キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

海賊戦隊ゴーカイジャー: 14話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■混ぜるな危険

カーレンジャー回。東映公式曰く「迂闊に手を出すと火傷する作品」だからと、脚本はメインライターの浦沢義雄さんを起用。

私はそれまであまりこの方の作品を知らないか、意識して見たことがなかったけど、なんというか・・・まあ凄かったとしか言えない(笑)。

そんで13話のところでも書いたけど坂本太郎監督は、震災でスケジュールが逼迫し、2班体制にせざるを得なくなって監督が足りず急遽来て貰ったという経緯がある。

その結果、カーレンジャー回は浦沢脚本坂本監督という本編コンビが実現してしまったらしい。

これもピンチをプラスに反転するゴーカイジャーのなせる技・・・ってことになるのかもだけど、なんというか、物凄い化学反応がおきてしまったような(笑)。

 

■恋する女性幹部と行動隊長(汗)

1~12話までの作風や世界観を見た後にその流れから、地球を侵略に来た組織の女性敵幹部が地球人男性に恋しますとか書くか普通?

そしていくら彼らの青春時代を表現したかったからといって、彼女にセーラー服、それから彼女に恋する行動隊長に学生服を着せようと思うか普通?

そして恋に舞い上がるあまりギガントホースの中でモーツアルトのBGMで踊らせるか普通?もしかしたら見てなかったかもだけど。

わりと真剣に聞きたいんだけど、セーラー服と学生服着せようと考えたの誰(笑)?

いくら浦沢さんの脚本がその評判どおりいろいろ狂っていてもまさか脚本で学生服とセーラー服まで指定してないよね?それともしてたの(怖)?

それとも浦沢さんと数多くの作品でコンビを組んで盟友と言われてるらしい太郎監督のアイディアなの?ちなみにインサーンを踊らせたのは台本にはなくて太郎監督がジェラシットのあそこまでの嫉妬に説得力を持たせるためにやったらしいけど、ホント恐ろしい(汗)。

 

■設定?何それ?

私、カーレンジャーはVSオーレンジャーメガレンジャーVSしか見ていないけど、カーレンジャーのメンバーは自動車会社「ペガサス」の社員だということは知っていた。

でもこのエピソードに登場したレジェンド、レッドレーサー陣内恭介は「役者やってます」との自己申告。

「あれ?」と思ったけど書いたの本編のメインライターだし、最終回のあとにクビになったとかかな?本編にそうなりそうな伏線でもあったのかな?と穏便に解釈してみたり。

そしたら、宇都宮Pが

「みんな<カーレンジャー回>だと思っているけど、岸(祐二)さんが<交通安全>って言ってるからカーレンジャーに見えるだけで、一番設定を無視してますから(笑)。浦沢さん自身はそういうことに全く興味がないのが素晴らしいと思います」

と仰っていてびっくり。浦沢さんも浦沢さんだけど宇都宮Pも確信犯で、<火傷をしたくなかった>はずなのに、いいのかそれで(笑)。

 

■経年?落ち着き?何それ?

これまでのレジェンドたちは、ガオレンジャー回の時の「アラフォーなんだからもっと落ち着かせて下さい」発言に代表されるように、わりと本編最終回からの経年変化を描くことを重要視していたと思う。

カーレンジャーは当時で9年前の作品だったガオレンジャーよりさらに5年前の作品。

だけど年相応の落ち着きとか何それ?な大暴れっぷり。

冒頭からザンギャックに追われて逃げるのも騒々しく、助けてくれた海賊たちを大いなる力を餌に強引に劇団にスカウトして逃げられると全力で追いかけ、ジェラシットからの攻撃をハカセを盾にするヒーローにあるまじき方法で避け、インサーンには文字通り振り回され、キスを迫られると騙してその気にさせた後にうっちゃり、巨大化したジェラシットにアイラブユー指南。

ここまで書きだして、出演時間も間違いなくこれまでのレジェンドたちより多いし、今回どんだけやりたい放題なのよと改めて呆れた(笑)。

 

■確信犯その2

いくら脚本がぶっ飛んでいたってそれを撮るのは監督だし演じるのは役者さん。そこでブレーキもとい調整が入ってもおかしくないと思う。

でも坂本監督と岸さんはブレーキをかけるどころか、2人で相談して

「ぶっこわしてもいい、すべってもいいから、とにかくやりたいことをやろう」

と決めたらしい。で、その結果がこれ(笑)。脚本の浦沢さんと宇都宮Pだけじゃなく、監督もレジェンドゲストも確信犯。ストッパー不在だったということか(汗)。

 

■インサーン初対面

侵略すべき地球の男への恋に狂って自軍の行動隊長と戦い、敵である戦隊メンバーに、さっさと変身して自分の思い人を守れとけしかける。それがゴーカイジャーと敵幹部インサーンとの初めての出会いだった(汗)。

