聞いたボッコワウスが「楽しませてどうする!」と、何週間かぶりにドスンと拳を振り下ろし、バラシタラがゆったりと宙を舞う姿が見られて満足(笑)。

でもゲゲが「その幻覚、こちらの好きな時に解けるんだろうな?」とフォローすると、

「ということは、牢屋を増やすことなく、必要な時に駆り出せる奴隷を大量に作れるということだな」とボッコワウスも理解して、続行を命じる。

またゲゲに取りなして貰えたわけだけど、「必要な時に駆りだせる奴隷」ってのが、幻覚が解けてもこちらの意のままに動いてくれるとは限らないわけで、あの場面だけだとイマイチ消化不良かも。ただし確かに幻覚が解けない限り拘束しなくてもトジテンドに逆らえない人々ばかりになれば、あの世界は征服したも同然てわけか。

実際、皆の異変にセッちゃんが慌てて現場に駆け付け、目を覚まさせようとしても効果がなく、逆にでっかいカブトムシだと思い込まれて追いかけられてしまう始末だったし。

 

ステイシーの方は2人を前に、介人やヤツデ、ゼンカイジャーなど、五色田夫妻に関係する名前を出すも、反応はない。

関係あると思ったのは気のせいかと去りかけ、でも思い直したステイシーは

「秘密のパワー!ゼンカイザー!」といきなり介人の動きもトレースした名乗りの完全再現(汗)。まさか「全力全開(駆け足・汗)!ちょわー!」まで付けてくれるとは(笑)。

自らの手で開発した装備を使う息子の名乗りを聞けば、両親なら何か反応するのでは?と思ったみたいだけど、でもすぐ「くっ・・・やるんじゃなかった」と全力全開で後悔してる(笑)。

こないだの「サトシです」といい、公式がステイシーをシリアス枠にギリギリ留めながらゼンカイ世界との境界線の狭間で弄り倒してる感がじわじわ来る。

でもステイシーが立ち去った後、夫妻が同時にカッと目を開くのがちょっとホラーだった。

 

すると同じ頃、カラフルに逃げ帰っていたセッちゃんに異変。目が青く光ると何かに取り憑かれたように叫び声をあげながら秘密基地のシステムのキーボードを打ちまくると、画面に映し出されたのは未知の新たな装備のデータ。

ステイシー本人は知らないけど、彼が介人の真似をしたことで眠っていた夫妻の意識を刺激し呼び起こして何かしたってことか。

 

界賊船の中では皆がおやつのパンケーキを食べてる中、フリントだけはカブトムシワルドの行方を捜すも見つからない。すると双子がメイプルシロップを手に、カブトムシワルドを好物で誘き出す作戦を思い付く。

ゾックスはアバレンジャーのギアでアバレキラーのペンを取り出すと、巨大なメープルシロップの瓶を描いて実体化させ、撃ち抜いてビル壁にぶっかける。

すると・・・10秒かからずに引き寄せられてるカブトムシワルド(笑)。

なぜこんなにも他愛くトンチキな作戦が毎度毎度有効なのか(汗)、今日もゼンカイクオリティは絶好調。

早速ゾックスが倒そうとすると、そこにバラシタラも参戦。界賊が以前トジテンドに乗り込んだ時以来の顔合わせ。

あの時点ではまだ設計図とか色々頂く前だったから、ツーカイザーとして対峙するのは初めてになるのかな?変身能力なしでトジテンドの本拠地を荒らして生還出来るのは、それはそれで凄いよなと改めて。

 

ゾックスが2対1の劣勢になっているとも知らず、介人たちは森の幻覚の中で、誰のカブトムシが一番大きいか比べっこしたりしてる。実はカブトムシだと思って掴んでいるのはゴミや石ころ、空き缶だったりするんだけど、全く気付かない。

負けたブルーンが「次はヘラクレスオオカブトを狙います!」とか知識が無駄に炸裂しているのがらしいけど、それ外国のやつだから・・・と思ってたら羽部分が緑や黄色や茶色の日本にはいないはずのカブトムシも普通にいて、幻覚だからなんでもありなんだな。

こんなにたくさん採ったと大喜びで介人に見せるガオーン。そう言えば彼にとって、この世界の生き物だけど硬い鎧で覆われた甲虫ってどういう位置付けなんだろな?柔らかくも温かくもないけど、丸くてやっぱり可愛い生き物?ただし捕まえて籠の中に閉じ込めるのに抵抗がないのは、やっぱり幻覚と洗脳の為せる技ってことかな。

その無邪気に喜ぶ姿に、介人は両親とのピクニックでカブトムシを採ったことを思い出す。記憶の中の両親は介人への愛情いっぱいでポジティブで、やっぱり「結果出すまで、全力ぜんかーい!」な人たち。

その回想が温かく幸せなほど、あんな寒々と生気を失った姿で拘束されている今とのギャップが残酷。

両親と3人一緒に出かけたのはそれが「最後」だったという言葉がトリガーになって、徐々に介人の幻覚と洗脳が解けていく。

両親の介人への思いがセッちゃんを新たな装備のデータに導き、介人の両親への思いが幻覚を打ち破る、という呼応にグッとくる。

 

ジュランたちはまだ幻覚の中で、カブトムシワルドを倒さないと解けない。レトロワルドの時とは逆だな。

両親がいて幸せだった過去の記憶と失踪という今の辛い現実。

その同じピースが、レトロワルドの時はマイナスに働いて前を向けなくなってしまったけれど、今回は介人を目覚めさせてピンチを打開させたのが面白い。

 

2対1しかもバラシタラ参戦という劣勢だけど、わりと頑張ってるゾックス。バラシタラがゾックスを引き受けてカブトムシワルドに任務続行を命じた時、変身前の介人が渾身の跳び蹴り。

「父ちゃんと母ちゃんが、助けてくれたんだ」とチェンジして「今度は俺が、皆を助ける番だ!」が、いかにも今回パワーアップするヒーローって感じの格好良さ。

でも、介人独りでカブトムシワルドを倒すのはちょっと厳しい感じ。ゾックスは独りで倒す気満々だったけど、この辺り、経験値とかでまだ実力差あるのかな?

こんな時は戦隊ギアだと、今回に限って何も言ってこないセッちゃんにアドバイスを求めると、上空の界賊船からフリントとセッちゃんが一緒に降りてきた。

「介人!このセンタイジュウギア使え!」とフリントが何か放った。介人の元に自力で跳ねながら駈け寄ってきたそれは、ギアと言うには形が爬虫類系、というか恐竜。東映公式自ら「なんとなく白黒の悪魔と相乗りする勇気が湧きそうな見た目をしています。」と言うくらい、仮面ライダーWのファングメモリに似ている(笑)。しかも吠えたぞ。

あの未知のデータをフリントが解析してこの超短時間で開発した強化装備ってことか。

それをセットして「スーパーチェンジ全開!」と攻撃されながらグダグダな掛け声をかけると、やたらゴツイ装甲が介人を覆って完成した姿は、ほぼロボット。マスクで辛うじてゼンカイザーとわかるかなって感じで、これでジュランたちに混じったら普通にロボット特撮だ。

「秘密のパワーアップ!スーパーゼンカイザー!」長柄物の先についたドリルの刃が回転し唸りをあげてるのを振り回すのが怖い。重そうで動き辛そうだけどスーアクの高田さん頑張ってる。

その装甲はカブトムシワルドの攻撃もマッサージ程度にしか効かず、ドリルから出したワイヤーで翻弄したりと初登場補正もあって敵を圧倒。

トドメはドリルを上空に投げて落ちてきた所をギアトリンガーからの発砲の威力でぶち込み、中々エグい撃破(汗)。

「ヨホホイ!凄えな!」と素直に興奮してるゾックスが可愛い。そういや介人のことは素直に気に入ってるんだったなこの人。

 

ジュランたちは正気に戻り、「皆の幻覚が解けたということは!」ブルーンが状況把握。知りたがりのキャラからすっかり状況説明役が板についていて便利だ。そして皆が慌てて巨大戦に駆け付ける時もカブトムシ改めゴミの片付けはブルーンの役目(笑)。

バラシタラはスーパーゼンカイザーを面白がり、クダイテストを召喚して撤退。やっぱりバトルジャンキーな一面はあるんだなこの人。

 

イカブトムシワルドはビル街に巨大な森を発生させ、そこに既に巨大化したジュランたちが駆け付ける。撮影方法はたぶんロケ地の森にミニチュアのビル群を並べてるのがちょっとわかりやすかった(笑)。そのせいであまりジュランたちが巨大化してる感じがしなくて少し戸惑ったかも。

初めて見るスーパーゼンカイザーの姿に驚いた隙に攻撃されてしまうジュランたちを見て、介人はただのゼンカイザーに戻って合体。

 

新装備のお披露目回だったために、キカイノイドたちの等身大戦での活躍は思い切ってカットされた。次回以降はそこまでではないだろうけれど、当分似たような販促が続くかもしれないと思うと、ジュランたちの扱いはちょっと心配。

だけどまあ、スーパーゼンカイザーが等身大戦限定なら、ジュランたちの活躍は巨大戦で取り戻そうってことかな。それが出来るのも今作の強みではある。

また合体状態で台詞を言う時、今回は合体前の姿のワイプが入るのも、誰が喋ってるかわかりやすくするために加藤監督が工夫したのかなと思うけど、埋め合わせ的な意味もあるかもと思った。

樹液攻撃でベタベタにされ動き辛くなるもツーカイオーカッタナーが助太刀に入り、その隙にマジーヌが魔法で樹液を洗い流し、反撃に転じてそのままゼンカイオー2体でトドメ。

 

戦い終わってその夜カラフルでは、介人を助けてくれた御礼だとガオーンが界賊一家をご馳走責めにしていた。

「おいらだけじゃ、功博士たちが残したデータ見つけるだけで精一杯だったッチュウ」

センタイジュウギアのデータ自体は夫妻が失踪する前に、秘密基地のコンピュータ内に隠されていて、それを見つける方法を、今回夫妻の意思がセッちゃんに送ったってことか。

なおフリントはちゃっかり、自分たち用にもう1つ同じセンタイジュウギアを作っておいて兄に渡す。「あたしがタダで協力するわけないだろ?」と、セッちゃんの抗議にも一切悪びれず、ホントこの子もぶれないな(笑)。

いやでもセッちゃん、作って貰うからには同じの作られても仕方ないと個人的には思うよ?アバレンジャーのギアのこと教えただけじゃ、ちょっと対価としては弱いし。それで強くなったゾックスにこの先助けられることだってきっとあるからね、とちょっと言いたくなった。

1つの強化装備を追加戦士も使い回すのは過去にもあったし、初期メンバー全員の強化もあったけど、全く同じ装備をもう1つ追加戦士にも、ってパターンは珍しいかも。

なおゾックスのスーパーお披露目は次回のスペシャルということみたいで、来週は久々のライダーとのコラボ。

 

なぜ急に新しいデータなんて見つかったのかと不思議がる介人に、

「あの2人が、介人のこと助けようとしてたんじゃないのかな」とヤツデさん。

その言葉に納得して笑顔になる介人で、続く。

でも実は、功博士たちにそうさせたのはステイシーなんだよな。

センタイジュウギアは、ゼンカイ側のセッちゃんと界賊とが初めて協力して作り上げた物だけど、実はそれにステイシーも加わった3陣営の連携の結晶でもある。でも誰も、ステイシー本人すらそれを知らないのが尊くもやるせない。

何やってんだかと自己嫌悪しながら介人の真似をした事が、介人と界賊の強化に繋がったと知ったらステイシーは腹立たしいかもだけど、反面それは大好きなヤツデさんを喜ばせているわけで、改めて複雑な立ち位置だよなと思う。

介人が良い目を見るのはムカつくけどヤツデさんも喜ぶ。

介人を痛めつければザマミロだけどヤツデさんも泣く。

介人を殺せばもうカラフルに行けない。

そんで仮にこの先、五色田夫妻を救出したりなんてしたら、介人だけ、ステイシーには決して得られない親の愛を取り戻してしまう。だけどヤツデさんも恩に着る。でもトジテンドには裏切り。

ジレンマだらけなステイシーの今後も楽しみだ。

ただ今回の介人のパワーアップにステイシーが果たした役割は大きいので、ヤツデさんは界賊一家にしたのと同じだけご馳走しても罰は当たらないから、例えばカラフルサンデー1ヶ月無料パスポートを発行してあげて欲しいな、と画面のこちら側で思ったりする。

 

ゼンカイジャー18話感想: もう恋なんてしないなんて

ジュラン、ブルーンと買い出し中の介人に、中学時代の同級生、花恋が駆け寄る。彼女が大学生なら介人も19~22歳あたりってことか。

これから図書館で勉強だと聞いて、自分も図書館好きのブルーンは親近感を持つ。後の展開の小さな布石。

介人とは男女を意識しない友達同士って感じで、良い意味であまり色気を感じさせないけど、清楚で溌剌として可愛い女の子。

ジュランが2人の仲をからかい混じりに詮索すると、そっち方面は全く疎いブルーンは恋と聞いてどんな物か知りたいと興味深々。この時点ではまだ無邪気な好奇心なのが、後の展開を思うと切ない。

ならば教えてあげますと、レンアイワルドが登場し、アイシアローを空に放つ。すると何やらハートの形にラブパワーが世界に広がって、人々は些細なきっかけで誰かと恋に落ちてしまう。

恋に落ちるのは男女だけとは限らないのがいかにも今の時代を反映してる。まず初っぱなにいきなりジュラン×ガオーンという衝撃のカップルでそれをがっちり印象付け。

ジュランが「俺じゃ駄目か?」とバックハグで「あすなろ白書」のキムタクを再現したかと思うとガオーンが「キュンです・・・」(笑)。

遅れて登場したゾックスも変身途中、その歌声に引き寄せられて押し倒してきた作曲女子キカイノイドのメロリアに「ふっ、面白れー女」とフォーリンラブで戦闘放棄した(笑)。。

あっちでもこっちでも恋恋恋と、アバン時点で既にゼンカイジャー屈指のカオスな状況からOP。

 

アイシアローの恋愛パワーで人々は些細なことで強制的に恋に落ち、相手にうつつを抜かして他のことが疎かになってしまう、というバラシタラの説明を上機嫌で聞くボッコワウス。

「ゲゲが作戦指揮をとったことが良い刺激に」と褒められたゲゲが、恐らく番組開始以来初めて調子狂って戸惑ってる(笑)。こんなトンチキな作戦を自分の功績にされても困るってことかな?

