キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

海賊戦隊ゴーカイジャー: 15話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■ダマラスの刺客?

8話で海賊たちの目的を知り、9話で自分たちも大いなる力を狙うも、殿下からストップがかかって表向きは動けなくなったダマラス。彼の次の一手がいよいよ動き出す。

ザンギャックの私掠船フリージョーカーを操る海賊、バスコ・ダ・ジョロキア登場。

マベたちと同様、宇宙最大のお宝を狙う彼が、スニークブラザーズの入手した情報をダマラスから得て、宝を得るためには何が必要なのかを知ることが出来た、という見せ方が簡潔で上手い。

前後編名物の冒頭巨大戦も、「ダマラスがバスコに大いなる力の実物を見せるため」という名目がちゃんとある。出陣したスゴーミンはそのための捨て駒だったのは気の毒だけど。

 

■マベちゃん

正直言ってその瞬間まで彼をちゃん付けで呼ぶ発想はなくて、予告でバスコが「マベちゃん」て呼んだ時の衝撃はかなりのものだった。

ルパパトの魁利の「いいっすよ、圭ちゃん」もかなりネットをざわつかせた記憶だけど、どちらもそれまで強面で来てたのにスポンジに水が染みこむみたいにソッコー浸透しちゃうんだよな。

両方とも香村さん担当回なんだけど、そうやって一気に親しみやすさというか可愛らしさを呼称で付与していくのが上手いなと思ったり。

私もこのブログで「ちゃん」こそ付けないけどずっと「マベ」で通してるのは間違いなくバスコの影響。

 

■少数精鋭

「赤き海賊<団>」てことはてっきりもっと大勢の集団だと思ってたのに、たった3人だったのには若干拍子抜けした。

でも全部見た後からだと、アカレッド、バスコ、マベってとんでもなく少数精鋭だからこれでいいんだろう。回想にあてる尺やマベにとっての人的喪失をアカレッド以外に分散しない方針もあったのかもだけど。

 

■下っ端

マベが一番下っ端として甲斐甲斐しく床掃除してる。船長のアカレッドに導かれ、気の置けない兄貴分のバスコと和気あいあいで楽しそう。今のふてぶてしさはどこにもない。

初めて見た時は新鮮だったけど最終回まで見終わると、本来のマベは「マベちゃん」と呼ばれるのが似合う、やんちゃな末っ子気質だったのかなとも思う。

 

■信頼されたとたん

なお、このバリバリ本筋な重要回を担当した香村さんは、ゴーオンジャーでデビューし(荒川さんとの共同執筆)、前年のゴセイでは単発エピソード3話を担当しただけだった。

なのに、「道を教えて」で宇都宮Pに「書ける人だな」と思われたとたん、荒川さんが忙しいからと1話おいてすぐにこんな重要な前後編を任されている(汗)。

しかもアカレッドとマベの過去は荒川さんから「好きにしていいよ」と託されてしまった(笑)。

やっぱりプレッシャーだったと思う。だからこの少数精鋭は、アカレッド、バスコという新キャラ+過去マベをしっかり考えて書かなければならない香村さんの負担を、モブにまで広げない配慮もあったかもなあとも思ったりする。

 

宇都宮Pは「この人は出来る」と思うとわりと思いきった抜擢をするところがあるのかもと思う。

杉原監督もジュウオウの夏の総集編でデビューさせたと思ったら、いきなり残り10話という重要局面を加藤監督との2人だけで回させ、1年後には早くもルパパトのメイン監督に大抜擢。

タイムレンジャーの総集編でデビューした中澤監督がローテ入りしたのは3作後のアバレンジャー後半、初メインは更に4作後のゲキレンジャーだったと思うと、時代や環境の違いもあるんだろうけれど、その無茶振りに近い起用っぷりに驚く。

 

