キウイXのつぶやき

今はスーパー戦隊関連、特にルパパト関連の呟きその他をまとめたり考察したりしてます。ルパパトのノエルのスピンオフについて二言目にはしつこく要望してます。

海賊戦隊ゴーカイジャー: 9話10話感想というか覚え書き

海賊戦隊ゴーカイジャー公式完全読本「豪快演義」から一部参考にしてます。

 

前回同様この加藤監督回も劇場版199ヒーローの撮影と並行。

9話冒頭の空飛ぶ島探しの時にマベだけ変身後なのもそのスケジュールとの兼ね合いみたい。

なお劇場版は当初予定に無かったものをねじ込まれたとのことで、本編撮影と同時スタートとか例年にはない無茶ぶり。

ただでさえやりくりが大変な最中に311が起きて、スケジュールが1度グチャグチャになったそうで映画も公開が後ろに延びたけど、時期的に今エピソードの撮影前後くらいの事なのかなと思う。宇都宮P曰く中澤組加藤組とその後2組には酷いスケジュールの中で撮って貰ったと。

想像しただけで発狂しそうな状況だけど、それをクオリティを維持しながら乗り切ったスタッフさんには尊敬しかない。

 

<9話>

■大いなる力争奪戦

8話でナビィの占いにあった「空飛ぶ島(天空島)」を雲の中に見つけて降り立った海賊たち。神秘的な風景に漂う冒険とロマンの予感にワクワクしていたのも束の間、ザンギャックも来襲。

ダマラスが早速大いなる力を奪うためにバウザーを送り込んだ。ザンギャックが大いなる力を直接奪おうとするのは後にも先にもこの回だけで、ある意味貴重。

そこに姿を現したガオライオン。圧倒的なパワーでザンギャックも海賊も一緒くたの闖入者とみなして島から振り落とす(笑)。

ジェットマンで対応するもバウザーの攻撃でアイムが怪我をしたことで、物語が動く。

 

■獅子走

ガオレンジャーゴーカイジャー放送時点では見ていなくて、去年の10月からの配信で見た。放送当時から言われていたけど、本編を見た後だと余計に落ち着いて見える。

香村さんによると最初はもっと熱血で、怪我したアイムを抱えてハカセ置き去りにして走り出すみたいな雰囲気で書いてたら、

「アラフォーなんだから落ち着かせて下さい」とオーダーが入ったそう(笑)。そっちも見てみたかったけど、ここまでを見るとレジェンドの「経年による変化」をわりと重視している感じだったのかな。

ゴーカイジャーのレジェンドたちは時が経ってもザンギャックの侵略には立ち向かう現役のヒーローなんだけど、人間としては年相応に成熟してるところを見せたい的な。

ただしその路線は1ヶ月後にやってくるとあるレジェンド回の時に木っ端微塵になって、そのあと何でもありみたいな感じになったような気がしないでもない(汗)。もしガオレンジャー回がもっと後だったらどんな見せ方になったかな?というのはちょっと考えたりする。

 

■対レジェンド交渉担当

ガオライオンに認められなかったこともあり、海賊を「お宝しか眼中にない」と判断し否定的な態度の走に対し、その見方に拍車をかけるような柄の悪い態度で接するマベジョールカ。

アイムの怪我で二手に分かれることになり、そんな奴らでも怪我人はほっとけないと彼女の治療を走が申し出たことにより、この回も7話同様ハカセとアイムのコンビがレジェンド担当。

正直、「え?またこの2人なの?」とは思った。でもこれはやはり映画撮影との兼ね合いで、ジョーとルカ、ハカセとアイムのコンビは崩せなかったそう。その場合この時点ではやっぱり、レジェンドと対峙するのは当たりの柔らかい、海賊らしくない新参2人。

まあ、マベは映画撮影の都合で難しかったろうし、ジョーとルカのコンビだと確かにキツいかも。だけど古参2人でレジェンドに対峙するのを1回くらいは見てみたかったかもな。

 

■分岐点

ダマラスが大いなる力を奪おうとしていると知ったワルズ・ギル殿下は、海賊を侮りまた恐らくダマラスへの反感もあって、海賊や大いなる力など無視して地球侵略を優先するよう命じた。

皇帝の目指す宇宙征服が成し得れば確かに宇宙最大の宝だろうとその範疇に収まるものでしかないというのは一理ある。だけど、

「小さい・・・小さいぞダマラス!」

鬼の首でもとったようにダマラスを見下して、海賊のようなちっぽけな存在など歯牙にもかけない自分の度量を示せるのが物凄く嬉しそう(笑)。

 