11話での殿下とバリゾーグとの初対面はあんな衝撃的でシリアスでドラマチックな展開だったのにギャップが酷すぎるけど、いいのかそれで(2回目)。

 

■海賊が蚊帳の外

海賊たちは今回は傍観者。あっけにとられて見ていたり、変身したら敵がいなくなって「派手に行・・・けない」と調子狂ったりで「やりづれえな」とかぼやく始末。

ふだん不敵でマイペースなアウトローの海賊たちが振り回されて戸惑ってる、らしくない様子が新鮮で楽しい。

役者さんたちも台本を見て「大丈夫なのかな」と不安になってプロデューサーに相談に行ったら「浦沢さんも坂本さんも天才だから大丈夫だよ」と言われたとか。

そう言えば撮影は2班体制で、浩一監督組の11話12話と同時進行だったと思う。けど、かたやあんな激熱特濃前後編でかたやこれ(笑)。

宇都宮戦隊だと後にルパパトで「温度差で風邪をひく」と言われていた。

けど、「覚えているか?」「当たり前だ!」から「炎のジェラシーパワー!」「アイラブユー!」へと両極端な撮影現場を行き来しただろう役者さんたちにとってはこちらの温度差も相当なものだったんじゃないかな(笑)。

 

■小ネタの宝庫

筋トレ最中に昼寝しているジョーの寝相。横断歩道を両手を上げて渡るマベ。13話ザッカイ信号無視の伏線回収。真剣白羽取り失敗。レジェンド回お約束の変身で車戦隊違い。部下に呆れて自ら巨大化装置を握る殿下。

等々、いちいち上げたらきりが無いくらい小ネタが多い。本当ならこれらにもツッコミたいんだけど、体力気力がもたないのでやめとく。

 

■生きていた

ジェラシットは巨大化して必殺技を喰らっても、ギガントホースまで飛ばされただけで生きていた。行動隊長で生き延びたのは初めて。

まあ愛に狂っていただけで、恭介には明確な殺意を向けたし街は若干破壊したけど(汗)、そこまで悪辣ではなかったということか。(それを言ったらスニークブラザーズの方が破壊行為という点ではもっと無害だったけど・汗)コミカルで憎めない部分もあったし、生き延びて良かったほっとした部分もある。

でも彼がまた後に新たな波乱の火種になり、更にはある意味ゴーカイジャーの枠すら超えた戦隊の財産みたいな存在になっていくとはこの時にはまだ想像も出来なかった(汗)。

 

■大いなる力とは

戦闘中に大いなる力の発動はなく、ラストで海賊たちは結局大いなる力のために「五色の信号機」の劇を引き受けたということか。

普段オラオラしているマベやジョーが、子供たちの前で凄く嫌そうにたどたどしく棒読みしているのが物凄くシュール(笑)。

大いなる力が結局なんだったのかよくわからないしナビィには「役に立たない大いなる力もあるんだね」と言われてしまって終わりとか。(電気消したのは当時の節電事情を反映したのかもしれない。)

こんな扱い、たぶん本編のメインライターでなければ許されないだろうな(笑)。でもゴーカイジャーって結構そういうパターンも多いかも。

 

■作風破壊回の季節

初めて見た時には、笑いもしたけどこれまでの作風との違和感も凄くて、正直なところ自分の中での評価に困るエピソードだった。

でも全話見終わった後に見返すごとに、その違和感は薄れていて、普通に楽しめていった印象。

たぶんこのカーレンジャー回はレジェンド回としてもゴーカイジャーの1エピソード回としてもこの後に与えた影響が大きくて、結果的にゴーカイジャーの作風を広げて大事な血肉にもなったからじゃないかなと思う。

ちなみに浦沢さんは、「(自分の回が完全に浮いているのは)宇都宮さんの責任です」と言い切っている。それが彼の狙いだったと思うから、とも。

ゴーカイジャーの後にも宇都宮戦隊を3つ見た今だと、このカーレンジャー回はいわゆるレジェンド回なんだけど、同時に

 

シンケンジャーのシンケンブラウン回

・トッキュウジャーの剣玉探偵回

・ルパパトの映画撮影回

 

とかと同様の宇都宮戦隊名物、 1クール〆前後編でシリアスに盛り上がった後、それまでの丁寧な作風にサブライターが殴り込みをかけて破壊する勢い重視のはちゃめちゃギャグ回でもあると思う。そうやって作品の枠を広げてエピソード毎の振り幅を大きくしていくのを、大事にしてるのかなと。

もしかして、だからこの時期にカーレンジャー回だったのかな?と今になって思ってみたりする。