アカレッド

2話では全身こそ映らなかったものの、ボウケンジャーVSスーパー戦隊を見た人ならすぐに思い当たるアカレッドが、満を持して本格登場。

地球人ではないマベは知らなかったけれど、彼は「戦隊のリーダーたる赤の戦士達の、平和への願いより生まれし者」。スーパー戦隊の歴代レッドへの変身が可能なところは、彼が作ったんだろうゴーカイジャーの多段変身システムに通じるかもしれない。

34戦隊が地球を守るのと引き換えに失い、レンジャーキーに形を変えて宇宙に散らばった力をかき集める役目を負うにはピッタリ、というかこの人しかいないだろうと思えるキャラクターだと思う。

私は正直言ってそれまでアカレッドのことはあまり魅力的だとも思っていなかったんだけど、ゴーカイジャーでは上手く使ってきたなあと感心した記憶。

 

なおアカレッド東映公式によると、実はボウケンジャー放送開始時にはもう用意されていて、30作記念年であるためどの戦隊にも属さずに全体を俯瞰出来るキャラクターとして、いろんな媒体で先輩戦士を紹介していく役割も考えられていたのこと。でも、現役のボウケンジャーより目立ったりしても問題だ、等といった理由で実現せず、ボウケンジャーVSスーパー戦隊でやっと日の目を見た。その時は胸のマークは30。

それが更に5年を経て胸のマークだけ35に変わり、記念作品のゴーカイジャーで主人公を導く重要な役割を演じている、というのは、当時企画したスタッフさんたちには感無量だったんでは?と思ってみたりする。宇都宮P本人もボウケンジャーにはサブPとして参加していたから、もしかしたら当時のリベンジ的な思いもあったかもなあ、とも。

 

アカレッドは自分を庇って死んだ、とマベは思っていて、だからこそその死の間際に交わした「俺の分まで生きろ!そして宇宙最大の宝を必ず手に入れろ!いいな!」という約束が重くのしかかっている。

正直、「俺の分まで生きろって、あなたそもそも死ぬの?」と思ってしまったけれど、ここはアカレッドとは何者かを知っている人と、知らないマベや未視聴の人で温度差があるかもと思った。未視聴だとよりマべの視点に近い状態で見ることが出来るのかな・・・と。

 

■仲間たちの反応

バスコと翌日サシで決着をつける約束をし、自分の問題だから手出し無用だ、と仲間たちに告げるマベ。

相手は曲者っぽいのに信じて待つしかないのか?と真っ当に心配するハカセとアイムの海賊らしくないコンビ。

譲れないものがあるからな、と自分も1人で抱え込んだ経験のあるジョーは理解を示す。だからこそ止められない。

と、メンバー毎の反応の差を描き分けた上で

「しょうがない。あたしたちは明日もお宝探しだ。もしかしたらたまたま途中で、ばったり偶然、誰かさんと会ったりするかもしれないけど」

と、いたずらっぽい笑顔で、粋なとんちを効かせるルカがなんとも素敵で大好き。

 

■ラッパ

バスコはレンジャーキーを実体化させるラッパを持っていた。

主人公が同シリーズの別のヒーローに変身出来て、後発のライバルが別のヒーローを実体化出来るのは、仮面ライダーディケイドとディエンドと同パターン。

そもそもゴーカイジャーの企画が通ったのは仮面ライダーの方でディケイドが成功したからってのもあるかもだし、ある程度踏襲するのは仕方ないのかも。

バスコは

「実はあの人(アカレッド)、俺らに黙っていたこと、結構あったみたいなんだよね」

と言って追加戦士のレンジャーキーとラッパを取り出したから、これらはアカレッドが隠していたものをバスコが裏切った際に回収したってことかな?このラッパ、後々を考えると結構作られた目的がエグいんだよな・・・。

 

■デンジャーでデンジャラス

いきなり追加戦士5人に囲まれて大ピンチのマベの背後から「わっかりやすい悪役だなあ」とルカ。

「こんな所で会うなんて偶然だね、マーベラス」「デンジャーでデンジャラスな物を探していただけだ」「新しいレンジャーキーがあるならゲットしなきゃね」「安心して。マーベラスの邪魔はしないからさ」