ボッコワウスの寵愛をバックに怪しい立ち回りを見せ、もしかして真のラスボス?なんて噂も囁かれるゲゲすらゼンカイワールドに飲み込まれてしまうのか?なんて予感もしつつ、バラシタラがそんなゲゲの様子に気を止めているカットに意味はあるのかどうか。

 

アイシアローの影響は介人たちがカラフルに戻った後も続き、メロリアにメロメロな兄貴のふ抜けた姿にショックを受けたフリントは、慰めようとしたマジーヌと恋に落ちる。

ブルーンは図書館で「ゼンカイジャーのブルーンさんも読んでます」的な推奨ポップ(笑)を見てカラフルにすっ飛んできた花恋と。

ブルーンが読んでいることが訴求に繋がるなんて、やっぱり何だかんだゼンカイジャーってあの世界のヒーローで有名人、ちょっとしたスターなんだな。

さっきまでロンバケやってた赤黄はガオーンがジュランの膝を枕にしててどっぷりバカップルだし、介人はこうなったら誰にも会わないと決意。も、束の間、ヤツデさんの試作パフェの可愛らしさに、まさかの非生物との道ならぬ恋(汗)。

そんなしっちゃかめっちゃかな状況に独り正気で溜息をつくヤツデさんを、暖簾の陰からステイシーが見ていた。さすがにこれは入っていけないわ(笑)。

 

世界が幸せな恋愛に満ち満ちた頃、レンアイワルドは作戦の第二段階として恋愛パワーをレベルアップさせ、人々の恋愛感情が悪い方向に暴走。嫉妬や猜疑心、独占欲等に苛まれて、あちこちで争いが始まった。

90年代月9キムタクドラマみたいだった赤黄も互いの愛を疑い、フリントとマジーヌも破局。ゾックスもメロリアから強烈な平手打ちを食らっていた(笑)。

花恋と海辺で初恋デートを満喫していたブルーンも雲行きが怪しくなると、介人との仲を疑って花恋を問い詰めて掴みかかり、怒った花恋に突き放されて波打ち際にばしゃっ。一転して嫌われたと思い込み、号泣しながら走り去る。

相手の些細な言動に舞い上がったり不安が膨れあがったり、嫌われたと過剰反応したり。ブルーンの初恋模様は敵の術による極端さはあっても、いろいろリアルで繊細に描かれていて、なんだか懐かしく、沁みる。

 

そこにレンアイワルドを見つけたとセッちゃんから連絡。

こじれた恋愛に苦しんでいた他のゼンカイメンバーもカラフルからワイワイガヤガヤ飛び出していく。

それを見送ったヤツデさんが1人になった時、やたらスタイリッシュに塀を超えてステイシー登場。ヤツデさんが振り向くまで崩さなかったキメキメの着地ポーズからの「おやつを食べに来た」(笑)。

先週のセッちゃんの「おやつ食べてたっチュウ」の破壊力に笑っていたら今度は本人自ら申告。

「僕は一体どうしたいんだ?」と前回自問して出た答がこれだったんだろうな。

母親の面影のあるヤツデさんの店にもう一度行ってカラフルサンデーを食べたい。そんな、優しい母親におやつを出して貰える恵まれた子供みたいな気分を味わいたい自分を皮肉るようにわざと甘え混じりの言葉にし、でもヤツデさんの前ではこんなことも出来ると精一杯格好付けたい気持ちとが入り混じってるみたいで、滅茶苦茶拗れてるなと。

 

レンアイワルドの前に拗れた恋の恨み全開のゼンカイチーム。

そんで顔にメロリアからのビンタの跡を、赤々と付けたゾックス(笑)。無音で踊り狂ったりロボが合体解除して容赦なくすっ飛んでいったりで、今回はこれ。仲間入りと販促がひと段落して「格好いい」を本格的に崩しに来たんだなと、楽しみなような物悲しいような。

・・・なんというかボウケンジャー高丘映士が加入前はセロリやリンゴをかじっていたのに加入後はキュウリや茄子に変わったのを見た時に似た感覚かも。

今回の変則名乗りのテーマは、失恋戦隊。テロップも恨みと涙が滲んでいて、「Love is over」にはもう笑うしかない。けど、ブルーンの「もう恋なんてしないパワー」はちょっと切ない。

 

今回も戦闘に付いてきたセッちゃんが「なんとなくだけどー・・・鳥人戦隊ジェットマンのギアを使うと良い気がするっチュウ」とかなり適当なことを言い(「そんな感じで大丈夫?(汗)」というガオーンのツッコミが楽しい)、使うとジェットマン5人の幻がゼンカイメンバーや、レンアイワルドにまで取り憑いて、なぜか寸劇開始。私はジェットマン未見だから何が起きたのか最初よく分からなかったけど、ジェットマンの伝説の最終回のシーンを再現していたようで。

ゼンカイザー→赤、マジーヌ→白でこの2人の結婚式。ガオーン→青(女子・汗)、ジュラン→黄、フリントがその連れ。

そんでレンアイワルドがよりによって黒=結城凱(汗)。結婚式に行く途中でひったくり(被害者の女性@ゾックス)を目撃し、犯人@ブルーンを捕まえるも逆恨みで刺される、という幻覚。そして幻覚が終わっても腹痛で白いベンチから立てない(汗)。

いいのか?これいいのか(大汗)?私は意味が分かってからは、ごめん、笑い転げていたけれど。

後でオリジナルの映像と見比べて、いかに東映公式曰く「実直に映像化」されていたのか知り、そのエネルギーの使い処の狂いっぷりに戦慄(笑)。

ネットを見ると結構怒ってる人もいて、その辺りの受け止め方は、簡単ではないんだろうなと思った。たぶんジェットマンは10月くらいから配信されると思うけど、そこでちゃんと見てみたら私も印象変わるんだろうか?

でもジュウオウやルパパトでは優等生的っぽさのある作風だった香村さんが、思い切ってきたなとびっくりした。なんかどこか吹っ切れたというか開き直った?みたいな。とは言ってもアキバレンジャーの時の暴走っぷりを思い出したりもするので、全くの新境地ってわけでもないのかもだけど。

 

ベンチから立ち上がれないレンアイワルドを、ゼンカイザーとツーカイザーが2トップでトドメ。海賊旗が翻り、ゴーカイガレオンを思わせる宇宙船のイメージをバックに、ゾックスのツーカイザーゴールドスクランブルもゴーカイスクランブルのアクションに似て、ゴーカイジャー成分多めで懐かしい。テン・ゴーカイジャー公開決定のご祝儀なのかも?

レンアイワルドは「空が・・・目に沁みやがる・・・」とこれまた凱のラストを連想させる台詞を呟いて事切れ(汗)、ベンチごと盛大に爆散。ゴーカイジャージェットマン回では「迂闊に手を出すと火傷しそう」だとメインライター井上さんに書いて貰ったことを思うと、つくづく10年を隔てたこの2つの記念作のアプローチは対照的すぎる。

 

人々は恋愛脳から解放されて正気に戻るけれど、メロリアから「無理です!全然タイプじゃないし・・・俺様とか・・・むしろ臭っ、ていうかさよなら!」とまで言われても、未練ありそうなゾックスが不憫(涙)

ブルーンも正気に戻ったと喜びながら、でもなぜか心が痛そう。

 

ダイレンアイワルドが出現すると空がピンクに染まり、無数のハートの風船が浮かぶ可愛くも異様な空間に変わる。

今回は最初からジュラガオーン、ブルマジーン、ツーカイオーの3体がかり。だけど、またも愛の矢で射貫かれ、全員ダイレンアイワルドに恋してしまい攻撃されても反撃出来ない。しまいにはダイレンアイワルドを廻って内輪揉めの大ピンチ・・・と思いきや、介人たちは「誰のことが一番好きなのか」と問い詰め、三股いや七股だと責めると寄ってたかって袋叩きにし、今回もそう来るか・・・と言いたくなるゼンカイクオリティど真ん中な展開で撃破。

 

ゼンカイジャーの敵の作戦はこれまで時々、比較的穏やかな第一段階からより深刻な被害をもたらす第二段階に移る時に、人間とキカイノイドとで受けるダメージに差があった。異種族が共存してるからこそ被害が軽い方が打開に動けて、全滅を防ぎカバーしあえる。そういう見せ方がいいなと思ってたけど、今回は種族関係なくとことんダメージを負って、その恨みをパワーに変えて(笑)倒してる。こういうパターンもあるんだからね!って引き出しの多さを見せつけられて、なんかやられた!って感じで、こういうのも好き。

 

戦い終わって、花恋もすっかりブルーンへの恋から解放され、笑顔で別れを告げると元気よく去って行く。それを見送りながらブルーンはなぜか心が苦しい。ジュランからそれを本当の気持ちだと諭され、「これが恋でしたか」と過去形で呟くブルーンが切ないな。

 

私は恋ってその人を知りたいと思う強い気持ちとワンセットかなと思ってる。

アイシアローによってシチュエーションだけでポーッとなった人たちは、術がとけた時点でその恋は綺麗さっぱりなくった。

でもブルーンは花恋と恋に落ちた直後に「もっとお話ししたい」と彼女自身のことを知りたがり、ゾックスも「面白れー女」と相手に興味を持っている。

きっかけは敵の術でも相手への興味は本物だったから、倒した後も本当の恋として気持ちが残ったのかな?なんて思ったりして。そんで「知りたい」が人一倍強いブルーンは、意外とゼンカイジャー全メンバー中で一番恋に落ちてしまいやすい人なのでは?とも。

だからブルーンには、もう恋なんてしないなんて槇原敬之の歌みたいなこと言わないで、これからも恐れずに、恋をに落ちて欲しいな。

 

一方、カラフルではそんな騒動とは別の穏やかな時間が流れていて、ステイシーは今回もヤツデさんとたぶんお喋りなんかもしながらカラフルサンデーを完食。初来店時の界賊一家と違ってちゃんと代金を支払おうとするステイシーに、ヤツデさんは「介人のおごりだ」と止める。

介人の意図を図りかねるステイシーの目に映ったのは、ヤツデさんと少年時代の介人、それから五色田夫妻の写真、で続く。

 

ステイシーは五色田夫妻の顔に見覚えがあったんだろうか?

名も無い掃除係だったブルーンですら噂を聞いたことがあったなら、イジルデのロボ製作現場にも入り込んでいたステイシーが研究室に行ったことがあっても不思議じゃないし。

それにもし、初めて見る顔だったとしても、今回写真を見たことはこれからの遭遇を暗示するフラグなんだろう。そしたらステイシーはどうするかな?

