キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

キラメイジャー45話(最終回)感想: 大変な時代に知恵と工夫と煌めきをありがとう(長め)

宇宙一硬く破壊不可能な邪面で弱点である本当の素顔を隠している皇帝を倒すには?破壊のデストリアは皇帝の息の根を止めるために温存したいけれど、他に打開策がない。

するとクランチュラさんは、前回ラストでヒーローたちを背後から見守るサポーター面していたくせに、

「皇帝が自ら邪面を外す時が一つだけある。おまえら全員が死んで、その屍を喰らう時だ!」

と邪悪そうに笑いながら皇帝の流儀を暴露。そんな習性があったの初めて聞いた(笑)。クランチュラさんが食われなかったのは敵ではなく部下だったから?それとも水落ちしたから?充留も崖から落ちてなかったら食われていたのかな?と思うと怖い。

他メンバーがふざけるなと憤る中、出ました充瑠のひらめキング。それを見て嬉しそうなクランチュラさん。この赤赤コンビが完全に地球側の生命線になってる。

 

最終回だけどOPは通常通り。いかにもキラメイジャーらしくキラキラしてるから、前回カットして絶望感を上乗せし、逆転に向かって行く今回しっかり流したのは良かったと思う。このOPも見納めかと思うと寂しい。

 

皇帝の意識の部屋ではヨドンナが瀕死状態で復活。皇帝にとって自分は何だったのかと尋ねると、「弱さだ」という答。

「我はそもそも澱みに生まれた蛇の化身。大した戦士ではなかった。ある時、我は天啓を受け最初の邪面を作った。それを被ると無敵になった気がした」

皇帝の過去が明かされる。初めて見た時に長く伸びた巨大な舌と思ったのは、蛇の意匠だったんだ。

そんでヨドン皇帝にとって邪面とは「大した戦士ではなかった」自分を変えて、皇帝に上り詰めるまでの強さを得るきっかけを与えて人生を一変させてくれた物。自分の成功の象徴。

だから自分の帝国では、ある程度以上の地位の者にも邪面を被らせたのかも。クリスタリア出身のガルザも邪面を被ることで正式にヨドンへイムの一員として迎えられたんだし。

倒した相手を食らうことを繰り返し強くなるうちに、いつしか脳内にヨドンナとシャドンが生まれた。

「我は気付かぬ内に、最も忌み嫌う仲間を求めたのだ。それはすなわち、我の心が生んだ弱さの象徴。それがある間は、真の強き者ではない」

ヨドンナはそれを聞いて、自分がいなくなれば皇帝は絶対的な強者になるのだと、それを喜び受け入れて、今度こそ本当に消滅。

正直言うと前回の「無理です」から、裏切られたヨドンナの意趣返しを期待していたから若干拍子抜け。でも他者であるクランチュラやガルザと違ってあくまで皇帝の一部だったヨドンナには、何をされても皇帝に歯向かう発想だけはなく、前回は理由や自分の存在意義がわからず笑えなかったってことなのかも。

 

皇帝と邪面との出会いは、充瑠が自信を持てるようになり輝くことが出来るようになったファイヤーと出会いに、ちょっと似ている気がした。

ただし充瑠たちの方は「キラキラ輝くために僕らは巡り会ったと思う」と主題歌が歌うように仲間との出会いによって磨き上げられ強くなっていったのに対し、皇帝のそれは孤独で仲間を弱さとして否定することで完成するという対照的なもの。皇帝の正体や成り立ちを最終回でやるのはちょっと唐突な気もしたけど、キラメイジャーとの対比はその分鮮やかになったと思う。

 

で、皇帝が無意識に仲間を求めて脳内で生み出した人格が、最強のスナイパー(広島弁)と僕ッ子美少女(コスプレとアイスが好き)って・・・皇帝は内心、強くてワイルドなおっさんに守られ、中性的で可愛くて色んな姿で楽しませてくれるアイドルっぽい女の子に側にいて欲しかったのか(汗)。

こうやって言語化すると確かにそれは弱さかもしれないし、少なくとも皇帝には「弱さ」で括る以外にわからない感覚かもだけど、もっとこう別の趣味趣向的な何かでは?という気がしなくもない(笑)。

でも皇帝って、英雄色を好む的な豪放磊落タイプじゃなくて真面目でストイックそうだから尚更、そんな自分の性癖を突きつけられたら頭掻きむしって穴があったら入りたくなるタイプかもとは思った。