冒頭のナビィの占いと自分たちの本来の目的を大義名分にした言い回しが文句の付けようがなくて凄く洒落ていて、マベを心配しながらの距離感の取り方が何とも格好いい。このあたりは流石香村さん。

 

■追加戦士のレンジャーキー

予告で、タイムファイヤー、ドラゴンレンジャー、デカブレイクシュリケンジャー、キングレンジャーという追加戦士の実体化を見た時は、「来たあ~!」とテンション上がった。

レジェンド大戦には追加戦士も参加していたけど、ここまでゴーカイチェンジがなかったのは単にゴーカイジャーが自分たちと呼応する初期メンバーのキーだけを使ってたからなのか、もしくは作劇的に追加戦士加入まで温存する狙いがあったのか?なんて考えてた。けど、そもそも宝箱の中に入っていなかったのか!と意表をつかれた。

海賊たちが苦戦しながらも、武器交換で得意な二刀流二丁拳銃になってからは形勢逆転し、1人ずつ倒してレンジャーキーに戻していくのはわくわくした。

特にデカブレイクを相手にアイムが初めて見せた片手二丁拳銃が格好いい。

 

■予告にいなかったのに

かつてない強敵×5をやっとクリアしたと思った直後の、10人の新たな追加戦士たちの登場。

予告にもいなかったから余計に、「え・・・?何?嘘?嘘?うわあっ!」っていう衝撃と、こんな強い連中に倍の人数で囲まれた(怖)!という絶望感が当時凄かった。わざと不安定に揺らしたカメラワークがまたそれを煽る煽る中澤演出。

元々は正義の戦士たちが容赦なく攻撃し、次々変身解除させられた青黄緑桃をなおもいたぶるのがかなりショッキング(アイムの髪の毛を掴むアバレキラーだけは違和感ないとか当時言われてたけど・汗)。

ゴーカイジャーは基本的に強者感が強い戦隊だけど、いざピンチの時の描写も容赦なく痛々しい。

それが海賊たちの来た路と行く路のハードさを感じさせてくれるんだけど。まさに冒険物語。

 

悪の華

バスコは、マベの仲間たちが加勢に来ることまで想定した上で、彼等をさらうのが本当の目的だった。

ルカのとんちは流石だと思ったのに、まんまとその上を行かれてしまっていて、これまでしたたかな知恵比べやしぶとい戦いぶりを見せてきた海賊たちの完敗が重い。

陽気なおちゃらけた口調でコロコロ表情を変えつつ飄々としていて、決して正面から戦わず堂々と卑怯な手に拘る。

一方で「何かを得るには何かを捨てなきゃ」が口癖で、その言葉通りに5つのレンジャーキーは捨てるという彼なりの信念も強烈に見せていく。

細川さんも容姿は華やかだし演技もホント素晴らしくて、滅茶苦茶嫌らしいけどで凄く魅力的。「悪の華」っていう言葉がバスコにはぴったりだなと思う。衣装はお祖母ちゃんの編んだコタツ掛けみたいだけど(汗)。

 

■温度差で風邪を引く

マジシャインとシンケンゴールドというスーアク岡元次郎さんな強敵コンビの攻撃でも変身解除しなかったマベが、仲間たちを連れ去られた後によろよろ変身を解き、引き換えに残されたレンジャーキーの散らばった地面を叩くかつてない大ピンチend。

とんでもなく厄介な第三勢力の登場から波乱だらけの展開で、前話カーレンジャー回のあのシュールなギャグ空間はいったいなんだったのかというギャップが凄まじさ(汗)。

ギャグとシリアスの温度差で風邪をひく、のゴーカイジャーverかな。宇都宮P、絶対狙ってたよなこれ(笑)。