五色田夫妻は嫌いな介人の両親。なぜ嫌うかと言えば介人の両親への揺るぎない信頼が妬ましいから。

だけど夫妻は同時にヤツデさんの大事な息子夫婦でもある。戻って来たらヤツデさんはどんなに喜ぶだろう。

そんなジレンマが待ち構えてる予感で、これからのステイシーも楽しみ。

 

今回はいろいろ凄かった。

私は前回、介人たちが、現在進行形で人々を苦しめてるトウメイワルドを倒すことより子供たちの夢を守る方に夢中になっちゃったりとかが、目配りお化けの香村さんにしてはイマイチかな等と気になってた。着ぐるみキャラの台詞は声優にお任せしてる部分も少なくないとはいえ、さすがに17話も連続だとキツくなってきたのかなとか心配にもなったり。けど、もしかしたら今回の方により注力しすぎたんだろか?と思ったくらい。

いつにも増してカオスで冒頭から笑いっぱなしで、でもブルーンの恋にはちゃんとスポットが当たって終わりはほろ苦く、ステイシー絡みで次回以降への布石もしっかりで、面白かった。

 

ゼンカイジャー17話感想: 透明ジュランと怨霊マジーヌ

「前回の、ゼンカイジャーはっ!ステイシーがサトシと名乗って、ヤッちゃんの店でおやつ食べてたッチュウ」

確かにカラフルサンデーもスイーツだしお昼~夕方までのどこかで食べれば「おやつ」なんだろうけど、基本シリアス一辺倒で母親の面影を求めているステイシーと、母親が子供に与える「おやつ」って可愛らしい言葉の組み合わせの破壊力がいろいろ凄かった(笑)。

 

学校の理科室で、人魂とともに骸骨が動き、のぞき見る子供たちに「遊ぼ~、遊ぼ~」と迫ってくる場面から始まる。

学校で最近「誰もいない教室で話し声がしたり」「誰もいないのに物が勝手に動いたり」と不思議現象が起きていることから、オカルト好きの子供で結成されたオカルト同好会で探検に行くことに。そのメンバーでもあるマジーヌ、好奇心旺盛なブルーン、そんで介人もついて行く。

人間と融合した世界に来てから数ヶ月間ただ不安に怯えてた内気なマジーヌが、カラフルに来て仲間が出来、昔の自分に似た諒くんがヤツデとカラフルを足がかりに外の世界に踏み出した後、自分も水晶玉をカラフルの外に持ち出して子供たちと交流したり、年の離れた子供たちではあるけれどゼンカイジャー 以外の同じ趣味の仲間も出来たのが、感慨深いな。

 

一方、街では界賊一家が買い出し中。抱えきれないくらいの大きなずた袋を抱えたフリントが何かに躓いて、盛大に中身をぶちまける。何に躓いたのか確かにそこに何かあるのに目には見えない。

周囲を歩く人々も次々と見えない何かにぶつかり混乱が始まっていて、察しの良いゾックスは物陰にいたワルドに気付いて攻撃。

何ワルドかゾックスに聞かれて自分の能力を隠そうとしても、語尾に「トウメイ」と付けるから速攻でバレた(笑)。トウメイワルドね。

ここまで語尾にトピア名を付けるのが徹底されてるのを見ると、イジルデはキノコワルドの時の経験がよほど強烈で、トジルギアの取説にワルド作成時の必須履修項目として記載したのかな(笑)。

ゲゲが勝手に作った時も取説見ながらあの気怠い声で「必ず語尾にレトロって付けるんだよお」とか命令したのかと思うとじわじわくるし、そうじゃなくてイジルデが予めそういうプログラムに大真面目に改良してたんだとしたら、それはそれで可愛い。

 

ゾックスに合わせてフリントも踊りるも途中から動きについていけてなくて誤魔化した感もある可愛い変身シーンからの戦闘は、でも見えない障害物にぶつかったりしながらで、やりにくそう。自分に置き換えると結構怖いよな。相手を倒す勢いでかかっていったらその手前で見えない何かに激突って、障害物だらけの真っ暗闇で戦ってるも同然かと思うと。

 

ワルド出現の連絡は介人たちの元にも入って、学校探検は延期。

介人たちより一足先にジュランガオーンが現場到着して、数的不利になったトウメイワルドは、透明ビームを放ち、ガオーンの盾にされたジュランが透明に。続いてフリントとリッキーカッタナーも透明にされ、その隙にトウメイワルドは逃げてしまう。

またしても妹弟たちの一大事に狼狽えるゾックス。気付かず足を踏んでゴメンしたりと、すっかり妹弟思いの良いにーちゃんって感じの見せ方がツボに入る。

 

トジデントでは、ボッコワウスがイライラと指で机?を小突きながら、バラシタラの作戦報告を聞いている。ホント、終盤まで鷹揚な構えを崩さなかった香村戦隊の先輩ボス、ジニスやドグラニオとは対照的な器の小さい描写。

拳を振り下ろし何か言いかけた時、すかさずゲゲが前回の宣言どおりフォローを入れて機嫌を持ち直させる。

「気に食わん鳥だが、こうなればこちらも、上手いこと利用するまでデアル」とバラシタラが不敵笑ってるように見えて、したたか。

ゲゲが少しずつ存在感を増して敵にも動きが出て来て面白いけど、毎回、今度はどんなドスン→ピョコンのバリエーションを見せてくれるのかと楽しみにしていたからちょっと残念だ(笑)。

 

カラフルでは透明になったジュランをガオーンが雑に紹介。「音が欲しいんだよ、音が!」とスナップ効かせてガンガン叩いていて容赦なし(笑)。「誰のせいで」とジュランが反撃したくなるのももっともで、もう少し済まなそうにしててもバチは当たらないと思うぞガオーン。

東映公式によると、この夏公開の映画の撮影がジュランだけ別チームなことが多く、並行する本編撮影のスケジュールを考慮して透明ジュランというアイディアが生まれたとか。そう言えばゴーカイジャーでも199ヒーローの撮影との兼ね合いで暫くコンビが青黄、緑桃に固定されてたっけ。

 

ということは学校の不思議現象はお化けではなくトウメイワルドの仕業だったのかと思い当たるブルーン。さっきから1人カウンターで落ち込んでいるマジーヌはいち早くそれに思い当たっていたみたい。「せっかく貴重な不思議現象だったのに、あの子達もハチャメチャ楽しみにしてたのに、トジデントのせいってなったら、ハチャメチャがっかりじゃん」

同じ趣味の友達がいない同士、ここで仲良くなったのがあの子たちと+マジーヌ。

駄菓子カフェのカラフルには子供向けの本もたくさん置いてあって、それを読みながら長時間入り浸ってるうちに共通の趣味を持つ友達に出会えることもある。そんな社交場にもなってるんだな。趣味が共通なら人間もキカイノイドもなくここでかけがえのない仲間も出来るって、つくづく素敵な舞台装置だなと思う。

そんでカラフルのメンバーのうち、ヤツデさん、介人、ジュランは自身は超外交的で何かにオタク的にハマったりはしなさそうなんだけど、そういう他人のマニアックな趣味を否定しないで温かく見守り背中を押して応援してあげるのいいなと思う。まあヤツデさんと介人の場合は息子夫婦&両親が完全にそっち側の人たちだったから滅茶苦茶理解はあるはずなのか。

 

「きっとまた、チャンスはあるっチュウ」と慰めるセッちゃんに「いや、ぶっちゃけ、今がむしろチャンスじゃね?」とジュラン。

透明にされたことを逆手にとって、この状態で学校に乗り込み、いろんな超常現象を起こしてそれを子供たちに見せてあげようと。

感激して「ジュランおじちゃん」という呼び方が復活したマジーヌに

「おじちゃんに任しときな~」とそれに乗っかるジュラン。ゼンカイジャーの仲間としては対等であれと望むけど、他の場面でなにかあったら、昔と同じように頼れるおじちゃんのままでいてくれるんだな。

 

でも、正直ここはちょっと引っかかった。いくら不思議現象がそうそうあるものでなく、子供たちをがっかりさせないためとは言え、騙そうとしているわけだから。

ただ、ぐるぐる考えてるうちに、子供たちの年齢的にもギリギリ、サンタさんを信じている子の夢を壊さないように頑張る大人たちのノリに似た感じなのかなと。

もともと香村さんて、いろいろ手堅いようで意外と嘘やサボりに寛大というか、一面だけを見て否定せずに別の面から光を当ててプラスもあるって見方をする傾向があると思ってるので、それの延長なのかもと。

ただし、同時にゼンカイジャー全員がその計画にノリノリで乗っかってしまったことで、現在進行形で人々を苦しめているトウメイワルドを倒すことよりそちらが優先されてしまった感があるのはちょっと残念だったかな。

このあたり、目配りお化けの香村さんにしては練り切れてない感じがして、キカイノイドの台詞はだいぶ声優さんたちにお任せしているらしいとはいえ、開始から休みなく17話連続担当されてきた影響もあるのかなと、ちょっと心配になったりもして。

 

子供たちを再び学校に向かわせて、介人と共に急いで向かった透明ジュランは、車の運転手に視認されず遙か彼方に跳ね飛ばされてしまい、公園の池に落下。

近くのベンチにいたカップルからすると突然前触れもなく巨大な水飛沫が上がりパニック状態。そんでここからヘロヘロの透明ジュランが公園内のフリーマーケット会場で巻き起こす超常現象のオンパレード。

激突&池落下の大ダメージに負けずにマジーヌとの約束を果たそうと根性振り絞って学校に向かおうとするあまり、周囲の物がまったく眼中になくなってしまって、並べられた商品に突っ込んで滅茶苦茶にしてしまい、そのことに気を配る余裕がない。その被害が若干やりすぎな感じで、なんとなく今回は全体的にどんな絵を見せたいかが先に立って、得意の目配りや好感度コントロールが個人的にはイマイチな感じがするのは気になったかな。

街ではそうしている間にも透明化による交通事故とか深刻な被害が起きていて、やっぱりトウメイワルドの能力を逆手に子供たちを喜ばせようとする作戦との食い合わせが若干悪かったかもと思う。

それを見て悦に入る元凶のトウメイワルドの前に、歌いながらツーカイザー登場。

 

学校で子供たちを待つ介人とやっと合流したジュラン、子供たちを引率しているマジーヌガオーンブルーンの元にまたもトウメイワルド出現の連絡が入り、「間に合わなかった」と呻くガオーン。

ゴメンねと子供たちに謝るマジーヌが、だんだん子供と遊ぶ約束が仕事で潰れまくるお父さんみたいな感じになっていて、「ゼンカイジャーだもんね」「頑張ってね」と理解を示す良い子たち。

だけど今回は、トウメイワルドを倒したらその時点でジュランの体も透明でなくなり、計画は潰えることを意味してる。平和を守るために子供たちの夢を潰しに行かなきゃならないジレンマ。

まあ、トジデントの作戦に乗っかったのが悪いと言えば悪いんだけど。マジーヌの怒りはそういう意味では若干八つ当たりも混じっていそう。

 

トウメイワルドは、対象物を透明にする能力以外は戦力はイマイチみたいで、だいぶ圧されてる。だけどその能力が厄介で、今度はクダックたちを透明化して襲わせてきた。ツーカイザーも「はっは~ん、そう来たか」と一瞬余裕かました?と思ったら普通に「見えねえ」とか一方的にボコられてる(汗)。販促がひと段落したらすっかり普通に苦戦するようになったな。

 

そこに介人たちも到着。4人にしか見えないけどちゃんと5人。マジーヌの怒りが凄まじくて「お前を倒すって話だがあっ?」と怨霊モードでブチ切れていてかなり怖い(笑)。

毎回変則名乗りがお馴染みのゼンカイジャーだけど、今回は透明パワーのジュランの無人バンクと、呪いのパワーverのマジーヌに笑った。このノリはキラメイジャーのパイロット山口監督って感じ。

 

透明クダックはやっぱり厄介で、今度はゼンカイジャーがボコられる。さっき手を焼いていたゾックスがちゃっかり高所に避難して種明かしすると、それへの対策にマジーヌが取り出したのは、なんか呪術廻戦の釘崎野薔薇を思わせる五寸釘とトンカチ。マジーヌが釘を打つと地面から無数の釘が逆さに生えて剣山の上に足を乗せた状態になったクダックたちが痛がる。そこをサンバルカンのギアを使い必殺アタックで一網打尽。

トウメイワルドに対しては、透明ジュランとマジーヌの連携攻撃。ジュランの姿はトウメイワルドにも見えないから防御不能って、だったらそれ敵にかけちゃいけない技じゃん(笑)。このワルドもしっかりゼンカイクオリティだった。

トドメはゼンカイフィニッシュバスターで撃破し、透明にされていた物や人が元に戻る。

続いて登場したダイトウメイワルドは、立ち並ぶビルを次々に透明にしてしまって、周囲は更地状態。

合体アドリブコーナーは声優さんたちを別々に収録してるとのことで、先行のガオーン役の梶さんが「消えててくれた方が、合体しやすかったな」と言い残し、ツイッターでジュラン役の浅沼さんがどう答えたが知りたがってたけど、答えは「ちょっと何言ってるかわからないんスけど」だった(笑)。浅沼さんの返しは毎回素敵。

ジュラガオーンが透明ビルに躓いたりしてるんだけど、これ躓いただけじゃ済まなくて、破壊してない?とヒヤヒヤした。

またしてもジュランだけ透明ビームで透明化して、中にいる介人も剥き出し状態になり、怯んだところを攻撃されて合体解除。

それを見てブルーンとマジーヌも合体。一体一体しっかり見せるには仕方ないのかもだけど、どうしてもここ数話のブルマジーンには「ぼーっと見てないでもっと早く君たちも行こうよ!」と言いたくなっちゃうのは困り者。

合体バンクで激怒継続中のマジーヌが「今回はやっちゃっていいっすよね?」と同意を求めると、ブルーンも「我慢は体に毒ですから」と応える。互いに敬語の穏やかなこっちの掛け合いも、なんかじわじわきて好きだ。

空からブルマジーンがガンガン攻めて、ツーカイオーリッキーも参戦。味方の優勢を見てとった透明ジュランがなぜかここで離脱を宣言。

追い詰められたダイワルドは奥の手だと、自身を巻いていた包帯を外して自ら透明になり、敵の姿が見えないゼンカイツーカイ側は苦戦。でもここでマジーヌが魔法でカラフルな雨を降らし、姿をあぶり出したところをツーカイオーリッキーがトドメ。

 

トウメイワルドを倒してしまったことで子供たちとの約束を守れなくなり、しょげてるマジーヌたちの元に、子供たちがお化けがいたと大興奮で走ってくる。マジーヌたちを待ちきれずに学校へ行くと、音楽室で誰もいないのにピアノや木琴、太鼓が鳴っていたと。大喜びで一緒に学校へ向かう皆をこっそり見送っていたのはジュラン。ダイトウメイワルドにもう一度透明にされた後、1人抜け出して大きさを元に戻し、学校で超常現象を起こしていた。

そこに学校の理科室を抜け出した骸骨が「あそぼー」と迫ってきて、お化けは本当にいたのか?ってオチ。いやジュラン、怖がってないで今すぐその骸骨を連れて皆を追いかけろ。そうすれば骸骨含めて全員幸せになれるぞ。

 

一方、トジデントではイジルデが、新しい研究に取りかかるので次に呼び出すまで自由だとステイシーに告げる。

ステイシーの脳裏に浮かぶのは母親の面影を宿したヤツデさん。

「僕は一体どうしたいんだ?」

トジデントという組織で反発する父親を超える手柄を上げたいなら、ゼンカイジャーの基地と家族の情報を報告すれば良かった。

介人が憎くて倒したいなら、ヤツデさんと2人きりになった時に攫って人質にして呼び出せば良かった。

でも実際はヤツデさんに嫌われたくなくて、味方のワルドを売りトジデントに損害を与えてる。したいことは分からなくても、なくしたくないものはもう分かってるのでは?

