海賊戦隊ゴーカイジャー: 1話2話感想というか覚え書き
ゴーカイジャーは放送当時リアルタイムで見たしDVDも持っていて、戦隊の中でも1番好きな作品。いつかブログで記事にしたいという気持ちもありながら、とっくに何度も繰り返し視聴済みだしいまさら、と思っていた。
だけど今、配信中のものを改めて見ていて、やっぱりいいなと。で、これだけ好きなんだから、その思い出とか、考えたこと、見聞きしたこと、思いつくままでもとりとめなく書き残しておこうと思う。
また、見聞きしたことの中でも特に、公式完全読本「豪快演義」に書かれた情報をちょくちょく引用させて貰っているので予め。
<1話>
■レジェンド大戦
2年前に仮面ライダーディケイドで、過去ライダーが10人出てきただけでも、更には夏の劇的版で1号も含めたオールライダーが勢揃いしただけでも衝撃だったのに、それを遥かに上回る3桁のヒーロー達が大集合している絵に、当時は圧倒された。
慣れとは恐ろしいもので、今となってはこの人数もクロスオーバーも、割と当たり前のように受け止めてしまえるんだけど。
でも、パイロットの中澤監督曰く「<全部のヒーローを出すよ>と言われたときは狂気の沙汰かよと」という感覚が恐らくゴーカイジャー前の一般的な感覚だったと思う。
約200着のスーツのチェックという気の遠くなるような作業から始まってスーツアクター集め、配置決め、アクション決め。
スタッフさんたちがそんな想像を絶する大変な思いをしながら作られた本作が、私たちの感覚を「割と当たり前」に変えてしまったんだな、と思うと、本当にお疲れ様でしたありがとうございますと思わずにいられない。
■海賊たち
とにかくキャラ立てが早くて配置が上手いなと。
ニヤリが印象的なマーベラスと寡黙なジョーの製作側のイメージは三船敏郎と仲代達矢だそうで。例えが渋すぎて若い子にわかんないよ(汗)。
アイムは放送前に見た雑誌の変身後の画像では「おーっほっほ!」みたいな感じで口元に手の甲を当てて高笑いしてたから、「平民ども頭が高い!」的な高飛車なお姫様が来るかと思ったら、おっとりお淑やかっぽくて安心したのも束の間、「では・・・そこの庶民の方」でいきなりナチュラルな上から目線に大笑いした。
ふてぶてしくて格好いいけど、地球人にスピーカーでオラオラ話しかけて空振るとか、抜けた部分もあって親しみが増した。活動資金も略奪ではなくちゃんと自分たちの財産を売って調達し、海賊と呼ばれていても決して他人を踏みにじる無法者の悪人ではないと早々に示してるのは手堅いよな。
■ルカ
5人のキャラで1番驚いたのがルカ。事前の情報で守銭奴の女盗賊とは聞いていたけど、カレー屋に入ったところをザンギャックの襲来で店を破壊されて、かき集めた自分の札束を両手に握り締めて敵機襲来を睨み付ける姿が鮮烈で。中澤監督の演出の賜物で、「もうそこでお金持っちゃえ」だったとのこと。さすがだ(惚れ惚れ)。
当時19歳の市道真央さんはこの時点で既に、後に売れっ子声優になるのも納得の演技力と声の美しさ。ルカの決め台詞みたいになった「うっさいバーカ!」も、あんなに綺麗に清清しく言い放てるのは当時かなりの衝撃で、あっという間にルカのファンになった。
■ザンギャック
こちらも短い時間、短い台詞のやり取りで、七光りバカ息子(ワルズ・ギル)、煙たがられ重鎮(ダマラス)、イエスマン(バリゾーグ)、したたかな女技術者(インターン)、というおおよそのキャラ立てと関係性が見て取れる。荒川脚本と中澤監督演出の、これも匠の技。
■通りすがり
地球には「宇宙最大のお宝」を探しに立ち寄っただけ。ザンギャックに対しては、振り払う火の粉を払う感じで攻撃してくれば戦うけど、って感じで、幼稚園児や保母さんたちが襲われていても最初は見過ごそうとした(結局見過ごせなかったけど)。
決して正義の味方ではないことをはっきりと描写していて、新鮮。
宇都宮Pは新番組の見所として「地球を守る義理のない通りすがりの宇宙海賊がいかに地球を守るスーパー戦隊になっていくか」を挙げていた。それは誇張ではなく、少なくとも私にとっては、ゴーカイジャーの魅力はいろいろあるけど1番はこれ。
本当にこの作品はそのメインストーリーの進め方が滅茶苦茶上手い作品だったと思う。
■ゴーカイジャーのスーツ
たぶん全戦隊で1番好きなデザインだと思う。
正義の味方っぽくないむしろ悪役みたいなマスクと襟を立てた海賊ジャケットっぽいスーツが凝ってる。
後にルパンレンジャーが猛追してきたけど、1位は揺るがない。