ダマラスは殿下に従わざるを得ず、表立っては動けなくなる。

でも後々考えればこの瞬間がゴーカイジャーの物語にとってもザンギャックの運命にとっても大きな分岐点になったんだよな。

もしこの時点で火は小さいうちに消せとばかりに殿下が海賊潰しに本腰を入れダマラスを出撃させていたら、ゴーカイジャーは早々に壊滅していたかもしれない。

また、海賊への警戒を捨てられないダマラスが秘かに起こした行動が更なる波乱を呼び起こすこともなかっただろう。

 

■ただカレーのためでなく

これまで戦闘になるたびに戦う理由を付けていたマベたち。

宇都宮Pが製作発表時に

「地球を守る義理のない通りすがりの海賊がいかに地球を守るスーパー戦隊になっていくかが見所」

と語っていたこともあり、その変化を見せる為にも特に序盤は守る義理がない事を強く印象付ける必要があったんだね。

だけど実は彼らだってちゃんとザンギャックに襲われた人々を見捨てられずに助けてるんだよ、ということを割とストレートに説明したのがこの回。

香村さんによると、宇都宮Pが、

1話でマベがカレーのために敵を倒したとわりとそのまま受け取っている人が多いのを気にして、一度ちゃんとそうじゃないと示しておこうということになったらしい(笑)。

個人的には今回はちょっといろいろ台詞でフォローしすぎでは?と思わないでもない。

けど、他人の危機は平気で見過ごせて本心からカレーの恨みのためだけに戦う奴だと思われても確かに困るんだろうなと(笑)。販促的にも毎回戦闘は必要だし、そんなこんなのジレンマの中でのバランス取りは中々大変だったろうなとしみじみ。

 

戦隊シリーズで、正義を標榜してない私的戦隊はボウケンジャーゴーカイジャー、ルパンレンジャーの3つだけ。宇都宮Pはサブでボウケンジャーに関わった後、残りの2つをメインPとして手がけた。

なんだか彼だけがそんな戦隊の見せ方を試行錯誤し続けてる印象。

 

香村さんはそんな宇都宮Pのオーダーとのすり合わせにご苦労されレジェンド回の難しさを痛感しつつ、バランス良くまとめられたなと思う。

ただ、走が落ち着いていたためにガオレン本編のイケイケドンドンな雰囲気は抑え気味。加えて、海賊の本性へのフォーカス優先のせいもあるのか、勇気、誇り、修行といった分かりやすいテーマも個人的には見当たらなかったりで、天空島やガオライオンも出てきたわりにはレジェンド成分は薄めの回かもしれない。悪くはないけどレジェンド回としては物足りないって言う人もいたのはわかるかも。

 

■キャラクター設定の情報解禁

アイムの王女設定は事前の各媒体の情報でさんざん紹介されてたし、1話の「そこの庶民の方」でとにかく庶民でだけはないってのは充分わかってた(笑)。

でも8話で海賊たちの過去が明かされたことで正式に情報解禁。

「何もできない何も知らない足手まといの王女を見捨てず仲間に加えた」

と言わせて、マベがお宝しか見ていない男ではないという根拠としてストレートにキャラクターに落とし込まれた。

ジョーは、バウザーが任務を途中で大いなる力争奪から地球侵略に変更したことを「軍人は大変だな」と皮肉る。

軍人でいる限り、上からの命令は絶対で、急な方針変更にも、理不尽と思える指示にも従わなければならない。細かく言えばこれもジョーの過去に関わる伏線なのか。

 

ツンデレ

ハカセとアイムの言葉を立証するように、マベジョールカは「おいお宝、ちょっとそこで待ってろ!」とガオライオンを後回しにして、襲われている人々を明確に救う戦闘。

助け出した女性たちに熱視線と共に群がられ「ふん、なに、ついでだ」とカッコつけてクールにいなすジョーを見ると、いやあなたつい2話前におばちゃんにアニマル柄押しつけられて死んだ魚の目になってましたよね?って茶化したくなる衝動にかられるけど(ごめん)。

ルカの「おっとこまえさ~ん、借りるよ」「ナイスキャッチあたし」「そんでもって?ナイスコントロールあたし!」がいちいち小気味よくて抜き書きしたくなる。

それを目の当たりにした走は

「あいつら、口が悪いんだよ」

と彼らの人となりを理解し、大いなる力を渡す決意に傾く。(その前にアイムとハカセが「お世話になりました」ときちんと頭を下げたのも印象を変えるのに効いてるとは思うけど)

 

