キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

海賊戦隊ゴーカイジャー: 36話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■マシンワールドへ

スピードルたちは小さな体のまま鎖国バリアを破ろうとするがパワー不足で歯が立たない。

なら、チラカシズキーと戦っていないスピードルとベアールVの息子マッハルコンならぶち破れるのでは?しかも鎖国バリアが封鎖しているのはヒューマンワールドだけで、他の世界は往来可能。

というわけで、全員で一旦マシンワールドへ行くというのは無理のない展開だな。

マシンワールドの光景は本編でもそんなに出て来なかったので、むしろゴーカイジャーで初めて、しっかり作り込んで見せて貰った感じなのが嬉しかった。

 

■殿下

自分たちの他にも地球侵略を企む輩が出現したことに戸惑うギガントホースの皆さんが楽しい。

自分の作戦の時には常に海賊が邪魔をしてきたのにガイアークが攻めて来ても姿を見せないのは狡い、と怒る殿下はセコいけど、その素直な気持ちはとてもよく分かる。

ついでにそんな殿下に「・・・」となってる他の皆さんの気持ちも(笑)。

 

■ほぼ漫才

暴走するマッハルコンに走輔が次々にデタラメな説得を繰り出しては空振りに終わる。

まるで立て篭もり犯に対して人情派の刑事が母親のことを持ち出して泣き落としにかかるドラマのパロディみたいなベッタベタ(笑)、かつ「生まれた時のお前は」だの「コタツを囲んで」だの見たこともないくせに適当にも程があるけど、これも走輔らしい(ごめんなさい・笑)。

なお走輔と鎧との掛け合いは完全にアドリブだそうで、高速ボケツッコミがほぼ漫才で、いつ見ても笑ってしまう。

走輔が鎧のことを「よろいくん」と呼び間違えるのは結構ツボ。調べればちゃんと音読みに「ガイ」ってあるんだけど、漢字を見るとついついそう呼びたくなるし、なんならこの記事も「よ」で予測変換して書いてる(笑)。

走輔は漢字で書かれた名前を見たことがあるんだな。レジェンド間でそんな形で情報共有されたか、それとも鎧が移動中にサインを自分宛にしてくれとねだったか。

 

■個別ビークルが活かされた!

説得が失敗に終わり、海賊たちがマッハルコンをガレオン+個々のビークルで追いかける。

ゴーカイジャーの個々のビークルをメンバーが操縦する場面はここまで殆どなく、私の中では36話にして初めてって印象。

特撮監督の佛田さんによれば2話でちょっとやったらしいけど、それ以来あまりにも出番がなかったために「やりたい、やらせてください」と提案されたとのこと。

他の戦隊でも個別ビークルの活躍は序盤だけで以後は合体ロボがメインになりがちだったりすると思うけど、ゴーカイジャーは他にも見せなきゃならない物が多くて余計に、序盤もその尺や展開が持てなかったのかな。私も気になりつつも仕方ないのかなと諦めていたから、ここでがっつり見せてくれてたのは嬉しかった。

 

だけど、マッハルコンが飛んで見せた時

「両親とも飛行能力なかったのになんで?」「てか飛行能力はウイング族だけの特性のはず」「まさか本当の父親は(本編でベアールVが恋した)ジェットラス・・・(汗)?!」

などと、当時一部ネット民の間で下世話な勘繰りが発生してしまった記憶(笑)。

まあそこはコンドルモチーフなのに飛べないスピードルの劣性遺伝が、ファルコン(隼)モチーフの息子の能力として開花したのかもとフォローしてみる(汗)。

もっとも、マッハルコン自体はスピードルにもジェットラスにも似てないし、そのどちらよりもオッサン感(ごめん)ある声だけど。

 

■光と影

「俺たち海賊は欲しいもんは必ず獲りにいく。本気でな。でもおまえの走りは本気じゃねぇ。ただ逃げてるだけだ!」「逃げてるだけのヤツには負けねぇよ」

と赤青緑の上半身ゴーカイオーがドカッとマッハルコンの上にくっつく形で乱暴に捕獲成功。

「親父たちが羨ましかったのかもしれねぇ。自分の信じたもんのために真っ直ぐ走り続ける親父たちが。俺様にはなんにもねぇからな」

というマッハルコンの言葉は、今聞くと、ルパパトの魁利が優秀な兄に持った拗れた感情に通じる気がして、今回担当した香村さんの光り輝く者の影となってしまう者への視線をより強く感じる。

ベアールVが、「自分たちが正義の味方にかまけすぎたから息子がグレたのか?」みたいなことを言った時も、なんか妙にリアルさを感じてしまった。

 

■相棒get

「欲しけりゃ探せよ、おまえが本気になれるものを。世界は広いぜ?どうする?決めるのはおまえだ」

「君が欲しい物はなんだ?」「君が諦めたのでは手に入らない。後は君の決断だけだ」

 

マッハルコンにかけた言葉が、アカレッドと出会った時にかけられた言葉と重なる。

マベはどこかで、欲しい物も特になく1人で放浪しては粋がってザンギャックと戦ったりしていた頃の自分とマッハルコンを重ねていたのかもしれない。

そんで

「俺様を海賊にしてくれねぇか?あんたについていきゃ、俺にもなにか見つけられるような気がする」

というマッハルコンも、初めてガレオンをキラキラした目で見上げた当時のマベのような気持ちだったのかな?

