キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

ゼンカイジャー32話感想: 種を撒ける介人、たぶん育てられるステイシー

今回ハカイザーは充電?中で出番無し。彼の活躍でここ2話は影が薄かったステイシーが「僕だけじゃ不満という訳か」とイジルデにクレーム。でも「お前1人に賭ける理由はないからな」と、ビジネスライクな答えをこともなげに返されてしまって、まあごもっともだけど悲しい。

「お前がバラシタラを超えたければ、結果を出すことだ」と煽られたステイシーは早速介人に勝負を挑む。

そこにサカサマワルドが登場し、介人がそっちに向かおうとすると、ステイシーは自分の方を向かせるためにゼンリョクゼンカイキャノンを奪う。

この後の展開に必要なのはわかるけど、見ようによってはハカイザーから奪還した大事な両親作の武器かつ5体合体の要を再び敵に奪い返されたという大ピンチ。なのに、その後も2人並んでサカサマワルドとやりとりしている緩さはちょっと引っかかったので、もうちょっとどさくさ感は欲しかったかも。

ワルドは雑魚兵クダックにギアの力を与えた怪人。これまでステイシーに対しては敬語を使うことが多かった。けど、今回は「貴様」呼ばわりでぞんざいな態度。ステイシーに「下がれ」と言われると「俺は自分の仕事をしに来ただけだ」と、キレていきなり介人と入れ替えてしまう(汗)。

展開の都合?とここも引っかかった。けど、単にクダックのスタンスに個人差があるのかも。またはハカイザーの登場にステイシーのヒエラルキー低下を感じ取った兵たちが軽んじ始めるようになったと解釈しても良いのかな?

今回は全体通してトジテンドでのステイシーの立場の微妙さを強調する作りではあるけれど。

 

表情も動作も全力全開で賑やかになったステイシー@中身介人と、最小限の動作でシリアスな介人@中身ステイシーという普段とのギャップが期待を裏切らない(笑)。前置きなしでいきなり頭突きを喰らわし、悪びれ無く「元に戻るかと思って」とステイシーの顔で笑う介人(笑)。まあ発想はわからんでもないけど。

元に戻せるサカサマワルドはその間に消えていた。手分けして捜そうとするも、介人の体になったステイシーはトジテンドパレスに戻れない。では逆にステイシーの体なら潜入出来るのでは?といきなり介人(ス)はゲートを発生させて父親を捜しに突入。後を追いかけたステイシー(介)はゲートに跳ね返されて衝撃で気絶しているところをカラフルに運び込まれる。

入れ替わったことで、2人ともこれまで行きたくても行けなかった場所に潜り込めたってことか。

 

ステイシー(介)は目覚めた途端、ゼンカイメンバーや会いたかったヤツデにも全力で心配され、カラフルに来た客からも気遣われる。

改めて自分にはないものばかり持っている介人を羨ましく思うステイシーが、このまま元に戻らなければこの温かい世界にずっといられるのではと、夢見てしまうのが痛々しい。

実際、介人とステイシーの今を分けたのは環境による所が大きいと思うよ。駄菓子の瓶の蓋を開けられないスーさんを見かねて自分から手を貸してやるのを見ると、根は優しく、介人みたいになり得る素質もあったのでは?と思えるし。

そんでもしステイシーのそんな願いが叶ったとしたら、彼は自分の手に入れた世界を脅かすトジテンド、自分の元いた世界に今度は容赦なく牙を向くんだろうな。

 

一方、トジテンドに潜入した介人(ス)は、父親の手掛かりを捜して彷徨ううちに、牢屋の前へ。囚人たちの罪状がトジテンドに反抗的だったからと聞いて、今すぐ出せと激昂する。でも牢番のクダイターから「貴様に命令される覚えなどない」と殴り飛ばされ「ステイシーって、そんな偉くないんだ」と、入れ替わった相手の微妙な立場を知る。行動隊長バラシタラの息子ならそれなりに尊重されていると思っていても無理はないもんな。

入れ替わったことでステイシーが介人を取り巻く温かな世界を突きつけられていた頃、介人はステイシーのいる荒涼とした世界を思い知る対比がエグい。

 

介人(ス)はゼンリョクゼンカイキャノンで召喚したレジェンドに爆破工作をさせ、騒ぎに乗じて囚人達を脱獄させる。

トジテンド視点なら犯罪行為なんだけど、その片棒担がせたのが宇宙警察所属デカブルーと国際警察所属パトレン1号。介人の「正義は我にあり」な揺るぎない意志を感じるし、囚人達も脱獄する犯罪者じゃなくて正義を遂行する警察官に助けられる罪無き庶民に戻れるんだな、とスタッフさんの配慮を感じた。

ホージーと圭一郎は、キカイトピアという並行世界で理不尽な冤罪に苦しめられていたキカイノイド庶民達にとっても、自分たちを助けてくれた正義のお巡りさんとして記憶に刻まれることになったのかなと思うとニヤニヤしてしまう(笑)。