■武器交換
ゴーカイジャーの最大の売りはもちろん他戦隊への多段変身だけど、私はむしろこっちの、二刀流、二丁拳銃の方が魅力的で好きかも。剣と銃を1つずつ持ったスタートからの流れるような武器の投げ渡しからして格好いいし、同じ二刀流、二丁拳銃でも。ジョーとルカ、ハカセとアイムでは戦闘スタイルが違ってそれぞれ個性的で楽しい。
■幼稚園の先生
いきなりスーパー戦隊の知識を炸裂させてて笑った。
当時もかなり話題になったけど、ああいう場合にああいう台詞がすらすらと出てくる(知識薄めの園児の前ではむしろつい語りたい)人々がわりとそこら辺にいるのがあの世界なんだってのが一発で印象付けられた。その上位集団にいたのが後に出てくる追加戦士だったと。
それだけスーパー戦隊の存在が一般人たちに根付いている。
一見私たちのいる地球に似て、実はこの要素が決定的に違うしこれが後で物語にすんごく効いてくるんだよな。
<2話>
■スーパー戦隊を知らない
5人とも自分たちが使っている力の正体を知らない。
レジェンドに寄り過ぎないようにとの配慮とのことで、「レジェンドの力をお借りして戦っています」という感じを薄めさせてる。またマベ、ジョー、ルカのふてぶてしい態度も相まって、このレジェンドたちと距離感が1年かけて徐々に縮まっていく見せ方も好き。
■5人の距離感
マベとジョーとルカが古参、ハカセとアイムはそれより遅く、アイムが1番新参。
そんな微妙な距離感を1話からちょこちょこ匂わせて、2話では新参のアイムの目線でマベの一見乱暴な流儀に突っ込み、掘り下げていく。
アイムは庶民とはズレていて常識は不足かもだけど温厚で良識はあるから、視聴者との目線にも重ねやすいんだなと思った。
■命の恩人
マーベラスの回想に出てきた「命の恩人」が、この時点では正体をぼかされていたけど、どう見てもボウケンジャーvsスーパー戦隊に出てきたアカレッドでびっくりした。
アカレッドはゴーカイジャーが始まる前に日曜の早朝にやってた、ゴセイメンバーがMCの「スーパー戦隊VSシリーズ劇場」にゲスト出演したこともあったけど、本編でこんなに重要な役割を担うとは。
そんでアカレッドが登場したということは、ゴーカイジャーが全戦隊の本編だけでなく、VSシリーズとも地続きなんだってことを暗示していたと思う。
■誰でも変身可能
レンジャーキーを使えば誰でも変身出来ることを明示。
同時に、変身すれば誰でもある程度戦えるけれど、それだけではやはり限界があり、変身する中身の資質が必要。それは海賊たちがちゃんと強いということ。
そんで、かつてその力で変身して戦っていたレジェンドたちも、決して変身できたから強かっただけではない、ということでもある。ガワはあくまでガワ、変身出来さえすればヒーローってわけじゃない、ってのはゴーカイジャーの物語の中で繰り返し語られているメッセージでもあると思う。
■この星の価値
この回のサブタイトル。
マベからレンジャーキーを奪ってザンギャックと戦おうとするも怪人には通用せず自分はどうすれば地球を守れるかと問うも「自分で考えろ」と突き放された少年。
マベに「この星に守る価値はどこにある?」と尋ねられて「どこにでもあるよ。海賊なら自分で見つけろ!」って返す。
1話でいろいろな豪華さに圧倒されてた私が、ゴーカイジャーそのものの物語にグッと引きつけられた瞬間かもしれない。
その心意気を気に入って、マベたちは少年をボコった行動隊長を倒す。
地球では宇宙最大のお宝を探すのが海賊たちの大目的なのは変わらない。けど、この時の言葉は水面下でずっとマベたちのの心に引っかかっていて、彼等が地球を守るスーパー戦隊になっていく第一歩?、というか、そんな物語の種が蒔かれたって感じだろうか。
■全部赤
ゴセイジャーVSシンケンジャーに先行登場した時にも見せたオールレッド。当時、スカートをはいたマジレッドとゲキレッドはかなりの衝撃で、反面可愛らしくもあった。
1話ではシンケンジャーやゴレンジャーといった全員が同一戦隊へのゴーカイチェンジだったけど、別にバラバラだっていいんですよ、という。
ちなみに宇都宮戦隊は、ここまで5戦隊中ジュウオウジャーを除く4戦隊で女性レッドが出現している(薫姫、ゴーカイチェンジ、乗り換え、圭子)。もっと言うと、宇都宮戦隊以外に女性レッドはいないという、実は他の戦隊にはない特性だったりする。
こんな感じで、不定期で少しずつアップしていこうかなと。先が長くてちょっと気が遠くなりそうだけど。