キラメイジャー2話感想: ルールを守り勝って来た人、新たにルールを創る人
キラメイジャーの物語を進めるための基本構造や世界観をがっちり固めてきた回。このあたりは設定を作り込む塚田戦隊って感じかな。
まず赤石に選ばれたという理由だけで一番後から加入した最年少の充瑠がリーダーに指名される。
その直後に早速瀬奈が陸上競技に出場するために離脱し、彼女抜きで戦ったラグビー邪面が俊足で不在が響いたことから、各々が既に第一線で活躍している本業との両立問題が浮上。
自分のためだけじゃなく先輩のためにも走りたいっていう瀬奈の気持ちを知らずに「そんなことのために?」と地雷を踏んでしまった充瑠。
でもごめん、私も最初、「そんなこと?」って思いかけた(汗)。
スカウトされてまだ日も浅いし、わりと皆ノリであっさりキラメイジャー加入を承知したけど、瀬奈の離脱を告げる口調の悪びれなさから、本業の都合とぶつかった時にどうするか、という大事な部分をきっちり詰められてなかったっぽい。司令官で大富豪な博多南さんもかなりそこら辺アバウトそうだし。
怒った瀬奈から「リーダーなんて認めない」と言われ、でも同行した為朝からは「瀬奈の代わりは瀬奈しかいない」と言われ、新米リーダーにいきなり突き付けられる超難問(汗)。
こんな各々の人生に関わるし、高校生なのにいきなり荷が重いよな~と思った瞬間、充瑠が閃いた解決策は形を変えられるキラメイストーンの力でメンバーそっくりの代役を作ること!
キラメイジャーの武器の原材料でもあるブルーダイヤ。マブシーナ姫の涙で出来ている。
姫が泣けば無尽蔵に作れるみたいだけど、どんな理由で泣いても同じようにブルーダイヤが出て来るのかな。
例えば、皆が使っている剣とかがいつのタイミングで作られた物なんだろう?と考えた時、父を失い故郷の星から逃げなければならなかった悲しみと無念でいっぱい泣いた時の涙で出来ているんだとするとめっちゃ重いなとか思ってしまった。
マブシーナが泣くために用意したのが、ルパパトの初美花の親友、一ノ瀬詩穂先生の大人気マンガ「グッドスリー」。
リュウソウジャーVSルパパトに登場した小道具をこちらにも使ってきた。
瀬奈の陸上ユニフォームのロゴがゲキレンジャーのスクラッチだったりと、過去戦隊の小ネタはガンガン使ってくるスタンスだろうか。
脱線するけど詩穂ちんは、
・陰口に対して「好きな服着て何が悪いの?」と真正面から言い放って瞬殺
・お化け怖いのに身挺して怪人から親友を庇う
・ひよっこ新人の分際で編集者の駄目出しに「快盗は絶対復活します!」って両手で机叩いて反論
と、誰に臆することもなく自分の正義を打ち出す、たとえ変身出来なくてもヒーローな子。
世間や警察がどう快盗を扱おうが自作タイトルに「グッド」って着けて堂々と世に出して売れまくるのがホント男前過ぎるよ。
ラグビー邪面との再戦。
代役んを競技場に置いてきて合流した瀬奈の足でも追いつけない?
