海賊戦隊ゴーカイジャー: 24話感想というか覚え書き
※海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。
■修行の成果
冒頭でダーツを的に当ててガッツポーズするハカセの右手に、7話でマベがしていた激重腕輪が!当時は腕を上げるのもやっとだったのに(涙)。
描写は一瞬だけどハカセもあれから同様の腕輪を使って自分なりの修行を続けていたことと、その成果が描かれているのは手堅いな。
もっとも今回見渡して手堅いのはこの部分の描写だけかもだけど(汗)。
■粗大ゴミ
放送当時、前回の予告だけでもう唖然としてしまったんだけど、浦沢脚本&坂本太郎監督のコンビによるジェラシット再登場(笑)。
14話でインサーンが言ってたとおりゴミ捨て場に捨てられてしまっていて、そこにゴミを出しに来たおばちゃんとの会話からもう狂ってる。てかおばちゃんも狂ってる。
「どうしたの?」
「ザンギャックに粗大ゴミとして捨てられました」
「困ったねえ。えー粗大ゴミは、電話して指定された粗大ゴミ用のシールを貼って捨てないと」
「あんた生きてんだからさ、生ゴミとしてなら回収してくれんじゃないの?」
生きて会話の成立する相手がゴミとして回収されることを前提に平然と話が進んでいく世界観(汗)。もうこのあたりからあの14話の異様な空気が蘇ってきて、というよりなんだかあれより酷い話になりそうな予感がひしひし(笑)。
■タコ焼き屋
どうやら14話以降何も食べていなかった(3ヶ月!)ジェラシットは匂いに釣られてタコ焼き屋の屋台へ。
そこの店主からタコ焼きと引き換えに「俺のペットになる気はないか?」という更に頭のネジがぶっ飛んだような提案が平然となされて、戸惑うも空腹に負けてタコ焼きを頬張るジェラシットの口の動きと恍惚の表情のCGが無駄にハイクオリティ(笑)。
■海賊は見た
たまには外で食べようと、鎧の熱烈な要望で偶然そのタコ焼き屋台に出向いた海賊が目にしたのは、ジェラシットを犬のようにしつけるタコ焼き屋。
ジェラシットを知らない鎧と「あいつには関わらない方がいい」と引き返そうとする海賊の温度差がじわじわ来る(笑)。
更にそこに、武力を使わず情報戦による地球征服を目論むザンギャックエージェンシー、センデンが、
「俺が一生懸命ザンギャックが宇宙最強であることを地球人にアピールしているときに、ザンギャックが地球人のペットになるなんてそりゃあねえだろう」
「ザンギャックなのにペットになるヤツも、許さん」
と、物凄く真っ当な理由で襲いかかり、さすがに店主たちの命を守るため海賊たちも事態の異常さに戸惑い(うんざりし)ながら渋々参戦。
やる気のないゴーカイチェンジながら、いざ戦い出すと、公園の野外劇場のベンチで戦いながらの名乗りが無駄に格好良かったり面白かったりと、戦闘シーンだけはいつも以上にゴーカイジャーの世界。ドラマ部分が常軌を逸してるからバランス見たのかも。
でもハリケンジャーにゴーカイチェンジしたらもうセンデンの姿は無い、ってのはやっぱり浦沢ワールドの展開だ(笑)。
■東映公式
なお、東映公式が放送当時、本エピソードを紹介するページでこのあたりまでをあらすじと見どころとして紹介してるんだけど、その後に
「あらすじを読んでも、みどころを読んでも、意味がわからないとお嘆きの方、大丈夫です。我々にもわかりません。」
と、もはや解説放棄しているのがかなり衝撃だった思い出↓(笑)。
https://www.toei.co.jp/tv/go-kai/story/1196213_1843.html
■タコ焼き屋の夢
海賊が店主に「宇宙人をペットにするのはやめましょう」って、言ってることはごくまともで筋が通っているんだけど何かが狂ってる状況に、店主も横暴だったと素直に反省。
海賊たちはジェラシットに、そんなにタコ焼きが食べたいならタコ焼き屋になればと提案し、ジェラシットもその気になって店主に弟子入り志願する。
14話ではゴーカイ侍斬りを喰らわした元ザンギャックの行動隊長のことを、いつの間にか一丸となって応援しマベジョーまでサムズアップしてみせるとか、海賊たちはすっかり浦沢ワールドに取り込まれている(汗)。
■ダマラスの憂鬱
東映公式が「ザンギャックも関わることを恐れる、ある意味最強の男」と書いたとおり殿下とインサーンはジェラシットを見るなりブリッジから逃げていた(笑)。
重鎮でありながら1人この事態を押し付けられたところに、海賊から逃げてきたセンデンが前言撤回し「やっぱり武力も必要」と兵器を所望してきて、今回のダマラスは終始尻拭い役。巨大化光線を撃つ時も無言でため息ついていて、苦労人だなこの人。
ザンギャック側も既に浦沢ワールドに染まってしまった(笑)。
■おばちゃんが酷い
弟子入りには店主を女手一つで育ててくれた母親の許可をとる必要があり、これが冒頭に出てきたおばちゃん。
宇宙人をナチュラルにゴミ扱いする母親にして宇宙人をペットにする息子ありだった(汗)。