それはアカレッドを失い、新たな仲間を1人1人集めてゴーカイジャーの船長として揺るぎなく君臨するようになった今のマベが、当時のアカレッドと肩を並べる所まで来た、ということでもあるのかも。

「いいぜ。おまえらの言う、相棒ってやつか」

海賊の相棒となったマッハルコンは、初仕事として鎖国バリアを打ち破る。

 

■ガイアークVSザンギャック

ヒューマンワールドでは殿下がバリゾーグ&インサーンとゴーミンを従えて、ババッチードとウガッツを前に堂々と宣戦布告。

どっちがポッと出かとか、いや侵略は強いもん勝ちだとか、こんなに強いのになぜ地球を征服出来ていないのかというババッチードのとぼけたザンギャック評にキレる殿下とか、やりとりがいちいち楽しくてずっと見ていたいくらい(笑)。

香村さんもノリノリで楽しんで書いてるんだろなと感じる。そう言えばゴーオンジャー20話が戦隊デビューだったのが、感慨深い。

 

■ジョーとバリゾーグ

そこに海賊が戻ってきて、一気に三つ巴の様相。

ここでバリゾーグの姿を見て一際気合の入った表情と仕草を見せるジョー。

ザンギャックはこの後早々に撤退するけど、ハリケンコラボ回では特に因縁を感じさせない単なる敵扱いになっていたから余計に、ライブマン回での揺り戻しを経てのこのカットは一層印象的で嬉しかった。

もしかしたら揺り戻しによるジョーの新たな決意を際立たせるために、ハリケンコラボ回では敢えて抑えていたんだったら申し訳ないけど。ちなみにハリケン前後編もこのゴーオン前後編も、どちらも加藤監督。

 

■メット・オン・メット

ゴーオンジャーへの多段変身は、メット・オン・メット。55Vの変身バンクもそうだけど、ゴーオンジャーは頭上から大きな動作で被るからシュールさが目立つ(笑)。

そんで鎧の<2人で1人のゴーオンウイングス>は、両手に持った金銀2つのメットを堂々と合体させてメットオンという、加藤監督の拘りというかもはや開き直りに近い演出に、大笑い。このネタ本当に良いアイディアだよなと改めて。

・・・ふと、ルパンXとパトレンXでこれをやったらどうなるのか?なんて考えてしまった(汗)。ウイングスと違ってスーツの形がだいぶ違うから実現はキツいはずだけど怖いもの見たさというか(笑)。

 

■炎神マッハルコン

「まだだ!石にかじりついてでも余は任期を全うするのであーる。産業革命!」

「誰もおまえなんか支持しねぇよ」

今回も冴え渡るゴーオン節(笑)。香村さん、こういうの書かせると本当お上手。

 

前回ゴーオンジャーの大いなる力を引き出せなかったのは相棒がいなかったから。でも今はマッハルコンがいる。

ゴーオンジャーの大いなる力として改めて召喚された炎神マッハルコン。これまでの大いなる力は各本編に実際に登場する物が元になってる感じだけど、マッハルコンはゴーオンジャー本編にはいなかったF1モチーフの、完全に新しいデザインなのは力入ってるなと思った。

なりきりやコレクションのキモでもあった炎神ソウルも用意され、ゴーカイオーがセットする仕様なのがファンとして嬉しい。

「海賊の心と炎神の心が一つになる時、轟音とともに豪快な王が誕生するぜ!」も、当時のナレーションを思い出して懐かしかった。

合体形態は、海賊がマッハルコンを捕まえた時と同じ、上半身がゴーカイオーで下半身がマッハルコン。人と車でのケンタウロスみたいな姿をそのまま採用なのは、ちょっとシュールだけど、ゴーオンだから、ま、いっか(笑)。

「まだ望まれている内に退場するのが一番であーる。辞任!」というババッチードの断末魔も、最後までゴーオンらしくて満足。

 

■テーマの接続

海賊と炎神が相棒になったことへの感慨を漏らす走輔に、海賊たちは、「自分たちも生まれた星も育ちもバラバラで、そういう仲間がマベの元に集まって旅をしているんだ」と口々に告げる。

走輔が前回

「世界が違うからなんだってんだ!。助け合ったり友達になったり、誰かを思う気持ちに生まれ育った世界が違うとかそんなこと関係ねぇだろ!」

と言った時に海賊たちの空気が変わったのは、自分たちもそうだったと思い当たったからなんだね。

 

走輔の言葉はゴーオンジャーの主題歌「生まれた世界は違っても、見た目や言葉は違っても、願いはつなぎあえる」と重なっている。

香村さんは、これがゴーオンジャーのテーマであることを踏まえた上で、ゴーカイジャーの仲間のありようと接続させた。

更には「最終的に地球を救う話にはなるだろうから、そこに向けての1ステップにもなればいいかな」との思いがあったとも仰っていて、この後の展開を見れば確かにそうなったと思う。

 

戦隊の作品を幾つか見ていくと、メインライターは全体的な柱を作るものの、考える事や負担が大きく、もれなく目配りするのは難しいんだなと思うようにもなった。だから、サブライターで後々の展開も考えて要所要所で目配り出来る人、というのはホント得難い存在なんだなと感じる。

ゴーカイジャーの幸運の1つは香村さんに沢山書いて貰えたことなんだろな、と改めて思った。