キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

海賊戦隊ゴーカイジャー: 13話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

■ピンチヒッター坂本太郎監督

ボウケンジャー以来の5年ぶりの戦隊復帰。

震災でスケジュールが悪くなり、2班体制にせざるを得なくて監督の人数が足りないところを助けて貰ったと宇都宮P。

ただでさえ例年にはない時期の劇場版撮影と被ってスケジュールのやりくりが大変なところへ311でグチャグチャになる中、容赦なくやってくる毎週の放送のために、四方八方に頭を下げて走りながら体制を立て直していったのかなと、ひしひしと感じて、本当に頭が下がる。

 

■アイム単独メイン回

荒川さんはまず5人のキャラ構成を「海賊らしい3人とその外側に海賊らしくない2人を配置」と決めてていたそうで、序盤の3-10話までは、マベ以外では海賊らしい荒事担当にゴーカイ独自の色を見せる非レジェンド回、海賊らしくない渉外担当にレジェンド回をあてていた。

映画撮影との兼ね合いでジョールカ、ハカセアイムのペアを維持していた事情もあったからだけど、その役割分担で海賊戦隊のアウトローな独自性と、レジェンドとも馴染める取っつきやすさをがっちりかつ魅力的に両立させたと思う。

その後に11-12話の前後編で荒事担当だったジョーにレジェンド回を解禁。

そんで今度は渉外担当だったアイムに非レジェンド回を宛てて、「らしくないけどちゃんと海賊です」なエピソードを見せる。

香村さんが「アイムの楽しい話を書きたいです」と希望して実現したから結果的にそうなった部分もあるんだろうけれど、なんだか凄く計算されてるなと感じてしまった。

 

■その柄はなんだ

ごめん、初めて見てから9年経ってるけどやっぱり言わせて。

見返すたびにマベのズボンの色とりどりの迷彩柄に目が行って気が散るんだけど(汗)、ルカの膝下丈パンツといい、この回の衣装は誰のセンスかと小一時間問い詰めたい気持ちがある(笑)。

 

■アイムの金銭感覚

電話一本で仲間が簡単に3億円調達出来ると思っている(汗)。

1話でルカがぶうぶう文句言いながら身に着けていた指輪を売ったら数千万円になった。それが彼らの地球での生活資金になってるんだけど3億円はその数倍。亡命して海賊になるまでどういう生活してたかは知らないけど、金銭感覚はネジがぶっ飛んだ王族のままだった(笑)。

自分を誘拐しようとした梨田の借金3千万円という苦境に同情して助けようと身代金を上乗せて告げたんだけど、そんな感じで庶民感覚とは絶望的にズレているから梨田にとって事態がどんどん悪化していく(笑)。

「わからないわからない!俺宇宙海賊がわからない!」

いや、アイムはまたちょっと特別なんで(笑)。

梨田役の山中さんのコミカルな演技もあって、誘拐犯の自業自得なのに同情してしまった(汗)。

 

■海賊の流儀

梨田に「俺たちの仲間をさらうとはいい度胸してんな・・・!そこで待ってろ。動くなよ・・・!」とドスの効いたヤクザ台詞で凄むマベ。

アイムと誘拐犯の居場所を特定してカチコミをかける時は4人一斉に銃を乱射しながら突入(笑)。こういう荒事をこなすのが手慣れている。

元王女だったアイムでさえザッカイから逃げる時に、天井の灯りを撃って暗闇を作って逃げるというセオリーが身についていて、修羅場潜ってるなあと改めて。

今回は元王女のアイムがメインだけど、いつも以上に海賊の荒っぽさ、正義の見方とは外れたところにあるアウトロー的な仁義が強調されていて楽しかった。

 

■王女でありながら

自分が猛毒を生み出す宇宙鉱石プアゾールを知らずに拾ったばかりにザッカイに襲われたことを知った梨田。

「借金はなくならない。誘拐は失敗。海賊に狙われた挙げ句にザンギャックにまで襲われて。なんでこんな運が悪いんだよ(泣)。最悪だ・・・」

と自分の不運を嘆く彼をアイムは幸運だと言う。

「あなたがこの鉱石を拾った事で、この星の、あなたや大勢の人々の命を救えるのですから。王女でありながら何も出来ず、星を失い、たった一人で逃げなければならなかった……そんな人もいますから」