もともとトジデントでは生まれついてのはみ出し者で馴染めないでいたところに、別の世界に大事な物を見つけてしまった、と書くと何だかガオーンみたい。あんな風に自分の好きな者に迷わずまっすぐ向かっていく姿に、ステイシーが影響を受ける回があればいいなと思ったりする。そう考えると、ガオーンもかなりのキーパーソンなのかも。

そんでヤツデさんが事前の予想以上にヒロインで、もちろん演じる榊原郁恵さんだからこその魅力もあるけど、歴代のサポートキャラの中でもかなり美味しい役のように思う。

他に誰がいるかな?と探したらスワンさんが思い浮かんで、こちらも往年のアイドルじゃん

スタッフさん(笑)・・・とかいろいろ思ってしまって、恐るべしアイドルパワーだなと。

ゼンカイジャー16話感想: たぶんもうきっと、たった1つの宝物

前回ゲゲ主導で行われたレトロワルドの作戦は失敗。だけどボッコワウスは可愛いペットのゲゲが楽しめたならそれで上機嫌。「鳥の僕にも使えるなんて、とても良い発明だね」とゲゲが誉めると「(猫撫で声)そうかそうか~。(ガラッと変わる)良かったな、イジルデ」。

そりゃあバラシタラも「あの鳥も俺様たちと同じく負けたというのに、この差デアル」とぼやきたくもなる。

ゲゲはもう1回別のギアを使ってみてもいいかとボッコワウスに甘えた声でねだり、ボッコワウスが快諾してイジルデにギアを見繕わせたところでOP。

 

OP今日の見所コーナーで怒濤のサトシ連呼。あのカシワモチ連呼すら超える勢いで、まあ予告からこちらも楽しみにしてきたけど中澤監督が全力全開でサトシ弄り(笑)。

ステイシーがうっかりカラフルに来てヤツデさんにほだされる展開は待ち望んでたけど、てっきりヤツデさんに「ステイシーちゃん」て呼ばれて戸惑う姿を想像してた。香村さんはこれまで「マベちゃん」「けいちゃん」て意外なキャラに「ちゃん」付けして馴染ませてきたから。

でもまさかステイシー自ら「サトシです」と名乗るとかこちらの想像のはるか斜め上の破壊力だったよ(笑)。

 

ゲゲが送り込んだ今回のジシャクワルドによって、キカイノイドも人間も体が磁力を持ってしまい、街中のいろんな金属がくっついてまたしても大混乱。

その直前、マジーヌが水晶占いを介して街角で子供たちと交流を始めていた。内気な彼女もカラフルから1人で外の世界に踏み出したのかな?と思うと、諒くんを思い出してほっこりする。

 

ジシャクワルドの居場所を突き止めた介人たちが変身のため皆でギアトリンガーを構えた途端、これも隣の人の体にくっついてしまい、あたふたしながらも強引に変身。変身するだけでいちいち絵が面白いのが狡い。

銃で狙うも磁力に引っ張られて狙いが定まらない上に、無限鉄骨攻撃の下敷きに。その隙に悠々とワルドに逃げられてこの場は完敗。

後から来たゾックスが磁力の影響を受けていないのは、発動した時にその影響範囲外にいたってことかな。

 

ゾックスに助けて貰った介人たちがへとへと状態でカラフルに戻って来ると、今度は店内の小さな金属が飛んできてくっついてしまう。その中にカラフルサンデーを食べていた人のスプーンもあって

「お客さんすいません、ただ今磁石なもので」と介人が間違ってはないけど凄くゼンカイ世界クオリティな台詞と共に相手の顔を見ると、サンデー持ったまま目を見開きフリーズ状態のステイシー(笑)。もう予告の時からこの瞬間が楽しみだったよ。

介人たちが一斉に「ステイシー?」と言った瞬間、絶妙なタイミングで飛んできたセッちゃんのけたたましい声が被さってしかも介人の腹にくっついてしまい、「ステイシー」という名前はなんとなく有耶無耶になったところに、ヤツデさんがステイシーを「サトシ」と呼んだ!

それを聞いてジュランが正そうとすると、ステイシーが「サトシです!」と有無を言わせない勢いでごり押し。まるで「この場はステイシーとして害意を働く気は無く、サトシという1人の客で通すから合わせろ」と言外に迫ってるみたい。

予告の時はステイシーがこの場で咄嗟に「サトシ」と口走るのかと思ったけど、その前にヤツデさんがカラフルに引っ張り込んだ時に名乗っていたのか。諒くんの時もヤツデさんは最初に名前聞いてたしな。

 

何も知らないヤツデさんの前だからと介人たちが調子を合わせると、ステイシーもといサトシは更にヤツデさんに「ありがとうございます。美味しいです」と丁寧に礼を言う。

それを見た介人が何かを感じ取るのが印象的。

ヤツデさんが非金属のスプーンを取りに行った隙に警戒体制に戻る両陣営だけど、キカイノイドの体だけだんだん磁力が強まって重い設備も動き出し始め、下手すると店ごと倒壊しかねない事態にキカイノイドたちはいったん外に避難し介人も後を追う。

磁力が引き起こす事態が、ステイシーの正体バレや衝突を自然に回避させている。

そんでよく考えると、いくらキカイノイドたちが大変でも、自分たちの基地であり祖母もいるカラフルに敵のステイシーを1人残すのは普通は危険と考えるのでは?

でも迷わずそうした介人は、たぶんさっきの「美味しいです」を見て大丈夫と判断したってことになる。基本的に性善説の塊なんだとしてもいろいろ凄いな。まあ土台にゼンカイジャー世界の緩さあってこそかもだけど。

 

その介人の判断は結果的に正しくて、ステイシーはヤツデさんから穏やかにスプーンを受け取ってサンデーを完食し、カラフルを襲うどころか逆にめちゃくちゃになっていた店内の片付けを1人で手伝い、女の力では動かせない重い設備も元の位置に戻した。中性的な容姿でもここはやっぱり男の子。

「ありがとね、サトシくん。助かったよ~」「またおいでね」

たぶん母親が死んでからこれまで、トジデントで一度も言われたこともなくこれからも言われることはないと思ってた優しい言葉が次々浴びせられて、ステイシーの中に積み重なってく。

「またおいでね」の時のステイシーは店から出ようと背を向けていたけど、顔が見えなくてもステイシーの気持ちが伝わって思わずうるっときた。

トッキュウジャー23話で祭の記憶を取り戻したライトがずっと背を向けたままだったりとか、中澤監督は時々ここぞという場面でそういう演出をする。宇都宮Pが東映公式でのルパパト24話の紹介で魁利とつかさの場面に触れて中澤監督を「後ろ姿の魔術師」と呼んでいたのを思い出した。

 

ワルドの力がだんだんエスカレートして大ピンチになる展開はこれまで何度かあるけど、その際に人間とキカイノイドへの影響の大きさが違う。キノコワルドの毒やレトロワルドの精神攻撃は人間の被害の方が深刻で、今回はキカイノイドたちの方が大変。そんで被害の軽い方が打開のために立ち上がる。

異なる者たちが共存することで、その多様性が全滅を防ぎ互いをカバーし合える。そう見せたいのかな?とちょっと思った。

 

街中の金属に追いかけられて逃げ続ける4人は、まずマジーヌが自販機の下敷きになり、ブルーンもトラックと乗用車に挟まれ「アイルビーバック」とターミネーター2みたいなサムズアップでリタイア(笑)。

残ったジュランガオーンに今度は界賊船までコントロールを失って引き寄せられてきた。こういう場合、普通は重量の軽いジュランガオーンの方がぴゅーっと飛んで界賊船にくっつくのでは?とか思っちゃダメ(笑)。あくまで磁石にされた側の方が強い、それこそがジシャクワルドの力のキモなんだよきっと。

 

前回に続く界賊船=妹弟たちのピンチにさすがに危機感を覚えたゾックスは、介人がステイシーにジシャクワルドの居場所を教えてくれと頭を下げる現場に介入。戸惑い拒否モードのステイシーに「おとなしく言うこと聞いた方が良いんじゃない?」と脅す(笑)。「介人はヤツデの孫だ。介人の命を狙ってること、バラされたくはないだろ?」

いろいろと凄い場面。

 

まず敵であるステイシーに頭を下げてこちらに有利な情報を教えてくれ=裏切れと頼む介人。

これまでのステイシーの言動から必ずしもトジデントに忠実な訳ではなく、ヤツデへの態度を見て更に、所属組織の意向に反するこんな願いも聞いてくれる可能性があると思ったのかな。

介人ってうっかりするとあのバラシタラにすら親の情を勝手に読み取ってホッとするくらいだから。ホッとするってことは、バラシタラにすら親の情をフックに話の通じる余地があるのでは?と、もし考えてしまうということだとすると、恐ろしいな介人、と。

 

そんでゾックスはちょっとヤツデさんへのしおらしい態度を垣間見ただけでステイシーの気持ちを瞬時に見抜き、でもその場に乗り込んで正体をバラしヤツデさんに真実を告げるでもなく、単にステイシーにダメージを与えてザマミロするでもなく、今後の恰好な交渉材料として大事に胸に納めておいて、ここぞという場面で脅迫(汗)。

とても正義の味方とは呼べない、ホント強かな界賊って感じ。

介人がヤツデさんの孫って情報は、相手が違えば逆に介人の弱点を敵にバラしたことになるんだけど、ゾックスは逆にステイシーの弱点に出来ると踏んで強気に交渉したってことだよね。

 

そしてステイシーの方は逆にヤツデさんを人質に脅すとか微塵も考えられず、そういうハッタリすら言えずに素直に従う。

つくづく悪役やってくための資質が追加戦士に完全に負けてるよステイシー(涙)。

そもそも侵略対象世界のキカイタコ焼き屋にもたぶんちゃんと料金払ってて、店内がめちゃくちゃで困っていたヤツデさんを助けて片付けを手伝い、そうしたい相手には礼儀も敬語もちゃんと使えるステイシーは、根は素直で育ちも良いんだろうし、彼ほど今いる環境が悪いだけって思わせる悪役も珍しい気がするな。

 

両親失踪時のヤツデさんの慰め方を見ると、介人は両親の愛情は疑ってなくて、だからこそ自分を置いて消えるなんておかしい、何か悪いことに巻き込まれたのでは?という不安に押し潰されそうになっていたのかもしれない。

けど、もしヤツデさんがいなければ自分を捨てたと恨みを育ててしまう可能性も小さくなかったのでは?とも思う。いずれにしても介人はヤツデさんのおかげで両親失踪による心の傷を最小限に食い止めることが出来たんだとすれば、介人とステイシーを分けたのはヤツデさんの存在の有無かも、と思ったりする。

でもトジデントにヤツデさんみたいな人が生きられる余地があったか考えると、やっぱり介人たちが住むあの一際大らかで優しい世界との環境の差は大きいな。

全キャラ中一番ヤツデさんを必要としてるのはステイシーだろうし、早く光の世界においで。

 

ステイシーはジシャクワルドを騙して岩漕山(岩船山の「船」を「漕」ぐの字にってわかりやすい・笑)に誘き出す。

そこに待ち構えていた介人とゾックス。体にくっついた金属が重くて大変だと文句を言う介人にセッちゃんが「悪かったな、チュウ」(笑)。介人が頭下げた時にも「苦しい・・・」と呟いたりしていて可愛い。変身した後も雑にくっついていて何気に戦場デビューしたんだな。