この「ツンデレだけど実は気の良いやつらなんだよ」と万人に解説するような見せ方は、個人的にはリアルタイムで見ていた時に、「せっかくのアウトロー路線なんだからもうちょいぼかして欲しかった」とちょい拍子抜けした部分はあったかも?とぼんやり思い出したりした。

でも最終回まで終わってみればもうその見方は揺るぎようがないんだけど。

 

■ガオライオン

3つ目の商品展開された大いなる力。これまではゴーカイオーから飛び出してきたけど、今回は別の場所(天空島)から召喚されるパターン。

合体はゴーカイオーの上半身が背中に乗っかる感じでなかなか勇壮で好み。

だけど放送当時、売り場に並んだこの商品の外箱とかで、これから来る大いなる力のことを思い切りネタバレされて、苦笑いしていた記憶がある(笑)。

販売側にしてみれば遊び方やセールスポイントを分かりやすい形でアピールするのは当然なのはわかるけど、と。

 

 

<10話>

■下山健人さん

サブライター2番手として下山さん登場。荒川さん香村さんと違い歴代戦隊を知らないので知らないなりの書き方をしてくれることを期待しての起用だったそうで。あんまりマニアックな方に寄りすぎても、というバランス感覚からの起用なのかな?

私は下山脚本とはどちらかというと相性良くない方かもと思うんだけど、でもゴーカイジャーの担当回はそんなことなかったので、題材次第なのかな。

特にこの回はわりとお気に入り。

 

■海賊成分補強回

荒くれ者にポーカーは良く似合うから、マベたちがポーカーに興じるのを見ると海賊成分を補強されて嬉しい。

「海賊」戦隊とは言ってもスーパー戦隊の枠組の中だし、どれだけ海賊らしさを見せてくれるかは不安な部分もあった。レジェンド回で先輩戦士との交流にも尺が割かれるだろうし、これから徐々にスーパー戦隊になっていくならどんどん海賊らしさも薄れていくかもしれないしと。

だから序盤のこの時期に、レジェンドが絡まないゴーカイジャー固有のエピソードで

敵地に潜入→ポーカー勝負→イカサマしまくり勝ちまくり→正体バレて居直る→相手のイカサマに負けず逆転勝利→実は全部作戦だったんだよバーカ!

というしたたかでしぶといアウトロー要素を、これでもかと詰め込んでかつ面白く見せてくれたのは貴重だと思う。

 

■ポーカーの腕前

本気のルカ>>超えられない壁>>ジョー>>本気じゃないルカ>ハカセ・アイム>>>>超えられない壁>>>マベ

 

って感じかな?

マベは5話でボスとプライドかけて渡り合ったのをピークに

7話「トラ猫だ(どゃあ)」→8話「俺は電池なんか変えたことねーぞ」→10話「ワンペアだ(にまぁ)」

と順当にポンコツ化している(笑)。

 

■緑の戦艦

ザンギャックの特別破壊部隊。搭載されているギガロリウム砲は驚異的な破壊力で、星1つ燃やすことも可能らしい。

侵略はもともと他の星を戦意喪失させて従わせ、その星の資源や富、労働力を吸い上げるのが目的だろうから、星ごと燃やし尽くしちゃったら費用ばっかりかかってメリットがない。

そこを疑問視するダマラスに背伸びして張り合い「誰の息子だと思っている」という七光り上等な言葉で抑えつけようとする殿下がもう凄く殿下(笑)。

 

そんな攻撃されたら地球にあるという宇宙最大のお宝は?ということで阻止しようというのが今回のお話。

宇宙最大のお宝やその手がかりになる大いなる力(を持つスーパー戦隊レジェンドたち)を守ることが前面に出てるけど、前回海賊たちの心根は解説済みだから、お宝に関係ない人々の危機も見過ごせないんだよね、という解釈も自然に上乗せ出来る。

 

■古株コンビ

劇場版撮影の都合でコンビ固定とのことで今度はジョーとルカの古株組の番。あたりの柔らかいハカセとアイムがレジェンド担当なら、敵の真っ只中に潜入するようないかにも海賊らしい

荒事の担当はこっちだよね、という適材適所な形に分かれてる。

正体がバレてからふてぶてしい立ち回りでいけしゃあしゃあと敵を出し抜くとか、現時点でのハカセとアイムではちょっと荷が重かっただろうし。

 

■軍人設定

緑の戦艦やギガロリウム砲の解説から始まって、潜入に必要な戦艦内の情報など、元ザンギャックのジョーが内情に詳しいことが全面的に生かされていて、こういう設定の使いこなしは嬉しい。

