キラメイジャー9話感想: 瀬奈の疾走感とか真木埜の背景とかクランチュラさんの向学心とか
今回の邪面使は百人一首邪面。
クランチュラさんの、これから侵略しようとする星の文化や歴史をここまで細かく丁寧に学ぼうとする姿勢はどこから来るのか(笑)。
一見情熱とか知的好奇心とかとは無縁そうな感じがするのに、何万年も前に滅んだネアンデルタール人のことまで(汗)。凄い向学心。
しかも百人一首を「雅やか」とかその良さや魅力も人一倍理解できているんだよな。
この人、人間に生まれていればさぞかし円満で博学で、精神的に豊かな人生を送れたのではと思う。なんでそっちの世界に生まれた?
百人一首の下の句の札を人々の頭に貼り付けて、上の句を読み終わる前に該当の札を剥がさないと爆発する。絵面は間抜けでふざけてるようでエグい(汗)。
いち早く状況を理解した瀬奈はやっぱり百人一首経験者。経験とスピードを活かして攻略してくけど、「お手付きでも爆発」と聞いて焦って崩れてしまう。
そこに現れピンチを救ったのは、冒頭で瀬奈のことを一方的にボロクソ言って去った現かるたクイーン村雨真木埜。
・・・キラメイグリーン変身後を見ても迷わず「何してるのせなはやみ!」と正体をちゃんと把握していたのは、去ったと見せかけて後をつけて変身の瞬間も見守っていたんだろうか(汗)。
百人一首邪面が怯んだ隙をついて時雨が読み札を飛ばし、他メンバーが撃ち落として人々救出。ここのところ時雨が戦闘面の見せ場でも追い上げてきてるな。
瀬奈ばかりに頼るわけにはいかないからと、真木埜に百人一首のコーチを頼もうという皆の提案を瀬奈が断固拒絶。
キラメイジャーとして対抗するにはそれがベターなのに「嫌なものは嫌」って、ちょっとびっくりした。能力は秀でていても精神面はまだまだ子供?確かにまだ若いけど。まあ若いからこそ長所だけで今の地位まで突っ走れてこれた部分もあるのかもだけど。
真木埜とは子供の頃は仲良くて一緒に百人一首やってたけど、成長するとお手付きを誘導する手を使われたり挑発されたりで、それが原因で瀬奈は百人一首を辞めた、というのが過去のトラウマになっており、真木埜にも苦手意識があるみたい。
でも充瑠から「真木埜は瀬奈を恐れているのでは?」と指摘されてびっくり。
その真木埜は、瀬奈に対する態度とは打って変わって、キラメイジャーへの協力を「平和のために」快諾。
根は悪い人ではないんだ。百人一首邪面が乱入して避難を促されても戦うと退かず、目の前でキラメイジャーが次々に敗れて札にされたら、いくら自信があっても怖いだろうに、自分から勝負を買って出る。
瀬奈に対する態度は酷かったけど、本質はこの子も変身出来なくてもヒーローな子なのかもしれない。
だけど実力を活かして善戦するも、札をデタラメな歌に書き換えられて敗れてしまう。
そこに駆け付けた瀬奈と充瑠。
ずっと苦手意識を持っていた相手が、実は自分を怖がってると聞いて「本当?」って聞きたくなるのはわかる。
けど彼女が敵の卑怯な手に負けて今にも消されそうなこの時に真っ先にそれ聞くんだ(汗)。
だけど、たぶん瀬奈にはそれは凄く大事。
「気付くの遅すぎ」
とそれを認めた真木埜から託された勝負に、瞬間着替えの袴姿で臨んだ時のキラメンタル爆上げ。それが苦手意識から来る自己否定が実は認められていたという自己肯定感に変わったことによるパワーアップなんだとすれば。
こうなると瀬奈は最強で、読まれる札が何かわからなくても、札を取ろうとする敵の反応だけを見て、それより早くそのあたり全部の札を跳ね飛ばすという荒技で勝利。このあたり、瀬奈のこの能力を逆手に取ってお手付きを誘った真木埜の方が百人一首邪面より一枚上手だったわけね。
札にされたメンバーも元に戻って変身、五七五七七名乗りとかもうノリノリで楽しい。
巨大戦は、エキスプレスに瀬奈が搭乗。
瀬奈「私がそっちに行く!」
マッハ「え?瀬奈お嬢様?」
瀬奈「キングエキスプレスむっちゃはや~い!」
マッハ「えええ、そんな私よりも速いと仰るのですか瀬奈お嬢様ああ(涙)?」
ってならないかちょっとヒヤヒヤした(笑)。
でも何にも言わずすんなり受け入れていたな。
ガルザ曰く、クリスタリア伝説の4巨神の1人、「音速の巨神」がキングエキスプレス。
瀬奈が「音速のプリンセス」。
キラメイグリーンの能力であるスピードと巨神の異名が符合するのは偶然なのは気になる。
ひょっとして残り3巨神の特性も青黄桃の能力やそんな彼らを選んだ各宝石と何か連動していたりしないかなとか。
で、巨神を作る能力は赤だから赤の石に選ばれた者=イマジネーションの持ち主がリーダーだったりして?