キカイノイドほとではないとは言え磁石状態の介人は、またしても無限鉄骨の下敷きにり大ピンチ。そこに、色んな物がくっついて遠目にわかりにくいかもしんないけどジュランガオーンが、界賊船から逃げ続けてどうせもうダメならジシャクワルドを巻き込んでやると向かってきた。たまらずワルドが磁石パワーを弱めると、船はかけ続けていた逆噴射で遠くに吹っ飛び、ジュランガオーンも介人も大物金属が体から離れて動けるようになり、形勢逆転。

更にすかさずセッちゃんの指示で介人がファイブマンのギアを使うと、「磁石は熱を加えると磁力が弱まる」みたいな理科の知識が介人の口からスラスラ。理科の先生であるファイブレッドの能力で、「介人が、賢い?」と声を揃えるジュランガオーンが酷い(笑)。まあ氷河期知らなかったから仕方ないけど、介人は知識はなくても対人では賢いと思うぞ。

 

ジュランが自分にも火力があると思い出して「貰って貰って」とガオーンにも分け、ツーカイザーシンケンフォームとの炎の連携攻撃が、カメラワークも相まってめっちゃ格好良い。そんで今回のトドメはゼンカイザー単独。

それを見届けて「これでいいだろ」とステイシー。ゾックスがせっかく握ったこの弱味を手放すとは思えないから、この先も「バラされたくなければ」と骨の髄までしゃぶられてもおかしくないと思うんだけど(汗)。

 

ダイジシャクワルドにはまずツーカイオーリッキーが立ち向かおうとするも、磁石の同極が反発する力を利用して合体解除され、遙か彼方に飛ばされてリタイア(笑)。販促がひと段落したとたん、容赦なくギャグと共に他のロボとの販促バランスを見られて、前回の等身大戦不参加に続いて今回はロボ戦不参加。まあ近所の玩具屋さんだとツーカイオーは売り切れていてたぶん次の入荷までもう暫くかかるだろうから、今回はゼンカイオー販促でいいのかも。

そのゼンカイオー2体も合体解除させられたけど、ガオーンが自分たちの反発を逆に利用してジュランを飛ばし攻撃させ、意図に気付いたブルーンマジーヌもこれに参戦。ひたすらボールのように飛び交って斬りつけているジュランが酷い絵面なんだけど、ピンチを逆手に取ったこの作戦を即座に受け入れていて、やっぱりこの人は大人だ。

たまらずダイワルドが極を反転させると今度は全員くっついて、「・・・何これ?」という間の取り方が凄く中澤監督(笑)。

全員その位置から一斉に何言ってるのかわからない必殺技の名を叫びながらフィニッシュ、というどこか間抜けな流れがやっぱりゼンカイジャー。

 

トジデントでは、幹部2人がゲゲの失敗をあげつらい、ペットの分際であまり偉そうな口を聞くなとか、ここぞとばかりに日頃の鬱憤を晴らそうとする。

だけどゲゲは「でも僕が手を出した事で、ボッコワウスの機嫌が直ったと思わない?君達はこれからも、自分のやりたい事を試してごらんよ。また僕が機嫌を取ってあげるからさ」

と、ゆったり構えた気怠げな怪しい声で、自分の存在は2人にとっても有益でかつボスの機嫌は自分次第だと優位性をアピール。

更にステイシーにも「今は黙っておいてあげるよ」とこっちも弱味を握ったことを仄めかしながら高笑いして舞い上がる。

冒頭ではいかにもボッコワウスに甘えて取り入る女幹部みたいだったけど、何種類かの声のトーンを自在に使い分けて、なんだか底が知れず不気味な存在感が増した感じ。

 

カラフルでは夕食が終わって、キカイノイドたちは昼間の疲れで皆うたた寝してしまった。

起きているのが介人と2人だけになったヤツデさんは、サトシと何かあったのかと聞く。昼間の皆の態度を見てそんな感じがしたと。サバサバしているようで、こういう時の聞き出し方が、繊細だな。

介人は「えっと・・・前に喧嘩したんだよね、派手なヤツ。でも、今度あいつが来たらまたカラフルサンデー食べさせてやってよ。今度は俺のおごり」

敵であるステイシーがこれからもここに来て、ヤツデに優しく接して貰えることを望まなければ出て来ない台詞。ヤツデには絶対危害を加えないし、それどころかたぶん慕っていることも今回のことでわかり、ステイシーの境遇にも思うところがあるんだろうか。

「こーんなの作っちゃおうか!」と互いに身振りでふざけるやりとりが可愛く優しくて、ホント好きだな香村中澤コンビのこういうラスト。

 

ステイシーは今のトジデントに大事な物も忠誠心もなく、その行動原理は反発する父親を超える手柄を上げることと、大嫌いな介人を倒すこと。

でもそれならゼンカイジャーの根城と家族の存在はトジデントにとって願ってもない情報で、それを差し出せばステイシーの功績にもなって、介人も苦しめられたはず。

なのに報告もせず介人にもヤツデさんにも手出しせず、黙ったまま逆にヤツデさんに嫌われたくないからと、味方のワルドまで売った。

ヤツデ観音にとってはこれまでその手を差し伸べてきた多くの人の中の1人なのかもしれない。

だけどステイシーにとってヤツデさんはたぶんもうきっと、母親の死後初めて出来た、たった1つの宝物でしかないんでは?と思うとちょっと切ない。

ゼンカイジャー15話感想: カラフルは新しい世界への第一歩

カラフルを外から覗いていた男の子は最近引っ越してきたばかり。新顔の子供ちゃんに早速食いつくガオーンやヤツデさんたちの歓迎ムードにも尻込みして帰ってしまう。「昔の自分見てるみたいで、辛っ・・・」と言うマジーヌの言葉を聞くヤツデさんの、何か思い当たったような表情が印象的。

追いかけようと外に出た介人たちの前でまたしても世界に異変が起こる。

 

今回の怪人はレトロワルド。その力で、スマホが昔懐かしい黒電話になったり車がオート三輪になったり。算盤とかもうすっかり見かけなくなったな、と遠い昔になった子供時代を思い出した。

町並みもレトロに変わって、なんか「三丁目の夕日」の趣き。

そこへ例によって上空からゾックスがヨホホイと来襲。いきなりダイブじゃなくてワイヤーでゆっくりとなのは、カタツムリワルドの時の苦い経験から、世界丸ごと影響を及ぼすタイプの敵には用心するようになったのかな?

すぐにゼンカイジャーたちも参戦。「また手柄取られねえうちに」とジュランが言ってるのは、一緒に祝勝会をやってもなし崩し的に完全な仲間になったわけではないと改めて線引きしてるみたいで、こういう台詞の使い方が香村さんは相変わらず上手い。

 

一気に多勢に無勢となりボコられて戦況不利とみたレトロワルドはレトロ電波発射。

介人たちは装備がレトロ化して変身解除、しかも外見もレトロ化して、介人はまるで70年代のアイドル歌手とかみたいな髪型と服装に。ごめん、正直いつもの普通な良い子っぽい髪型より格好良く見えるかも(笑)。

ジュランはストーンウォッシュのデニムの上下(袖なし)、ガオーンはヒッピー、マジーヌは70年代の幼女、ブルーンは鳥撃ち帽にインバネスコートで探偵みたいな姿に。眼鏡も黒縁丸眼鏡に変わってるのが細かい。

そんでゾックスもなんだか昔のステージ衣装っぽい白のフリンジスーツ姿(笑)。色素薄いから余計に白っぽく感じて、予告で見た時は最初誰かわからなかった(汗)。再度変身しようとするも、ギアダリンガーも木製にレトロ化して音楽も鳴らず、無音のまま律儀に踊ってるのが凄くシュール(笑)。

ボソボソと「教えてやれよ」と呟くジュラン、やっと変身出来ないことに築き驚くゾックスに、「気付きましたあー?」って棒読み敬語でおっ被せるな(笑)。

レトロの影響力は上空の海賊船も木製の帆船に変えてしまう。墜落していく船を追いかけ妹弟たちの名前を叫びながら血相変えて猛ダッシュのゾックスに、やっぱりこの人の普段の余裕な態度は妹たちを安心させる鎧なんだなと改めて。

8話ラストに登場して以来、ここまでの全話数の半数近く続いたツーカイザー販促期間もひと段落して、いったんゾックスからスポットを外すとともにキャラをもう一段崩してきた感じ。

 

トジデントでは相変わらずボッコウスの振り下ろす鉄拳で幹部2人が跳ねまくっていて、高くゆったり弧を描いた宙返りも好きだけど、数で推してく中澤監督スタイルも好き(笑)。

今回の作戦はバラシタラでもイジルデでもなくゲゲの独断だった。相変わらずボスの寵愛を一手に受けてるけど、何となくポジション的に香村戦隊だとナリアやゴーシュを思い出して、こいつも最後は無残に切り捨てられるんだろうか?とついつい思ってしまう。

 

この世界の人々は突然世界が一変しても相変わらず「あっちゅう間に馴染んじゃって」、むしろ目をキラキラさせて「レトロ可愛い~」と楽しんでいる。さすが突然大量発生したキカイノイドたちともたった数ヶ月で平和的な共存関係を築き、「(頭に)キノコ生えるくらい良くない?」と言い放てる適応力と大らかさを兼ね備えてるだけあるわ。

なお道行く人々のファッション見ると、一口にレトロと言っても時代は一定じゃなく、いろいろ混じってるみたい。

 

でも、冒頭でカラフルを覗いてた子、諒くんにとっては見知らぬ世界のダブルパンチ。すっかり途方に暮れ、道端で体育座りしてしまう。慣れるのに時間のかかるタイプの子には、こんなの一気に来られるとキャパオーバーになるよなあ。

それをヤツデさんが見つけ、逃げたレトロワルドを捜していた介人たちも合流。皆が単にレトロ化された世界で帰り道が分からなくなった心細さだと思って励ますのを、マジーヌだけは「じゃなくて!その子、引っ越して来たくなかったんだと思う」と過去の自分と重ねて正しく理解し、寄り添う。

でも自分も内気なマジーヌは、分かるからこそちょっと離れた場所からそれ以上踏み込めなくて、そのバトンを受け継いだのが、冒頭でマジーヌの「昔の自分~」を聞いていたヤツデさん。

そう言えばマジーヌが初めてカラフルに来た時も、彼女の心細さが分かるや否や速攻で同居しようと助け船を出してたっけ。

あくまで明るく元気に自分を「ヤッちゃん」と名乗り、一緒にこの世界を探検しに行こうと提案。

「こんな時に?」なガオーンに

「どんな時もだよ!今とこれからを、笑って過ごせる方がいいだろ?」と笑顔で言い放つと、諒くんの手を引いて元気にしゅっぱーつ。

介人はその姿に、両親がいなくなった後、自分を育ててくれたのがヤッちゃんだからと語る。五色田夫妻=両親が消えた直後、寂しさと不安で落ち込んでいた介人を、ヤツデさんは目一杯元気な顔と声で励ましてくれた。

私はむしろ母親としてのヤツデさんに感情移入してしまうので、我が子が行方不明になるなんて彼女にとってもダメージは大きいはずなのに、孫のために頑張って元気を振り絞ってるんだなと切なかったな。

 

ヤツデさんは諒くんにいろんな物を見せて体験させて楽しませ、そうか今の子は、つまみでチャンネルを変えるテレビなんて知らないんだな、と今回は懐かしさと同時に自分の体験してきた物や時代がもはや「レトロ」のフォルダに仕分けされているのをしみじみ実感して複雑な心境(笑)。

 

そんな街中を独り鬱屈して歩いているのは、前回ゼンカイジャーと界賊のタッグに手痛い敗北の洗礼を受けたステイシー。イジルデとも手を切って次に打つ手を考えるべきかと考えつつ、踊る竹の子族の異様な光景に足を止めたところで、ヤツデさんとの出会いはスローモーション。

私、ヤツデさんを一番必要としてるのはステイシーだろうからカラフルに来てほだされる展開を望んではいたけど、まさかステイシーが一目で自分の母親と重ねて来るとは思わなかったよ(汗)。

榊原郁恵さん、介人のような大きな孫がいる祖母としては若過ぎるくらいのキャスティングだなと思ってたけど、若い俳優さんが演じる少年?の母親と重ねる狙いがあったってことなのかな?今は40代50代の女優さんて皆若くて綺麗だから、ステイシーが慕ったら生々しく見えちゃうかもしれないけど、郁恵さんはそれを防ぎつつ母親と重ねられる若さもあるっていう難しいラインを狙ったのかもしれない。

回想では母親の顔は映されなかったけど、衣装の感じからしてまた別の世界の人間、そんで身分が高そう。トジデントに征服された異世界の王族とかの血筋だろうか?トジデントでは臣下のバラシタラの息子なのにサブタイトルで「王子」って言われててちょっと違和感あったけど、母親が別の世界の王族で、そちらにとっての「王子」?