そんでここで元ザンギャックなんだと十分に印象付けてから次の11話12話に繋げるのが手堅いよな。

 

■変装

シンケンジャーの劇場版やこないだのキラメイジャーのザビューン回でも思ったけど、どうして戦士たちが戦闘員に変装するクオリティはお世辞にも高いとは言い難く、なのに普通に通用してしまうのか(笑)。

キラメイジャーで蓑を自信満々で取り出した為朝もアレだったけど、ルカがドヤ顔で用意したゴーミン変装グッズもかなり間抜け(笑)。頭はどう見てもバケツを加工しただけだしジョーは背中にポニーテールががっつり垂れたまま。

でもルカの「ゴー!」があまりにも可愛かったので許す。

 

■ルカの本気

イカサマでした(笑)。

東映公式が「ゴーカイジャーの中で、最も海賊らしい性格をしているのがルカです」と言っているけど、彼女の元盗賊としてのスキルなのか、この手癖の悪さというか手並みの鮮やかさも一番具体的に海賊のアウトロー成分を補強していると思った。

あとたぶん、7話で「腕力では男に適わないから」鍛えていると言った目の速さも、相手の隙を見てこっそり仕込むタイミングを図るのに役立っているんだろうし、同様に腕力には関係ない手や指の動きもその分徹底的に鍛えてきたのかなと思わせる。

結果的にはジョーすら気付かないまま囮にして勝たせたルカの本気、半端ない。

 

■変身後とのシンクロ

ジョーが勝った後でゴーミンたちに取り囲まれた時に、ルカが「勝負には引き際が大事なのよ?」と余裕かましながら右手をぐるぐる回していたのを見て「おおっ」と思った。

もともとはスーツアクターの蜂須賀さんがEXILEのダンスをヒントに取り入れた動きだったものを、市道さんも真似するようになったとのこと。

そう言えばジョーも、変身後で剣が一本の時は持たない手を背中に回していたのを山田さんも取り入れていた。

こうやって俳優さんとスーツアクターさんが歩み寄って変身前と後のシンクロ度が増して、1つの役を作り上げていくんだなあと感心した記憶がある。

 

■縦一列

実はジョールカはおとり、ルカが勝ちまくって注意を引きつけ、その隙にマベハカセアィムがギガロリウムを盗み出す計画だった。

敵がポーカーとかやらずにごく真面目に任務についていたらどうしたんだろうという疑問はわきつつ、ジョーならそういった艦内の状況や戦闘員たちの気風なんかも把握していたのかな?

変装がバレて大ピンチまでが想定内でまんまと出し抜き頭脳戦を制した、ってのは海賊らしいスリルと爽快感があって好き。

だけど、縦一列名乗りはセットが狭かったんだろうけど笑ってしまった。宇都宮戦隊だとこれが後にトッキュウジャーの・・・いやなんでもないです(汗)。

 

■ナビィ

肝心のギガロリウム争奪戦は、絶妙のタイミングでナビィが持ち去る。何気にナビィ、占い以外のことで初めて役に立ったけど、彼はこの後もそんなに数は多くないけど要所要所で物凄く大事な仕事をこなす。甘えん坊で可愛いしくそ生意気だけど、実は出来る男いやトリなんだよな。

 

■トランプにはトランプ

ということでモチーフを尊重してジャッカー電撃隊にゴーカイチェンジ。

女性化してスカートをはいたレッドとかゴーオンブラックとかゲキチョッパーとか、見てるうちにだんだん慣れてきて可愛くさえ思えるようになって来てはいたけど、それでも当時はスカートをはいたルカのビッグワンは宮内洋さんのイメージが強かったもんで衝撃だった(笑)。

でも色合い的にも黄色が余るしジョールカ回とは言ってもどちらかと言えばルカによりスポットだったし、ルカの姐御っぽいキャラ的にも違和感ないからま、いっかみたいな(笑)。

 

■ギガロリウムお返しします

ゴーカイオーが持つと本当にちっちゃなカプセル薬くらいのサイズ感になっちゃうんだけど、そんなちっこいのに星1つ燃やし尽くせるとか凄い破壊力。

それを「本来の持ち主」=殿下のいるギガントホースに投げ返すのが豪快で不敵(笑)。

わかりにくいんだけどダマラスは、被害を受けた艦内でが殿下に危害が及ぶのを立ちはだかって庇ってるようにも見える。

苦言ばかりでおべっかも遣えず殿下の覚えは目出度くないけど、忠義の心は持っているというのはこの頃から一貫しているのかな?と、全部終わってみるとそれも切ない。