 

ヨドンナの邪面が今度こそ砕け散って、曰く「完全無欠」の存在になった皇帝は、ジョーキーをはじき飛ばし、キラメイジンとドリラーをも撃破。

キラメイジャーは死んだと思い、その屍を喰らおうと皇帝が邪面を外した途端、背後からの攻撃がその邪面をはじき飛ばす。

実は撃破シーンは充瑠がイリュージョンで皇帝に見せた幻。本物のロボたちはその背後で皇帝が邪面を脱ぐのを待ち構えていた。

エネルギア、リバーシアに続いてイリュージョンもしっかり使われた。しかもラスボスの絶対的優位の根拠を打開する逆転の決め手になり、これを敵のアジトから盗み出してきた(しかも皇帝の流儀を教えた)クランチュラさん大手柄。ここまで貢献したらもう生かしておいていい、というより足向けて寝られない状態になっていってない?(笑)。

 

剥き出しになった弱点の素顔をドリラーに思いっきり攻撃された皇帝は、そのダメージでこれまで幾多の屍を食らって溜め込んできた生命エネルギーを削られたのか等身大(邪面を被る前の元々のサイズ?)に縮小し、「おのれ!我の養分になるだけの虫けらの分際で!」と悪態をつく。

でも「それは違います!」とマブシーナ。博多南さんに「後は見守るんだ」と言われていたけど、最前線に出て来た。

個人的には、非戦闘メンバーがただ啖呵を切るために出てくるのは、たとえ戦う覚悟をしてのことだとしても、捕まって足引っ張ったりしないかとヒヤヒヤするんであまり好きじゃない。でも

「あの方々は、悪逆非道のあなたに引導を渡す輝きの戦士たち。煌めきに満ちたそのお顔を、しかと拝みなさい!」

と示した先にメットオフで歩いてくる素顔の戦士たち6人、という流れは凄く綺麗にハマってテンション上がってしまったので私の負け(笑)。

戦隊最終回恒例の素面名乗りに「冥土の土産に自分を倒す者の顔を目に焼き付けて逝け!」的な意味合いを持ってきたと考えると、中々アグレッシブで好き(笑)。

 

充瑠のバク宙から始まった素面名乗りは、最後の組み体操まで全て、役者さんたち本人で見事にやりきった。

第1話を見た時に凄いインパクトで「これ、最終回も素面でやってくれるの(笑)?」と半分ネタ的に気になってたんだけど、堂々と正面突破してくれて、本当にありがとう。

 

迎え撃つ皇帝が召喚したのは色とりどりのタイツとマントを付けたベチャットたち、エンペラーガードベチャット。皇帝親衛隊か。

「こいつら、ベチャットとは思えない強さだ」と宝路。

以前クランチュラさんが邪面師について、熟して(強くなって)色が変わったベチャットに邪面を与えたもの、と説明していた。このエンペラーガードベチャットたちは、1人1人が邪面師並の強さがある、ということになり苦戦も納得。

一方で、邪面を被らない限りどこまでも無個性なベチャットのままなんだな、とも感じた。

クランチュラさんが成長したベチャットたちのために趣向を凝らして作り与えた邪面は、それを被らせる事で1人1人の個性を尊重し表現するものでもあったんだな。皇帝のこの十把一絡げの出し方でそれがわかった気がする。

皇帝のもう1つの人格ヨドンナが以前、邪面獣の名前なんてどうでもいいと言っていたように、皇帝は強さ以外求めず、拘りを否定されたクランチュラさんはヨドン軍に居場所をなくし、結局そのために皇帝は足をすくわれたんだな、としみじみ。

 

エンペラーガードベチャットの強さに圧されかけたキラメイジャーを見て心配になるマブシーナを、魔進たちが駆け付けて励ます。いきなり「夢の中に閉じ込められた時だって、乗り切っただろ?」と映画のカットを出されたのは驚いたけど、もう公開してるもんな。コロナで自粛してまだ見に行ってないのが、スタッフさんの頑張りを思うと若干申し訳ない気持ち。

姫が気を取り直すと、そこで為朝が作戦の指示を出した。

時雨、小夜、宝路はベチャット退治に専念。その間に充瑠はアローをチャージ。瀬奈は「これ」を持って為朝と待機。

そんな為朝の状況把握と作戦能力を讃える姫にショベ爺の孫バカ目線も加わって、過去映像と共に各メンバーの素晴らしさが姫と相棒たちによって次々に総括され、「素敵です!」「ワンダーラブです!」「眩しいです!」「格好いいです!」と褒めまくられていくのが、凄くキラメイジャーらしい最終回。