 

ステイシーは後ろ髪を引かれながらその場を離れ、入れ替わるように介人たちが現れて、竹の子族と一緒に踊っているヤツデさんと笑顔の諒くんを見つけると、ガオーン始め皆で喜んでいて、こいつら基本的に良い奴らなんだよなと、ほっこりする。

 

でも、一見、人々が早々に適応出来そうな世界こそが曲者なのがゼンカイジャー。「生えるくらい良くない?」だったはずのキノコたちが毒胞子を放出したように、レトロワルドがレトロパワーをアップさせると、人々は良かった過去の思い出に浸ってへたり込んでしまう。あれほどポジティブ全開だった介人もヤツデさんも、両親であり息子夫婦がいた頃の思い出にどっぷり。

突然画面がセピア色かつ左右両端が黒いブラウン管サイズ(笑)になり、中澤監督は何が起こったかを画面で分かりやすく見せるアイディアの引き出しが本当に豊富。

浜辺では界賊一家も弟たちが人間の姿だった頃に浸って無力化。プリントは昔懐かしい肩パットの目立つボディコン姿(笑)。

「昔の良かった思い出に浸り続ける事で、人々の思考は停滞し、彼らの世界は死んでゆく」

のがこの作戦の本当の狙いだった。

でもそれを打ち破ったのが、一緒にへたり込んでいたキカイノイドたち。

彼らの思い浮かべた「あの頃」が、

ガオーン→自分と同じキカイノイドたちの姿に、(他の世界の生物を知らないから比較対象がなく)なんかよく分からないけどコレジャナイとモヤモヤ。

ジーヌ→近所の子たちの輪に入れず遠くから見ていた引っ込み思案な少女

ブルーン→掃除係として名前も覚えて貰えず軽んじられ虫ケラ扱い

ジュラン→トジデント兵に路地裏で理不尽に叩きのめされるままの無力なおっちゃん

で、「あの頃・・・どの頃?」「無い!」と気付くと立ち上がり、乱暴に画面の黒端部分を物理的にはね除けると、画面のサイズと色が雑に元に戻った(笑)。

「ちげぇわちげぇわ、良かったあの頃なんて無かったわ俺たち!」

良い思い出がなかったことをテコに過去より今、未来が良いと敵の作戦を打ち破る。

ガオーンは自分の性癖、マジーヌは自分の性格に起因するんだけど、ブルーンとジュランはキカイトピアがトジデントに支配され庶民が虐げられていたのが原因。そりゃあポッと出現しちゃった自分たちを速攻で受け入れ普通に一緒に暮らして貰えているこの優しい世界の方がずっと良いよな。

ジュランたちの他にも立ち上がれたキカイノイドたちがいて、こちらの世界でいつめ仲良く共存している人間たちがへたり込んだままなのを心配している姿が、それを裏打ちしている。

あと、普段からポジティブな介人や「今とこれからを笑って過ごせる」ために努力してきたはずのヤツデさんが打ち破れなかったのは、単に今より昔が良かったっていうより不自然な形で失った大事な人たちを取り戻したい気持ちが強く、「別に取り戻さなくていい、今の方が大事」とは思えないからなのかもしれない。

そういう点ではジュランも家族を失ってるんだけど、キカイトピアではよくある事すぎて「そういう物」と消化されちゃって、かつ普段の圧制の酷さに紛れて「今の方が良い」と思わずにいられないのかもと思うと、不穏。

 

・過去にロクな思い出がないために過去に浸る精神攻撃を振り切りピンチを打開したキカイノイドたち

・片付けられない故にゴミ世界に耐性がありダメージを受けなかったマジー

・帰る場所がないために強制帰宅ビームが効かなかったルパパトの魁利

・サボり気味で肩の力が抜けてたためにスイッチ探しの苛立ちからの仲間割れを救ったジュウオウジャーのアム

 

香村さんが時々描く、マイナス面も時にはプラスに変わる局面もあるんだよって視点、結構好きだな。

 

それを待っていたかのように近くのピンク電話が鳴る。ブルーンが出ると、レトロ化で無線が使えなくなったセッちゃんが黒電話でレトロワルドの位置を特定&指示を出して、今回は絵面がホント楽しい。

 

介人は相変わらず浸りきりなので、ジュランがギアを1枚だけ拝借して、今回の等身大戦は人間抜き。

「皆が皆、昔が幸せだったと思うなよ!」というガオーンの台詞の力強さに泣く(涙)。

自力でレトロをはね除けたことでギアトリンガーも使えるようになったのか(服装はレトロのままだけど)、変身してキカイノイドだけの4人名乗り。

「介人とヤツデのいいとこ曇らせやがって」と怒り心頭のジュランたちは、ゾックス登場以降扱いが若干割を食ってた分を取り返すかのように大暴れ、。

フルボッコにされたレトロワルドが時を巻き戻して受けたダメージを初期化すると、タイムレンジャーのギアで対抗し時とダメージを元通りに。今回ジュランはこのために敢えてこのギアを選んで借りたのか。

「俺らは<今を生きる未来人>なんでよろしこ」とタイムレンジャーOPの印象的なフレーズも拝借するジュラン。

東映公式によると脚本では「俺たちは未来へ進むんでよろしく」だった台詞を浅沼さんがまたしてもアレンジしたとのことで、浅沼さんのアドリブはどれだけこの作品の面白さを底上げしてるんだろう?ホント凄い。

 

レトロワルドは撃破され、人々は元に戻る。諒くんも「僕もう元気だよヤッちゃん」と笑顔を取り戻し、頭を撫でるヤツデさんが本当に嬉しそうで、なんだか本当に八手観音様みたいだ。

 

等身大戦に加われなかった介人とゾックスも元に戻り、ダイレトロワルドにはジュラガオーンとツーカイオーで立ち向かう。

ダイレトロワルドの懐かシールド攻撃でレトロな単語しか喋れず意思の疎通が出来なくなり思い切りスペシウム光線食らってシェーとか言ってたけど、セッちゃんが攻撃は普通に効くと諭すと、私にはだいたい意味のわかってちょっと複雑な気持ちにもなるフレーズを連発しながら普通に撃破(笑)。

 

後日、介人ジュランガオーンは街角で友達に混じって笑っている諒くんを見つける。だから最近カラフルに来なくなったのかと寂しがるガオーンに、カラフルしか行く場所がないよりずっと良いと介人。

その後で諒くんは友達を連れてカラフルにやって来て、マジーヌとハイタッチ。

諒くんは、自分の気持ちを正しく分かってくれたマジーヌと一緒に未知の世界を探検してくれたヤツデさん、心から歓迎してくれるガオーンたちのいるカラフルを足がかりにして、外の世界に踏み出せたんだな。

カラフルは今はもう諒くんにとって唯一行ける場所ではなくて、行かなくても大丈夫だけど何かあったらいつでも帰ってこられる心の拠り所になったのかも。

 

そんで予告を見たら、ここまで一人だけシリアスを貫きゼンカイジャーのトンチキ世界に馴染めないでいたステイシーが、カラフルでサンデー食べてて自分から「サトシです!」って言ってるから、私は吹き出した。

諒くんがヤツデさんとカラフルを足がかりに新しい世界に踏み出せたように、ステイシーもヤツデさんとカラフルを足がかりに立派なゼンカイ世界の住人としての第一歩を踏み出せる予感に胸熱だよ。

ステイシーは、生まれた時からはみ出し者でトジデントに大事な存在はおらず、父親への対抗心から今所属している世界の悪しき価値観に添ってるだけ。

侵略対象の世界でもお金払って穏便にたこ焼き食べてたんだから根は温厚で育ちも良さそう。

初陣はつい最近で前科もなさそうだし、他所の世界に大事な存在が出来れば余裕で改心組になれそう・・・って所に母の面影を宿したヤツデさんと出会うとか、もう期待しかない。

ヤツデさんが想像以上にヒロインだったな。

 

今回、改めてカラフルの設定はいいなとつくづく思う。

・駄菓子屋カフェだから人間もキカイノイドも気軽に入れる。

・ジュラン達も店の手伝いをすることで居候にはならず、客特に人間と自然に交流する場面が作れる。

・間取りが広いからいっぱい人が入れて作戦会議もアクション交えたドラマも可能。

・もんじゃ焼の鉄板卓を囲んで大勢で一緒にわいわいご飯。

ゼンカイジャーの優しい世界観を底上げしてくれてる。てか近所に欲しい(真顔)。

今回のエピソードで改めて、ヤツデさんのいるカラフルは誰かと誰かを繋げたり誰かの世界を広げてくれたり出来る、ゼンカイジャーのテーマを象徴する場所なのかもと思った。

介人とジュランたちを繋げ、キカイノイドと人間を繋げ、ゼンカイジャーと界賊を繋げ、諒くんを新しい世界に踏み出させ、もしかしたらステイシーをゼンカイジャーとも繋げてくれそうなポテンシャルもあるんだな。

 

ゼンカイジャー14話感想: 変わっていくための洗礼

前回リサイクル戦隊ダイワルジャーに敗れて吹っ飛ばされたゼンカイジャー。意識を取り戻して立ち上がると、世界が元に戻って行く所。

きっとツーカイオーが倒してくれたんだと確信してゾックスの元へ駆けつけ、介人とガオーンは思い切り感謝を表し、マジーヌも賞賛、ジュランも態度を軟化させて、たぶんカラフルから持ち出した小さな買い物籠に山盛りのトジルギアを渡す。

「SDトジルギア、あるといいな」と介人。「こんだけあんだ、あんじゃね?」とジュラン。

でもゾックスは厳しい顔でそれを受け取り「ああ、そしたら話は簡単だ」と素っ気なく去る。

 

その理由。

味方のはずのリサイクルワルドを倒したステイシーは、ゾックスに対し、探しているギアを渡すからゼンカイザーを倒してくれと取引を持ちかけた。そんなことを言われても信用出来ないゾックスは、それでも「欲しいものは自分の手で奪いとる」と本家宇宙海賊みたいなことを言って、ギアを貰うのではなく自分をトジデントに連れていくよう条件を変更して、一応交渉成立。

「そしたら話は簡単だ」ってのは、SDトジルギアが見つかれば、介人を倒す必要がなくなるからか。本音は介人と戦いたくはないってことで、だから籠一杯のトジルギア=介人たちの自分たちへの思いやりを受け取る時に浮かない顔してたのか。。

それでも「ゼンカイザーを倒した後、もしトジデントに乗り込めなくても、俺たちに損はない」と、あくまで弟たちのためにそういう気持ちを押し殺してるっぽい兄貴を見据えて、フリントが「うん、騙されて、ムカつくだけ」と言い放つのが印象的。ゾックスも思わず妹の方を振り返る。

なんだか、損が無ければ騙されてムカつくことも甘んじて受け入れようとする兄の姿に苛立って、これでいいの?と問いかけてるようにも見える。介人達のサンバに大笑いしてたゾックスを見て戸惑ってたのと結びつけると、余計にそう思えるのかな?

「本当は介人の事、気に入ってるんじゃないの?なのに信用出来ない奴らの話に乗って殺すの?

そりゃ弟達を元に戻したいけどその為に兄貴が騙されて殺したくない奴殺して、ムカつくかもしれない道を敢えて選ぶの嫌だな・・・!」みたいな。

おまけに介人たちが集めてくれたギアは結局、全部偽物だった。それがテーブルに散らばる様は、「騙されて、ムカつくだけ」を、これから起こるかもしれない事から既に現在進行形で起きてしまっている事として突き付けているみたい。私が彼らなら、たぶん惨めだと思う。

それを受け止めたゾックスは暫く考えて「よし!」と心を決める。

 

カラフルを訪れ、介人に決闘を申し込み、ステイシーとの取引を打ち明けるゾックス。

皆が抗議の声を上げて詰め寄る中、介人だけは正直に打ち明けてくれたことを喜び、承諾する。

「不意討ちとかじゃなくて、こうやって本当のこと話してくれて、勝負だって言ってくれたんだよ?嬉しくない?」

いや嬉しくない(汗)。そこまで相手の立場に立ちすぎる君の基準で自信満々に同意を求められても困る(笑)。そんな介人を驚いた目で見つめるゾックスの真剣な表情が好き。

そのあとに「俺が勝っちゃうかもしんないけど」と笑うのは、ゾックスの心を軽くしていて、粋。スマートだな。

もともと香村さんはヒーローのスマートな会話を描ける人だけど、介人は最初にぶっ飛んだトンデモお馬鹿なところを描いてから徐々に盛り込んで来るから、ギャップで余計に効く。そのギャップもキャラブレじゃなくて、ちゃんと介人の一面なのが凄い。

 

トジデントでは、イジルデがリサイクルワルドをステイシーに倒させたことを、バラシタラが激怒して詰め寄る。イジルデがとぼけると「貴様は技術だけ提供していればいいのでアル!余計なことはするな!」。

うん、理由は後で書くけど、バラシタラがこう言いたくなる気持ちはわかる気がする。

 

介人とゾックスは、両応援団の声援の中、再び決闘。シンケンフォーム→じゃあライブマンの剣で対抗→ではオーレンフォーム→だったらバトルフィーバーの力、で体が勝手に踊り出す介人(笑)。それを見てゾックスも「ダンスで俺に勝てると思っているのか!」とダンスで張り合い、緊張感ゼロ(笑)。

これが命を賭けた決闘の一場面として組み込まれても「ゼンカイジャーだから」と許される世界観がすっかり確立してる。なんせ私も含め視聴者は、空から降ってきた途端ヨホホイ歌って踊り出す追加戦士の初登場に脳がパニック起こした経験とかでかなり鍛えられてるからな(汗)。

ゾックスが次に使ったのはキュウレンジャーのギア。介人が使った時は怒濤のラッキーパワーだったけど、今回は追加戦士、それもホウオウソルジャーじゃなくてコグマスカイブルーという変化球。その力で巨大化して介人を踏み潰しにかかる。

介人はマスクマンの力を使うも何も発動せず、ゾックスの一撃に大爆発。跡形もなく消し飛んだかのようで、ゾックスの勝利宣言=介人の死にジュランたちは嘆き悲しむ。

 

そこにステイシーが現れると、約束通りトジデントに連れて行けと迫る界賊一家に「いいとも。ただし首だけね」と早々に騙したことを明かして、クダックに取り囲ませる。

いや待て。凄くしてやったり顔なんだけど、ゾックスの戦力考えるとクダックもそんなに数多くないし、すぐ近くにジュランたちもいるし、ツメが甘いにも程があるんでは?と思ってたら、空からクダックが銃撃される。

やっぱり介人は生きていた。マスクマンのオーラパワーで宙に浮いている。最初から介人側とゾックス側が示し合わせた芝居だった。

ジュランたちが全力全開でおいおい嘆き悲しんでたのも全部、劇団ゼンカイジャーの素顔のまんま公演で、台詞とかポーズとか、お前ら練習したろ!