そして今回も強制的に合体させられるガルザさん(泣)。
「良かろう」「味わおう」と余裕見せてるけど、虚勢張ってるだけ?それともプライドより巨神への好奇心や探求心が勝った?
もしかしたらオラディンに劣らずノリが良くて、面白そうな事には何にでも首突っ込むタイプだったりして。
ガルザさんて姪の前で「うわああ」と操られ苦しむふりまでしたり、フリーザー邪面ぶった切るのにわざわざ味方のふりして騙したりとか、相手を騙す芝居が無駄に手がこんでるし、今回も朗々と百人一首読み上げる役を買って出たりと、エンタメ性が強いというか役になりきって演技したり人前で主役としてスポットライト浴びるのが大好きな人でもあるように思える。
そんな人が、民のために自分を犠牲にする事に疑問を感じない兄の手足として、自分の楽しみも犠牲にして尽くし続けるのは無理だったかもなあ。
でも、彼の自分の感情や楽しみ優先なやりたい放題の振る舞いは、ヨドン軍の作戦に不利益になろうがお構いなしになってるのが現状。というかはっきり不利益にもなってる感じ。
予想外に合体させられて屈辱に打ち震えながら帰ってきた前回と違って、今回は疑り深い相手なら、
「お前何わざわざ合体させられに行ってんだよ何がまた会おうだよさてはお前やっぱりクリスタリア側だろ?」
とスパイ扱いされかねないと思うけど、クランチュラさんだと次回もケロッとして楽しげに邪面モチーフの説明してそうなんだよな(笑)。
悪役の癖に身内には本当に大らかで邪気や屈託のない人だクランチュラさん。
一件落着で、瀬奈と真木埜も仲直り。
能力や自己鍛錬は常人離れしていてそれぞれの分野のスターになってるキラメイジャー達だけど、仲違いしてしまった友達との接し方とか苦手な物から逃げてしまうとか、若くて未熟な所は予想以上にガッツリあるんだなと今回思った。
そこに向き合って乗り越えていくのが、主題歌の「傷付き磨き上げ」ってのともリンクしている感じでいいな。
特に瀬奈は変身前も後も「スピード」「突っ走る」「勢い」っていう個性を表すキーワードが上手く若さとマッチした形で表現されていて見ていて楽しい。疾走感が気持ち良い。
村雨真木埜
「村雨」は苗字だけど、たぶん百人一首のこの歌にちなんで付けられたんだろね。
寂連法師
村雨の 露もまだひぬ 槙の葉に 霧たちのぼる 秋の夕暮れ
いかにも和風で凝っていて、かるたクイーンになるために付けられたような名前。
村雨家は娘にそんな名前を付けるほど百人一首に親しんでいて、真木埜もそういう環境で育ったんだろな。
小学生で百人一首をやる少女は身近に多くないだろうし、子供の頃は一緒に楽しんでくれる瀬奈の存在は純粋に嬉しかったと思う。
「せなはやみ」と歌の中に友達の名前を見つけたのも、自分にも名前の入った歌があったからかな。見つけた時は親友とのお揃いみたいな感覚で、嬉しかったんだろなと思ったり。
でも成長して、仲良しの遊びより競技への意識が強くなると、もしかしたらそんな家庭環境の影響で、彼女にはクイーンにならねばというプレッシャーもあって、余計に瀬奈のスピードを脅威に感じ、当たりがキツくなっていったのかもしれない。
だからって瀬奈に百人一首と自分から離れることまでは望んでいなかったんだろうね。
瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ
今回特にスポットが当たったこの歌は、「せなはやみ」という瀬奈の名前にかけた友人真木埜との思い出の歌で、「今は離ればなれでもいつかはまた会おうと思う」という真木埜の願いが籠もって、それが叶った歌でもある。
それが何とも素敵だけど、弟の後白河天皇に追い落とされた兄の崇徳院の歌だというのもクリスタリア王家と重なってちょっとツボだったりする。
そう言えば保元の乱で崇徳院に味方して敗れた武将の名前が源為朝。
冒頭の土手で真木埜が見た、黄色いウェアの男子(+1名)を引き連れた瀬奈は、為朝を従えてる崇徳院でもあったことにもなるのかな?真木埜はあの時点では為朝の名前は知らなかったかもだけど。