でもアニキ、ハコブー回の羽生やして恍惚と飛翔するイメージカットはやっぱり選ばれるのね(笑)。

 

時雨、小夜、宝路の頑張りで切り開いた皇帝への進路を、姫&マッハの賛辞を受けながら瀬奈がデストリアを皇帝に食らわせるために爆走。この子の走りは2話で見た時から本当に気持ち良くて引き込まれたし、キラメイジャーっていう戦隊の戦闘の魅力になってたなあと改めてしみじみ思う。

特攻は皇帝に防がれ、デストリアは瀬奈の手からはじき飛ばされたけど、「想定内だ!」と為朝の撃ったバレットが皇帝の方に押し戻す。皇帝相手に誰が突っ込もうが一発で決まるなんて思ってないぜと、揺るがない為朝が頼もしい。でもデストリアが押し戻されすぎて皇帝がキャッチしたらどうしようとちょっとドキドキした(笑)。

そんでチャージを続けていた充瑠のアローの矢がデストリアを貫く。石が砕け散ったらどうしようとドキドキする間もなく、その石のパワーでブーストされた矢が皇帝を直撃し、大爆発。

 

最終決戦でキラメイジャー全員がその役割を果たし、カナエマストーン4つ全部の力を総動員して、魔新たちと姫が応援し讃えまくる中での最終決戦大勝利。クランチュラさんも含めて全てのカードを使い切った感じが気持ち良い。

基地で見守っていた博多南さん、感無量の「終わったー」。少年の頃、父親からノリのいい青い宇宙人に引き合わされたことから始まった縁。兄と比べて「僕なんか」だった彼はそこで輝きを認められたことで、後に自分の煌めきを信じて事業を起こしたり、兄の養父になり親戚付き合いするようになった宇宙人の忠告を信じてキラメイジャーの装備を準備したり、といろいろ頑張ってきた。その30数年間が地球防衛に成功という形で結実したんだな。どんなに感慨深かったことだろう。

つくづく博多南さんの、経済力組織編成力統率力事務処理能力調整力調査能力分析解析能力技術開発能力包容力それから無私の奉仕精神とヒーロー性がなかったら、地球終わってたよな。

他人のホットドッグ無断で真ん中食いするくらい余裕で許せる。

ヨドン軍の敗因は、ホイホイ無防備に海外出張だの漫画家サイン会だの出歩きまくる博多南さんを、最後までノーマークだったことかもしれない。

これだけの資質の宝庫でありながら、最初から最後まで後方支援に徹して前に出なかった根っからのサポート気質も良かったのかな。そういう縁の下の力持ちにも光を当てるキラメイジャー、いいよなあと改めて。

 

ベチャット化していた柿原さんも元に戻り、「やったんだね、熱田!」と勝利を確信して青空に笑いかけてから3ヶ月後。

久しぶりに皆が、バーチャル会議で再会。充瑠も女性陣も髪型がちょっと変わっていたりして、前に進んでいるんだよな、皆。

充瑠は会議の前にクランチュラさんと電話(繋がるのかよ・笑)で話していて、皇帝亡き後のヨドンへイムは彼が統治し、2度と他の星を侵略しない平和国家を目指すと示唆。電話で話す彼の周りでベチャットたちが絵を描いているのが微笑ましい。

クランチュラさんは、先に1/5を失ったことが、あの時はダメージが凄かったけど最終的には災い転じて福となったな。幸運だけでなく、クランチュラさんのその場その場の選択が未来を掴ませたんだけど、彼の生存endは満足しかない。

 

充瑠が参加するまで皆が話していたのは、彼がオラディンと交信出来ていた理由。

さんざんそこを気にしていた身としては、前回のオラディンの「充瑠の純粋さ故だろう」みたいなまとめ方で拍子抜け&諦めていたところに「え、やっぱりそこ理由をくれるの(喜)!?」と食いつきかけた。