と思ったらそこにさっそうと本物瀬奈がユニフォーム姿のまま走り込んできて、チェンジャーをバトンのように受け取り変身。そのままラグビー邪面を捕らえ、ラグビー爆弾を奪ってたたきつけトライし撃破。
キャラっていうよりとにかく走る爽快感が半端なかった。見ていて凄く気持ち良い。
で、2話目にして女の子の戦士が1人で等身大戦を制するのを見て、なんかもう凄く塚田Pと荒川さんのコンビだなあと。
ダブルヒロイン回は最低2回はやりそう。
本業と戦士、公私のせめぎあいって、過去の戦隊では例えばガオレンジャーやシンケンジャーは本業を一時期にでも犠牲にして戦いに専念してた。
キラメイジャーも命がかかっているから戦闘には本人、本業に代役を投入するのかと思ってたら逆。斬新だな(汗)。
戦士としての使命のために自分の人生を犠牲にする
↓
キラメイジャーの根源であるキラメンタルが保てなくなり戦えなくなって本末転倒
↓
戦士として戦えるためにも戦場には替え玉を送り本人は本業に出る
というのがなんか凄く理にもかなっていてびっくりした。まあでも外科医の小夜さんとか、こちらも命のかかった手術を代役んに任せられないってのはあるよね。代役ん、能力は本人より落ちるみたいだし。
なんでいきなりラグビーなんだよって思ってたけど
「1人1人がそれぞれの場所で輝く為に替え玉が戦う。本人より能力は劣るけどそこはお互い様で全員でカバーしていく」
つまり
「1人は皆の為に、皆は1人の為に」
のスピリットでいくんだという、戦う力の根源とそれをキープするためのシステムを確立させる回の怪人モチーフとしてピッタリだったのかもと思った。
今このご時世、特に新型コロナウイルスの影響で、子供だけ家に残すか仕事を休むかの2択を迫られてるお母さんとか、たとえ劣化コピーでも代役んを欲しい人沢山いると思う。
1人が複数の役割を求められているから、皆で補い合わないといけないんだっていうスピリットを打ち出した、今の時代を感じさせ、求められてるシステムかもね。
特に今は、どこで誰と何しても感染リスクが一切ないなら尚更だよ。
もっとも、そのうちに戦闘が激化してきた節目とか終盤とかになったら、代役んシステムでは立ちゆかず、全員が本物でいかないと命に関わる状況での葛藤とか見られるんだろうか。
為朝は、今回充瑠にいちいち突っかかって最後に一本取られるという損な役回りみたいな感じだった。
けどああいう怒り方をしたのは、たぶんメンバーの中でただ1人、キラメイジャーの為にある程度本業を犠牲にする覚悟をしたか、さっさと調整しようとしてたからだろうなって思うとむしろ好感度上がる。
一方で瀬奈もどっちも大事だと思い勢いで加入したけど、日も浅くて普通はそこまで考えが回らなくても無理ないかなと思うけど。
小夜と時雨も、本業に本人が行くルールが決まったとたんに、ちゃっかり本業のために離脱を言い出してるから、彼等にとっても実はどっちを優先するかは悩ましい問題だったのかなと。為朝の剣幕見ながら内心どうしようかドキドキしながら様子見してたのかも。
ここは、司令官たる博多南さんが、戦士の意志に決断を丸投げするんじゃなくて、その地位や財力を活かしてもうちょいサポートに入るべきだったかもとは思った。
充瑠はいきなりリーダーに指名された途端に壁にぶつかったけど、為朝や瀬奈の言葉をあくまで素直に柔軟に吸収したり自分に置き換えて考えたり、持ち前のイマジネーションを駆使。
そうやって見事キラメイジャーの本質に沿った解決策を作り出して、リーダーとしての信頼を一歩勝ち取った。
で、ここまで見て為朝のキャラをeスポーツを絡めて推察すると、ゲームに勝つ為に、決められたルールの範囲内で、限られた選択肢の中から最適解や最強戦力をシビアに取捨選択する人、そうやって時にはチームを率いて勝ってきた人かなって感じ。
一番チャラく見えて実は一番ルール遵守かつキラメイジャーの事を現実的に考えて、だからこそ課題点や問題点を放置しないで次々指摘して苛立ってる感じ。
例えばそれがルールなら最年少のへなちょこ高校生がリーダーになることに異は唱えず、でも危なっかしいしほっとくと全員の命に関わりかねないからリーダー教育の為に駄目出しはガンガンさせて貰う、みたいな。
反面、現実的な分だけ今回はイマジネーション込みで斜め上から新たなルールを創造してくる充瑠の引き立て役っぽい感じにもなったけど、応援したくなる。
今回のロボは、空を飛べる青桃の2体合体と、地上組の赤黄緑の3体合体で序盤は対応するんだろうか。2体合体はあまり記憶になくて面白い。
敵側のシステムは、怪人が倒されても闇の保険契約により巨大怪獣を1頭送りこめることで、等身大戦と巨大戦を確保。
怪人はラグビー邪面も次の万力も顔は大きな仮面で体はシンプルなタイツ姿にマント。
「地球にある物の仮面を被せて襲わせ同士討ち気分を味わう」という敵組織らしい悪趣味さを、地球外の存在が地球の道具モチーフであることの理由にし、同時に着ぐるみ製作費用の節約を両立させるナイスアイディアでは?と思った。
あと、青が桃を、黄が緑を持ち上げての名乗りポーズに笑ったけど、最終回はあれを変身前の俳優さん達が素面でやるのか?と思うと、重くてプルプルしないかとか凄く心配なんだけど、見たい、やって欲しいと思う気持ちもある(笑)。
時雨と為朝の俳優さん今から頑張れ超頑張れ。