介人(ス)は囚人たちに、自分はステイシーだと名乗る。救い出されたキカイノイド女子の「ありがとうございます、ステイシーさん」が澄んだ良く通る声で印象的。手をふって見送る顔立ちはステイシーでも、表情は介人そのもので、役者さん頑張ったなあ。

 

介(ス)人はそのまま彷徨ううちに、バラシタラがボッコワウスに謁見している場面に遭遇し、主人公(体は違うけど)が敵ボスと初対面。

いつもと違うオーバーアクションなステイシーを偽物だと看破したのは、ゲゲ。父親なのにテニス回で息子の変装に気付かなかったバラシタラは今回も息子ではないと見抜けなかった(涙)。こいつ本当に息子への関心が皆無なだけなのか?と、彼の息子への愛を信じたい私の買いかぶりが揺らいでいく(苦笑)。

 

一方、自分の戦っていた相手すら思い出せない介人(ス)を記憶喪失だと勘違いしたジュランたちは、街に出て名前不明の介人の仇を捜していると、サカサマワルドを捜す界賊一家に遭遇。

ゾックスとフリント、リッキーとカッタナーが入れ替えられていて、可愛い声と表情と動きのゾックス(フ)と、尊大な態度のフリント(ゾ)が楽しい。介人とステイシーがシリアスやってる分、コミカル要素はこっちに振った感じ。

 

今回は入れ替わり後も声は入れ替わる前のキャラが宛てている。ゴーカイジャーでルカとハカセを声ごと入れ替えたのを最後に、その後の10年間はずっと、今回のように声だけは本人のままのパターンが続いてる印象。

ゴーカイジャーの時には、まず入れ替わり前の役者さんに演じさせてそれを入れ替わり後の方になぞらせるという手間のかかったことをしていた。けど、入れ替わりが複数ある場合にそれは大変だろうし、小さな子供たちには声は本人の方がわかりやすい面もあるだろなとは思う。

なお今回、介人とステイシーの役者さんたちが互いの演技を研究しあう動画が公開されていて、声は本人のままでもちゃんとここまでやるんだと感心した。

 

界賊たちを見て、介人の様子がおかしかったのも入れ替わりのせいでは?とマジーヌが思い当たった時に、犯人のサカサマワルドが登場。

ゾックスの顔で満面の笑みを浮かべたフリントの差し出すギアダリンガーに、フリントの顔したゾックスがクールにキスして変身ダンスを始めると、ジュランが「待ってました!」の掛け声(笑)。

やんややんやと一緒に踊る赤黄桃青、ゾックスの体で長い手足を思い切り振り回しながらチアリーダー状態なフリントに「変身かなった私の体♪」と本人の声が被さって、めっちゃ楽しそうというか緊張感皆無(笑)。

 

逃げ惑う介人(ス)の前にゲゲが現れて、さっきは偽物だと幹部たちの前で見破ったくせに、今度はゲートの位置を教えて逃がそうとする。相変わらず動きが怪しくて、意図が読めない。

ステイシーが偽物だとバラしたことも、後でステイシーが脱獄幇助の罪に問われないための配慮だと思えば、これまでのゲゲの動きは全部ステイシーにとっては都合の良いもの。ステイシーに何かさせたいことがあるのは確かだと思う。

だけど、今回はステイシーになりすました別の誰かを助けているわけで、正体がゼンカイザー介人だと知ってのことなのかどうかも含めて、狙いが全く分からない。

 

一方、カラフルに駆け付けたマジーヌとガオーンは、介人の中身がステイシーだと知り、そのまま戦場に引っ張って来て、赤青金と合流。

それを見ているだけのステイシー(介)は、サカサマワルドが勝てば介人のままでいられるのでは?とまた頭をよぎる。事情を知るキカイノイドや界賊の全滅が前提という、儚くも残酷な望みは、トジテンドから戻ってきた介人(ス)とそれを追いかけて来たバラシタラの登場で、潰えた。

持っている変身装備が逆なため、介人(ス)はその外見史上もっとも明るく屈託なくステイシーザーに変身し、彼を真ん中にした5人名乗りの背後でトジテンドマークとゼンカイジャーの色たちが喧嘩している演出(笑)。もう変速名乗りバージョンが多すぎて把握しきれないよ。

 

ステイシー(介)は、介人の外見史上たぶん一番静かにゼンカイザーに変身。その姿でゼンカイジャー側に戦いを挑むのかと思いきや、矛先をサカサマワルドに向ける。

サカサマワルドを倒すことでバラシタラを超えるというステイシーの言い分はトジテンド視点では裏切り行為なんで、ちょっとヒヤヒヤした。まあ今回に限ってはサカサマワルドを何とかしないと元の体に戻れないし、サカサマワルドにはステイシーを敵と入れ替えたために侵入を許してしまったという罪があると思えば、ギリギリセーフだろうか?