だけどそれは、共に絵を書くことが好きな充瑠とオラディン、2人の意識が出会いシンクロし合ったことによる「素敵な偶然」(笑)。

「えーーーー?!そういう、ふわってしたやつ?!」と充瑠自身に突っ込ませて(私とかの)ガス抜きをしつつ

「でも、それが一番しっくり来ない?」「充瑠が違う世界と繋がったから全てが始まった。それは確かだろ?」

などともうメンバー総動員で「そういうことなの!それでいいの!」と押し切ろうとするのが、いっそ清々しくて楽しくなってしまった(笑)。

スタッフさんもきっとそこは、気にしていたんだろなあと。この作品が1年間置かれてきた厳しい環境を思うと、特にコロナがなければ本編がもう5話多かったことを思うと、そこはもうそれで良いよな、と思う。

 

オラディンと充瑠が2人とも絵を描くことが好きだったことも、地球を救った。

クリスタリア人は現実にないものを形に出来るのがオラディンとガルザだけっていう、物凄く想像力創造力に乏しいある意味欠陥民族。私はなんでそんな設定にしたのか不思議だった。

けど、もしかしたらスタッフさんは、これを見ているまだ出来る事が凄く限られる小さな子供達に、「今、君が出来ている事はとても素晴らしい事なんだよ」っていうメッセージを贈りたかったのかな?なんて考えてみたりする。

 

やがてクリスタリア組が到着し、博多南さんが画面を切り替えると、そこはクリスタリア星。正装したマブシーナ、クリスタリアの宮廷衣装を纏い髪を切った宝路、そして魔進たちと再会。

マブシーナは女王に就任し、カナエマストーン4つの力で、侵略により荒廃していたクリスタリアの国土は復活。でも「生き残った人たち」という言い方で、死者の復活までは願わなかったことについては、別の記事で吐き出したので、ここでは触れない。その線引きは妥当だったのだろうとだけ。

王も王妃も不死鳥と髪飾りの姿のままなのは変わらず、それをポジティブに受け入れている。

マブシーナは自分が1年間見続けてきたキラメイジャーたちをお手本に女王として歩むことを決めた。キラメイジャーは、0話で国と父を失い気弱で後ろ向きだった彼女が成長し、最後にはそれらを取り戻す以上の物を得て女王として歩み始めるまでの物語でもあったんだな。

なおクリスタリアには、「新たなクリスタリアが目指す、理想の姿を掘りました!」とキラメイジャーの功績を讃えて彼等の巨大な彫像が岩壁にハリウッドのそれみたいにそびえ立っていた(汗)。

それを恥ずかしがりもせずちゃんと喜んでいるこの人たちは、やっぱり日頃から褒め称えられ慣れた人たちなんだな、と改めて(笑)。そして今はそこに充瑠もしっかり仲間入りしてるんだな。

 

そこに突然乱入してきたのは柿原さん。「熱田」から「充瑠」呼びになっていて、今度こそ可愛く描いて貰えるはずだった絵なのに、自分は小さく隅っこに追いやられていることにおかんむり。

そして画面の中央に描かれていたのは、次の新戦隊、ゼンカイジャー。

「よくわかんないけど、ひらめキングで」

「おい、またどっかの世界と繋がっちまったんじゃねぇのか?」

と、さっき全力で「素敵な偶然」ということにした充瑠の繋がりやすさをちゃっかり新番組の宣伝に利用し、「でも、これもきっと、素敵なものだよ!」とエールを贈ってみせるのは、やり方が上手すぎて狡い(笑)。

柿原さんは「書き直しなさいよ!」と周囲に勢揃いするキラメイジャーや魔進たちには目もくれず、というかたぶん充瑠以外目に入らず、バーチャル会議から充瑠を引きずり出して最後は追いかけっこ。たぶん柿原さんはデートのつもりで、でも充瑠はそのあたり今一つピンときてなくて、って感じがとってもアオハルなラブコメ風味で、見送る皆のキャッキャした反応とシンクロしてしまった(笑)。

ゼンカイジャーが描かれたスケッチブックがめくれると、次のページにキラメイジャーたちの笑顔というラストカットで、凄く綺麗に終わったなあ。

 

開始当初からコロナで撮影が休止になり話数を減らされたり、再開後もいろいろと演出制限を余儀なくされていたのを、知恵と工夫で乗り切るだけじゃなく、新たな楽しみに変換して毎週見せてくれた心意気が尊かった。

こんなかつてなく大変だった時代に、他の業界以上にキツいことも多かったはずと思う。いちばん煌めいていたのは、表からは見えない場所でこの番組のために奮闘していたスタッフさんたちかもしれない。ずっと心に残るだろうな。本当に素晴らしかった。ありがとうございます。