 

「どうして・・・疑わしくても僕の申し出に賭ける方が、目的を果たせる確率は高かった筈だ」と狼狽えるゾックスに

「だっておまえより、介人の方が面白いんだよ!」

「あたし達、ゴールドツイカー一家のモットーは」「面白そうな事にはー」「頭から突っ込めー!」

 

罠と分かってもギアを回収しようとするのを見た時は、ゾックスって一見脳天気に歌って踊ってるように見えて、本質は凄く悲観的で慎重な人なのかとびっくりした。

でも、そもそも戦う為に変身するだけなら、その前にあんな全力ダンスを組み込む必要なんかないわけで。

本質はどっちか選ぶなら面白い方がいいじゃんな人が、弟たちの呪いを解く使命感にがんじがらめになって目的の為には石橋を叩き壊してでも可能性を網羅する慎重さ冷徹さを見せてたのかな。

それが介人の面白作戦とかその根底にある優しさに触れて、変化するというより本来の姿を取り戻したみたいな?

 

罠だとわかっても可能性を捨てられずに、元人間傷付けてもギア回収するってのは、結局トジデントの策にまんまとハマめられてるってこと。

それを介人達は、人々を傷付けず、ゾックス達の目的も果たせてしかも面白い、根底にいろんな優しさと配慮の詰まった作戦を繰り出して罠に勝った。

でもそうまでして集めて貰ったギアは結局全部偽物だったことで、これ以上トジデントの思惑に乗っかる事への嫌悪感と虚しさを煽り、介人たちの方に気持ちが傾くのを加速させた面もあるのかな。

 

2話に渡ってゼンカイジャーと界賊を戦わせようとしたトジデントの作戦は、怪しいさ信用出来なさ満載であっさり寝返られる今回のイジルデ&ステイシーの作戦より、罠だと分かっていても思惑に乗せてしまうバラシタラの作戦の方が人の心理を嫌らしく突いていて優秀だと思う。

無生物の機械が専門でマッドサイエンティストな気もあるイジルデに対し、バラシタラの方は生きて意思のある敵を相手にした駆け引きや攻防の場数が違うって感じがする。

一方で、バラシタラの作戦が嫌らしい分だけゾックスたちの怒りや嫌悪感を余計に煽り、イジルデ&ステイシーの作戦の成功率を下げたかもな、とも。もし今回の作戦がバラシタラの作戦の前だったら?と思うと、ステイシーは結局父親に足を引っ張られた面もあるかも。 

 

ただしステイシーも策士を気取りながら、自分が騙しているように相手も騙し返してくる頭と可能性があるとは微塵も考えなかったんだよな。

それに対し、正面から勝負を挑んでくれたと喜んだ介人は、一見底抜けのお人好しのようでいて、不意打ちという手段を考えうる頭と立場がゾックスにあることを踏まえていた。

ぱっと見や言動から一見頭が良さそうに見えるのは介人よりステイシーだけど、相手の立場に立ち尊重して推し量る姿勢の有無が、対人関係で介人の方をずっと賢くしてるように見えた。

なんかステイシーって、境遇が理由で心を閉ざし自分の世界の中だけで完結して生きてきた人って感じがする。今回は界賊を舐めすぎっていうより、そんな人が経験不足のまま、他人の思惑がビシバシぶつかり合う現場に飛び込んで、上手くやってみせるつもりが現実はいろいろ行き届かず全敗、みたいな若干身に覚えのあるいたたまれなさを感じて冷や汗が(笑)。

「一億年早かったな」にぐうの音も出ない。

だからと言ってあんな非道なトジデントで心を開いて上手くやっていけたとしても、それはそれでどうなの(汗)?ってのもある。ただ、その外見からトジデントの中では生まれついてのはみ出し者だったろうし、誰かを面白いと思ったことなんてきっと一度もなければ、面白いことに価値を感じたこともなさそうなのが不憫ではあるかな。

 

で、たぶんバラシタラはそんな息子の未熟さを十二分に理解してたんだろうなと今は思う。正直、ステイシーがいかに反発して張り合おうとも、きっと現時点ではバラシタラには到底及ばない。

騙し返されたと知ったステイシーが敵の前で素直に可愛く(笑)涙目になってるのを見ると、バラシタラはそんな息子の初陣に本心では心配でじっとしていられず出張って、銃のエネルギー切れで袋叩きにされそうなピンチを救いドアワルドをお守りに付けてエネルギー復活の時間を稼がせたのでは?と、やっぱり思いたくなるな。

 

手を組んだゼンカイジャーとゾックスは一列に横並びで同時変身。画面の右端でずっと踊ってるゾックスが面白くてどうしてもそっちに目が行くけど、ゼンカイジャーの一斉変身って、ジュラガオーン→ブルマジーン→介人の順にくるっと回ってたんだなと今更。まともな一斉変身見るのいつ以来か(笑)。そんで初めての6人名乗り。

 

介人とゾックスの2人がかりで挑まれたステイシーは、ジャッカー電撃隊4人を召喚して対抗。スクラム組んだ必殺技?でまんまと介人をうっちゃる。

1人残されたゾックスに、セッちゃんがブルーン経由でジャッカー電撃隊のギアを使えと指示する。従うと、ビッグワンが出て来て悠々とゾックスに同化し、その指令でジャッカーたちは逆にステイシーを攻撃(笑)。

「今のはビッグワンの技、というか、権力チュン。ビッグワンはジャッカー電撃隊の行動隊長チュン」

・・・敵に操られて正義側を攻撃させられていた戦士が、逆に操ってた側を攻撃するバグを起こす要因ってのはこれまでもいろいろあった。

 

・ヒーロー側の熱い正義の心

・仲間を思う強い友情や絆

・子供達の純粋な心

・家族の愛

・ヒロインが流す涙

・一般市民一人一人の思い

・技術力の勝利

・奇跡

・・・そして今回、

・権力←new!

 

斬新だな(汗)。

ゴーカイジャーでは主に人数の都合で初期戦士枠だったビッグワンだけど、今回は追加戦士でとしてゾックスが使える力となり、見事に逆転、というか自分の出した戦士に<権力>によって逆に襲われるなんてゼンカイジャーらしいギャグなんだけど、あくまで真面目に狼狽えてるステイシーが不憫(笑)。

ジャッカー電撃隊の暗黒ギアにビッグワンがいなかったのは、もし初期戦士しか実体化する機能を付けていなかったのならイジルデの落ち度だからステイシーは怒っていいと思う(笑)。

やむなくステイシーがジャッカーたちをデリートしたところに介人が戦線復帰して、戦闘員たちもジュランたちに倒されて、いよいよステイシー1人に。

介人の「ステイシー、これで終わりだ」は、本気で倒そう(殺そう)としてると見ていいのかな?以前は戦うのを躊躇っていたけど、今回ゾックスに仕掛けた罠の卑劣さは許せないようだし。

 

そこにバトルシーザーロボが飛んできて、ステイシーはその操縦席に逃げ込み、ここから先は俺たちにと、ツーカイオーが一体で立ち向かう。やっと玩具が発売されたばかりだもんね。販促は大事。

まずツーカイオーリッキーでバトルシーザーロボの腕から放たれたミサイルをワニの口がぱくり。

だったらとバトルシーザーロボが剣を取り出すと、ツーカイオーカッタナーにチェンジして、いつの間にか陽の傾いた荒野で剣豪対決の趣き。雨中対決の時もそうだったけど、凝った舞台装置での睨み合いからのロボ同士の殺陣が迫力あって格好いい。火花散る斬り合いからバトルシーザーロボの刀が飛んで、最後は烈火大斬で勝負あり。

夕日をバックにススキと共に佇む侍ロボの姿は、なるほどOPで何話も前から使いたくなるビジュアルの良さ。

派手に爆散したロボから投げ出されたステイシーは「覚えていろ、ゼンカイジャー、ツーカイザー」とススだらけの顔で、いかにもな捨て台詞を吐いて撤収。

 

その夜カラフルでは界賊一家を招いて祝勝会。ヤツデさんが「孫を助けてくれたお礼だ」と、ピザすき焼きとかご馳走の大盤振る舞い。界賊たちは着実にヤツデさんに胃袋を掴まれていると思う。

「皆で力を合わせて、トジデントの企みを破ったお祝い」だと「本日の主役」と書かれたタスキをかけられて、ゾックスは「なーんか、ちょーっと違うけど、ま、いっか。腹減ったし」と、まんざらでもない。

家族で撮った写真を見ながら「なーんか、どんどん世界広まってる気がするな」と呟く介人に、「お前も他の世界行ったことないだろ」とゾックス。

「でも、皆が来てくれて、仲良くなれたし」

「今回はたまたまだ」

「またまたあ、俺のこと、面白いって思ったくせに」

「まあ、そこはな」

まだ心を1つにする仲間じゃないし、目的の違いからそうなる日が来るのかわからない。この先もなかなか飛び越えられない溝が露わになるかもしれない。

けど、距離は確実に縮まってる。

 

介人は両親と祖母の愛を信じて伸び伸び育ち、ゾックスも両親は知らんけど兄弟仲良くわいわい。育った環境は違っても、信じて拠り所に出来る愛に支えられた者同士がちゃんとコミュニケーション取れて仲良くなる一方で、そういう存在のいないステイシーは今の所誰ともちゃんと向き合えずにいる。敵だからって以上に、育ってきた環境が明暗分けてる感じで残酷だなと思った。

先に転校してきたのに、育った境遇からクラスメイトのファンキーなノリについて行けず浮き始めた所に、後から転校して来た陽気なヨホホイの方が乱暴で自分勝手でもクラスメイトとガンガンぶつかっては距離を縮め早々に馴染んじゃったから、余計に取り残されてる、みたいな辛さも感じる。

でも香村さんのことだから、きっとステイシーも、どっちのベクトルかはわからないけど変わって行くんだろうな。今回はそのための手痛い洗礼みたいな感じで。

だから次回、ヤツデさんと出会うらしい予告を見て、ヤツデさんの差し伸べる手がステイシーにも向かないかと凄く期待してしまう。個人的には「ステイシーちゃん」と呼ばれて欲しい(笑)。

 

ゼンカイジャー13話感想: 加藤監督参戦 サンバで楽しく再生怪人回

介人と買い物に出た道すがら、話しかけた子供ちゃんたちに猫じゃらしでくすぐられて土手を転がり落ちるガオーン。自分がゼンカイジャーになったことで人間ちゃんの方からじゃれてきてくれるのが嬉しくてたまらず介人に礼を言う。なんだろう、ガオーンが人間ちゅわんたちに触れ合えて喜んでるのを見ると、こちらも嬉しくなってきて、ほっこり。

そこにリサイクルワルド登場。ゴミワルドそっくりの姿にリサイクルマークのシール貼っただけの、潔いくらい再生怪人(笑)。人間たちを次々に頭部のバケツに吸い込んではクダックに作り替えて、それをリサイクルと称している。

モチーフと能力の結びつけがいささか強引だけど、香村さんはここんところ必殺奥義「強引でも何でも因果関係があると説明出来れば良い」を獲得してそれを駆使している感じに迷いがないというか、したたかな肝の座りを感じる(笑)。

クダックにされた人たちの中には、さっき自分とじゃれ合った子供たちがいると気付いたガオーンは愕然。彼らが襲ってくるからとりあえず2人とも変身したけど、傷付けるわけにいかず対処に困っているところにヨホホイ参上。こちらはクダックが元人間だと知っても当然お構いなし。

しかもバラシタラが元人間クダックたちにトジルギア?を配布していたことを知り、ゾックスはますます積極的に倒してギアを回収しようとする。

セッちゃんの指示で介人がデカレンジャーのギアを使った所にジュランたちが到着して力を付与。その力とは、ただの手錠っていいのかそれで(笑)。

でもそれでゾックスを拘束出来た。連行するジュランが「暴れんな!神妙にお縄を頂戴しろ!」と意気揚々と楽しそうで、お前絶対前回の鬱憤を晴らしてるだろ(笑)。

そんなスムーズな形で、前回のフリントたちに続いて今回はゾックスがカラフルの対策会議に参加。お店が順調に両陣営の溜まり場と化してきている。

回収したトジルギアを調べると、偽物だった。

ゼンカイジャーが守りたい人間たちをクダックに変え、ゾックスの狙うトジルギアのダミーを渡して、利害のぶつかる両陣営を戦わせるというバラシタラの作戦。

ゲゲが「イジルデが生かし切れていない情報を、バラシタラが利用したというわけか」と幹部2人のライバル心を煽りつつ、状況を整理して私たちに伝える役割も果たしているのが、上手い。

それに乗っかる形でバトルシーザーロボのデビュー戦の微妙さを皮肉るバラシタラに、ステイシーが突っかかろうとしたところをイジルデが止めて、勝手にダミーを使ったことを問いただす。

でもバラシタラは「それもリサイクルでアル」と涼しい顔。バラシタラは脳筋の武闘派かと思えば、どうしてどうして、現場で収集した情報からの状況判断やそれを踏まえた作戦の立て方を見ても中々頭が切れてしっかりした、一筋縄では行かない優秀な軍人では?