「私が許しても保健所が許さない」とか次から次へと言い草が酷い。そんで「歯を磨くジェラシット」の描写のためのCGがまたしても無駄に力が入り過ぎている(笑)。
おばちゃんは一括りに「宇宙人」を偏見丸出しで否定しているので、これには地球人ではない海賊たちも口々に抗議。
ギャグにはしてるけど、もしかしたらこれ、「通りすがりの海賊が地球を守るスーパー戦隊になっていく」という過程で、海賊達に1度は「こんな地球人に守る価値はあるのか」という揺さぶりをかける回でもあったのかな?なんて思ってたり、いやでも違うかなと否定してみたり(汗)
■全員待機
そこにセンデン&ゴーミンが乱入してくるも、マベが「今、大切な話をしてるんだ。ちょっと待て」と凄むと素直に全員待機(笑)。タコ焼き屋のお座敷に海賊とザンギャックと元ザンギャックがぎっしり詰めかけて座り込んで話を聞いている異様な光景(汗)。ザンギャックはつま先を立てた立ち上がりやすい正座なのが細かい(笑)。
■実は強いかも
ジェラシットがおばちゃんに生ゴミ扱いされたことを知ったセンデンは激怒して待機命令中止しダマラスから借りたザンギャックバズーカで攻撃。それを庇った海賊との戦闘になり、土管が並ぶロケーションを活かしたアクションや撮影が凝っていて面白い。
隠れ場所から不用意に出てきたおばちゃんにセンデンがバズーカを放ち、海賊も守りきれない絶体絶命のピンチをジェラシットが身を呈して庇った。
「こんな素晴らしい宇宙人が居たなんて・・・私はなんと愚かな地球人!こんな愚かな地球人を、どうして助けてくれたの?」
「お袋さん、宇宙から見れば、あなたも俺と同じ、宇宙人だから(バタッ)」
おばちゃんはすっかり感銘受けて改心するし、なんか急に感動的な話になったように見えて当時思わず焦ったけど
「ここで死ねればドラマチックだったんですけど」
ってやっぱり生きてた(笑)。てか凄くピンピンしてる。そりゃあジョーも「おまえ、本当は凄く強いだろ」って言うよな。
そもそもあのゴーカイ侍斬りで死ななかったんだから下手するとあの親衛隊長デラツエーガーより強いかもという(汗)。
■誰も予想出来ない結末
センデンを倒し、後日、海賊たちは花輪を持ってジェラシットのタコ焼き屋オープンのお祝いに向かう。
途中の会話が
「もしかするとタコ焼きって、宇宙でも流行るかもな?」
「宇宙にはタコが居ないぞ」
「火星人がタコみたいって聞いたけど」
「それじゃ火星人焼きです。流行りません」
と、とうとう海賊たちも毒されて平気で鬼畜なこと言うようになってしまった(汗)。流行らないのは問題だけど火星人を食材にするのはOKなのかアイム(笑)。
でもそんなじわじわくる笑いを吹っ飛ばす、なぜかへたり込んでいる店主の衝撃発言。
「ジェラシットは・・・俺のお袋と、駆け落ちしてしまった」
「風の噂では今頃、どこかの田舎の温泉で、楽しくやってるらしい・・・」
・・・温泉旅館で法被姿で客を送り出すジェラシットと着物姿のおばちゃん。
そんで、おばちゃんからおめでたを匂わす意味深発言(汗)。
憮然とタコ焼きを焼く店主と、遠くに黙って花輪を持って帰っていく海賊たちの小さな後ろ姿。
無駄に格調高く物憂げで無理やり余韻を残そうとするサティのBGM。
・・・何から何まで想像の斜め上だった(笑)。
■高い志
私は浦沢さんの作品はあまり知らない(あまりそうと意識して見たことがない)んだけど、聞くところによると「なにがなんでも普通に“いい話”にする気は無いという高い志」をお持ちだとか?
そう言えば、宇都宮Pは浦沢さんにゴーカイでもう1話書いて欲しかったけどタイミングが合わなかったそうで、後にリベンジなのかウィザードのフォーゼとの冬映画に起用されてたんだけど、確かにそこでもその「高い志」が発揮されてたと思う。あれはライダーだし劇場版だしネタばれになるのは憚られるから詳しくは書かないけど、ラストに観客が騒然とするどんでん返しがあったっけ。
24話を見た後だと、14話はあれでもレジェンド回という縛りがあて、その縛りがなくなるとこんなにぶっ飛んだエピソードになるのか、と浦沢脚本の恐ろしさが身に染みた。
なお、24話は当初ルカの話をとのオーダーだったのを、浦沢さんが書けないと断ったため「じゃあ別の話で」と言われ、出来たのがこれらしい。
浦沢さんは「きっと宇都宮さんもヤケクソで書いたものを期待していたから」とヤケクソで書いたとか(笑)。
その読みは正しかったんだろうな。後の宇都宮作品の、特に浦沢さんの弟子にあたる大和屋さんが書いたいろんなギャグ回を見ると。
■ジェラシットの子供
ちなみにジェラシットの子供とおぼしきキャラクターは、ルパパトキュウにガッツリ出ていたな。ジェラ太郎。ジェラシットより人間要素が強かった。
ジェラシット自身もこの後幾つかVS映画に出演したし、もはやゴーカイジャーという作品の枠を超えても許されてしまう存在に育ってしまったんだなと(汗)。