 

介人とステイシーは入れ替わった状態で共闘。キャノンからまた赤青黄緑のセレクト戦隊が召喚され、ステイシーザーとモチーフのバトルジャパンが同一画面でアップになったのは絶対狙ってる(笑)。

またジュランたちを差し置いてセレクト戦隊とワルドを追い詰めたわけだけど、介人とステイシーが初めて一緒にトドメを刺すというイベントでもあるから仕方ないかな。

ステイシーザーの姿でキャノンを撃つと弾丸もステイシーザーの顔になって(汗)、サカサマワルドを撃破。独りでキャノンを撃ったステイシーザー(介)はふっ飛んでキャノンが手から離れ、元に戻った介人がそれを拾い上げて、無事に介人自身の手に戻りホッとした(笑)。

 

敵と一緒に自分の部下を倒した息子を見るバラシタラは「ステイシーの奴、やってくれるのでアル」と、息子にしてやられて怒っているというよりは、逆にむしろ見直したようにも見える。やっぱり秘かに喜んでいるのかな(しつこい)。

 

妹の体で強敵バラシタラとも戦い跳ね飛ばされてしまったゾックスが気遣うと、「全然、兄貴が強いからな」と兄を賞賛するフリント。それにほっとしつつ「おう!」と答えるゾックスの兄妹が可愛い。

なおリッキーとカッタナーも戻ったけど、ぶっちゃけ違いがわからなかったのはジュランだけじゃない(笑)。

 

イジルデに送り出されたニュークダイテストがギアを踏むと、やっぱりダイサカサマワルドになった。でも外見はちょっと違ってなんかメカメカしい。というか顔にサカサマワルドの平べったいお面を被せただけのようにも見える。

ギアの力を引き出す性能がアップしたということなのか、世界の天地が逆さまになって、前回登場したばかりの最強ロボゼンリョクゼンカイオーも苦戦。CG使いまくって天地がぐるぐる回る画面に、三半規管ポンコツの私は酔いそうになった(汗)。

ゼンリョクゼンカイオーは全力パトロールパワーで、召喚した警察ビークルたちのパトロール=巡回=回転というこじつけパワー(笑)でぐるぐる回転させて天地を繋げるという力技を繰り出すと、天から地へと繫ぎ目なく疾走して撃破。

ごめん、戦い終わって正直ホッとしたよ、主に三半規管的に(笑)。

 

戦い終わったカラフルで、仲間たちがどんなに自分を心配してくれていたのか改めて噛み締める介人。

「せっかくトジテンドパレス行けたのに、何も出来なくて」と悔やむけど、いやあなた思いっきり脱獄幇助もとい無実の民を解放していたんだけど、それくらいは物の数にも入らないのか(汗)。

トジテンドがどういう場所か知ってるジュランは、「あんな世界で独り、よく頑張ったよお前」と労う。

「あんな世界で独り」という言葉に介人が思い浮かべたステイシーはその頃、自分のいる荒涼とした世界を厳しい顔で見下ろし、拳を握りしめていて、続く。

 

入れ替わったことで互いに自分の知らなかった相手の生きる世界に触れて、それが2人と2人の関係をどう変えて行くのか、楽しみ。

特にステイシー。彼がここにいたいと思ってしまった介人の境遇は、自分のいた世界を否定し異世界の生物を全力で愛し守っていた頃のガオーンを思い起こせば、実はその心1つですぐに、ある程度手に入れられるのではと思う。

それを邪魔しているのは介人への複雑な感情と、たぶんそれ以上に父バラシタラを超えたいという思い。

だけど今回、サカサマワルドを介人と一緒に倒したステイシーは、トジテンドに属して手柄を上げることだけが父を超える手段ではないとちょっと気付いたかもと期待したりする。

そんで、介人がステイシーを名乗りステイシーの姿で囚人たちを逃がしたことが、この先に何かの形で活かされると良いな。

例えばトジテンドに逆らい裏切り者として追われる身になった彼を元囚人たちが逃がすとか。

もしくは、キカイトピアに革命が起きてトジテンド王朝が倒れる時に、その一味と見做されるステイシーを元囚人たちが庇うとか。この物語は介人の世界が守られ各並行世界が解放されるだけじゃなく、たぶんジュラン達の故郷キカイトピアで苦しめられている民達も救われなければ終わらないんだと思うから。

ステイシーは介人が大勢から感謝される境遇を羨ましがった。けど、介人は今回<あんな世界>にも、あの短い滞在時間でステイシーがキカイトピア庶民から感謝される可能性の種を撒いていったかも。「何も出来なくて」と言いつつそれが出来るのが介人で、ステイシーが見た温かい世界にはそうやって介人自身が種を撒いて育んできた部分もある。

もし介人が今回そんな種を撒いたのなら、出来たらステイシー本人もその芽を育てる形で、いつかは花を咲かせて欲しい。

ステイシーだって介人が育んだ世界に乗っかる形ではあるけれど、スーさんのために自分から蓋を開けてあげることは出来たんだから。それだってあの温かい世界を維持し育てるのにちゃんと一役買ってるんだよって思う。