正直言って、梨田が地球を救ったところで彼自身には自分の命を守れた以外の得はないと思う。

だけどアイムには、自分の星を守るチャンスを掴めた梨田が羨ましい。彼女の根っこはやっぱり王族として民を守る意識の強いと公の人なんだな。

姫として鍛えられ、シンケンジャー回でザンギャック襲来に果敢に立ち向かった薫と相通じる部分があるんだろうなと思う。

 

■すれ違い勘違い

カチコミ先にザンギャック反応があったことから、海賊たちはザンギャックがアイムを誘拐したと勘違いして血相を変える。

ザッカイがアイムの首を締めている誘拐現場(笑)も押さえ、変身前の戦闘も怒りの表情が見えて激しい。ジョーのパンチなんてやたら気持ちがこもってるし、ゴーミンに普段ならやらないような頭突きして痛がっているルカが可愛いよ。浩一監督ではないけど前回に続いて素面アクション頑張ってるなと思った。

で、最後までザッカイを誘拐の主犯と勘違いしたまま倒してしまう海賊たち(笑)。

さんざん誘拐犯扱いされて倒され、巨大化してから「訳の分からん因縁付けやがって」とブチ切れてるザッカイが若干気の毒(笑)。

香村さんはわりとこういうすれ違いネタが得意なイメージ。アンジャッシュのすれ違いコントとか好きかもなと思う。

 

■アイムの腹黒

「ま、いっか」は当時衝撃だった(笑)。

どうせザッカイはこの場で倒すから、死人に口無しで梨田の誘拐の罪も被って貰えばいろいろ都合がいいと(笑)。

ふんわり優しくてもやっぱり為政者側にいた人だし亡命&サバイバルしてるからいざとなればシビアだよな。

「お姫様だけどお嬢様じゃない」「吹雪でも手を振っていられる」という荒川さんが設定した元王女というキャラクターの核を香村さんがしっかり押さえた上で、大胆かつ等身大的な掘り下げをしている。さすが兄妹弟子コンビで連携取れてるんだろなと。

 

■爽快感

梨田が見守る前でアイムが背筋を伸ばして小気味よく戦う姿にOP主題歌が重なるのが凄く爽快感があって気持ち良い。

「そうか。これが王女だったあの子が自分で切り開いた道なんだ」

って梨田の表情がうっとりって感じなんだけどそれも納得。スーツアクターの野川さんはゴーオンシルバーでも見せた体の柔らかさが印象的で、女性らしくしなやかで品のある動きが美しく可愛らしかった。

 

■めでたしめでたしじゃなくても

梨田の借金はなくなっていない。そのあたり海賊には何も出来ない。

だけど梨田は前を向いてあがいてみようという勇気が出た。それは「王女でありながら何も出来ず星を失い、たった1人で逃げなければならなかった」アイムの「新たに切り開いた道」を目の当たりにしたから。

厳しい現実は変わらないけど希望と救いがある。このあたりの匙加減塩加減が流石香村さん。

「俺の幸運は、あんたに出会ったことだ!」

っていう叫びが万感こもっていてエピソードが凄く気持ち良い話に昇華された感じ。演じた山中さんも流石だなと思う。

 

ダブルミーニング

「道を教えて」というサブタイトルには、このエピソードの発端となった、梨田が誘拐のためにフェイクでアイムに道を尋ねたことと、アイムが梨田に「生きていれば新しい道が開ける」と身を持って示したことの2つの意味が掛けてある。

それら諸々をアイムの「ちょっと道を教えて差し上げたんです」という台詞で集約したラストがなんとも美しく締まりすぎだよ。

 

■信頼get

香村さんは戦隊オタクだからと荒川さんの紹介で起用され、7話と9話でレジェンド回を担当していたけど、この「道を教えて」は

宇都宮Pが「書ける人だな」と香村さんに目を付けた記念すべき非レジェンド回。

ここで信頼を得た後に、一介のサブライターの域を超えた重要な役割をガンガン担うことになるんだけど、そうやって重用されなければ、後のジュウオウジャーやルパパトは生まれなかったかもしれないと思うと感慨深い。