 

そんなバラシタラの狙いにいち早く気付いたのはゾックス。こういうところで頭が回るのは今回も界賊一家の方なんだね。

でも、当たりが混じってる可能性はゼロじゃないからギアの回収はこれからも続けると言って立ち去る。

うわあ。やっぱりこの人根っこはかなり悲観的で慎重派、石橋を叩いて渡るタイプかも。

ガオーンが慌てて追いかけて、介人もそれに続こうとするのをジュランが引き止める。ゾックスの意志は説得しても変わらないから、こっちはこっちで何か対策を考えようと。具体的なアイディアは出せなくても、まずそういうベクトルを示してリード出来るのがジュランの頼もしいところだな。

「皆助けられて、皆傷付けずにギアを回収できたら最高なんだけど」と、介人が今回のミッションに必要な条件を整理。

ジュランとマジーヌが、ゾックスの言葉に気色ばむたびに持っていた掃除用具をブルーンの肩関節の隙間?にぶっさしていたのが(笑)、ブルーンが動くたびに視界に入ってシリアスな場面の空気を微妙に緩和してる。

それを見て何かを思い付く介人。

 

一方、ゾックスを止めようと食い下がるガオーン。

「なんでそんな拘んの?お前キカイノイドだろ」と振り払うゾックスへの

「関係ない!僕が皆を好きなんだ!」というガオーンの叫びが好きだ。

兄貴の邪魔するなとフリントたちがガオーンを押さえつけた所に、元人間クダックたちが襲って来る。「来た来た」と獲物を狙う目で銃を向けるゾックスの表情が、悪役の顔っぽくてバスコみたいだな、とちょっと思った時、フリントたちを振り払って盾になり、その弾を受けるガオーン。

人間の「姿」を愛するために人間と仲良くなりたいという一貫した姿勢が対人間への博愛主義者的な立ち位置となり、ステイシー登場の時はそれが裏目にも出たけど、ここでは身を挺して他種族を守る姿が、自分の家族以外どうでも良いゾックスとの強烈な対比になってる。

それがたとえペットへの愛に近いものだとしても、そのために体を張れるなら、もう充分尊いよ。ガオーンもこの作品のテーマ「異種族交流」のど真ん中に位置するキャラなんだよだな、と改めて。

 

でもそんなガオーンの気持ちは今の元人間たちには届かない。庇った相手に囲まれてボコボコにされる痛ましさに、ゾックスもさすがに「やめとけって」と気遣う。「お前がどんなに好きでな、今のそいつらには関係ねえんだよ」。

でもそこに「そんなことない!」と介人たちが駆け付ける。

「だって、戻った時、絶対悲しい」

介人は時々、相手の気持ちお構いなしにぐいぐい押してきて、タコ焼き食べてる時に知らない男から至近距離で大声で唾飛ばしながら話しかけられる側の困惑は推し量れないこともあるけど、こういう本当に傷付くかもしれない大事な場面では、いつも相手の立場に立てるんだよな。

一度は自分に海賊行為を働いたゾックスみたいな相手にすらそれをしてしまうから、時々危うく思えてしまうけど、つくづく異種族交流がテーマのこの作品の主人公に相応しいキャラだよ。

 

その介人は大きめのボストンバッグ?を両手にぶら下げていて、何かと思ったら中から取り出したのは羽根がいっぱいついたサンバの衣装。

それを身につけた4人がサンバを踊り出した時は、予告で見た時と同様、何事かと呆気にとられたけど、次の瞬間、彼らは元人間たちに突進して掃除道具やらハケやらでくすぐりまくる。

キカイノイドもくすぐりには弱いという冒頭のガオーンのエピソードが伏線だったわけだけど、それをこうもエンタメな形で回収してくるかと驚いた。

でもこれ見かけだけでなく、衣装の羽根がくすぐったくて元人間クダックが背後から攻撃出来なくなる鎧の役割も果たしているんだな。一石二鳥のアイディア。

こうやって介人たちは次々に相手を傷付けることなくギアを回収していく。

 

東映公式によると、元の脚本にはサンバの「サ」の字もなく、あるのは「猫じゃらしや羽箒などを取り出し、一斉にクダックをくすぐりに行く」という一文のみだったそうで、それを加藤監督がサンバに発展させたとのこと。

さすが加藤監督!ジュウオウジャーやルパパトでは重要回で良い仕事していて個人的に中澤監督の次に香村さんとのコンビ回を見たかったから、お待ちしてました!って感じ。

 

介人のサンバ作戦見て思わず笑い出すゾックス。「なんだよあれ?くっだらねえ・・・」と言いつつ、子供みたいに無防備で他愛なくて楽しそうな笑顔。

フリントがそれを見て戸惑う。もしかして兄貴のあんな笑い方を見る事って久しく無かったのかな?

ゾックスは基本的に笑顔で陽気に振る舞ってるけど、いつもの笑顔はあくまで兄貴として妹や弟たちを安心させ支えるための鎧みたいなところがあったのが、今回はそういう気持ちから一瞬解き放たれて心から大笑いしたというか。

この人、能天気に歌って踊ってやりたい放題に見えて、実は一家の長として弟達の呪いを解かねばって使命感にがんじがらめなのがこれまでの様子に伺えるんだよね。だからギアが偽物だとわかっても万一の可能性を考えると回収をやめられない。

でも、ガオーンの体を張った「好きだから守りたい」や、介人の本人達は大真面目なんだけどやってることは結果的にトンチキで遊び心たっぷりな作戦と、その根底にある他者を守りたいという優しさに心が揺れて惹かれ始めてる感じがわくわくする。

そんで兄貴が自分たちのために一生懸命なことをきっと知っていて、自分もそんな兄貴を助けたいと思っているフリントが、兄貴の変化のチラ見せに何を思うのかも楽しみ。

 

ゾックスが元凶のリサイクルワルドを倒そうと矛先を向けた時、それ以上に怒りを滾らせたガオーンが先に変身して突っ込んでいく。圧倒されてるゾックス(笑)。

介人たちも変身して続き、その勢いのまま全力疾走しながら次々名乗る。ジュランがしんどいのは年だから(笑)?5人揃って最後はリサイクルワルドに飛びかかり、一斉攻撃と共に「機界戦隊ゼンカイジャー!」。格好いい。今回も変則名乗りだけど、これまでで一番格好いいと思った。それを見て笑顔になるゾックスが、やっぱりこれまでとは何か心境の変化があることを暗示してるんだろな。フリントたちも「怒りが、凄い・・・」と圧倒されてる。

 

変身した時に衣装とかを吹っ飛ばしてたから、その後に襲ってきた元人間にはどうするのかと思ったら、マジーヌが魔法で巨大な羽根ブラシ?を出してくすぐり、戦闘不能になったところを抑え込む。

だったら最初からサンバ衣装じゃなくてこっちで良かったんじゃね?とかふっとよぎったけど、いやいや私は他人様にそんな指摘が出来るほど思考回路ちゃんとしてないから。仕事の時に、後になってから自分に出来る最適解を思い付いて後悔するなんてこと、しょっちゅうある(笑)。マジーヌは戦闘中に間に合うだけまだ偉い。それにサンバ作戦があった方が、絶対楽しいよ。

 

リサイクルワルドには、今回のメイン、ガオーンがゾックスと組んで戦う形になる。そこにセッちゃんが、ゾックスにゴーオンジャーのギアを使って貰うよう指示。ガオーンが勝手にゾックスのギアを取り出して渡し、シンケンフォームのゾックスが「よくわからんが心得た」とわりと素直な侍口調でセットすると、ゴーオンウイングスの力がこの2人に宿り、フルパワージェットタガーで華麗な空中でのコンビ攻撃。

なるほど。コンビ技を使える追加戦士は限られるけど、ゴーオンウイングスなら打ってつけ。ゴーカイジャー41話でも、アイムが追加戦士の鎧とのコンビでゴーオンウイングスにチェンジしたのを思い出した。

リサイクルワルドはツーカイザーの烈火大斬刀で倒されて、クダックにされた人たちも元に戻る。介人は「こういうの持ってたら、回収しま~す」とごくごく和やかに声をかけてギアを集めてミッションは無事に完了。

なお、リサイクルギアは拾い上げた介人の手から弾けて飛び出し、クダイテストが踏みつけてダイリサイクルワルドになると、リサイクルパワーが満ち満ちたと、もう4体クダイテストを発生させ、それらが過去に倒したはずのダイワルドたちに変貌する。キノコ、氷、ボクシング、寿司。しかも次々名乗り、「リサイクル戦隊ダイワルジャー」と、過去の戦隊世界にも時々現れた悪者戦隊まで結成しやがった(笑)。

「お前ら練習したろ!」とジュランのツッコミは毎回いいとこ突いていてホント笑っちゃうんだけど、今回のは11話で「5人揃って!」「並んで並んで!」「いつもの立ち位置!」とか実は呼吸を合わせるのに苦労しているのを垣間見せた後なもんで、ポッと出のはずのダイワルジャーがぶっつけ本番であんな息ピッタリな一糸乱れぬ名乗りを決められるはずない!出来てたまるか!という悔しさが滲む(笑)。

また今回は疾走名乗り中にでジュランが息上がって「しんどい」と辛そうだったから余計に

「正規の俺らは毎回握られたままだったりゴミ袋被ったりサイズ合わなかったり流れ弾浴びまくったり鬼ごっこでドタバタだったりなのに、悪のお前らの方が綺麗な王道名乗りをやらせて貰いやがって狡いぞ!」という嫉妬もありそうで好き(笑)。

 

私は以前に、

「ギアがこんなにあるんだから一度に何体もワルドを出せば一気に侵略が成功するのでは?というヒーロー物あるある問題について、ゼンカイジャーの場合は世界同士で潰し合ってどちらかの力が無効化するから意味ないって答が出来るかもな、と思った。」

と書いたことがあるけど、ごめん、間違ってた(汗)!堂々といろんな世界が入れ替わり立ち替わり現れてるよこれ。

そんな状態の中で、ジュラガオーンとブルマジーンは一度に5体相手に大苦戦。しまいには、以前ジュランたちが披露した巨大バズーカ技までパクられもといリサイクルされて、とうとう遙か彼方に吹っ飛ばされてしまい、敗北。

ところがそこに、今回はリッキーの力を使ったツーカイオーリッキーが上空から参戦。

ジュラガオーンとブルマジーンが2体がかりで勝てなかったダイワルジャーを、ツーカイオーが無双して次々に仕留めていく。

メタ的には思い切り新ロボの販促補正なんだけど、あまりに差がありすぎるんで、そこは「お前らの弱点、上から観察させて貰ったんでね」と理由付けがされてホッとした。

具体的にそれぞれどんな弱点があってどんな対策をしたのかの説明まで一切なし。だけどそこまで詳細はなくても、こういう理由があるだけで納得度が違うし、実は用意周到なゾックスのキャラにも合っていて、良かった。

 

残りがダイリサイクルワルド1体になったところに、ステイシーがバトルシーザーロボで登場。

助けに来てくれたのかと喜ぶダイリサイクルワルドを、ステイシーは「お前に恨みはないが、倒しに来た」と言いながら必殺技の一撃で破壊。前回は登場したものの目立った活躍もなく終わったけれど、今回はキッチリ撃破して強さを見せる。ただし敵ではなく味方に対して(笑)。

確か以前ドアワルドもサクッと倒したっけなあと、なんとなく前作のガルザさんの面影が頭をよぎったところに、ゾックスと何か目論見があるらしいステイシーが向かい合って、続く。

 

今回もいろいろ楽しかった!

再生怪人回と言えば予算節約回なのにらしからぬ豪華なロボ戦で一度に5体使いきってしまったな。でもこのスタッフさんたちならどうせまた、コピーワルドとか3Gプリンターワルドとか、「お前そんなトピアあるわけないだろ」って心の中でツッコミたくなるトピアの力使って今回みたいにしれっと再生怪人繰り出すつもりだと思う、絶対。